説明

メモパッド

【課題】メモ用紙の記入欄に記入した事項が処理済みになったことを一見するだけで明確に特定でき、しかも、識別標示体の状態をより簡単な操作で変更できる、使い勝手に優れたメモパッドを提供する。
【解決手段】多数枚のメモ用紙1を積層し、積層されたメモ用紙1をひとつの辺部において一体化する。メモ用紙1には、記入欄7ごとに罫線8を表示し、さらに、一定数の記入欄7ごとに罫線8と平行なミシン目9を形成してメモ片10を区分する。各記入欄7の側端に、切込み11で区分される識別タブ12を形成する。識別タブ12の先端縁に、先すぼまり状の指掛部13を形成する。識別タブ12を折曲げることにより、記入欄7に記入されたメモの内容に関連する事項が処理済みであることを標示できるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メモ用紙が多数枚積層してあるメモパッドに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明のメモパッドに関して、次のようなメモパッドが公知である。特許文献1には、四角形状のメモ用紙の一辺を接着剤で接着して積層したメモパッドが開示してある。メモ用紙には、接着した辺部の近傍から対向辺部にわたって切込みを形成して複数の記入欄が設けてある。特許文献2には、四角形状のメモ用紙の一辺を易剥離性の粘着材で接着して積層し、先の辺部と対向する遊端側の辺部に山形のノッチを形成したメモパッドが開示してある。ノッチは先の切込みに変わるものであり、用済みの記入欄を破断するために設けてある。
【0003】
特許文献3には、積層したメモ用紙の背を糊付けして固定し、背の近傍に用済みの記入欄を破断するためのミシン目が形成してある。また、メモ用紙には、先のミシン目とは別に、記入欄を区分するためのミシン目と、各記入欄の遊端に裂き取り領域を形成するためのミシン目とが形成してある。裂き取り領域は、記入欄に書き込んだメモの優先度を識別するために設けてあり、裂き取り領域を破断することで、記入したメモの内容がさほど重要ではないことを標示できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平03−45170号公報(第2頁14〜22行、図1)
【特許文献2】実開平06−27173号公報(段落番号0012、図3)
【特許文献3】特表平11−508504号公報(第4頁13〜23行、図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1、2のメモパッドは、それぞれ用済みの記入欄をミシン目に沿って破断し、あるいは用済みの記入欄に連続するノッチを摘んで記入欄を引き裂くことにより、メモ用紙に記入した情報を廃棄し、記入欄を更新できる。しかし、多数個の記入欄にメモを記入した状態では、どの記入欄に記入した情報が用済みになったかを、一見するだけで特定することができない。そのため、例えばスーパーマーケットで多種類の食材や日用品を購入する場合に、野菜、鮮魚、精肉、乾物などが陳列してある各売り場を移動する間に、メモ用紙に記入したメモの内容を全て読み直して、必要とする商品を買物籠に取り込んだか否かを確認する必要がある。
【0006】
その点、特許文献3のメモパッドでは、各記入欄の遊端に設けた裂き取り領域を破断することで、用済みになった情報を標示することができる。しかし、裂き取り領域を破断するには、裂き取り領域の3辺に沿ってミシン目を破断する必要があるうえ、隣接する裂き取り領域を破断しないように注意を払う必要があり、裂き取り領域を破断する作業が煩わしい。また、裂き取り領域を破断したとしても、下側に位置する同色の新たな裂き取り領域が視認されるため、照明が不十分な場所において、裂き取り領域が破断してあるか否かを見間違うおそれがある。さらに、購入すべき商品の種類が多岐に渡る場合には、多数枚の破断された裂き取り領域を一時的に保存したうえで廃棄する必要があり、その処分に困る。
【0007】
本発明の目的は、メモ用紙の記入欄に記入した事項が処理済みになったことを一見するだけで明確に特定でき、しかも、識別標示体の状態をより簡単な操作で変更できる、使い勝手に優れたメモパッドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のメモパッドは、多数枚のメモ用紙1を積層し、積層されたメモ用紙1がひとつの辺部において一体化してある。メモ用紙1には、記入欄7ごとに罫線8が表示され、一定数の記入欄7ごとに罫線8と平行なミシン目9を形成してメモ片10が区分してある。各記入欄7の側端に、切込み11で区分される識別タブ12を形成する。識別タブ12を折曲げることにより、記入欄7に記入されたメモの内容に関連する事項が処理済みであることを標示できることを特徴とする。
