説明

メダル送出装置の送出メダル検知ユニット

【課題】メダルのサイズやレール長さなどが相違変化するも、そのメダルを正確に検知するための調整作業を容易化する。
【解決手段】メダルエレベーターの出口部へ継ぎ足し状態に連通接続されるレール部U1と、そのレール部U1のメダル通路からメダルを上方へ撥ね飛ばす投出部U2と、その投出部U2から投出されたメダルを検知する検知部U3とから成り、上記レール部U1におけるメダル通路の開口幅をメダルのサイズに応じて広狭調整でき、上記投出部U2の設置高さをメダルエレベーターからのレール長さやメダルの枚数などに応じて昇降調整できるように定めた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はメダルを使用する遊技機や両替機、メダル貸出し機などの各種本機に内蔵設置されるエレベーター式又はリフト式メダル送出装置の出口部となる送出メダル検知ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
この種エレベーター式メダル送出装置の出口部をなす送出メダル検知ユニットが、特開2006−350537号公報にコイン投出装置の投出検出ユニット(10)として記載されている。
【0003】
これは、第1、2ベース板(20)(22)と第1、2ガイド板(24)(26)とから成るレール部(12)のほか、コイン(メダル)の当接によって通路外方向へ揺動するベアリング(当接部)(40)も具備している点で、本発明に最も近似した構成の公知発明であると考えられる。
【特許文献1】特開2006−350537号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記公知発明の投出検出ユニット(10)ではあくまでもメダルの切れ目を位置検出し、カウントするものとして、センサー(フォトインタラプタ)(42)と、その開閉用センサードグ(46B)並びにベアリング(当接部)(40)を備えた揺動レバー(カウントレバー)(46)とが、共通のセンサーベース部(44)へ一緒に取り付けられており、そのメダルの当接部(ベアリング)(40)が即ちメダルの検出部であることを前提としている。
【0005】
そのため、段落〔0037〕の記載からも窮知できるように、使用されるメダルのサイズやメダル投出装置本体(100)からのレール長さ、レールに送り込まれるメダルの枚数、カウントパルスの長短などが相違変化した場合に、検出部(14)をセンサーベース部(44)の長穴(44B)に沿って移動させ、そのメダルの検出位置をメダルの切れ目(最先位置)に合わせることができるとしても、遊技機や両替機などの各種本機を使用に供している店舗(遊技ホール)において、その微調整の作業を頻繁に且つ精密に行なわなければならず、甚だ煩らわしく面倒であり、さもないとメダルのカウント不良を招来することになる。
【0006】
又、上記公知発明のメダルを投げ出す大きいR形状の案内面は、長尺な第2ガイド板(26)の先端部に一体形成されているため、メダルを投げ出す方向が図7(F)の矢印で示す右方向に限定されるのであり、左方向へ投げ出す仕様変更を容易に行なえない結果、未だ製造コストが高く、不便でもある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明はこのような課題の改良を目的としており、その目的を達成するために、請求項1では前・後レール板と、その相互間に介在する左右方向への移動可能な左右両サイドスペーサーと、その長短差がある左右何れか片サイドスペーサーの上端側を延長する如く配置される別個なほぼ円弧状のメダル変向誘導片とから、メダルエレベーターの出口部と連通したメダル通路を区成するレール部と、
【0008】
上記レール部の短かい片サイドスペーサーに取り付け一体化された左右方向への移動可能なユニットベースと、そのユニットベースへ昇降自在に締結されたレバー受け台と、そのレバー受け台へ下端部が枢着された揺動レバーと、その揺動レバーの中途部に軸支されたベアリングと、そのベアリングを上記メダル通路の内側へ常時引き寄せ付勢すべく、揺動レバーの上端部と上記レバー受け台の上端部との左右相互間に連繋掛架されたリターンバネとから成り、上記揺動レバーのベアリングによって上方へ撥ね飛ばしたメダルを、上記メダル変向誘導片に沿って右方向又は左方向へ投出する投出部と、
【0009】
上記レール部をなす前・後レール板の長手中心線上に固定設置されたメダル検知センサーが、上記投出部によって投出される過程のメダルを検知する検知部とを備えたことを特徴とする。
