説明

メディア処理装置及びメディア処理装置の制御方法

【課題】ホストコンピュータとメディア処理装置との間の処理パフォーマンスの向上を図る。
【解決手段】メディアの一方の面にデータ書込み処理を行うメディアドライブと、メディアの他方の面に印刷処理を行うレーベルプリンタと、メディアを保管するメディアスタッカと、ホストコンピュータから送信される制御コマンドに応じて、メディアドライブ、レーベルプリンタ及びメディアスタッカの何れかへ、メディアを搬送する搬送アームと、を備えたメディア処理装置の制御方法であって、処理開始コマンドに応じて複数の制御コマンドの実行を開始する実行ステップ(ST11)と、全ての制御コマンドを正常に実行したか否かを判断する判断ステップ(ST12)と、ST12において正常に実行したと判断した場合に、処理開始コマンドとセットで送信された処理終了コマンドに対する応答として正常終了通知を送信する送信ステップ(ST15)と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理対象メディア(CD、DVD等)の一方の面にデータの書き込み処理を
行い、他方の面に印刷処理を行うメディア処理装置及びメディア処理装置の制御方法に関
する。
【背景技術】
【0002】
データの受け渡しなど行うために、データが書き込まれたCD、DVDなどのメディア
が用いられている。特に、データ量が多い場合に、文書の代わりに、メディアを用いてデ
ータの交換が行われている。
【0003】
データが書き込まれたメディア、例えばCDは、CDパブリッシャと呼ばれるメディア
処理装置によって作成される。メディア処理装置では、ブランクメディアスタッカに収納
されているブランクCDをCDドライブに供給して、所定のデータを書き込み、しかる後
に、レーベルプリンタによってCDのレーベル面に印刷を施すことにより、CDを作成し
ている(特許文献1参照)。
【0004】
従来のメディア処理装置は、ホストコンピュータからコマンドが送信される毎に所定の
処理を行い、その後に応答を返送するようにしている。ホストコンピュータは、メディア
処理装置から応答があると、その応答から処理結果を解析し、正常に処理が行われたこと
を確認すると、次のコマンドを与える。正常に処理が行われなかった場合は次のコマンド
を送信することなく処理を終了する。以後同様に、ホストコンピュータからメディア処理
装置にコマンドが送信され、メディア処理装置が該コマンドに従って所定の処理を行い、
ホストコンピュータに応答を返す。
【0005】
特許文献2には、ホストコンピュータからのコマンドに応じてデータ処理を実行する記
録装置が記載されている。記録装置は、データ処理が終了すると、終了処理及び初期化処
理を実行する。終了処理及び初期化処理の実行中に通信エラーが発生すると、通信エラー
の情報を操作パネルに表示する。ホストコンピュータからステータスの問い合わせがあれ
ば、そのレスポンスとしてホストコンピュータへエラー情報を返すことができる。
【0006】
また、特許文献3には、印刷制御部と印刷機構部とを備えた記録装置が記載されている
。印刷制御部と印刷機構部とは相互にコマンドのやりとりを行う。印刷制御部からパラメ
ータ指定コマンドをうけると印刷機構部は、1ページ分のデータの送信要求を印刷制御部
へ送る。1ページ分のデータを受信し印刷処理を終了すると、終了信号を印刷制御部へ返
す。各ページについてこの処理を繰り返す。つまり、印刷機構部は1ページ分のデータの
印刷処理が終了する毎に印刷制御部へ印刷終了を知らせる終了信号を送信する。
【0007】
ここで、具体的にホストコンピュータとメディア処理装置間のデータの授受を図11を
参照して説明する。同図に示すように、まずホストコンピュータは、メディア処理装置(
実際の処理はファームウェアによって行われる)にコマンド1を送信する。メディア処理
装置はこのコマンド1を受信すると、該コマンドに対する処理を行い、応答1を送信する
。コマンド1は、例えばブランクCDをピックアップするためにアームを移動させるもの
であり、メディア処理装置はこのコマンドを受信すると、アームをブランクメディアスタ
ッカまで移動させる。
【0008】
ホストコンピュータは、応答1を受信すると、その内容を解析してコマンド1に対する
処理が正常に行われたかどうか判定する(解析1)。当該処理が正常に行われた場合は、
次のコマンド2を与える。コマンド1に対する処理が正常に行われなかった場合はその時
点で処理を終了する。メディア処理装置はコマンド2を受け取ると、該コマンド2に対す
る処理を行い、応答2を送信する。コマンド2は、例えばブランクCDをピックアップさ
せるものであり、メディア処理装置はこのコマンドを受けると、ブランクメディアスタッ
カまでアームを動かして、ブランクメディアスタッカに置かれたブランクCD1枚をピッ
クアップする。
【0009】
ホストコンピュータは、応答2を受信すると、その内容を解析してコマンド2に対する
処理が正常に行われたかどうか判定する(解析2)。当該処理が正常に行われた場合は、
次のコマンド3を与える。コマンド2に対する処理が正常に行われなかった場合はその時
点で処理を終了する。以後同様に処理が行われる。ホストコンピュータ側から見れば、「
コマンドの送信」→「応答の受信」→「応答結果の解析」の順で処理が行われ、メディア
処理装置から見れば、「コマンドの受信」→「コマンドに対する処理」→「応答の送信」
の順で処理が行われる。このように、1つのコマンドを実行するごとにホストコンピュー
タに対して応答を返す処理は、たとえば特許文献4に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2005−259318号公報
【特許文献2】特開平07−186462号公報
【特許文献3】特開平06−135103号公報
【特許文献4】特開2002−279359号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、上述した従来のメディア処理装置においては、ホストコンピュータとの間で
1つのコマンドを受ける毎に応答を返し、ホストコンピュータでは応答を受信する毎にそ
