説明

メニュー表示プログラム、記録媒体、メニュー表示装置およびメニュー表示方法

【課題】位置している場所に応じて表示するメニューの構成を変更することによって、ユーザの操作入力の容易性向上を図ること。
【解決手段】テレマティックサービスなどの対話型サービスを利用する際に、移動体通信端末などの表示画面に表示するメニューの構成を位置している場所に応じて変更する。たとえば、エリアA内では、当該エリアAにおいて実行効果の高いタスクに関するメニューが表示される。また、位置している場所がエリアB内となった場合には、当該エリアBにおいて実行効果の高いタスクに関するメニューが表示される。これにより、ユーザは、エリアを意識することなく各エリアごとに実行効果の高いタスクを少ない操作回数でおこなうことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ユーザとの対話に応じて情報を提供する対話型サービスの最良な場所での実行を可能とするメニュー表示プログラム、記録媒体、メニュー表示装置およびメニュー表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネットなどの情報通信技術の普及により、パーソナル・コンピュータや携帯電話だけでなく、PDA(Personal Digital Assistants)、カーナビゲーション装置などの車載機、携帯ゲーム機などにもテレマティックサービスと呼ばれる情報提供サービスが適用されつつある。ユーザは、テレマティックサービスを利用することにより、天気情報、施設情報、交通情報などの案内情報や、楽曲購入、最新映画案内などのエンターテインメント情報をリアルタイムに取得することができる。
【0003】
このテレマティックサービスでは、ユーザによる音声入力や画面操作によってディスプレイに表示されたメニューをインタラクティブに選択して所望のタスクを実行する。タスクとは、ユーザによる音声入力や操作入力によって最終的に実行されるサービスである。
【0004】
テレマティックサービスにより提供される情報は多種多様である一方、ユーザの端末装置の表示画面における表示領域や音声入力時における認識可能な音声には制限がある。これにより、表示画面に一度に提示することができる情報量(メニュー項目の表示最大数)は限られる。このため、テレマティックサービスにおいて利用されるメニューは、階層化されたツリー状のデータ構造となる。以下、テレマティックサービスのように、ユーザがツリー状のメニューをインタラクティブに操作することによって所望のタスクを実行するサービスを対話型サービスと定義する。
【0005】
対話型サービスの各タスクには、実行に相応しいエリアが存在する。たとえば、天気図、映画予告映像、音楽データ、渋滞情報などの情報を取得可能なタスクでは、リッチコンテンツのダウンロードが必要である。このため、このような情報を取得する場合、公衆無線LANスポットやDSRC(Dedicated Short Range Communication)などの高速・安価な狭域無線通信エリアでのタスク実行が望ましい。
【0006】
また、店舗情報、観光情報、映画館情報、駐車場情報などの情報を取得可能なタスクでは、ユーザが取得した情報の中から所望の施設(たとえば、近隣に存在する施設)を検索する必要がある。これにより、検索範囲となる情報量が多い場合などには、ユーザによる検索操作が煩雑となってしまうため、該当施設が存在するエリアでのタスク実行が望ましい。
【0007】
このような、適切な場所でのタスクの実行には、現在属するエリアや近隣のエリアをユーザが意識しながらタスク実行に関する操作をおこなう必要があった。これは、特に車両を運転しながらのメニュー操作が必要な車載機では、ユーザの利便性を著しく低下させる。
【0008】
また、対話型サービスでは、音声入力や画面操作などによる複数回の操作が発生するため、最終的なタスク実行までに多くの時間を要する場合がある。このため、たとえば、ユーザがタスク実行に相応しいエリアに気づいたとしても、操作(以下、ユーザによる操作を「対話」という。)に要する時間によって車両がエリア内から外れてしまい、最良な場所でのタスク実行の機会を逸してしまう場合があった。
【0009】
従来より、地図データや渋滞情報などをサーバから取得可能な車載機において、今後必要となり得る情報を車両の現在地点から予測し、該当するエリアに到達した際に遅滞なく表示するために、予測した情報を予めダウンロードする装置が提供されている(たとえば、下記特許文献1参照。)。
【0010】
また、ユーザの過去の操作履歴などから、各エリアにおいてユーザが選択するメニューを予測し、該当するエリアに到達した際に予測したメニューを表示する装置が提供されている(たとえば、下記特許文献2参照。)。
【0011】
【特許文献1】特開2003−158777号公報
【特許文献2】特開2000−172394号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上述した特許文献1による従来技術では、予めダウンロードする情報がユーザの対話に基づいて推測される情報ではない。すなわち、対話型サービスでは、ユーザとの対話後にダウンロード対象となる情報が決定される。このため、予めダウンロードした情報がユーザにとって有効な情報ではない場合があり、依然として最良な場所でのタスク実行の機会を逸してしまうという問題があった。
【0013】
また、今後必要となり得る情報をすべてダウンロードしておくことも考えられるが、装置内の記録媒体において記録される情報量が増加してしまう。このため、ダウンロードした情報を記録するための大容量の記録媒体が必要となり、ユーザの利便性を低下させるという問題があった。
【0014】
また、上述した特許文献2による従来技術では、ユーザが過去の操作履歴を利用するため、ユーザが初めて通過する場所や操作履歴が十分に蓄積されていない場所では、過去の操作履歴を利用することができない。このため、初めて通過する場所や、利用可能な操作履歴が蓄積されるまでの期間は、ユーザによる複数回の操作入力が必要となり依然として適切な場所でのタスク実行の機会を逸してしまう場合があった。
【0015】
さらに、ユーザの趣味嗜好などが変化した場合には、過去の操作履歴がメニューを推測する際の有効な判断材料とならない場合があった。この場合、適切なメニュー表示をおこなうことができず、結果的にユーザによる複数回の操作入力が必要となり、依然として適切な場所でのタスク実行の機会を逸してしまう場合があった。
