説明

メダルゲーム装置

【課題】メダルとは別種の特別遊技媒体を用いるメダルゲーム装置において、固定テーブル等に配置される特別遊技媒体の個数が通常より減少した状態が放置され、ユーザはメダルを多く取れないと考えてそのメダルゲーム装置で遊技するのを嫌気し避けてしまう事態を回避する。
【解決手段】固定テーブル6及びプッシャーテーブル8の上に配置された特別遊技媒体100の配置推測数を随時計算する。そして、チャッカー40にメダルMが進入したら、特別遊技媒体100の投入抽選処理を実行する。投入抽選処理では、配置推測数が配置上限に近づくほど新しい特別遊技媒体100の投入を実行する当選役が選ばれる抽選確率が高くなり、配置下限数に近くなるほど投入実行する当選役が選ばれにくくなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プッシャー型とよばれるメダルゲーム装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プッシャー型とよばれるメダルゲーム装置が知られている。
近年では、メダルとは別種の遊技媒体としてボールを固定テーブル上に供給するものも知られている(例えば、特許文献1を参照。)。こうしたメダルゲーム装置では、例えば、固定テーブル上に供給されたボールが固定テーブル上に載置されたメダルとともに運ばれてメダル落下口に落下すると、メダルと仕分けされて回収機構及び搬送機構によって抽選装置に搬送されて抽選の媒体とされる構成が知られている。メダルとは形状の異なるボールを加えて視覚的に変化を持たせるとともに、このボールを用いて抽選を実行することで、単にメダルをテーブルから落とすだけでは得られないより興趣に富んだメダルゲームを実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−253842号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、メダルとは別種の特別遊技媒体を用いるメダルゲーム装置では、プレーヤがこれから遊技を始めようと思った装置の固定テーブル等に特別遊技媒体が無い、或いはいつもより少ないと、プレーヤはメダルを多く取れないと考えてそのメダルゲーム装置で遊技するのを嫌気し避けてしまう場合がある。
【0005】
本発明は、メダルとは別種の特別遊技媒体を用いるメダルゲーム装置において、固定テーブル等に配置される特別遊技媒体の個数が原因で、プレーヤがメダルを多く取れないと考えてそのメダルゲーム装置で遊技するのを嫌気し避けてしまう事態を回避することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するための第1の形態は、プレーヤのメダル投入操作によってフィールド(例えば、図1の固定テーブル6、プッシャーテーブル8)上にメダルを投入し、プッシャー部の運動によって押し動かされる前記フィールド上のメダル及び特別遊技媒体をメダル投入口に落下させて楽しむメダルゲーム装置であって、
前記メダル落下口に落下した前記特別遊技媒体を回収する回収部(例えば、図3のストレーナ60)と、
前記回収部により回収された特別遊技媒体を貯留する貯留部(例えば、図3のストック部64)と、
前記特別遊技媒体を前記フィールドへ投入する投入当選役を少なくとも当選役として有する所定の抽選処理を行う抽選処理部(例えば、図1の制御ユニット50、図6のステップS112)と、
前記抽選処理によって前記投入当選役に当選した場合に、前記貯留部に貯留されている特別遊技媒体を前記フィールドへ投入する投入部(例えば、図3の特別遊技媒体投入部66、補充部68、補充部駆動モータ68a、図6のステップS132)と、
前記フィールド上に存在する特別遊技媒体の顕在数及び/又は顕在数の程度を推測する推測部(例えば、図1の制御ユニット50、図3の特別遊技媒体通過センサ62、図4の現在配置推測数1018、図5のステップS5、S18〜S20、図6のステップS134、図15のステップS40,S44)と、
前記推測部の推測結果を用いて、前記抽選処理における前記投入当選役の当選確率を変動させる確率変動部(例えば、図1の制御ユニット50、図6のステップS102〜S108、図7の抽選確率の割合設定)と、を備えたメダルゲーム装置である。
【0007】
第1の形態よれば、フィールド上に存在する特別遊技媒体の顕在数或いはその程度を推測し、その推測結果に基づいて当選時に特別遊技媒体が投入される当選役の当選確率を変動させて抽選を実行できる。
つまり、顕在数が少ない状態であれば投入当選役の当選確率を高めて、特別遊技媒体がフィールド上に積極的に供給されるように調整し、顕在数が多い状態であれば当選確率を低めてフィールド上に供給されにくくできる。よって、フィールド上に配置される特別遊技媒体の個数を適度な状態となるように管理し、特別遊技媒体が無い、或いはいつもより少ないためにメダルゲーム装置で遊技するのを嫌気し避けてしまう事態を防ぐことができる。
【0008】
第2の形態は、前記確率変動部が、前記推測部の推測結果が所定の下限顕在数条件を満たす場合に、前記投入当選役の当選確率を所定の上限確率に変動させる第1の形態のメダルゲーム装置である。
【0009】
第2の形態によれば、第1の形態のメダルゲーム装置と同様の効果を発揮できるとともに、フィールド上に配置されている特別遊技媒体の数が下限顕在数条件を満たすと投入当選役の当選確率を所定の上限確率に変動させることで、すみやかに顕在数を回復できる。
【0010】
第3の形態は、前記確率変動部が、前記推測部の推測結果が所定の上限顕在数条件を満たす場合に、前記投入当選役の当選確率を所定の下限確率に変動させる第1又は第2の形態のメダルゲーム装置である。
【0011】
第3の形態によれば、第1又は第2の形態のメダルゲーム装置と同様の効果を発揮できるとともに、推測結果が所定の上限顕在数条件を満たすと投入当選役の当選確率を下げることができるので、顕在数の増加を抑えることができる。
【0012】
第4の形態は、前記推測部が、前記投入部による投入数と前記回収部による回収数とを用いて前記フィールド上に存在する特別遊技媒体の顕在数を推測する第1〜第3の何れかの形態のメダルゲーム装置である。
【0013】
第4の形態によれば、顕在数を比較的正確に把握することができる。
【0014】
第5の形態は、前記確率変動部が、前記顕在数が所定の下限値に近づくにつれて、前記投入当選役の当選確率を徐々に上限確率に近づけるように変動させる、第4の形態のメダルゲーム装置である。
【0015】
第5の形態によれば、第4の形態のメダルゲーム装置と同様の効果を発揮できるとともに、顕在数が下限値に近づくにつれて投入当選役の当選確率を上げることができるので、顕在数の変動を小さくできる。
【0016】
第6の形態は、少なくとも前記下限値を設定する変動条件設定部(例えば、図1の制御ユニット50、配置下限数設定スイッチ56c)を更に備えた第5の形態のメダルゲーム装置である。
【0017】
第6の形態によれば、第5の形態のメダルゲーム装置と同様の効果を発揮できるとともに、メダルゲーム装置の管理者がフィールド上に配置される特別遊技媒体の下限値を設定することができる。