の内容を解析することから、通信データ量や通信処理が多く、ホストコンピュータとメデ
ィア処理装置との間の処理パフォーマンスが良くないという問題がある。
【0012】
本発明は係る事情に鑑みてなされたものであり、ホストコンピュータとメディア処理装
置との間の処理パフォーマンスの向上が図れるメディア処理装置及びメディア処理装置の
制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的は下記構成又は方法により達成される。
本発明は、処理対象メディアの一方の面に対してデータ書込み処理を行うデータ書込み
手段と、
前記処理対象メディアの他方の面に対して印刷処理を行う印刷手段と、
前記処理対象メディアを保管する処理対象メディア保管手段と、
ホストコンピュータから送信される制御コマンドに応じて、前記データ書込み手段、前
記印刷手段及び前記処理対象メディア保管手段の何れかへ、前記処理対象メディアを搬送
するメディア搬送手段と、を備え、
前記メディア搬送手段は、処理開始コマンドに応じて複数の前記制御コマンドの実行を
開始し、全ての制御コマンドを正常に実行したと判断すると、前記処理開始コマンドとセ
ットで送信された処理終了コマンドに対する応答として正常終了通知を前記ホストコンピ
ュータへ送信することを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、処理対象メディアの一方の面に対してデータ書込み処理を行うデータ
書込み手段と、前記処理対象メディアの他方の面に対して印刷処理を行う印刷手段と、前
記処理対象メディアを保管する処理対象メディア保管手段と、ホストコンピュータから送
信される制御コマンドに応じて、前記データ書込み手段、前記印刷手段及び前記処理対象
メディア保管手段の何れかへ、前記処理対象メディアを搬送するメディア搬送手段と、を
備えたメディア処理装置の制御方法であって、
処理開始コマンドに応じて複数の前記制御コマンドの実行を開始する実行ステップと、
全ての制御コマンドを正常に実行したか否かを判断する判断ステップと、
前記判断ステップにおいて正常に実行したと判断した場合に、前記処理開始コマンドと
セットで送信された処理終了コマンドに対する応答として正常終了通知を前記ホストコン
ピュータへ送信する送信ステップと、を有することを特徴とする。
【0015】
上記構成によれば、処理開始コマンドに応じて複数の制御コマンドに応じた処理対象メ
ディアの搬送処理を順次行い、全ての制御コマンドが正常に実行されると、処理開始コマ
ンドとセットで送信された処理終了コマンドに対する応答として、正常終了通知をホスト
コンピュータへ送信する。したがって、従来のようにホストコンピュータとの間で1つの
コマンドを受信する毎に応答を返す場合と比べて、応答の送受信回数が減少する。また、
ホストコンピュータがその応答を解析して次のコマンドを送信するまでの時間を短縮する
ことができる。これにより、通信データ量や通信時間が減少し、ホストコンピュータとメ
ディア処理装置との間の処理パフォーマンスが向上する。
【0016】
また、本発明のメディア処理装置において、前記メディア搬送手段は、前記複数の制御
コマンドのうち、いずれか1つでも正常に実行できなかったと判断すると、前記ホストコ
ンピュータに正常に実行できなかった制御コマンドの異常終了通知を前記処理終了コマン
ドに対する応答として送信することを特徴とする。
【0017】
また、本発明のメディア処理装置の制御方法は、前記判断ステップにおいて、前記複数
の制御コマンドのうち、いずれか1つでも正常に実行できなかったと判断すると、前記処
理終了コマンドに対する応答として正常に実行できなかった制御コマンドの異常終了通知
を前記ホストコンピュータへ送信することを特徴とする。
【0018】
上記構成によれば、複数の制御コマンドそれぞれに応じた処理を順次行った際に、いず
れか1つでも正常に実行できなかった処理があると、その時点でホストコンピュータに正
常に実行できなかった制御コマンドの応答を送信するので、ホストコンピュータ側で、異
常終了したコマンドを把握することができ、メディア処理装置の異常箇所を早期に特定す
ることができる。
【0019】
また、本発明のメディア処理装置において、前記メディア搬送手段は、正常に実行でき
なかった制御コマンドがあると、残りの全ての制御コマンドの実行を中止することを指示
することを特徴とする。
【0020】
また、本発明のメディア処理装置の制御方法は、前記判断ステップにおいて、正常に実
行できなかった制御コマンドがあると判断すると、残りの全ての制御コマンドの実行を中
止することを特徴とする。
【0021】
上記構成によれば、正常に実行できなかった制御コマンドがあると、残りの全ての制御
コマンドに応じた処理の実行を中止するので、無意味な処理の実行を回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るメディア処理装置の外観を示す斜視図である。
【図2】図1のメディア処理装置の内部構造を示す斜視図である。
【図3】図1のメディア処理装置の機械的構成を示した模式図である。
【図4】図1のメディア処理装置の概略構成を示すブロック図である。
【図5】図1のメディア処理装置とホストコンピュータとの間のデータ授受を示すタイムチャートである。
【図6】図1のメディア処理装置の動作を示す概略フローチャートである。
【図7】第2の実施形態のメディア処理装置の各部を開状態としたときの外観斜視図である。
【図8】第2の実施形態のメディア処理装置の内部の主要部分を示す斜視図である。
【図9】第2の実施形態のメディア処理装置の機械的構成を示した模式図である。
【図10】第2の実施形態のメディア処理装置の内部処理の概略構成を示すブロック図である。
【図11】従来のメディア処理装置とホストコンピュータとの間のデータ授受を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
<第1の実施形態>
以下、本発明に係るメディア処理装置及びメディア処理装置の制御方法を実施するため