【0009】
一定数の記入欄7ごとに罫線8と平行なミシン目9ないし切込みを形成してメモ片10を区分する。
【0010】
識別タブ12の先端縁に、先すぼまり状の指掛部13を形成する。
【0011】
識別タブ12は着色されており、各メモ片10ごとに識別タブ12の色を異ならせる。
【発明の効果】
【0012】
本発明においては、メモ用紙1の記入欄7ごとに罫線8を設け、各記入欄7の側端に、切込み11で区分される識別タブ12を形成して、識別タブ12を折曲げることにより、記入欄7に記入されたメモの内容に関連する事項が処理済みであることを標示できるようにした。このように、各記入欄7ごとに折曲げ可能な識別タブ12を設けたメモパッドによれば、記入欄7に記入されたメモの内容に関連する事項を処理するごとに、識別タブ12を折曲げることにより、処理済みになった事項を一見するだけで特定できる。
【0013】
例えば、スーパーマーケットで多種類の食材や日用品を購入する場合に、識別タブ12が折曲げてあるか否かを確認するだけで、必要とする商品を買物籠に取り込んだか否かを識別できる。従って、メモ用紙1に記入したメモの内容を全て読み直しながら、必要とする商品を買物籠に取り込んだか否かを確認する煩わしさを解消できるうえ、買い忘れを確実に防止できる。また、識別タブ12を折曲げることにより、メモ用紙1の記入欄7に記入した事項が処理済みになったことを標示するので、裂き取り領域を破断する必要があった従来のメモパッドに比べて、識別タブ12の姿勢をより簡単に変更することができ、メモパッドの使い勝手を向上できる。さらに、識別タブ12を折曲げるだけであるので、分断したメモ片10ごと廃棄すればよく、その処分に困ることもない。
【0014】
一定数の記入欄7ごとに罫線8と平行なミシン目9ないし切込みを形成してメモ片10を区分すると、記入欄7に記入されたメモの量に応じて、必要なメモ片10のみをメモ用紙1から分離して携行できる。従って、常にメモパッドの全体を携行する必要がないうえ、メモ片10を財布に収容し、あるいは手帳に挟むなど、携行スペースを必要としない状態で手軽に携行できる。
【0015】
識別タブ12の先端縁に、先すぼまり状の指掛部13が形成してあるメモパッドによれば、ひとつの識別タブ12に指先をあてがって折曲げるとき、指先が隣接する識別タブ12に接触するのを防止できる。従って、隣接する識別タブ12が同時に折り曲げられるのを防止して、ひとつの識別タブ12のみを的確に、しかも容易に折曲げることができる。
【0016】
識別タブ12を着色すると、記入欄7と識別タブ12の色が同じである場合に比べて、記入欄7と識別タブ12との色の違いを明確にして、識別タブ12が折り曲げてあるか否かの判定をさらに明確に行うことができる。従って、照明が不十分な場所であっても、識別タブ12の状態を明確に識別できる。また、各メモ片10ごとに識別タブ12の色が異ならせてあると、記入すべき全事項のうち、共通する事項をグループ化して、各グループごとに色の異なるメモ片10に記載することができる。これにより、記入した事項の重要度や優先度、あるいは処理すべき順番などを識別タブ12の色の違いによって表示でき、処理すべき事項の処理を効果的に行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係るメモ用紙の平面図である。
【図2】本発明に係るメモパッドの斜視図である。
【図3】カバーの背部分の縦断側面図である。
【図4】メモ用紙の使用例を示す平面図である。
【図5】識別タブの折曲げ状態を示す平面図である。
【図6】指掛部の別の実施例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(実施例) 図1ないし図5は本発明に係るメモパッドの実施例を示す。図2においてメモパッドは、縦に長い長方形状のメモ用紙1を多数枚積層して構成してあり、積層されたメモ用紙1の外面はカバー2で覆ってある。メモ用紙1は、一方の短辺部がカバー2の背部分3の内面に糊付け(接着)されており、必要に応じて1枚ずつ剥ぎ取ることができる。つまり、積層されたメモ用紙1はひとつの辺部において一体化してある。糊付け部分を図3に符号6で示す。
【0019】
