説明

メッセージ通信装置、メッセージ通信方法、メッセージ通信システム及びメッセージ通信プログラム

【課題】 車両の運転手に負担をかけることなく、車両間でメッセージを送受信することができるメッセージ通信装置を提供する。
【解決手段】 送信側メッセージ通信装置10では、周囲状況検出部11により送信側車両及び周囲の交通状況が検出される。検出された交通状況が、条件マスタファイル22の所定条件を満たす場合、送信メッセージDB23より対応する送信メッセージを抽出して受信側車両へ送信する。受信側メッセージ通信装置30では、受信した送信メッセージに対応する応答メッセージを抽出して、送信側車両へ送信する。送信側メッセージ通信装置10では、送信側車両に対応する図形と送信メッセージとを対応づけて表示するとともに、受信側車両の方向に、受信側車両を示す図形と応答メッセージとを対応づけて表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載され、車両間でメッセージの送受信を行うメッセージ通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
道路交通の安全性を向上させる上で、渋滞、割り込み、交差道路からの進入といった交通情報を、他車両の運転手に迅速に伝達することが重要である。従来は、渋滞時や割り込みの際にハザードランプを点灯させ、交差道路から進入する際にクラクションを鳴らす等の操作により、交通情報を伝達していた。
【0003】
かかる操作は、車両の運転手にしてみれば煩雑である。また、操作を誤った場合には、誤った情報が他車両の運転手に伝達される場合があり、かえって道路交通の安全性が損なわれるおそれが高い。
【0004】
そこで、特許文献1記載の意思伝達装置では、CCDカメラを用いて運転手の意思を示すジェスチャー(例えば、お礼の意図で手を軽く挙げる動作)を撮像し、かかるジェスチャーから運転手の意思を把握してメッセージを生成し、車車間通信を通じてメッセージを相手方車両へ送信する。これにより、メッセージ送信の際の運転手の負担を軽減できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−126954号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1記載の意思伝達装置では、メッセージを送信するために、手を挙げる等のジェスチャーや、メッセージを送信するか否かの判断を運転手に強いることとなり、運転手にとって負担となる。
【0007】
また、周囲の状況が絶えず変化する道路交通の場面において、運転手がジェスチャーを行い、メッセージを送信するか否かを判定するために一定の時間が必要とされる。このため、メッセージを送信する時点では、受信側車両の運転手が交通状況を把握しているなど、もはやメッセージを送信する必要がなくなっている場合が多い。
【0008】
また、特許文献1記載の意思伝達装置では、メッセージ受信側車両にとって、メッセージがどの車両から送られてきたのかが分からないため、メッセージ受信側車両の運転手が困惑してしまうおそれが高い。さらに、メッセージ送信側車両の運転手としては、受信側車両の運転手がメッセージを理解したか否かを識別することができないという問題もある。
【0009】
本発明は、従来の問題を解決するためになされたものであり、その目的は、運転手に負担をかけることなく、メッセージを送受信することができるメッセージ通信装置を提供することにある。
【0010】
本発明の別の目的は、メッセージが送受信された方向を容易に識別することのできるメッセージ通信装置を提供することにある。
【0011】
本発明のさらに別の目的は、メッセージ受信側がメッセージを理解したことを、メッセージ送信側が識別することのできるメッセージ通信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のメッセージ通信装置は、 前記送信側車両の走行状況及び前記送信側車両の周囲状況を検出する交通状況検出部と、前記走行状況及び前記周囲状況の所定条件と、送信メッセージ及び送信対象を対応づけて記憶するメッセージ記憶部と、前記交通状況検出部により検出された前記走行状況及び前記周囲状況が前記所定条件を満たす場合に、対応する前記送信メッセージ及び送信対象を抽出する制御部と、抽出された前記送信メッセージを前記受信側車両に送信するメッセージ通信部とを備えた構成を有する。
【0013】
この構成により、自車両の運転手が特別な操作を行うことなく、検出された交通状況に応じたメッセージを他車両に送信することができるから、意思伝達のための運転手の負担を軽減することができる。
【0014】
本発明のメッセージ通信装置において、前記メッセージ通信部は、前記送信メッセージに対する応答として前記受信側車両から送信される応答メッセージを受信し、前記交通状況検出部は、前記受信側車両の方向をメッセージ受信方向として検出し、前記メッセージ受信方向に対応するディスプレイ上の領域に前記受信側車両を表示するとともに、前記応答メッセージを前記受信側車両と対応づけて表示する表示部を備えた構成を有する。
【0015】
この構成により、メッセージ受信側の車両からの応答メッセージが表示されるので、メッセージ受信側の車両が送信メッセージを理解したことを容易に識別することができるとともに、メッセージ受信側の車両の方向を容易に識別することができる。
【0016】
本発明のメッセージ通信装置は、車両を表示する図形をキャラクタとして記憶する記憶部であって、前記メッセージ受信方向に応じて異なるキャラクタを記憶するキャラクタ記憶部を備え、前記制御部は、前記メッセージ受信方向に対応する前記表示用図形を前記キャラクタ記憶部から抽出し、前記表示部は、前記表示用図形を前記受信側車両として表示する構成を有する。
【0017】
この構成により、メッセージ受信側の車両の方向を容易に識別することができるとともに、メッセージ受信側車両をキャラクタ表示することにより、メッセージによる意思伝達をより効果的に演出することができる。
【0018】
本発明のメッセージ通信装置において、前記メッセージ通信部は、前記受信側車両に対応する表示用図形のデータを前記受信側車両から受信し、前記表示部は、前記表示用図形を前記受信側車両として表示する。この構成によっても、前記発明の効果を好適に得ることができる。
【0019】
本発明のメッセージ通信装置において、前記表示用図形は、前記受信側車両の運転手の外形的状態、プロフィール及び運転スキル並びに前記受信側車両の乗員及び行程を示す情報の少なくとも1つに応じて決定されることを特徴とする。この構成により、運転手の特徴等に応じた図形を表示することができるので、娯楽性に富んだメッセージ通信を行うことができる。
【0020】