【0010】
又、請求項2ではレール部をなす前・後レール板のセンター頂片へ、センサーホルダーを挟み付け状態に締結して、そのセンサーホルダーへ透過型又は反射型のメダル検知センサーを取り付ける一方、
【0011】
上記前・後レール板とそのセンター頂片へほぼ円弧状のメダル変向誘導片を着脱自在に取り付けて、
【0012】
そのメダル変向誘導片の付け替えによって、メダルの投出方向を右方向と左方向との何れに設定するも、そのメダルを上記メダル検知センサーによって検知できるように定めたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の構成によれば、送出メダル検知ユニットの検知部をなすメダル検知センサーは、投出部のレバー受け台やユニットベースに取り付けられておらず、そのレバー受け台に枢着された揺動レバーのベアリングから分離独立している。
【0014】
そして、投出部のベアリングによって一旦上方へ撥ね飛ばし投出される過程のメダルを、そのメダル検知センサーにより検知(カウント)するようになっているため、冒頭に述べたようなメダルの当接部(ベアリング)が即ちメダルの検出部であることを前提とする公知発明と異なって、メダル送出装置におけるメダル送出シュート及びメダルエレベーターからのレール長さや、そのレールに送り込まれるメダルの枚数、送出メダル検知ユニットの設置高さなどが千変万化した場合に、上記ベアリングをメダル検知センサーからの制約なく、メダルの水平中心線から少しでも上側の退避位置へ臨むこととなるように調整して、そのメダルを未だベアリングにより投出しない待機状態に保てば足り、その調整作業に微細さや厳密さを要求されない効果がある。
【0015】
特に、請求項2の構成を採用するならば、レール部の前・後レール板とそのセンター頂片へ、1枚のメダル変向誘導片だけを付け替えることにより、メダルの投出方向を右方向と左方向に切り替えることができ、その何れの方向へ切り替えた場合でも、常時センター頂片上に取り付いている同じメダル検知センサーによって、そのメダルを正確に検知し得る効果があり、汎用性と利便性に優れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面に基いて本発明の具体的構成を詳述すると、図1〜9はその本発明に係るエレベーター式又はリフト式メダル送出装置の概略全体を示しており、(F)は一定角度(α)(例えば約30度)の前上がり傾斜天板(1)を有する金属製の据付け台であって、その傾斜天板(1)のフラットな表面にはメダル収容用のホッパータンク(2)が着脱自在に取り付けられている一方、同じく傾斜天板(1)の裏面には穴明き回転ディスク用駆動モーター(3)が固定設置されている。
【0017】
その駆動モーター(3)の出力軸(4)は上記傾斜天板(1)を貫通しており、これに表側から嵌め付け一体化されたメダル送出用穴明き回転ディスク(D)が、上記ホッパータンク(2)の円形な開口底面に臨むこととなる。
【0018】
穴明き回転ディスク(D)は放射対称配置型に開口分布する複数のメダル取り込み穴(5)と、そのメダル取り込み穴(5)の隣り合う相互間から裏向きに突出する複数の円弧弯曲羽根(6)とを備え、そのメダル取り込み穴(5)へ取り込んだメダル(C)を円弧弯曲羽根(6)によって、図3の矢印(A)で示す方向へ押し進め、上記据付け台(F)の傾斜天板(1)から連続的な前上がりの円弧状に張り出すメダル送出シュート(S)へ送り出す。
【0019】
(7)はそのメダル送出シュート(S)の入口部へメダル(C)を誘導するメダル変向誘導ピン、(8)(9)は同じくメダル送出ガイドローラーとセパレートローラーとの左右一対であり、メダル送出シュート(S)の入口部を挟む位置関係に臨んでいる。
【0020】
上記メダル送出シュート(S)は図3〜5に併せて示すように、据付け台(F)の傾斜天板(1)へ延長状態に突き合わされた前レール板(10)と、その傾斜天板(1)と前レール板(10)との双方へ左右一対づつの固定ビス(11)(12)を介して取り付けられた左右両サイドスペーサー(13)と、その両サイドスペーサー(13)へ別個な固定ビス(14)を介して、施蓋状態に取り付けられた後レール板(15)とから成り、その組み立て内部に断面ほぼ長方形のメダル通路(P1)を区成している。
【0021】
