説明

メダルゲーム機

【課題】メダルシュータから放たれるメダルにプレイヤが推測しにくい新規な挙動をもたせることにより、チャッカへの入賞を狙うゲームの興趣を高めるようにしたメダルゲーム機を提供する。
【解決手段】メダルゲームフィールドには、傾斜させられた傾斜盤面21Aとこの傾斜盤面21Aの低位側に位置するチャッカ26とが設けられており、シュータ145は、平面視において傾斜盤面21Aのいずれかの領域に対して斜め方向の初速を有するメダルmを投出し、この投出されたメダルmが傾斜盤面21Aに衝突して落下するように構成されており、チャッカ26は、傾斜盤面21Aに衝突して落下するメダルmの通過を許容する開口26Aを有しており、シュータ145の投出口145bは、メダルmを起立状態で投出するとともに、傾斜盤面21Aに対向して配置されている

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲームセンタなどに設置されるいわゆるアーケード型のメダルゲーム機に関する。
【背景技術】
【0002】
アーケード型のメダルゲーム機としては、メダルを所定のメダルゲームフィールド内に投入させてゲームを行わせるものがある。このようなメダルゲーム機においては、メダルゲームフィールド内にチャッカを設け、メダルシュータから放たれたメダルがチャッカに入った場合に(所定枚数のメダルが払い出されたり、あるいは所定の抽選が行われたりなどの)所定のゲーム効果が発生しうるように構成することにより、ゲームを複雑化し、その興趣を高めるようにしたものがある(たとえば、特許文献1,2を参照)。
【0003】
特許文献1に開示されたメダルゲーム機は、テーブルおよびこのテーブル上にあるチャッカを備えており、メダルを起立した状態でテーブル上において転動させて、チャッカへの入賞を狙うように構成されている。一方、特許文献2に開示されたメダルゲーム機においては、メダルを傾斜盤面上において寝かせて滑らせ、傾斜盤面の下方にあるチャッカへの入賞を狙うように構成されている。なお、チャッカの近傍には、チャッカに向かうメダルの進路を変更するピン等が設けられている。
【0004】
しかしながら、上記特許文献1,2に開示されたメダルゲーム機のいずれにおいても、チャッカに向かうメダルの動きは比較的に単調であるので、プレイヤはメダルの動きをある程度予測することができる。このため、プレイヤに飽きられてしまう虞があり、また、視覚的な演出効果にも欠ける面があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−298400号公報
【特許文献2】特開2006−68155号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような事情のもとで考え出されたものであって、メダルシュータから放たれるメダルに、プレイヤが推測し難いこれまでにない新規な挙動をもたせることにより、チャッカへの入賞を狙うゲームの興趣を高めるようにしたメダルゲーム機を提供することをその目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を採用した。
【0008】
本発明によって提供されるメダルゲーム機は、メダルを用いたゲームが行われるメダルゲームフィールドを備え、このメダルゲームフィールドにシュータを介して当該シュータの投出口からメダルを投出するように構成されたメダルゲーム機であって、上記メダルゲームフィールドには、傾斜させられた傾斜盤面とこの傾斜盤面の低位側に位置するチャッカとが設けられており、上記シュータは、平面視において上記傾斜盤面のいずれかの領域に対して斜め方向の初速を有するメダルを投出し、この投出されたメダルが上記傾斜盤面に衝突して落下するように構成されており、上記チャッカは、上記傾斜盤面に衝突して落下するメダルの通過を許容する開口を有しており、上記シュータの上記投出口は、メダルを起立状態で投出するとともに、上記傾斜盤面に対向して配置されていることを特徴としている。
【0009】
このような構成によれば、シュータの投出口からメダルが投出されると、当該メダルは平面視において傾斜盤面のいずれかの領域に対して斜め方向から衝突する。ここで、メダルは傾斜盤面上を適度な速度でバウンドしながら落下して、やがていずれかのチャッカを通過する。このような、傾斜盤面上をバウンドしながら落下してゆくというメダルの挙動は、プレイヤにとって視認可能であるが、推測し難く、従前のこの種のメダルゲーム機にはなかった目新しく、かつ面白いものであるため、チャッカへの入賞を狙うゲームの興趣を高めることができる。
【0010】
好ましい実施の形態においては、上記シュータは、その投出口が上記傾斜盤面の上端よりも下位に位置しているとともに、基端側の供給口に供給されたメダルを重力の作用により斜め下向きに転動させる第1通路と、この第1通路となだらかにつながり、メダルを斜め上向きに転動させて先端側の上記投出口から投出するする第2通路とを備え、上記投出口は、上記供給口よりも低位に位置したものである。このような構成によれば、シュータからメダルが投出されると、当該メダルは、山形の放物線を描いてふわりと飛ぶように傾斜盤面に向かって移動する。したがって、メダルの滞空時間を比較的に長く確保することができ、プレイヤはメダルの滞空中の動きを視覚的に楽しむことができる。また、シュータ内を転動した後に起立状態で投出されるので、回転力を付与された状態で飛翔する。そして、傾斜盤面に対して平面視において斜めに衝突するので、メダルは周縁のエッジにおいて傾斜盤面に衝突する。したがって、衝突時に左右方向の回転力をも与えられる。その結果、衝突後のメダルは、傾斜盤面上を暴れるようにバウンドしながら落下してゆくのであり、かかる挙動は、より目新しく、推測し難いものである。よって、チャッカを狙うにあたって、より興趣をそそるものとなる。
【0011】
