説明

メーターボックスユニット

【課題】 メーターボックスおよびパイプスペースが共用廊下側へ突出する設計において、建物の美感を損なうことなく、設置が容易で構造的にも安定したメーターボックスユニットを提供する。
【解決手段】 隣り合う住戸の共用廊下側の壁の外側に設置されるメーターボックスユニットについて、パイプ収納部11の両側にメーター収納部21を設ける。パイプ収納部11は共用廊下の床面から天井面まで連続し、メーター収納部21の下部には床面との間に所要高さの空間を設ける。パイプ収納部11には、水道やガスの縦管12a、12b、電気・通信ケーブルなどを外部に露出させることなく収納し、メーター収納部21には各住戸ごとの水道メーター22a、ガスメーター22b、ワットメーターボックス22cなどの検針メーターを収納する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集合住宅に設けられるメーターボックスユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
集合住宅用のメーターボックスは、通常、住戸の共用廊下側に設けられ、給排水用の縦管、ガス用の縦管、電気、通信ケーブル用の縦管と、水道、ガス、電気などの検針用メーターなどが収納されている。
【0003】
平面配置に関しては、専用部と共用部との関係で、専用部側へ入り込むような配置とするもの(例えば、特許文献3参照)や共用部側へ突出するような配置とするものなど、種々の設計、工夫がなされているが、専用部の利便性を優先して、メーターボックスを共用廊下側へ突出させて配置する設計においては、メーターボックス全体が共用廊下の床面から天井面まで設けられるのが一般的である。
【0004】
しかし、その場合、メーターボックス全体が専用部の床面積に算入されてしまう。また、共用廊下のスペースも狭めることになる。
【0005】
先行技術として、例えば、特許文献1には、空気調和機の室外機の設置スペースの確保と、ガス給湯器や各種検針メーターの設置スペースの合理化のため、各住戸を連絡する廊下の隣接する住戸の境界部分の廊下床面に据え付けられた空気調和機の室外機の上方位置の廊下側壁面に支持枠体を取り付け、該支持枠体に蓋板を固着し、該蓋板内で仕切られた空間内に前記隣接する2戸の住戸のためのガス検針メーターと、電力量検針メーターと、水道検針メーターと、ガス給湯器とを収納するようにした集合住宅用メーターボックス構造が記載されている。
【0006】
【特許文献1】登録実用新案第3011826号公報
【特許文献2】特許第3045968号公報
【特許文献3】特開2000−045549号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1記載のメーターボックス構造は、共用廊下側に空調機の室外機の設置スペースの設置場所を作ることを目的に、メーターボックスの下部に空間が形成されるように、メーターボックス全体を壁面で支持させるようにしたものであり、副次的な効果として、専用部分の面積に算入されないということが述べられている。
【0008】
しかしながら、パイプスペースについては特に考慮されておらず、そのため縦管の上部はメーターボックス内に収納されているものの、縦管の下部が露出し、集合住宅としての美感を損ねることになっている。
【0009】
また、大きなメーターボックスが壁面のみで支持されるため、壁面が損傷しやすいといった問題や、安定性の面での不安もある。
【0010】
本発明は、メーターボックスおよびパイプスペースが共用廊下側へ突出する設計において、建物の美感を損なうことなく、設置が容易で構造的にも安定したメーターボックスユニットを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願の請求項1に係る発明は、集合住宅の共用廊下側に設置され、上下階に跨る縦管を収納するパイプ収納部と、検針用メーターを収納するためのメーター収納部を備えたメーターボックスユニットにおいて、前記パイプ収納部のみ共用廊下床面から共用廊下天井面まで連続させ、前記メーター収納部については、該メーター収納部と共用廊下床面との間に所要高さの空間を形成してあることを特徴とするものである。
【0012】
パイプ収納部については、床面から天井面まで連続するため、従来の一般的なメーターボックスユニットと同様、縦管が廊下面に露出することがなく、美感を保つことができ、また縦管全体がパイプ収納部を構成する箱体で保護されるため損傷や劣化を防止することができる。
【0013】
また、床面から天井面まで連続することで、構造的に安定し、パイプ収納部を構成する箱体が壁面から外れたり、転倒する恐れもない。
【0014】
一方、メーター収納部については、メーター収納部と共用廊下床面との間に所要高さの空間を形成してあることで、専用部の床面積の算出に影響するのは、パイプスペースのみであり、メーター収納部は床面積に算入されないので、設計的に空間の有効利用が可能である。
【0015】
この場合、メーター収納部は、少なくとも外観的には壁掛け状となるが、メーター収納部の荷重の一部を共用廊下の床面から天井面まで連続するパイプ収納部に支持させることができるため、壁取り付け部の負担が小さくなり、安定的に支持することができる。
【0016】
また、メーター収納部は床面から所定高さ上方に位置するため、検針メーターが床面近くの高さにある場合に比べ、目視が楽であるという利点もある。
【0017】
請求項2は、請求項1に係るメーターボックスユニットにおいて、隣接する2戸の住戸に対し1つのメーターボックスユニットが設けられ、前記2戸の住戸に対するメーター収納部を前記パイプ収納部の両側に分けて配置してあることを特徴とするものである。
【0018】
メーター収納部とパイプ収納部は、個々の住戸ごとに設けることもできるが、請求項2のように、隣接する2戸の住戸に対し1つのメーターボックスユニットを設けることとし、2戸の住戸に対するメーター収納部をパイプ収納部の両側に分けて配置するようにすれば、縦管の本数が少なくて済むだけでなく、中央のパイプ収納部に対し、両側のメーター収納部をやじろべえ状にバランスさせることができ、より安定した構造となる。