【0018】
第7の形態は、
前記貯留部での貯留の程度を判定するための貯留程度検出部(例えば、図10の収容上限センサ63と収容下限センサ65)を更に備え、
前記推測部は、前記貯留程度検出部の検出結果を用いて前記フィールド上に存在する特別遊技媒体の顕在数の程度を推測する(例えば、図15のステップS40,S44)、
第1〜第3の何れかの形態のメダルゲーム装置である。
【0019】
第7の形態によれば、貯留程度検出部によって貯留部により貯留されている特別遊技媒体の数量程度が判明するため、フィールド上に存在する特別遊技媒体の顕在数の程度を推測できる。
【0020】
第8の形態は、前記抽選処理部が、前記特別遊技媒体の投入数が異なる複数の投入当選役を有する抽選処理を行い、
前記確率変動部が、前記顕在数の変化傾向を判定する変化傾向判定手段(例えば、図1の制御ユニット50、図4の現在配置推測数変化率1020、図5のステップS22)と、前記変化傾向を用いて、前記投入当選役それぞれの当選確率を変動させる投入数別確率変動手段(例えば、図1の制御ユニット50、図6のステップS102〜S110)と、
を有する第1〜第7の何れかの形態のメダルゲーム装置である。
【0021】
第8の形態によれば、第1〜第7の形態の何れかのメダルゲーム装置と同様の効果を発揮できるとともに、顕在数の変化傾向に応じて投入当選役の当選確率を変更できるので、より一層顕在数の管理を多様にできる。
【0022】
第9の形態は、前記変化傾向判定手段が、前記顕在数の変化が所定の急速低下傾向条件を満たした場合に、急速低下傾向にあることを判定し、
前記投入数別確率変動手段が、前記急速低下傾向にあると判定された場合に、所定の最大投入数の投入当選役の当選確率を上昇させる第8の形態のメダルゲーム装置である。
【0023】
第9の形態によれば、第8の形態のメダルゲーム装置と同様の効果を発揮できるとともに、急激な顕在数の変化があってもこれに対応して速やかに顕在数を復元できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】第1実施形態におけるメダルゲーム装置の構成の一例を示す正面外観図。
【図2】特別遊技媒体の一例を示す図。
【図3】第1実施形態における特別遊技媒体の循環機構の概要を説明するための斜視部分透視図。
【図4】第1実施形態におけるメダルゲーム装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図。
【図5】第1実施形態におけるメダルゲーム装置の処理の流れについて説明するためのフローチャート。
【図6】図5より続くフローチャート。
【図7】第1実施形態における抽選確率の割合設定の一例を示す概念図。
【図8】現在配置推測数変化率と特別遊技媒体の投入抽選におけるハズレ抽選確率補正量との関係の一例を示す概念図。
【図9】ペイアウト率/希望ペイアウト率の比率と、特別遊技媒体の投入抽選におけるハズレ抽選確率補正量との関係の一例を示す概念図。
【図10】第2実施形態における特別遊技媒体の循環機構部分を側面から見た概略図。
【図11】第2実施形態におけるメダルゲーム装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図。
【図12】第1当選確率テーブルのデータ構成の一例を示す図。
【図13】第2当選確率テーブルのデータ構成の一例を示す図。
【図14】第2実施形態におけるメダルゲーム装置の処理の流れについて説明するためのフローチャート。
【図15】図14より続くフローチャート。
【図16】第2実施形態におけるペイアウト率/希望ペイアウト率の比率と、特別遊技媒体の投入抽選における当選確率の補正量との関係の一例を示す概念図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
〔第1実施形態〕
本発明を適用した第1実施形態として、金属製のメダルを遊技媒体とし、転動可能な多面体を特別遊技媒体として使用するメダルゲーム装置を例に挙げて説明する。
【0026】
[装置の概要の説明]
図1は、本実施形態におけるメダルゲーム装置1の構成の一例を示す正面外観図である。本実施形態におけるメダルゲーム装置1は、透明カバーガラス2で囲まれた遊技空間GSを画成する。そして、遊技空間GS内に、前端がメダル落下口4の上方に向かって設置された固定テーブル6と、この固定テーブル6の上面に沿って延設されるとともにその上面に沿って周期的に往復動されるプッシャーテーブル8とを備える。つまり、所謂「プッシャー型」と称されるメダルゲーム装置に分類される構成を有している。固定テーブル6とプッシャーテーブル8の上面によって、本実施形態における遊技の主たるゲームフィールドが構成される。
【0027】
通常、遊技開始前にメダルゲーム装置1の管理者によって固定テーブル6並びにプッシャーテーブル8の上面に多数のメダルMが予め載置される。遊技者は筐体前部に延設された操作ゲーブル上に開口されたメダル挿入口10に新たなメダルMを挿入して遊技する。
【0028】
遊技者がメダル挿入口10に新たなメダルMを入れると、挿入されたメダルMが装置下部に内蔵されたメダル収容部12に収容される途中で、通過センサ14によってその通過が検出される。通過センサ14は、物体の通過を検出する手段であって、例えば投光素子と受光素子とが対向配置された遮光によって物体の通過を検出するセンサや、超音波の反射時間から距離を計測する距離センサなどによって実現できる。通過する物体に接触して揺動する揺動スイッチなどでも良い。
【0029】
メダルMの通過が検出されると、メダル挿入口10に挿入されたのと同数のメダルが、公知の搬送機構(不図示)によってメダル収容部12から遊技空間GSの天井部内に設けられたメダル貯留部16に搬送される。そして、すでにメダル貯留部16に貯留されているメダルのうち、通過センサ14で検出されたのと同数だけメダル射出装置18から射出される。
【0030】
メダル射出装置18から射出されたメダルは、遊技空間GSの上部に開口する新規メダル投入口20から排出される。そして、新規メダル投入口20から排出されたメダルは、遊技空間GS内の奥に立設された遊技盤22と、この遊技盤22の前をメダルMが通過可能な隙間を有して覆う透明なカバーガラス24との間を、釘26などの障害物に当りながら流下し、やがてその下端からプッシャーテーブル8の上面に落ちる。
【0031】
プッシャーテーブル8は、固定テーブル6の上面に沿ってスライド移動可能に載置されており、筐体内に設置された公知の往復動機構(不図示)によって、遊技空間GSの奥に立設された遊技盤22の下端に開口する挿通孔28から出入りするように前後方向に周期的に往復動される。
【0032】