好ましい実施の形態においては、上記傾斜盤面上の低位側であって上記チャッカの上方近傍には、上記傾斜盤面から突出する複数のピンが設けられており、この場合において、上記複数のピンの少なくとも一部を上記傾斜盤面の左右方向に往復動させる左右往復動手段を備えている。このような構成によれば、ピンによって、傾斜盤面に衝突した後に落下するメダルの進路が変えられる。したがって、落下するメダルの挙動をより推測し難くすることができ、スキルをもってメダルの投出方向や投出タイミングを選択することによる興趣が高まる。
【0012】
好ましい実施の形態においては、上記チャッカの上方であり、かつ、上記複数のピンの下方には、上記傾斜盤面と間隔を空けて上記傾斜盤面と平行に配置された規制部材が設けられている。このような構成によれば、傾斜盤面をバウンドしながら規制部材まで落下してきたメダルの傾斜盤面からの距離や姿勢によって、この規制部材は、チャッカに誘導するようにメダルを弾いたり、逆に、チャッカから離れるようにメダルを弾いたりする。したがって、これによっても、メダルの投出方向や投出タイミングを選択する興趣が得られる。
【0013】
好ましい実施の形態においては、上記規制部材は、配置された支持部によって支持されるようにして設けられており、かつ上記支持部は、上記規制部材と上記傾斜盤面との間隔を変更可能に構成されている。このような構成によれば、規制部材の位置を変更することにより、チャッカに対するメダルの入賞率を適宜変更することができる。
【0014】
好ましい実施の形態においては、上記メダルゲームフィールドには、画像表示装置と、この画像表示装置の前面を覆う透明板とが設けられており、上記透明板の表面が、上記傾斜盤面とされている。このような構成によれば、画像表示装置を有するメダルゲームフィールドについての省スペース化を図ることができる。
【0015】
好ましい実施の形態においては、上記チャッカは、上記傾斜盤面の左右方向に並んで複数設けられているとともに、各チャッカの前面にはメダルの通過により入賞となることを表示する表示部が設けられている。このような構成によれば、入賞となるチャッカが種々変化する。したがって、このようなチャッカにメダルを通過させるように、メダルの投出方向およびタイミングを選択する興趣が得られる。
【0016】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係るメダルゲーム機の一実施形態の全体外観図である。
【図2】図1に示すメダルゲーム機の電気的構成を示すブロック図である。
【図3】図1に示すメダルゲーム機のメダルゲームフィールドの構成例を示す概略正面図である。
【図4】図3に示される構成の部分縦断面図である。
【図5】メダル投出機構の概略構成例を示す斜視図である。
【図6】可動ピンの作動などを説明するための要部斜視図である。
【図7】図1に示すメダルゲーム機の要部斜視図である。
【図8】図7の要部断面図である。
【図9】キャッチャーの作動を説明するための要部正面図である。
【図10】キャッチャーの作動を説明するための要部正面図である。
【図11】図1に示すメダルゲーム機の要部斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係るメダルゲーム機の好ましい実施形態につき、図面を参照しつつ具体的に説明する。
【0019】
図1〜図11は、本発明に係るメダルゲーム機の一実施形態を示している。図1によく表れているように、本実施形態のメダルゲーム機Aは、下部筐体10上に筒状のショーケース11が載設され、かつこのショーケース11上に上部カバー12が設けられた構成を有しており、ショーケース11によって囲まれた空間部には、後述するメダルゲームフィールドMFやセンターユニットCUが設けられている。下部筐体10の外周面部には、複数の操作パネル部13が等間隔で設けられており、それらの操作パネル部13と同数の複数人(たとえば8人)が同時にゲームを行なうことができるようになっている。各操作パネル部13には、後述する抽選ゲーム等に使用される操作ボタン13Aや操作レバー13Bのほか、詳細な図示説明は省略するが、メダルを溜めておくためのメダル留置部、メダル投入口などが設けられている。操作パネル部13の奥方には、メダルゲームフィールドMFから落とされたメダルを払い出すメダル払出口13Cも設けられている。また、各操作パネル部13の左右両側の下部筐体10内部には、メダル投出機構14が設けられている。メダルゲームフィールドMFは、複数の操作パネル部13の個々に対応してたとえば計8箇所設けられている。
【0020】
図1に図示されていないが、メダルゲーム機Aには、図2に電気的な構成を示すように、後述する画像表示装置2やプッシャフィールド3、クルーン抽選装置6、さらにはセンターユニットCU(キャッチャー抽選装置4やセンター抽選装置7)などの各部の動作を制御するマイクロコンピュータ9が搭載されている。
【0021】
図3および図4に表れているように、メダルゲームフィールドMFには、液晶ディスプレイなどを用いた電子ゲーム実行用の画像表示装置2と、プッシャフィールド3とが設置されている。
【0022】
図4によく表れているように、画像表示装置2は、その画面部分がプレイヤから見て手前側(図中右側)に向かうほど低位となるように傾斜させられている。画像表示装置2の画面部分は、枠体20を挟んでガラス板21に覆われており、このガラス板21の手前側の表面が傾斜盤面21Aとなっている。すなわち、この傾斜盤面21Aは、手前側が低位となるように傾斜させられている。この傾斜盤面21Aにはまた、横方向に並ぶ複数のピン22、および、支持部材23に取り付けられて図3の矢Na方向に往復移動可能な複数のピン24が設けられるが、これについては後述する。なお、本実施形態では、支持部材23の表面も、傾斜盤面21Aの一部を構成する。
【0023】
図3および図4に表れているように、画像表示装置2とプッシャフィールド3との間には、複数のチャッカ26が横方向に並んで設けられている。チャッカ26は、ガラス板21の傾斜盤面21Aに略沿った姿勢のメダルの通過を許容する横長状の開口26Aを有している。各チャッカ26の前面には、たとえばLEDなどからなる表示部26Bが設けられている。
【0024】