本発明のメッセージ通信装置において、前記メッセージ通信部は、前記送信メッセージに対する応答として前記受信側車両から送信される応答メッセージを受信し、前記交通状況検出部は、前記受信側車両の方向をメッセージ受信方向として検出し、複数のスピーカを備え、前記メッセージ受信方向に対応するスピーカから前記応答メッセージを音声出力する音声出力部を備えた構成を有する。
【0021】
この構成により、応答メッセージが音声出力されるので、メッセージ受信側の車両が送信メッセージを理解したことを容易に識別することができるとともに、メッセージ受信側の車両の方向を容易に識別することができる。
【0022】
本発明のメッセージ通信装置は、車両を示す音声タイプをキャラクタとして記憶する記憶部であって、前記メッセージ受信方向に応じて異なるキャラクタを記憶するキャラクタ記憶部を備え、前記制御部は、前記メッセージ受信方向に対応する音声タイプを前記キャラクタ記憶部から抽出し、前記音声出力部は、抽出された前記音声タイプに対応する音声にて、前記応答メッセージを音声出力する構成を有する。
【0023】
この構成により、メッセージ受信側の車両の方向を容易に識別することができるとともに、応答メッセージをキャラクタに応じた音声で出力することにより、メッセージ通信による意思伝達をより効果的に演出することができる。
【0024】
本発明のメッセージ通信装置において、前記メッセージ通信部は、前記受信側車両に対応する音声タイプのデータを前記受信側車両から受信し、前記音声出力部は、前記音声タイプに対応する音声で前記応答メッセージを音声出力する構成を有する。この構成によっても、前記発明の効果を好適に得ることができる。
【0025】
本発明の別の態様としてのメッセージ通信装置は、送信側車両からの送信メッセージを受信するメッセージ通信部と、前記送信メッセージを出力するメッセージ出力部と、前記送信メッセージと応答メッセージとを対応づけて記憶する応答メッセージ記憶部と、前記送信メッセージに対応する前記応答メッセージを抽出し、前記メッセージ通信部を介して前記応答メッセージを前記送信側車両に送信する制御部とを備えた構成を有する。
【0026】
この構成により、検出された交通状況に応じたメッセージを受信し、受信メッセージに対応する応答メッセージを送信することができるので、運転手が特別な操作を行う必要がなくなる。
【0027】
本発明のメッセージ通信装置は、前記応答メッセージの送信を決定するために操作される入力部を備え、前記制御部は、前記入力部が操作された場合に前記応答メッセージの送信を実行する構成を有する。この構成により、受信側車両の運転手の意思に応じた応答メッセージを送信することができる。
【0028】
本発明の別の態様としてのメッセージ通信システムは、送信側車両に設けられた送信側メッセージ通信装置と、受信側車両に設けられた受信側メッセージ通信装置から構成され、前記送信側メッセージ通信装置は、前記送信側車両の走行状況及び前記送信側車両の周囲状況を検出する交通状況検出部と、前記走行状況及び前記周囲状況の所定条件と、送信メッセージ及び送信対象を対応づけて記憶するメッセージ記憶部と、前記交通状況検出部により検出された前記走行状況及び前記周囲状況が前記所定条件を満たす場合に、対応する前記送信メッセージ及び送信対象を抽出する制御部と、抽出された前記送信メッセージを前記受信側車両に送信するメッセージ通信部とを備え、前記受信側メッセージ通信装置は、前記送信側車両からの送信メッセージを受信するメッセージ通信部と、前記送信メッセージを出力するメッセージ出力部と、前記送信メッセージと応答メッセージとを対応づけて記憶する応答メッセージ記憶部と、前記送信メッセージに対応する前記応答メッセージを抽出し、前記メッセージ通信部を介して前記応答メッセージを前記送信側車両に送信する制御部とを備えた構成を有する。この構成によっても、上記の本発明の効果が好適に得られる。
【0029】
本発明の別の態様としてのメッセージ通信方法は、送信側車両に備えられたメッセージ通信装置が、前記送信側車両の走行状況及び前記送信側車両の周囲状況を検出し、検出された前記走行状況及び前記周囲状況が前記所定条件を満たす場合に、前記所定条件と対応づけて記憶された前記送信メッセージを抽出し、抽出された前記送信メッセージを前記受信側車両に送信する構成を有する。この構成によっても、上記の本発明の効果が好適に得られる。
【0030】
本発明の別の態様としてのメッセージ通信方法は、受信側車両に備えられたメッセージ通信装置が、前記送信側車両からの送信メッセージを受信し、前記送信メッセージを出力し、前記送信メッセージと対応づけて記憶された応答メッセージを抽出し、前記送信側車両に前記応答メッセージを送信する。この構成によっても、上記の本発明の効果が好適に得られる。
【0031】
本発明の別の態様としてのメッセージ通信プログラムは、送信側車両に搭載されるコンピュータに対し、前記送信側車両の走行状況及び前記送信側車両の周囲状況を検出するステップと、前記走行状況及び前記周囲状況の所定条件と、送信メッセージ及び送信対象を対応づけて記憶部に記憶するステップと、前記走行状況及び前記周囲状況が前記所定条件を満たす場合に、対応する前記送信メッセージ及び送信対象を抽出するステップと、抽出された前記送信メッセージを前記受信側車両に送信するステップとを実行させることを特徴とする。この構成によっても、上記の本発明の効果が好適に得られる。
【0032】
本発明の別の態様としてのメッセージ通信プログラムは、受信側車両に搭載されるコンピュータに対し、前記送信側車両からの送信メッセージを受信するステップと、前記送信メッセージを出力するステップと、前記送信メッセージと応答メッセージとを対応づけて記憶部に記憶するステップと、前記送信メッセージに対応する前記応答メッセージを抽出し、前記応答メッセージを前記送信側車両に送信するステップとを実行させることを特徴とする。この構成によっても、上記の本発明の効果が好適に得られる。
【発明の効果】
【0033】
上記のように、本発明は、送信側車両の走行状況及び送信側車両の周囲状況を検出するとともに、検出された走行状況及び周囲状況が所定条件と合致する場合に、対応する送信メッセージを抽出し、抽出された前記送信メッセージを受信側車両に送信するので、自車両の運転手が特別な操作を行うことなく、検出された交通状況に応じたメッセージを他車両に送信することができる。これにより、運転手に負担をかけることなく、メッセージ通信を行うことのできるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明のメッセージ通信装置の構成を示すブロック図
【図2】交通状況判定DBの一例を示す説明図
【図3】送信メッセージDBの一例を示す説明図
【図4】キャラクタDBの一例を示す説明図
【図5】応答メッセージDBの一例を示す説明図
【図6】送信側メッセージ通信装置の動作を示すフローチャート
【図7】応答側メッセージ通信装置の動作を示すフローチャート
【図8】送信メッセージが表示された例を示す説明図