の好適な第1の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明を適
用したメディア処理装置1の概観斜視図であり、図2は、メディア処理装置1の内部の主
要部分を示す斜視図であり、図3は、メディア処理装置の機械的構成を示した模式図であ
る。
【0024】
(メディア処理装置の具体的構成例)
図1に示すように、メディア処理装置1は、ほぼ直方体形状の装置ケース31を備え、
この装置ケース31の前面には、左右に開閉可能な開閉扉32、33が取り付けられてい
る。開閉扉32、33の上側には、操作ボタン、電源ボタン、テンキー、指紋センサなど
が配列された操作面34が形成されている。開閉扉32の下側には横長い矩形の処理済メ
ディアを取り出すメディア取出し口31aが外部へ向けて開口している。
【0025】
図2に示すように、メディア処理装置1の装置ケース31の内部には、その正面から見
て右側の部位に、データ書き込み処理及びレーベル印刷処理が行われていないブランクメ
ディア2Aを保管するブランクメディアスタッカ11(処理対象メディア保管手段)と、
データ書き込み処理及びレーベル印刷処理が行われた処理済メディア2Bを保管する処理
済メディアスタッカ12(処理対象メディア保管手段)と、が同軸状態で上下に配置され
ている。ブランクメディアスタッカ11は、前方に水平に引き出し可能なスライド板41
と、このスライド板41の上に垂直に配置されている左右一対の円弧状の枠板42、43
とを備えている。これらにより、ブランクメディア2Aを上端開口部から受け入れ、同軸
状態に積層した状態で収納可能なスタッカが構成されている。ブランクメディアスタッカ
11にブランクメディア2Aを収納あるいは補充する作業は、開閉扉32を開け、スライ
ド板41を手前に引き出すことにより、簡単に行うことが可能となっている。
【0026】
下側の処理済メディアスタッカ12も同一構造となっている。前方に水平に引き出し可
能なスライド板44と、この上面に垂直に配置されている左右一対の円弧状の枠板45、
46と、を備えている。これらによって、処理済メディア2Bを上端開口部から受け入れ
、同軸状態で積層した状態で収納可能なスタッカが構成されている。これらのブランクメ
ディアスタッカ11、処理済メディアスタッカ12は、例えば、50枚(=n)の処理対
象メディア2を収納可能となっている。
【0027】
これらブランクメディアスタッカ11、処理済メディアスタッカ12の左隣の部位には
、その後側に汎用スタッカが配置されている。この汎用スタッカ13(処理対象メディア
保管手段)には、処理済メディア2Bが保管されるほか、データ書き込み処理に失敗した
失敗メディアが保管される。汎用スタッカ13の前方には、処理済メディア2Bを外部へ
排出する際に利用される排出メディアスタッカ14(処理対象メディア保管手段)が配置
されている。これらのスタッカ13、14は、共通のベース47と、このベース47から
垂直に起立している側板48、49、50とによって構成されている。後側の汎用スタッ
カ13は、後ろ側の側板48の円弧状内周面48aと、左右の側板49、50における後
側の円弧状内周面49a、50aと、によって構成されており、これらによって規定され
る上端開口部から受け入れた処理済メディア2Bが同軸状態に積層されて収納される。前
側の排出メディアスタッカ14は、左右の側板部分49、50の前側の円弧状内周面49
b、50bによって構成されており、これらによって規定される上端開口部から受け入れ
た処理済メディア2Bが同軸状態に積層されて収納される。
【0028】
ここで、左右の側板部分49、50の上端面49c、50cはほぼ三角形の平坦面とさ
れており、これらの上端面49c、50cの前側縁に連続して前方に傾斜した傾斜案内面
49d、50dが形成されている。これらの傾斜案内面49d、50dが排出メディアス
タッカ14の左右の円弧状内周面49b、50bの上端縁部分に連続している。汎用スタ
ッカ13は例えば30枚(=n1)の処理対象メディア2を収納可能であり、排出メディ
アスタッカ14は例えば20枚(=n2)の処理対象メディア2を収納可能である。なお
、処理対象メディア2とは、メディア処理装置1が実行する各処理の対象となるメディア
であり、ブランクメディア2A、処理済メディア2Bが含まれる。
【0029】
図2、3に示すように、ブランクメディアスタッカ11、処理済メディアスタッカ12
の後側には、メディア搬送機構6(メディア搬送手段)が配置されている。メディア搬送
機構6は、装置ケース31に垂直に取り付けられているシャーシ51と、このシャーシ5
1の上下の水平支持板部分52の間に垂直に架け渡されている垂直ガイド軸54と、この
垂直ガイド軸54に取り付けたメディア搬送アーム55と、を備えている。メディア搬送
アーム55は、垂直ガイド軸54に沿って昇降可能であるとともに、当該垂直ガイド軸5
4を中心に左右に旋回可能である。
【0030】
メディア搬送機構6の後側には、上側にメディアドライブ4(データ書込み手段)が配
置され、下側にレーベルプリンタ5(印刷手段)配置されている。図2においては、上側
のメディアドライブ4のメディアトレイ71が内部に引き込まれた位置71Bにあり、下
側のレーベルプリンタ5のプリンタトレイ81も後ろ側のメディア印刷位置81Bにある
状態が示されている。レーベルプリンタ5はインクジェットプリンタであり、インク供給
源として各色のインクカートリッジ(図示せず)が用いられており、これらのインクカー
トリッジがカートリッジ装着部(図示せず)に装着されている。
【0031】
(メディア処理装置の内部構成について)
次に、メディア処理装置1の内部処理について説明する。
図4はメディア処理装置1の概略構成を示すブロック図である。同図において、メディ
ア処理装置1は、各部の制御を司る制御部60を有し、メディア処理装置1内のメディア
ドライブ駆動部61、レーベルプリンタ駆動部62、メディア搬送機構駆動部63(メデ
ィア搬送手段)等の制御を行う。メディアドライブ駆動部61は、メディアドライブ4を
駆動制御する。レーベルプリンタ駆動部62はレーベルプリンタ5を駆動制御する。メデ