その場合、両サイドスペーサー(13)には上記固定ビス(11)(12)(14)と対応するビス逃し入れ用バカ孔(16)(17)(18)が、左右方向(水平方向)への細長い楕円形として開口形成されており、これによってメダル通路(P1)の開口幅(W1)をメダル(C)のサイズ(直径)に応じて、広く又は狭く調整できるようになっている。尚、両サイドスペーサー(13)の板厚を調整することによって、そのメダル(C)の厚み変化に対応させることも可能である。
【0022】
又、(E)は上記メダル送出シュート(S)の上端部(出口部)へ接続金具(19)を介して、継ぎ足し状態に連通接続されたほぼ垂直のメダルエレベーターであり、上記穴明き回転ディスク(D)により押し進め送出されて来たメダル(C)を、そのメダル送出シュート(S)の出口部から引き続き上方へ案内して、そのメダルエレベーター(E)の上端部(出口部)をなす送出メダル検知ユニット(U)から、遊技機や両替機、メダル貸出し機、その他の各種本機の外部へ払い出すようになっている。
【0023】
メダルエレベーター(E)は図1、2、6、7に示す如く、前レール板(20)と後レール板(21)並びにその相互間に介在する左右両サイドスペーサー(22)とから成り、これらが左右一対づつの固定ビス(23)によって組み立てられ、上記メダル送出シュート(S)側のメダル通路(P1)と対応合致し得る断面ほぼ長方形のメダル通路(P2)を画定している。
【0024】
その場合、メダルエレベーター(E)の固定ビス(23)は後レール板(21)から両サイドスペーサー(22)のビス逃し入れ用バカ孔(24)を通じて、前レール板(20)のネジ孔(25)へ各々螺合締結されているが、その両サイドスペーサー(22)に開口するビス逃し入れ用バカ孔(24)も上記メダル送出シュート(S)側のビス逃し入れ用バカ孔(16)(17)(18)と同じく、左右方向(水平方向)への細長い楕円形として、やはりメダル通路(P2)の開口幅(W2)を広く又は狭く調整できるようになっている。
【0025】
(26)は上記メダルエレベーター(E)の後レール板(21)のみか、又はその後レール板(21)と前レール板(20)との双方について、上下方向への細長い楕円形に開口分布された左右一対づつのメダル透視窓であり、ここから上記メダル通路(P2)内のメダル(C)を洩れなく透視することができる。
【0026】
更に、(27)は上記メダル送出シュート(S)側からほぼ垂直のメダルエレベーター(E)を取りはずし分離した保守・点検時において、そのメダルエレベーター(E)のメダル通路(P2)からメダル(C)が抜け落ちてしまうことを防ぐメダル逆流防止器であり、前レール板(20)のネジ孔(25)へ螺合締結される長い固定ビス(23)の左右一対によって、メダルエレベーター(E)の好ましくは下端部付近へ取り付け一体化される。
【0027】
先に一言した送出メダル検知ユニット(U)は、図4、5と同じ構成の別個な接続金具(19)(図8、9を参照)を介して、メダルエレベーター(E)の上端部(出口部)へ継ぎ足し状態に連通接続されるレール部(U1)と、そのレール部(U1)のメダル通路(P3)からメダル(C)を目標の一方向(R)へ勢い良く撥ね飛ばす投出部(U2)と、その投出過程にあるメダル(C)を検知し、カウントする検知部(U3)とから、図10〜15のように組立ユニット化されている。
【0028】
即ち、その送出メダル検知ユニット(U)の構成部材を図10〜22の第1実施形態に基いて説明すると、先ずレール部(U1)は前レール板(28)と後レール板(29)、その相互間に介在する長短差のある左右両サイドスペーサー(30)(31)並びにその左右何れか片サイドスペーサー(30)(31)の言わば上端延長状態に配置される別個なほぼ円弧状のメダル変向誘導片(32)とから成り、これらが左右一対づつの固定ビス(33)により組み立てられて、上記メダルエレベーター(E)側のメダル通路(P2)と対応合致し得る断面ほぼ長方形のメダル通路(P3)を画定しているが、図10、12や図16〜20の場合メダル(C)は長い片サイドスペーサー(30)の上端側に配置されたメダル変向誘導片(32)によって、右方向(R)へ投出されるようになっている。
【0029】
(34)は左右両サイドスペーサー(30)(31)とメダル変向誘導片(32)並びに後レール板(29)に各々開口分布されたビス逃し入れ用バカ孔であり、その何れも左右方向(水平方向)への細長い楕円形をなすことによって、メダル通路(P3)の開口幅(W3)をやはりメダル(C)のサイズ(直径)に応じて、広く又は狭く調整することができる。尚、両サイドスペーサー(30)(31)とメダル変向誘導片(32)の板厚を調整することによって、そのメダル(C)の厚み変化に対応させることも可能である。
【0030】