プッシャーテーブル8が、固定テーブル6上をスライドするようにして後進(退行)すると、その上面に載置されているメダルMも載置されたまま一緒に移動する。プッシャーテーブル8が後進に伴って挿通孔28に引き込まれると、後進した分だけプッシャーテーブル8の延出長が短くなり、プッシャーテーブル8の上面後方に載置されていたメダルMが挿通孔28の周縁に当たって相対的に前方に押される格好になる。すると、プッシャーテーブル8に載置されていた他のメダルも玉突き状に連鎖的に前方へ押され、ついには前端側に載っているメダルMが固定テーブル6上に落下する。
【0033】
その後、プッシャーテーブル8の前進(押出動作)に伴ってその前方端面が押出部として機能し、固定テーブル6の上面に落下して固定テーブル6に載置されたメダルMは前方へ押される。すると今度は、固定テーブル6に載置されているメダルMが玉突き状に前方へ、すなわちメダル落下口4の方へ押される。
【0034】
固定テーブル6の前端部(先端部)には、前方上方に傾いた傾斜部70が設けられている。前方に押されたメダルMは、この傾斜部70に沿って登ることとなる。傾斜部70に差し掛かっている間、メダルMは固定テーブル6の上面に対して傾斜姿勢となる。メダルMが、更に前方に押されて傾斜部70の傾斜を乗り越えるに至るとメダル落下口4に落下する。
【0035】
メダル落下口4の下部は、落下したメダルMの通過を検出する通過センサ32を備えた通路34に連通している。メダル落下口4に落下したメダルMは、この通路34を通ってメダル収容部12に収容される。そして、通路34を通過する際に検出されたメダルMと同数だけ、メダル収容部12に収容されているメダルが、メダル払出装置39によって取得メダル払出口36に搬送され、メダル受皿38へ払い出される。
【0036】
また、固定テーブル6は、前端すなわちメダル落下口4に面する端部横幅が、プッシャーテーブル8の横幅よりも広く設定されており、プッシャーテーブル8の前進限界位置近傍から左右に拡幅する形状を成している。そして、拡幅部分の左右側壁部にそれぞれメダルMが進入可能な側部メダル落下口11が設けられており、ここに落下したメダルMは通過検知されることなくメダル収容部12とは別の不図示の収容部に別途回収される。
【0037】
また、本実施形態におけるメダルゲーム装置1では、遊技開始前に予め複数個の特別遊技媒体100が固定テーブル6やプッシャーテーブル8の上にメダルMとともに配置される。
【0038】
[遊技媒体の説明]
図2は、特別遊技媒体100の一例を示す図である。
図2(a)に示すように、特別遊技媒体100は、光透過性の樹脂から形成された略球形の形状をした多面体であり、傾斜によって自然転動する全高がメダルMの厚さの2倍以上の長さの転動体である。本実施形態の転動体は転動面全周が多数の三角形平面102で覆われている。この三角形平面102は、当該平面を接地面とした場合、水平から静止限界角度θまでの範囲の斜面に載置しても自重で転動を開始せずに静止した状態を維持するように設定されている。つまり、水平から静止限界角度θまでの範囲が、自然転動しない非転動傾斜角度範囲となる。
【0039】
そして、本実施形態では、この静止限界角度θは、図2(b)に示すように、固定テーブル8の傾斜部70によってメダルMが傾斜した状態にされる傾斜面角度θmよりも大きくなるように設定されている。つまり、傾斜部70で堆積したメダルの上に特別遊技媒体100を載置しても自然に転動しないように設定されている。勿論、特別遊技媒体100が載置される面が静止限界角度θより大きい角度θnを成している場合には、図2(c)に示すように、傾斜面を自然と転動して下ることになる。
【0040】
尚、特別遊技媒体100の三角形平面102の数は適宜設定することができる。また、平面形状も三角形に限るものではなく、五角形や六角形などその他の多角形でも良いし円でも良い。
【0041】
こうして設定された特別遊戯媒体100も、固定テーブル6やプッシャーテーブル8の上のメダルMの移動とともに前進し、やがてメダル落下口4に落下することとなる。そして、特別遊技媒体100がメダル落下口4に落下すると、ボーナスとして所定数のメダルMが取得メダル払出口36から払い出される。
【0042】
また、プッシャーテーブル6の前端上部には、メダルMの通過を検知可能なチャッカー40が設けられており、メダルMがチャッカー40を通過すると制御ユニット50によって内部抽選処理が行われる。
【0043】
制御ユニット50には、CPU(Central Processing Unit)52やRAM54やROM55などの電子・電気部品が実装されており、ROM55等の不揮発性ICメモリに予め記憶されていたプログラムに従ってCPU52が各種演算処理を実行してメダルゲーム装置1の各部の制御を実行する。本実施形態では、制御ユニット50は、装置下部に設けられたメンテナンスハッチ46からアクセス可能に設けられている。
【0044】
メダルMがチャッカー40を通過すると、制御ユニット50は、乱数を発生させるなどして内部抽選処理を実行する。そして、それとともに遊技盤22に埋め込まれた液晶ディスプレイ44において、特別図柄が配列された3連の仮想リールが回転を始め、先のメダル払出抽選処理で求められた抽選結果に応じた特別図柄の組み合わせで停止するように画像演出を表示させる。そして、所定の役に当選すれば、特別遊技媒体投入部66から新たな特別遊技媒体100を遊技空間GS内に投入させ、また別の役に当選すればメダル貯留部16の特別メダル射出装置19を作動させて、特別払出口42から遊技空間GS内にボーナスメダルを払い出させる。
【0045】
また、本実施形態の制御基板ユニット50は、固定テーブル6及びプッシャーテーブル8の上の特別遊技媒体100の個数管理のためのパラメータ値を設定するために、複数のデジタルスイッチ56が設けられている。本実施形態では、固定テーブル6及びプッシャーテーブル8の上に、遊技開始前に事前に配置される特別遊技媒体100の数を設定する初期配置数設定デジタルスイッチ56aと、固定テーブル6及びプッシャーテーブル8の上に配置される特別遊技媒体100の上限数及び下限数を設定する配置上限数設定スイッチ56bと、配置下限数設定スイッチ56cとを備える。これらのスイッチは、メダルゲーム装置1の管理者が適宜設定する。
【0046】
[特別遊技媒体の循環機構の説明]
図3は、本実施形態における特別遊技媒体100の循環機構の概要を説明するための斜視部分透視図である。尚、構造が分かりやすいようにメダルを省略している。
【0047】
本実施形態のメダルゲーム装置1は、特別遊技媒体100の循環機構として、メダル落下口4に落下した特別遊技媒体100とメダルMとを仕分けし特別遊技媒体100のみを捕捉・回収するストレーナ60と、ストレーナ60で捕捉された特別遊技媒体100の通過を検出する特別遊技媒体通過センサ62と、捕捉された後の特別遊技媒体100を貯留するストック部64と、ストック部64に貯留されている特別遊技媒体100を特別遊技媒体投入部66に補充する補充部68とを備える。
【0048】
