説明

メダルゲーム装置

【課題】新たなチャッカー機構を実現すること。
【解決手段】チャッカー機構部100として、複数の横長のスリット104を外周に設けた円筒形のドラム106を、横向きにしてプッシャーテーブル10の上に配置する。スリット104を抜けたメダルは、ドラム106内に設置されたサブスライダ118と中央スライダ116に入って回収され、チャッカー機構部100の全部から外部に排出される。排出されたメダルは、一旦鹿威し構造のメダル一時貯留部に堆積し、所定量たまると堆積したメダルの重量でプッシャーテーブル10上に自動的に払い出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メダルを遊技媒体として使用するメダルゲーム装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ゲームセンターやショッピングセンターに設置される業務用のゲーム装置として、メダルなどを遊技媒体としたいわゆる「メダルゲーム装置」が人気である。メダルゲーム装置として、特定の条件を満たした場合に特別な抽選を行うための抽選装置を備えているものがある(例えば、特許文献1参照)。この抽選装置で入賞すると特別な景品が払い出されたり、ボーナスとなる遊技媒体が遊技空間に追加されるといった特典が与えられるように制御され、ゲームの興趣を高める大きな役割を果たしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−66101号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そして、メダルゲーム装置に搭載される抽選装置で抽選を実行するために満たすべき条件の一つに、メダルが「チャッカー」と呼ばれる所定箇所に入る又は到達することが含まれるのが一般的である。この「チャッカー」は、遊技者にとってみれば抽選をするために乗り越えるべき最初の関門であり、つねに注目の的となる。それ故、チャッカーの構成は勿論、遊技空間へのメダル投入から投入されたメダルがチャッカーに至るまでの過程は、そのゲーム装置の個性を構成する重要な要素であって、ゲームの興趣を高めるとともに遊技者獲得のための重要なアピール手段と言える。勿論、抽選処理を行わずに、「チャッカー」の検知によって所定枚数のボーナスメダルの払い出しや遊技空間への放出が行われる場合も同様である。
【0005】
本発明は、新たなチャッカー機構を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するための第1の形態は、メダル投入装置(例えば、図1のメダル投入装置200)と、
前記メダル投入装置から放出されたメダルがフィールド(例えば、図1のプッシャーテーブル10、固定テーブル12、メダル落下口14)へ到達するまでの移動経路途中に位置し、横向きのメダルが通過可能な横長の開口部(例えば、図4のスリット104)を複数有する障壁部(例えば、図4のチャッカー機構部100、ドラム106)と、
前記障壁部を少なくとも縦方向に動かす駆動部(例えば、図4のチャッカー機構部100、モータ108)と、
前記開口部を通過したメダルを検知する検知部(例えば、図7の進入メダル検知センサ120)と、
前記開口部を通過したメダルを前記フィールドへ排出する排出部(例えば、図7のサブスライダ118、中央スライダ116)と、を備えたメダルゲーム装置である。
【0007】
第1の形態によれば、メダル投入装置から放出されたメダルを、面が上下方向または遊技者から見て前後方向を向く「横向き」姿勢で障壁部の開口部を通過させる構成となる。そして、開口部を通過したメダルを検知することができる。つまり、チャッカーとして機能する。この構成では、メダルが外周を接地面として転動しながら障壁部を通過する構成に比べて、遊技者の視界におけるメダルの存在感がより大きくなり、チャッカーを含む遊技空間へのメダル投入から、投入されたメダルがチャッカーに至るまでの過程での注目度を高める事ができる。
【0008】
加えて、障壁部を通過したメダルをフィールドへ排出することができる。チャッカーに入ったメダルはちょっとした特別なメダルである。チャッカーに入ったメダルがゲーム装置内に回収されてしまう構成では、上手くチャッカーにメダルを入れた達成感を感じても一抹の損をした感覚がぬぐえなかった。しかし、チャッカーに入ったメダルをフィールドに戻してあげることで、そうしたネガティブな感覚を無くし、逆に遊技者の達成感を高めることができる。
【0009】
第2の形態は、前記障壁部が、横向きの筒形状を有し、前記開口部を通過したメダルを回収する回収部を前記障壁部の内部空間に配置して備え、前記駆動部は、前記障壁部を回転駆動させ、前記排出部は、前記回収部により回収されたメダルを前記フィールドへ排出する、第1の形態のメダルゲーム装置である。
【0010】
第2の形態によれば、第1の形態と同様の効果を奏するとともに、回収部を障壁部内に設けることができ、チャッカー機構をコンパクトにできる。
【0011】
第3の形態は、前記排出部が、前記回収部により回収されたメダルを所定数貯留する毎に前記フィールドへ排出するバネ機構(例えば、図7のメダル一時貯留部130)を有する第1又は第2の形態のメダルゲーム装置である。
【0012】
第3の形態によれば、回収されたメダルを一旦貯留して纏めて排出することで、フィールドへのメダルの戻しにイベント性をもたせるとともに、チャッカーへメダルを入れる更なる動機付けを持たせることができる。
【0013】
尚、障壁部の構成は、円筒形に限るものでは無く、第4の形態として、前記障壁部が板形状(例えば、図12の障壁板300)を有し、前記駆動部が前記障壁部を上下に周期運動させる第1の形態のメダルゲーム装置を構成することができる。
【0014】
第5の形態は、前記障壁部が、前記横長の開口部を、横方向の配置位置を徐々にずらしつつ縦方向に複数配して有する第1〜第4の何れかの形態のメダルゲーム装置である。
【0015】
第5の形態によれば、開口部の配置に複雑性を持たせる事で、開口部にメダルを入れる遊技性を高めることができる。
【0016】
第6の形態は、前記駆動部による前記障壁部の駆動速度を制御する制御部(例えば、図1の制御基板50、図11の処理部180、障壁駆動制御部182)を更に備えた第1〜第5の何れかの形態のメダルゲーム装置である。