【図9】応答メッセージの送信を確認する例を示す説明図
【図10】応答メッセージを受信した後の送信側メッセージ通信装置の動作を示すフローチャート
【図11】送信メッセージ及び応答メッセージを表示する例を示す説明図
【図12】渋滞中であることを通知する例を示す説明図
【図13】青信号に変わったことを通知する例を示す説明図
【図14】左折のために減速中であることを通知する説明図
【図15】車両が交差点に進入することを通知する説明図
【図16】二輪車が接近していることを対向車両に通知する説明図
【図17】送信メッセージが表示された別の例を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の実施の形態のメッセージ通信装置について、図面を用いて説明する。
【0036】
図1は、本発明の実施の形態に係るメッセージ通信装置の構成を示すブロック図である。メッセージ通信装置10、30は、渋滞や割り込みといったメッセージを送信する送信側車両と、送信側車両からのメッセージを受信して応答メッセージを送信する受信側車両の各々に搭載されており、車車間通信を介してメッセージの送受信を行う。
【0037】
送信側車両に搭載された送信側メッセージ通信装置10は、送信側車両及び送信側車両の周囲の交通状況を検出する交通状況検出部11と、メッセージの送受信を行う車車間通信部12と、メッセージを表示する表示部13と、メッセージを音声出力する音声出力部14と、メッセージ通信装置10の動作制御を行う制御装置15とから構成される。
【0038】
交通状況検出部11は、例えば、ナビゲーション装置16、レーダ装置17、撮像部18、マイク19、速度センサ20、視線検知装置21を含む。
【0039】
ナビゲーション装置16は、送信側車両の位置を検出する位置検出部と地図データベースを備え、予め入力された目的地情報に基づき、目的地までの経路情報を出力するものであり、公知のカーナビゲーション装置を適用することができる。ナビゲーション装置16から出力される経路情報に基づき、例えば、送信側車両が次の交差点で左折する等の情報を得ることができる。
【0040】
レーダ装置17は、ミリ波または超音波を発する送信部と、その反射波を検出する受信部から構成され、送信側車両の外側に1個若しくは複数個設置される。レーダ装置17は、伝搬時間やドップラー効果によって生じる周波数差などの情報に基づき、周囲車両や障害物の有無、位置及び送信側車両との相対速度を検出する。
【0041】
撮像部18は、送信側車両の外側に設置された1個若しくは複数のCCDカメラと、当該CCDカメラから入力される画像を解析する画像解析部から構成される。CCDカメラが送信側車両の周囲の映像を撮影し、画像解析部においてCCDカメラからの画像を解析することで、送信側車両の周囲に存在する物体の種類や色といった情報を検出する。
【0042】
マイク19は、送信側車両の外側に1個若しくは複数個設置され、他車両のエンジン音や人物の話し声といった、送信側車両の周囲の音声を検出する。マイク19から入力された音声情報は制御部15に送られ、図示しない音声分析装置において音声情報を分析することにより、音声の種類を識別することができる。
【0043】
速度センサ20は、送信側車両の速度を検出して速度情報を制御部15に出力するものであり、公知の速度センサを適用することができる。速度センサ20からの速度情報により、送信側車両が停車しているか否か、減速中か否かといった情報を得ることができる。
【0044】
視線検出部21は、車内に設置されたCCDカメラと画像処理部から構成され、CCDカメラにおいて運転手の顔を撮影し、画像処理部において運転手の顔の向き及び瞳孔の位置を検出することで、送信側車両の運転手がどの方向を向いているのかを検出する。
【0045】
交通状況検出部11を構成する部材としては、上述したものに限定されることはなく、送信側車両を含む周囲の交通状況を検出できるのであれば、送信側車両の構成部品なども適用することができる。例えば、ステアリングの操作角より、送信側車両の移動方向を検出することができ、ウインカーからの信号により車線変更や左折といった情報を検出することができる。また、ブレーキペダルからの信号により、送信側車両が減速していることを検出することができる。
【0046】
車車間通信部12は、車車間通信により他車両との間でメッセージ、位置情報及び速度情報の送受信を行う。車車間通信の方式としては、無線通信でメッセージを送信する方式、ヘッドランプやテールランプ等の光源からの可視光にパルス信号を重畳させてメッセージを送信する可視光通信などの公知の通信方式を適用することができる。
【0047】
表示部13は、例えば液晶ディスプレイから構成される表示パネルと、この表示パネルにメッセージを表示させる表示制御部から構成される。表示パネルとして、例えば、ナビゲーション装置16に付属の液晶ディスプレイを用いることができる。
【0048】
音声出力部14は、送信側車両の内部に複数個設置され、他車両から受信された応答メッセージを音声出力するスピーカと、当該スピーカでの音声出力を制御する音声出力制御部から構成される。音声出力制御部は、スピーカの音量調節のほか、どのスピーカから音声出力すべきかを決定する。
【0049】
制御装置15は、CPU、ROM、RAM及びこれらを接続するバス等によって構成されるコンピュータであり、ROMに書き込まれたプログラムに従って、CPUが演算処理を実行する。制御部15は、所定の交通状況に対応する交通条件を記憶する条件マスタファイル22と、検出された交通状況に対応する送信メッセージを記憶する送信メッセージ(DB)23と、受信側車両が位置する方向に基づき予め定められたキャラクタ(図形・音声)データを記憶するキャラクタDB24とを備える。
【0050】
図2に示すように、条件マスタファイル22には、予め定められた交通状況(例えば、隣接車線への割り込み、渋滞)と合致する条件が、識別子(ID)と対応づけて記憶されている。例えば、ID「01」は、左車線への割り込みが行われることを示すものであり、その条件として、「左側方に他車両が存在すること」、「左ウインカーが操作されたこと」が定められている。
【0051】
制御装置15は、交通状況検出部11からの信号に基づき検出される交通状況(例えば、自車両の速度、走行経路情報及びブレーキペダルの操作状況、他車両の速度、距離及び進行方向、障害物の有無といった状況)が、条件マスタファイル22で予め定められた条件を満たすか否かを判定する。
【0052】
例えば、レーダ装置17及び撮像部18からの信号により、送信側車両の左側車線に他車両が存在することを検出し、ウインカーからの信号によって左ウインカーが操作されたことが検出されると、制御装置15は、左車線への割り込みを示すID「01」を抽出する。
【0053】
