説明

メモリカードアダプタ

アダプタが、同時に、同じポートで2つの電子デバイスの接続を可能にする。デバイスにより、元々1つの単一デバイスの接続を可能にする1つの単一ポートで、2つのデバイスの作動が可能になる。アダプタデバイスには、前記アダプタデバイスを取り付けるホストデバイスに接続される主コネクタ2、メモリカード3を取り付ける副コネクタ4、主コネクタと副コネクタを接続する遮断器S1、および主コネクタに接続され、主コネクタに着信するコマンドに応じて、遮断器S1の開閉を制御するデバイスインターフェース回路51が含まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メモリカード用のアダプタに関する。より詳細には、メモリカードに加えて、第2のデバイスをメモリカードポートに接続することを可能にするアダプタに関する。
【背景技術】
【0002】
メモリカードの市場は、フラッシュカード上に大量のデータが保存できる可能性に基づき大幅に成長している。そのようなメモリカードには、例えば、SD規格(Secure Digital:セキュアデジタル)などの様々な規格が存在する。SD規格では、メモリカードのすべての規格と同様に、カード自体のほか、SDカードを取り付けるよう設計されたホストデバイスとの間の、カード形式、コネクタタイプ、および通信プロトコルを定義している。本明細書で使用されるSD規格とは、「SDメモリカード、物理層仕様」、「SDHCメモリカード」、「miniSDカード」、「microSDカード」、「SDIOカード」、および「SDホストコントローラ仕様」の仕様を含む、SDカードアソシエーションの各刊行物を指している。さらに、メモリカード規格によっては、メモリカードとは異なるデバイスを使用するための追加指示が使用可能な拡張された通信プロトコルを使用するものもある。詳細には、SD規格に、SDIO(Secure Digital Input Output device:セキュアデジタル入出力デバイス)と呼ばれる拡張されたコマンドセットが含まれる。このSDIO拡張機能を使用すると、様々な入力/出力デバイスとホストを接続することができる。
【0003】
このSDの分野では、SDIOタイプのカードを使用して、単にデータ記憶装置だけではなく、他のサービスを利用可能にすることが普及している。これは、SD−MCE(Secure Digital−Mobile Commerce Extension:セキュアデジタル−モバイルコマース拡張規格)として知られている。このカードを使用すると、単にメモリ記憶装置だけではなく、他のサービス、例えば、携帯電話またはポータブルコンピュータなどのモバイルデバイスでの有料TVなどを実装することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
モバイルデバイスには通常、そのようなメモリカードポートが1つのみであり、そのようなデバイス用の第2のポートは今後も想定されていない。このことは、電話で有料TVを使用したいと思うユーザは同時にメモリカードを使用することができないことを意味している。必要に応じてカードを交換することは、TV機能の使用中はメモリカードを使用できないので、優れた解決策ではない。ユーザはTV機能の使用中にもデータを保存したいと思う可能性がある。SD規格は、同時に1つの単一ポートでの2つのデバイスの並列接続を許可するようには設計されていない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、同時に、同じポートで2つの電子デバイスの接続を可能にするアダプタからなっている。したがって、ホストデバイスは1つの単一デバイスと通信することで、一方側で電子機能を実装しながら同時にもう一方側で記憶装置デバイスの使用が可能になる。より一般的には、本発明は、元々1つのみのデバイスの接続が可能な1つの単一ポートで2つのデバイスを作動させる解決策からなっている。
【0006】
このことは、本発明が主コネクタ、副コネクタ、遮断器、およびデバイスインターフェース回路を含むアダプタであることを意味する。主コネクタは、前記アダプタデバイスを取り付けているホストと接続されている。副コネクタはメモリカードを取り付けている。遮断器は、主コネクタと副コネクタをつないでいる。デバイスインターフェース回路は、主コネクタと接続され、第1コネクタにより受信されたコマンドに応じて遮断器の開閉を制御する。
【0007】
好ましくは、本発明がデバイスインターフェース回路と接続されたアプリケーション回路を含むことである。メモリカードと通信するために、アダプタには副コネクタと接続されたホストインターフェース回路が含まれる。デバイスインターフェース回路およびホストインターフェース回路はデータの交換および共通機能の判定のために相互接続されており、同時にカードの機能およびデバイスの特有の機能を認識している。
【0008】
本発明を実行する特別な方法によると、コマンドが主コネクタから受信されると、デバイスインターフェース回路は遮断器を閉じ、コマンドがカードに向けられる場合には、カードからの応答が渡されるよう閉じた状態が保持される。カードが接続されていない場合、デバイスインターフェース回路は全コマンドに応答する。デバイスインターフェース回路は、コマンドが第1コネクタから受信されると遮断器を閉じ、コマンドがアプリケーション回路に向けられる場合、カードからの応答をブロックするために遮断器を開く。
【0009】
本発明は、以下の説明からより詳細に説明され、それにより、利点と特別な機能をさらに説明しており、添付図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】SDカード形式のアダプタで本発明を実現する好ましい方法の図である。