ィア搬送機構駆動部63はメディア搬送機構6を駆動制御する。また、メディア処理装置
1は、CDに書き込むためのデータと該CDのレーベル面にレーベル印刷する画像データ
を一時的に記憶する記憶部64と、通信用のインターフェース65を有している。制御部
60は、通信用のインターフェース65を介して、専用通信回線あるいは一般通信回線に
よってホストコンピュータ100と接続されている。
【0032】
制御部60は、通常は、ホストコンピュータ100側から供給されるコマンドに基づき
、メディア作成動作(データ書き込み動作、レーベル面印刷動作)を行う。ホストコンピ
ュータ100からは、前後に処理開始コマンドと処理終了コマンドを配置した複数のコマ
ンドが供給されるようになっている。制御部60は、この複数のコマンドを一括して扱う
ことができ、最初のコマンドから順次実行し、全て正常に実行し終えると、ホストコンピ
ュータ100に応答を返す。途中で正常に処理できなかったコマンドがあると、その時点
でホストコンピュータ100に異常終了したコマンドの応答を返し、残りの全てのコマン
ドに対する処理を中止する。ホストコンピュータ100では、メディア処理装置1の制御
部60からの応答に基づいて処理結果を解析し、正常に処理できなかったコマンドがある
場合は、そのコマンドの処理内容から推定できる故障内容をホストコンピュータ100の
モニタ(図示略)画面上に表示する。
【0033】
操作部66は、操作面34に設置された操作ボタン、電源ボタン、テンキー、指紋セン
サ等からの指示を受信し、制御部60を介して、指示に応じた動作を各構成部へ指示する

【0034】
上記メディアドライブ4、メディアドライブ駆動部61及び制御部60によってデータ
書込み手段が構成される。また、上記レーベルプリンタ5、レーベルプリンタ駆動部62
及び制御部60によって印刷手段が構成される。また、上記メディア搬送機構6、メディ
ア搬送機構駆動部63及び制御部60によって搬送アーム手段が構成される。
【0035】
図5は、ホストコンピュータ100との間のデータ授受を示すタイムチャートである。
処理開始コマンドと処理終了コマンドで挟んだ一連のコマンド1〜4(コマンドセット
)は、例えば、メディア搬送アーム55をブランクメディアスタッカ11へ移動させるコ
マンド(コマンド1)、ブランクメディアスタッカ11から未使用のブランクメディア2
Aをピックアップさせるコマンド(コマンド2)、ピックアップさせたブランクメディア
2Aをメディアドライブ4へ搬送させるコマンド(コマンド3)、ブランクメディア2A
をメディアドライブ4のメディアトレイ71にリリースさせるコマンド(コマンド4)で
ある。制御部60は、これらの一連のコマンドをホストコンピュータ100から受けるこ
とで、順次実行する。この処理を図6のフローチャートに示す。
【0036】
図6において、まずホストコンピュータ100からコマンドが入力されたかどうか判定
する(ステップST10)。ホストコンピュータ100からコマンドが入力されない場合
(ステップST10:No)は、他の処理(ステップST16)を行ってステップST1
0に戻る。ホストコンピュータ100からコマンドが入力された場合は(ステップST1
0:Yes)、そのコマンドに応じた処理の実行を指示する(ステップST11)。例え
ば、メディア搬送アーム55をブランクメディアスタッカ11へ移動させるコマンド1に
ついては、メディア搬送機構駆動部63にコマンド1に対する処理の実行を指示する。メ
ディア搬送機構駆動部63は、当該指示を受けると、メディア搬送アーム55を動かして
ブランクメディアスタッカ11へ移動させる。メディア搬送アーム55の移動が終了する
と、当該動作が終了した旨の情報がメディア搬送機構駆動部63から制御部60へ送られ
る。
【0037】
制御部60は、メディア搬送機構駆動部63にコマンド1の処理の実行を指示した後、
コマンド1の処理が正常に実行されたかどうか判定する(ステップST12)。処理が正
常に実行された場合(ステップST12:Yes)は、次のコマンドに対する処理を行う
ため、現在のコマンドが最後のコマンドかどうか判定し、現在のコマンドが最後のコマン
ドでなければステップST11に戻り、次のコマンドに対する処理を行う。このようにし
て、全てのコマンドに対する処理が正常に行われると、応答処理を行う(ステップST1
5)。この場合、全てのコマンドに対する処理が正常に行われた旨の応答をホストコンピ
ュータ100に返す。
【0038】
上述したコマンド2(ブランクメディアスタッカ11から未使用のブランクメディア2
Aをピックアップさせるコマンド)については、メディア搬送機構駆動部63にコマンド
2に対する処理の実行を指示する。メディア搬送機構駆動部63は当該指示を受けると、
メディア搬送アーム55をブランクメディアスタッカ11上のブランクメディア2Aのと
ころまで降下させて、ブランクメディア2Aをピックアップさせる。ブランクメディア2
Aのピックアップが終了すると、当該動作が終了した旨の情報がメディア搬送機構駆動部
63から制御部60へ送られる。
【0039】
また、上述したコマンド3(ピックアップさせたブランクメディア2Aをメディアドラ
イブ4へ搬送させるコマンド)については、メディア搬送機構駆動部63にコマンド3に
対する処理の実行を指示する。メディア搬送機構駆動部63は当該指示を受けると、メデ
ィア搬送アーム55をメディアドライブ4まで移動させる。メディア搬送アーム55の移
動が終了すると、当該動作が終了した旨の情報がメディア搬送機構駆動部63から制御部
60へ送られる。
【0040】
また、上述したコマンド4(ブランクメディア2Aをメディアドライブ4のメディアト
レイ71にリリースさせるコマンド)を実行するにあたって、制御部60は予めメディア
ドライブ駆動部61にコマンド4に対応する処理の実行を指示する。すなわち、メディア
ドライブ駆動部61は当該指示を受けるとメディアドライブ4を制御してメディアトレイ
71をメディア受け渡し位置71Bまで開ける。メディアドライブ4のメディアトレイ7
1がメディア受け渡し位置71B(図2参照)まで開くと、当該動作が終了した旨の情報