図3に示すように、送信メッセージDB23は、送信メッセージ内容と送信対象車両の情報を、条件マスタファイル22と共通のIDで対応づけたデータベースを備える。制御装置15は、条件マスタファイル22で抽出されたIDに対応する送信メッセージ及び送信対象車両情報を抽出する。例えば、IDとして「01」が入力された場合(すなわち、左車線への割り込みが行われると判定された場合)は、制御装置15は、送信メッセージDB23から、送信メッセージとして「割り込み失礼します」、送信対象情報として「左側車両」を抽出する。
【0054】
次に、制御装置15は、送信メッセージDB23から抽出された送信対象情報と、交通状況検出部11からの情報に基づいて受信側車両の方向及び位置を検出し、車車間通信部12を駆動して受信側車両との間で車車間通信を確立し、送信メッセージを受信側車両に送信する。
【0055】
受信側車両の方向及び位置を検出する方法としては、例えば、レーダ装置17により送信対象情報に対応する方向にミリ波を送信し、その反射波を検出する方法や、撮像部18により送信対象情報の方向を撮像して得られた画像を解析する方法、図示しない赤外線通信手段により、受信側車両との間で接続を確立し、当該受信側車両より位置情報を取得する方法を適用することができる。さらに、特開2008−293510号公報に記載のように、レーダ装置及び車車間通信で得られた情報に基づいて周囲の車両位置をマッピングするとともに、近接する複数の車両位置が検出された場合には同一車両であると判断して、信頼度の高い1つを車両位置として特定する方法を適用しても良い。
【0056】
図4に示すように、キャラクタDB24は、応答メッセージを送信する受信側車両の方向(図4の例では8方向)に応じて、車両のキャラクタを示す図形データ及び音声データを備えたデータベースを有している。例えば、受信側車両が送信側車両の前方に位置する場合、制御装置15は、キャラクタDB24から、図形タイプとして「赤色・スポーツカー」の画像データ、音声タイプとして「男性・20歳代」の音声データを抽出する。
【0057】
受信側車両に搭載された受信側メッセージ通信装置30は、レーダ装置31,撮像部32,視線検知部33、入力部34、車車間通信部35、表示部36、音声出力部37と、これらの動作制御を行う制御装置38から構成される。なお、レーダ装置31、撮像部32、視線検知部33、車車間通信部35,表示部36及び音声出力部37の構成については、送信側メッセージ通信装置10で説明したものと同様である。
【0058】
入力部34は、例えば受信側車両のステアリングに設けられた入力ボタンであり、応答メッセージを送信するか否かを決定するために、受信側車両の運転手によって操作される。入力部34としては、応答メッセージの送信を決定できる構成であれば入力ボタンに限定されることはなく、例えば、運転手の声を入力するマイク及び運転手の発話内容を識別する音声認識装置から構成することもできる。
【0059】
制御装置38は、応答メッセージDB39及びキャラクタDB40を備える。図5に示すように、応答メッセージDB39は送信メッセージ及び応答メッセージの内容を、IDで対応づけた構成を有しており、制御装置38は、送信側車両から送られた送信メッセージに対応する応答メッセージを抽出する。例えば、送信メッセージが「割り込み失礼します」である場合は、制御部38は対応する「どうぞ」の応答メッセージを抽出し、車車間通信部35を介して、応答メッセージを送信側車両に送る。
【0060】
キャラクタDB40の構成は、送信側メッセージ通信装置10に設けられたものと同様である。
【0061】
上記構成によるメッセージ通信装置の動作について、左側車線への割り込みを通知する例、渋滞により停車中であることを通知する例、青信号であることを前方車両に通知する例、左折のため減速中であることを後続車に通知する例、交差点に進入することを他車両に通知する例、二輪車が走行していることを対向車両に通知する例につき、図面を参照して説明する。
【0062】
(実施例1)
図6は、送信側メッセージ通信装置10の動作を示すフローチャートである。まず、交通状況検出部11からの情報に基づき、制御装置15は、自車両の速度、走行経路情報及びブレーキペダルの操作状況、他車両の速度、距離及び進行方向、障害物の有無といった交通状況を検出する(S11)。そして、制御装置15は、検出された交通状況が、条件マスタファイル22に定められた条件を満たすか否かの判定を行う(S12)。
【0063】
本実施例では、交通状況検出部11からの信号により、送信側車両の左側方に他車両が存在すること、送信側車両の左ウインカーが操作されたことが検出される。すると、制御装置15は、条件マスタファイル22を参照して、ID「01」に対応する条件(すなわち、左車線へ割り込みを行う条件)に合致したと判定し、対応する送信メッセージ「割り込み失礼します」を抽出する(S13)。
【0064】
次に、制御装置15は、送信メッセージDB23より、ID「01」に対応する送信対象情報として「左側車両」を抽出するとともに、レーダ装置17及び撮像部18を駆動して、左側方を走行する車両を検出し、これを受信側車両として特定する(S14)。そして、制御装置15は、車車間通信部12を駆動して受信側車両との間で車車間通信を確立する。
【0065】
受信側車両が設定されると、制御装置15は、車車間通信部12を介して、「割り込み失礼します」の送信メッセージを受信側車両に送信する(S15)。
【0066】
図7は、送信メッセージを受信した受信側メッセージ通信装置30の動作を示すフローチャートである。受信側メッセージ通信装置30の制御装置38は、車車間通信部35を介して送信側車両より送信メッセージを受信する(S21)。そして、制御装置38は、車車間通信部35を介して、送信側車両より位置情報及び方向情報を受信することで、送信側車両の方向及び位置を検出する(S22)。あるいは、制御装置38において、レーダ装置31及び撮像部32を駆動して、応答側車両の周囲の状況を検出することで送信側車両の方向及び位置を検出してもよい。
【0067】
次に、制御装置38は、レーダ装置31及び撮像部32からの信号に基づき、割り込みを行う送信側車両が受信側車両に過度に近づいているといった、危険な状況にないことを検出すると、応答メッセージDB39から、送信メッセージ「割り込み失礼します」に対応する応答メッセージ「どうぞ」を抽出する(S23)。
【0068】
次に、制御装置38は、キャラクタDB40から、送信側車両の方向(送信メッセージ方向)に対応する、送信側車両の図形データ及び音声データを抽出し(S24)、応答メッセージのデータとともに表示部36へ送る。
【0069】
表示部36は、所定の受信側車両の図形を表示するとともに、抽出された送信側車両の図形を、送信メッセージ方向の位置に表示する(S25)。さらに、表示部36は、送信メッセージを、送信側車両と対応づけて表示する(S26)。
【0070】