メダル投出機構14は、プレイヤにより投入されたメダルmをメダルゲームフィールドMFへと投出するためのものであり、図5に表れているように、比較的多数枚のメダルmを貯めることができるホッパー141と、ホッパー141の底部に設けられ、かつこのホッパー141内のメダルmを1枚ずつ繰り出すように回転するロータ142と、ロータ駆動用のモータ143と、ロータ142の回転により繰り出されるメダルmを上向きに搬送するための起立状のメダル搬送ガイド144と、メダルゲームフィールドMFの傾斜盤面21Aに向けてメダルmを投出するためのメダルシュータ145と、を備えて構成されている。ホッパー141およびメダル搬送ガイド144は、下部筐体10に対して固定的に設けられている。ホッパー141には、操作パネル部13のメダル投入口から投入されたメダルmがガイドレール(図示略)を介して送り込まれる。当該ガイドレールには、投入されたメダルmの通過を検出する投入メダルセンサ(図示略)が設けられ、この投入メダルセンサによってメダルmの通過が検出されると、その検出信号はマイクロコンピュータ9に送信されるように構成されている。メダル搬送ガイド144の内部には、常時複数枚のメダルmが互いに接して並んだ状態で収容されている。メダル搬送ガイド144の上部には、メダルシュータ145の基端側の供給口145aへとメダルmを送出すための送出手段144Aが設けられている
【0025】
メダル投出機構14においては、ロータ142が一定角度だけ回転してホッパー141内の1枚のメダルmがメダル搬送ガイド144に繰り出されると、メダル搬送ガイド144内部のメダルmが押し上げられて、それらの先頭に位置する1枚のメダルmが送出手段144Aからメダルシュータ145に送り出されるようになっている。また、マイクロコンピュータ9は、上記投入メダルセンサによるメダルmの検出信号に基づいてモータ143の駆動を制御することにより、ロータ142を上記一定角度だけ回転させてホッパー141内の1枚のメダルmをメダル搬送ガイド144に繰り出させる。かかる構成により、上記メダル投入口から1枚のメダルmが投入されると、上記メダル送出手段144Aから1枚のメダルmがメダルシュータ145に送り出される。
【0026】
メダルシュータ145は、メダルmを起立状態のまま初速を与えて投出するためのものであり、供給口145aを通じて送り込まれたメダルmを重力の作用により斜め下向きに転動させて加速させる下向きレール部145Cと、先端側の投出口145bに向かってメダルmを斜め上向きに転動させる上向きレール部145Dとがなだらかにつながった構成とされている。投出口145bは、供給口145aよりも低位に位置している。これにより、メダルシュータ145からのメダルmの投出方向は、水平方向よりも上方に指向されている。
【0027】
図5に表れているように、メダルシュータ145の基端部には、このメダルシュータ145を回動させる回動機構15が設けられている。回動機構15は、メダルシュータ145を垂直軸周りに回動可能に支持する支持軸151と、この支持軸151に連結されたモータ152と、2つのセンサ153a,153bとを備え、これらはカバー部材150に支持されている。センサ153a,153bは、支持軸151の周囲に配置されており、たとえばフォトインタラプタなどからなる。支持軸151には、センサ153a,153bによって検知される被検知片154が取り付けられている。センサ153a,153bは、支持軸151の回動動作の動作端を検知する。なお、本実施形態では、メダルシュータ145は、上記のように垂直軸(支持軸151)周りに回動するが、メダルシュータの回動中心は、かならずしも垂直に限定されず、前後左右に傾倒していてもよい。要するに、メダルシュータ145の回動方向は、左右方向を含んでいればよい。
【0028】
マイクロコンピュータ9は、プレイヤによる操作レバー13Bの操作に応じてモータ152を駆動させ、メダルシュータ145を支持軸151周りに回動させる。また、センサ153a,153bによる検知信号に基づいてマイクロコンピュータ9がモータ152の駆動を制御することにより、メダルシュータ145は、被検知片154がセンサ153aに検知される位置からセンサ153bに検知される位置までの一定角度範囲内で往復回動させられる。なお、プレイヤによる操作に関係なく、マイクロコンピュータが自動的にモータ152を駆動させ、メダルシュータ145の回動を繰り返すようにしてもよい。
【0029】
図3、図4および図6に表れているように、チャッカ26の上方近傍には、上記開口26Aへのメダルの落下を誘導する規制部材25が設けられている。この規制部材25は、図4に表れているように、傾斜盤面21Aと略平行な姿勢で所定の間隔を空けて配置された棒材である。規制部材25は、図6に表れているように、左右一対の支持板27に着脱自在に取り付けられている。支持板27には、傾斜盤面21Aに対して近接ないし離間する方向(奥行き方向)に延びる長孔27aが形成されている。これにより、傾斜盤面21Aに対する規制部材25の取り付け位置は、奥行き方向において調整可能とされている。なお、本実施形態の規制部材25は、一対の支持板27で支持しているが、これに限定されるものではない。例えば、規制部材25を単一の支持板で支持(片持ち状)してもよい。
【0030】
図3および図4に表れているように、規制部材25の上方近傍には、支持部材23を介して複数のピン24が横方向に並ぶように設けられている。これらピン24は、チャッカ26の配置と同一ピッチで配置されており、傾斜盤面21Aの手前側に突出させられている。支持部材23は、図3の矢印Na方向にスライド可能とされており、図6に表れているように、支持部材23の端部には縦方向に延びる溝23aが形成されている。この溝23aには、モータ28によって回転させられる回転板29の偏心位置に設けられたローラ29aが嵌まっている。かかる構成により、モータ28が駆動すると、支持部材23およびこれに支持された複数のピン24が傾斜盤面21Aの左右方向(図3および図6の矢印Na方向)に往復動させられる。図3および図4に表れているように、ピン24の上方近傍には、複数のピン22が横方向に並ぶように設けられている。これらピン22は、枠体20に支持され、傾斜盤面21Aの手前側に突出するように立設されており、隣接するピン22どうしの間をメダルmが通過可能となるように一定ピッチで配置されている。なお、このようなピン22,24の数や配置のピッチは適宜変更可能であり、また、傾斜盤面全体に設けてもよいし、また、なくてもよい。
