メール利用状況分析システム、業務効率化支援システム、方法、及び、プログラム
【課題】電子メールを利用するユーザに対して電子メールの利用状況を分析可能なメール利用状況分析システムを提供する。
【解決手段】電子メール格納部104は、対象ユーザが送受信した電子メールを格納する。メールスレッド生成部101は、ユーザが発信した電子メールを含むメールスレッドを生成する。メールスレッド分類部102は、メールスレッドを、メールスレッドの段数と枝の広さとに応じて複数の分類に分類する。
【解決手段】電子メール格納部104は、対象ユーザが送受信した電子メールを格納する。メールスレッド生成部101は、ユーザが発信した電子メールを含むメールスレッドを生成する。メールスレッド分類部102は、メールスレッドを、メールスレッドの段数と枝の広さとに応じて複数の分類に分類する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メール利用状況分析システム、業務効率化支援システム、方法、及び、プログラムに関し、更に詳しくは、ユーザが送受信する電子メールのメールスレッドの分析を行うメール利用状況分析システム、業務効率化支援システム、方法、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子メールは、日々の業務遂行に対して、多くの場面で利用されている。電子メールの利用場面としては、下記のような場面が考えられる。
(1)電子メールを使用して、指示、連絡、議論が行われる場面。
(2)対面の会議の前後に、日程調整、会議開催通知、議事録といったものを電子メールで送受信する場面。
(3)電子的に作成される資料類が、作成途中に、或いは、作成完了後に、電子メールで配布される場面。
【0003】
利用者が発信した電子メールを分析して、利用者の傾向を抽出するシステムが、特許文献1に記載されている。特許文献1では、利用者が受発信した電子メールから、返信関係にある電子メールの連なりである“メールスレッド”(以下、単にスレッドとも呼ぶ)を作成する。メールスレッドは、電子メールの送受信を行うメールクライアント(メーラー)に広く一般的に取り入れられているメールグループ化の手法の1つである。例えば、ある電子メールAと、その電子メールAに対する返信メールBとがあるとき、電子メールAと返信メールBとを、つながりを持った1つのグループとしたものがメールスレッドである。
【0004】
図14(a)〜(c)に、メールスレッドの具体例を示す。図14(a)に示すメールスレッドは、電子メールAと、その電子メールAに対する返信メールBとで構成されている。各電子メールには、メールIDが付与されている。また、返信メールは、ヘッダ中に、「In−Reply−To」の情報記述欄を有し、その欄に返信元の電子メールIDが記述されている。メールスレッドの作成に際しては、ヘッダ中の情報を参照して電子メール間のつながりを特定するのが一般的である。上記の例では、返信メールBのヘッダに記述された「In−Reply−To」に、電子メールAのメールIDが記述されているので、これを参照することで、図14(a)に示すメールスレッドが生成できる。
【0005】
メールスレッドは、一般に木構造を形成する。例えば、上記の例で、電子メールBに対して電子メールCが更に返信されると、図14(b)に示すように、スレッドの段数が深くなる。また、電子メールAに対して、電子メールBに加えて電子メールDが返信されたとき、メールスレッドは、図14(c)に示すように枝分れする。このようにメールスレッドは、深さの段数と、枝の広がりとを持つ。
【0006】
特許文献1では、スレッドを分析し、下記3つの評価値を計算する。
・Speed:対象者が最初の発信者になっているスレッドの時間的長さの平均
・Leadership:対象者が最初の発信者になっているスレッドの個数が、プロジェクト全体のスレッドの個数に占める割合
・Activity:対象者が発信したメールのサイズが、プロジェクト全体のメールのサイズに占める割合
特許文献1では、上記3つの評価値を、個人業績評価に利用している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−242574号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
電子メールは、様々な場面で利用されており、電子メールの送受信には、各人の業務の進め方が反映されることになる。従って、電子メールのやり取りを解析することで、業務の進め方の傾向を読み取ることができる。特許文献1では、Speed、Leadership、Activityを評価し、個人業務評価を行っている。しかしながら、これらの評価だけでは、ユーザが電子メールを業務にどのように用いているかまでは推定することはできない。また、特許文献1では、ユーザの電子メールの利用状況に応じたメッセージをユーザに提示して、ユーザの業務効率化を支援することもできない。
【0009】
本発明は、電子メールを利用するユーザに対して電子メールの利用状況を分析可能なメール利用状況分析システム、業務効率化支援システム、方法、及び、プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明のメール利用状況分析システムは、少なくとも対象ユーザが送受信した電子メールを記憶する電子メール格納部を参照し、ユーザが発信した電子メールを含むメールスレッドを生成するメールスレッド生成部と、前記メールスレッドを、メールスレッドの段数と枝の広さとに応じて複数の分類に分類するメールスレッド分類部とを備えることを特徴とする。
【0011】
本発明の業務効率化支援システムは、少なくとも対象ユーザが送受信した電子メールを記憶する電子メール格納部を参照し、ユーザが発信した電子メールを含むメールスレッドを生成するメールスレッド生成部と、前記メールスレッドを、メールスレッドの段数と枝の広さとに応じて複数の分類に分類するメールスレッド分類部と、前記メールスレッドの分類結果に応じて、メッセージを格納するメッセージ格納部からメッセージを取得するメッセージ割当部とを備えることを特徴とする。
【0012】
本発明のメール利用状況分析方法は、コンピュータが、少なくとも対象ユーザが送受信した電子メールを記憶する電子メール格納部を参照し、ユーザが発信した電子メールを含むメールスレッドを生成するステップと、前記コンピュータが、前記メールスレッドを、メールスレッドの段数と枝の広さとに応じて複数の分類に分類するステップとを有することを特徴とする。
【0013】
本発明の業務効率化支援方法は、コンピュータが、少なくとも対象ユーザが送受信した電子メールを記憶する電子メール格納部を参照し、ユーザが発信した電子メールを含むメールスレッドを生成するステップと、前記コンピュータが、前記メールスレッドを、メールスレッドの段数と枝の広さとに応じて複数の分類に分類するステップと、前記コンピュータが、前記メールスレッドの分類結果に応じて、メッセージを格納するメッセージ格納部からメッセージを取得するステップとを有することを特徴とする。
【0014】
本発明のプログラムは、コンピュータに、少なくとも対象ユーザが送受信した電子メールを記憶する電子メール格納部を参照し、ユーザが発信した電子メールを含むメールスレッドを生成する処理と、前記メールスレッドを、メールスレッドの段数と枝の広さとに応じて複数の分類に分類する処理とを実行させることを特徴とする。
【0015】
本発明のプログラムは、コンピュータに、少なくとも対象ユーザが送受信した電子メールを記憶する電子メール格納部を参照し、ユーザが発信した電子メールを含むメールスレッドを生成する処理と、前記メールスレッドを、メールスレッドの段数と枝の広さとに応じて複数の分類に分類する処理と、前記メールスレッドの分類結果に応じて、メッセージを格納するメッセージ格納部からメッセージを取得する処理とを実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明のメール利用状況分析システム、業務効率化支援システム、方法、及び、プログラムは、電子メールを利用するユーザの電子メールの利用状況を分析することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の業務効率化支援システムを示すブロック図。
【図2】本発明の第1実施形態の業務効率化支援システムを示すブロック図。
【図3】メールスレッドの分類を示す図。
【図4】基準となるメールスレッド形状を示す図。
【図5】(a)及び(b)は、メールスレッドの例を示す図。
【図6】個人傾向指標算出部が算出した各分類の割合(個人傾向指標1)のデータ例。
【図7】個人傾向指標算出部が算出した各分類の割合(個人傾向指標2)のデータ例。
【図8】メッセージ格納部が格納するメッセージのデータ例。
【図9】動作手順を示すフローチャート。
【図10】本発明の第2実施形態の業務効率化支援システムを示すブロック図。
【図11】本発明の第3実施形態の業務効率化支援システムを示すブロック図。
【図12】第3実施形態にてメッセージ格納部が格納するメッセージのデータ例。
【図13】第3実施形態の動作手順を示すフローチャート。
【図14】(a)〜(c)は、メールスレッドを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
まず、本発明の概要について説明する。図1は、本発明のメール利用状況分析システムを含む業務効率化支援システムを示している。メール利用状況分析システム100は、最小構成として、メールスレッド生成部101と、メールスレッド分類部102とを有する。電子メール格納部104は、少なくとも対象ユーザが送受信した電子メールを記憶する。メールスレッド生成部101は、電子メール格納部104を参照し、ユーザが発信した電子メールを含むメールスレッドを生成する。メールスレッド分類部102は、メールスレッドを、メールスレッドの段数と枝の広さとに応じて複数の分類に分類する。
【0019】
メールスレッドには、様々な形状がある。メールスレッドには、2、3通のメールからなる小さなスレッドもあれば、多数のメールが多段につながり、枝分れの数も多い、深く広い木構造のスレッドもある。メールスレッドの形状は、業務の内容(電子メールの利用状況)を反映していると考えられる。例えば、段数が少なく、枝分かれも少ない小さなスレッドが多い場合、ユーザは、電子メールを、返信が少ない「通知」、「連絡」、「報告」などに利用していると考えられる。一方、段数が多く、枝分かれも多い、深く広いスレッドが多い場合、ユーザは、多人数が関わり話題も単一ではない「議論」に電子メールを利用していると考えられる。本実施形態では、メールスレッドを、段数と枝の広さとで、複数の分類に分類する。このようにすることで、ユーザが、電子メールを、業務に対してどのように利用しているかを推定することができる。
【0020】
本発明の業務効率化支援システム110は、最小構成として、メール利用状況分析システム100と、メッセージ割当部103とを有する。メッセージ割当部103は、メールスレッドの分類結果に応じて、メッセージを格納するメッセージ格納部105からメッセージを取得する。ユーザに、メールスレッドの分類結果に応じたメッセージを提示することで、ユーザに対して、電子メールの利用の仕方を見直す機会を提供することができる。ユーザが、自身の電子メールの利用状況を把握し、電子メールをより効率的に業務に利用することで、業務改善を図ることができる。
【0021】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳細に説明する。図2は、本発明の第1実施形態の業務効率化支援システムを示している。業務効率化支援システム10は、メールスレッド生成部11、メールスレッド分類部12、個人傾向指標算出部13、メンバ指標算出部14、特徴分類特定部15、メッセージ割当部16、メッセージ格納部17、及び、メッセージ表示部18を有する。業務効率化支援システム10内の各部の機能は、コンピュータ上でプログラムを実行することで実現可能である。
【0022】
メールクライアント20は、ユーザが使用するパーソナルコンピュータや携帯電話機などの情報端末装置で動作するメーラなどのソフトウェアである。メールクライアント20は、メール制御部21と電子メール格納部22とを有する。メール制御部21は、メールサーバ30に対して、電子メールを送信する。また、メール制御部21は、メールサーバ30から、ユーザ宛ての電子メールを受信する。メール制御部21は、ユーザが送受信した電子メールを電子メール格納部22に格納する。
【0023】
メールスレッド生成部11は、電子メール格納部22から、ユーザが送受信した電子メールのヘッダ部分の情報を取得する。メールスレッド生成部11は、取得したヘッダ情報を用いて、ユーザが発信した電子メールを含むメールスレッドを生成する。ユーザが送受信した電子メールのうち、特に発信メールに着目するのは、電子メールには一方的に送りつけられるものもあり、ユーザが業務に対して電子メールをどのように用いているかは、ユーザ自らが発信した電子メールにより強く反映されると考えられるからである。
【0024】
メールスレッド生成部11は、発信メールを含むメールスレッドの生成では、いったんユーザが送受信したメールを含むメールスレッドを生成し、その後、生成したメールスレッドのうち、対象ユーザが発信した電子メールを含むメールスレッドを選別抽出する。或いは、メールスレッド生成部11は、対象ユーザが発信した電子メールを手掛かりに、発信メールと関連がある電子メールを検索し、発信メールを含むメールスレッドを生成してもよい。
【0025】
メールスレッド分類部12は、対象ユーザの発信メールを含むメールスレッドを、段数の深さと枝の広さの2軸で、複数の分類に分類する。メールスレッド分類部12は、メールスレッドの段数をしきい値処理し、メールスレッドの段数が深いか浅いかを判定する。また、メールスレッド分類部12は、メールスレッドの枝の広さ(枝分かれの多さ)をしきい値処理し、メールスレッドの枝が広いか狭いかを判定する。メールスレッド分類部12は、メールスレッドの段数が深いか浅いかと、枝が広いか狭いかとの組み合わせに応じて、メールスレッドを、第1類〜第4類に分類する。