【0016】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、位置している場所において実行効果の高いタスクを少ない操作回数で実行可能とすることによって、最良な場所でのタスク実行の機会を逸することを防ぐメニュー表示プログラム、記録媒体、メニュー表示装置およびメニュー表示方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、この発明にかかるメニュー表示プログラム、記録媒体、メニュー表示装置およびメニュー表示方法は、表示可能なメニュー項目と当該メニュー項目からの昇位先または/および降位先のメニュー項目とが関連付けられたメニューデータにより階層化されたデータ構造を用いて、メニュー表示するメニュー表示プログラム、記録媒体、メニュー表示装置およびメニュー表示方法において、前記メニュー表示装置の現在地点を検出し、前記データ構造の最降位のメニューデータ内のメニュー項目によって指定可能な複数のタスクの中から、検出された現在地点に関するタスクを特定し、前記データ構造の中から、特定されたタスク(以下、「特定のタスク」という)を指定可能なメニュー項目から当該メニュー項目よりも昇位のメニュー項目を追跡し、追跡された各メニュー項目を有するメニューデータのうち前記特定のタスクを直接指定できない第1のメニューデータを、当該第1のメニューデータ内のメニュー項目よりも降位のメニュー項目を有する第2のメニューデータに変更し、変更された第2のメニューデータを表示画面に表示することを特徴とする。
【0018】
この発明によれば、現在地点に関するタスクを少ない操作回数で実行可能とするパスに変更することができる。
【0019】
また、上記発明において、検出された現在地点の所定範囲内に存在するエリアに関するタスクを特定することとしてもよい。
【0020】
この発明によれば、現在地点付近のエリアに関するタスクを少ない手順で実行可能とするパスに変更することができる。
【0021】
また、上記発明において、データ構造を構成する各メニュー項目から、当該各メニュー項目からの昇位先または/および降位先のメニュー項目への遷移に要する時間に関する重み情報に基づいて、特定されたエリアに関するタスクを指定するまでに要する時間を算出し、前記エリアに到達するまでに要する時間と、算出結果とを比較し、比較結果に基づいて、変更された第2のメニューデータによって新たに表示可能なメニュー項目を表示画面に表示させないこととしてもよい。
【0022】
この発明によれば、エリア内での特定のタスクの実行が間に合わない場合には、当該特定のタスクに関する表示をおこなわないようにすることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明にかかるメニュー表示プログラム、記録媒体、メニュー表示装置およびメニュー表示方法によれば、位置している場所において実行効果の高いタスクを少ない操作回数で実行可能とすることによって、最良な場所でのタスク実行の機会を逸することを防ぐことができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかるメニュー表示プログラム、記録媒体、メニュー表示装置およびメニュー表示方法の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0025】
(対話型サービスの全体構成)
まず、この発明の実施の形態にかかるメニュー表示装置を含む対話型サービスの全体構成を説明する。図1は、この発明の実施の形態にかかるメニュー表示装置を含む対話型サービスの全体構成を示す説明図である。対話型サービスとは、テレマティックサービスなどの、ユーザがディスプレイに表示されたメニューをインタラクティブに操作することによって所望のタスクを実行するサービスである。
【0026】
この対話型サービスでは、たとえば、地図上に設定された複数のエリアごとにユーザに提供する情報が異なる。具体的には、たとえば、各エリアごとの地理的条件、周辺に存在する施設、店舗、利用可能な通信手段の違いにより、各エリアそれぞれにおいて有効となる情報が異なる。
【0027】
図1に示すように、メニュー表示装置を搭載した車両がエリアAからエリアBに移動している。車両の現在地点がエリアA内に存在している場合は、メニュー表示装置のディスプレイには、エリアA内において実行効果の高いタスクに関するメニューが表示される。
【0028】
また、車両がエリアAからエリアBに移動した場合には、メニュー表示装置のディスプレイには、エリアB内において実行効果の高いタスクに関するメニューが表示される。このように、メニュー表示装置では、車両の現在地点、すなわち装置本体が位置している現在地点に応じてディスプレイに表示するメニューを変更することができる。
【0029】
このため、ユーザは、エリアを意識することなく各エリアごとに実行効果の高いタスクを少ない操作回数でおこなうことができる。
【0030】
(メニュー表示装置のハードウェア構成)
つぎに、メニュー表示装置のハードウェア構成について説明する。図2は、この発明の実施の形態にかかるメニュー表示装置のハードウェア構成を示すブロック図である。図2において、メニュー表示装置は、CPU201と、ROM202と、RAM203と、HDD(ハードディスクドライブ)204と、HD(ハードディスク)205と、FDD(フレキシブルディスクドライブ)206と、着脱可能な記録媒体の一例としてのFD(フレキシブルディスク)207と、ディスプレイ208と、I/F(インターフェース)209と、操作パネル210と、を備えている。また、各構成部は、バス200によってそれぞれ接続されている。
【0031】
ここで、CPU201は、メニュー表示装置の全体の制御を司る。ROM202は、ブートプログラムなどのプログラムを記録している。RAM203は、CPU201のワークウェアとして使用される。HDD204は、CPU201の制御にしたがってHD205に対するデータのリード/ライトを制御する。HD205は、HDD204の制御で書き込まれたデータを記憶する。
【0032】
FDD206は、CPU201の制御にしたがってFD207に対するデータのリード/ライトを制御する。FD207は、FDD206の制御で書き込まれたデータを記憶したり、FD207に記憶されたデータをメニュー表示装置に読み取らせたりする。
【0033】
また、着脱可能な記録媒体として、FD207のほか、CD−ROM(CD−R、CD−RW)、MO、DVD(Digital Versatile Disk)、メモリカードなどであってもよい。ディスプレイ208は、カーソル、アイコンあるいはツールボックスをはじめ、文書、画像、機能情報などのデータを表示する。このディスプレイ208には、たとえば、CRT、TFT液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイなどを採用することができる。
【0034】
I/F209は、通信回線を通じてインターネットなどのネットワーク214に接続され、このネットワーク214を介して他の装置に接続される。そして、I/F209は、ネットワーク214と内部のインターフェースを司り、外部装置からのデータの入出力を制御する。I/F209には、たとえばモデムやLANアダプタなどを採用することができる。
【0035】
操作パネル210は、文字、数字、各種指示などの入力のためのキーを備え、データの入力をおこなう。また、タッチパネル式の入力パッドやテンキーなどであってもよい。
【0036】
(メニューツリー)