【0019】
請求項3は、請求項1または2に係るメーターボックスユニットにおいて、前記パイプ収納部およびメーター収納部は、それぞれ骨組を構成するフレーム部材と、該フレーム部材に取り付けられるパネル部材とから構成されており、前記パイプ収納部のフレーム部材と前記メーター収納部のフレーム部材とが一体化されていることを特徴とするものである。
【0020】
パイプ収納部のフレーム部材とメーター収納部のフレーム部材とが一体化されていることで、もともと床面と天井面との間で安定的に支持されているパイプ収納部とともにメーター収納部も安定的に支持されることになる。
【0021】
なお、パイプ収納部のフレーム部材とメーター収納部のフレーム部材とが一体化されているというのは、フレーム部材自体がパイプ収納部からメーター収納部にかけて連続する1つの部材である場合と、フレーム部材どうしを連結して一体化する場合とがある。
【発明の効果】
【0022】
本発明の場合、メーターボックス部分について、床面積の算出に影響するのは、パイプスペースのみであり、メーター収納部は専用部の床面積に算入されないので、設計的に空間の有効利用が可能である。
【0023】
また、物理的にも、床面とメーター収納部の下面との間の空間を、例えば空調機器の室外機などの設置スペースなどに利用することで、空間の有効利用が可能である。
【0024】
メーター収納部は、外観的には壁掛け状となるが、メーター収納部の荷重の一部を共用廊下の床面から天井面まで連続するパイプ収納部に支持させることができるため、壁取り付け部の負担が小さくなり、安定的に支持することができる。
【0025】
メーター収納部は床面から所定高さ上方に位置するため、検針メーターが床面近くの高さにある場合に比べ、目視が楽である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
図1〜図3は、本発明の一実施形態におけるメーターボックスユニットの内部構造を示したものである。
【0027】
本実施形態において、メーターボックスユニットは、パイプ収納部(パイプスペース)11と、その両側に配置されたメーター収納部(メーターボックス)21とからなり、隣り合う住戸の共用廊下側の柱1および壁2の外側に設置されている。
【0028】
これらのパイプ収納部11と、メーター収納部21は、骨組となるフレーム部材31とパネル部材32とからなり、中央のパイプ収納部11は共用廊下の床面から天井面まで連続し、両側のメーター収納部21は床面との間に所要高さの空間が形成されている。図示した例では、この空間部を空調機の室外機41を設置するために利用しているが、用途は自由である。
【0029】
この場合、パイプ収納部11は専用部の床面積に算入されるが、メーター収納部21は専用部の床面積に算入されないため、設計的に空間の有効利用が図れる。
【0030】
パイプ収納部11には、集合住宅の複数階に渡って延びる水道(給水管)やガスの縦管12a、12b、電気・通信ケーブルなどが外部に露出することなく収納され、メーター収納部21に各階の住戸ごと、水道メーター22a、ガスメーター22b、ワットメーターボックス22cなどの検針メーターが収納される。その他、箇所により、消火器、メンテナンス用の散水栓などを収納できるようにする。
【0031】
図中、符号15はパイプ収納部11の扉であり、メンテナンスや、バルブなどの操作を行う際に用いられる。符号25はメーター収納部21の扉である。また、符号24は給水管の減圧弁保温カバーを指している。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の一実施形態におけるメーターボックスユニットの内部を示す正面図である。
【図2】図1に対応する内部の右側面図である。
【図3】図1に対応する内部の平面図である。
【符号の説明】
【0033】
1…共用廊下側柱、2…共用廊下側壁、
11…パイプ収納部、12a…縦管(給水管)、12b…縦管(ガス管)、15…パイプ収納部扉、
21…メーター収納部、22a…水道メーター、22b…ガスメーター、22c…ワットメーターボックス、24…減圧弁保温カバー、25…メーター収納部扉
31…フレーム部材、32…パネル部材、
41…空調機室外機


【特許請求の範囲】
【請求項1】
集合住宅の共用廊下側に設置され、上下階に跨る縦管を収納するパイプ収納部と、検針用メーターを収納するためのメーター収納部を備えたメーターボックスユニットにおいて、前記パイプ収納部のみ共用廊下床面から共用廊下天井面まで連続させ、前記メーター収納部については、該メーター収納部と共用廊下床面との間に所要高さの空間を形成してあることを特徴とするメーターボックスユニット。
【請求項2】
隣接する2戸の住戸に対し1つのメーターボックスユニットが設けられ、前記2戸の住戸に対するメーター収納部を前記パイプ収納部の両側に分けて配置してあることを特徴とする請求項1記載のメーターボックスユニット。
【請求項3】
前記パイプ収納部およびメーター収納部は、それぞれ骨組を構成するフレーム部材と、該フレーム部材に取り付けられるパネル部材とから構成されており、前記パイプ収納部のフレーム部材と前記メーター収納部のフレーム部材とが一体化されていることを特徴とする請求項1または2記載のメーターボックスユニット。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−287272(P2009−287272A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−140601(P2008−140601)
【出願日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【出願人】(592040826)住友不動産株式会社 (94)