【0031】
図4に表れているように、メダルシュータ145内を起立状態のまま重力の作用により転動し、初速が与えられたメダルmが投出されると、当該メダルmは、山形の放物線を描くようにふわりと空中を飛んだ後に、傾斜盤面21Aに衝突する。メダル投出機構14がメダルゲームフィールドMFの左右位置に配置されていることから、上記のようにメダルシュータ145から投出されたメダルmは、起立状態を維持し、回転を与えられたまま、傾斜盤面21Aに対して平面視において斜め前方から衝突する。このとき、メダルmは傾斜盤面21Aに弾かれるが、メダルmの周縁のエッジが傾斜盤面21Aに衝突することに起因して、弾かれた後のメダルmの挙動は、傾斜盤面21Aからの反力を受けて左右方向の回転力をも付加されたものとなる。
【0032】
その結果、メダルmは、傾斜盤面21Aを暴れながらバウンドして姿勢を変えながら落下してゆき、やがてピン22およびピン24に当たってさらに進路が変えられる。また、重力の作用により初速が与えられたメダルmは、傾斜盤面21Aに衝突した際に過度に跳ね返るのではなく、傾斜盤面21Aの傾斜に沿って適度にバウンドしながら落下する。そして、当該メダルmは、チャッカ26の直前において規制部材25によって進行方向が規制される。規制部材25の奥方をメダルmが通過した場合には、当該メダルmは、傾斜盤面21Aに略沿うように姿勢が整えられ、その殆どが開口26Aを通じてチャッカ26に入る。一方、規制部材25の手前側をメダルmが通過した場合には、当該メダルmは、チャッカ26に入らずにチャッカ26の手前側から落下する。
【0033】
メダルシュータ145から投出されるメダルmの初速は、傾斜盤面21Aを飛び越えない程度の初速とするのが望ましく、また、傾斜盤面21Aに対する上下方向の衝突位置は、どのように設定してもよい。また、メダルシュータ145は、実施形態のように必ずしもメダルmを上方に向けてふわりと投出するものである必要はなく、平面視において傾斜盤面21Aのいずれかの領域に対して斜め方向にメダルmを投出するようにしておけばよい。
【0034】
各チャッカ26は、たとえば内部に設けられた図示しないセンサによりメダルmの通過が検出されるように構成されている。所定のチャッカ26は、表示部26BにおいてLED表示されている。メダルシュータ145から投出されたメダルmが上記所定のチャッカ26に入ると入賞となり、マイクロコンピュータ9は、たとえば画像表示装置2で展開される電子ゲームやチャッカ26を利用したゲーム等(所定のゲーム)を実行する。LED表示される所定のチャッカ26は、たとえば時間経過に応じて適宜変化させられる。上記電子ゲームとしては、例えば画像表示装置2で表示されるルーレットゲームがある。また、チャッカ26を利用したゲームとしては、例えばLED表示されたチャッカ26に所定枚数のメダルを入賞させることで「当たり」となるゲームがある。キャッチャー抽選装置4における抽選ゲームは、上記所定のゲームの結果に応じて実行されるように構成されている。図4に表れているように、チャッカ26に入ったメダルmおよびチャッカ26に入らなかったメダルmのいずれもプッシャフィールド3上に落下する。なお、上記所定のゲームの結果に応じたゲーム効果としては、上記のようなキャッチャー抽選装置4における抽選ゲームの権利獲得に限られず、単に所定枚数のメダルmを払いだすといったものも含まれる。
【0035】
図3および図4に表れているように、プッシャフィールド3は、固定プレート30上に可動プレート31が重ねられ、かつこの可動プレート31が図示しないモータの駆動によって一定のストロークで図4に矢印で示すような往復動を行なうように構成された公知のものである。可動プレート31が手前側に前進したときに、固定プレート30上に載っている複数枚のメダルmどうしが固定プレート30の手前に向けてうまく押し合うと、この固定プレート30の先端縁30aからその手前の落下溝32にメダルmが落下するようになっている。可動プレート31の往復動は、常時繰り返して実行されるように構成されているが、これに代えて、たとえば画像表示装置2において実行されるゲーム結果に対応させて可動プレート31を間欠的に動作させるようにしてもかまわない。落下溝32に落下したメダルmは、メダルmのホッパー装置等を有する周知のメダル払出機構(図示略)を介してメダル払出口13Bを通じて操作パネル部13上のメダル留置部(図示略)に払い出されるようになっている。固定プレート30上には、たとえばゲームの進行状況に応じて、キャッチャー抽選装置4によって獲得したボールb1が散在している。当該ボールb1は、固定プレート30上のメダルが手前に押されるのに伴って手前に移動し、いずれ落下溝32に落下する。プッシャフィールド3の側方には、画像表示装置2において実行される電子ゲームやクルーン抽選装置6における抽選ゲームで所定の結果となった場合に固定プレート30ないし可動プレート31上にメダルmを払い出すためのメダル払出口33が設けられている。なお、固定プレート30の両側方には、メダル回収口301が設けられており、このメダル回収口301に入ったメダルmは、所定のメダル貯留部(図示略)に回収される。
【0036】
本実施形態においては、メダルゲームフィールドMFには、後述するキャッチャー抽選装置4によって獲得したボールb1を搬送してプッシャフィールド3に投入するための固定レール51および可動レール52が設けられている。固定レール51の上端には、後述するキャッチャー42によって掬い取ったボールb1を載せる受皿51aが設けられ、固定レール51の下端には、ボールb1を可動レール52の基端部に落下させる孔51bが設けられている。可動レール52は、プッシャフィールド3上におけるボールb1の投入位置を振り分けるためのものであり、その基端部が、図示しないモータの出力軸に連結されるなどにより、所定の垂直軸回りに一定角度範囲内で回動可能とされている。可動レール52の先端部には、ボールb1を落下させるための孔52aが設けられている。