ここで、メニュー表示装置のディスプレイ208に表示されるメニューを模式的に表したメニューツリーについて説明する。対話型サービスにより提供される情報は多種多様である一方、メニュー表示装置のディスプレイにおける表示領域や音声入力時における認識可能な音声には制限がある。
【0037】
このため、ディスプレイ208に一度に提示することができる情報量(メニュー項目の表示最大数)には制限がある。このような制限のもとで効率的にディスプレイ208にメニューを表示させるため、メニュー全体の構造は階層化されたツリー状となる。
【0038】
図3は、メニューツリーの一例を示す説明図である。図3に示すように、メニューツリー内の各メニュー項目は、昇位先または/および降位先のメニュー項目とつながれている。また、ツリー末端(最降位)のメニュー項目には各種プログラムを実行するタスクがつながれている。
【0039】
ユーザは、メニューツリーの構成に従って、各メニュー項目を辿っていき所望のタスクを実行する。具体的には、たとえば、映画予告映像のタスクを実行する場合には、ユーザは、メニューツリーの構成に従って、「メインメニュー」→「エンタメサービス」→「映画」→「最新映画案内」→「映画予告映像」の順にメニュー項目を辿っていき最終的に映画予告映像のタスクを実行する。映画予告映像のタスクが実行された場合には、映像再生ソフトが起動され、たとえば、ネットワーク上のサーバからダウンロードした映像データが再生される。
【0040】
また、音楽データのタスクを実行した場合には、音楽再生ソフトが起動され、ダウンロードした音楽データなどが再生される。さらに、天気図のタスクを実行した場合には、Webブラウザが起動され、ネットワーク上のサーバからダウンロードした天気画像がディスプレイ208に表示される。
【0041】
(メニューデータのデータ構造)
つぎに、メニューデータのデータ構造について具体的に説明する。メニューデータには、表示可能なメニュー項目と当該メニュー項目からの昇位先または/および降位先のメニュー項目とが関連付けられて定義されている。このメニューデータにより、図3に示すメニューツリーのような階層化されたデータ構造が構成される。
【0042】
図4は、メニューデータのデータ構造の一例を示す説明図である。ここでは、メニューデータをXML(Extensible Markup Language)を用いて記述している。XMLは、コンピュータなどで作成した文書やデータの中に、「タグ」と呼ばれる文字列を使用することによって一定の情報を埋め込むマークアップ言語の一つである。
【0043】
メニューデータを記述する言語としてはXMLに限られず、たとえば、SGML(Standard Generalized Markup Language)やHTML(HyperText Markup Language)などのマークアップ言語を用いて記述するようにしてもよい。
【0044】
メニューデータ400は、映画メニュー(図3参照)に関するメニューデータである。メニューデータ400には、降位先となるメニュー項目として「最新映画案内」、「映画館検索」および「チケット予約」が記述されている。さらに、メニューデータ400には、昇位先となるメニュー項目として「エンタメサービス」および「メインメニュー」が記述されている。
【0045】
このように、メニューデータ(たとえば、メニューデータ400)には、各メニュー項目における昇位先または/および降位先のメニュー項目などが定義されている。メニュー表示装置は、このメニューデータに基づいて、各メニュー項目に対応するメニュー画面をディスプレイ208に表示する。
【0046】
図5は、メニュー画面の一例を示す説明図(その1)である。図5に示すように、メニュー表示装置のディスプレイには、メニューデータ400に基づくメニュー画面500が表示されている。ユーザは、画面操作をおこなうことによって、メニュー画面500に表示されている任意のメニュー項目を選択可能である。たとえば、ユーザが最新映画案内のメニュー項目を選択した場合、表示される内容が最新映画案内のメニュー画面に切り替わる。
【0047】
そして、ユーザは、メニュー画面に表示されたメニュー項目を順次選択していくことにより、所望のタスクに到達することができる。ここで、メニュー項目を順次選択し、メインメニューから映画予告映像に至るまでのパスについて説明する。パスとは、一のメニュー項目から他のメニュー項目までの経路を示すものである。具体的には、メインメニューから映画予告映像までのパスとして、図3中点線矢印で示す「メインメニュー」→「エンタメサービス」→「映画」→「最新映画案内」→「映画予告映像」がある。
【0048】
図6は、パスデータの一例を示す説明図である。図6には、図3中点線矢印で示す、メインメニューから映画予告映像に至るパスを表すパスデータ600が示されている。メニュー表示装置は、ユーザの画面操作に基づいて、パスデータ600に示すメニュー画面を順に表示することによって、最終的に映画予告映像のタスクを実行する画面を表示する。
【0049】
(メニュー表示装置の機能的構成)
つぎに、この発明の実施の形態にかかるメニュー表示装置の機能的構成について説明する。図7は、この発明の実施の形態にかかるメニュー表示装置の機能的構成を示すブロック図である。図7において、メニュー表示装置は、検出部701と、特定部702と、追跡部703と、変更部704と、表示部705と、表示制御部706と、算出部707と、比較部708と、から構成されている。
【0050】
メニュー表示装置は、表示可能なメニュー項目と当該メニュー項目からの昇位先または/および降位先のメニュー項目とが関連付けられたメニューデータにより階層化されたデータ構造を用いて、メニューを表示する。
【0051】
ここで、昇位とは、階層化されたデータ構造において現在の層よりも上位の層への遷移を示している。また、降位とは、階層化されたデータ構造において現在の層よりも下位の層への遷移を示している。また、メニューデータは、具体的には、図4に示すようなXMLによって記述されたデータであり、表示可能なメニュー項目からの昇位先または/および降位先のメニュー項目が記述されている。
【0052】
まず、検出部701は、装置本体の現在地点を検出する。装置本体の現在地点とは、たとえば、緯度・経度、高度などの地図データ上の一点である。具体的には、たとえば、メニュー表示装置が車両などの移動体に搭載されている場合、移動体に搭載されたGPSユニットにおいて、GPS衛星からの受信波や移動体に設けられた各種センサからの出力値などを用いて装置本体(移動体)の現在地点情報が算出される。検出部701は、この現在地点情報を用いて装置本体の現在地点を検出する。
【0053】
特定部702は、データ構造の最降位のメニューデータ内のメニュー項目によって指定可能な複数のタスクの中から、検出部701によって検出された現在地点に関するタスクを特定する。データ構造の最降位のメニューデータとは、メニューデータにより階層化されたデータ構造において最下位の層におけるデータである。具体的には、たとえば、最降位のメニューデータは、図3に示すメニューツリーにおける末端のメニュー項目(たとえば、店舗検索メニュー、最新映画案内メニュー、チケット予約メニューなど)に関するメニューデータである。
【0054】