又、(35)は前レール板(28)の中途高さ位置に片サイド開放のほぼコ字形として加工されたユニットベース用受け入れ切欠であり、これと部分的に合致連通するベアリング用逃し入れ切欠(36)が、後レール板(29)の対応的な中途高さ位置に同じ片サイド開放のコ字形として加工されている。
【0031】
(37)は上記前レール板(28)と後レール板(29)との上端部から張り出す互いに同じ大きさ・形状のセンター頂片であり、ここにはほぼ倒立U字形のセンサーホルダー(38)が挟み付け状態に被着一体化されるようになっている。
【0032】
つまり、上記レール部(U1)の固定ビス(33)は後レール板(29)から左右両サイドスペーサー(30)(31)とメダル変向誘導片(32)のビス逃し入れ用バカ孔(34)を通じて、前レール板(28)のネジ孔(39)へ各々螺合締結されるようになっているが、そのメダル変向誘導片(32)のバカ孔(34)に貫通される固定ビス(33)の1本を使って、センサーホルダー(38)を前・後レール板(28)(29)のセンター頂片(37)へ締結一体化することができるのである。
【0033】
そして、このようなセンサーホルダー(38)とこれに固定ビス(40)を介して、各々取り付けられた向かい合う前後一対の透過型メダル検知センサー(フォトインタラプタ)(41)とから、上記メダル(C)の検知部(U3)が構成されているのである。(42)は上記センサーホルダー(38)に開口分布する前後一対の光透過孔、(43)はその光透過孔(42)との連通透過孔であって、上記前レール板(28)と後レール板(29)に各々対応形成されている。尚、メダル検知センサー(41)としては透過型に代る反射型の1個を採用しても勿論良い。
【0034】
次に、メダル(C)の投出部(U2)は上記前レール板(28)のユニットベース用受け入れ切欠(35)と対応する大きさのほぼL字形ユニットベース(44)と、そのユニットベース(44)へ前側から重合されるレバー受け台(45)と、そのレバー受け台(45)に一端部(下端部)が支点軸(46)を介して枢着された一定長さの揺動レバー(47)とから成り、そのユニットベース(44)が上記レール部(U1)の短かい片サイドスペーサー(31)へ、複数の固定ビス(48)によって取り付けられている。
【0035】
但し、その固定ビス(48)の1本は後レール板(29)のビス逃し入れ用バカ孔(34)から短かい片サイドスペーサー(31)を通じて、ユニットベース(44)のネジ孔(図示符号省略)へ螺合締結されている。(49)はその固定ビス(48)を締結するネジ孔であり、上記片サイドスペーサー(31)に開口形成されている。
【0036】
他方、レバー受け台(45)はクランクのような輪郭形状を有し、その中間部にはメダル通路(P3)に沿って延在する左右一対の昇降ガイド長孔(50)(51)が切り欠き列設されており、その何れか一方(図例では右側)の昇降ガイド長孔(51)には、上記ユニットベース(44)から隆起した上下一対の昇降ガイド凸子(52)が係合状態にある。
【0037】
そして、レバー受け台(45)を取り付け固定する位置決め調整ビス(53)が、残る他方の昇降ガイド長孔(50)を通じて、上記ユニットベース(44)の対応的なネジ孔(54)へ螺合締結されている。(55)は同じくレバー受け台(45)の中間部から前向きに曲げ起されたストッパー片であり、これに付属するクッションゴム(56)を介して、上記揺動レバー(47)を受け止めるようになっている。
【0038】
又、上記揺動レバー(47)の中途部から後向き一体的に突出する支軸(57)には、ベアリング(遊転ローラー)(58)が嵌め付けられており、これが上記レール部(U1)のメダル通路(P3)へ臨み、そのメダル通路(P3)の開口幅(W3)をメダル(C)のサイズ(直径)よりも、予じめ若干狭く規定している。
【0039】
(59)は同じく揺動レバー(47)の他端部(上端部)から前向き一体的に突出するバネ受けピン、(60)は上記レバー受け台(45)の上端部から対応的な前向きに曲げ起されたバネ受け片であり、そのバネ受け片(60)とバネ受けピン(59)との左右相互間に亘っては、上記揺動レバー(47)のベアリング(58)を常時メダル通路(P3)の内部へ引き寄せ付勢する引張りコイルバネ(リターンバネ)(61)が、連繋掛架されている。(62)は上記メダル検知センサー(41)に対する電気配線(図示省略)の結束床である。
【0040】