【0026】
図3に、メールスレッドの分類を示す。メールスレッド分類部12は、小さいスレッド、すなわち、段数が少なく、枝分れも少ないスレッドを、第1類に分類する。メールスレッド分類部12は、浅く広いスレッド、すなわち、段数が少なく、枝分れは多いスレッドを、第2類に分類する。メールスレッド分類部12は、深く細いスレッド、すなわち、段数が多く、枝分れは少ないスレッドを、第3類に分類する。メールスレッド分類部12は、深く広いスレッド、すなわち、段数が多く、枝分れも多いスレッドを、第4類に分類する。
【0027】
メールスレッドの各分類は、メールの内容と以下のような対応関係にある。
第1類(小さいスレッド):返信の少ない「通知」「連絡」「報告」などを近似的に反映
第2類(浅く広いスレッド):他人数が並列して簡単な返信をする「調整」などを反映
第3類(深く細いスレッド):特定のメンバとの「依頼と回答」「問い合わせと解答」などを反映
第4類(深く広いスレッド):多人数がかかわり話題も単一でない「議論」を反映
【0028】
メールスレッド分類部12は、メールスレッドの深さについては、メールスレッドの段数が所定のしきい値よりも大きいか否か、又は、しきい値以上か否かに基づいて、段数が深いか浅いかを判定する。メールスレッド分類部12は、メールスレッドの段数がしきい値以下のメールスレッドを、段数が浅いメールスレッドと判定する。また、メールスレッド分類部12は、メールスレッドの段数がしきい値よりも大きいメールスレッドを、段数が深いメールスレッドと判定する。
【0029】
メールスレッド分類部12は、枝の広さの判定では、メールスレッドの段数と、メールスレッドを構成する電子メールの総数との関係に基づいて、枝分かれが広いか狭いか(枝分かれが多いか少ないか)を判定する。メールスレッド分類部12は、メールスレッドの段数に対してメールスレッドを構成する電子メールの総数が少ないメールスレッドを、枝分かれが少ないスレッドと判定する。また、メールスレッド分類部12は、メールスレッドの段数に対してメールスレッドを構成する電子メールの総数が多いメールスレッドを、枝分かれが多いスレッドと判定する。
【0030】
メールスレッドの分類について数値例を用いて説明する。メールスレッドが深いか浅いかを判定するためのしきい値は、例えば3段とする。メールスレッド分類部12は、メールスレッドの段数が3段以下のメールスレッドを浅いスレッドと判定し、段数が3段よりも大きいスレッド、つまりは、段数が4段以上のスレッドを深いスレッドと判定する。
【0031】
メールスレッド分類部12は、枝の広さについては、メールスレッドの段数と、メールスレッドを構成する電子メールの総数とに基づいて、枝の広さを示す指標を求め、その指標が所定のしきい値よりも大きいか否か、又は、しきい値以上か否かに基づいて、枝が広いか狭いかを判定する。この枝の広さの判定では、メールスレッドの枝分かれが多いか少ないかの判断基準として、基準となるメールスレッド形状を考える。メールスレッド分類部12は、基準となるメールスレッド形状よりも枝分れが多いメールスレッドを広いメールスレッドと判定し、基準のメールスレッド形状よりも枝分れが少ないメールスレッドを狭いメールスレッドとする。
【0032】
図4に、基準となるメールスレッド形状を示す。基準となるメールスレッド形状として、5段目までに、分岐したノード(電子メール)が1となるスレッド形状を考える。5段目までに分岐したノードが1になるように各段のノード数を配分すれば、2段目のノード数は1.25、3段目のノード数は1.5、4段目のノード数は1.75となる。各段における累積ノード数(累積メール数)は、1段目は1、2段目は2.25、3段目は3.75、4段目は5.5、5段目は7.5となる。
【0033】
基準となるメールスレッド形状にて、各段のノード数と、メールスレッドの段数との関係を求めると、段数dにおけるノード数m(d)は、
m(d)=(d+3)/4
となる。また、基準となるメールスレッド形状にて、各段の累積ノード数と、メールスレッドの段数との関係を求めると、段数dにおける累積ノード数q(d)は、
q(d)=d(d+7)/8
となる。これらは、上記の数列を解くことで求まる。メールスレッド分類部12は、メールスレッドを構成する電子メールの総数Nと、上記で求めた基準となるメールスレッド形状における累積ノード数q(d)との比を、枝分かれの多さを示す指標Kと定義する。すなわち、メールスレッド分類部12は、枝別れの多さを示す指標Kを、
K=N/q(d)=8N/{d(d+7)}
と定義する。
【0034】
上記指標Kの値が1よりも大きいということは、メールスレッドの枝分かれが、基準となるメールスレッド形状における枝分かれよりも多いことを表している。また、指標Kの値が1よりも小さいということは、メールスレッドの枝分かれが、基準となるメールスレッド形状における枝分かれよりも少ないことを表している。メールスレッド分類部12は、枝分かれの多さを表す指標Kのしきい値を1として、指標Kが1以上のスレッドを、枝分かれが広いスレッドと判定する。また、メールスレッド分類部12は、指標Kが1よりも小さいスレッドを、枝分かれが狭いスレッドと判定する。
【0035】
図5(a)及び(b)に、メールスレッドを示す。図5(a)に示すメールスレッドは、段数dが5段で、メールスレッドを構成する電子メールの総数(ノード数)Nが6個である。基準となるメールスレッド形状では、図4に示すように、段数5のときの累積ノード数q(5)は7.5である。図5(a)に示すメールスレッドのノード数は、基準となるメールスレッド形状の累積ノード数よりも少ないので、メールスレッド分類部12は、図5(a)に示すメールスレッドを枝が狭いメールスレッドと判定する。一方、図5(b)に示すメールスレッドは、段数5に対して電子メールの総数Nが8個であり、基準となるメール形状の累積ノード数7.5よりも多い。従って、メールスレッド分類部12は、図5(b)に示すメールスレッドを枝が広いメールスレッドと判定する。
【0036】
以上、まとめると、段数のしきい値を3とし、枝分かれの多さを示す指標Kのしきい値を1とした場合、メールスレッド分類部12は、指標Kと、スレッドの段数dとの組み合わせに応じて、下記のように、メールスレッドを、第1類〜第4類に分類する。
第1類:d≦3、かつ、K<1 (小さいスレッド)
第2類:d≦3、かつ、K≧1 (浅く広いスレッド)
第3類:d≧4、かつ、K<1 (深く細いスレッド)
第4類:d≧4、かつ、K≧1 (深く広いスレッド)
【0037】
個人傾向指標算出部13は、メールスレッドの総数に対する各分類のメールスレッド数の割合を算出する。より詳細には、個人傾向指標算出部13は、上記4つの分類に含まれるメールスレッド数を分類ごとに計測し、各分類の計測値をメールスレッドの総数で割った値を算出する。これを、“個人傾向指標1”とする。図6に、個人傾向指標1のデータ例を示す。個人傾向指標1は、対象ユーザの発信メールを含むメールスレッドの総数に対して、各分類のスレッドがどれだけの割合で存在するかを示している。
【0038】
また、個人傾向指標算出部13は、発信メールの総数に対する各分類の発信メール数の割合を算出する。より詳細には、個人傾向指標算出部13は、対象ユーザの発信メールを、4つの分類のスレッドのどこに属するかに応じて分類ごとに計測し、各分類の計測値を発信メールの総数で割った値を算出する。これを、“個人傾向指標2”とする。図7に、個人傾向指標2のデータ例を示す。個人傾向指標2は、対象ユーザの発信メールの総数に対して、発信メールがメールスレッドの分類ごとにどれだけの割合で存在するかを示している。個人傾向指標算出部13は、個人傾向指標1と個人傾向指標2との少なくとも一方を計算すればよい。
【0039】
メンバ指標算出部14は、比較基準値生成部に相当し、他のユーザを含むユーザの個人傾向指標1及び個人傾向指標2を統計処理し、特徴分類特定部15にて対象ユーザの個人傾向指標と比較する値を生成する。メンバ指標算出部14は、個人傾向指標算出部13から、対象ユーザの個人傾向指標1及び個人傾向指標2における各分類の値を受け取る。また、他のユーザの業務効率化支援システム40から、他のユーザの個人傾向指標1及び個人傾向指標2の各分類の値を受け取る。メンバ指標算出部14は、対象ユーザの個人傾向指標1及び個人傾向指標2の値と、他のユーザの個人傾向指標1及び個人傾向指標2とから、対象ユーザが属する組織のユーザ全体の個人傾向指標1及び個人傾向指標2の平均値と標準偏差(分散)とを算出する。
【0040】
特徴分類特定部15は、個人傾向指標算出部13から、対象ユーザの個人傾向指標1及び個人傾向指標2を受け取る。また、特徴分類特定部15は、メンバ指標算出部14から、ユーザ全体の個人傾向指標1及び個人傾向指標2の平均値と標準偏差とを受け取る。特徴分類特定部15は、各分類について、対象ユーザの個人傾向指標1及び個人傾向指標2の値と、ユーザ全体の個人傾向指標1及び個人傾向指標2の値とを比較する。特徴分類特定部15は、両者の差の絶対値が所定の値以上の分類を、特徴分類として特定する。つまり、特徴分類特定部15は、対象ユーザの個人傾向指標1及び個人傾向指標2の値が、平均値から所定の範囲を超えて隔たっている分類を、特徴分類として特定する。特徴分類特定部15は、例えば、対象ユーザの個人傾向指標1及び個人傾向指標2の値とユーザ全体の平均値との差の絶対値が、標準偏差の2倍以上ある分類を、特徴分類として特定する。
【0041】
上記動作は、ユーザ全体の個人傾向指標1及び個人傾向指標2の値の上下にしきい値を設け、対象ユーザの個人傾向指標1及び個人傾向指標2の値が上側のしきい値を超える分類、又は、下側のしきい値よりも小さい分類を、特徴分類として特定するという動作と等価である。特徴分類特定部15は、例えば対象ユーザの個人傾向指標1(図6)における第1類(小さいスレッド)の値が上側のしきい値よりも大きいときは、第1類を特徴分類とし、第1類の値がユーザ全体の平均値に比して所定の範囲を超えて大きい旨をメッセージ割当部16に通知する。また、特徴分類特定部15は、例えば対象ユーザの個人傾向指標1における第4類(深く広いスレッド)の値が下側のしきい値よりも小さいときは、第4類を特徴分類とし、第4類の値がユーザ全体の平均値に比して所定の範囲を超えて小さい旨をメッセージ割当部16に通知する。
【0042】
メッセージ格納部17には、4つの分類に対して、対象ユーザの個人傾向指標の値がユーザ全体の平均値よりも所定の範囲を超えて隔たっているときに対象ユーザに通知すべきメッセージが格納されている。メッセージ割当部16は、メールスレッドの分類結果に応じて、メッセージ格納部17からメッセージを取得する。より詳細には、メッセージ割当部16は、特徴分類特定部15から特徴分類とされた分類の通知を受け、メッセージ格納部17から、その特徴分類に対応するメッセージを取得する。メッセージ表示部18は、メッセージ割当部16が取得したメッセージ内容を、対象ユーザに出力する。メッセージ表示部18は、例えばメッセージ内容を、ディスプレイなどの情報表示画面に表示する。或いは、メッセージ表示部18は、メッセージ内容をプリンタなどに出力し、印刷する。
【0043】
図8に、メッセージ格納部17が格納するメッセージの例を示す。図8に示すメッセージは、個人傾向指標2に関するメッセージである。メッセージ格納部17には、メッセージが選択される条件と、メッセージの内容とが格納される。メッセージ内容は、対象ユーザが、業務に対して電子メールをどのように利用する傾向にあるかを知らせる内容を含む。また、メッセージ内容は、電子メールの利用状況に対して、業務改善のための対応策を通知する内容を含む。メッセージ内容は、単に、特徴分類と、特徴分類の割合がユーザ全体の平均に比して大きいか小さいかを知らせる内容でもよい。
【0044】
メッセージ割当部16は、特徴分類特定部15からの通知内容と、メッセージ格納部17に格納された条件とに従って、メッセージ内容を取得する。例えば、メッセージ割当部16は、特徴分類特定部15から、個人傾向指標2について、特徴分類が第4類で、かつ、個人傾向指標2における特徴分類の値がユーザ全体の平均よりも大きい旨の通知を受け取ったときは、メッセージ格納部17から、「多人数が関わる内容の複雑な議論を電子メールで行っている頻度が多いようです。そのような議論は、対面の会合を開いて行った方が効率的かも知れません。検討してみてください。」というメッセージ内容を取得する。メッセージ表示部18は、メッセージ割当部16が取得したメッセージ内容を出力して、ユーザに業務改善を促す。
【0045】
図9に、動作手順を示す。メールスレッド生成部11は、電子メール格納部22を参照し、電子メールのヘッダ情報に基づいて、対象ユーザの発信メールを含むメールスレッドを生成する(ステップA1)。メールスレッド分類部12は、メールスレッドを、段数と枝の広さとに基づいて、第1類〜第4類に分類する(ステップA2)。個人傾向指標算出部13は、メールスレッドの分類結果に基づいて、個人傾向指標1及び個人傾向指標2を算出する(ステップA3)。特徴分類特定部15は、対象ユーザの個人傾向指標1及び個人傾向指標2と、ユーザ全体の個人傾向指標1及び個人傾向指標2とを比較し、特徴分類を特定する(ステップA4)。
【0046】
メッセージ割当部16は、メールスレッドの分類結果に応じて、特徴分類とされた分類に対応するメッセージを、メッセージ格納部17から取得する(ステップA5)。メッセージ表示部18は、メッセージ割当部16が取得したメッセージを対象ユーザに出力する(ステップA6)。メッセージ表示部18は、メッセージ割当部16が取得したメッセージに加えて、又は、これに代えて、個人傾向指標算出部13が求めた個人傾向指標1及び個人傾向指標2を、対象ユーザに出力してもよい。或いは、メッセージ表示部18は、特徴分類と特定された分類を、対象ユーザに通知してもよい。