がメディアドライブ駆動部61から制御部60へ送られる。制御部60は、次にメディア
搬送機構駆動部63にコマンド4に対する処理の実行を指示する。メディア搬送機構駆動
部63は当該指示を受けると、メディア搬送アーム55をメディアドライブ4のメディア
トレイ71の直上まで降下させ、メディア搬送アーム55が保持しているブランクメディ
ア2Aをリリースさせる。メディアトレイ71へブランクメディア2Aをリリースすると
、当該動作が終了した旨の情報がメディア搬送機構駆動部63から制御部60へ送られる

【0041】
一方、ステップST12において、正常に処理が行われなかった場合は(ステップST
12:No)、その時点で処理を中止し(ステップST14)、当該コマンドの応答をホ
ストコンピュータ100に返す(ステップST15)。この場合、処理を中止するという
ことは、残りの全てのコマンドに対する処理を中止するということである。例えば、コマ
ンド2に対する処理が正常に行われなかった場合、コマンド3、コマンド4のそれぞれに
対する処理を中止する。異常終了した処理があると、残りの全てのコマンドに応じた処理
の実行を中止させることで、無意味な処理の実行を回避できる。また、異常終了したコマ
ンドの応答をホストコンピュータ100へ送信することで、ホストコンピュータ100は
、異常終了したコマンドを把握することができ、メディア処理装置1の異常箇所を早期に
特定することができる。
【0042】
このように本実施の形態のメディア処理装置1によれば、ホストコンピュータ100か
ら処理開始コマンドと処理終了コマンドで挟まれた複数のコマンドが与えられると、これ
らのコマンドに応じた処理を順次行う。そして最後のコマンドに応じた処理を行った後に
処理終了コマンドに対する応答として、複数処理の実行結果をホストコンピュータ100
へ送信する。このため、ホストコンピュータ100との間で1つのコマンドを受ける毎に
応答を返すようにした従来技術と比べて、応答の送受信回数の減少や応答を解析して次の
コマンドを送信するまでの時間を削減することができる。また、通信データ量や通信処理
が減少し、メディア処理装置1のパフォーマンスが向上する。
【0043】
また、メディア処理装置1は、複数の制御コマンドそれぞれに応じた処理を順次行い、
異常終了した処理があると残りのコマンドを読み捨てる。そして、ホストコンピュータ1
00に異常終了した制御コマンドの応答を送信するので、ホストコンピュータ100側で
、異常終了した制御コマンドを把握することができ、メディア処理装置1の異常箇所を早
期に特定することができる。
【0044】
また、異常終了した処理があると、残りの全ての制御コマンドに応じた処理の実行を中
止させるので、無意味な処理の実行を回避できる。
【0045】
なお、上記の例は、CD、DVDの作成を行う場合の例であるが、CD、DVDなどの
光ディスク、光磁気ディスクの他に、半導体メモリ、磁気記録媒体などの他の形式の外部
記録媒体の作成を行う場合にも本発明を適用できる。この場合、外部記録媒体書き込み装
置(メディアドライブ)も、単一の形式の外部記録媒体の書き込みおよび発行動作を行う
ものを用いることができることは勿論のこと、異なる形式の外部記録媒体の書き込み、お
よび発行動作を行う機能を備えたものを用いることも可能である。
【0046】
<第2の実施形態>
次に、図面を参照して、本発明を適用したメディア処理装置の第2の実施形態を説明す
る。図7は本発明を適用したメディア処理装置の各部を開状態としたときの外観斜視図で
あり、図8は、メディア処理装置の内部の主要部分を示す斜視図であり、図9は、メディ
ア処理装置の機械的構成を示した模式図である。
【0047】
(メディア処理装置の具体的構成例)
図7に示すように、メディア処理装置200は、例えばCDあるいはDVD等の円板状
のメディアへのデータの書き込みやメディアのレーベル面への印刷を行うメディア処理装
置であり、ほぼ直方体形状のケース102を備えている。このケース102の前面には、
左右に開閉可能な開閉扉103,104が取り付けられている。ケース102の上側左端
部には、表示ランプ、操作ボタン等が配列された操作面105が設けられており、また、
ケース102の下端には、下方に突出するように載置用の脚部106が左右両側に設けら
れている。左右の脚部106の間位置には引出機構107が設けられている。
【0048】
正面視右側の開閉扉103は、図7に示すように、メディア処理装置200の前面側の
開口部108を開閉するもので、例えば未使用(ブランク)のメディアMを開口部108
を介してセットする時、あるいは作成済みのメディアMを、開口部108を介して取り出
すときに、開閉する扉である。
また、正面視左側の開閉扉104は、図8に示すレーベルプリンタ111のインクカー
トリッジ112の入れ換え時に開閉するためのものであり、この開閉扉104を開けると
、鉛直方向に配列された複数のカートリッジホルダ113を有するカートリッジ装着部1
14が露出するようになっている。
【0049】
メディア処理装置200のケース102の内部には、データ書き込み処理が行われてい
ない複数枚(例えば50枚)の未使用のメディアMをスタック可能なメディア保管部とし
ての第1のメディアスタッカ121と、複数枚(例えば50枚)の未使用のメディアMあ
るいは作成済みメディアMが保管されるメディア保管部としての第2のメディアスタッカ
121と、がメディアMの中心軸線が同一となるように上下に配置されている。第1のメ
ディアスタッカ121および第2のメディアスタッカ121は、それぞれ所定位置に対し
て着脱自在である。
【0050】
第1のメディアスタッカ121は、左右一対の円弧状の枠板124,125を備えてお
り、これにより、メディアMを上側から受け入れ、同軸に積層した状態で収容可能な構成
をなしている。第1のメディアスタッカ121にメディアMを収容あるいは補充する作業
は、開閉扉103を開けて第1のメディアスタッカ121を取り出すことにより、簡単に
行うことが可能となっている。
【0051】
第2のメディアスタッカ121も同一構造となっており、左右一対の円弧状の枠板12