図8は、受信側車両において、送信メッセージが送信側車両とともに出力表示される様子を示す説明図である。受信側車両に設けられた表示パネル50には、送信側車両51,受信側車両52の他に、図示しない地図情報や経路情報が表示される。そして、受信側車両52の右前方の位置(メッセージ送信方向に対応する)に、送信側車両51が表示されるとともに、送信側車両51の近傍に「割り込み失礼します」との送信メッセージ53が表示される。
【0071】
これにより、受信側車両52の運転手は、近くを走行中の車両がどの方向から割り込みを行うのかを瞬時に識別することができる。また、送信側車両51をキャラクタ表示することで、車車間通信を効果的に演出することができ、割り込み受ける側の受信側車両52の運転手が受けるストレスを軽減することができる。さらに、送信側車両51の方向に応じて表示図形を変更することで、受信側車両52の運転手は、送信側車両51がどの方向に位置するのかを容易に識別することができる。
【0072】
さらに、制御装置38は、キャラクタDB40より抽出された音声データに基づき、送信メッセージを音声出力部37のスピーカを介して音声出力する。この際、制御装置38は、送信側車両51の方向に配置されたスピーカから音声出力するように制御することにより、送信側車両51の方向を容易に識別できる。また、送信側車両51の方向に応じて、出力される音声のタイプを変更することにより、送信側車両51の方向を容易に識別することができる。
【0073】
特に、送信側車両51による車線割り込みのように、送信側車両51の方向が右側から斜め右側へと移動する場合には、制御装置38は、右側のスピーカと右前方のスピーカの出力を調整することにより、送信側車両51による割り込みがなされることを、受信側車両52の運転手に効果的に伝達することができる。
【0074】
送信メッセージ53が表示パネルに表示された後、表示部36は、対応する応答メッセージである「どうぞ」を表示パネルに表示するとともに、図9に示すように、この応答メッセージを送信して良いか否かを促すメッセージ54を表示する(S27)。
【0075】
受信側車両の運転手が入力部37を操作して、応答メッセージ送信の許可がなされると(S28)、制御装置38は、車車間通信部35を介して、応答メッセージ「どうぞ」を送信側車両に送信する(S29)。
【0076】
図10は、応答メッセージを受信した送信側メッセージ通信装置10の動作を示すフローチャートである。送信側メッセージ通信装置10の制御装置15は、車車間通信部12を介して受信側車両から応答メッセージを受信すると(S31)、レーダ装置17及び撮像部18を駆動して、受信側車両の方向及び距離を検出する(S32)。次に、制御装置15は、受信側車両の方向情報に基づき、キャラクタDB24から受信側車両に対応する図形データ及び音声データを抽出する(S33)。
【0077】
そして、制御装置15は、表示部13に図形データ及び応答メッセージを送信する。図11に示すように、表示部13に設けられた表示パネル55には、送信側車両51を示す図形と送信メッセージ53とが対応づけて表示されるとともに、送信側車両の右後方の位置に、受信側車両52を示す図形と「どうぞ」の応答メッセージ56が対応づけて表示される。
【0078】
また、制御装置15は、音声出力部14に対し、音声データ及び受信側車両の方向情報を出力する。音声出力部14は、受信側車両の方向に設置されたスピーカから応答メッセージを音声出力する。
【0079】
なお、上記実施例では、送信メッセージを送信する条件として、左側に車両が存在することと、左ウインカーが操作されたことを挙げているが、これらに限定されることはなく、例えば、視線検出部により運転手が左側を向いたことが検出された場合や、ナビゲーション装置からの経路情報に基づき、車線変更が必要となると判定された場合など、種々の条件を設定することができる。
【0080】
また、応答メッセージを送信する条件として、受信側車両の操作部37による操作がなされた場合を挙げているが、これに限定されることはない。例えば、送信メッセージが音声出力された際、レーダ装置及び撮像部で得られた情報に基づき送信側車両と受信側車両との距離が所定値以上であると検出された場合(すなわち、割り込みを受ける受信側車両に危険が迫っていないと判定された場合)、視線検出部により運転手が右側を見たことが検出された場合(すなわち、運転手が送信側車両を確認したと判定された場合)、ブレーキペダルの操作が検出された場合など、種々の条件を設定することができる。
【0081】
(実施例2)
図12は、前方に停車中の送信側車両61が、渋滞のために停車中であることを、後続車両(受信側車両62)に通知した場合の表示例を示す説明図である。以下の実施例では、メッセージ通信装置10,30の動作については、実施例1で述べたのと同様であるから、詳細な説明を省略する。
【0082】
送信側車両61の交通状況検出装置11からの情報により、送信側車両61及び前車両63が停止していること、前方車両63との距離が例えば5m以内であること、後ろを走行する受信側車両62との距離が減少していることが検出されると、制御装置15は、図2のID「02」の条件を満たしたと判定し、「渋滞のため停車中です」の送信メッセージを抽出し、これを受信側車両62に送信する。
【0083】
受信側車両62では、送信側車両61を示す図形及び送信メッセージ62を表示するとともに、応答メッセージDB39を参照して、前記送信メッセージに対応する「了解です」の応答メッセージを抽出する。受信側車両62の運転手によって応答メッセージの送信が許可されると、応答メッセージが送信側車両61に送信される。送信側車両61では、送信側車両61を示す図形と「渋滞のため停車中です」の送信メッセージ64とが対応づけて表示されるとともに、受信側車両62を示す図形と「了解です」の応答メッセージ65とが対応づけて表示される。
【0084】
上記実施例において、送信メッセージ及び応答メッセージを送信する条件を、適宜定めることができる。例えば、ナビゲーション装置16において渋滞情報を検出したときに送信メッセージを送信しても良く、送信メッセージが音声出力された場合、送信側車両を視認したことが検出された場合、ブレーキペダルが操作された場合に、応答メッセージを自動送信することもできる。また、メッセージを表示する代わりに、メッセージを音声出力しても良い。
【0085】
(実施例3)
図13は、後方にある送信側車両71が、前方にある受信側車両72に対し、青信号であることを通知する場合の実施例を示す説明図である。送信側車両71は、例えば撮像部18で得られた画像から、進行方向の直近の信号機73が青色であること、前方にある受信側車両72が停止していることを検出すると、図2のID「03」の条件を満たしたと判定し、「信号が青になりました」の送信メッセージを受信側車両72に送信する。
【0086】