【0047】
本実施形態では、メールスレッド生成部11が、電子メール格納部22を参照し、ユーザが発信した電子メールを含むメールスレッドを生成し、メールスレッド分類部12は、メールスレッドを、メールスレッドの段数と枝分かれの広さとに応じて複数の分類に分類する。メールスレッドの形状は、ユーザが電子メールを業務に対してどのように用いているかを表しており、メールスレッドの分類結果を参照することで、対象ユーザが電子メールを業務にどのように用いる傾向にあるかを推定することができる。
【0048】
例えば、メールスレッドの形状を分析した結果、小さなスレッド(第1類)の割合(構成比)が高いことが判明したユーザは、電子メールを、返信が少ない「通知」「連絡」「報告」などにより多く利用していると推定できる。一方、メールスレッドの形状を分析した結果、深く広いスレッド(第4類)の割合が高いことが判明したユーザは、多人数がかかわり話題も単一でない「議論」に電子メールをより多く利用していると推定できる。つまり、どの分類のメールスレッド、又は、どの分類のメールスレッドを構成する発信メールが多いかを調べることで、対象ユーザが電子メールを業務にどのように利用しているかを推定することができる。
【0049】
また、本実施形態では、メッセージ割当部16は、メールスレッドの分類結果に応じてメッセージを取得する。メッセージ割当部16が、メッセージ格納部17からメールスレッドの分類結果に応じたメッセージを取得することで、対象ユーザに、電子メールの利用状況に応じたメッセージを提示することができる。
【0050】
メッセージ格納部17には、例えば、ユーザの業務の仕方の傾向に対する改善案を提案するメッセージ内容を格納しておく。メッセージ割当部16は、メールスレッドの分類結果を用いて推定された、対象ユーザの電子メール利用状況に合わせたメッセージ内容を、メッセージ格納部17から取得する。ユーザが、自身の電子メール利用状況を把握し、それに応じて電子メールの利用の仕方を見直すことで、ユーザの業務効率化を図ることができる。
【0051】
具体的には、あらゆる業務について、電子メールに依存する割合が高いユーザが、必要に応じて、電話やWikiなどの他のメディアを用い、或いは、対面の会合を設定することなどで、情報を効率的に得ることや、時間を効率的に使用することが可能になる。また、電子メールを利用する割合が低いユーザが、電子メールを様々な業務に活用することで、例えば、個別に行っていた伝達を一斉メールで行い、効率化を図ることができると共に、伝達内容の記録も残せるといった業務改善が可能になる。
【0052】
本実施形態では、メンバ指標算出部14を用い、他のユーザを含むユーザの個人傾向指標1及び個人傾向指標2を統計処理する。特徴分類特定部15は、メンバ指標算出部14が処理した統計値を用いて、対象ユーザの個人傾向指標1及び個人傾向指標2が、ユーザ全体の個人傾向指標1及び個人傾向指標2に対して一定の範囲内にあるか否かを判断する。例えば、対象ユーザの個人傾向指標1にて、第1類に分類されるメールスレッドの割合が60%と高かったとしても、他のユーザも同様に第1類されるメールスレッドの割合が60%程度であれば、対象ユーザの電子メールの利用状況は、他のユーザの電子メールの利用状況と大して変わらない。本実施形態では、ユーザ全体との比較で特徴分類を特定するので、業務に対する電子メールの利用状況が、他のユーザとは異なる分類を、特徴分類として特定することができる。
【0053】
メッセージ表示部18がメッセージを出力する相手は、対象ユーザには限られない。メッセージ表示部18は、対象ユーザに加えて、又は、これに代えて、上司など、対象ユーザと関連がある者に対してメッセージを出力してもよい。例えば、あるプロジェクトに関与している特定のメンバ(ユーザ)について、「第4類:深く広いスレッド」が他のメンバに比して極端に高くなっている場合、そのメンバのプロジェクト遂行上の負荷が他のメンバよりも高いことが推測される。そのような場合、部門管理者が、プロジェクト内の役割を見直し、特定のメンバに業務が集中しないように業務分担を変更することで、メンバ間の業務の平準化を図ることができる。
【0054】
続いて、本発明の第2実施形態について説明する。図10は、本発明の第2実施形態の業務効率化支援システムを示している。メールサーバ30は、サーバ側メール制御部31と、全電子メール格納部32とを有する。本実施形態は、メールスレッド生成部11がヘッダ情報を取得する取得元が、メールクライアント20からメールサーバ30に変更されている点が、第1実施形態と異なる。その他の点は、第1実施形態と同様である。
【0055】
サーバ側メール制御部31は、複数のユーザのメールクライアント20から送信メールを受け取る。また、サーバ側メール制御部31は、複数のユーザのメールクライアント20に、ユーザ宛ての電子メールを送信する。サーバ側メール制御部31は、ユーザが送受信する電子メールを、全電子メール格納部32に格納する。全電子メール格納部32が格納する電子メールは、特定のユーザが送受信する電子メールではなく、メールサーバ30が送受信する全てのユーザの電子メールである。
【0056】
メールスレッド生成部11は、全電子メール格納部32から、電子メールのヘッダ部分に記載された情報を取得する。メールスレッド生成部11は、取得したヘッダ情報に基づいて、ユーザごとに、各ユーザが発信した電子メールを含むメールスレッドを生成する。ユーザの発信メールを含むメールスレッド生成の手法は、第1実施形態と同じ手法を用いることができる。メールスレッド分類部12は、ユーザごとに、発信メールを含むメールスレッドを、段数の深さと枝分れの多さとの2軸で第1類から第4類までの4つの分類に分類する。分類の手法は、第1実施形態における分類手法と同様な手法を用いることができる。
【0057】
個人傾向指標算出部13は、各ユーザについて、メールスレッドの分類結果を用いて、メールスレッドの総数に対する各分類のメールスレッド数の割合(個人傾向指標1)、及び、発信メールの総数に対する各分類の発信メール数の割合(個人傾向指標2)を算出する。メンバ指標算出部14は、個人傾向指標算出部13が求めた各ユーザの個人傾向指標1及び個人傾向指標2を統計処理し、ユーザ全体の個人傾向指標1及び個人傾向指標2の平均値と標準偏差とを算出する。
【0058】
特徴分類特定部15は、個人傾向指標算出部13から、各ユーザの個人傾向指標1及び個人傾向指標2を受け取る。また、特徴分類特定部15は、メンバ指標算出部14からユーザ全体の平均値と標準偏差とを受け取る。特徴分類特定部15は、第1実施形態と同様な動作で、ユーザの個人傾向指標1及び個人傾向指標2にて、平均値からの隔たりが一定範囲を超える分類を、特徴分類として特定する。
【0059】
メッセージ割当部16は、メッセージ格納部17から、特徴分類に対応するメッセージを取得する。例えば、メッセージ割当部16は、あるユーザについて、個人傾向指標2の第4類の割合の値が平均値を中心とした一定幅よりも多いときは、メッセージ格納部17(図8)から、「多人数が関わる内容の複雑な議論を電子メールで行っている頻度が多いようです。そのような議論は、対面の会合を開いて行った方が効率的かも知れません。検討してみてください。」というメッセージ内容を取得する。
【0060】
メッセージ表示部18は、メッセージ割当部16が取得したメッセージ内容を出力して、ユーザに業務改善を促す。その際、メッセージ表示部18は、各ユーザが利用する情報端末装置に、個別に、メッセージを出力する。或いは、各ユーザに対して出力すべきメッセージを一覧表示にして表示してもよい。
【0061】
本実施形態では、メールスレッド生成部11は、メールサーバ30内の全電子メール格納部32からヘッダ情報を取得し、各ユーザについて、発信メールを含むメールスレッドを生成する。この場合でも、メールスレッドの形状を段数と枝の広さとに応じて分類することで、第1実施形態と同様に、ユーザが電子メールをどのように利用しているかを推定することができる。また、メッセージ割当部16が、分類結果に応じてメッセージを取得し、ユーザに出力することで、ユーザに、電子メールの利用状況に応じたメッセージを提示することができるという効果が得られる。
【0062】
本実施形態では、各ユーザが送受信する電子メールは全電子メール格納部32にあるので、各ユーザのメールクライアント20ごとに、業務効率化支援システム10を設ける必要がない。更に、本実施形態では、メンバ指標算出部14は、他のユーザの業務効率化支援システム10から個人傾向指標1及び個人傾向指標2を収集しなくても、平均値と標準偏差とを算出することができる。
【0063】
本発明の第3実施形態について説明する。図11は、本発明の第3実施形態の業務効率化支援システムを示している。業務効率化支援システム10aは、メールスレッド生成部11、メールスレッド分類部12、メッセージ割当部16、メッセージ格納部17、メッセージ表示部18、メール送受信監視部51、分類変化判定部52、及び、スレッド分類記憶部53を有する。メールクライアント20は、メール制御部21と電子メール格納部22とを有する。メール制御部21は、メールサーバ30との間で電子メールを送受信する。電子メール格納部22は、対象ユーザが送受信した電子メールを格納する。
【0064】
スレッド分類記憶部53は、対象ユーザが送受信した既存の電子メールについて、発信メールを含むメールスレッドと、その分類とを記憶している。発信メールを含むメールスレッドの生成、及び、メールスレッドの分類は、第1実施形態におけるメールスレッド生成及びスレッド分類と同様な手順で行うことができる。スレッド分類記憶部53には、電子メール格納部22にある程度の電子メールが蓄積された時点で、発信メールを含むメールスレッドについて、各メールスレッドの分類を記憶しておく。スレッド分類記憶部53へのメールスレッド及びその分類の記録は、メールスレッド生成部11及びメールスレッド分類部12が行う。
【0065】
メール送受信監視部51は、周期的に電子メール格納部22にアクセスし、対象ユーザが新たに電子メールを送受信したか否かを判断する。メール送受信監視部51は、新たな送受信メールが発生したと判断すると、メールスレッド生成部11にその旨を通知する。メールスレッド生成部11は、メール送受信監視部51から新たに発生した電子メールのIDを受け取り、電子メール格納部22から、新たに発生した電子メールのヘッダ情報を取得する。
【0066】
メールスレッド生成部11は、取得したヘッダ情報に基づいて、新たに発生した電子メールが、既存のメールスレッドに追加される電子メールであるか否かを判断する。メールスレッド生成部11は、新たに発生した電子メールが、既存のメールスレッドに追加される電子メールに該当するときは、既存のメールスレッドに新たな電子メールを追加し、新たな電子メールが追加されたメールスレッドを、メールスレッド分類部12に通知する。メールスレッドは、新たな電子メールが追加されることで段数又は枝分れが増え、形状が変化する。
【0067】
メールスレッド分類部12は、メールスレッド生成部11が生成したメールスレッド、つまり、新たな電子メールが追加されることで形状が変化したメールスレッドの分類を、メールスレッドの段数と枝の広さとに基づいて判定する。このメールスレッドの分類の種類、及び、分類の手法は、第1実施形態と同様である。分類変化判定部52は、メールスレッド分類部12から、新たな電子メールが追加されたメールスレッドの分類結果を受け取る。分類変化判定部52は、スレッド分類記憶部53を参照し、新たな電子メールが追加される前後で、メールスレッドの分類が変化したか否かを判断する。分類変化判定部52は、分類が変化したと判定すると、その旨をメッセージ割当部16に通知する。
【0068】
メッセージ格納部17には、4つの分類に対して、メールスレッドの分類が変化したときに対象ユーザに通知すべきメッセージが格納されている。メッセージ割当部16は、分類変化判定部52から分類が変化した旨の通知を受けると、メッセージ格納部17から、分類変化に対応したメッセージを取得する。メッセージ表示部18は、メッセージ割当部16が取得したメッセージ内容を、対象ユーザに提示する。メッセージ表示部18は、メッセージ内容を対象ユーザが使用する情報処理装置の表示画面上に表示する。或いは、プリンタなどを用いて、メッセージを紙に印刷してもよい。
【0069】
図12に、メッセージ格納部17が格納するメッセージの例を示す。メッセージ格納部17には、メッセージが選択される条件と、メッセージ内容とが格納される。メッセージ内容は、対象ユーザが、業務に対して電子メールをどのように利用しているかを知らせる内容を含む。また、メッセージ内容は、電子メールの利用状況に対して、業務改善のための対応策を通知する内容を含む。メッセージ内容は、単に、メールスレッドの分類がどのように変化したかを知らせる内容でもよい。
【0070】
図13に、動作手順を示す。メール送受信監視部51は、電子メール格納部22を参照し、対象ユーザが新たに送受信した電子メールがあるか否かを調べる(ステップB1)。メールスレッド生成部11は、対象ユーザが新たに送受信した電子メールがあるときは、既存メールスレッドにその電子メールを追加する(ステップB2)。メールスレッド分類部12は、新たに電子メールが追加されたメールスレッドを、段数と枝の広さとに応じて、第1類〜第4類の何れかに分類する(ステップB3)。分類変化判定部52は、スレッド分類記憶部53を参照し、新たな電子メールが追加される前後で、メールスレッドの分類が変化したか否かを判定する(ステップB4)。
【0071】
分類変化判定部52は、分類が変化したと判定すると、変化後の分類をメッセージ割当部16に通知する。また、分類変化判定部52は、変化後の分類をスレッド分類記憶部53に記録する。メッセージ割当部16は、分類が変化した旨の通知を受けると、分類変化に応じたメッセージを、メッセージ格納部17から取得する(ステップB5)。メッセージ表示部18は、メッセージ割当部16が取得したメッセージを、対象ユーザに出力する(ステップB6)。ステップB4で、分類変化判定部52が分類変化がないと判定した場合は、メッセージ出力を行わずに、処理を終了する。