また、指定可能な複数のタスクとは、メニューツリーにおける末端のメニュー項目が表示されている際に、ユーザの操作入力により指定可能なタスクである。具体的には、たとえば、指定可能な複数のタスクは、図3に示す各種タスク(たとえば、ニュース、観光情報、映画予告映像など)である。
【0055】
具体的には、特定部702は、検出部701によって検出された現在地点において、実行効果の高いタスクを複数のタスクの中から特定する。たとえば、特定部702は、現在地点付近に高速・安価な狭域無線通信可能なスポットが存在している場合、実行効果の高いタスクとして各種データのダウンロードが必要となる音楽データのタスクや映画予告映像のタスクを特定する。
【0056】
また、特定部702は、検出部701によって検出された現在地点の所定範囲内に存在するエリアに関するタスクを特定するようにしてもよい。具体的には、たとえば、特定部702は、まず、エリアDBに記憶されている各エリアの所在位置を示す情報を用いて、現在地点の所定範囲内に存在するエリアを特定する。そして、特定部702は、エリアDBに記憶されているエリア種別に関するタスクを示す情報を用いて、特定したエリアのエリア種別に関するタスクを特定する。なお、エリアDBのデータ構造については後述する。
【0057】
追跡部703は、データ構造の中から、特定部702によって特定されたタスク(以下、「特定のタスク」という)を指定可能なメニュー項目から当該メニュー項目よりも昇位のメニュー項目を追跡する。具体的には、追跡部703は、特定のタスクを指定可能なメニュー項目を有するメニューデータを始点とし、終点となる最昇位(最上位)のメニューデータを終点として、順に昇位先となるメニュー項目を追跡していく。
【0058】
このとき、追跡部703は、各メニューデータにおける昇位先のメニュー項目を示す記述に基づいて追跡する。具体的には、たとえば、追跡部703は、図4に示すメニューデータの<previous link=“エンタメサービス.xml”>部分の記述に基づいて、エンタメサービスのメニュー項目を昇位先とする。
【0059】
より具体的には、たとえば、図3に示す映画予告映像のタスクを指定可能なメニュー項目である最新映画案内を始点に、順に映画、エンタメサービス、メインメニューとメニュー項目を昇位させ、追跡する。このとき、図6に示されている順番とは逆の順番にメニューデータを追跡していく。
【0060】
変更部704は、追跡部703によって追跡された各メニュー項目を有するメニューデータのうち特定のタスクを直接指定できない第1のメニューデータを、当該第1のメニューデータ内のメニュー項目よりも降位のメニュー項目を有する第2のメニューデータに変更する。ここで、特定のタスクを直接指定できない第1のメニューデータとは、当該第1のメニューデータに記述された降位先に特定のタスクが記述されていないメニューデータである。
【0061】
また、第1のメニューデータ内のメニュー項目よりも降位のメニュー項目を有する第2のメニューデータとは、記述されている降位先よりも少なくとも一つ以上下位の層のメニュー項目が記述されたメニューデータである。具体的には、変更前の第1のメニューデータが図4に示すメニューデータ400であった場合、記述されている降位先のメニュー項目は、最新映画案内、映画館検索およびチケット予約である。このため、メニューデータ400からは、映画予告映像のタスクを直接指定することができない。
【0062】
このとき、変更部704は、たとえば、降位先のメニュー項目として映画予告映像のタスクが記述された第2のメニューデータに変更する。図8は、メニューデータのデータ構造の他の一例を示す説明図である。図8に示すように、メニューデータ800には、降位先のメニュー項目として映画予告映像が記述されており、映画予告映像のタスクを直接指定することができる。なお、タスクを直接指定することができるメニュー項目には、特定のタスクを指定可能なアイコンも含まれる。
【0063】
このように、変更部704は、たとえば、特定のタスクを直接指定できない第1のメニューデータが図4に示すメニューデータ400であった場合、図8に示すメニューデータ800を第2のメニューデータとして変更するようにしてもよい。また、変更部704は、第2のメニューデータとして変更可能なメニューデータが複数存在している場合には、特定のタスクを指定するまでに要する操作回数(変更後におけるメニューデータから、特定のタスクを直接指定することができるメニューデータに至るまでの操作回数)が最も少ないメニューデータを第2のメニューデータとして変更するようにしてもよい。
【0064】
さらに、変更部704は、特定のタスクを指定するまでの所要時間(変更後におけるメニューデータから特定のタスクを直接指定することができるメニューデータに至るまでの所要時間)が最も少ないメニューデータに変更するようにしてもよい。なお、メニューデータおよび特定のタスクを指定するまでの操作回数・所要時間に関するデータは、予め作成されてHD205などの記録媒体に記録されていてもよい。
【0065】
また、変更部704は、追跡部703によって追跡された各メニュー項目を有するメニューデータのうち特定のタスクを直接指定できない第1のメニューデータを、当該特定タスクを直接指定できる第2のメニューデータに変更するようにしてもよい。すなわち、追跡部703によって追跡された各メニュー項目を有するメニューデータすべてを、特定のタスクを直接指定できるメニューデータに変更するようにしてもよい。
【0066】
つぎに、表示部705は、表示画面を有する。表示部705が有する表示画面とは、たとえば、ディスプレイ208である。また、表示制御部706は、変更部704によって変更された第2のメニューデータ内のメニュー項目を表示画面に表示する。ここで、変更部704によって変更されたメニューデータが表示画面に表示される具体例について説明する。
【0067】
図9は、メニュー画面の一例を示す説明図(その2)である。通常は、映画メニュー選択時においては、図5に示すメニュー画面500が表示される。しかし、ここでは、特定のタスクとして映画予告映像のタスクが特定されたため、変更部704によってメニューデータ400からメニューデータ800に変更される。このため、図9に示すように、表示画面には、メニューデータ800に基づくメニュー画面900が表示される。
【0068】
具体的には、メニュー画面900には、メニューデータ800に記述されている内容に基づいて、降位先を示す映画予告映像、映画館検索およびそのほかのメニュー項目が表示されており、昇位先を示す一つ前に戻る(エンタメサービスに戻る)および最初に戻る(メインメニューに戻る)ためのアイコンが表示されている。
【0069】
また、変更部704によってメニューデータ400からメニューデータ800に変更された場合は、図3に示すメニューツリーの構成はつぎのように変化する。図10は、メニューツリーの他の一例を示す説明図である。メニューデータ400からメニューデータ800に変更されることにより、映画メニュー選択時における降位先のメニュー項目が変化する。
【0070】