【0037】
図7に表れているように、センターユニットCUは、キャッチャー抽選装置4と、センター抽選装置7と、メインディスプレイ8と、図示しないメダル払い出し機構とを具備して構成されている。本実施形態においては、センター抽選装置7によって実行される抽選ゲームは、たとえば最大数千枚ものメダルmが払い出される大当たり(以下、SJP(スーパージャックポット)という)を獲得するための抽選である。
【0038】
キャッチャー抽選装置4は、プレイヤの入力操作によってボールb1を掬い取る抽選を行うためのものであり、キャッチャー駆動部41と、キャッチャー42と、回転テーブル43とを含んで構成されている。回転テーブル43上には、複数のボールb1が載置されている。
【0039】
キャッチャー駆動部41は、キャッチャー42を支持する直線レール411と、この直線レール411を回動させる回動機構412と、直線移動機構413とを備えている。直線レール411は、その一端部が上部カバー12の中央付近に設けられた回動軸121を中心として回動可能とされる一方、他端部に設けられたローラ411Aが上部カバー12の周縁付近に設けられた円弧レール122上を走行するようになっている。かかる構成の回動機構412は、図示しないモータによって駆動させられる。直線移動機構413は、キャッチャー42を直線レール411の長手方向に沿って直線移動させるためのものであり、直線レール411の長手方向にスライド移動可能なスライド部材414を備えている。キャッチャー42は、伸縮シャフト415を介してスライド部材414に吊り下げられており、スライド部材414の内部には、伸縮シャフト415の伸縮動作を行うためのモータが設けられている。スライド部材414は、たとえば、図示しないモータによってプーリ、ベルトを介して駆動させられる。
【0040】
キャッチャー42は、ボールb1を保持するための開閉可能な一対の保持爪421を有しており、キャッチャー42の内部には、保持爪421を開閉させるためのモータが設けられている。キャッチャー42は、ゲームを実行していない時には、受皿51aの真上に待機している。なお、本実施形態においては、キャッチャー42およびキャッチャー駆動部41は、隣接する2つのメダルゲームフィールドMFごとに1セット設けられている。
【0041】
回転テーブル43は、平面視において円環形状を呈しており、その上面部分がフラットなボール載置面43aとなっている。このボール載置面43aには、複数のディンプル43bが設けられている。また、回転テーブル43には、ボール載置面43aの周縁を包囲するように上向きに起立した起立壁43cが設けられている。図8に表れているように、ディンプル43bは球面状とされており、その曲率半径はボールb1の曲率半径よりも大とされている。ディンプル43bの深さは、ボールb1の直径の1/10程度と比較的に小さく設定されている。これにより、ボールb1がディンプル43bに嵌まった状態においては、回転テーブル43が定速で回転しても、ボールb1がディンプル43bから出ることはなく、ボール載置面43aに対するボールb1の移動が規制される。これらディンプル43bは、回転テーブル43の円周方向に沿って規則的に配列されている。ディンプル43bの間隔は、ボールb1が通過可能な程度隔てられており、これにより、隣接する2つのディンプル43bにボールb1が嵌まった状態であっても、その間をボールb1が通過できるようになっている。また、ディンプル43bの直径は、円周方向に沿う列ごとに適宜異ならせてもよい。
【0042】
上記構成の回転テーブル43は、下部筐体10に対して垂直軸周りに回転可能に支持されており、マイクロコンピュータ9が図示しないモータを制御することによって回転させられる。
【0043】
複数のボールb1は、属性の異なる2種以上によって構成されている。ボールb1の属性は外見上識別可能とされており、本実施形態においては、たとえば、赤、青、および黄に色分けされた3種の属性を有している。また、ボールb1には、図示しないICタグが内蔵されており、このICタグを読取センサによって読み取ることにより、ボールb1の属性を識別可能となっている。
【0044】
本実施形態では、ボールb1の属性の種類に応じて、センター抽選装置7においてSJP抽選に当選した場合のメダル払い出し枚数が異なるように設定されている。すなわち、ボールb1の色に対応させてSJP当選時のメダル払い出し枚数が規定されている。メダル払い出し枚数は、たとえば、初期値を、赤が1000枚、青が500枚、黄が500枚と異ならせられ、各プレイヤによるメダルゲームフィールドMFへのメダル投入枚数に応じて加算されるように設定されている。具体的には、メダル投入枚数と所定の係数との乗算によって得られた値を加算する。ここで、加算値はすべての色について一定ではなく、異なるものであってもよい。たとえば、メダル払い出し枚数の表示値が最も大きいものについて、加算値が最大となるように各色の係数が採用される。また、SJP当選が発生した場合、SJP当選に係る色に対応するメダル払い出し枚数は、初期値にリセットされる。色ごとのメダル払い出し枚数は、たとえばメインディスプレイ8に表示されている。
【0045】
キャッチャー42は、操作パネル部13の操作レバー13Bおよび操作ボタン13Aの操作に応じて作動するようになっている。たとえば、キャッチャー抽選装置4における抽選の権利が発生すると、プレイヤが任意のタイミングで操作レバー13Bを操作することにより、直線レール411が往復回動する範囲においてキャッチャー42(スライド部材414)を所望の位置(たとえば狙いを定めたボールb1の円周上)まで移動させることができる。当該位置において、操作ボタン13Aを押すことにより、図9に表れているように、伸縮シャフト415が自動的に送り出され、キャッチャー42が降下する。このとき、保持爪421は開いた状態となっている。そして、キャッチャー42が回転テーブル43のボール載置面43aに接触すると、当該接触をセンサによって検知し、キャッチャー42を少し引き上げたうえで保持爪421を閉じる(図10参照)。これにより、保持爪421を閉じる動作中に当該保持爪421が回転テーブル43に接触して引き摺られることはなく、伸縮シャフト415などに余分な負荷がかかることはない。ここで、ボールb1が保持爪421に挟まれる位置にあれば、ボールb1を掬い取ることができる。次いで、キャッチャー42を引き上げるとともに、回動機構412および直線移動機構413を動作させて、キャッチャー42を待機位置(受皿51aの真上)に戻す。次いで、保持爪421を開く。これら一連の動作は、マイクロコンピュータ9によって制御される。