【0017】
第6の形態によれば、障壁部の移動態様に多様性を持たせることができるので、見た目の変化をつけ興趣を高められるとともに、開口部にメダルを入れる遊技性を高めることができる。
【0018】
第7の形態は、前記メダル投入装置が、
メダルを縦姿勢で挿入するためのメダル挿入口(例えば、図2のメダル挿入部210)と、
前記メダル挿入口に挿入されたメダルを自然落下により転動させつつ、縦姿勢から横臥姿勢に姿勢変化させるガイド部(例えば、図2のガイドレール部206、ねじれ板212、クリアパイプ214)とを有し、
前記ガイド部により横臥姿勢とされたメダルを前記障壁部に向けて放出する第1〜第6の何れかの形態のメダルゲーム装置である。
【0019】
第7の形態によれば、第1〜第6の形態の何れかと同様の効果を奏するとともに、メダルを縦姿勢で挿入する慣れ親しんだ操作でありながら、投入されるメダルの姿勢を縦から横に変化させることができる。よって、縦に入れたはずのメダルが横向きになって出てくることによる視覚的な変化をもたらし、遊技空間へのメダル投入から投入されたメダルがチャッカーに至るまでの過程における注目度を高める事ができる。
【0020】
第8の形態は、前記メダル投入装置のメダル放出口と前記障壁部との間に設けられ、前記メダル投入装置から放出されたメダルを横臥姿勢のまま滑走させて前記障壁部へ導くメダル滑走部(例えば、図4の滑走板30,32)を更に備えた第7の形態のメダルゲーム装置である。
【0021】
第8の形態によれば、第7の形態と同様の効果を奏するとともに、メダル投入装置から障壁部の開口部に至るまでメダルを横向きの姿勢で見せることができるので、メダル投入からチャッカー到達までの全過程での注目度を高めることができる。
【0022】
第9の形態は、前記メダル滑走部が、段差を設けた複数の滑走面を有し、前記複数の滑走面の間隙をメダルが滑落する大きさまで拡縮する間隙可変部(例えば、図4のプッシャーテーブル10、ステー34)を更に備えた第8の形態のメダルゲーム装置である。
【0023】
第9の形態によれば、第8の形態と同様の効果を奏するとともに、メダル投入装置から障壁部の開口部までの過程にメダルが滑落する間隙を生じさせる一種の障害域を設け、注目度を高めるとともにゲーム性をより高める事ができる。
【0024】
第10の形態は、固定テーブル上をメダル落下口に向けて進退動されるプッシャーテーブルを更に備え、前記間隙可変部は、前記複数の滑走面のうちの一の滑走面を、前記プッシャーテーブルに連結する連結部(例えば、図4のステー34)を有する、第9の形態のメダルゲーム装置である。
【0025】
第10の形態によれば、第9の形態と同様の効果を奏するとともに、間隙可動部としてプッシャーテーブルの運動を利用することができるので、別途駆動機構を設ける必要がない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】メダルゲーム装置の構成例を説明する斜視正面図。
【図2】メダル投入装置の構成例を示す斜視図。
【図3】図2とは左右反対側から見たメダル投入装置の前端部分のみを拡大して示す部分斜視図。
【図4】メダル投入装置からチャッカー機構部周りを部分的に示す斜視図。
【図5】メダル投入装置からチャッカー機構部周りを部分的の縦断面図。
【図6】チャッカー機構部の構成例を示す後方から見た斜視図(一部図示省略)。
【図7】チャッカー機構部の構成例を示す図であって、左右のほぼ中央を通る縦断面における縦断面図。
【図8】メダル投入装置からチャッカー機構部周りを部分的の縦断面図。
【図9】固定テーブル及びメダル落下口周りの部分縦断面図。
【図10】エッジリフターの構成例を示す斜視図。
【図11】メダルゲーム装置機能構成例を説明するための機能ブロック図。
【図12】チャッカー機構部の変形例を示す部分的の縦断面図。
【図13】ドラムの変形例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
〔第1実施形態〕
本発明を適用した第1の実施形態として、メダルを主たる遊技媒体として使用するいわゆる「メダルゲーム装置」について説明する。
【0028】
図1は、本実施形態におけるメダルゲーム装置2の構成例を説明する斜視正面図である。メダルゲーム装置2は、境界ガラス4により装置の上部に遊技空間が画成され、境界ガラス4を境にして装置手前側(図のパース前側)に操作テーブル6が延設されている。尚、図中では境界ガラス4及びそのフレーム部分は透明として描画している。
【0029】
操作テーブル6付近には2台のメダル投入装置200が備えられており、2人同時に遊技を楽しめるように構成されている。メダル投入装置200は、境界ガラス4の貫通部を支点にして左右に首振り自在に枢支された傾斜ガイドレール内にメダルを挿入して、メダルを遊技空間内へ投入(或いは放出ともいう。)する装置である。「メダルシュータ」と呼ぶこともできる。
【0030】
遊技空間の奥側上部には、各種演出画像を表示するためのフラットパネルディスプレイ8が設置されている。本実施形態における特別な抽選は、制御基板50の演算処理により実現される内部抽選により実現され、フラットパネルディスプレイ8には抽選に伴う特別な演出画面が表示される。
【0031】
特別な抽選を実行するためにメダルを入れるべきチャッカー機構部100は、フラットパネルディスプレイ8の下方に設けられている。更にその下方には、遊技空間の奥側から手前に向けて、プッシャーテーブル10と、固定テーブル12と、メダル落下口14とが順に配置されている。
【0032】
プッシャーテーブル10は、チャッカー機構部100の下端開口部から装置手前側(本実施形態では遊技者側)へ延出する略水平なテーブルであって、公知のメダルゲーム装置におけるプッシャーテーブルと同様に固定テーブル12の上面を滑るようにして前後へ周期的に往復動する。プッシャーテーブル10は、固定テーブル12より一段高くなっており、その前端部(遊技者側の端部)と固定テーブル12の上面との隙間は、主たる遊技媒体であるメダル3がプッシャーテーブル10の下に潜り込まない程度に狭く設定されている。また、その左右はプッシャーテーブル10より更に一段高い壁部16によって挟まれている。