受信側車両72は、送信側車両71を示す図形とともに送信メッセージを表示するとともに、応答メッセージDB39を参照して、前記送信メッセージに対応する「申し訳ありません」の応答メッセージを抽出する。受信側車両72の運転手によって応答メッセージの送信が許可されると、応答メッセージが送信側車両71に送信される。送信側車両71では、送信側車両71の図形と「信号が青になりました」の送信メッセージ74とが対応づけて表示されるとともに、受信側車両72を示す図形と「申し訳ありません」の応答メッセージ75とが対応づけて表示される。
【0087】
上記実施例において、メッセージを送信する条件を適宜定めることができる。例えば、信号機73との間の路車間通信により、当該信号機73が青色であることを検出した場合や、車車間通信により受信側車両72の前方の車両が走行していることを検出した場合等に、送信メッセージを送信しても良い。
【0088】
また、送信メッセージが音声出力された場合、送信側車両を視認したことが検出された場合、受信側車両が発信した場合に、応答メッセージを自動送信することもできる。また、メッセージを表示する代わりに、メッセージを音声出力しても良い。
【0089】
(実施例4)
図14は、送信側車両81が、左折のために減速中であることを受信側車両82に通知する場合の実施例を示す説明図である。送信側車両81は、前車両との距離が増加していること、後車両(受信側車両82)との距離が減少していること、ナビゲーション装置の経路情報から送信側車両81が次の交差点で左折することを検出した場合に、図2のID「04」の条件を満たしたと判定し、対応する「左折のため減速中です」の送信メッセージを、受信側車両82に送信する。
【0090】
受信側車両82は、送信側車両81を示す図形とともに送信メッセージを表示するとともに、応答メッセージDB39を参照して、前記送信メッセージに対応する「了解です」のメッセージを抽出する。受信側車両82の運転手によって応答メッセージの送信が許可されると、応答メッセージが送信側車両81に送信される。送信側車両81では、送信側車両81を示す図形と、「左折のため減速中です」の送信メッセージ83とを対応づけて表示するとともに、受信側車両82を示す図形と「了解です」の応答メッセージ84が対応づけて表示される。
【0091】
上記実施例において、メッセージを送信する条件を適宜定めることができる。例えば、送信側車両81において、ウインカーが操作された際に送信メッセージを送信しても良い。また、受信側車両82において、送信メッセージが音声出力された場合、後車両との距離が所定値以上であることが検出された場合(すなわち、追突の危険性がない場合と判定された場合)に、応答メッセージを自動送信しても良い。また、メッセージを表示する代わりに、メッセージを音声出力しても良い。
【0092】
(実施例5)
図15は、送信側車両91が交差点に進入することを、交差車両付近にいる受信側車両92の運転手に通知する例を示す説明図である。送信側車両91は、自車両が交差点93に接近していること、レーダ装置からの情報により交差道路内に他車両(受信側車両92)が存在していること、送信用車両91の前方を撮像して得られた画像に受信側車両92が入っていないことを検出した場合に、図2のID「05」の条件に合致したと判定する。そして、当該条件に対応する「わき道から出てきます」の送信メッセージを、受信側車両92に送信する。
【0093】
受信側車両92は、送信側車両91を示す図形とともに送信メッセージ60を表示するとともに、応答メッセージDB39を参照して、前記送信メッセージに対応する「了解です」のメッセージを抽出する。受信側車両92の運転手によって応答メッセージの送信が許可されると、応答メッセージが送信側車両91に送信される。送信側車両91では、送信側車両91を示す図形と、「わき道から出てきます」の送信メッセージ94とを対応づけて表示するとともに、受信側車両92を示す図形と「了解です」の応答メッセージ95が対応づけて表示される。
【0094】
上記実施例において、メッセージを送信する条件を適宜定めることができる。例えば、送信側車両91において、撮像画像を解析する代わりに、ナビゲーション装置の地図情報に基づき、見通しの悪い交差点であることが検出された場合に、送信メッセージを送信しても良い。また、受信側車両92において、送信メッセージが音声出力された場合、送信側車両91の方向を目視したことが検出された場合、ブレーキペダルが操作された場合に、応答メッセージを自動送信しても良い。また、メッセージを表示する代わりに、メッセージを音声出力しても良い。
【0095】
(実施例6)
図16は、送信側車両101から、対向車線内で右折待ちをしている受信側車両102に対して、二輪車の存在を通知する例を示す説明図である。送信側車両101は、対向車線内に交差道路103への右折のために停車中(あるいは微速で走行中)の受信側車両102が存在すること、及び送信側車両101の左後方に二輪車が走行していることを検出した場合に、図2のID「n」の条件に合致したと判定する。そして、送信側車両101は、対応する「バイクが来ています」の送信メッセージを受信側車両102に送信する。
【0096】
受信側車両102は、送信側車両101を示す図形とともに送信メッセージを表示するとともに、応答メッセージDB39を参照して、前記送信メッセージに対応する「ありがとうございます」の応答メッセージを抽出する。受信側車両102の運転手によって応答メッセージの送信が許可されると、応答メッセージが送信側車両101に送信される。送信側車両101では、送信側車両101を示す図形と、「バイクが来ています」の送信メッセージ104とを対応づけて表示するとともに、受信側車両102を示す図形と「了解です」の応答メッセージ105が対応づけて表示される。
【0097】
上記実施例において、メッセージを送信する条件を適宜定めることができる。例えば、受信側車両102において、信メッセージが音声出力された場合、送信側車両51の方向を目視したことが検出された場合、ブレーキペダルが操作された場合に、応答メッセージを自動送信しても良い。また、メッセージを表示する代わりに、メッセージを音声出力しても良い。
【0098】
上記実施形態では、メッセージに対応するテキストデータないし音声データを送受信しているが、送信メッセージ及び応答メッセージをID番号で対応づけておき、車々間通信ではID番号のみを送受信しても良い。送信側、応答側の各車両において、ID番号に対応する送信メッセージ及び応答メッセージを抽出し、これを出力することができる。この場合には、送信データ量を減らすことができるため、メッセージの通信をより迅速に行うことができる。
【0099】
上記実施形態では、メッセージを画面に表示するとともに音声出力しているが、画面表示あるいは音声出力のいずれかにより、メッセージを出力するようにしても良い。
【0100】
上記実施形態では、説明の便宜上、メッセージ通信装置10,30の構成を一部省略しているが、これらメッセージ通信装置10,30を同一の部材から構成しても良い。