【0046】
キャッチャー抽選装置4によってボールb1を獲得すると、当該ボールb1は、固定レール51および可動レール52を介してプッシャフィールド3上に投入される。このボールb1が落下溝32から落下すると、落下溝32の下部にある図示しない上記読取センサによってボールb1の属性が読み取られた後に、クルーン抽選装置6において抽選ゲームが実行される。なお、属性が読取られたボールb1は、図示しないリフト機構を介して回転テーブル43上に戻される。
【0047】
図3に表れているように、クルーン抽選装置6は、ボールb2を用いて物理的抽選を行うためのものであり、ボールb2が転動する抽選盤61と、抽選盤61の中央において、回転可能とされ、かつ上下に配置された2枚のディスク62,63とを備えている。上側のディスク62には、ボールb2が入る複数(本実施形態では6個)の入賞孔62aが一定ピッチで形成されており、下側のディスク63には、ボールb2が通過しうる複数の孔63aが入賞孔62aと同一ピッチで形成されている。ディスク63は、ディスク62に対し、孔63aが入賞孔62aとずれた位置と、孔63aが入賞孔62aに重なる位置との間で孔63aの配列ピッチの約半ピッチ分だけ相対移動可能になっている。本実施形態では、たとえば1個の入賞孔62aが、センター抽選装置7におけるSJP抽選に進むための権利獲得(当選)となっており、他の5個の入賞孔62aが、メダル払出口32による所定枚数のメダル払い出しや画像表示装置2における電子ゲームのステップアップとなっている。
【0048】
クルーン抽選装置6における抽選時には、マイクロコンピュータ9が図示しないモータを駆動することによって、ディスク62,63は、入賞孔62aおよび孔63aがずれた位置関係で一定方向に回転させられる。ここで、たとえば、ディスク62には図示しないワンウェイクラッチが係合しており、ディスク63の回転駆動に追従してディスク62が回転するようになっている。そして、待機位置にあるボールb2が抽選盤61上に自動的に放出される。ボールb2がいずれかの入賞孔62aに入ると、ボールb2はディスク63上面に支持され、入賞孔62aに半分ほど入った状態で一旦保持される。ここで、ボールb2がどの入賞孔62aに入ったかを図示しないセンサによって検知し、その入賞孔62aに応じて次の展開に進む。次いで、たとえばディスク63だけが少し逆回転させられ、孔63aが入賞孔62aと重なることにより、ボールb2が孔63aから落下する。落下したボールb2は、たとえば図示しないリフト機構によって再び待機位置まで戻される。
【0049】
図11に表れているように、センター抽選装置7は、ボールb3を用いて物理的抽選(SJP抽選)を行うためのものであり、ボールb3が転動する転動フィールド71と、レール72と、傾斜フィールド73と、入賞テーブル74とを備えている。これら符号71〜74で表された部分は、中央筐体70に支持されており、中央筐体70は、下部筐体10に対して垂直軸周りに回転可能に支持されている。
【0050】
転動フィールド71は、中央に孔71aが形成されており、中央に向かうほど低位になる漏斗状とされている。レール72は、孔71aから落下したボールb3を螺旋状に転がし、下端の孔72aを通じて傾斜フィールド73の奥方に落下させるためのものである。傾斜フィールド73は、手前側ほど低位になる傾斜面を有しており、たとえばゴムを張設したバウンド部73bによってボールb3を弾きつつ手前側の開口73cに導くように構成されている。なお、傾斜フィールド73の中央には、ゴムを張設した回転ボード73aが設けられており、この回転ボード73aは傾斜面に対する垂直軸周りに適宜回転させられる。これにより、レール72を通じて落下したボールb3は、回転ボード73aによって弾かれて不規則な動きをする。入賞テーブル74は、所定の円周上に沿って配置された複数(本実施形態では20個)のポケット74aを有しており、手前側ほど低位となるように傾斜させられている。入賞テーブル74は、中央筐体70に対して、当該傾斜姿勢を保ったまま所定の傾斜軸周りに回転可能に支持されている。隣接するポケット74aの間は縦壁によって区切られており、ボールb3が傾斜フィールド73の開口73cを通過すると、いずれか1つのポケット74aに入るようになっている。
【0051】
ポケット74aの外周部には、各ポケット74aに対応する賞の内容が表示されている。本実施形態では、たとえば、20個のポケット74aのうち、1個がSJP当選、5個がSJP以外の所定枚数のメダル払い出し、4個がキャッチャー抽選装置4による抽選の権利獲得、10個がはずれ、として割り当てられている。各ポケット74aにボールb3が入った状態は、たとえば光学式センサ(図示略)によって検知される。たとえば、ポケット74aの外側には、ボールb3が収納されているポケット74aを検知するセンサと、入賞テーブル74の基準位置を検知するセンサと、当該ポケット74aの入賞テーブル74の基準位置からの回転量を検知するセンサとが設けられており、これらセンサからの検知信号に基づいて、マイクロコンピュータ9はどのポケット74aにボールb3が入ったかを把握することができる。
【0052】