【0033】
固定テーブル12は、装置奥側から手前方向に拡幅する略水平なテーブルである。装置奥側にプッシャーテーブル10が連なり、手前側にメダル落下口14が連なる。左右はプッシャーテーブル10と同様に一段高い壁部16によって囲まれているが、壁部16の一部にはメダル回収口18が開口している。
【0034】
メダル落下口14は、固定テーブル12から落下したメダルを集める横長の漏斗形状を有している。メダル落下口14に落下したメダルは、メダル回収通路20を通って、装置下部に内蔵されたメダル貯留部22へ流下する。メダル回収通路20には、流下するメダルの通過を個別に検知できる落下メダル検知センサ24が設置されている。
【0035】
通常、メダルゲーム装置2は、管理者によって予めプッシャーテーブル10及び固定テーブル12の上に多数のメダル3が載置された状態にされている。遊技者はメダル投入装置200で新たなメダルを遊技空間内へ投入して遊ぶ。
【0036】
本実施形態では、メダル投入装置200の排出口前方には、メダルを自重で滑走させることのできる滑走板30、32が設けられている。滑走板30,32はチャッカー機構部100へ向けて傾斜しており、メダル投入装置200で投入されたメダルは、チャッカー機構部100に向けて滑走する。
【0037】
滑走したメダルが運良くチャッカー機構部100へ入れば、入ったメダルが検知され特別な抽選が実行される。もし、滑走したメダルがチャッカー機構部100へ入らなければ、そのメダルはプッシャーテーブル10の上に落ちて載る。
【0038】
プッシャーテーブル10が装置奥方向へ移動すると、その上面に載っているメダルは当初プッシャーテーブル10とともに装置奥方向へ移動する。しかし、プッシャーテーブル10が装置内へ潜り込んでその突出面積が減るにつれ、上面に載置されていたメダル3は当該下端開口部の縁に当たって移動が規制される。するとそれらのメダルは相対的にプッシャーテーブル10の前側に向かって玉突き状に押され、一部が固定テーブル12の上面に落下する。
【0039】
プッシャーテーブル10が装置手前方向へ移動すると、フラットパネルディスプレイ8の下端開口部から突出し、装置奥方向へ移動した際に固定テーブル12に落下したメダルを今度はその前端面でメダル落下口14方向へ押す。
【0040】
固定テーブル12に載置されていたメダルは、プッシャーテーブル10によって押されることで玉突き状にメダル落下口14方向へ移動する。
プッシャーテーブル10によって押され移動したメダルが、メダル回収口18へ入ると図示されない回収通路でメダル貯留部22へ流下し回収される。押されて移動したメダルが上手くメダル落下口14から落ちれば、落下メダル検知センサ24がメダルの通過を検知して制御基板50へ落下検知信号を出力する。
【0041】
制御基板50は、CPU(Central Processing Unit)52やGPU(Graphics Processing Unit)などの各種マイクロプロセッサ、ICメモリ54、装置内の各種センサからの信号入出力を制御するI/OコントローラICなどを備え、メダルゲーム装置2の動作を統合的に制御する。
【0042】
制御基板50は、落下メダル検知センサ24から落下検知信号を受信すると、装置下部に内蔵されているメダル払出装置44を制御して、落下メダル検知センサ24で検知したのと同数のメダルを、メダル貯留部22から操作テーブル6の下方に開口するメダル払出口46へ搬送させ払い出させる。
【0043】
一方、チャッカー機構部100は、メダルの進入を検知する進入メダル検知センサ120(図6又は図7参照)を内蔵しており、滑走板30,32を滑走して運良くメダルが進入すると、当該センサが進入検知信号を制御基板50へ出力する。
【0044】
制御基板50は、チャッカー機構部100から進入検知信号を受信すると、特別な抽選として、CPU52の演算による内部抽選処理を実行するとともに、抽選過程と抽選結果を示す演出表示をフラットパネルディスプレイ8に表示させる制御を行う。演出表示としては、例えば複数の図柄がロール状に配置された仮想リールを横3列に表示し、抽選開始とともに3つのリールをそれぞれ回転させ、一定時間経過後に内部抽選結果を示す図柄で停止するように表示させる。
【0045】
特別な抽選によりハズレ以外の賞に当選すると、制御基板50は、メダル払出装置44を制御して、当選した賞の種類に応じたメダルをメダル払出口46へ払い出させる。尚、当選した賞の種類に応じて払い出されるメダルは、公知のメダルゲーム装置と同様に、別のメダル払出装置からプッシャーテーブル10や固定テーブル12の上へ払い出される構成としても良い。
【0046】
[メダル投入装置の説明]
次に、本実施形態におけるメダル投入装置200の詳細な構成について説明する。
図2は、メダル投入装置200の構成例を示す斜視図である。図3は、図2とは左右反対側から見た同装置の前端部分のみを拡大して示す部分斜視図である。
【0047】
メダル投入装置200は、境界ガラス4を挟持する一対の固定プレート202と、一方の固定プレートに備えられた揺動軸204で枢支されたガイドレール部206とを備える。ガイドレール部206は、境界ガラス4を貫通し、揺動軸204により左右に揺動自在で、且つ前方(図2の左下側、図1の設置状態では装置奥側)が下向きを維持する姿勢で枢支されている。
【0048】
ガイドレール部206の後端部、すなわち境界ガラス4の外側部分には、操作ハンドル208が設けられている。操作ハンドル208は、遊技者がメダル投入装置200の向きを操作するために把持する部位である。その側面には、メダルを縦姿勢(メダルの面の法線を横向きにする姿勢)でガイドレール部206へ挿入するメダル挿入部210が設けられている。遊技者は、従来のメダルゲーム装置のメダル投入装置で慣れ親しんだ操作そのままにメダルを挿入することができる。
【0049】
そして、ガイドレール部206の前端に隣接して、投入されるメダルの姿勢を変更する手段として、ねじれ板212と、クリアパイプ214とが設置されている。
ねじれ板212は、メダルの直径より少し大きい幅を有し、直径の5〜10倍程度の長さを有する透明樹脂又は透明ガラス製の長方形の板である。ねじれ板212は、長手方向軸正面から見ると前端の短辺と後端の短辺が90°ねじれ位置となるように滑らかにねじられた形状を有し、一端がガイドレール部206の前端側部にビス216で固定されている。