ストレーナ60は、メダル落下口4内の左右に張られた3本のロッドによって形成されている。ストレーナ60を前後の断面で見ると、3本のロッドは下向き三角形の各頂点に配置されており、両サイドのロッドとメダル落下口4との間隙及び両サイドのロッドと中央のロッドとの間隙は、メダルMが通過するのには十分であるが特別遊技媒体100が通過できない幅に設定されている。つまり、メダル落下口4にメダルMと特別遊技媒体100が落下すると、メダルMはストレーナ60をすり抜けて落下を続け、連通口61を抜けて通路34へ流下する。一方、特別遊技媒体100は、ストレーナ60が形成する下向き三角形の樋で捕捉されることとなる。
【0049】
そして、ストレーナ60は、正面から見ると特別遊技媒体100の静止限界角度θより大きい角度で右側下がりの傾斜を成している。捕捉された特別遊技媒体100はストレーナ60内を右方向に自然に転動し、固定テーブル6の右下内部に設けられたストック部64へ導かれる。
【0050】
ストック部64は、静止限界角度θより大きい角度で装置の後方に向かって傾斜する前後方向に長い箱状空間である。ストック部64内には、遊技前に固定テーブル6及びプッシャーテーブル8上に配置される特別遊技媒体100とは別に、所定数の特別遊技媒体100が貯留されている。ストック部64の傾斜下方側は、補充部68につながっており、貯留されている特別遊技媒体100が自然転動してストック部64内を下ることによって常に補充部68に特別遊技媒体100が供給される。
【0051】
また、ストック部64の傾斜上流部分には、ストレーナ60で捕捉されてストック部64に進入してくる特別遊技媒体100の検出する特別遊技媒体通過センサ62が設けられている。特別遊技媒体通過センサ62は、物体の通過を検出する手段であって、例えば投光素子と受光素子とを組み合わせ、遮光によって物体の通過を検出するセンサや、超音波の反射時間から距離を計測する距離センサなどによって実現できる。或いは、転動する特別遊技媒体100が通り抜けるときに一緒に揺動する揺動スイッチなどでも良い。そして、特別遊技媒体通過センサ62の検出信号は制御ユニット50に出力される。
本実施形態では特別遊技媒体通過センサ62による通過検出を条件にして、制御ユニット50が、メダル収容部12よりメダルが供給されるメダル払出装置39を作動させて、取得メダル払出口36からボーナスメダルを払い出させる(図1参照)。
【0052】
補充部68は、制御ユニット50によって動作が制御される補充部駆動モータ68aと、この補充部駆動モータ68aの駆動軸と連結された偏心カム68bと、上下方向に配置された直動器68cのスライダに固定されて偏心カム68bの回転に伴って上下方向に往復動される特別遊技媒体プッシャー68dと、特別遊技媒体プッシャー68dに押される特別遊技媒体100が逃げないように保持する落下防止片68eとを備えている。
【0053】
偏心カム68bが最小リフトの状態では、特別遊技媒体プッシャー68dの上面はストック部64の最下部の底面とほとんど同じ高さ又はそれ以下の位置にあり、ストック部64の傾斜によって自然転動した特別遊技媒体100が特別遊技媒体プッシャー68d上に導かれる。
【0054】
落下防止片68eは、特別遊技媒体プッシャー68dの左右の固定位置にそれぞれ設けられた弾性片であり、上端が特別遊技媒体プッシャー68dの側に向けて屈曲しており、特別遊技媒体プッシャー68dの上に導かれた特別遊技媒体100の左右の位置ズレを抑制することができる。つまり、偏心カム68bのリフトが増し、特別遊技媒体プッシャー68dが特別遊技媒体100を上面に乗せたまま直動器68cの設置方向(上下方向)に沿ってスライドして特別遊技媒体100を押し上げる際、特別遊技媒体100の押し上げに伴って落下防止片68eは各々外向きに押し広げられた格好となる。更に特別遊技媒体100が押し上げられて、落下防止片68eの先端が特別遊技媒体100の下面側に回ると、押し広げられていた先端が弾性によって元の姿勢に戻る。すると、左右双方の落下防止片68eの先端部が互いに向き合うようにして閉じた格好となり、押し上げられた特別遊技媒体100を下から支えて落下を防止するように機能する。尚、特別遊技媒体プッシャー68dは、偏心カム68bのリフトが減少すると自重によって下方に移動する。
【0055】
特別遊技媒体プッシャー68dの直上には、特別遊技媒体投入部66の円筒通路66aの下端が開口している。特別遊技媒体プッシャー68dによって押し上げられた特別遊技媒体100は、円筒通路66a内に挿入され、挿入された特別遊技媒体100は落下防止片68eによって落下が防止される。
【0056】
円筒通路66a内には、所定数の特別遊技媒体100しか収容されないので、特別遊技媒体プッシャー68dによって新たな特別遊技媒体100が下から挿入されると、既に収容さていた特別遊技媒体100が一つ上部開口端より外に押し出される。
【0057】
特別遊技媒体投入部66の上端、すなわち円筒通路66aの上端は、遊技空間GSのプッシャーテーブル8の横に突出している。その先端には、円筒通路66aの開口端から押し上げられた特別遊技媒体100をプッシャーテーブル8上に落下させるようにガイドする供給ガイド66bが設けられている。従って、円筒通路66aの上部開口端より外に押し出された特別遊技媒体100は、供給ガイド66bにガイドされながら転動・落下し、プッシャーテーブル8上に供給される。
【0058】
[ハードウェア構成の説明]
図4は、本実施形態のメダルゲーム装置1のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。メダルゲーム装置1は、CPU52と、RAM54と、ROM55と、I/Oインタフェース回路1004とが、バス回路1002を介して、データ送受自在に接続されている。そして、I/Oインタフェース回路1004を介して、初期配置数設定スイッチ56aと、配置上限数設定スイッチ56bと、配置下限数設定スイッチ56cと、液晶ディスプレイドライバ回路1080と、モータドライバ回路1082と、メダル払出ドライバ回路1084と、メダル射出装置ドライバ回路1086と、特別遊技媒体通過センサ62と、チャッカー40とが接続されている。
【0059】
本実施形態のRAM54は、ペイアウト率1016と、現在配置推測数1018と、その変化率を示す現在配置推測数変化率1020とを格納する。現在配置推測数1018及び現在配置推測数変化率1020は、固定テーブル6及びプッシャーテーブル8の上に配置されている特別遊技媒体100の個数管理を実現するためパラメータ値を格納する。勿論、その他カウンタやタイマー、フラグ、メダルの総払出数などのデータを適宜格納することができる。
【0060】
本実施形態のROM55は、CPU52に基本的な入出力機能と、メダルゲーム装置1の統合的な管理に関する諸機能を実現するための制御プログラム1062と、内部抽選にともなって液晶ディスプレイ44で表示される演出表示を定義する演出表示パターンデータ1064と、演出表示に使用される特別図柄データ1066とを格納する。
【0061】
I/Oインタフェース回路1004は、バス回路1002と各種入出力部との信号の中継をする回路である。例えば、接続される入出力部の規格に合わせた信号を生成する複数種類のI/OインタフェースICを含むとしても良い。
【0062】