本発明の送出メダル検知ユニット(U)では上記したように、その投出部(U2)のレバー受け台(45)がユニットベース(44)を介して、レール部(U1)の短かい片サイドスペーサー(31)に取り付け固定されており、そのレバー受け台(45)に枢着された揺動レバー(47)の保有するベアリング(58)が、これと接触するメダル(C)を撥ね飛ばし投出するようになっている。
【0041】
そのため、上記レール部(U1)の短かい片サイドスペーサー(31)と投出部(U2)のユニットベース(44)とを一緒に、そのレール部(U1)をなす後レール板(29)のビス逃し入れ用バカ孔(34)に沿って、左右方向へ移動させることにより、そのメダル通路(P3)の開口幅(W3)を使用されるメダル(C)のサイズに応じて、広く又は狭く調整することができ、又メダル(C)のサイズ(直径)が大小変化するも、そのメダル検知センサー(41)までの投出距離は常時一定に確保され、作用安定性の向上に役立つ。
【0042】
その場合、上記メダル通路(P3)の開口幅(W3)を図13の符号(イ)(ロ)(ハ)(ニ)(ホ)(ヘ)(ト)で示す如く、最も広い(イ)の状態から一旦レール部(U1)の長い片サイドスペーサー(30)を固定したままで、短かい片サイドスペーサー(31)だけを順次移動させて、徐々に狭くなる(ロ)(ハ)(ニ)の段階状態を得る一方、その後は逆に短かい片サイドスペーサー(31)を固定したままで、長い片サイドスペーサー(30)だけをやはり順次移動させて、徐々に狭くなる(ホ)(ヘ)(ト)の段階状態を得るように調整作業するか、又は(ト)の状態から(イ)の状態へ逆な順序での調整作業を行なうことが望ましい。
【0043】
そうすれば、上記メダルエレベーター(E)のメダル通路(P2)と、その上端部(出口部)に接続された送出メダル検知ユニット(U)のメダル通路(P3)とを、正確に対応位置する状態として、一目瞭然に理解しやすく調整できる効果がある。
【0044】
又、上記レール部(U1)の短かい片サイドスペーサー(31)と一緒に移動できる投出部(U2)のユニットベース(44)には、揺動レバー(47)の枢着されたレバー受け台(45)が、メダル通路(P3)に沿って昇降自在に締結されているため、上記メダル送出シュート(S)及びメダルエレベーター(E)からのレール長さや、その上端部(出口部)をなす送出メダル検知ユニット(U)の設置高さなどが相違変化する場合には、上記投出部(U2)のレバー受け台(45)を昇降ガイド長孔(50)(51)に沿い昇降させて、その揺動レバー(47)のベアリング(58)が先頭位置(初期位置)を占めるメダル(C)の水平中心線(X−X)よりも、必らず上側の退避位置へ臨むこととなるように調整することができる。
【0045】
その調整作業に精密さは必要なく、ベアリング(58)がメダル(C)の水平中心線(X−X)から少しでも上側の退避位置にあれば良い。(d)はその任意の間隔距離を示している。そうすれば、先頭位置のメダル(C)を未だベアリング(58)により投出しない待機状態に保てるからである。
【0046】
つまり、図16はメダル(C)の初期状態(待機状態)を示しており、上記ホッパータンク(2)から穴明き回転ディスク(D)の駆動によって、メダルエレベーター(E)の上端部(出口部)をなす送出メダル検知ユニット(U)まで押し進め送出されてきたメダル(C)は、そのレール部(U1)のメダル通路(P3)に到達するが、未だメダル(C)の投出部(U2)をなす揺動レバー(47)のベアリング(58)と、メダル(C)の水平中心線(X−X)との上下相互間には、任意の距離(d)が残存している。
【0047】
そして、上記メダル(C)がその後図17のように、メダル通路(P3)の開口幅(W3)を狭く制限している揺動レバー(47)のベアリング(58)に接触し、引き続き図18のような水平中心線(X−X)上においてベアリング(58)と接触した時(ベアリングの最大開時)を越えるや否や、そのベアリング(58)の遊転作用並びに引張りコイルバネ(61)の弾撥力とも相俟って、メダル(C)は図19のように勢い良く上方へ撥ね飛ばされ、メダル通路(P3)の言わば天井面をなす変向誘導片(32)へ衝突し、その投出過程において検知部(U3)のメダル検知センサー(41)により検知(カウント)されることとなる。
【0048】
そのカウントされた後のメダル(C)は図20のように、上記変向誘導片(32)に沿って右方向(R)へ投げ出されることとなり、このような一連の動作が後続するメダル(C)の1枚づつについても、繰り返し実行されるのである。
【0049】