7,128を備え、これによって、メディアMを上側から受け入れ、同軸に積層した状態
で収容可能なスタッカが構成されている。
【0052】
これらの第1のメディアスタッカ121および第2のメディアスタッカ121の後側に
は、メディア搬送機構131が配置されている。メディア搬送機構131は、本体フレー
ム130とシャーシ132の天板133との間に垂直に架け渡されている垂直ガイド軸1
35を有している。この垂直ガイド軸135に搬送アーム136が昇降および旋回可能な
状態で支持されている。搬送アーム136は、駆動モータ137によって垂直ガイド軸1
35に沿って昇降可能であるとともに、垂直ガイド軸135を中心に左右に旋回可能であ
る。
【0053】
上下のスタッカ121,122およびメディア搬送機構131の側方の後方の部位には
、上下に積層された2つのメディアドライブ141,141が配置され、これらメディア
ドライブ141,141の下側にレーベルプリンタ111の図示せぬキャリッジが移動可
能に配置されている。メディアドライブ141はメディアMに対するデータ書き込みに最
大で5分間要する。複数のメディアドライブ141,141を設けることによって(本実
施形態では2つ)、同時に複数のメディアMに対してデータの書き込みを行うことができ
るので、スループットを向上させることができる。
メディアドライブ141,141は、メディアMへのデータ書き込み位置とメディアM
の受け取り受け渡しを行うメディア受け渡し位置との間を移動可能なメディアトレイ14
1a,141aをそれぞれ有している。
【0054】
また、レーベルプリンタ111は、メディアMのレーベル面へのレーベル印刷可能な印
刷位置とメディアMの受け取り受け渡しを行うメディア受け渡し位置との間を移動可能な
メディアトレイ145を有している。
【0055】
図8では、上下のメディアドライブ141,141のメディアトレイ141a,141
aが手前に引き出されてメディア受け渡し位置にある状態および下側のレーベルプリンタ
111のメディアトレイ145が手前側のメディア受け渡し位置にある状態が示されてい
る。また、レーベルプリンタ111はインクジェットプリンタであり、インク供給機構1
60として各色(本実施形態ではブラック、シアン、マゼンタ、イエロー、ライトシアン
、ライトマゼンタの6色)のインクカートリッジ112が用いられ、これらのインクカー
トリッジ112がカートリッジ装着部114の各カートリッジホルダ113に前方から装
着されている。
【0056】
ここで、第1のメディアスタッカ121の左右一対の枠板124,125の間およびメ
ディアスタッカ22の左右一対の枠板127,128の間には、メディア搬送機構131
の搬送アーム136が昇降可能な隙間が形成されている。また、第1のメディアスタッカ
121と第2のメディアスタッカ122との間には、メディア搬送機構131の搬送アー
ム136が水平に旋回して、第2のメディアスタッカ121の真上に位置できるように隙
間が開いている。さらに、両メディアトレイ141a,141aをメディアドライブ14
1に押し込むと、メディア搬送機構131の搬送アーム136を下降させて、メディア受
け渡し位置にあるメディアトレイ145にアクセス可能となっている。
【0057】
メディア搬送機構131の搬送アーム136は、両メディアトレイ141a,141a
をデータ書き込み位置に位置させ、メディアトレイ145を奥側の印刷位置に位置させた
状態で、メディアトレイ145の高さ位置よりもさらに下側まで下降可能となっている。
そして、メディアトレイ145のメディア受け渡し位置の下方には、搬送アーム136が
この位置まで降下してリリースしたメディアMが通過するガイド穴165であって、後述
するメディアスタッカ(別体スタッカ)が装着されるガイド穴165が形成されている。
【0058】
引出機構107は、本体フレーム130の下側に、本体フレーム130から引き出して
開いたり、収納して閉じたりすることが可能な引出トレイ170を有している。引出トレ
イ170には、スタッカ部171が下方に凹んで設けられている。引出トレイ170が収
納位置(閉位置)にあるとき、スタッカ部171は、ガイド穴165の下方に位置し、ス
タッカ部171の中心部は、受け渡し位置にある両メディアトレイ141a,141aと
メディアトレイ145の中心軸線が同一となるように位置されている。このスタッカ部1
71は、ガイド穴165を介して投入されるメディアMを受け入れ、このメディアMを比
較的少量(例えば5枚〜10枚程度)だけ収容する。スタッカ部171は、メディアMを
上側から受け入れ、同軸に積層した状態で収容可能となっている。
【0059】
収納状態にある引出トレイ170のスタッカ部171およびガイド穴165には、スタ
ッカ部171よりもメディアMの収容量が多いメディアスタッカ(別体スタッカ)172
が着脱可能となっている。この第3のメディアスタッカ172も、一対の円弧状の枠板1
73,174を備えており、これによって、メディアMを上側から受け入れ、同軸に積層
した状態で複数枚(例えば50枚)収容可能となっている。一対の円弧状の枠板173,
174の間には、メディア搬送機構131の搬送アーム136が昇降可能な隙間が形成さ
れている。また、一方の枠板174の上部には着脱時にユーザによって把持される取っ手
175が設けられている。
【0060】
つまり、図8及び図9に示すように第3のメディアスタッカ172を取り付けた状態と
すれば、第2のメディアスタッカ121から未使用のメディアMを取り出し、メディアド
ライブ141およびレーベルプリンタ111でデータ記録および印刷を行った後に、第3
のメディアスタッカ172に収容することができる。
また、例えば、第1のメディアスタッカ121および第2のメディアスタッカ121に
それぞれの最大収容枚数(50枚+50枚)の未使用のメディアMを装填し、第2のメデ
ィアスタッカ121の全枚数(50枚)のメディアMを順次処理して第3のメディアスタ
ッカ172に収容し、次に、第1のメディアスタッカ121の全枚数(50枚)のメディ
アMを順次処理して、空となった第2のメディアスタッカ121に収容する。このように