【0101】
上記実施形態では、メッセージを送信する車両の方向情報に基づき、車両の図形または音声タイプを設定していたが、方向情報とともに、「赤色スポーツカー」「20歳代男性」「調理師」といった、車種、運転手のプロフィール(性別、年齢、職業)を示すキャラクタデータを送信側車両より送信しても良い。受信側車両では、前記キャラクタデータに対応する画像データ及び音声データを有するデータベースが備えられ、送信側車両からのキャラクタデータに対応する画像データを抽出し、送信メッセージとともにディスプレイに表示する。あるいは、受信側車両は、キャラクタデータに対応する音声データを抽出し、送信メッセージを音声出力する。
【0102】
また、運転手の現在の外形的状態(疲れている、会話中である、急いでいる、迷っている等)を、予め設定するか、あるいは車内に設けられたカメラ及びマイクによって検出し、検出された運転手の状態に対応する図形ないし音声タイプを示すキャラクタデータを、受信側車両に送信しても良い。その他にも、運転スキル(初心者/ベテラン、運転頻度、免許証の種類、事故回数、自動車保険等級など)を示す情報、送信側車両の乗員(乗員数、乗員構成など)を示す情報、行程に関する情報(目的地、出発地、運転時間など)を、キャラクタデータとして受信側車両に送信しても良い。
【0103】
図17は、送信側車両の運転手の外形的特徴、プロフィール、運転スキル、送信側車両の乗員、行程に基づき定められた表示用図形を画面表示する例を示したものである。送信側車両の図形110には、車両の図形とともに、運転手を示す図形111、運転初心者であることを示す図形112,同乗者を示す図形113が含まれる。図17の例では、運転手の外形的特徴(会話中であること)、プロフィール(20歳代男性、大学生)、運転スキル(1年以内事故歴なし)、行程(目的地)といった情報は、情報ボックス114にテキスト表示しているが、これらの情報を示す表示用図形を表示させても良い。
【0104】
さらに、送信メッセージを、受信側車両の運転手が利用する言語で送信しても良い。例えば、受信側車両の運転手が英語のみ利用する場合には、車車間通信を構築する際に、受信側車両で利用する言語情報を送信側車両に送信し、送信側車両は言語情報に対応する送信メッセージデータを受信側車両に送信する。これにより、受信側車両の運転手が理解できる言語でメッセージを表示するから、車車間通信によるコミュニケーションを確実に行うことができる。
【0105】
以上に本発明の好適な実施の形態を説明した。しかし、本発明は上述の実施の形態に限定されず、当業者が本発明の範囲内で上述の実施の形態を変形可能なことはもちろんである。
【産業上の利用可能性】
【0106】
以上のように、本発明にかかるメッセージ通信装置は、メッセージ送信のための特別な操作を伴うことなく、交通状況に応じた適切なメッセージを送受信することができるという効果を有し、例えば車載用のメッセージ通信装置として有用である。
【符号の説明】
【0107】
10,30 メッセージ通信装置
11 交通状況検出部
22 条件マスタファイル
23,39 メッセージDB
24,40 キャラクタDB
51,61,71,81,91,101 送信側車両
52,62,72,82,92,102 受信側車両
53,64,74,83,94,104 送信メッセージ
54,65,75,84,95,105 応答メッセージ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信側車両に設置され、車車間通信により受信側車両との間でメッセージの送受信を行うメッセージ通信装置において、
前記送信側車両の走行状況及び前記送信側車両の周囲状況を検出する交通状況検出部と、
前記走行状況及び前記周囲状況の所定条件と、送信メッセージ及び送信対象を対応づけて記憶するメッセージ記憶部と、
前記交通状況検出部により検出された前記走行状況及び前記周囲状況が前記所定条件を満たす場合に、対応する前記送信メッセージ及び送信対象を抽出する制御部と、
抽出された前記送信メッセージを前記受信側車両に送信するメッセージ通信部とを備えたメッセージ通信装置。
【請求項2】
前記メッセージ通信部は、前記送信メッセージに対する応答として前記受信側車両から送信される応答メッセージを受信し、
前記交通状況検出部は、前記受信側車両の方向をメッセージ受信方向として検出し、
前記メッセージ受信方向に対応するディスプレイ上の領域に前記受信側車両を表示するとともに、前記応答メッセージを前記受信側車両と対応づけて表示する表示部を備えた請求項1記載のメッセージ通信装置。
【請求項3】
車両を表示する図形をキャラクタとして記憶する記憶部であって、前記メッセージ受信方向に応じて異なるキャラクタを記憶するキャラクタ記憶部を備え、
前記制御部は、前記メッセージ受信方向に対応する前記表示用図形を前記キャラクタ記憶部から抽出し、
前記表示部は、前記表示用図形を前記受信側車両として表示する請求項2記載のメッセージ通信装置。
【請求項4】
前記メッセージ通信部は、前記受信側車両に対応する表示用図形のデータを前記受信側車両から受信し、
前記表示部は、前記表示用図形を前記受信側車両として表示する請求項2記載のメッセージ通信装置。
【請求項5】
前記表示用図形は、前記受信側車両の運転手の外形的状態、プロフィール及び運転スキル並びに前記受信側車両の乗員及び行程を示す情報のうち少なくとも1つに基づき決定されることを特徴とする、請求項3または4記載のメッセージ通信装置。
【請求項6】
前記メッセージ通信部は、前記送信メッセージに対する応答として前記受信側車両から送信される応答メッセージを受信し、
前記交通状況検出部は、前記受信側車両の方向をメッセージ受信方向として検出し、
複数のスピーカを備え、前記メッセージ受信方向に対応するスピーカから前記応答メッセージを音声出力する音声出力部を備えた、請求項1記載のメッセージ通信装置。
【請求項7】
車両を示す音声タイプをキャラクタとして記憶する記憶部であって、前記メッセージ受信方向に応じて異なるキャラクタを記憶するキャラクタ記憶部を備え、
前記制御部は、前記メッセージ受信方向に対応する音声タイプを前記キャラクタ記憶部から抽出し、
前記音声出力部は、抽出された前記音声タイプに対応する音声にて、前記応答メッセージを音声出力する請求項6記載のメッセージ通信装置。
【請求項8】
前記メッセージ通信部は、前記受信側車両に対応する音声タイプのデータを前記受信側車両から受信し、
前記音声出力部は、前記音声タイプに対応する音声で前記応答メッセージを音声出力する請求項6記載のメッセージ通信装置。
【請求項9】
受信側車両に設置され、車車間通信により送信側車両との間でメッセージの送受信を行うメッセージ通信装置において、
前記送信側車両からの送信メッセージを受信するメッセージ通信部と、
前記送信メッセージを出力するメッセージ出力部と、