又、検知部(U3)のメダル検知センサー(41)は上記投出部(U2)から分離独立しており、メダル通路(P3)を形作る前・後レール板(28)(29)のセンター頂片(37)へ、センサーホルダー(38)を介して取り付け固定されているため、上記揺動レバー(47)のベアリング(58)によって撥ね飛ばされた後のメダル(C)を、そのサイズの大小に拘らず確実に検知することができ、メダル(C)のカウントミスを生じるおそれはない。
【0050】
しかも、上記前・後レール板(28)(29)のセンター頂片(37)には、円弧状をなすメダル変向誘導片(32)が取り付け固定されているため、その1枚の変向誘導片(32)だけを図10から図15のように付け替えたり、本発明の送出メダル検知ユニット(U)自身の全体を図23から図24のように裏返す如く、前後反転させたりして、メダル(C)の投出方向性を図16〜20の右方向(R)から、図21、22のように左方向(L)へ仕様変更することができ、万一据え付けレイアウト上の邪魔になるメダル貯留タンクや壁、その他の障害物(M)があっても、これによる据え付け場所の制約を受けず、メダル(C)の投出方向性を自由に設定し得る利便性がある。
【0051】
更に、上記検知部(U3)のメダル検知センサー(41)はレール部(U1)におけるメダル通路(P3)の長手中心線(垂直中心線)上に配置されているため、上記メダル変向誘導片(32)の付け替えによって、そのメダル(C)の投出方向が右方向(R)と左方向(L)との何れに設定されても、これを依然として同じ位置にあるメダル検知センサー(41)により、支障なく検知(カウント)することができるのであり、汎用性に優れる。
【0052】
次に、図25〜31は本発明に係る送出メダル検知ユニット(U)の第2実施形態を示しており、これではメダル(C)の投出方向性を変更する方法として、上記第1実施形態のような1枚のメダル変向誘導片(32)だけをレール部(U1)へ付け替えたり、或いは送出メダル検知ユニット(U)のそれ自身を前後反転させたりする代りに、下記の方法を採用している。
【0053】
即ち、上記第1実施形態における前・後レール板(28)(29)のセンター頂片(37)へ取り付けられるセンサーホルダー(38)とメダル変向誘導片(32)とが、第2実施形態の構成では言わば一体物のメダル変向誘導ブロック(B)として成形されており、上記送出メダル検知ユニット(U)のレール部(U1)なす前・後レール板(28)(29)の上部位置から互いに相反する前後方向へ、そのメダル通路(P3)と干渉しない関係状態として一体的に張り出す左右一対の平行な進退ガイド軸(63)へ差し込み套嵌されている。(64)はその各進退ガイド軸(63)の軸受ボスであり、メダル変向誘導ブロック(B)から相反する前後方向へ連続一体に張り出している。
【0054】
しかも、上記メダル変向誘導ブロック(B)にはレール部(U1)のメダル通路(P3)と択一的に合致連通する右向き円弧トンネル(65R)と、左向き円弧トンネル(65L)との前後一対が開口されており、そのメダル変向誘導ブロック(B)を上記進退ガイド軸(63)に沿い前後方向へ進退作動させて、右向き円弧トンネル(65R)と左向き円弧トンネル(65L)とを切り替えることができるようになっている。
【0055】
(66)はそのために並列する左右一対のローラー受け板であって、後上がりの傾斜カム面(67)を備えた側面視のほぼ直角三角形に造形されており、上記メダル変向誘導ブロック(B)から後向き一体に張り出している。(68)はそのローラー受け板(66)の後上がり傾斜カム面(67)を昇降する遊転ローラーであり、その左右一対が連結ピン(69)を介して、ソレノイド(70)により作動される昇降ロッド(71)の上端部に枢着されている。
【0056】
ソレノイド(70)はレール部(U1)の後レール板(29)へ、その背後から台座(72)を介して固定設置されている。(73)は上記進退ガイド軸(63)の左右何れか一方又は双方に巻き付けられたリターンバネ(圧縮コイルバネ)であり、上記メダル変向誘導ブロック(B)を常時後方へ退動付勢し、そのメダル変向誘導ブロック(B)の右向き円弧トンネル(65R)をレール部(U1)のメダル通路(P3)と連通する状態(復帰状態)に保っている。
【0057】
図25、26はこのような右向き円弧トンネル(65R)への切り替え状態を示しており、ソレノイド(70)の消磁作用により下降した昇降ロッド(71)の遊転ローラー(68)が、そのローラー受け板(66)における傾斜カム面(67)の下部位置にある。そして、上記投出部(U2)のベアリング(58)によりメダル通路(P3)から上方へ撥ね飛ばされたメダル(C)は、図28、29のように右方向(R)へ投出されることになる。