【0050】
クリアパイプ214は、透明樹脂又は透明ガラス製の円筒材であって、ねじれ板212の外周を覆い、内周にねじれ板212を固定する。
そして、ねじれ板212及びクリアパイプ214の表面は、ガイドレール部206を転動してきたメダルの勢いが減殺されない程度に十分滑らかに形成されているか、テフロン(登録商標)樹脂などによる低摩擦面を形成する表面処理が施されている。また、両者ともに、メダルの接触により容易に線条痕が生じない程度の硬度を有する。
【0051】
ガイドレール部206に挿入されたメダルは、縦姿勢で転動してその前端から飛び出す。ガイドレール部206から飛び出したメダルは、即座にねじれ板212に接触してそのねじれた面に寄り掛かる。そして、寄り掛かりながらも外周をクリアパイプ214に内接しながら転動する。やがて、ねじれ板212のねじれにより徐々にメダルの姿勢が縦姿勢から横臥姿勢(メダルの面を遊技者から見えやすい方向、この場合は面の法線方向を上下に向けた横向き姿勢)に変更され、メダル投入装置200の放出口付近では、メダルはねじれ板212を床面として滑走するようになる。その間、クリアパイプ214はメダル3の逸出を防止しつつ、メダル3の姿勢が変化していく様子を外から観察できる窓として機能する。そして、横向きに滑走するメダルは、ガイドレール部206を出た勢いをほぼそのままにメダル投入装置200から放出されることとなる。
【0052】
尚、ねじれ板212の幅やクリアパイプ214の内径などは、メダルの仕様に応じて適宜設定されるものとする。ねじれ板212やクリアパイプ214の全長も、前述の「メダルの直径の5〜10倍程度」に限定されるものではなく適宜設定することができる。また、メダル挿入部210に挿入されたメダルは、メダル投入装置200を通過する間に一対のメダル投入検知センサ207a,207bによって検知される。メダル投入検知センサ207a,207bは物体の通過を光の通過/遮断で検知する光電センサや、距離センサ、金属センサ、揺動式スイッチなどで実現される。
【0053】
[滑走板の説明]
図4は、メダル投入装置200の放出口付近及びチャッカー機構部100周りを部分的に示す斜視図である。また、図5は同縦断面図である。
メダル投入装置200の放出口すなわちクリアパイプ214の装置奥側端は、チャッカー機構部100へ向けられており、放出口からチャッカー機構部100への間には、放出されたメダルが滑走する面を形成する滑走板30,32が設けられている。
【0054】
滑走板30,32は、共に透明樹脂又は透明ガラス製の板材であって、メダル投入装置200から放出されたメダルの勢いが減殺されない程度に十分滑らかに形成されているか、テフロン(登録商標)樹脂などによる低摩擦面を形成する表面処理が施されている。また、両者ともに、メダルの接触により容易に線条痕が生じない程度の硬度を有する。
【0055】
また、滑走板30.32上を滑走する際の抵抗をより低減させるために、滑走板30,32の上面に並行な溝を形成することとしてもよい。溝の方向を装置の奥/手前方向とすることで、メダル投入装置200から放出されたメダルをチャッカー機構部100方向に向けて滑らかに滑走させることができる。溝間の凸部を三角形状にすることでメダルとの接触面積をより減少させ、抵抗を一層低減させることができる。
【0056】
チャッカー機構部100寄りに配置された滑走板32は、チャッカー機構部100との間(厳密には、後述するチャッカー機構部100のドラム106との間)にメダルがすり抜けて落ちるのに十分な隙間33を残し、且つメダル投入装置200から排出されたメダルがその勢いがあまり減殺されずに滑走しチャッカー機構部100に到達できる程度にチャッカー機構部100側を下向きに傾斜して固定されている(図5参照)。
【0057】
相対的にチャッカー機構部100から離れた側に配置される滑走板30は、プッシャーテーブル10の前端部から上方へ延設されたステー34によって滑走板32よりも高く、且つメダル投入装置200の放出口よりは低い位置に支持されている。また、滑走板30は、メダル投入装置200から排出されたメダルが勢いをあまり減殺されずに滑走して滑走板32に到達できる程度にチャッカー機構部100側を下向きに傾斜している。
【0058】
滑走板30は、プッシャーテーブル10と連結されることにより、当該テーブルの往復動に伴って装置手前側から奥側へまたその逆向きへと往復動することとなる。そして、滑走板30が最も装置奥方向へ移動した位置では、その奥側端が滑走板32の装置手前側端の上方へ少しだけオーバラップする。一方、滑走板30が最も装置手前方向へ移動した位置では、滑走板30,32の間にメダルが滑落するのに十分な隙間35が生じるように設定されている(図5参照)。
【0059】
滑走板30が滑走板32へ接近する適当なタイミングでメダル投入装置200からメダルが放出されれば、図5にてメダル3(3a)〜3(3c)の順に示すように、滑走板30及び滑走板32の上面を順に滑走・流下してチャッカー機構部100へ到達する。
【0060】
しかし、滑走板30が滑走板32から離れるタイミングでメダル投入装置200からメダルが放出されれば、メダル3(3m)〜3(3n)の順に示すように、滑走板30と滑走板32との隙間35から固定テーブル12へ滑落することとなる。
【0061】
[チャッカー機構部の説明]
次に、チャッカー機構部100の構成について詳細に説明する。
図4に示すように、チャッカー機構部100は、フレーム102内に、外周に複数のスリット104が設けられた中空円筒体であるドラム106を横倒しに設置し、制御基板50により駆動制御されるモータ108で回転させる。回転方向は、正面から見てスリット104が上から下に流れる方向である。なお、回転方向は逆方向でもよい。
【0062】
滑走板32の装置後端部から滑落したメダルがチャッカー機構部100のドラム106のスリット104を通過すると、特別な抽選の起動条件の一つを満たすとみなされる。本実施形態では、1台のメダルゲーム装置2で二人の遊技者が同時に楽しめる構成なので、ドラム106は左右それぞれ一つずつ設けられている(106R,106L)
【0063】