演出表示パターンデータ1064は、公知のメダルゲーム装置と同様にして、内部抽選の各当選役及びハズレに対応してどのように特別図柄を用いて演出表示するかを定義する。また、内部抽選が実行されている時以外に表示される待機中演出に関する表示パターンデータも含まれる。CPU52は、内部抽選処理を実行して抽選結果を算出すると、その抽選結果に対応する演出表示パターンを演出表示パターンデータ1064から読み出し、液晶ディスプレイドライバ回路1080を介して液晶ディスプレイ44に読み出したパターンに従った演出表示をさせる。
尚、液晶ディスプレイ44は、有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイなどその他の形式の表示素子によって実現されても良い。その場合、液晶ディスプレイドライバ回路1080も、採用される表示素子に応じたドライバ回路となる。
【0063】
モータドライバ回路1082は、補充部駆動モータ68a(図3参照)を駆動させるための信号を生成する回路である。
メダル払出装置ドライバ回路1084は、CPU52からの払出制御に応じてメダル払出装置39に指定枚数のメダルを払出させるための制御信号を生成する回路である。
メダル射出装置ドライバ回路1086は、CPU52からの射出制御に応じてメダル射出装置16や特別メダル射出装置19に指定枚数のメダルを射出させるための制御信号を生成する回路である
【0064】
[動作の説明]
次に、本実施形態のメダルゲーム装置1の動作ついて説明する。尚、遊技開始前に、装置の管理者によって、固定テーブル8及びプッシャーテーブル8の上に配置される特別遊技媒体100の初期配置数、配置上限数並びに配置下限数が、デジタルスイッチ56によって設定されるものとする。また、両テーブルには、多数のメダルMと、初期配置数と同数の特別遊技媒体100とが配置されているものとする。
【0065】
図5〜図6は、本実施形態におけるメダルゲーム装置1の処理の流れについて説明するためのフローチャートである。
CPU52は、先ずプッシャーテーブル8の駆動を開始し(ステップS2)、液晶ディスプレイ44に所定の待機中演出を表示させる制御を開始する(ステップS4)。そして、現在配置推測数1018に初期配置数設定スイッチ56aで設定されている数を設定する(ステップS5)。
【0066】
次に、CPU52は、遊技者がメダル挿入口10へ入れたメダルを通過センサ14で検出すると(ステップS6のYES)、メダル射出装置16から新たなメダルを遊技空間GS内へ射出させ(ステップS8)、今回投入されたメダル数を元にペイアウト率1016を再計算して更新する(ステップS10)。
【0067】
また、メダル落下口4へ落下したメダルを通過センサ34で検出すると(ステップS12のYES)、検出されたのと同数のメダルをメダル払出装置39に払い出させるように制御し(ステップS14)、今回払い出されたメダル数を元にペイアウト率1016を再計算して更新する(ステップS16)。
【0068】
次に、CPU52は、特別遊技媒体通過センサ62でメダル落下口4に落下した特別遊技媒体100を検知したならば(ステップS18のYES)、後述するボーナスメダルの払出抽選に関する処理(図6のステップ150〜S156)の前に、特別遊技媒体100の個数管理に関する処理(図5のステップS20〜図6のステップS136)を実行する。
【0069】
具体的には、メダル落下口4に落下した特別遊技媒体100を検知したならば、CPU52は現在配置推測数1018を「1」減算する(ステップS20)。すなわち、特別遊技媒体100の回収数に基づいてフィールドである固定テーブル6及びプッシャーテーブル8上に存在する特別遊技媒体100の推測の顕在数を算出する。そして更に、現在配置推測数変化率1020を更新する(ステップS22)。現在配置推測数変化率1020は、所定基礎時間(例えば、1時間、15分、5分など適宜設定可能)当りの現在配置推測数1018の変化率として算出される。
【0070】
そして、CPU52はメダル払出装置39を制御して、特別遊技媒体100一個当り所定数のボーナスメダルを取得メダル払出口36から払い出させ(ステップS24)、今回払い出されたメダル数を元にペイアウト率1016を再計算して更新する(ステップS26)。
【0071】
次に、CPU52はチャッカー40へのメダル進入を検知すると(ステップS28のYES)、現在配置推測数変化率1020が所定の急速低下条件を満たすかを判定する(ステップS102)。急速低下条件は、固定テーブル6及びプッシャーテーブル8の上の特別遊技媒体100の数が、急激に低下したと判断する変化率である。例えば、想定される平均遊技時間当りに換算して、平均遊技時間内に固定テーブル6及びプッシャーテーブル8の上の特別遊技媒体100が配置下限数を下回るのに相当する変化率としても良い。又は、メダルの移動とともに特別遊技媒体100が移動することに着目すれば、ジャックポッドなど大量にメダルが払い出されたことを条件に含めるとしても良い。
【0072】
そして、もし急速低下条件を満たさないと判定した場合には(ステップS102のNO)、CPU52は、現在配置推測数1018に応じて定められた所定の抽選確率の割合設定に従って、特別遊技媒体100の投入当選役それぞれの抽選確率を算出する(ステップS104)。本実施形態における特別遊技媒体100の投入抽選は、投入当選役である「1個投入役」及び「3個投入役」と、ハズレとの3種から選定されるとする。「1個投入役」は、特別遊技媒体100の1個投入を実行する「当り」に相当する。「3個投入役」は、本実施形態における最大投入数の3個投入を実行する「当り」に相当する。勿論、抽選結果は、これらに限らず適宜種類を設定することができる。
【0073】
より具体的には、例えば図7に示すような抽選確率の割合設定を算出するための関数を予めプログラムに含めておくか、各抽選結果の当選確率を読み出すテーブルデータをROM55に予め記憶させておいて参照する。尚、図中のNdは「配置下限数」、Nuは「配置上限」に相当する。現在配置推測数Nnと、Nd,Nuとの比較において、Nd,Nuを含めて判定するか否か(以下/未満、以上/超)は何れでもよいことは勿論である。
【0074】
本実施形態の抽選確率の割合設定では、現在配置推測数(Nn)1018が、配置下限数Ndに近づくほど、特別遊技媒体100の投入実行の役に当選する確率が高まり、しかも一度により多くの投入が行われる当選役の当選確率が高くなるように設定されている。よって、固定テーブル6及びプッシャーテーブル8の上に配置される特別遊技媒体100は、配置されている個数が下限に近づくと、高確率でしかも出来るだけ多く特別遊技媒体100が投入され、すみやかに増加するように管理される。また、現在配置推測数(Nn)1018が、配置上限数Nuに近づくほど、特別遊技媒体100の投入実行の役に当選する確率が下がり、しかも当ったとしも一度に投入される数が少ない当選役の当選確率の比率が高くなるように設定されている。よって、配置されている特別遊技媒体100の個数が上限に近づくと、特別遊技媒体100は投入されにくくなり、特別遊技媒体100の配置数が一定の範囲となるように調整・管理される。