【0058】
他方、上記ソレノイド(70)の励磁作用を受けた昇降ロッド(71)が、図26から図27のように上昇作動されると、その遊転ローラー(68)はローラー受け板(66)の傾斜カム面(67)を転がり上昇することになると同時に、メダル変向誘導ブロック(B)を進退ガイド軸(63)に沿って前方へ進出させることとなり、茲にメダル変向誘導ブロック(B)の左向き円弧トンネル(65L)がレール部(U1)のメダル通路(P3)と連通する状態に切り替えられるのである。
【0059】
そのため、上記投出部(U2)のベアリング(58)によってメダル通路(P3)から、やはり上方へ撥ね飛ばされたメダル(C)は、図30、31のように左方向(L)へ投出されることになる。
【0060】
要するに、ソレノイド(70)による昇降ロッド(71)の昇降運動が、その遊転ローラー(68)とローラー受け板(66)との係合作用を介して、メダル変向誘導ブロック(B)の前後方向に沿う進退運動に変換されており、これによって右向き円弧トンネル(65R)と左向き円弧トンネル(65L)とを切り替えているけわである。
【0061】
第2実施形態の場合、上記検知部(U3)のメダル検知センサー(41)はレール部(U1)におけるメダル通路(P3)の長手中心線(垂直中心線)上にあって、右方向(R)と左方向(L)との何れの方向へ投出されるメダル(C)をも検知できるようになっている。そのメダル変向誘導ブロック(B)における左向き円弧トンネル(65L)と右向き円弧トンネル(65R)との境界壁にも、図外の光透過孔を開口形成することにより、図示のような透過型のみならず、反射型のメダル検知センサー(41)を採用しても良い。
【0062】
尚、第2実施形態におけるその他の構成は上記第1実施形態と実質的に同一であるため、その図25〜31に図10〜22との対応符号を記入するにとどめて、その詳細な説明を省略する。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明に係るメダル送出装置の概略全体を示す正面図である。
【図2】図1の側面図である。
【図3】図1からホッパータンクとメダルエレベーターを取りはずした状態の拡大正面図である。
【図4】図1の4−4線に沿う拡大断面図である。
【図5】図4の接続金具を抽出して示す斜面図である。
【図6】図1のメダル送出シュートとメダルエレベーターとの接続部分を抽出して示す拡大正面図である。
【図7】図6の7−7線に沿う拡大断面図である。
【図8】図1の8−8線に沿う拡大断面図である。
【図9】図8の接続金具を抽出して示す斜面図である。
【図10】本発明に係る第1実施形態の送出メダル検知ユニットを示す分解斜面図である。
【図11】図10の組立過程を示す斜面図である。
【図12】図10の組立状態を示す斜面図である。
【図13】図12の背面図である。
【図14】図13の正面図である。
【図15】送出メダル検知ユニットのメダル変向誘導片を左向きに付け替えた分解斜面図であり、図10と対応する。
【図16】右方向へのメダル送出過程とベアリングの位置関係を示す正面図である。
【図17】図16に続くメダルの送出過程とベアリングの位置関係を示す正面図である。
【図18】図17に続くメダルの送出過程とベアリングの位置関係を示す正面図である。
【図19】図18に続くメダルの送出過程とベアリングの位置関係を示す正面図である。
【図20】図19に続く右方向へのメダル投出状態を示す正面図である。
【図21】図19に対応する左方向へのメダル投出過程を示す正面図である。
【図22】図21に続く左方向へのメダル投出状態を示す正面図である。
【図23】送出メダル検知ユニットの前向き設置状態を示す側面図である。
【図24】送出メダル検知ユニットの後向き設置状態を示す側面図である。
【図25】本発明に係る送出メダル検知ユニットの第2実施形態を示す正面図である。
【図26】図25の右側面図である。
【図27】図26に続く昇降ロッドの上昇状態を示す右側面図である。
【図28】右方向へのメダル投出状態を示す正面図である。
【図29】図28の右側面図である。
【図30】左方向へのメダル投出状態を示す正面図である。
【図31】図30の右側面図である。
【符号の説明】
【0064】
(1)・傾斜天板
(2)・ホッパータンク
(3)・ディスク駆動モーター
(4)・モーター出力軸
(5)・メダル取り込み穴
(6)・円弧弯曲羽根
(7)・メダル変向誘導ピン
(8)・メダル送出ガイドローラー
(9)・セパレートローラー
(10)(20)(28)・前レール板