スリット104は、縦幅(図で言う所の短辺幅)がメダル3の厚みより十分大きく、滑走板32の装置奥側端から滑落するメダルが通過できるように設定されている。勿論、ドラム106の回転速度も通過に要する時間でメダルが振り落とされたり弾かれたりしないように考慮した速度となっている。
また、スリット104の横幅(図で言うところの長辺幅)は滑走板32の横幅よりも狭く設定されている。どれだけ狭くするかがチャッカー進入の難易度を決める一つの要素となる。そして、複数のスリット104がドラム106の周方向に配列されている。
【0064】
図6は、チャッカー機構部100の構成例を示す後方から見た斜視図であって、ドラム106の内部を示すためにフレーム102の後部と、ドラム106の後部を図示省略している。
【0065】
図4及び図6に示すように、一つのドラム106は、プッシャーテーブル10の横幅の1/2より少し短い全長を有し、共有の回転軸110に対してフランジ112を介して固定されている。回転軸110は、フレーム102の左右側部に固定された軸受114により略水平で、且つ装置の左右方向に沿うように支持されている。ドラム106の直径は、後述するメダルの回収構造が収容できる程度に十分な大きさを有する。
尚、ドラム106のフランジ112に固定されない側は、フレーム102より吊り下げられた吊下げローラ115を内接させて支持されている。
【0066】
図7は、チャッカー機構部100の構成例を示す図であって、左右のほぼ中央を通る縦断面における縦断面図である。
図6及び図7に示すように、ドラム106の内部には、ドラム内に進入したメダルを回収するための構造として、左右のドラム106に挟まれた左右中間に設けられた樋状の傾斜路である中央スライダ116と、この中央スライダ116の側部から左右の各ドラム106R,106Lの内側へ延設された樋状の傾斜路であるサブスライダ118とを備える。また、チャッカー機構部100へ進入したメダルを検知する手段として、進入メダル検知センサ120が設けられている。
【0067】
中央スライダ116は、装置前方(図7で言うところの左側)に向けてメダル3が自重でその表面を滑走できる程度の傾斜角をもって設定されており、その下流端は二つのドラム106R,106Lの間にあるフレーム102を貫通し、回収したメダルをチャッカー機構部100の外部へ導く。
【0068】
サブスライダ118は、この中央スライダ116の左右側部から左右のドラム106R,106Lの装置前側に沿って、メダル3が自重でその表面を滑走できる程度の傾斜角を保って延設されている。
【0069】
進入メダル検知センサ120は、中央スライダ116に設置されており、中央スライダ116へ進入したメダル3又は流下するメダル3を検知し、進入検知信号を制御基板50へ出力する。進入メダル検知センサ120は、落下メダル検知センサ24と同様に、投光素子と受光素子とを配置して投光素子からの光が通過するメダル3で反射された反射光を受光素子で検知することにより通過を検知するセンサなどにより実現される。
【0070】
尚、本実施形態では、遊技者が協力プレイするのを前提としているので、メダル回収構造を一つにして、進入メダル検知センサ120も共用としているが、特別な抽選を遊技者個別に実施する構成とする場合には、左右のドラム106R,106Lそれぞれにメダル回収構造(進入メダル検知センサ120を含む)を設けると良い。
【0071】
図5に示すように、滑走板32のチャッカー機構部100寄りの端部からメダル3(3c)が滑落しようとするタイミングで、スリット104が滑落運動方向に有ると、メダル3はドラム106内へ進入する(図中のメダル3(3d))。進入したメダル3(3d)は、図7のメダル3(3e)→3(3f)で示すように、サブスライダ118で受けられて流下し、中央スライダ116へ集められ、進入メダル検知センサ120により検知される。そして、中央スライダ116を流下して、チャッカー機構部100の外へ排出される。
【0072】
もし、滑走板32からメダル3が滑落しようとするタイミングで、スリット104が滑落運動方向に無ければ、図8のメダル3(3a→3b→3h→3j→3k)で示すように、当該メダルはドラム106の外周面(隣接するスリット104間のメダルが通らない部分)に当たってはじかれ隙間33を滑落してプッシャーテーブル10上へ載る。
【0073】
[チャッカーを通過したメダルの一時貯留構造について]
さて、図7に示すように、中央スライダ116を流下してチャッカー機構部100の外へ排出されるメダル3(3f)は、フレーム102の前端下部よりプッシャーテーブル10の上方に延設されたメダル一時貯留部130へ排出される。
【0074】
メダル一時貯留部130は、チャッカー機構部100から離れた側の錘132と、揺動軸136を挟んでチャッカー機構部100寄りに延出するプレート部134とで、「片方に錘が固定されたシーソー」を形成している。
【0075】
プレート部134は、メダル3を複数枚載せる事のできる広さを持っているが、プレート部134にメダル3が全く載っていない状態、つまり自重のみではプレート部134側が下がることはない。つまり、ある量のメダルが載るまでは錘132によりプレート部134は跳ね上がるように付勢される。但し、本実施形態では、ストッパー(図示省略;例えば揺動軸136を支持する構造体に突設された突起など)にプレート部134の上部又は錘132の下部が当たって回転が制限されることで、図7に示すように略水平位置を保つようになっている。
【0076】
中央スライダ116からメダル3が排出されるとプレート部134に次々に載る。そして、載ったメダル3が所定枚数に達すると、プレート部134は、図中一点鎖線で示すように載ったメダル3の重量に負けて下がる。すると、プレート部134に載っていたメダル3はプッシャーテーブル10上に滑落する。載っていたメダルが滑落すると再びプレート部134は、錘132の重量によって跳ね上がり、元の位置に戻る。
つまり、メダル一時貯留部130は、水の代わりにメダルを一時的に保持・貯留する「鹿威し」として機能する。換言すれば、ドラム106内で回収されたメダルを所定数貯留する毎に、貯留姿勢からゲームフィールドへ排出する排出姿勢に変化し、排出後に貯留姿勢に復元する自動復元機構と言える(復元性に着眼すればバネ機構とも言える)。勿論、錘132の代わりに、錘側を引き下げるバネを設ける構成に置き換えることも可能である。