センター抽選装置7における抽選時には、中央筐体70は、マイクロコンピュータ9が図示しないモータを制御することによって、傾斜フィールド73ないし入賞テーブル74の傾斜方向がSJP抽選を行うプレイヤの正面方向を向くように適宜回転させられる。また、入賞テーブル74は、マイクロコンピュータ9が図示しないモータを制御することによって適宜回転させられる。そして、待機位置にあるボールb3が転動フィールド71に放出される。ボールb3は、転動フィールド71、レール72、傾斜フィールド73を転動した後に開口73cを通過し、いずれかのポケット74aに入る。ここで、ボールb3がどのポケット74aに入ったかを上記センサによって検知し、そのポケット74aに応じた賞がプレイヤに与えられる。次いで、たとえば入賞テーブル74を約半周回転させ、ボールb3が入ったポケット74aを上位奥方に配置することにより、中央筐体70内にボールb3が落下回収される。回収されたボールb3は、たとえば図示しないリフト機構によって再び待機位置まで戻される。
【0053】
上記メダル払い出し機構は、センター抽選装置7における抽選ゲーム(SJP抽選)の終了後に該当するプレイヤのメダルゲームフィールドMF上にメダルmを払い出すためのものである。詳細な図示説明は省略するが、上記メダル払い出し機構は、たとえば通常時にはメインディスプレイ8の裏側に収納される一方、メダル払い出し時には下方に伸張させられてメダルゲームフィールドMFの直上まで通ずるメダル搬送経路を形成するように構成されている。メダル払い出し時には、メインディスプレイ8の両端上部に設けられた図示しないボウルから上記メダル搬送経路上にメダルmが供給される。
【0054】
次に、メダルゲーム機Aの作用について説明する。
【0055】
本実施形態のメダルゲーム機Aにおいては、チャッカ26への入賞を狙ってメダルシュータ145から初速を与えられたメダルmが投出されると、当該メダルmは、空中を飛んだ後に傾斜盤面21Aに対して斜め前方から衝突し、バウンドしながら落下する。ここで、メダルシュータ145の向きを一定に保っていても、メダルシュータ145から投出される際のメダルmの傾きや速度が必ずしも同一ではないので、傾斜盤面21A衝突後のメダルmのバウンドの仕方も同一にはならない。したがって、落下するメダルmの動きを予測することは困難であり、チャッカ26への入賞を狙うゲームの興趣を高めることができる。
【0056】
本実施形態においては、メダルシュータ145の先端側に上向きレール部145Dが設けられていることにより、メダルシュータ145から投出されたメダルmは、メダルシュータ145から傾斜盤面21Aに衝突するまでの間、山形の放物線を描くように移動する。したがって、メダルmの滞空時間を比較的に長く確保することができ、プレイヤはメダルmの滞空中の動きを視覚的に楽しむことができる。
【0057】
傾斜盤面21Aに衝突した後に落下するメダルmは、ピン22,24に当たって進路が変えられるため、メダルmの動きを予測することはより困難となる。また、ピン24は左右に往復動する可動ピンとされているので、メダルmはピン24に当たって予測しえない方向に弾かれることもある。したがって、落下するメダルmについて意外性をもった動きを演出することができる。
【0058】
チャッカ26の上方近傍には規制部材25が設けられているため、チャッカ26の直前におけるメダルmの傾斜盤面21Aに対する浮上量、落下速度ないしは姿勢などによって、このメダルmがチャッカ26に導かれるように弾かれたり、チャッカ26を通過しないように弾かれたりする。
【0059】
このようなことからわかるように、上記構成のメダルゲーム機Aは、メダルシュータ145から投出させたメダルmを傾斜盤面21Aのいずれかの領域に対して平面視において斜めに衝突させるようにしていることから、これまでにない傾斜盤面21A上でのメダルmの挙動を介してチャッカ26への入賞を狙うものである。傾斜盤面21Aに衝突したメダルmは、メダルシュータ145を転動して与えられるジャイロ効果をもった回転力をもちながら、その周縁のエッジが傾斜盤面21Aに衝突するのであり、このときに傾斜盤面21Aからの反力がメダルmに左右方向の回転力を付加することから、メダルmは、傾斜盤面21A上を暴れるようにバウンドしながら、しかも、傾斜盤面21Aが傾斜しているが故に適度な速度で落下していくので、プレイヤがその挙動を推測し難い。傾斜盤面21Aやチャッカ26の上方位置には、メダルmのチャッカ26への入賞を阻害するピン22、24や規制部材25が設けられるが、傾斜盤面21A上をバウンドしつつ適度な速度で落下するメダルmの挙動を視認しつつゲームを行うことができることから、プレイヤは衝突後のメダルmの挙動を推測してメダルシュータ145を操作してチャッカ26への入賞を狙う。しかしながら、上記のようにメダルmの挙動は推測し難く、なかなか狙ったチャッカ26への入賞を獲得できないことから、プレイヤにチャッカ26への入賞を狙うゲームの高い興趣を与えることができる。
【0060】
本実施形態においては、規制部材25の傾斜盤面21Aに対する規制部材25の取り付け位置が奥行き方向において調整可能とされている。このため、たとえば、規制部材25を傾斜盤面21から遠ざかるように変位させると、規制部材25の奥方へのメダルmの通過率を上げることができ、その結果、チャッカ26に対するメダルmの入賞率を上げることができる。これとは反対に規制部材25を傾斜盤面21Aに近づくように変位させると、チャッカ26に対するメダルmの入賞率を下げることができる。このようにして、規制部材25の位置を変更することにより、チャッカ26に対するメダルmの入賞率を適宜変更することができる。なお、メダルゲーム機Aが設置される施設が異なると、使用するメダルmのサイズが異なる場合がある。このような場合でも、規制部材25の位置を調整することにより、メダルmのサイズの相違に起因するチャッカ26入賞率のばらつきをなくすことができる。なお、長孔27aに支持された規制部材25をモータの駆動力によって奥行き方向に移動させて規制部材25の取り付け位置を調整するようにしてもよい。また、規制部材25の傾斜盤面21Aに対する取り付け位置が、長孔27aによって奥行き方向において調整可能とされているが、これに限定されることはない。例えば、傾斜盤面21Aとの間隔が異なるように規制部材25を支持する複数対の孔を支持板に設け、規制部材25を支持する孔を択一的に選択できるような構成としてもよい。さらに、規制部材25の数、配置、形状、サイズは、上記実施形態に限定されるものではない。
【0061】