【0075】
フローチャートに戻って、当選確率が算出されたならば、CPU52は、次いで現在配置推測数変化率1020を用いて、算出された各抽選結果の抽選確率を補正する(ステップS106)。
具体的には、例えば図8に示すように、現在配置推測数変化率1020に対するハズレ抽選確率の補正量を所定の関数で算出する。図8においては、現在配置推測数変化率1020がプラス(すなわち増加)の場合には、変化率が大きいほどハズレ抽選確率を大きくプラスに補正し、マイナス(すなわち減少)の場合には、変化率が大きいほどハズレ抽選確率を大きくマイナスに補正する。そして、ステップS104で算出されたハズレの抽選確率を補正し、それに伴って他の投入当選役の抽選確率を変更する(例えば各当選役に均等配分して変更)。
【0076】
更に、CPU52は、現在のペイアウト率が希望ペイアウト率に近づくように、ステップS104で算出した当選確率を補正する(ステップS108)。
具体的には、現在のペイアウト率と希望するペイアウト率との比率に対するハズレ当選確率の補正量を、例えば図9に示すような関係を実現する所定の関数を用いて算出する。図9においては、ペイアウト率の比率が1.0より大きい場合(すなわち希望ペイアウト率を超えたペイアウト率となっている場合)には、プラス補正の上限に達するまで、その比率が大きいほどハズレ抽選確率を大きくプラスに補正する。一方、1.0より小さい場合(すなわち希望ペイアウト率に達していない場合)には、マイナス補正の下限に達するまで、その比率が小さいほどハズレ抽選確率を大きくマイナスに補正する。そして、ステップS106で補正されたハズレの抽選確率を更にもう一度補正し、それに伴って他の投入当選役の抽選確率を変更する(例えば各当選役に均等配分して変更)。尚、希望するペイアウト率は、公知のメダルゲーム装置と同様にして別途設定可能なものとする。
【0077】
これで、今回の特別遊技媒体100の投入抽選で適用される抽選確率が決定したことになるので、CPU52は特別遊技媒体100の投入抽選処理を実行する(ステップS112)。
そして、投入抽選処理で投入当選役に当選したならば(ステップS114のYES)、CPU52は、抽選結果に応じた演出表示を液晶ディスプレイ44で表示させ(ステップS130)、補充部駆動モータ68aを制御して投入当選役に応じた数の特別遊技媒体100を新たに遊技空間GS内へ投入させる(ステップS132)。次いで、現在配置推測数1018に今回投入させた特別遊技媒体100の個数を加算し(ステップS134)、更に現在配置推測数変化率1020を更新して(ステップS136)、ステップS6へ戻る。
これで、本実施形態における特別遊技媒体100の個数管理に関する処理を実行したことになる。
【0078】
一方、払出抽選処理でハズレの場合には(ステップS114のNO)、CPU52は、公知のメダルゲーム装置のそれと同様に、メダルの払出抽選処理を実行し(ステップS150)、抽選結果に応じた演出表示を液晶ディスプレイ44で表示させる(ステップS152)。液晶ディスプレイ44では、特別図柄が配列された仮想リールが左右に三つ並んだ3連スロットが回り始め、ステップS150で実行したメダルの払出抽選の抽選結果を示す特別図柄の組み合わせで停止する画像演出が表示される。
【0079】
そして、画像演出の終了とともに、CPU52は、メダル払出装置39を制御して取得メダル払出口36へ抽選結果に応じた数のメダルを払い出しさせ(ステップS154)、ペイアウト率1016を更新し(ステップS156)、ステップS6に戻る。
尚、メダル払出抽選の当選役に、適宜、所謂ジャックポットへの抽選権の獲得などを含ませることができる。その場合には、続くジャックポッド抽選処理と、その抽選結果に応じた演出表示とジャックポッドの払出処理を実行するものとする。
【0080】
以上、本実施形態によれば、固定テーブル6及びプッシャーテーブル8の上の特別遊技媒体100の個数を、管理者が初期配置設定スイッチ56aで設定した配置上限数から配置下限数の範囲となるように管理することができる。よって、特別遊技媒体100の数が少ないことに嫌気して新たな遊技者が遊技するのを控えてしまうと言った事態を回避できる。
【0081】
また、本実施形態の抽選確率の割合設定では、現在配置推測数(Nn)が、配置下限数Ndに近づくほど、特別遊技媒体の投入実行する当選役が選ばれる確率が高まり、しかも一度に多くの投入が行われる当選役の抽選確率が高くなるように設定されている。また、現在配置推測数(Nn)が、配置上限数Nuに近づくほど、特別遊技媒体の投入実行する当選役に当選する確率が下がり、しかも当ったとしも一度の投入数が少ない当選役の抽選確率の比率が多くなるように設定されている。
【0082】
更には、遊技の進行によって急速に特別遊技媒体100の配置数が減るような事態が起きた場合でも、一度に多くの投入が行われる当選役が当る確率を強制的に高めることで、急速に配置数を増加させることができる。
【0083】
また更には、特別遊技媒体100を払い出されるメダル数に換算してペイアウト率を求め、ペイアウト率を希望率に近づけるように特別遊技媒体100の投入を調整することもできる。
【0084】
尚、本実施形態の抽選確率の割合設定は、図6の例に限らず適宜設定できる。例えば、現在配置推測数Nnが配置下限数Nd以下になると「3個投入役」の当選確率を所定の上限確率(100%)に変動させる構成としているがこれに限らない。配置下限数Nd以下になると「1個投入役」の当選確率と「3個投入役」の当選確率合わせて上限確率(例えば、100%でなく90%とか)としても良い。また、その適用条件は、配置下限数Nd以下に限らず、配置下限数Nd未満でも当該下限数に近いところから適用するとしても良い。同様に、現在配置推測数Nnが配置上限数Nd以上になると、投入当選役「1個投入役」及び「3個投入役」の当選確率を所定の下限確率(0%)に変動させる構成としているが、配置上限数Nu超の場合に下限確率に変動させるとしても良い。また、加減確率は0%に限らず適宜設定できる。
【0085】
また、図1や図3に描かれているストック部64に描かれている特別遊技媒体100の数、並びに固定テーブル6の上に描かれている特別遊技媒体100の数は、一例であって実施形態がこれに限定されるものではなく適宜設定できるのは言うまでもない。
【0086】
〔第2実施形態〕
次に、本発明を適用した第2実施形態について説明する。本実施形態は基本的に第1実施形態と同様に実現されるが、固定テーブル6及びプッシャーテーブル8の上に配置された特別遊技媒体の個数管理の方法が異なる。尚、以下では第1実施形態との差異について主に述べることとし、第1実施形態と同様の構成要素については同じ符合を付与して説明は省略する。
【0087】
[装置の概要の説明]
先ず、本実施形態におけるハードウェアについて説明する。本実施形態のハードウェアは基本的に第1実施形態と同様に実現されるが、配置推測数の算出を行わないので、デジタルスイッチ56(図1参照)は省略されても良い。
【0088】