【0072】
例えば、メールスレッドAというメールスレッドがあり、新たに発生した電子メールが、メールスレッドAに追加される電子メールであるとする。メールスレッド生成部11は、新たに発生した電子メールを既存のメールスレッドAに追加し、メールスレッド分類部12に渡す。メールスレッド分類部12は、新たな電子メールが追加されたメールスレッドAの分類結果を、分類変化判定部52に渡す。分類変化判定部52は、スレッド分類記憶部53から、新たな電子メールが追加される前のメールスレッドAの分類を取得する。
【0073】
スレッド分類記憶部53に、既存のメールスレッドAの分類が第2類(浅く広いスレッド)である旨が記録されているとする。また、メールスレッド分類部12が、新たな電子メール追加後のメールスレッドAを、第4類(深く広いスレッド)に分類したとする。この場合、分類変化判定部52は、メールスレッドAが、新たな電子メールの発生前後で、メールスレッドの分類が第2類から第4類に変化したと判定する。分類変化判定部52は、メッセージ割当部16に、メールスレッドAの分類が、第2類から第4類に変化した旨を通知する。
【0074】
メッセージ割当部16は、分類変化判定部52から、メールスレッドAの分類が第4類に変化した旨の通知を受けると、メッセージ格納部17を参照し、条件「スレッド分類が第4類(深く広いスレッド)に変化した」に対応するメッセージ内容(図12)を取得する。メッセージ表示部18は、メッセージ割当部16が取得したメッセージ内容「多人数が関わる内容の複雑な議論を電子メールで行っているようです。そのような議論は、対面の会合を開いて行った方が効率的かも知れません。検討してみてください。」というメッセージを出力する。
【0075】
本実施形態では、分類変化判定部52は、新たな電子メールの発生前後で、新たに発生した電子メールが含まれるメールスレッドの分類が変化するか否かを判定する。メッセージ割当部16は、分類変化判定部52がメールスレッドの分類が変化すると判定すると、メッセージ格納部17から、分類変化に対応したメッセージを取得する。本実施形態では、メールスレッドの形状の変化から、対象ユーザの電子メールの利用状況の変化を検出し、対象ユーザに、変化に応じたメッセージを提示する。従って、本実施形態においても、第1実施形態と同様に、電子メールの利用状況に応じたメッセージを提示できるという効果を得ることができる。
【0076】
なお、第1及び第2実施形態では、ユーザ全体の個人傾向指標1及び個人傾向指標2を統計処理し、特徴分類特定部15で比較する値を動的に生成したが、特徴分類特定部15が比較する値は、あらかじめ定義した固定値でもよい。その場合、特徴分類特定部15は、比較する固定値を複数用意すると共に、ユーザの属性を管理するユーザ属性テーブルを設けておき、ユーザが所属するグループや役職に応じて、比較する固定値を選択してもよい。
【0077】
メンバ指標算出部14は、ユーザの組織情報などを参照して、統計処理する個人傾向指標1及び個人傾向指標2の範囲を定めてもよい。例えば、開発部門に所属するユーザと、営業部門に所属するユーザとがいるとき、メンバ指標算出部14は、開発部門に所属するユーザ全体の個人傾向指標1及び個人傾向指標2を統計処理すると共に、営業部門に所属するユーザ全体の個人傾向指標1及び個人傾向指標2を統計処理してもよい。或いは、メンバ指標算出部14は、役職に応じてユーザを区分し、それぞれの区分について、個人傾向指標1及び個人傾向指標2を統計処理してもよい。
【0078】
第3実施形態では、スレッド分類記憶部53に、既存のメールスレッドとその分類結果とを格納したが、その都度、新たな電子メール発生の前後でのメールスレッドの分類を行う場合は、スレッド分類記憶部53を省いてもよい。すなわち、メールスレッド分類部12は、新たな電子メールが追加される前の状態におけるメールスレッドの分類を行うと共に、新たな電子メール追加後の状態におけるメールスレッドの分類を行い、それら分類結果を分類変化判定部52に通知して、分類変化判定部52にて、分類が変化するか否かを判定してもよい。
【0079】
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明のメール利用状況分析システム、業務効率化支援システム、方法、及び、プログラムは、上記実施形態にのみ限定されるものではなく、上記実施形態の構成から種々の修正及び変更を施したものも、本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0080】
10:業務効率化支援システム
11:メールスレッド生成部
12:メールスレッド分類部
13:個人傾向指標算出部
14:メンバ指標算出部
15:特徴分類特定部
16:メッセージ割当部
17:メッセージ格納部
18:メッセージ表示部
20:メールクライアント
21:メール制御部
22:電子メール格納部
30:メールサーバ
31:サーバ側メール制御部
32:全電子メール格納部
40:他のユーザの業務効率化支援システム
51:メール送受信監視部
52:分類変化判定部
53:スレッド分類記憶部
100:メール利用状況分析システム
101:メールスレッド生成部
102:メールスレッド分類部
103:メッセージ割当部
104:電子メール格納部
105:メッセージ格納部
110:業務効率化支援システム
【技術分野】
【0001】
本発明は、メール利用状況分析システム、業務効率化支援システム、方法、及び、プログラムに関し、更に詳しくは、ユーザが送受信する電子メールのメールスレッドの分析を行うメール利用状況分析システム、業務効率化支援システム、方法、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子メールは、日々の業務遂行に対して、多くの場面で利用されている。電子メールの利用場面としては、下記のような場面が考えられる。
(1)電子メールを使用して、指示、連絡、議論が行われる場面。
(2)対面の会議の前後に、日程調整、会議開催通知、議事録といったものを電子メールで送受信する場面。
(3)電子的に作成される資料類が、作成途中に、或いは、作成完了後に、電子メールで配布される場面。
【0003】
利用者が発信した電子メールを分析して、利用者の傾向を抽出するシステムが、特許文献1に記載されている。特許文献1では、利用者が受発信した電子メールから、返信関係にある電子メールの連なりである“メールスレッド”(以下、単にスレッドとも呼ぶ)を作成する。メールスレッドは、電子メールの送受信を行うメールクライアント(メーラー)に広く一般的に取り入れられているメールグループ化の手法の1つである。例えば、ある電子メールAと、その電子メールAに対する返信メールBとがあるとき、電子メールAと返信メールBとを、つながりを持った1つのグループとしたものがメールスレッドである。
【0004】
図14(a)〜(c)に、メールスレッドの具体例を示す。図14(a)に示すメールスレッドは、電子メールAと、その電子メールAに対する返信メールBとで構成されている。各電子メールには、メールIDが付与されている。また、返信メールは、ヘッダ中に、「In−Reply−To」の情報記述欄を有し、その欄に返信元の電子メールIDが記述されている。メールスレッドの作成に際しては、ヘッダ中の情報を参照して電子メール間のつながりを特定するのが一般的である。上記の例では、返信メールBのヘッダに記述された「In−Reply−To」に、電子メールAのメールIDが記述されているので、これを参照することで、図14(a)に示すメールスレッドが生成できる。
【0005】
メールスレッドは、一般に木構造を形成する。例えば、上記の例で、電子メールBに対して電子メールCが更に返信されると、図14(b)に示すように、スレッドの段数が深くなる。また、電子メールAに対して、電子メールBに加えて電子メールDが返信されたとき、メールスレッドは、図14(c)に示すように枝分れする。このようにメールスレッドは、深さの段数と、枝の広がりとを持つ。
【0006】
特許文献1では、スレッドを分析し、下記3つの評価値を計算する。
・Speed:対象者が最初の発信者になっているスレッドの時間的長さの平均
・Leadership:対象者が最初の発信者になっているスレッドの個数が、プロジェクト全体のスレッドの個数に占める割合
・Activity:対象者が発信したメールのサイズが、プロジェクト全体のメールのサイズに占める割合
特許文献1では、上記3つの評価値を、個人業績評価に利用している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−242574号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
電子メールは、様々な場面で利用されており、電子メールの送受信には、各人の業務の進め方が反映されることになる。従って、電子メールのやり取りを解析することで、業務の進め方の傾向を読み取ることができる。特許文献1では、Speed、Leadership、Activityを評価し、個人業務評価を行っている。しかしながら、これらの評価だけでは、ユーザが電子メールを業務にどのように用いているかまでは推定することはできない。また、特許文献1では、ユーザの電子メールの利用状況に応じたメッセージをユーザに提示して、ユーザの業務効率化を支援することもできない。
【0009】
本発明は、電子メールを利用するユーザに対して電子メールの利用状況を分析可能なメール利用状況分析システム、業務効率化支援システム、方法、及び、プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明のメール利用状況分析システムは、少なくとも対象ユーザが送受信した電子メールを記憶する電子メール格納部を参照し、ユーザが発信した電子メールを含むメールスレッドを生成するメールスレッド生成部と、前記メールスレッドを、メールスレッドの段数と枝の広さとに応じて複数の分類に分類するメールスレッド分類部とを備えることを特徴とする。
【0011】
本発明の業務効率化支援システムは、少なくとも対象ユーザが送受信した電子メールを記憶する電子メール格納部を参照し、ユーザが発信した電子メールを含むメールスレッドを生成するメールスレッド生成部と、前記メールスレッドを、メールスレッドの段数と枝の広さとに応じて複数の分類に分類するメールスレッド分類部と、前記メールスレッドの分類結果に応じて、メッセージを格納するメッセージ格納部からメッセージを取得するメッセージ割当部とを備えることを特徴とする。
【0012】
本発明のメール利用状況分析方法は、コンピュータが、少なくとも対象ユーザが送受信した電子メールを記憶する電子メール格納部を参照し、ユーザが発信した電子メールを含むメールスレッドを生成するステップと、前記コンピュータが、前記メールスレッドを、メールスレッドの段数と枝の広さとに応じて複数の分類に分類するステップとを有することを特徴とする。
【0013】
本発明の業務効率化支援方法は、コンピュータが、少なくとも対象ユーザが送受信した電子メールを記憶する電子メール格納部を参照し、ユーザが発信した電子メールを含むメールスレッドを生成するステップと、前記コンピュータが、前記メールスレッドを、メールスレッドの段数と枝の広さとに応じて複数の分類に分類するステップと、前記コンピュータが、前記メールスレッドの分類結果に応じて、メッセージを格納するメッセージ格納部からメッセージを取得するステップとを有することを特徴とする。
【0014】
本発明のプログラムは、コンピュータに、少なくとも対象ユーザが送受信した電子メールを記憶する電子メール格納部を参照し、ユーザが発信した電子メールを含むメールスレッドを生成する処理と、前記メールスレッドを、メールスレッドの段数と枝の広さとに応じて複数の分類に分類する処理とを実行させることを特徴とする。
【0015】
本発明のプログラムは、コンピュータに、少なくとも対象ユーザが送受信した電子メールを記憶する電子メール格納部を参照し、ユーザが発信した電子メールを含むメールスレッドを生成する処理と、前記メールスレッドを、メールスレッドの段数と枝の広さとに応じて複数の分類に分類する処理と、前記メールスレッドの分類結果に応じて、メッセージを格納するメッセージ格納部からメッセージを取得する処理とを実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明のメール利用状況分析システム、業務効率化支援システム、方法、及び、プログラムは、電子メールを利用するユーザの電子メールの利用状況を分析することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の業務効率化支援システムを示すブロック図。
【図2】本発明の第1実施形態の業務効率化支援システムを示すブロック図。
【図3】メールスレッドの分類を示す図。
【図4】基準となるメールスレッド形状を示す図。
【図5】(a)及び(b)は、メールスレッドの例を示す図。
【図6】個人傾向指標算出部が算出した各分類の割合(個人傾向指標1)のデータ例。
【図7】個人傾向指標算出部が算出した各分類の割合(個人傾向指標2)のデータ例。
【図8】メッセージ格納部が格納するメッセージのデータ例。
【図9】動作手順を示すフローチャート。
【図10】本発明の第2実施形態の業務効率化支援システムを示すブロック図。
【図11】本発明の第3実施形態の業務効率化支援システムを示すブロック図。
【図12】第3実施形態にてメッセージ格納部が格納するメッセージのデータ例。
【図13】第3実施形態の動作手順を示すフローチャート。
【図14】(a)〜(c)は、メールスレッドを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