本実施形態においては、画像表示装置2を覆うガラス板21の手前側表面が傾斜盤面21Aとされている。このような構成によれば、画像表示装置2を有するメダルゲームフィールドMFにおいて、たとえば画像表示装置2と異なる位置に傾斜盤面21Aを設ける場合と比べて、省スペース化を図ることができる。
【0062】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明の技術的範囲は上記した実施形態に限定されるものではない。本発明に係るメダルゲーム機の各部の具体的な構成は、発明の思想から逸脱しない範囲内で種々な変更が可能である。
【0063】
上記実施形態において、メダルシュータ145は、メダルmの投出方向が水平方向よりも上方となるように先端側に上向きレール部145Gを備える構成とされているが、シュータの形状はこれに限定されるものではない。たとえば、直線状に下向きに傾斜するレール部のみを備える構成としてもよい。すなわち、本発明のシュータとしては、メダルの投出方向が水平方向よりも下方とされたものでもよい。また、メダルシュータ145に投出するメダルmは、プレイヤによりメダルシュータに直接供給するものでもよい。また、メダルシュータ145によってメダルが投出されるメダルフィールドについても、実施形態のものに限らず、どのような形態であってもよい。
【0064】
送出手段144Aおよびメダルシュータ145は、メダルを起立状態で転動されるもののほか、寝かせた状態で滑らせる形態のものであってもよい。つまり、メダルシュータ145の形状、大きさ、長さなどは、本実施形態に限られず、投出口から投出されたメダルが傾斜盤面を超えない範囲内であればよい。
【0065】
メダルシュータ145を回動させるための回動手段は、モータ152の回転動力をプーリ、ワイヤ、ベルトなどを用いて支持軸に伝達させてもよい。また、モータ152の回転動力を用いずに、プレイヤがダイヤルなどの操作手段を操作することにより付与される回転動力をプーリ、ワイヤ、ベルトなどを用いて支持軸に伝達させてもよい。
【0066】
また、メダル投出機構14によるメダル投出方向は、平面視において傾斜盤面21Aに対して斜め方向にすることが重要であり、係る要件がみたされておれば、メダル投出機構14のゲームフィールド内での位置は問われず、例えば傾斜盤面21Aの正面に位置していてもよい。
【0067】
また、傾斜盤面21Aとしては、圧力式もしくは静電容量式のタッチパネルを表面に装備した画像表示装置を用いることにより、この画像表示装置に表示され、かつ種々変化する画像やキャラクタ、あるいは領域を直接狙ってメダルを投出させることにより、このような画像やキャラクタ、あるいは領域にメダルが衝突したことをもって「当たり」あるいは任意の入力信号を発生させ、これを契機として各種のイベントを発生させるといったゲーム展開が可能となり、新感覚のメダルゲーム機としての興趣が生まれる。
【0068】
さらに、傾斜盤面21Aとしては、フラットな平面でなくてもよく、多少の凹凸を有するものや、丸みを帯びた曲面であってもよい。
【符号の説明】
【0069】
A メダルゲーム機
m メダル
MF メダルゲームフィールド
2 画像表示装置
3 プッシャフィールド
4 キャッチャー抽選装置6 クルーン抽選装置
7 センター抽選装置
14 メダル投出機構
21 ガラス板(透明板)
22 ピン
24 ピン(可動ピン)
25 規制部材
26 チャッカ
26A 開口
27 支持板(支持部)
145 メダルシュータ(シュータ)
145b 投出口
145C 下向きレール部(第1通路)
145D 上向きレール部(第2通路)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メダルを用いたゲームが行われるメダルゲームフィールドを備え、このメダルゲームフ
ィールドにシュータを介して当該シュータの投出口からメダルを投出するように構成されたメダルゲーム機であって、
上記メダルゲームフィールドには、傾斜させられた傾斜盤面とこの傾斜盤面の低位側に位置するチャッカとが設けられており、
上記シュータは、平面視において上記傾斜盤面のいずれかの領域に対して斜め方向の初速を有するメダルを投出し、この投出されたメダルが上記傾斜盤面に衝突して落下するように構成されており、
上記チャッカは、上記傾斜盤面に衝突して落下するメダルの通過を許容する開口を有しており、
上記シュータの上記投出口は、メダルを起立状態で投出するとともに、上記傾斜盤面に対向して配置されていることを特徴とする、メダルゲーム機。
【請求項2】
上記シュータの上記投出口は、上記傾斜盤面の上端よりも下位に位置している、請求項1に記載のメダルゲーム機。
【請求項3】
上記シュータは、基端側の供給口に供給されたメダルを重力の作用により斜め下向きに転動させる第1通路と、この第1通路となだらかにつながり、メダルを斜め上向きに転動させて先端側の上記投出口から投出するする第2通路とを備え、
上記投出口は、上記供給口よりも低位に位置している、請求項1または2に記載のメダルゲーム機。
【請求項4】
上記傾斜盤面上の低位側であって上記チャッカの上方近傍には、上記傾斜盤面から突出する複数のピンが設けられている、請求項
1ないし3のいずれかに記載のメダルゲーム機。
【請求項5】
上記チャッカの上方であり、かつ,上記複数のピンの下方には、上記傾斜盤面と前後方向に間隔をあけて上記傾斜盤面と平行に配置された規制部材が設けられている、請求項4に記載のメダルゲーム機。
【請求項6】
上記シュータを左右に所定角度範囲内で回動可能にする回動機構を備えている、請求項1ないし5のいずれかに記載のメダルゲーム機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−46798(P2013−46798A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−238051(P2012−238051)
【出願日】平成24年10月29日(2012.10.29)
【分割の表示】特願2008−211403(P2008−211403)の分割
【原出願日】平成20年8月20日(2008.8.20)
【出願人】(000129149)株式会社カプコン (192)