図10は、本実施形態における特別遊技媒体100の循環機構部分を側面から見た概略図である。本実施形態では、ストック部64に収容上限センサ63と収容下限センサ65とを備える。尚、ストック部64に描かれている特別遊技媒体100の数や、固定テーブル6の上に描かれている特別遊技媒体100の数は、一例であって実施形態がこれに限定されるものではなく適宜設定できるのは言うまでもない。
【0089】
収容上限センサ63と収容下限センサ65は、特別遊技媒体通過センサ62と同様に実現される。収容上限センサ63は、ストック部64に収容上限数の特別遊技媒体100が収容された場合にその最上流近傍の特別遊技媒体100を検知し、連続的に検知信号を制御ユニット50へ出力して、ストック部64が一杯であることを通知する。その反対に、収容下限センサ65は、ストック部64の最下流近傍に収容されている特別遊技媒体100を検知する。通常は、検知信号が常時制御ユニット50へ出力されているが、収容下限数の特別遊技媒体100しか収容されていない場合に検知信号が途切れて、ストック部64が空になりそうであることを通知する。
【0090】
[ハードウェア構成の説明]
図11は、本実施形態におけるメダルゲーム装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。本実施形態のハードウェア構成は、基本的に第1実施形態と同様に実現されるが、RAM54に、投入予定フラグ1022と、テーブル選択フラグ1024と、連続抽選回数1026とを格納する。
【0091】
投入予定フラグ1022は、特別遊技媒体100の投入抽選を実行するかしないかを指定するフラグである。本実施形態では「0」が実行しない、「1」が実行するものとする。
テーブル選択フラグ1024は、特別遊技媒体100の投入抽選においてROM55に記憶された第1当選確率テーブル1070を参照するか、第2当選確率テーブル1072を参照するかを指定するフラグである。本実施形態では「0」が前者、「1」が後者を参照指定するものとする。
【0092】
第1当選確率テーブル1070及び第2当選確率テーブル1072は、特別遊技媒体100の投入抽選において投入当選役、つまりは「当り」が選択される確率を定義する。
具体的には、第1当選確率テーブル1070は、図12に示すように、適用条件1070aと、抽選条件1070bに対応づけられた当選確率1070cを格納する。また、第2当選確率テーブル1072は、図13に示すように、適用条件1072aと、抽選条件1072bに対応づけられた当選確率1072cを格納する。適用条件1070a,1072aにはテーブル選択フラグ1024の何れかを示す数値が設定され、抽選条件1070b,1072bには連続抽選回数1026に関する条件が設定される。
【0093】
連続抽選回数1026は、特別遊技媒体100の投入が行われなかった特別遊技媒体100の投入抽選の連続回数を格納する。初期値は「0」であるが、特別遊技媒体100の投入抽選が実行されるが抽選結果が「ハズレ」となり投入が行われなかった場合に「1」加算される。反対に、特別遊技媒体100の払出抽選で抽選結果が「当り」となり投入が行われると「0」に初期化される。
【0094】
尚、本実施形態では、現在配置推測数1018と現在配置推測変化率1020は用いないのでRAM54には記憶されない。また、初期配置数設定スイッチ56a、配置上限数設定スイッチ56b、配置下限設定スイッチ56cも省略される。
【0095】
[動作の説明]
次に、本実施形態の動作について説明する。
尚、遊技開始前に、メダルゲーム装置1の管理者によって、固定テーブル6及びプッシャーテーブル8の上に第1実施形態の初期配置数と同数の特別遊技媒体100と、多数のメダルMとが配置されているものとする。また、ストック部64には、収容上限センサ63で検出されるに至る収容数と、収容下限センサ65で検知オフになる収容数との中間の数の特別遊技媒体100が収容されているものとする。
【0096】
図14〜図15は、本実施形態におけるメダルゲーム装置1の処理の流れについて説明するためのフローチャートである。
本実施形態のフローチャートは、基本的には第1実施形態と同様に実現されるが、CPU52は、プッシャーテーブル8の駆動開始(ステップS2)に次いで、連続抽選回数1026を「0」に初期化する(ステップS3)。
【0097】
また、本実施形態では、現在配置推測数1018と現在配置推測変化率1020は用いないので、第1実施形態のステップS5、S20、S22は省略されている。
【0098】
さて、本実施形態ではチャッカー40へのメダル進入が検知されると(ステップS28のYES)、CPU52は収容下限センサ65の検知信号がオフになっているかを判定する(ステップS40)。オフになっていれば(ステップS40のYES)、固定テーブル6及びプッシャーテーブル8の上に遊技前に配置された数よりかなり多くの特別遊技媒体100が配置されていると判断して、投入予定フラグ1022を「0」に設定する(ステップS42)。
【0099】
反対に、収容下限センサ65の検知信号がオンであれば(ステップS40のNO)、CPU52は、更に収容上限センサ63の検知信号がオンになっているかを判定する(ステップS44)。
そして、収容上限センサ63の検知信号がオンの場合には(ステップS44のYES)、固定テーブル6及びプッシャーテーブル8の上には遊技前に配置された数よりかなり少ない数の特別遊技媒体100しか配置されていないと判断して、投入予定フラグ1022を「1」に設定し(ステップS46)、テーブル選択フラグ1024を「1」に設定する(ステップS47)。収容上限センサ63の検知信号がオフならば(ステップS44のNO)、テーブル選択フラグ1024を「0」に設定する(ステップS48)。
【0100】
次に、CPU52は投入予定フラグ1022を参照し、当該フラグが「1」ならば(ステップS50の「1」)、テーブル選択フラグ1024で指定された第1当選確率テーブル1070又は第2当選確率テーブル1072から、連続抽選回数1026に応じた当選確率を読み出す(ステップS52)。
【0101】
そして、読み出した当選確率を、現在のペイアウト率1016が希望のペイアウト率に近づくように補正する(ステップS54)。具体的には、例えば、現在のペイアウト率1016と希望するペイアウト率との比率に対する当選確率の補正量を、図16に示すような関係を実現する所定の関数を用いて算出する。図16においては、ペイアウト率の比率が1.0より大きい場合(すなわち希望ペイアウト率を超えたペイアウト率となっている場合)には、マイナス補正の下限に達するまで、その比率が大きいほど当選確率を大きくマイナスに補正する。一方、1.0より小さい場合(すなわち希望ペイアウト率に達していない場合)には、プラス補正の上限に達するまで、その比率が小さいほど当選確率を大きくプラスに補正する。そして、ステップS52で読み出された当選確率を変更する。
【0102】
これで今回適用される当選確率が決定したことになるので、CPU52は次に補正された当選確率で特別遊技媒体100の投入抽選処理を実行する(ステップS56)。
【0103】