まず、本発明の概要について説明する。図1は、本発明のメール利用状況分析システムを含む業務効率化支援システムを示している。メール利用状況分析システム100は、最小構成として、メールスレッド生成部101と、メールスレッド分類部102とを有する。電子メール格納部104は、少なくとも対象ユーザが送受信した電子メールを記憶する。メールスレッド生成部101は、電子メール格納部104を参照し、ユーザが発信した電子メールを含むメールスレッドを生成する。メールスレッド分類部102は、メールスレッドを、メールスレッドの段数と枝の広さとに応じて複数の分類に分類する。
【0019】
メールスレッドには、様々な形状がある。メールスレッドには、2、3通のメールからなる小さなスレッドもあれば、多数のメールが多段につながり、枝分れの数も多い、深く広い木構造のスレッドもある。メールスレッドの形状は、業務の内容(電子メールの利用状況)を反映していると考えられる。例えば、段数が少なく、枝分かれも少ない小さなスレッドが多い場合、ユーザは、電子メールを、返信が少ない「通知」、「連絡」、「報告」などに利用していると考えられる。一方、段数が多く、枝分かれも多い、深く広いスレッドが多い場合、ユーザは、多人数が関わり話題も単一ではない「議論」に電子メールを利用していると考えられる。本実施形態では、メールスレッドを、段数と枝の広さとで、複数の分類に分類する。このようにすることで、ユーザが、電子メールを、業務に対してどのように利用しているかを推定することができる。
【0020】
本発明の業務効率化支援システム110は、最小構成として、メール利用状況分析システム100と、メッセージ割当部103とを有する。メッセージ割当部103は、メールスレッドの分類結果に応じて、メッセージを格納するメッセージ格納部105からメッセージを取得する。ユーザに、メールスレッドの分類結果に応じたメッセージを提示することで、ユーザに対して、電子メールの利用の仕方を見直す機会を提供することができる。ユーザが、自身の電子メールの利用状況を把握し、電子メールをより効率的に業務に利用することで、業務改善を図ることができる。
【0021】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳細に説明する。図2は、本発明の第1実施形態の業務効率化支援システムを示している。業務効率化支援システム10は、メールスレッド生成部11、メールスレッド分類部12、個人傾向指標算出部13、メンバ指標算出部14、特徴分類特定部15、メッセージ割当部16、メッセージ格納部17、及び、メッセージ表示部18を有する。業務効率化支援システム10内の各部の機能は、コンピュータ上でプログラムを実行することで実現可能である。
【0022】
メールクライアント20は、ユーザが使用するパーソナルコンピュータや携帯電話機などの情報端末装置で動作するメーラなどのソフトウェアである。メールクライアント20は、メール制御部21と電子メール格納部22とを有する。メール制御部21は、メールサーバ30に対して、電子メールを送信する。また、メール制御部21は、メールサーバ30から、ユーザ宛ての電子メールを受信する。メール制御部21は、ユーザが送受信した電子メールを電子メール格納部22に格納する。
【0023】
メールスレッド生成部11は、電子メール格納部22から、ユーザが送受信した電子メールのヘッダ部分の情報を取得する。メールスレッド生成部11は、取得したヘッダ情報を用いて、ユーザが発信した電子メールを含むメールスレッドを生成する。ユーザが送受信した電子メールのうち、特に発信メールに着目するのは、電子メールには一方的に送りつけられるものもあり、ユーザが業務に対して電子メールをどのように用いているかは、ユーザ自らが発信した電子メールにより強く反映されると考えられるからである。
【0024】
メールスレッド生成部11は、発信メールを含むメールスレッドの生成では、いったんユーザが送受信したメールを含むメールスレッドを生成し、その後、生成したメールスレッドのうち、対象ユーザが発信した電子メールを含むメールスレッドを選別抽出する。或いは、メールスレッド生成部11は、対象ユーザが発信した電子メールを手掛かりに、発信メールと関連がある電子メールを検索し、発信メールを含むメールスレッドを生成してもよい。
【0025】
メールスレッド分類部12は、対象ユーザの発信メールを含むメールスレッドを、段数の深さと枝の広さの2軸で、複数の分類に分類する。メールスレッド分類部12は、メールスレッドの段数をしきい値処理し、メールスレッドの段数が深いか浅いかを判定する。また、メールスレッド分類部12は、メールスレッドの枝の広さ(枝分かれの多さ)をしきい値処理し、メールスレッドの枝が広いか狭いかを判定する。メールスレッド分類部12は、メールスレッドの段数が深いか浅いかと、枝が広いか狭いかとの組み合わせに応じて、メールスレッドを、第1類〜第4類に分類する。
【0026】
図3に、メールスレッドの分類を示す。メールスレッド分類部12は、小さいスレッド、すなわち、段数が少なく、枝分れも少ないスレッドを、第1類に分類する。メールスレッド分類部12は、浅く広いスレッド、すなわち、段数が少なく、枝分れは多いスレッドを、第2類に分類する。メールスレッド分類部12は、深く細いスレッド、すなわち、段数が多く、枝分れは少ないスレッドを、第3類に分類する。メールスレッド分類部12は、深く広いスレッド、すなわち、段数が多く、枝分れも多いスレッドを、第4類に分類する。
【0027】
メールスレッドの各分類は、メールの内容と以下のような対応関係にある。
第1類(小さいスレッド):返信の少ない「通知」「連絡」「報告」などを近似的に反映
第2類(浅く広いスレッド):他人数が並列して簡単な返信をする「調整」などを反映
第3類(深く細いスレッド):特定のメンバとの「依頼と回答」「問い合わせと解答」などを反映
第4類(深く広いスレッド):多人数がかかわり話題も単一でない「議論」を反映
【0028】
メールスレッド分類部12は、メールスレッドの深さについては、メールスレッドの段数が所定のしきい値よりも大きいか否か、又は、しきい値以上か否かに基づいて、段数が深いか浅いかを判定する。メールスレッド分類部12は、メールスレッドの段数がしきい値以下のメールスレッドを、段数が浅いメールスレッドと判定する。また、メールスレッド分類部12は、メールスレッドの段数がしきい値よりも大きいメールスレッドを、段数が深いメールスレッドと判定する。
【0029】
メールスレッド分類部12は、枝の広さの判定では、メールスレッドの段数と、メールスレッドを構成する電子メールの総数との関係に基づいて、枝分かれが広いか狭いか(枝分かれが多いか少ないか)を判定する。メールスレッド分類部12は、メールスレッドの段数に対してメールスレッドを構成する電子メールの総数が少ないメールスレッドを、枝分かれが少ないスレッドと判定する。また、メールスレッド分類部12は、メールスレッドの段数に対してメールスレッドを構成する電子メールの総数が多いメールスレッドを、枝分かれが多いスレッドと判定する。
【0030】
メールスレッドの分類について数値例を用いて説明する。メールスレッドが深いか浅いかを判定するためのしきい値は、例えば3段とする。メールスレッド分類部12は、メールスレッドの段数が3段以下のメールスレッドを浅いスレッドと判定し、段数が3段よりも大きいスレッド、つまりは、段数が4段以上のスレッドを深いスレッドと判定する。
【0031】
メールスレッド分類部12は、枝の広さについては、メールスレッドの段数と、メールスレッドを構成する電子メールの総数とに基づいて、枝の広さを示す指標を求め、その指標が所定のしきい値よりも大きいか否か、又は、しきい値以上か否かに基づいて、枝が広いか狭いかを判定する。この枝の広さの判定では、メールスレッドの枝分かれが多いか少ないかの判断基準として、基準となるメールスレッド形状を考える。メールスレッド分類部12は、基準となるメールスレッド形状よりも枝分れが多いメールスレッドを広いメールスレッドと判定し、基準のメールスレッド形状よりも枝分れが少ないメールスレッドを狭いメールスレッドとする。
【0032】
図4に、基準となるメールスレッド形状を示す。基準となるメールスレッド形状として、5段目までに、分岐したノード(電子メール)が1となるスレッド形状を考える。5段目までに分岐したノードが1になるように各段のノード数を配分すれば、2段目のノード数は1.25、3段目のノード数は1.5、4段目のノード数は1.75となる。各段における累積ノード数(累積メール数)は、1段目は1、2段目は2.25、3段目は3.75、4段目は5.5、5段目は7.5となる。
【0033】
基準となるメールスレッド形状にて、各段のノード数と、メールスレッドの段数との関係を求めると、段数dにおけるノード数m(d)は、
m(d)=(d+3)/4
となる。また、基準となるメールスレッド形状にて、各段の累積ノード数と、メールスレッドの段数との関係を求めると、段数dにおける累積ノード数q(d)は、
q(d)=d(d+7)/8
となる。これらは、上記の数列を解くことで求まる。メールスレッド分類部12は、メールスレッドを構成する電子メールの総数Nと、上記で求めた基準となるメールスレッド形状における累積ノード数q(d)との比を、枝分かれの多さを示す指標Kと定義する。すなわち、メールスレッド分類部12は、枝別れの多さを示す指標Kを、
K=N/q(d)=8N/{d(d+7)}
と定義する。
【0034】
上記指標Kの値が1よりも大きいということは、メールスレッドの枝分かれが、基準となるメールスレッド形状における枝分かれよりも多いことを表している。また、指標Kの値が1よりも小さいということは、メールスレッドの枝分かれが、基準となるメールスレッド形状における枝分かれよりも少ないことを表している。メールスレッド分類部12は、枝分かれの多さを表す指標Kのしきい値を1として、指標Kが1以上のスレッドを、枝分かれが広いスレッドと判定する。また、メールスレッド分類部12は、指標Kが1よりも小さいスレッドを、枝分かれが狭いスレッドと判定する。
【0035】
図5(a)及び(b)に、メールスレッドを示す。図5(a)に示すメールスレッドは、段数dが5段で、メールスレッドを構成する電子メールの総数(ノード数)Nが6個である。基準となるメールスレッド形状では、図4に示すように、段数5のときの累積ノード数q(5)は7.5である。図5(a)に示すメールスレッドのノード数は、基準となるメールスレッド形状の累積ノード数よりも少ないので、メールスレッド分類部12は、図5(a)に示すメールスレッドを枝が狭いメールスレッドと判定する。一方、図5(b)に示すメールスレッドは、段数5に対して電子メールの総数Nが8個であり、基準となるメール形状の累積ノード数7.5よりも多い。従って、メールスレッド分類部12は、図5(b)に示すメールスレッドを枝が広いメールスレッドと判定する。
【0036】
以上、まとめると、段数のしきい値を3とし、枝分かれの多さを示す指標Kのしきい値を1とした場合、メールスレッド分類部12は、指標Kと、スレッドの段数dとの組み合わせに応じて、下記のように、メールスレッドを、第1類〜第4類に分類する。
第1類:d≦3、かつ、K<1 (小さいスレッド)
第2類:d≦3、かつ、K≧1 (浅く広いスレッド)
第3類:d≧4、かつ、K<1 (深く細いスレッド)
第4類:d≧4、かつ、K≧1 (深く広いスレッド)
【0037】
個人傾向指標算出部13は、メールスレッドの総数に対する各分類のメールスレッド数の割合を算出する。より詳細には、個人傾向指標算出部13は、上記4つの分類に含まれるメールスレッド数を分類ごとに計測し、各分類の計測値をメールスレッドの総数で割った値を算出する。これを、“個人傾向指標1”とする。図6に、個人傾向指標1のデータ例を示す。個人傾向指標1は、対象ユーザの発信メールを含むメールスレッドの総数に対して、各分類のスレッドがどれだけの割合で存在するかを示している。
【0038】
また、個人傾向指標算出部13は、発信メールの総数に対する各分類の発信メール数の割合を算出する。より詳細には、個人傾向指標算出部13は、対象ユーザの発信メールを、4つの分類のスレッドのどこに属するかに応じて分類ごとに計測し、各分類の計測値を発信メールの総数で割った値を算出する。これを、“個人傾向指標2”とする。図7に、個人傾向指標2のデータ例を示す。個人傾向指標2は、対象ユーザの発信メールの総数に対して、発信メールがメールスレッドの分類ごとにどれだけの割合で存在するかを示している。個人傾向指標算出部13は、個人傾向指標1と個人傾向指標2との少なくとも一方を計算すればよい。
【0039】
メンバ指標算出部14は、比較基準値生成部に相当し、他のユーザを含むユーザの個人傾向指標1及び個人傾向指標2を統計処理し、特徴分類特定部15にて対象ユーザの個人傾向指標と比較する値を生成する。メンバ指標算出部14は、個人傾向指標算出部13から、対象ユーザの個人傾向指標1及び個人傾向指標2における各分類の値を受け取る。また、他のユーザの業務効率化支援システム40から、他のユーザの個人傾向指標1及び個人傾向指標2の各分類の値を受け取る。メンバ指標算出部14は、対象ユーザの個人傾向指標1及び個人傾向指標2の値と、他のユーザの個人傾向指標1及び個人傾向指標2とから、対象ユーザが属する組織のユーザ全体の個人傾向指標1及び個人傾向指標2の平均値と標準偏差(分散)とを算出する。
【0040】
特徴分類特定部15は、個人傾向指標算出部13から、対象ユーザの個人傾向指標1及び個人傾向指標2を受け取る。また、特徴分類特定部15は、メンバ指標算出部14から、ユーザ全体の個人傾向指標1及び個人傾向指標2の平均値と標準偏差とを受け取る。特徴分類特定部15は、各分類について、対象ユーザの個人傾向指標1及び個人傾向指標2の値と、ユーザ全体の個人傾向指標1及び個人傾向指標2の値とを比較する。特徴分類特定部15は、両者の差の絶対値が所定の値以上の分類を、特徴分類として特定する。つまり、特徴分類特定部15は、対象ユーザの個人傾向指標1及び個人傾向指標2の値が、平均値から所定の範囲を超えて隔たっている分類を、特徴分類として特定する。特徴分類特定部15は、例えば、対象ユーザの個人傾向指標1及び個人傾向指標2の値とユーザ全体の平均値との差の絶対値が、標準偏差の2倍以上ある分類を、特徴分類として特定する。