具体的には、図10に示すように、映画メニュー選択時における降位先が最新映画案内、映画館検索およびチケット予約から、映画予告映像、映画館検索およびそのほかに変化する。このように、映画予告映像のタスクの実行効果が高い場所において、映画メニューから直接映画予告映像のタスクを指定可能にメニューツリーの構成を変更することによって、ユーザによる音声入力や画面操作などの操作回数を少なくすることができる。
【0071】
つぎに、算出部707は、データ構造を構成する各メニュー項目から、当該各メニュー項目からの昇位先または/および降位先のメニュー項目への遷移に要する時間に関する重み情報に基づいて、特定部702によって特定されたエリアに関するタスクを指定するまでに要する時間を算出する。具体的には、算出部707は、現在表示されているメニュー画面からエリアに関するタスクを指定するまでに最低限必要となる時間を算出する。
【0072】
重み情報とは、たとえば、各メニュー画面において表示されているメニュー項目が音声案内されるのに要する時間や、ユーザの音声入力により要する時間に関する重み付けが記述された情報である。なお、この重み情報をグラフ化した重み付きグラフについては後述する。
【0073】
また、算出部707は、特定部702によって特定されたエリアに関するタスクの実行が終了するまでに要する時間を算出するようにしてもよい。たとえば、映画予告映像のタスクを実行する場合、ネットワーク上のサーバから映像データをダウンロードする必要がある。算出部707は、このダウンロードに要する所要時間を加算して時間を算出するようにしてもよい。
【0074】
さらに、算出部707は、現在地点の所定範囲内に存在するエリアに到達するまでに要する時間を算出するようにしてもよい。具体的には、算出部707は、現在地点を示す現在地点情報および現在地点の所定範囲内に存在するエリアの所在位置を示す情報に基づいて、時間を算出する。
【0075】
より具体的には、たとえば、算出部707は、現在地点からエリアまでの最短経路または直線距離を算出し、メニュー表示装置が搭載された移動体の移動速度または予め設定されている速度を用いて、当該エリア到着までの所要時間を算出する。
【0076】
比較部708は、現在地点の所定範囲内に存在するエリアに到達するまでに要する時間と、算出部707によって算出されたエリアに関するタスクの指定に要する時間とを比較する。
【0077】
また、表示制御部706は、比較部708の比較結果に基づいて、変更部704によって変更された第2のメニューデータによって新たに表示可能なメニュー項目を表示画面に表示しない。ここで、新たに表示可能なメニュー項目とは、特定のタスクを直接指定できない第2のメニューデータ内のメニュー項目よりも降位のメニュー項目である。
【0078】
具体的には、たとえば、表示制御部706は、比較部708によって比較された結果、算出部707によって算出されたエリアに関するタスクの指定に要する時間コストが、エリアに到達するまでに要する時間コストよりも大きくなる場合、変更部704によって変更された第2のメニューデータによって新たに表示可能なメニュー項目を表示画面に表示しない。
【0079】
すなわち、エリアに到達するまでにタスクを指定することができない場合には、当該タスクに関するメニューデータを表示画面に表示しない。このように、エリア内において当該エリアに関するタスクの実行が間に合わない場合は、表示画面に表示しないことにより、実行可能性の低いタスクをユーザが選択してしまうことを防ぐことができる。
【0080】
なお、上述した検出部701、特定部702、追跡部703、変更部704、表示制御部706、算出部707および比較部708は、具体的には、たとえば、図2に示したRM202、RAM203、HD205、FD207などの記録媒体に記録されたプログラムをCPU201が実行することによって、また、表示部705は、具体的には、たとえば、図2に示したディスプレイ208によってその機能を実現する。
【0081】
(重み付きグラフ)
つぎに、算出部707が特定部702によって特定された現在地点の所定範囲内に存在するエリアに関するタスクを指定するまでに要する時間を算出する際に用いる重み情報を示す重み付きグラフについて説明する。図11は、重み付きグラフの一例を示す説明図である。図11には、図3に示すメニューツリーから一部の構成を抜粋したメニューツリーが示されている。
【0082】
図11に示すように、各メニュー項目からの昇位または/および降位を示す矢印には、それぞれのメニュー項目間において遷移する際に必要となる所要時間が「重み」として表されている。なお、実線で示す矢印は、デフォルト(初期設定)でのメニューツリーを示しており、点線で示す矢印は、変更部704によってメニューデータが変更された場合(以下、「ショートカット」という)のメニューツリーを示している。
【0083】
ショートカットの経路は、変更部704によって変更されるメニューデータを所望のショートカットごとに作成することによって任意に設定することができる。たとえば、図11には示されていないが、「メインメニュー」→「楽曲検索」という経路のショートカットを設定することもできる。この場合、メインメニューからの降位先として楽曲検索が記述されたメニューデータを作成する。
【0084】
また、「重み」として表されている数値も任意に設定することができる。ここでは、ユーザの操作入力により降位先のメニュー項目を指定するまでに最低限必要な時間を「重み」として設定している。たとえば、メインメニュー選択時において、情報案内サービスのメニュー項目を指定するために0.5(分)必要なため、「重み」が「0.5」と設定されている。なお、ここでは、最低限必要な時間として、各メニュー選択時において表示されるメニュー項目を音声案内するために要する時間が設定されている。
【0085】
さらに、「音楽データ」や「映画予告映像」などのタスクを実行する際におけるダウンロードに要する時間を予め考慮して「重み」を設定するようにしてもよい。たとえば、「音楽データ」のタスクを指定する際の「重み」として、平均的な演奏時間の曲をダウンロードするために十分な時間を「重み」として追加する。
【0086】
具体的には、たとえば、楽曲検索と音楽データとの間の「重み」にダウンロードに要する時間を追加する。なお、追加する「重み」の値は、任意に変更することできる。
【0087】
算出部707は、この重み付きグラフを用いて特定部702によって特定されたエリアに関するタスクを指定するまでに要する時間を算出する。たとえば、メインメニュー選択時において、音楽データのタスクの指定に要する時間は、「メインメニュー」→「エンタメサービス」→「楽曲購入」→「楽曲検索」→「音楽データ」のパスの場合、「0.5+0.5+0.5+5.0=6.5」となる。また、「メインメニュー」→「楽曲購入」→「楽曲検索」→「音楽データ」のパスの場合「0.5+0.5+5.0=6.0」となる。
【0088】
(エリアDB)
つぎに、特定部702が現在地点の所定範囲内に存在するエリアに関するタスクを特定する際に用いるエリアDBのデータ構造について説明する。図12は、エリアDBのデータ構造の一例を示す説明図である。
【0089】