して、第1のメディアスタッカ121および第2のメディアスタッカ121の最大収容枚
数(50枚+50枚)のメディアMを一度に処理する(バッチ処理モード)。
【0061】
また、第3のメディアスタッカ172を取り外した状態とすれば、第1のメディアスタ
ッカ121あるいは第2のメディアスタッカ121から未使用のメディアMを取り出し、
メディアドライブ141およびレーベルプリンタ111でデータ記録および印刷を行った
後に、収納状態にある引出トレイ170のスタッカ部171に収容することができる。
【0062】
これにより、引出トレイ170を引き出すことでスタッカ部171から処理が完了した
メディアMを取り出すことができる。つまり、メディアMへの処理中であっても、開閉扉
103を閉じたまま、処理が完了したメディアMから順に一枚ずつあるいは複数枚ずつ取
り出すことができる(外部排出モード)。
【0063】
ここで、メディア搬送機構131の搬送アーム136の昇降および左右への旋回の組み
合わせ動作によって、メディアMは、第1のメディアスタッカ121、第2のメディアス
タッカ121、引出トレイ170のスタッカ部171(または第3のメディアスタッカ1
72)、各メディアドライブ141のメディアトレイ141a,141aおよびレーベル
プリンタ111のメディアトレイ145間で適宜搬送される。
【0064】
(メディア処理装置の内部構成について)
次に、メディア処理装置200の内部処理について説明する。図10はメディア処理装
置200の内部処理の概略構成を示すブロック図である。
本実施形態では、ホストコンピュータ100のUSBポートに複数のUSBデバイスを
接続するための分岐装置であるハブ164を介して 、レーベルプリンタ111、メディ
アドライブ141及びメディア搬送機構131の3つのUSBデバイスが通信可能に接続
されている。
【0065】
各USBデバイスとホストコンピュータ100とは、各通信インターフェース166,
167,168を介して通信可能に接続されている。ドライブ制御部161は、メディア
ドライブ141を駆動制御する。プリンタ制御部162はレーベルプリンタ111を駆動
制御する。メディア搬送機構制御部190はメディア搬送機構131を駆動制御する。ド
ライブ制御部161はCDに書き込むための書き込みデータを一時的に記憶する記憶部を
備え、プリンタ制御部162はCDのレーベル面にレーベル印刷する画像データを一時的
に記憶する記憶部を備えている。
【0066】
メディア処理装置200はホストコンピュータ100から供給されるコマンドに基づき
、メディア作成動作(データ書き込み動作、レーベル面印刷動作)を行う。ホストコンピ
ュータ100からは、前後に処理開始コマンドと処理終了コマンドを配置した複数のコマ
ンドが供給されるようになっている。各制御部161,162,163は、この複数のコマ
ンドを一括して扱うことができ、最初のコマンドから順次実行し、全て正常に実行し終え
ると、ホストコンピュータ100に応答を返す。途中で正常に処理できなかったコマンド
があると、その時点でホストコンピュータ100に異常終了したコマンドの応答を返し、
残りの全てのコマンドに対する処理を中止する。ホストコンピュータ100では、メディ
ア処理装置200の各制御部161,162,163からの応答に基づいて処理結果を解析
し、正常に処理できなかったコマンドがある場合は、そのコマンドの処理内容から推定で
きる故障内容をホストコンピュータ100のモニタ(図示略)画面上に表示する。
【0067】
第1の実施形態で説明した図5を参照すると、各制御部161,162,163は、処理
開始コマンドと処理終了コマンドで挟んだ一連のコマンドをホストコンピュータ100か
ら受け、順次実行する。
一連のコマンド1〜4(コマンドセット)とは、例えば、搬送アーム136を第1のメ
ディアスタッカ121へ移動させるコマンド(コマンド1)、第1のメディアスタッカ1
21から未使用のブランクメディアMをピックアップさせるコマンド(コマンド2)、ピ
ックアップさせたブランクメディアMをメディアドライブ141へ搬送させるコマンド(
コマンド3)、ブランクメディアMをメディアドライブ141のメディアトレイ141a
,141aにリリースさせるコマンド(コマンド4)である。この処理を第1の実施形態
の図6のフローチャートを参照して説明する。
【0068】
図6において、まずホストコンピュータ100からコマンドが入力されたかどうか判定
する(ステップST10)。ホストコンピュータ100からコマンドが入力されない場合
(ステップST10:No)は、他の処理(ステップST16)を行ってステップST1
0に戻る。ホストコンピュータ100からコマンドが入力された場合は(ステップST1
0:Yes)、そのコマンドに応じた処理の実行を指示する(ステップST11)。例え
ば、搬送アーム136を第1のメディアスタッカ121へ移動させるコマンド1について
は、メディア搬送機構制御部190は搬送アーム136を動かして第1のメディアスタッ
カ121へ移動させる。
【0069】
搬送アーム136の移動が終了すると、メディア搬送機構制御部190はコマンド1の
処理が正常に実行されたかどうか判定する(ステップST12)。処理が正常に実行され
た場合(ステップST12:Yes)は、次のコマンドに対する処理を行うため、現在の
コマンドが最後のコマンドかどうか判定し、現在のコマンドが最後のコマンドでなければ
ステップST11に戻り、次のコマンドに対する処理を行う。このようにして、全てのコ
マンドに対する処理が正常に行われると、応答処理を行う(ステップST15)。メディ
ア搬送機構制御部190は、全てのコマンドに対する処理が正常に行われた旨の応答をホ
ストコンピュータ100に返す。
【0070】
上述したコマンド2(第1のメディアスタッカ121から未使用のブランクメディアM
をピックアップさせるコマンド)については、メディア搬送機構制御部190は搬送アー
ム136を第1のメディアスタッカ121上のブランクメディアMのところまで降下させ
て、ブランクメディアMをピックアップさせる。
【0071】
また、上述したコマンド3(ピックアップさせたブランクメディアMをメディアドライ