【0041】
上記動作は、ユーザ全体の個人傾向指標1及び個人傾向指標2の値の上下にしきい値を設け、対象ユーザの個人傾向指標1及び個人傾向指標2の値が上側のしきい値を超える分類、又は、下側のしきい値よりも小さい分類を、特徴分類として特定するという動作と等価である。特徴分類特定部15は、例えば対象ユーザの個人傾向指標1(図6)における第1類(小さいスレッド)の値が上側のしきい値よりも大きいときは、第1類を特徴分類とし、第1類の値がユーザ全体の平均値に比して所定の範囲を超えて大きい旨をメッセージ割当部16に通知する。また、特徴分類特定部15は、例えば対象ユーザの個人傾向指標1における第4類(深く広いスレッド)の値が下側のしきい値よりも小さいときは、第4類を特徴分類とし、第4類の値がユーザ全体の平均値に比して所定の範囲を超えて小さい旨をメッセージ割当部16に通知する。
【0042】
メッセージ格納部17には、4つの分類に対して、対象ユーザの個人傾向指標の値がユーザ全体の平均値よりも所定の範囲を超えて隔たっているときに対象ユーザに通知すべきメッセージが格納されている。メッセージ割当部16は、メールスレッドの分類結果に応じて、メッセージ格納部17からメッセージを取得する。より詳細には、メッセージ割当部16は、特徴分類特定部15から特徴分類とされた分類の通知を受け、メッセージ格納部17から、その特徴分類に対応するメッセージを取得する。メッセージ表示部18は、メッセージ割当部16が取得したメッセージ内容を、対象ユーザに出力する。メッセージ表示部18は、例えばメッセージ内容を、ディスプレイなどの情報表示画面に表示する。或いは、メッセージ表示部18は、メッセージ内容をプリンタなどに出力し、印刷する。
【0043】
図8に、メッセージ格納部17が格納するメッセージの例を示す。図8に示すメッセージは、個人傾向指標2に関するメッセージである。メッセージ格納部17には、メッセージが選択される条件と、メッセージの内容とが格納される。メッセージ内容は、対象ユーザが、業務に対して電子メールをどのように利用する傾向にあるかを知らせる内容を含む。また、メッセージ内容は、電子メールの利用状況に対して、業務改善のための対応策を通知する内容を含む。メッセージ内容は、単に、特徴分類と、特徴分類の割合がユーザ全体の平均に比して大きいか小さいかを知らせる内容でもよい。
【0044】
メッセージ割当部16は、特徴分類特定部15からの通知内容と、メッセージ格納部17に格納された条件とに従って、メッセージ内容を取得する。例えば、メッセージ割当部16は、特徴分類特定部15から、個人傾向指標2について、特徴分類が第4類で、かつ、個人傾向指標2における特徴分類の値がユーザ全体の平均よりも大きい旨の通知を受け取ったときは、メッセージ格納部17から、「多人数が関わる内容の複雑な議論を電子メールで行っている頻度が多いようです。そのような議論は、対面の会合を開いて行った方が効率的かも知れません。検討してみてください。」というメッセージ内容を取得する。メッセージ表示部18は、メッセージ割当部16が取得したメッセージ内容を出力して、ユーザに業務改善を促す。
【0045】
図9に、動作手順を示す。メールスレッド生成部11は、電子メール格納部22を参照し、電子メールのヘッダ情報に基づいて、対象ユーザの発信メールを含むメールスレッドを生成する(ステップA1)。メールスレッド分類部12は、メールスレッドを、段数と枝の広さとに基づいて、第1類〜第4類に分類する(ステップA2)。個人傾向指標算出部13は、メールスレッドの分類結果に基づいて、個人傾向指標1及び個人傾向指標2を算出する(ステップA3)。特徴分類特定部15は、対象ユーザの個人傾向指標1及び個人傾向指標2と、ユーザ全体の個人傾向指標1及び個人傾向指標2とを比較し、特徴分類を特定する(ステップA4)。
【0046】
メッセージ割当部16は、メールスレッドの分類結果に応じて、特徴分類とされた分類に対応するメッセージを、メッセージ格納部17から取得する(ステップA5)。メッセージ表示部18は、メッセージ割当部16が取得したメッセージを対象ユーザに出力する(ステップA6)。メッセージ表示部18は、メッセージ割当部16が取得したメッセージに加えて、又は、これに代えて、個人傾向指標算出部13が求めた個人傾向指標1及び個人傾向指標2を、対象ユーザに出力してもよい。或いは、メッセージ表示部18は、特徴分類と特定された分類を、対象ユーザに通知してもよい。
【0047】
本実施形態では、メールスレッド生成部11が、電子メール格納部22を参照し、ユーザが発信した電子メールを含むメールスレッドを生成し、メールスレッド分類部12は、メールスレッドを、メールスレッドの段数と枝分かれの広さとに応じて複数の分類に分類する。メールスレッドの形状は、ユーザが電子メールを業務に対してどのように用いているかを表しており、メールスレッドの分類結果を参照することで、対象ユーザが電子メールを業務にどのように用いる傾向にあるかを推定することができる。
【0048】
例えば、メールスレッドの形状を分析した結果、小さなスレッド(第1類)の割合(構成比)が高いことが判明したユーザは、電子メールを、返信が少ない「通知」「連絡」「報告」などにより多く利用していると推定できる。一方、メールスレッドの形状を分析した結果、深く広いスレッド(第4類)の割合が高いことが判明したユーザは、多人数がかかわり話題も単一でない「議論」に電子メールをより多く利用していると推定できる。つまり、どの分類のメールスレッド、又は、どの分類のメールスレッドを構成する発信メールが多いかを調べることで、対象ユーザが電子メールを業務にどのように利用しているかを推定することができる。
【0049】
また、本実施形態では、メッセージ割当部16は、メールスレッドの分類結果に応じてメッセージを取得する。メッセージ割当部16が、メッセージ格納部17からメールスレッドの分類結果に応じたメッセージを取得することで、対象ユーザに、電子メールの利用状況に応じたメッセージを提示することができる。
【0050】
メッセージ格納部17には、例えば、ユーザの業務の仕方の傾向に対する改善案を提案するメッセージ内容を格納しておく。メッセージ割当部16は、メールスレッドの分類結果を用いて推定された、対象ユーザの電子メール利用状況に合わせたメッセージ内容を、メッセージ格納部17から取得する。ユーザが、自身の電子メール利用状況を把握し、それに応じて電子メールの利用の仕方を見直すことで、ユーザの業務効率化を図ることができる。
【0051】
具体的には、あらゆる業務について、電子メールに依存する割合が高いユーザが、必要に応じて、電話やWikiなどの他のメディアを用い、或いは、対面の会合を設定することなどで、情報を効率的に得ることや、時間を効率的に使用することが可能になる。また、電子メールを利用する割合が低いユーザが、電子メールを様々な業務に活用することで、例えば、個別に行っていた伝達を一斉メールで行い、効率化を図ることができると共に、伝達内容の記録も残せるといった業務改善が可能になる。
【0052】
本実施形態では、メンバ指標算出部14を用い、他のユーザを含むユーザの個人傾向指標1及び個人傾向指標2を統計処理する。特徴分類特定部15は、メンバ指標算出部14が処理した統計値を用いて、対象ユーザの個人傾向指標1及び個人傾向指標2が、ユーザ全体の個人傾向指標1及び個人傾向指標2に対して一定の範囲内にあるか否かを判断する。例えば、対象ユーザの個人傾向指標1にて、第1類に分類されるメールスレッドの割合が60%と高かったとしても、他のユーザも同様に第1類されるメールスレッドの割合が60%程度であれば、対象ユーザの電子メールの利用状況は、他のユーザの電子メールの利用状況と大して変わらない。本実施形態では、ユーザ全体との比較で特徴分類を特定するので、業務に対する電子メールの利用状況が、他のユーザとは異なる分類を、特徴分類として特定することができる。
【0053】
メッセージ表示部18がメッセージを出力する相手は、対象ユーザには限られない。メッセージ表示部18は、対象ユーザに加えて、又は、これに代えて、上司など、対象ユーザと関連がある者に対してメッセージを出力してもよい。例えば、あるプロジェクトに関与している特定のメンバ(ユーザ)について、「第4類:深く広いスレッド」が他のメンバに比して極端に高くなっている場合、そのメンバのプロジェクト遂行上の負荷が他のメンバよりも高いことが推測される。そのような場合、部門管理者が、プロジェクト内の役割を見直し、特定のメンバに業務が集中しないように業務分担を変更することで、メンバ間の業務の平準化を図ることができる。
【0054】
続いて、本発明の第2実施形態について説明する。図10は、本発明の第2実施形態の業務効率化支援システムを示している。メールサーバ30は、サーバ側メール制御部31と、全電子メール格納部32とを有する。本実施形態は、メールスレッド生成部11がヘッダ情報を取得する取得元が、メールクライアント20からメールサーバ30に変更されている点が、第1実施形態と異なる。その他の点は、第1実施形態と同様である。
【0055】
サーバ側メール制御部31は、複数のユーザのメールクライアント20から送信メールを受け取る。また、サーバ側メール制御部31は、複数のユーザのメールクライアント20に、ユーザ宛ての電子メールを送信する。サーバ側メール制御部31は、ユーザが送受信する電子メールを、全電子メール格納部32に格納する。全電子メール格納部32が格納する電子メールは、特定のユーザが送受信する電子メールではなく、メールサーバ30が送受信する全てのユーザの電子メールである。
【0056】
メールスレッド生成部11は、全電子メール格納部32から、電子メールのヘッダ部分に記載された情報を取得する。メールスレッド生成部11は、取得したヘッダ情報に基づいて、ユーザごとに、各ユーザが発信した電子メールを含むメールスレッドを生成する。ユーザの発信メールを含むメールスレッド生成の手法は、第1実施形態と同じ手法を用いることができる。メールスレッド分類部12は、ユーザごとに、発信メールを含むメールスレッドを、段数の深さと枝分れの多さとの2軸で第1類から第4類までの4つの分類に分類する。分類の手法は、第1実施形態における分類手法と同様な手法を用いることができる。
【0057】
個人傾向指標算出部13は、各ユーザについて、メールスレッドの分類結果を用いて、メールスレッドの総数に対する各分類のメールスレッド数の割合(個人傾向指標1)、及び、発信メールの総数に対する各分類の発信メール数の割合(個人傾向指標2)を算出する。メンバ指標算出部14は、個人傾向指標算出部13が求めた各ユーザの個人傾向指標1及び個人傾向指標2を統計処理し、ユーザ全体の個人傾向指標1及び個人傾向指標2の平均値と標準偏差とを算出する。
【0058】
特徴分類特定部15は、個人傾向指標算出部13から、各ユーザの個人傾向指標1及び個人傾向指標2を受け取る。また、特徴分類特定部15は、メンバ指標算出部14からユーザ全体の平均値と標準偏差とを受け取る。特徴分類特定部15は、第1実施形態と同様な動作で、ユーザの個人傾向指標1及び個人傾向指標2にて、平均値からの隔たりが一定範囲を超える分類を、特徴分類として特定する。
【0059】
メッセージ割当部16は、メッセージ格納部17から、特徴分類に対応するメッセージを取得する。例えば、メッセージ割当部16は、あるユーザについて、個人傾向指標2の第4類の割合の値が平均値を中心とした一定幅よりも多いときは、メッセージ格納部17(図8)から、「多人数が関わる内容の複雑な議論を電子メールで行っている頻度が多いようです。そのような議論は、対面の会合を開いて行った方が効率的かも知れません。検討してみてください。」というメッセージ内容を取得する。
【0060】
メッセージ表示部18は、メッセージ割当部16が取得したメッセージ内容を出力して、ユーザに業務改善を促す。その際、メッセージ表示部18は、各ユーザが利用する情報端末装置に、個別に、メッセージを出力する。或いは、各ユーザに対して出力すべきメッセージを一覧表示にして表示してもよい。
【0061】
本実施形態では、メールスレッド生成部11は、メールサーバ30内の全電子メール格納部32からヘッダ情報を取得し、各ユーザについて、発信メールを含むメールスレッドを生成する。この場合でも、メールスレッドの形状を段数と枝の広さとに応じて分類することで、第1実施形態と同様に、ユーザが電子メールをどのように利用しているかを推定することができる。また、メッセージ割当部16が、分類結果に応じてメッセージを取得し、ユーザに出力することで、ユーザに、電子メールの利用状況に応じたメッセージを提示することができるという効果が得られる。
【0062】
本実施形態では、各ユーザが送受信する電子メールは全電子メール格納部32にあるので、各ユーザのメールクライアント20ごとに、業務効率化支援システム10を設ける必要がない。更に、本実施形態では、メンバ指標算出部14は、他のユーザの業務効率化支援システム10から個人傾向指標1及び個人傾向指標2を収集しなくても、平均値と標準偏差とを算出することができる。
【0063】
本発明の第3実施形態について説明する。図11は、本発明の第3実施形態の業務効率化支援システムを示している。業務効率化支援システム10aは、メールスレッド生成部11、メールスレッド分類部12、メッセージ割当部16、メッセージ格納部17、メッセージ表示部18、メール送受信監視部51、分類変化判定部52、及び、スレッド分類記憶部53を有する。メールクライアント20は、メール制御部21と電子メール格納部22とを有する。メール制御部21は、メールサーバ30との間で電子メールを送受信する。電子メール格納部22は、対象ユーザが送受信した電子メールを格納する。
【0064】