図12に示すように、エリアDBは、地図上の一点を特定する経度・緯度ごとにエリア種別を管理するテーブル1201と、エリア種別ごとにタスクリストを管理するテーブル1202とから構成されている。特定部702は、エリアDBに記憶されているテーブル1201およびテーブル1202を用いて、エリアに関するタスクを特定する。
【0090】
たとえば、特定部702は、まず、エリアDBのテーブル1201およびメニュー表示装置の現在地点の現在地点情報から、所定範囲内に存在するエリアのエリア種別を特定する。ここで、特定されたエリア種別がエリア種別Mだった場合、特定部702は、テーブル1202から、エリア種別Mに対応するタスクリストである「映画館情報」を特定する。
【0091】
(メニュー表示装置の処理の手順)
つぎに、メニュー表示装置において実行されるメニュー表示処理について説明する。図13は、メニュー表示装置において実行されるメニュー表示処理手順を示すフローチャートである。ここでは、メニュー表示装置を、カーナビゲーション装置や携帯電話機などの移動体通信端末や、モバイルコンピュータなどの移動体情報端末に搭載した場合について説明する。
【0092】
図13のフローチャートにおいて、メニュー表示装置は、まず、装置本体の現在地点の所定範囲内にエリアXが存在するか否かを判断する(ステップS1301)。具体的には、エリアDBに記憶されているテーブル1201を用いて、装置本体の現在地点の所定範囲内に存在するエリアXを検索し、エリアの存在を判断する。
【0093】
ここで、現在地点の所定範囲内に存在するエリアXが検索されるのを待って(ステップS1301:No)、エリアXが存在した場合(ステップS1301:Yes)、エリアX内において実行効果の高いタスクが存在するか否かを判断する(ステップS1302)。具体的には、エリアDBに記憶されているテーブル1202を用いて、エリアXのエリア種別に対応するタスクリストを検索し、実行効果の高いタスクの存在を判断する。
【0094】
ステップ1302において、実行効果の高いタスクが存在した場合(ステップS1302:Yes)、現在表示されているメニュー画面からタスクに至るまでのパスを検索する(ステップS1303)。具体的には、メニュー画面からタスクに至るまでの各メニュー項目における変更可能なメニューデータから、タスクに至るまでのすべてパスを検索する。
【0095】
つぎに、ステップS1303の検索結果に基づいて、現在表示されているメニュー画面からタスクに至るまでのパスを変更する(ステップS1304)。このとき、検索された結果が複数存在する場合は、タスクに至るまでに要する時間が最小のパスを選択し、選択したパスに変更する。タスクに至るまでに要する時間は、図11に示す重み付きグラフを用いて算出するようにしてもよい。また、各パスに含まれるメニュー項目数が最小のパスをタスクに至るまでに要する時間が最小のパスと判断するようにしてもよい。
【0096】
パスを変更するとは、具体的には、パスに含まれるメニュー項目のメニューデータを変更することである。具体的には、たとえば、映画メニュー画面が表示されているときに、実行効果の高いタスクが映画予告映像であった場合、メニューデータをメニューデータ400からメニューデータ800に変更する。
【0097】
メニューデータを変更することにより、映画メニューから映画予告映像までのパスを「映画」→「最新映画案内」→「映画予告映像」から、「映画」→「映画予告映像」に変更することができる。また、存在するタスクが複数であった場合は、それぞれのタスクに至るまでのパスを変更する。なお、ステップS1302において、実行効果の高いタスクが存在しなかった場合(ステップS1302:No)、ステップS1301に戻る。
【0098】
つぎに、ステップS1304において変更されたパスにおけるタスクの実行に要する時間を算出する(ステップS1305)。具体的には、たとえば、図11に示す重み付きグラフを用いてタスクの実行に要する時間を算出するようにしてもよい。また、ステップS1304においてタスクに至るまでに要する時間が算出されている場合は、この算出結果をタスクの実行に要する時間としてもよい。なお、ステップS1302において実行効果の高いタスクが複数存在した場合には、各タスクの実行に要する時間をそれぞれ算出する。
【0099】
つぎに、エリアXまでの到達予想時間を算出する(ステップS1306)。具体的には、たとえば、装置本体の現在地点の現在地点情報およびエリアDBに記憶されているテーブル1201を用いてエリアXまでの距離を算出し、この算出結果から、移動速度に応じた到達予想時間を算出するようにしてもよい。なお、ステップS1305における処理およびステップS1306における処理は、手順が逆であってもよいし、同時におこなうようにしてもよい。
【0100】
ステップS1305およびステップS1306の算出結果から、エリアXまでの到達予想時間よりもタスクの実行に要する時間が大きくなるパスを特定する(ステップS1307)。
【0101】
つぎに、ステップS1307において特定されたパスとは異なるパスに対応するメニューデータにより、カレントメニューを作成する(ステップS1308)。カレントメニューとは、ディスプレイ208に表示されるメニュー画面であり、作成元となるメニューデータによってメニュー画面の内容が異なる。そして、作成したカレントメニューをディスプレイ208に表示する(ステップS1309)。
【0102】
ここで、ディスプレイ208に表示されたカレントメニューについて説明する。図14は、メニュー画面の一例を示す説明図(その3)である。図14に示すように、ディスプレイ208には、ステップS1308において作成されたカレントメニューが表示されている。ここでは、エリアXが高速・安価な無線データ通信が可能な狭域無線通信エリアであるため、リッチコンテンツのデータ通信が必要なタスクの実行効果が高い。
【0103】
このため、ディスプレイ208には、リッチコンテンツのダウンロードを必要とする映画予告映像、楽曲検索および天気図のタスクが「おすすめ」として表示されている。これにより、ユーザは、リッチコンテンツのダウンロードが必要なこれらのタスクを高速・安価な無線スポットにおいて実行することができる。さらに、ユーザは、この無線スポットである狭域無線通信エリアを意識することなく、少ない操作回数でタスクの実行をおこなうことができる。
【0104】
図13の説明に戻り、つぎに、エリアXを通過したか否かを判断する(ステップS1310)。具体的には、たとえば、エリアXの所在位置から装置本体の現在地点が所定の距離離れた場合にエリアXを通過したと判断するようにしてもよい。ここで、通過していない場合(ステップS1310:No)は、ステップS1303に戻り、一連の処理を繰り返す。
【0105】
また、通過した場合(ステップS1310:Yes)は、デフォルトのカレントメニューを表示して(ステップS1311)、本フローチャートによる一連の処理を終了する。デフォルトのカレントメニューとは、初期設定として表示されるメニュー画面であり、たとえば、地図データのみが表示される画面であったり、予め設定されているメニュー項目が表示される画面である。