前記送信メッセージと応答メッセージとを対応づけて記憶する応答メッセージ記憶部と、
前記送信メッセージに対応する前記応答メッセージを抽出し、前記メッセージ通信部を介して前記応答メッセージを前記送信側車両に送信する制御部とを備えたメッセージ通信装置。
【請求項10】
前記応答メッセージの送信を決定するために操作される入力部を備え、
前記制御部は、前記入力部が操作された場合に前記応答メッセージの送信を実行する請求項9記載のメッセージ通信装置。
【請求項11】
前記送信側車両の方向をメッセージ受信方向として検出する受信方向検出部を備え、
前記メッセージ出力部は、前記メッセージ受信方向の位置に前記送信側車両を表示するとともに、前記送信メッセージを前記送信側車両と対応づけて表示する表示部である請求項9または10記載のメッセージ通信装置。
【請求項12】
車両を表示する図形をキャラクタとして記憶する記憶部であって、前記メッセージ受信方向に応じて異なるキャラクタを記憶するキャラクタ記憶部を備え、
前記制御部は、前記メッセージ受信方向に対応する前記表示用図形を前記キャラクタ記憶部から抽出し、
前記表示部は、前記表示用図形を前記送信側車両として表示する請求項11記載のメッセージ通信装置。
【請求項13】
前記メッセージ通信部は、前記送信側車両に対応する表示用図形のデータを前記送信側車両から受信し、
前記表示部は、前記表示用図形を前記送信側車両として表示する請求項11記載のメッセージ通信装置。
【請求項14】
前記表示用図形は、前記送信側車両の運転手の外形的状態、プロフィール及び運転スキル並びに前記受信側車両の乗員及び行程を示す情報のうち少なくとも1つに基づき決定されることを特徴とする、請求項12または13記載のメッセージ通信装置。
【請求項15】
前記送信側車両の方向をメッセージ受信方向として検出する受信方向検出部を備え、
前記メッセージ出力部は、複数のスピーカを備え、前記メッセージ受信方向に対応するスピーカから前記送信メッセージを音声出力する音声出力部である請求項9または10記載のメッセージ通信装置。
【請求項16】
車両を示す音声タイプをキャラクタとして記憶する記憶部であって、前記メッセージ受信方向に応じて異なるキャラクタを記憶するキャラクタ記憶部を備え、
前記制御部は、前記メッセージ受信方向に対応する音声タイプを抽出し、
前記音声出力部は、抽出された前記音声タイプに対応する音声にて、前記送信メッセージを音声出力する請求項15記載のメッセージ通信装置。
【請求項17】
前記メッセージ通信部は、前記送信側車両で定められた音声タイプのデータを前記送信側車両から受信し、
前記音声出力部は、前記音声タイプに対応する音声で前記送信メッセージを出力する請求項15記載のメッセージ通信装置。
【請求項18】
送信側車両に設けられた送信側メッセージ通信装置と、受信側車両に設けられた受信側メッセージ通信装置から構成され、車車間通信により前記送信側車両と前記受信側車両との間でメッセージを送受信するメッセージ伝達システムにおいて、
前記送信側メッセージ通信装置は、
前記送信側車両の走行状況及び前記送信側車両の周囲状況を検出する交通状況検出部と、
前記走行状況及び前記周囲状況の所定条件と、送信メッセージ及び送信対象を対応づけて記憶するメッセージ記憶部と、
前記交通状況検出部により検出された前記走行状況及び前記周囲状況が前記所定条件を満たす場合に、対応する前記送信メッセージ及び送信対象を抽出する制御部と、
抽出された前記送信メッセージを前記受信側車両に送信するメッセージ通信部とを備え、
前記受信側メッセージ通信装置は、
前記送信側車両からの送信メッセージを受信するメッセージ通信部と、
前記送信メッセージを出力するメッセージ出力部と、
前記送信メッセージと応答メッセージとを対応づけて記憶する応答メッセージ記憶部と、
前記送信メッセージに対応する前記応答メッセージを抽出し、前記メッセージ通信部を介して前記応答メッセージを前記送信側車両に送信する制御部とを備えたメッセージ通信システム。
【請求項19】
車車間通信により、送信側車両と受信側車両との間でメッセージの送受信を行うメッセージ通信方法において、
前記送信側車両に備えられたメッセージ通信装置が、前記送信側車両の走行状況及び前記送信側車両の周囲状況を検出し、検出された前記走行状況及び前記周囲状況が前記所定条件を満たす場合に、前記所定条件と対応づけて記憶された前記送信メッセージを抽出し、抽出された前記送信メッセージを前記受信側車両に送信することを特徴とするメッセージ通信方法。
【請求項20】
車車間通信により、送信側車両と受信側車両との間でメッセージの送受信を行うメッセージ通信方法において、
前記受信側車両に備えられたメッセージ通信装置が、前記送信側車両からの送信メッセージを受信し、前記送信メッセージを出力し、前記送信メッセージと対応づけて記憶された応答メッセージを抽出し、前記送信側車両に前記応答メッセージを送信するメッセージ通信方法。
【請求項21】
車車間通信により送信側車両と受信側車両との間でメッセージの送受信を行うメッセージ通信プログラムであって、前記送信側車両に搭載されるコンピュータに対し、
前記送信側車両の走行状況及び前記送信側車両の周囲状況を検出するステップと、
前記走行状況及び前記周囲状況の所定条件と、送信メッセージ及び送信対象を対応づけて記憶部に記憶するステップと、
前記走行状況及び前記周囲状況が前記所定条件を満たす場合に、対応する前記送信メッセージ及び送信対象を抽出するステップと、
抽出された前記送信メッセージを前記受信側車両に送信するステップとを実行させることを特徴とするメッセージ通信プログラム。
【請求項22】
車車間通信により送信側車両と受信側車両との間でメッセージの送受信を行うメッセージ通信プログラムであって、前記受信側車両に搭載されるコンピュータに対し、
前記送信側車両からの送信メッセージを受信するステップと、
前記送信メッセージを出力するステップと、
前記送信メッセージと応答メッセージとを対応づけて記憶部に記憶するステップと、
前記送信メッセージに対応する前記応答メッセージを抽出し、前記応答メッセージを前記送信側車両に送信するステップとを実行させることを特徴とするメッセージ通信プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−48748(P2012−48748A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−255724(P2011−255724)
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【分割の表示】特願2009−76254(P2009−76254)の分割
【原出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(502324066)株式会社デンソーアイティーラボラトリ (332)
【Fターム(参考)】