【図2】本発明の機能を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1では、本発明によるアダプタを実現する好ましい方法を示している。ここでは、アダプタ1がSDメモリカード形式で実現されている。アダプタ1には、SDカードコネクタの形式で主コネクタ2が含まれている。アダプタ1には、副コネクタ4を介して接続される、microSD形式のメモリカード3を取り付けるデバイスが含まれている。アダプタ1には、主コネクタ2および副コネクタ4に接続されるチップ5が含まれている。チップ5にはアダプタ1の電子回路が含まれている。図1の好ましい方法では、アダプタ1の電子回路は1つの単一チップにすべて配置されるが、複数のチップに回路を分散させることも可能である。
【0012】
図2では、チップ5上の電子回路の機能記述を提供している。主コネクタ2および副コネクタ4は、SDカードの接点数だけのコネクタを含む、主バス20および副バス40により、それぞれチップに接続されている。明快にするために、1本の線で図示されている。
【0013】
主バスおよび副バスは遮断器からなる主遮断器S1と相互接続されており、バス20および40の各導線の接続または切断を行うことができる。したがって、遮断器S1は、2つのコネクタ2と4間の直接接続を確立することも、互いにそれぞれを切断することも可能である。
【0014】
デバイスインターフェース回路51が主バス20に接続されている。デバイスインターフェース回路51は、主コネクタ2に接続されたホストと通信するように設計された回路である。ユーザインターフェース回路は、アプリケーション回路52に対してプロトコルおよび通信制御を提供する。アプリケーション回路52は任意のタイプであることが可能で、例えば、SD−MCEタイプの有料TV制御回路である。他のアプリケーション回路も使用可能であり、回路52は、他の接続とのモデム、ISO7816規格に準拠したカードリーダ、またはSDバスを介して接続可能な他の任意のアプリケーションであることが可能である。
【0015】
デバイスインターフェース回路51では、主コネクタ2のレベルで交換される全コマンドを解析する。しかしながら、必ずしも全コマンドに、このインターフェース回路が応答するとは限らない。実際のところ、特定のコマンドはカード3によって直接処理される。インターフェース回路はさらに、遮断器S1に接続され、それを制御し、確認されるコマンドに応じて、カードが直接応答するかどうかを判定する。
【0016】
ホストインターフェース回路53が、その一方側は副バス40に接続され、もう一方側はデバイスインターフェース回路51に接続されている。ホストインターフェース回路53では、遮断器S1が開いている場合に、カード3を制御することができる。ホストインターフェース回路53経由の接続は、カード3からのデータをデバイスインターフェース回路51によって戻されるデータに組み込むことができるように、デバイスインターフェース回路51につなげられている。
【0017】
最初に、アダプタ1はホストに接続し、ホストはアダプタ1を、アプリケーション回路53の機能とカード3の機能を同時に一体化する単一デバイスとして受け入れる。スタートアップ段階中、上部で詳述した同じ原理が実現されが、ホストデバイスからカードに送信される特定のコマンドも予期される必要がある。
【0018】
以下の表では、時系列順で、スタートおよび初期化段階でのコマンドと応答の交換を一覧表示している。デバイスフラグのほか、表で一覧表示しているコマンドと応答も、SD規格で定義されているので、より詳細な情報は調べられることが可能である。
【表1】

【0019】
デバイスインターフェース回路51のCDSおよびOCRフラグの情報がインテリジェントにリンクされていることに留意すべきである。すなわち、カード3とアダプタ1に同時に対応するため、Vddが選択され、最大電流が合計され、伝送レートが、デバイスインターフェース回路51との間で最も遅いものに応じて決められるなどである。CDSおよびOCRフラグは、カード3とアダプタ1が同時に共存できる機能を示すように再構築される。
【0020】
CIDフラグの場合、データが一致(adding up)することも推奨されている。アダプタおよびカードの製造元は同じではない。さらに、カード3はアダプタから取り外される可能性があり、IDデータはカードがあるか、ないかに応じて同じではない。
【0021】
RCAフラグの内容に関する限り、カードから提供されるアドレスはアプリケーション回路を作動させるためにも使用される場合あるので、アダプタはこの情報を保存しておく必要がある。
【0022】
スタート段階の最後で、通信回路54は、バス20上でコマンドCmd4検出し、遮断器S1が閉じられたままにする。したがって、SDホストがカード3の宛先に対してのみ読み出しまたは書き込みコマンド、あるいは他のコマンドを送信する場合、これらのコマンドはカード3でそれぞれ受信され、インターフェース回路51は応答せず、カードが直接応答できるように遮断器S1は閉じられたままである。最終的に、応答がデバイスインターフェース51のデバイスフラグで使用される場合のあるカードの状態を指す場合、ホストインターフェース回路53は応答を遮断し、それぞれのデータを保存するために、データをデバイスインターフェース回路51に伝送する。
【0023】
受信されたコマンドが専らカード3に関連したコマンドではない場合、遮断器S1はコマンドが完全に通過するとすぐに開かれる。ホストインターフェース回路ではカード3から可能性のある応答を受信する。デバイスインターフェース回路51は、できる限りカード3からの応答を認識しながら応答する。デバイスインターフェース回路51は、その応答を終了すると、カードが次のコマンドを受信できるように再度遮断器S1が閉じられるようにする。
【0024】