【0077】
[エッジ調整構造について]
次に、本実施形態のメダルゲーム装置2が備える固定テーブル12のエッジ調整構造について説明する。
通常、固定テーブル12の前端部には、固定テーブル12に対してある傾斜角をもってメダル落下口14上に突出する突出部品が別途固定される。この傾斜角を備えた部分を「エッジ」と呼ぶ。固定テーブル12上のメダル3がプッシャーテーブル10により押されて移動してくると、エッジの傾斜角によって、エッジを登る抵抗が生じ、後から来たメダルが先にいたメダルの上に乗り上げて堆積をする。そして、ある程度堆積すると、エッジの先からまとめて崩れるようにしてメダル落下口14へ落下する。
【0078】
もし、エッジがなければ、プッシャーテーブル10の前進の都度、メダル3が一つ二つメダル落下口14へこぼれおちる程度の落下である。しかし、エッジの効果で「メダルがある程度まとまって落ちる」ことでメダルの獲得感を高め遊技を盛り上げることができる。そして、エッジによるメダルの堆積の程度はメダルのペイアウト率に影響する。したがって、メダルゲーム装置2の管理者にとってみれば、運営状況に応じてエッジの角度を調整できるのが望ましい。また、その時には簡単な操作で調整できるのが望ましい。
【0079】
本実施形態におけるメダルゲーム装置2は、そうした運営上の要望に応える為にエッジの調整機構を内蔵している。
図9は、固定テーブル12及びメダル落下口14周りの部分縦断面図である。本実施形態におけるメダルゲーム装置2は、装置本体フレーム60の上面に固定テーブル12の上面を形成する薄板62がビス止めされている。この薄板62は、板厚に対して交差方向に押されると弾性変形して湾曲することのできる薄い板材であって、例えばステンレスなどの金属の薄板や、弾性にすぐれた樹脂板などからなる。そして、この薄板62の装置前端部(図9における左端部)が、メダル落下口14上に僅かに突出しており、本実施形態のメダルゲーム装置2のエッジ64となる。
【0080】
一方、装置本体フレーム60の内部には、エッジ64の傾斜角度調整機構として、エッジ64の下面を下から押し上げる揺動自在なエッジリフター70と、エッジリフター70の揺動角度を調整するための調整ボルト66とを内蔵する。
【0081】
図10は、エッジリフター70の構成例を示す斜視図である。
図9及び図10に示すように、エッジリフター70は、エッジ64の横幅より狭い長さのロッド72の両端から直角方向に揺動アーム74が延設され、揺動アーム74の中ほどの軸孔76で、メダル落下口14の長辺と略平行な揺動軸78により装置本体フレーム60に枢支される。
【0082】
エッジリフター70のロッド72及び揺動アーム74のロッド72との連結側は、メダル落下口14の装置奥側の側壁部に設けた開口部68からメダル落下口14へ向けて突出し、ロッド72がエッジ64の下面に当接する。
【0083】
一方、揺動アーム74の軸孔76より装置奥側は装置本体フレーム60内にあって、その先端に上から調整ボルト66の先が当接する。調整ボルト66は、薄板62より下位置で装置本体フレーム60に螺合しており、薄板62に設けられた調整窓63から調整工具(例えば、六角レンチ)などを差込んで回転させることができる。
【0084】
調整ボルト66をねじ込むと、エッジリフター70は揺動軸78でロッド72が持ち上がるようにして揺動する。結果、薄板62の先端が下から押し上げられる恰好となる。その結果、この先端部が付け根部分(より詳しくは、メダル落下口14の装置奥側の上端部付近)から湾曲し傾斜角を有したエッジ64として機能する。
当然、調整ボルト66のねじ込み量を加減することにより、ロッド72の持ち上がり量が変化し、つまりはエッジ64の傾斜角度を自在に加減することができる。
【0085】
尚、エッジ64の角度を調整する機構は、この例に限らず適宜変更することができる。
例えば、メダル落下口14の装置奥側の側壁部に突設片を設け、この突設片に調整ボルト66を下から先端を上向きにして螺合する。そして、調整ボルト66の先端で直接エッジ64の下面に当接させる構成としても良い。
また、エッジ64の下方に当たるメダル落下口14の装置奥側の側壁部に棚を突設し、厚みの異なるスペーサを複数種類予め用意しておいて、この棚とエッジ64との間に所望する傾斜角度を成し得るスペーサを嵌め込む構成としても良い。
或いは、エッジ64の下方にあたるメダル落下口14の装置奥側の側壁部に、装置奥行き方向に沿ったガイド溝を上面に備えた棚を突設し、ガイド溝に沿ってスペーサを前後させることでエッジ64とスペーサの接触位置を変えることでエッジ64の高さを変える構成としても良い。その他、適宜公知のリフト機構(例えば、カム機構、エレベータなど)を用いることもできる。
【0086】
[機能構成の説明]
次に、本実施形態におけるメダルゲーム装置2を機能構成の観点から説明する。
図11は、本実施形態におけるメダルゲーム装置2の機能構成例を説明するための機能ブロックである。メダルゲーム装置2は、メダル落下検知部172と、チャッカー進入検知部174と、処理部180と、障壁駆動部190と、画像表示部192と、メダル払出部194と、記憶部196とを備える。
【0087】
メダル落下検知部172は、メダル落下口14に落下したメダルを検知する。例えば、物体の通過を検知する光電センサ、金属センサ、揺動スイッチなどで実現され、処理部180に落下検知信号を出力する。図1のメダル回収通路20の途中に設けられた落下メダル検知センサ24がこれに該当する。
【0088】
チャッカー進入検知部174は、抽選を実行する条件が満たされた事を検知する。本実施形態ではチャッカー機構部100に備えられた進入メダル検知センサ120(図7参照)がこれに該当し、メダル落下検知部172と同様のハードウェアにより実現される。勿論、メダルが載ると揺動してスイッチが入る「鹿威し構造」や、載ったメダルの重量を検知する荷重センサなどで実現するとしても良い。
【0089】
処理部180は、記憶部196に予め記憶されている制御プログラム198を読み出して演算処理を実行することにより各種制御機能を実現し、メダルゲーム装置2の動作を統合的に制御する。図1の制御基板50がこれに該当する。尚、演算処理によるソフト制御に限らず、一部をASICなどのハードウェアで実現したハード制御としても良いのは勿論である。