【0106】
なお、ここでは、エリアXを通過した場合、デフォルトのカレントメニューを表示するようにしたが、ステップS1308において作成されたカレントメニューおよびデフォルトのカレントメニューから、新たなカレントメニューを作成し、作成したカレントメニューを表示するようにしてもよい。
【0107】
また、新たに作成したカレントメニューに表示されるメニュー項目数が、メニュー画面のメニュー表示最大数を超える場合には、ステップS1308においてカレントメニューを作成する際に、削除したタスクに関するメニュー項目を優先的に表示するようにしてもよい。
【0108】
ここで、施設情報検索に関するタスクを実行した場合に、ディスプレイ208に表示されるメニュー画面について説明する。ここでは、特にカーナビゲーション装置にメニュー表示装置が搭載されている場合に実行される駐車場情報のタスクが実行された場合を例に挙げて説明する。図15は、メニュー画面の一例を示す説明図(その4)である。図15に示すように、駐車場情報のタスク実行結果がメニュー画面に表示されている。
【0109】
具体的には、車両の現在地点付近に存在する駐車場に関する情報が表示されており、検索結果として2件の駐車場に関する情報が表示されている。また、車両の現在地点が中華料理店が多数存在する地域に近づいたため、中華店の店舗検索メニューが実行効果が高いと判断され、店舗検索メニューがメニュー画面に表示されている。
【0110】
このように、各種タスク実行時においても、実行効果の高いタスクの存在が判断された場合には、図15に示すように、当該タスクに関するメニュー項目がメニュー画面に表示されることとなる。
【0111】
以上説明したように、メニュー表示プログラム、記録媒体、メニュー表示装置およびメニュー表示方法によれば、位置している場所において実行効果の高いタスクを少ない回数で実行可能とすることによって、最良な場所でのタスク実行の機会を逸することを防ぐことができる。
【0112】
なお、本実施の形態で説明したメニュー表示方法は、予め用意されたプログラムをパーソナル・コンピュータやワークステーションなどのコンピュータで実行することにより実現することができる。このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク、CD−ROM、MO、DVDなどのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行される。またこのプログラムは、インターネットなどのネットワークを介して配布することが可能な伝送媒体であってもよい。
【0113】
(付記1)表示可能なメニュー項目と当該メニュー項目からの昇位先または/および降位先のメニュー項目とが関連付けられたメニューデータにより階層化されたデータ構造を用いて、メニュー表示をコンピュータに実行させるメニュー表示プログラムにおいて、
前記コンピュータの現在地点を検出させる検出工程と、
前記データ構造の最降位のメニューデータ内のメニュー項目によって指定可能な複数のタスクの中から、前記検出工程によって検出された現在地点に関するタスクを特定させる特定工程と、
前記データ構造の中から、前記特定工程によって特定されたタスク(以下、「特定のタスク」という)を指定可能なメニュー項目から当該メニュー項目よりも昇位のメニュー項目を追跡させる追跡工程と、
前記追跡工程によって追跡された各メニュー項目を有するメニューデータのうち前記特定のタスクを直接指定できない第1のメニューデータを、当該第1のメニューデータ内のメニュー項目よりも降位のメニュー項目を有する第2のメニューデータに変更させる変更工程と、
前記変更工程によって変更された第2のメニューデータ内のメニュー項目を表示画面に表示させる表示工程と、
を前記コンピュータに実行させることを特徴とするメニュー表示プログラム。
【0114】
(付記2)前記特定工程は、
前記検出工程によって検出された現在地点の所定範囲内に存在するエリアに関するタスクを特定させることを特徴とする付記1に記載のメニュー表示プログラム。
【0115】
(付記3)前記データ構造を構成する各メニュー項目から、当該各メニュー項目からの昇位先または/および降位先のメニュー項目への遷移に要する時間に関する重み情報に基づいて、前記特定工程によって特定されたエリアに関するタスクを指定するまでに要する時間を算出させる算出工程と、
前記エリアに到達するまでに要する時間と、前記算出工程の算出結果とを比較させる比較工程と、
を前記コンピュータに実行させ、
前記表示工程は、
前記比較工程の比較結果に基づいて、前記変更工程によって変更された第2のメニューデータによって新たに表示可能なメニュー項目を前記表示画面に表示させないことを特徴とする付記2に記載のメニュー表示プログラム。
【0116】
(付記4)前記算出工程は、
前記特定工程によって特定されたエリアに関するタスクの実行が終了するまでに要する時間を算出させることを特徴とする付記3に記載のメニュー表示プログラム。
【0117】
(付記5)前記変更工程は、
前記追跡工程によって追跡された各メニュー項目を有するメニューデータのうち前記特定のタスクを直接指定できない第1のメニューデータを、当該特定タスクを直接指定できる第2のメニューデータに変更させることを特徴とする付記1〜4のいずれか一つに記載のメニュー表示プログラム。
【0118】
(付記6)前記特定のタスクは、
狭域無線を利用したデータ通信を実行するタスクであることを特徴とする付記1〜5のいずれか一つに記載のメニュー表示プログラム。
【0119】
(付記7)前記特定のタスクは、
施設情報の検索を実行するタスクであることを特徴とする付記1〜6のいずれか一つに記載のメニュー表示プログラム。
【0120】
(付記8)付記1〜7のいずれか一つに記載のメニュー表示プログラムを記録した前記コンピュータに読み取り可能な記録媒体。
【0121】
(付記9)表示可能なメニュー項目と当該メニュー項目からの昇位先または/および降位先のメニュー項目とが関連付けられたメニューデータにより階層化されたデータ構造を用いて、メニュー表示するメニュー表示装置において、
装置本体の現在地点を検出する検出手段と、
前記データ構造の最降位のメニューデータ内のメニュー項目によって指定可能な複数のタスクの中から、前記検出手段によって検出された現在地点に関するタスクを特定する特定手段と、
前記データ構造の中から、前記特定手段によって特定されたタスク(以下、「特定のタスク」という)を指定可能なメニュー項目から当該メニュー項目よりも昇位のメニュー項目を追跡する追跡手段と、
前記追跡手段によって追跡された各メニュー項目を有するメニューデータのうち前記特定のタスクを直接指定できない第1のメニューデータを、当該第1のメニューデータ内のメニュー項目よりも降位のメニュー項目を有する第2のメニューデータに変更する変更手段と、
表示画面を有する表示手段と、
前記変更手段によって変更された第2のメニューデータ内のメニュー項目を前記表示画面に表示する表示制御手段と、
を備えることを特徴とするメニュー表示装置。
【0122】