ブ141へ搬送させるコマンド)については、メディア搬送機構制御部190は、搬送ア
ーム136をメディアドライブ141まで移動させる。
【0072】
また、上述したコマンド4(ブランクメディアMをメディアドライブ141のメディア
トレイ141aにリリースさせるコマンド)については、ドライブ制御部161によって
メディアトレイ141aがメディア受け渡し位置まで引き出されるのを待って、メディア
搬送機構制御部190は搬送アーム136をメディアトレイ141aの直上まで降下させ
、搬送アーム136が保持しているブランクメディアMをリリースさせる。
【0073】
一方、ステップST12において正常に処理が行われなかった場合は(ステップST1
2:No)、その時点で処理を中止し(ステップST14)、当該コマンドの応答をホス
トコンピュータ100に返す(ステップST15)。この場合、処理を中止するというこ
とは、残りの全てのコマンドに対する処理を中止するということである。例えば、コマン
ド2に対する処理が正常に行われなかった場合は、コマンド3、コマンド4のそれぞれに
対する処理を中止する。異常終了した処理があると、残りの全てのコマンドに応じた処理
の実行を中止させることで、無意味な処理の実行を回避できる。また、異常終了したコマ
ンドの応答をホストコンピュータ100へ送信することで、ホストコンピュータ100は
、異常終了したコマンドを把握することができ、メディア処理装置200の異常箇所を早
期に特定することができる。
【符号の説明】
【0074】
1:メディア処理装置、31:ケース、32:開閉扉、33:開閉扉、34:操作面、3
1a:メディア取出し口、5:レーベルプリンタ、81:メディアトレイ、11:ブラン
クメディアスタッカ、12:処理済メディアスタッカ、6:メディア搬送機構、55:メ
ディア搬送アーム、4:メディアドライブ、71:メディアトレイ、71B:メディア受
け渡し位置、2A:ブランクメディア、2B:処理済メディア、60:制御部、61:メ
ディアドライブ駆動部、62:レーベルプリンタ駆動部、63:メディア搬送機構駆動部
、64:記憶部、65:通信用インターフェース、100:ホストコンピュータ、111
:レーベルプリンタ、121,122,172:メディアスタッカ、131:メディア搬送
機構、136:搬送アーム、141:メディアドライブ、161:ドライブ制御部、16
2:プリンタ制御部、170:引出しトレイ、190:メディア搬送機構制御部、200
:メディア処理装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理対象メディアの一方の面に対してデータ書込み処理を行うデータ書込み手段と、
前記処理対象メディアの他方の面に対して印刷処理を行う印刷手段と、
前記処理対象メディアを保管する処理対象メディア保管手段と、
ホストコンピュータから送信される制御コマンドに応じて、前記データ書込み手段、前
記印刷手段及び前記処理対象メディア保管手段の何れかへ、前記処理対象メディアを搬送
するメディア搬送手段と、を備え、
前記メディア搬送手段は、処理開始コマンドに応じて複数の前記制御コマンドの実行を
開始し、全ての制御コマンドを正常に実行したと判断すると、前記処理開始コマンドとセ
ットで送信された処理終了コマンドに対する応答として正常終了通知を前記ホストコンピ
ュータへ送信することを特徴とするメディア処理装置。
【請求項2】
前記メディア搬送手段は、前記複数の制御コマンドのうち、いずれか1つでも正常に実
行できなかったと判断すると、前記ホストコンピュータに正常に実行できなかった制御コ
マンドの異常終了通知を前記処理終了コマンドに対する応答として送信することを特徴と
する請求項1に記載のメディア処理装置。
【請求項3】
前記メディア搬送手段は、正常に実行できなかった制御コマンドがあると、残りの全て
の制御コマンドの実行を中止することを指示することを特徴とする請求項2に記載のメデ
ィア処理装置。
【請求項4】
処理対象メディアの一方の面に対してデータ書込み処理を行うデータ書込み手段と、前
記処理対象メディアの他方の面に対して印刷処理を行う印刷手段と、前記処理対象メディ
アを保管する処理対象メディア保管手段と、ホストコンピュータから送信される制御コマ
ンドに応じて、前記データ書込み手段、前記印刷手段及び前記処理対象メディア保管手段
の何れかへ、前記処理対象メディアを搬送するメディア搬送手段と、を備えたメディア処
理装置の制御方法であって、
処理開始コマンドに応じて複数の前記制御コマンドの実行を開始する実行ステップと、
全ての制御コマンドを正常に実行したか否かを判断する判断ステップと、
前記判断ステップにおいて正常に実行したと判断した場合に、前記処理開始コマンドと
セットで送信された処理終了コマンドに対する応答として正常終了通知を前記ホストコン
ピュータへ送信する送信ステップと、を有することを特徴とするメディア処理装置の制御
方法。
【請求項5】
前記判断ステップにおいて、前記複数の制御コマンドのうち、いずれか1つでも正常に
実行できなかったと判断すると、前記処理終了コマンドに対する応答として正常に実行で
きなかった制御コマンドの異常終了通知を前記ホストコンピュータへ送信することを特徴
とする請求項4に記載のメディア処理装置の制御方法。
【請求項6】
前記判断ステップにおいて、正常に実行できなかった制御コマンドがあると判断すると
、残りの全ての制御コマンドの実行を中止することを特徴とする請求項5に記載のメディ
ア処理装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−198981(P2012−198981A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−114302(P2012−114302)
【出願日】平成24年5月18日(2012.5.18)
【分割の表示】特願2007−217397(P2007−217397)の分割
【原出願日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)