そして、本実施形態における処理部180は、障壁駆動制御部182と、内部抽選処理部184と、抽選演出制御部186と、メダル払出制御部188とを備える。
【0090】
障壁駆動制御部182は、障壁駆動部190へ駆動制御信号を出力して、障壁であるドラム106の回転方向や回転速度を制御する。障壁駆動部190には、図4のモータ108が該当する。そして、本実施形態では、障壁駆動制御部182は、ドラム106が遊技者から見て縦方向に回転、より具体的にはスリット104が上から下に向けて移動する方向へドラム106を回転させる。なお、逆方向に回転させることとしてもよい。回転速度は、固定と可変とを所定時間毎に切換制御する。回転速度を可変とする場合には、増速と減速を周期的又はランダムなタイミングで切換制御する。
【0091】
内部抽選処理部184は、チャッカー進入検知部174から進入検知信号を受信したことを開始条件として、演算処理により入賞種類(当たり、外れを含む)毎に所定の出現確率となるように抽選処理を行う。本実施形態ではこれが特別な抽選となるが、特別な抽選を2次抽選とし、その2次抽選を実行するか否かの抽選権を獲得するための1次抽選を行う構成としても良い。尚、演算処理による抽選は、公知のランダム抽選演算と同様に実現される。例えば、予め入賞種類毎に数値範囲を設定しておいて、乱数を一つ発生させ、発生した乱数値が何れの数値範囲に含まれるかを判定することで抽選結果を決定する。
【0092】
抽選演出制御部186は、抽選が行われるのに伴って遊技を盛り上げる各種演出を実行する為の制御をする。本実施形態では、画像生成部187で抽選毎にCG(Computer Graphics)を生成し、生成したCGを画像表示部192に表示させる演出を行う。本実施形態ではフラットパネルディスプレイ8が画像表示部192に該当する(図1参照)。尚、演出の形態は画像表示に限らず、適宜スピーカからの効果音の放音や、電飾の明滅制御、立体モデル(例えば、キャラクタフィギアなど)を駆動させるカラクリなどを含むとしても良い。
【0093】
メダル払出制御部188は、メダルを遊技者へ払い出す為の制御を実行する。例えば、メダル落下検知部172から落下検知信号を受信すると、メダル払出部194に落下検知したメダルと同数のメダルを払い出させる。また、内部抽選によってメダルの払い出しを特典とする当たり賞に当選した場合には、各賞に予め設定されている所定数のメダルを払い出させる。
【0094】
メダル払出部194には、図1のメダル払出装置44が該当する。メダル払出部194としては、内部抽選の抽選結果に応じた払出用に、複数のメダルを樹脂カプセルに入れてカプセル単位で払い出す専用装置を追加するとしても良い。
【0095】
記憶部196は、処理部180が各機能を演算処理等で実現するための制御プログラム198や初期設定データを予め記憶するとともに、当該処理部の演算処理に必要なデータ(例えば、ドラム106を回転制御するための回転方向を示すフラグ、回転数を算出するための変数、回転数など)を一時的に記憶する領域として機能する。本実施形態では、図1の制御基板50に搭載されたICメモリ、ハードディスクなどによって実現される。
【0096】
以上、本実施形態によれば、チャッカー機構部100に入ろうとするメダルは、メダルの面が遊技者に見えやすい横向き姿勢となる。横向き姿勢であるため、縦向き(縦回転)のメダルよりも遙かに目に付き、注目度を高めるのに役立つ。
【0097】
また、チャッカー機構部100に入ったメダルは、ゲームフィールドに戻される。チャッカーに入ったメダルが装置内に回収されてしまう構成のように、メダルが取り上げられてしまって損した気分になるような事はない。
【0098】
また、チャッカー機構部100に入ったメダルをゲームフィールドに戻す際、一枚一枚単に戻すのでは無く、一旦メダルを貯留させ複数枚まとめて戻すように構成することで、もっとチャッカーにメダルを入れようという意欲を湧かせることができるし、戻されるときには一枚一枚戻るよりも喜びが大きくなるので、ゲーム(遊技)を盛り上げることができる。
【0099】
また、遊技空間へのメダルの投入は、縦にメダルを入れたはずなのに横になって出てくる(投入される)構成は意外性を生み出す。そして、横になったメダルがそのまま滑走してチャッカー機構部100に向かうように構成したことで、メダルが縦に転がってチャッカーに向かう構成よりもメダルを目立たせ、最も遊技者が注目するメダル投入からチャッカー到達までの過程への注目度を高め、ゲーム(遊技)を盛り上げることができる。
【0100】
また、更には横向きのメダルが滑走する面を可動とし、タイミングによってはチャッカー機構部100まで到達できないような仕組みを設けることで、よりゲーム性を高めることができる。
また、固定テーブル12のエッジ64の傾斜角度を容易に調整できるので、エッジ64付近でのメダル3の堆積の程度も適宜調整してゲームの盛り上がりをゲーム装置の管理者が容易にコントロールできるようになる。
【0101】
〔変形例〕
以上、本発明を適用した実施形態について説明したが、本発明の適用形態はこれに限定されるものではなく、適宜構成要素の変更・追加・省略を施すことができる。
【0102】
[チャッカー機構部に関する変形例]
例えば、上記実施形態では、チャッカー機構部100へのメダル3の進入障壁としてスリット104が設けられた横倒し状態のドラム106を用いる構成としたが、これに限らない。具体的には、進入障壁の構造をスリット104によるメダル通過可能部分と通過不能部分とで構成したが、メダル3が通過可能な網目の粗さの網で構成しても良い。
【0103】
また、ドラム106は横向きに限らず、円筒軸が上向きとなるように立位で配置するとともに、スリット104を円周方向の横長とし、ドラムを立位のまま回転させる構成としても良い。
【0104】
また、進入障壁の形状を円筒体以外とすることもできる。具体的には、例えば図12に示すように、ドラム106に代えて、複数のスリット104が設けられた板材である障壁板300を用いる。障壁板300は、チャッカー機構部100のフレーム102に設けたガイド302により上下移動可能に支持されている。そして、障壁板300を制御基板50により回転駆動されるモータ304に接続されたカム機構306で上下動させると良い。