カバー2は、透明なプラスチック材で形成してあり、積層されたメモ用紙1の底面を支持する裏面4と、先の背部分3と、メモ用紙1の上面を覆う表紙面5とを一体に備えている。裏面4は、メモ用紙1を裏面側から支持する台紙として機能しており、例えば、メモパッドを片手に持った状態でメモ用紙1に必要な事項を記入するときに、メモパッドの全体を安定した状態で平坦に支持することができる。表紙面5は、背部分3との隣接縁を中心にして開閉でき、メモ用紙1に被さった状態のままで、メモ用紙1に記入された事項を読むことができる。また、表紙面5を反転状に開放することにより、メモ用紙1に文字や数字などを記入することができる。
【0020】
上記のように、積層されたメモ用紙1の外面を透明のカバー2で覆うと、不使用時のメモ用紙1をカバー2で保護して、記入欄7が汚れたり、捲れて折曲がるのを防止できる。また、カバー2の背部分3にメモ用紙1を接着して積層することにより、使用途中にメモ用紙1が外力を受けて、複数の積層ブロックに分離するのを防止して、最後の一枚まで積層姿勢を整然と維持でき、メモ用紙1が無駄に消費されるのを解消できる。
【0021】
メモ用紙1の紙面には、記入欄7ごとに短辺部と平行な罫線8が印刷してあり、5個の記入欄7ごとに罫線8と平行なミシン目9が形成してある。ミシン目9を設けることにより、メモ用紙1の紙面の6個所に横長のメモ片10が区分される。ミシン目9に沿ってメモ用紙1を破断すると、5行の記入欄7を備えたメモ片10をメモ用紙1から分離することができる。各記入欄7の側端には切込み11が形成してあり、各切込み11の間に識別タブ12(識別標示体)が形成してある。この識別タブ12を折曲げることにより、記入欄7に記入されたメモの内容に関連する事項が処理済みであることを標示できる。
【0022】
識別タブ12による標示をより明確なものとするために、識別タブ12は着色されており、各メモ片10ごとに識別タブ12の色が異ならせてある。例えば、カバー2の背部分3に近い側のメモ片10から順に、識別タブ12が赤、橙、黄橙、黄、黄緑、青緑の各色に着色してある。さらに、各識別タブ12の先端縁に、先すぼまり状の指掛部13を形成して、ひとつの識別タブ12に指先をあてがうとき、指先が隣接する識別タブ12と接触するのを防止できるようにしている。この実施例では指掛部13を山形に形成して、ひとつの識別タブ12のみを的確に、しかも容易に折り曲げられるようにした。
【0023】
メモパッドを使用するときは、図4に示すように、最上面のメモ用紙1の背部分3からもっとも離れたメモ片10の記入欄7に必要な事項を記入したのち、文字が記入されたメモ片10をミシン目9に沿って破断する。たとえば、購入すべき食材の名前を個々の記入欄7に書き込んだのち、文字が記入されたメモ片10をメモ用紙1から分離して買い物に携行する。野菜が陳列してある売り場では、記入欄7に書き込んだ内容に従ってはくさい、長ねぎ、しいたけを買い物籠に取込んだのち、図5に示すように、取込んだ品物に該当する記入欄7の識別タブ12を折曲げて、取込み済みの品物であることを標示する。さらに、売り場を移動して、とうふを買い物籠に取込んだのち、該当する記入欄7の識別タブ12を折曲げて、取込み済みの品物であることを標示する。識別タブ12は、記入欄7の紙面に対して反転状に折曲げることが好ましいが、少なくとも90度折曲げてあればよい。
【0024】
以上のように、商品を取込むごとに識別タブ12を折曲げることにより、買い物籠に取込んだ商品と、買い物籠に取込まれていない商品とを一見して識別することができ、買い忘れを確実に防止できる。換言すると、メモ用紙1の記入欄7に記入した事項が用済みになったことを一見するだけで特定して、未処理の事項を明確に標示できる。メモパッドは、購入すべき商品のリストを記入する以外に、作業現場において点検すべき個所のリストを記入しておいて、点検が終わるごとに識別タブ12を折曲げて、未処理の点検個所を明確化するなど、チェックリスト、あるいはトゥドゥ(ToDo)リストとして、学校や工場などで幅広く使用できる。あるいは、会議前に検討課題をリスト化しておき、各課題の検討が終了するごとに識別タブ12を折曲げて、未処理の検討課題を明確化することにも使用できる。
【0025】
図6は指掛部13の別の実施例を示す。図6(a)においては、指掛部13を等脚台形状に形成した。また、図6(b)においては、指掛部13を半円状に形成した。このように、指掛部13は先すぼまり形状であれば、任意の形状に形成することができ、例えば、鋸刃形状、三角形状などに形成することができる。