スレッド分類記憶部53は、対象ユーザが送受信した既存の電子メールについて、発信メールを含むメールスレッドと、その分類とを記憶している。発信メールを含むメールスレッドの生成、及び、メールスレッドの分類は、第1実施形態におけるメールスレッド生成及びスレッド分類と同様な手順で行うことができる。スレッド分類記憶部53には、電子メール格納部22にある程度の電子メールが蓄積された時点で、発信メールを含むメールスレッドについて、各メールスレッドの分類を記憶しておく。スレッド分類記憶部53へのメールスレッド及びその分類の記録は、メールスレッド生成部11及びメールスレッド分類部12が行う。
【0065】
メール送受信監視部51は、周期的に電子メール格納部22にアクセスし、対象ユーザが新たに電子メールを送受信したか否かを判断する。メール送受信監視部51は、新たな送受信メールが発生したと判断すると、メールスレッド生成部11にその旨を通知する。メールスレッド生成部11は、メール送受信監視部51から新たに発生した電子メールのIDを受け取り、電子メール格納部22から、新たに発生した電子メールのヘッダ情報を取得する。
【0066】
メールスレッド生成部11は、取得したヘッダ情報に基づいて、新たに発生した電子メールが、既存のメールスレッドに追加される電子メールであるか否かを判断する。メールスレッド生成部11は、新たに発生した電子メールが、既存のメールスレッドに追加される電子メールに該当するときは、既存のメールスレッドに新たな電子メールを追加し、新たな電子メールが追加されたメールスレッドを、メールスレッド分類部12に通知する。メールスレッドは、新たな電子メールが追加されることで段数又は枝分れが増え、形状が変化する。
【0067】
メールスレッド分類部12は、メールスレッド生成部11が生成したメールスレッド、つまり、新たな電子メールが追加されることで形状が変化したメールスレッドの分類を、メールスレッドの段数と枝の広さとに基づいて判定する。このメールスレッドの分類の種類、及び、分類の手法は、第1実施形態と同様である。分類変化判定部52は、メールスレッド分類部12から、新たな電子メールが追加されたメールスレッドの分類結果を受け取る。分類変化判定部52は、スレッド分類記憶部53を参照し、新たな電子メールが追加される前後で、メールスレッドの分類が変化したか否かを判断する。分類変化判定部52は、分類が変化したと判定すると、その旨をメッセージ割当部16に通知する。
【0068】
メッセージ格納部17には、4つの分類に対して、メールスレッドの分類が変化したときに対象ユーザに通知すべきメッセージが格納されている。メッセージ割当部16は、分類変化判定部52から分類が変化した旨の通知を受けると、メッセージ格納部17から、分類変化に対応したメッセージを取得する。メッセージ表示部18は、メッセージ割当部16が取得したメッセージ内容を、対象ユーザに提示する。メッセージ表示部18は、メッセージ内容を対象ユーザが使用する情報処理装置の表示画面上に表示する。或いは、プリンタなどを用いて、メッセージを紙に印刷してもよい。
【0069】
図12に、メッセージ格納部17が格納するメッセージの例を示す。メッセージ格納部17には、メッセージが選択される条件と、メッセージ内容とが格納される。メッセージ内容は、対象ユーザが、業務に対して電子メールをどのように利用しているかを知らせる内容を含む。また、メッセージ内容は、電子メールの利用状況に対して、業務改善のための対応策を通知する内容を含む。メッセージ内容は、単に、メールスレッドの分類がどのように変化したかを知らせる内容でもよい。
【0070】
図13に、動作手順を示す。メール送受信監視部51は、電子メール格納部22を参照し、対象ユーザが新たに送受信した電子メールがあるか否かを調べる(ステップB1)。メールスレッド生成部11は、対象ユーザが新たに送受信した電子メールがあるときは、既存メールスレッドにその電子メールを追加する(ステップB2)。メールスレッド分類部12は、新たに電子メールが追加されたメールスレッドを、段数と枝の広さとに応じて、第1類〜第4類の何れかに分類する(ステップB3)。分類変化判定部52は、スレッド分類記憶部53を参照し、新たな電子メールが追加される前後で、メールスレッドの分類が変化したか否かを判定する(ステップB4)。
【0071】
分類変化判定部52は、分類が変化したと判定すると、変化後の分類をメッセージ割当部16に通知する。また、分類変化判定部52は、変化後の分類をスレッド分類記憶部53に記録する。メッセージ割当部16は、分類が変化した旨の通知を受けると、分類変化に応じたメッセージを、メッセージ格納部17から取得する(ステップB5)。メッセージ表示部18は、メッセージ割当部16が取得したメッセージを、対象ユーザに出力する(ステップB6)。ステップB4で、分類変化判定部52が分類変化がないと判定した場合は、メッセージ出力を行わずに、処理を終了する。
【0072】
例えば、メールスレッドAというメールスレッドがあり、新たに発生した電子メールが、メールスレッドAに追加される電子メールであるとする。メールスレッド生成部11は、新たに発生した電子メールを既存のメールスレッドAに追加し、メールスレッド分類部12に渡す。メールスレッド分類部12は、新たな電子メールが追加されたメールスレッドAの分類結果を、分類変化判定部52に渡す。分類変化判定部52は、スレッド分類記憶部53から、新たな電子メールが追加される前のメールスレッドAの分類を取得する。
【0073】
スレッド分類記憶部53に、既存のメールスレッドAの分類が第2類(浅く広いスレッド)である旨が記録されているとする。また、メールスレッド分類部12が、新たな電子メール追加後のメールスレッドAを、第4類(深く広いスレッド)に分類したとする。この場合、分類変化判定部52は、メールスレッドAが、新たな電子メールの発生前後で、メールスレッドの分類が第2類から第4類に変化したと判定する。分類変化判定部52は、メッセージ割当部16に、メールスレッドAの分類が、第2類から第4類に変化した旨を通知する。
【0074】
メッセージ割当部16は、分類変化判定部52から、メールスレッドAの分類が第4類に変化した旨の通知を受けると、メッセージ格納部17を参照し、条件「スレッド分類が第4類(深く広いスレッド)に変化した」に対応するメッセージ内容(図12)を取得する。メッセージ表示部18は、メッセージ割当部16が取得したメッセージ内容「多人数が関わる内容の複雑な議論を電子メールで行っているようです。そのような議論は、対面の会合を開いて行った方が効率的かも知れません。検討してみてください。」というメッセージを出力する。
【0075】
本実施形態では、分類変化判定部52は、新たな電子メールの発生前後で、新たに発生した電子メールが含まれるメールスレッドの分類が変化するか否かを判定する。メッセージ割当部16は、分類変化判定部52がメールスレッドの分類が変化すると判定すると、メッセージ格納部17から、分類変化に対応したメッセージを取得する。本実施形態では、メールスレッドの形状の変化から、対象ユーザの電子メールの利用状況の変化を検出し、対象ユーザに、変化に応じたメッセージを提示する。従って、本実施形態においても、第1実施形態と同様に、電子メールの利用状況に応じたメッセージを提示できるという効果を得ることができる。
【0076】
なお、第1及び第2実施形態では、ユーザ全体の個人傾向指標1及び個人傾向指標2を統計処理し、特徴分類特定部15で比較する値を動的に生成したが、特徴分類特定部15が比較する値は、あらかじめ定義した固定値でもよい。その場合、特徴分類特定部15は、比較する固定値を複数用意すると共に、ユーザの属性を管理するユーザ属性テーブルを設けておき、ユーザが所属するグループや役職に応じて、比較する固定値を選択してもよい。
【0077】
メンバ指標算出部14は、ユーザの組織情報などを参照して、統計処理する個人傾向指標1及び個人傾向指標2の範囲を定めてもよい。例えば、開発部門に所属するユーザと、営業部門に所属するユーザとがいるとき、メンバ指標算出部14は、開発部門に所属するユーザ全体の個人傾向指標1及び個人傾向指標2を統計処理すると共に、営業部門に所属するユーザ全体の個人傾向指標1及び個人傾向指標2を統計処理してもよい。或いは、メンバ指標算出部14は、役職に応じてユーザを区分し、それぞれの区分について、個人傾向指標1及び個人傾向指標2を統計処理してもよい。
【0078】
第3実施形態では、スレッド分類記憶部53に、既存のメールスレッドとその分類結果とを格納したが、その都度、新たな電子メール発生の前後でのメールスレッドの分類を行う場合は、スレッド分類記憶部53を省いてもよい。すなわち、メールスレッド分類部12は、新たな電子メールが追加される前の状態におけるメールスレッドの分類を行うと共に、新たな電子メール追加後の状態におけるメールスレッドの分類を行い、それら分類結果を分類変化判定部52に通知して、分類変化判定部52にて、分類が変化するか否かを判定してもよい。
【0079】
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明のメール利用状況分析システム、業務効率化支援システム、方法、及び、プログラムは、上記実施形態にのみ限定されるものではなく、上記実施形態の構成から種々の修正及び変更を施したものも、本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0080】
10:業務効率化支援システム
11:メールスレッド生成部
12:メールスレッド分類部
13:個人傾向指標算出部
14:メンバ指標算出部
15:特徴分類特定部
16:メッセージ割当部
17:メッセージ格納部
18:メッセージ表示部
20:メールクライアント
21:メール制御部
22:電子メール格納部
30:メールサーバ
31:サーバ側メール制御部
32:全電子メール格納部
40:他のユーザの業務効率化支援システム
51:メール送受信監視部
52:分類変化判定部
53:スレッド分類記憶部
100:メール利用状況分析システム
101:メールスレッド生成部
102:メールスレッド分類部
103:メッセージ割当部
104:電子メール格納部
105:メッセージ格納部
110:業務効率化支援システム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも対象ユーザが送受信した電子メールを記憶する電子メール格納部を参照し、ユーザが発信した電子メールを含むメールスレッドを生成するメールスレッド生成部と、
前記メールスレッドを、メールスレッドの段数と枝の広さとに応じて複数の分類に分類するメールスレッド分類部とを備えるメール利用状況分析システム。
【請求項2】
前記メールスレッド分類部は、前記メールスレッドの段数dと、前記メールスレッドを構成する電子メールの総数Nとに基づいて、前記枝の広さを示す指標Kを求め、該指標Kの値に応じて前記枝の広さを評価する、請求項1に記載のメール利用状況分析システム。
【請求項3】
前記メールスレッド分類部は、メールスレッドの段数dの関数であり、基準となるメールスレッド形状における段数dまでの累積ノード数を表す値q(d)と、前記メールスレッドを構成する電子メールの総数Nとの比に基づいて、前記枝の広さを示す指標Kを算出する、請求項2に記載のメール利用状況分析システム。
【請求項4】
前記メールスレッド分類部は、前記ノード累積数q(d)を、
q(d)=d(d+7)/8
で求める、請求項3に記載のメール利用状況分析システム。
【請求項5】
前記メールスレッド分類部は、前記メールスレッドの段数dと所定のしきい値とを比較すると共に、前記枝の広さを示す指標Kと所定のしきい値とを比較し、前記メールスレッドの段数dがしきい値以下であるか否か、及び、前記枝の広さを示す指標Kがしきい値以下であるか否かに応じて、前記メールスレッドを、第1〜第4の分類の何れかに分類する、請求項2乃至4の何れか一に記載のメール利用状況分析システム。
【請求項6】
メールスレッドの総数に対する各分類のメールスレッド数の割合、及び、発信メールの総数に対する各分類の発信メール数の割合の少なくとも一方を個人傾向指標として算出する個人傾向指標算出部と、
前記個人傾向指標における各分類の値としきい値とを比較し、前記各分類の値がしきい値を超える又はしきい値よりも小さい分類を特徴分類として特定する特徴分類特定部とを更に備える、請求項1乃至5の何れか一に記載のメール利用状況分析システム。
【請求項7】
他のユーザを含むユーザの前記個人傾向指標を統計処理し、前記特徴分類特定部が比較するしきい値を生成する比較基準値生成部を更に備える、請求項6に記載のメール利用状況分析システム。
【請求項8】
対象ユーザが送受信する電子メールが新たに発生すると、該新たな電子メールの発生前後で、前記新たに発生する電子メールが含まれるメールスレッドの分類が変化するか否かを判定する分類変化判定部を更に備える、請求項1乃至7の何れか一に記載のメール利用状況分析システム。
【請求項9】
少なくとも対象ユーザが送受信した電子メールを記憶する電子メール格納部を参照し、ユーザが発信した電子メールを含むメールスレッドを生成するメールスレッド生成部と、
前記メールスレッドを、メールスレッドの段数と枝の広さとに応じて複数の分類に分類するメールスレッド分類部と、
前記メールスレッドの分類結果に応じて、メッセージを格納するメッセージ格納部からメッセージを取得するメッセージ割当部とを備える業務効率化支援システム。
【請求項10】
メールスレッドの総数に対する各分類のメールスレッド数の割合、及び、発信メールの総数に対する各分類の発信メール数の割合の少なくとも一方を個人傾向指標として算出する個人傾向指標算出部と、
前記個人傾向指標における各分類の値としきい値とを比較し、前記各分類の値がしきい値を超える又はしきい値よりも小さい分類を特徴分類として特定する特徴分類特定部とを更に備え、
前記メッセージ割当部は、前記メッセージ格納部から、前記個人傾向指標における前記特徴分類の値がしきい値を超える又はしきい値よりも小さいことに対応したメッセージを取得する、請求項9に記載の業務効率化支援システム。