【0105】
スリット104についても、その大きさや配置は上記実施形態に限らない。具体的には図13のドラム106Bのように、スリット104の縦幅を複数種類(図中のW1,W2)設け、その横幅も複数種類設けるとしても良い。一つのドラム106に設けられるスリット104の群れは一つに限らず、例えば複数の配列としても良いのは勿論である。
また、ドラム106の回転に伴って、手前側に来るスリット104の位置が徐々に横方向に変化するように各スリット104の位置(縦方向の配列位置)を位置決めしてもよい。また、ドラム106の回転に伴って、手前側に来るスリット104の横幅が徐々に変化するように各スリット104の横幅を設定してもよい。図12の障壁板300とする場合も同様である。
【0106】
また、チャッカー機構部100は、上記実施形態のようなメダル投入装置200により遊技空間の奥行き方向へメダルを投入するタイプのメダルゲーム装置2に用いる場合に限らず、例えば遊技空間の上方からメダルを落下させて投入するタイプのメダルゲーム装置に用いることもできる。この場合、メダルの落下姿勢は面を遊技者に向けた横向きとするのが好適であり、その場合メダルの向きにスリット104の設定方向を沿わせるものとする。
【0107】
[メダル投入装置に関する変形例]
また、メダル投入装置200については、ガイドレール部206の先端に、メダル3の姿勢を変更する手段としてねじれ板212とクリアパイプ214からなる別部品を装着する構成としたが、これに限らない。
【0108】
例えば、ねじれ板212のねじれ角度を90°より浅くするとともにクリアパイプ214の中ほどまでの長さとする一方、クリアパイプ214の出口形状をメダルが横向きに通過できる横長楕円とし、ねじれ板212の切れたところから出口に向けて徐々に断面形状を変形させる構成としても良い。つまり、ガイドレール部206を出てから出口までメダル3を終始ねじれ板212により掛からせるのではなく、ねじれ板212を、メダルに対して横向きとなるための回転力を付与する手段として用いる。そして、その後のクリアパイプ214の変形部分で軌道や姿勢を横向き姿勢に調整するのである。
【0109】
また、ねじれ板212とクリアパイプ214に代えて、平行配置された2枚のねじれ板212をU字形又はコの字形に連結した部品を用いるとしても良い。更には、ガイドレール部206の先端部分をねじれ板212と同様にねじることでねじれ板212及びクリアパイプ214を省略することもできる。
【符号の説明】
【0110】
2 メダルゲーム装置
10 プシャーテーブル
12 固定テーブル
13 調整窓
14 メダル落下口
30、32 滑走板
33 間隙
34 ステー
50 制御基板
62 薄板
64 エッジ
66 調整ボルト
70 エッジリフター
72 ロッド
74 揺動アーム
100 チャッカー機構部
104 スリット
106 ドラム
108 モータ
116 中央スライダ
118 サブスライダ
120 進入メダル検知センサ
200 メダル投入装置
206 ガイドレール部
212 ねじれ板
214 クリアパイプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メダル投入装置と、
前記メダル投入装置から放出されたメダルがフィールドへ到達するまでの移動経路途中に位置し、横向きのメダルが通過可能な横長の開口部を複数有する障壁部と、
前記障壁部を少なくとも縦方向に動かす駆動部と、
前記開口部を通過したメダルを検知する検知部と、
前記開口部を通過したメダルを前記フィールドへ排出する排出部と、
を備えたメダルゲーム装置。
【請求項2】
前記障壁部は、横向きの筒形状を有し、
前記開口部を通過したメダルを回収する回収部を前記障壁部の内部空間に配置して備え、
前記駆動部は、前記障壁部を回転駆動させ、
前記排出部は、前記回収部により回収されたメダルを前記フィールドへ排出する、
請求項1に記載のメダルゲーム装置。
【請求項3】
前記排出部は、前記回収部により回収されたメダルを所定数貯留する毎に前記フィールドへ排出するバネ機構を有する、
請求項1又は2に記載のメダルゲーム装置。
【請求項4】
前記障壁部は、板形状を有し、
前記駆動部は、前記障壁部を上下に周期運動させる、
請求項1に記載のメダルゲーム装置。
【請求項5】
前記障壁部は、前記横長の開口部を、横方向の配置位置を徐々にずらしつつ縦方向に複数配して有する、
請求項1〜4の何れか一項に記載のメダルゲーム装置。
【請求項6】
前記駆動部による前記障壁部の駆動速度を制御する制御部を更に備えた請求項1〜5の何れか一項に記載のメダルゲーム装置。
【請求項7】
前記メダル投入装置は、
メダルを縦姿勢で挿入するためのメダル挿入口と、
前記メダル挿入口に挿入されたメダルを自然落下により転動させつつ、縦姿勢から横臥姿勢に姿勢変化させるガイド部と、
を有し、前記ガイド部により横臥姿勢とされたメダルを前記障壁部に向けて放出する、
請求項1〜6の何れか一項に記載のメダルゲーム装置。
【請求項8】
前記メダル投入装置のメダル放出口と前記障壁部との間に設けられ、前記メダル投入装置から放出されたメダルを横臥姿勢のまま滑走させて前記障壁部へ導くメダル滑走部を更に備えた請求項7に記載のメダルゲーム装置。
【請求項9】
前記メダル滑走部は、段差を設けた複数の滑走面を有し、
前記複数の滑走面の間隙をメダルが滑落する大きさまで拡縮する間隙可変部を更に備えた請求項8に記載のメダルゲーム装置。
【請求項10】
固定テーブル上をメダル落下口に向けて進退動されるプッシャーテーブルを更に備え、
前記間隙可変部は、前記複数の滑走面のうちの一の滑走面を、前記プッシャーテーブルに連結する連結部を有する、
請求項9に記載のメダルゲーム装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−34900(P2012−34900A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−178707(P2010−178707)
【出願日】平成22年8月9日(2010.8.9)
【出願人】(000134855)株式会社バンダイナムコゲームス (1,157)