【0026】
上記の実施例では、識別タブ12を折曲げることにより、記入欄7に記入されたメモの内容が処理済みであることを標示できるようにしたが、その必要はない。識別タブ12の全てを予め折り曲げておき、記入欄7に記入されたメモの内容が処理済みとなるごとに、識別タブ12を記入欄7と面一になるように展開してもよい。また、識別タブ12における指掛部13を省略して、識別タブ12の外形をコ字状に形成することができる。さらに、指掛部13が省略された識別タブ12において、識別タブ12の折曲げ基端から側端までの長さを大小に異ならせて、長寸の識別タブ12と短寸の識別タブ12とを交互に配置することができる。識別タブ12の折曲げ基端に、折曲げを容易化するためのくせ付けや、穴、溝、切欠を形成することができる。
【0027】
メモ用紙1は紙で形成する必要はなく、プラスチック製の合成紙で形成することができる。積層されたメモ用紙1は、糊付けして一体化する以外に、メモ用紙の一辺を易剥離性の粘着材で接着して積層し一体化することができる。さらに必要があれば、カバー2に固定した螺旋状の金属線材あるいはリングで閉じることができ、その場合には、メモ用紙1にパンチ穴を形成しておくとよい。カバー2は透明である必要はなく、紙または不透明なプラスチック材で形成することができる。
【0028】
図1に例示したメモ用紙1では、識別タブ12をメモ用紙1の左側の側縁に沿って形成するようにしたが、その必要はなく、識別タブ12をメモ用紙1の右側の側縁に沿って形成して、右利きの使用者が利き腕側の手の指先で識別タブ12を折り曲げられるようにしてもよい。また、積層したメモ用紙1は、識別タブ12と対向する側縁が糊付けしてあってもよい。ミシン目9に換えて切込みを形成してメモ片10を区分することができる。また、全ての罫線8の形成位置にミシン目9を形成して、個々の記入欄7をミシン目9に沿って分離することができる。識別タブ12は記入欄7の両側に設けることができる。その場合には、買い物をして帰宅したのち、識別タブ12を折曲げて、再度記入欄7に記入した事項の後処理を確認するなど、二重にチェックを行うことができる。一端折曲げた識別タグ12を記入欄7と面一になるように展開することによっても、二重にチェックを行うことができる。さらに、誤って折曲げた識別タグ12を記入欄7と面一になるように展開することにより、記入欄7に記載された事項を再び未処理扱いとすることができる。例えば、遂行すべき業務一覧が記入されたメモ用紙1に従い、記入欄7に記載された事項を処理する途中に、処理していないにも拘らず識別タグ12が折曲げてあるのに気付いたような場合に、識別タグ12を折戻して処理事項を復活させることができる。
【符号の説明】
【0029】
1 メモ用紙
2 カバー
7 記入欄
8 罫線
9 ミシン目
10 メモ片
11 切込み
12 識別タブ
13 指掛部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数枚のメモ用紙(1)を積層し、積層されたメモ用紙(1)がひとつの辺部において一体化してあるメモパッドであって、
メモ用紙(1)には、記入欄(7)ごとに罫線(8)が表示されており、
各記入欄(7)の側端に、切込み(11)で区分される識別タブ(12)が形成されており、
識別タブ(12)を折曲げることにより、記入欄(7)に記入されたメモの内容に関連する事項が処理済みであることを標示できるメモパッド。
【請求項2】
一定数の記入欄(7)ごとに罫線(8)と平行なミシン目(9)ないし切込みを形成してメモ片(10)が区分してある請求項1に記載のメモパッド。
【請求項3】
識別タブ(12)の先端縁に、先すぼまり状の指掛部(13)が形成してある請求項1または2に記載のメモパッド。
【請求項4】
識別タブ(12)が着色されており、各メモ片(10)ごとに識別タブ(12)の色が異ならせてある請求項1から3のいずれかひとつに記載のメモパッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−250408(P2012−250408A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−124092(P2011−124092)
【出願日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【出願人】(390021153)株式会社SKB (49)