SDホストが1つまたは複数のコマンドをアプリケーション回路52に送信しようとする場合、拡張されたコマンドセットを使用する必要がある。このために、SDホストは、カード3によりサポートされていない、例えば、Cmd6などのコマンドを送信する。通信回路54は、このコマンドCmd6を検出すると、遮断器S1を開くようにする。コマンドCmd6を受信した、カード3はそのコマンドをサポートしていないと応答する場合があるが、その応答はSDホストに伝送されない。応答はインターフェース回路51から行われ、次いで遮断器S1は、カードがカード向けの次のコマンドを受信できるように、再度閉じられる。
【0025】
電源が切断されると、アダプタはスタート段階を再初期化する。
【0026】
カード3なしでアダプタを使用することも可能である。そのような場合、スタート段階で送られるコマンドにカードが応答することはない。上記の表に関連して、これはコマンドCmd8およびAcmd41の欠落に対する応答に対応する。コマンドCmd8に対する応答はオプションなので、カードがないことを意味してはいない。対照的に、既定の時間内にOCR応答を提供できないことはカード3がなく、したがって、デバイスインターフェース51が、前のコマンドAcmd41の直後に、それ自体のOCRフラグで応答できることを意味している。
【0027】
一変形形態では、アプリケーション回路52がカード3で情報を保存する必要がある可能性がある。そのような場合の適切な反応は、ホストインターフェース53の支援により遮断器S1を開き、カード3に対応することである。カード3の使用中に、SDホストがコマンドをカードに送信する場合、デバイスインターフェース回路が、「ビジー」という応答で、カードが使用できないことを応答する。
【0028】
上述した例は、マイクロSDカードを取り付けるSDカード形式のアダプタを意味している。これらの形式態様を変更することが可能である。SDIO形式のカードがSDカードより大きな部分を持つことができ、microSDカード3を他の任意のSDまたはmicroSDカード形式で置き換えることが可能である。
【0029】
前述のとおり、アプリケーション回路52はSDIO規格によりサポートされる任意のタイプとすることもでき、アプリケーション回路52に別の外部回路との接続を設けることができる。
【0030】
本発明を実現するこの好ましい方法の場合、チップ5は1つの単一チップ上に実装された複数の電子回路に相当する。当然、電子回路は、アダプタで実現されるアプリケーションのタイプに応じて、複数のチップ上で実現されることも可能である。
【0031】
本発明を実現するための好ましい方法のほか、ここで略述した課題では、SD規格を参照している。しかしながら、SD規格と類似した機能を含む類似した他のメモリカード規格があり、その場合にも、同じ課題が発生し、対応した解決策が適用可能である。カード規格がメモリカード以外の何かと通信可能で、通信プロトコルが1つの単一のデバイスのみと通信可能な場合、同じタイプのアダプタが使用可能である。そのような場合には、使用される規格に適した他のコマンドが適用される必要がある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アダプタデバイス(1)であって、
前記アダプタデバイスを取り付けるホストと接続される1つの主コネクタ(2)と、
メモリカード(3)を取り付ける1つの副コネクタ(4)と、
主コネクタを副コネクタに接続する1つの遮断器(S1)と、
主コネクタと接続され、第1コネクタにより受信されたコマンドに応じて遮断器(S1)の開閉を制御する1つのデバイスインターフェース回路(51)とからなる、アダプタデバイス。
【請求項2】
デバイスインターフェース回路(51)に接続されたアプリケーション回路(52)をさらに含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
メモリカード(3)と通信するために、副コネクタ(4)に接続されたホストインターフェース回路(53)をさらに含む、請求項1または2に記載のデバイス。
【請求項4】
デバイスインターフェース回路(51)およびホストインターフェース回路(53)がデータの交換および共通機能の判定のために相互接続され、同時にカード(3)の機能およびデバイスの特有の機能を認識する、請求項3に記載のデバイス。
【請求項5】
主コネクタおよび副コネクタがSDカード規格に準拠している、請求項1に記載のデバイス。
【請求項6】
アダプタデバイスがSD規格形式を有し、メモリカードがmicroSD形式を有する、請求項5に記載のデバイス。
【請求項7】
コマンドが主コネクタ(2)から受信されると、デバイスインターフェース回路(51)が遮断器(3)を閉じ、コマンドがカードに向けられる場合には、カード(3)からの応答が渡されるよう閉じた状態が保持される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項8】
カード(3)が接続されていない場合、デバイスインターフェース回路が全コマンドに応答する、請求項7に記載のデバイス。
【請求項9】
コマンドが主コネクタ(2)から受信されると、デバイスインターフェース回路(51)が遮断器(3)を閉じ、コマンドがアプリケーション回路(52)に向けられる場合、カード(3)からの応答をブロックするために遮断器が開く、請求項2に記載のデバイス。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2011−526713(P2011−526713A)
【公表日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−515455(P2011−515455)
【出願日】平成21年7月1日(2009.7.1)
【国際出願番号】PCT/EP2009/058286
【国際公開番号】WO2010/000785
【国際公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【出願人】(508361405)
【Fターム(参考)】