(11)(12)(14)(23)(33)(40)(48)・固定ビス
(13)(22)(30)(31)・サイドスペーサー
(15)(21)(29)・後レール板
(16)(17)(18)(24)(34)・バカ孔
(19)・接続金具
(25)(39)(49)(54)・ネジ孔
(26)・メダル透視窓
(27)・メダル逆流防止器
(32)・メダル変向誘導片
(35)・受け入れ切欠
(36)・逃し入れ切欠
(37)・センター頂片
(38)・センサーホルダー
(41)・メダル検知センサー
(42)・光透過孔
(43)・連通透過孔
(44)・ユニットベース
(45)・レバー受け台
(46)・支点軸
(47)・揺動レバー
(50)(51)・昇降ガイド長孔
(53)・位置決め調整ビス
(55)・ストッパー片
(56)・クッションゴム
(57)・支軸
(58)・ベアリング
(59)・バネ受けピン
(60)・バネ受け片
(61)(73)・リターンバネ
(62)・結束床
(63)・進退ガイド軸
(64)・軸受ボス
(65R)・右向き円弧トンネル
(65L)・左向き円弧トンネル
(66)・ローラー受け板
(67)・傾斜カム面
(68)・遊転ローラー
(69)・連結ピン
(70)・ソレノイド
(71)・昇降ロッド
(72)・台座
(B)・メダル変向誘導ブロック
(C)・メダル
(D)・穴明き回転ディスク
(E)・メダルエレベーター
(F)・据付け台
(M)・障害物
(S)・メダル送出シュート
(P1)(P2)(P3)・メダル通路
(U)・送出メダル検知ユニット
(U1)・レール部
(U2)・投出部
(U3)・検知部
(W1)(W2)(W3)・開口幅
(X−X)・メダルの水平中心線
(d)・間隔距離

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前・後レール板(28)(29)と、その相互間に介在する左右方向への移動可能な左右両サイドスペーサー(30)(31)と、その長短差がある左右何れか片サイドスペーサー(30)(31)の上端側を延長する如く配置される別個なほぼ円弧状のメダル変向誘導片(32)とから、メダルエレベーター(E)の出口部と連通したメダル通路(P3)を区成するレール部(U1)と、
上記レール部(U1)の短かい片サイドスペーサー(31)に取り付け一体化された左右方向への移動可能なユニットベース(44)と、そのユニットベース(44)へ昇降自在に締結されたレバー受け台(45)と、そのレバー受け台(45)へ下端部が枢着された揺動レバー(47)と、その揺動レバー(47)の中途部に軸支されたベアリング(58)と、そのベアリング(58)を上記メダル通路(P3)の内側へ常時引き寄せ付勢すべく、揺動レバー(47)の上端部と上記レバー受け台(45)の上端部との左右相互間に連繋掛架されたリターンバネ(61)とから成り、上記揺動レバー(47)のベアリング(58)によって上方へ撥ね飛ばしたメダル(C)を、上記メダル変向誘導片(32)に沿って右方向(R)又は左方向(L)へ投出する投出部(U2)と、
上記レール部(U1)をなす前・後レール板(28)(29)の長手中心線上に固定設置されたメダル検知センサー(41)が、上記投出部(U2)によって投出される過程のメダル(C)を検知する検知部(U3)とを備えたことを特徴とするメダル送出装置の送出メダル検知ユニット。
【請求項2】
レール部(U1)をなす前・後レール板(28)(29)のセンター頂片(37)へ、センサーホルダー(38)を挟み付け状態に締結して、そのセンサーホルダー(38)へ透過型又は反射型のメダル検知センサー(41)を取り付ける一方、
上記前・後レール板(28)(29)とそのセンター頂片(37)へほぼ円弧状のメダル変向誘導片(32)を着脱自在に取り付けて、
そのメダル変向誘導片(32)の付け替えによって、メダル(C)の投出方向を右方向(R)と左方向(L)との何れに設定するも、そのメダル(C)を上記メダル検知センサー(41)によって検知できるように定めたことを特徴とする請求項1記載のメダル送出装置の送出メダル検知ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【公開番号】特開2010−92139(P2010−92139A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−259291(P2008−259291)
【出願日】平成20年10月6日(2008.10.6)
【出願人】(506154421)松下金属工業株式会社 (9)
【Fターム(参考)】