(付記10)表示可能なメニュー項目と当該メニュー項目からの昇位先または/および降位先のメニュー項目とが関連付けられたメニューデータにより階層化されたデータ構造を用いて、メニュー表示装置にメニュー表示するメニュー表示方法において、
装置本体の現在地点を検出する検出工程と、
前記データ構造の最降位のメニューデータ内のメニュー項目によって指定可能な複数のタスクの中から、前記検出工程によって検出された現在地点に関するタスクを特定する特定工程と、
前記データ構造の中から、前記特定工程によって特定されたタスク(以下、「特定のタスク」という)を指定可能なメニュー項目から当該メニュー項目よりも昇位のメニュー項目を追跡する追跡工程と、
前記追跡工程によって追跡された各メニュー項目を有するメニューデータのうち前記特定のタスクを直接指定できない第1のメニューデータを、当該第1のメニューデータ内のメニュー項目よりも降位のメニュー項目を有する第2のメニューデータに変更する変更工程と、
前記変更工程によって変更された第2のメニューデータ内のメニュー項目を表示画面に表示する表示工程と、
を含んだことを特徴とするメニュー表示方法。
【産業上の利用可能性】
【0123】
以上のように、本発明にかかるメニュー表示プログラム、記録媒体、メニュー表示装置およびメニュー表示方法は、移動体通信端末の表示画面におけるメニュー表示に有用であり、特に、テレマティックサービスなどの対話型サービスを利用可能な移動体通信端末に適している。
【図面の簡単な説明】
【0124】
【図1】この発明の実施の形態にかかるメニュー表示装置を含む対話型サービスの全体構成を示す説明図である。
【図2】この発明の実施の形態にかかるメニュー表示装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図3】メニューツリーの一例を示す説明図である。
【図4】メニューデータのデータ構造の一例を示す説明図である。
【図5】メニュー画面の一例を示す説明図(その1)である。
【図6】パスデータの一例を示す説明図である。
【図7】この発明の実施の形態にかかるメニュー表示装置の機能的構成を示すブロック図である。
【図8】メニューデータのデータ構造の他の一例を示す説明図である。
【図9】メニュー画面の一例を示す説明図(その2)である。
【図10】メニューツリーの他の一例を示す説明図である。
【図11】重み付きグラフの一例を示す説明図である。
【図12】エリアDBのデータ構造の一例を示す説明図である。
【図13】メニュー表示装置において実行されるメニュー表示処理手順を示すフローチャートである。
【図14】メニュー画面の一例を示す説明図(その3)である。
【図15】メニュー画面の一例を示す説明図(その4)である。
【符号の説明】
【0125】
701 検出部
702 特定部
703 追跡部
704 変更部
705 表示部
706 表示制御部
707 算出部
708 比較部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示可能なメニュー項目と当該メニュー項目からの昇位先または/および降位先のメニュー項目とが関連付けられたメニューデータにより階層化されたデータ構造を用いて、メニュー表示をコンピュータに実行させるメニュー表示プログラムにおいて、
前記コンピュータの現在地点を検出させる検出工程と、
前記データ構造の最降位のメニューデータ内のメニュー項目によって指定可能な複数のタスクの中から、前記検出工程によって検出された現在地点に関するタスクを特定させる特定工程と、
前記データ構造の中から、前記特定工程によって特定されたタスク(以下、「特定のタスク」という)を指定可能なメニュー項目から当該メニュー項目よりも昇位のメニュー項目を追跡させる追跡工程と、
前記追跡工程によって追跡された各メニュー項目を有するメニューデータのうち前記特定のタスクを直接指定できない第1のメニューデータを、当該第1のメニューデータ内のメニュー項目よりも降位のメニュー項目を有する第2のメニューデータに変更させる変更工程と、
前記変更工程によって変更された第2のメニューデータ内のメニュー項目を表示画面に表示させる表示工程と、
を前記コンピュータに実行させることを特徴とするメニュー表示プログラム。
【請求項2】
前記特定工程は、
前記検出工程によって検出された現在地点の所定範囲内に存在するエリアに関するタスクを特定させることを特徴とする請求項1に記載のメニュー表示プログラム。
【請求項3】
請求項1または2に記載のメニュー表示プログラムを記録した前記コンピュータに読み取り可能な記録媒体。
【請求項4】
表示可能なメニュー項目と当該メニュー項目からの昇位先または/および降位先のメニュー項目とが関連付けられたメニューデータにより階層化されたデータ構造を用いて、メニュー表示するメニュー表示装置において、
装置本体の現在地点を検出する検出手段と、
前記データ構造の最降位のメニューデータ内のメニュー項目によって指定可能な複数のタスクの中から、前記検出手段によって検出された現在地点に関するタスクを特定する特定手段と、
前記データ構造の中から、前記特定手段によって特定されたタスク(以下、「特定のタスク」という)を指定可能なメニュー項目から当該メニュー項目よりも昇位のメニュー項目を追跡する追跡手段と、
前記追跡手段によって追跡された各メニュー項目を有するメニューデータのうち前記特定のタスクを直接指定できない第1のメニューデータを、当該第1のメニューデータ内のメニュー項目よりも降位のメニュー項目を有する第2のメニューデータに変更する変更手段と、
表示画面を有する表示手段と、
前記変更手段によって変更された第2のメニューデータ内のメニュー項目を前記表示画面に表示する表示制御手段と、
を備えることを特徴とするメニュー表示装置。
【請求項5】
表示可能なメニュー項目と当該メニュー項目からの昇位先または/および降位先のメニュー項目とが関連付けられたメニューデータにより階層化されたデータ構造を用いて、メニュー表示装置にメニュー表示するメニュー表示方法において、
装置本体の現在地点を検出する検出工程と、
前記データ構造の最降位のメニューデータ内のメニュー項目によって指定可能な複数のタスクの中から、前記検出工程によって検出された現在地点に関するタスクを特定する特定工程と、
前記データ構造の中から、前記特定工程によって特定されたタスク(以下、「特定のタスク」という)を指定可能なメニュー項目から当該メニュー項目よりも昇位のメニュー項目を追跡する追跡工程と、
前記追跡工程によって追跡された各メニュー項目を有するメニューデータのうち前記特定のタスクを直接指定できない第1のメニューデータを、当該第1のメニューデータ内のメニュー項目よりも降位のメニュー項目を有する第2のメニューデータに変更する変更工程と、
前記変更工程によって変更された第2のメニューデータ内のメニュー項目を表示画面に表示する表示工程と、
を含んだことを特徴とするメニュー表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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