投入抽選で当選すると(ステップS114のYES)、CPU52は抽選結果に応じて演出表示を液晶ディスプレイ44に表示させる(ステップS130)。そして、今回の特別遊技媒体100の投入数を、乱数を用いて所定の範囲(例えば、1〜4個)で決定し(ステップS138)、補充部駆動モータ68aを駆動制御して、決定された数だけ特別遊技媒体100を投入する(ステップS140)。次いで、連続抽選回数1026を「0」に初期化して(ステップS142)、ステップS6に戻る。
【0104】
一方、特別遊技媒体100の投入抽選でハズレた場合には(ステップS114のNO)、CPU52は、連続抽選回数1026を「1」加算する(ステップS148)。そして、第1実施形態と同様にメダル払出抽選処理を実行し(ステップS150)、それにともなう演出表示の処理(ステップS152)、メダルの払出処理(ステップS154)、ペイアウト率の更新を行って(ステップS156)、ステップS6に戻る。
【0105】
〔変形例〕
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の形態がこれらに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない限りに於いて適宜構成要素の追加・省略・変更を行うことができる。
【0106】
例えば、上記実施形態では、特別遊技媒体100の投入抽選とメダルの払出抽選とを別の処理として構成したが、特別遊技媒体100の投入抽選の「当り」すなわち投入当選役をメダル払出抽選の当選役の一つとする構成でも良い。そして、第1実施形態の構成を採る場合には、抽選確率の割合設定(図7参照)を、メダル払出抽選の当選役も含めて設定すると良い。
【0107】
また、上記実施形態では特別遊技媒体100の投入抽選の開始条件として、メダルMがチャッカー40を通過したことを条件として用いているがこれに限らない。例えば、特別遊技媒体100が所定位置を通過したことを条件としても良い。具体的には、ステップS28(図5参照)にて、特別遊技媒体通過センサ62(図3参照)での通過検知を条件として追加すれば良い。
【0108】
また、特別な特典の付与を抽選する所謂ジャックポット機能を備える場合には、ジャックポットゲームの抽選結果を条件としても良い。
具体的には、処理フロー内に、メダル挿入口10の通過センサ14での通過検知の間隔を計時するステップと、当該計時ステップで計時された間隔が所定時間(例えば、4分)になったかを判定するステップと、当該判定ステップで肯定の場合に、遊技者が入れ替わったと判定するステップを設ける。その上で、一の遊技者がプレイする間の特別遊技媒体通過センサ62での通過検知回数をカウントするステップと、当該カウントが所定数(例えば5回)に達したかを判定するステップと、当該判定ステップで肯定の場合に当選役の一つとして「特別遊技媒体100の投入抽選」を含むジャックポット抽選を実行するステップを設けると良い。
【符号の説明】
【0109】
4 メダル落下口
6 固定テーブル
8 プッシャーテーブル
10 メダル挿入口
39 メダル払出装置
40 チャッカー
50 制御ユニット
54 RAM
55 ROM
56 デジタルスイッチ
56a 初期配置数設定スイッチ
56b 配置上限数設定スイッチ
56c 配置下限数設定スイッチ
60 ストレーナ
62 特別遊技媒体通過センサ
64 ストック部
68 補充部
68a 補充部駆動モータ
66 特別遊技媒体投入部
100 特別遊技媒体
1016 ペイアウト率
1018 現在配置推測数
1020 現時配置推測数変化率
1060 制御プログラム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレーヤのメダル投入操作によってフィールド上にメダルを投入し、プッシャー部の運動によって押し動かされる前記フィールド上のメダル及び特別遊技媒体をメダル投入口に落下させて楽しむメダルゲーム装置であって、
前記メダル落下口に落下した前記特別遊技媒体を回収する回収部と、
前記回収部により回収された特別遊技媒体を貯留する貯留部と、
前記特別遊技媒体を前記フィールドへ投入する投入当選役を少なくとも当選役として有する所定の抽選処理を行う抽選処理部と、
前記抽選処理によって前記投入当選役に当選した場合に、前記貯留部に貯留されている特別遊技媒体を前記フィールドへ投入する投入部と、
前記フィールド上に存在する特別遊技媒体の顕在数及び/又は顕在数の程度を推測する推測部と、
前記推測部の推測結果を用いて、前記抽選処理における前記投入当選役の当選確率を変動させる確率変動部と、
を備えたメダルゲーム装置。
【請求項2】
前記確率変動部は、前記推測部の推測結果が所定の下限顕在数条件を満たす場合に、前記投入当選役の当選確率を所定の上限確率に変動させる、
請求項1に記載のメダルゲーム装置。
【請求項3】
前記確率変動部は、前記推測部の推測結果が所定の上限顕在数条件を満たす場合に、前記投入当選役の当選確率を所定の下限確率に変動させる、
請求項1又は2に記載のメダルゲーム装置。
【請求項4】
前記推測部は、前記投入部による投入数と前記回収部による回収数とを用いて前記フィールド上に存在する特別遊技媒体の顕在数を推測する、
請求項1〜3の何れか一項に記載のメダルゲーム装置。
【請求項5】
前記確率変動部は、前記顕在数が所定の下限値に近づくにつれて、前記投入当選役の当選確率を徐々に上限確率に近づけるように変動させる、
請求項4に記載のメダルゲーム装置。
【請求項6】
少なくとも前記下限値を設定する変動条件設定部を更に備えた請求項5に記載のメダルゲーム装置。
【請求項7】
前記貯留部での貯留の程度を判定するための貯留程度検出部を更に備え、
前記推測部は、前記貯留程度検出部の検出結果を用いて前記フィールド上に存在する特別遊技媒体の顕在数の程度を推測する、
請求項1〜3の何れか一項に記載のメダルゲーム装置。
【請求項8】
前記抽選処理部は、前記特別遊技媒体の投入数が異なる複数の投入当選役を有する抽選処理を行い、
前記確率変動部は、
前記顕在数の変化傾向を判定する変化傾向判定手段と、
前記変化傾向を用いて、前記投入当選役それぞれの当選確率を変動させる投入数別確率変動手段と、
を有する、
請求項1〜7の何れか一項に記載のメダルゲーム装置。
【請求項9】
前記変化傾向判定手段は、前記顕在数の変化が所定の急速低下傾向条件を満たした場合に、急速低下傾向にあることを判定し、
前記投入数別確率変動手段は、前記急速低下傾向にあると判定された場合に、所定の最大投入数の投入当選役の当選確率を上昇させる、
請求項8に記載のメダルゲーム装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−206443(P2011−206443A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−79542(P2010−79542)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(000134855)株式会社バンダイナムコゲームス (1,157)