【請求項11】
対象ユーザが送受信する電子メールが新たに発生すると、該新たな電子メールの発生前後で、前記新たに発生する電子メールが含まれるメールスレッドの分類が変化するか否かを判定する分類変化判定部を更に備え、
前記メッセージ割当部は、前記分類変化判定部がメールスレッドの分類が変化すると判定すると、前記メッセージ格納部から、分類変化に対応したメッセージを取得する、請求項9又は10に記載の業務効率化支援システム。
【請求項12】
コンピュータが、少なくとも対象ユーザが送受信した電子メールを記憶する電子メール格納部を参照し、ユーザが発信した電子メールを含むメールスレッドを生成するステップと、
前記コンピュータが、前記メールスレッドを、メールスレッドの段数と枝の広さとに応じて複数の分類に分類するステップとを有するメール利用状況分析方法。
【請求項13】
前記メールスレッドを分類するステップでは、前記コンピュータは、前記メールスレッドの段数dと、前記メールスレッドを構成する電子メールの総数Nとに基づいて、前記枝の広さを示す指標Kを求め、該指標Kの値に応じて前記枝の広さを評価する、請求項12に記載のメール利用状況分析方法。
【請求項14】
前記メールスレッドを分類するステップでは、前記コンピュータは、メールスレッドの段数dの関数であり、基準となるメールスレッド形状における段数dまでの累積ノード数を表す値q(d)と、前記メールスレッドを構成する電子メールの総数Nとの比に基づいて、前記枝の広さを示す指標Kを算出する、請求項13に記載のメール利用状況分析方法。
【請求項15】
前記コンピュータが、メールスレッドの総数に対する各分類のメールスレッド数の割合、及び、発信メールの総数に対する各分類の発信メール数の割合の少なくとも一方を個人傾向指標として算出するステップと、
前記コンピュータが、前記個人傾向指標における各分類の値としきい値とを比較し、前記各分類の値がしきい値を超える又はしきい値よりも小さい分類を特徴分類として特定するステップとを更に有する、請求項12乃至14の何れか一に記載のメール利用状況分析方法。
【請求項16】
前記コンピュータが、対象ユーザが送受信する電子メールが新たに発生すると、該新たな電子メールの発生前後で、前記新たに発生する電子メールが含まれるメールスレッドの分類が変化するか否かを判定するステップを更に有する、請求項12乃至15の何れか一に記載のメール利用状況分析方法。
【請求項17】
コンピュータが、少なくとも対象ユーザが送受信した電子メールを記憶する電子メール格納部を参照し、ユーザが発信した電子メールを含むメールスレッドを生成するステップと、
前記コンピュータが、前記メールスレッドを、メールスレッドの段数と枝の広さとに応じて複数の分類に分類するステップと、
前記コンピュータが、前記メールスレッドの分類結果に応じて、メッセージを格納するメッセージ格納部からメッセージを取得するステップとを有する業務効率化支援方法。
【請求項18】
前記コンピュータが、メールスレッドの総数に対する各分類のメールスレッド数の割合、及び、発信メールの総数に対する各分類の発信メール数の割合の少なくとも一方を個人傾向指標として算出するステップと、
前記コンピュータが、前記個人傾向指標における各分類の値としきい値とを比較し、前記各分類の値がしきい値を超える又はしきい値よりも小さい分類を特徴分類として特定するステップとを更に有し、
前記コンピュータは、前記メッセージを取得するステップでは、前記メッセージ格納部から、前記個人傾向指標における前記特徴分類の値がしきい値を超える又はしきい値よりも小さいことに対応したメッセージを取得する、請求項17に記載の業務効率化支援方法。
【請求項19】
前記コンピュータが、対象ユーザが送受信する電子メールが新たに発生すると、該新たな電子メールの発生前後で、前記新たに発生する電子メールが含まれるメールスレッドの分類が変化するか否かを判定するステップを更に有し、
前記コンピュータは、前記分類が変化するか否かを判定するステップで前記分類が変化すると判定すると、前記メッセージを取得するステップで、前記メッセージ格納部から分類変化に対応したメッセージを取得する、請求項17又は18に記載の業務効率化支援方法。
【請求項20】
コンピュータに、
少なくとも対象ユーザが送受信した電子メールを記憶する電子メール格納部を参照し、ユーザが発信した電子メールを含むメールスレッドを生成する処理と、
前記メールスレッドを、メールスレッドの段数と枝の広さとに応じて複数の分類に分類する処理とを実行させるプログラム。
【請求項21】
前記メールスレッドを分類する処理では、前記メールスレッドの段数dと、前記メールスレッドを構成する電子メールの総数Nとに基づいて、前記枝の広さを示す指標Kを求め、該指標Kの値に応じて前記枝の広さを評価する、請求項20に記載のプログラム。
【請求項22】
前記メールスレッドを分類する処理では、メールスレッドの段数dの関数であり、基準となるメールスレッド形状における段数dまでの累積ノード数を表す値q(d)と、前記メールスレッドを構成する電子メールの総数Nとの比に基づいて、前記枝の広さを示す指標Kを算出する、請求項21に記載のプログラム。
【請求項23】
コンピュータに、
少なくとも対象ユーザが送受信した電子メールを記憶する電子メール格納部を参照し、ユーザが発信した電子メールを含むメールスレッドを生成する処理と、
前記メールスレッドを、メールスレッドの段数と枝の広さとに応じて複数の分類に分類する処理と、
前記メールスレッドの分類結果に応じて、メッセージを格納するメッセージ格納部からメッセージを取得する処理とを実行させるプログラム。
【請求項24】
前記コンピュータに、
メールスレッドの総数に対する各分類のメールスレッド数の割合、及び、発信メールの総数に対する各分類の発信メール数の割合の少なくとも一方を個人傾向指標として算出する処理と、
前記個人傾向指標における各分類の値としきい値とを比較し、前記各分類の値がしきい値を超える又はしきい値よりも小さい分類を特徴分類として特定する処理とを更に実行させ、
前記メッセージを取得する処理では、前記メッセージ格納部から、前記個人傾向指標における前記特徴分類の値がしきい値を超える又はしきい値よりも小さいことに対応したメッセージを取得する、請求項23に記載のプログラム。
【請求項25】
前記コンピュータに、対象ユーザが送受信する電子メールが新たに発生すると、該新たな電子メールの発生前後で、前記新たに発生する電子メールが含まれるメールスレッドの分類が変化するか否かを判定する処理を更に実行させ、
前記分類が変化するか否かを判定する処理で前記分類が変化すると判定されると、前記メッセージを取得する処理で、前記メッセージ格納部から分類変化に対応したメッセージを取得する、請求項23又は24に記載のプログラム。
【請求項1】
少なくとも対象ユーザが送受信した電子メールを記憶する電子メール格納部を参照し、ユーザが発信した電子メールを含むメールスレッドを生成するメールスレッド生成部と、
前記メールスレッドを、メールスレッドの段数と枝の広さとに応じて複数の分類に分類するメールスレッド分類部とを備えるメール利用状況分析システム。
【請求項2】
前記メールスレッド分類部は、前記メールスレッドの段数dと、前記メールスレッドを構成する電子メールの総数Nとに基づいて、前記枝の広さを示す指標Kを求め、該指標Kの値に応じて前記枝の広さを評価する、請求項1に記載のメール利用状況分析システム。
【請求項3】
前記メールスレッド分類部は、メールスレッドの段数dの関数であり、基準となるメールスレッド形状における段数dまでの累積ノード数を表す値q(d)と、前記メールスレッドを構成する電子メールの総数Nとの比に基づいて、前記枝の広さを示す指標Kを算出する、請求項2に記載のメール利用状況分析システム。
【請求項4】
前記メールスレッド分類部は、前記ノード累積数q(d)を、
q(d)=d(d+7)/8
で求める、請求項3に記載のメール利用状況分析システム。
【請求項5】
前記メールスレッド分類部は、前記メールスレッドの段数dと所定のしきい値とを比較すると共に、前記枝の広さを示す指標Kと所定のしきい値とを比較し、前記メールスレッドの段数dがしきい値以下であるか否か、及び、前記枝の広さを示す指標Kがしきい値以下であるか否かに応じて、前記メールスレッドを、第1〜第4の分類の何れかに分類する、請求項2乃至4の何れか一に記載のメール利用状況分析システム。
【請求項6】
メールスレッドの総数に対する各分類のメールスレッド数の割合、及び、発信メールの総数に対する各分類の発信メール数の割合の少なくとも一方を個人傾向指標として算出する個人傾向指標算出部と、
前記個人傾向指標における各分類の値としきい値とを比較し、前記各分類の値がしきい値を超える又はしきい値よりも小さい分類を特徴分類として特定する特徴分類特定部とを更に備える、請求項1乃至5の何れか一に記載のメール利用状況分析システム。
【請求項7】
他のユーザを含むユーザの前記個人傾向指標を統計処理し、前記特徴分類特定部が比較するしきい値を生成する比較基準値生成部を更に備える、請求項6に記載のメール利用状況分析システム。
【請求項8】
対象ユーザが送受信する電子メールが新たに発生すると、該新たな電子メールの発生前後で、前記新たに発生する電子メールが含まれるメールスレッドの分類が変化するか否かを判定する分類変化判定部を更に備える、請求項1乃至7の何れか一に記載のメール利用状況分析システム。
【請求項9】
少なくとも対象ユーザが送受信した電子メールを記憶する電子メール格納部を参照し、ユーザが発信した電子メールを含むメールスレッドを生成するメールスレッド生成部と、
前記メールスレッドを、メールスレッドの段数と枝の広さとに応じて複数の分類に分類するメールスレッド分類部と、
前記メールスレッドの分類結果に応じて、メッセージを格納するメッセージ格納部からメッセージを取得するメッセージ割当部とを備える業務効率化支援システム。
【請求項10】
メールスレッドの総数に対する各分類のメールスレッド数の割合、及び、発信メールの総数に対する各分類の発信メール数の割合の少なくとも一方を個人傾向指標として算出する個人傾向指標算出部と、
前記個人傾向指標における各分類の値としきい値とを比較し、前記各分類の値がしきい値を超える又はしきい値よりも小さい分類を特徴分類として特定する特徴分類特定部とを更に備え、
前記メッセージ割当部は、前記メッセージ格納部から、前記個人傾向指標における前記特徴分類の値がしきい値を超える又はしきい値よりも小さいことに対応したメッセージを取得する、請求項9に記載の業務効率化支援システム。
【請求項11】
対象ユーザが送受信する電子メールが新たに発生すると、該新たな電子メールの発生前後で、前記新たに発生する電子メールが含まれるメールスレッドの分類が変化するか否かを判定する分類変化判定部を更に備え、
前記メッセージ割当部は、前記分類変化判定部がメールスレッドの分類が変化すると判定すると、前記メッセージ格納部から、分類変化に対応したメッセージを取得する、請求項9又は10に記載の業務効率化支援システム。
【請求項12】
コンピュータが、少なくとも対象ユーザが送受信した電子メールを記憶する電子メール格納部を参照し、ユーザが発信した電子メールを含むメールスレッドを生成するステップと、
前記コンピュータが、前記メールスレッドを、メールスレッドの段数と枝の広さとに応じて複数の分類に分類するステップとを有するメール利用状況分析方法。
【請求項13】
前記メールスレッドを分類するステップでは、前記コンピュータは、前記メールスレッドの段数dと、前記メールスレッドを構成する電子メールの総数Nとに基づいて、前記枝の広さを示す指標Kを求め、該指標Kの値に応じて前記枝の広さを評価する、請求項12に記載のメール利用状況分析方法。
【請求項14】
前記メールスレッドを分類するステップでは、前記コンピュータは、メールスレッドの段数dの関数であり、基準となるメールスレッド形状における段数dまでの累積ノード数を表す値q(d)と、前記メールスレッドを構成する電子メールの総数Nとの比に基づいて、前記枝の広さを示す指標Kを算出する、請求項13に記載のメール利用状況分析方法。
【請求項15】
前記コンピュータが、メールスレッドの総数に対する各分類のメールスレッド数の割合、及び、発信メールの総数に対する各分類の発信メール数の割合の少なくとも一方を個人傾向指標として算出するステップと、
前記コンピュータが、前記個人傾向指標における各分類の値としきい値とを比較し、前記各分類の値がしきい値を超える又はしきい値よりも小さい分類を特徴分類として特定するステップとを更に有する、請求項12乃至14の何れか一に記載のメール利用状況分析方法。
【請求項16】
前記コンピュータが、対象ユーザが送受信する電子メールが新たに発生すると、該新たな電子メールの発生前後で、前記新たに発生する電子メールが含まれるメールスレッドの分類が変化するか否かを判定するステップを更に有する、請求項12乃至15の何れか一に記載のメール利用状況分析方法。
【請求項17】
コンピュータが、少なくとも対象ユーザが送受信した電子メールを記憶する電子メール格納部を参照し、ユーザが発信した電子メールを含むメールスレッドを生成するステップと、
前記コンピュータが、前記メールスレッドを、メールスレッドの段数と枝の広さとに応じて複数の分類に分類するステップと、
前記コンピュータが、前記メールスレッドの分類結果に応じて、メッセージを格納するメッセージ格納部からメッセージを取得するステップとを有する業務効率化支援方法。
【請求項18】
前記コンピュータが、メールスレッドの総数に対する各分類のメールスレッド数の割合、及び、発信メールの総数に対する各分類の発信メール数の割合の少なくとも一方を個人傾向指標として算出するステップと、
前記コンピュータが、前記個人傾向指標における各分類の値としきい値とを比較し、前記各分類の値がしきい値を超える又はしきい値よりも小さい分類を特徴分類として特定するステップとを更に有し、
前記コンピュータは、前記メッセージを取得するステップでは、前記メッセージ格納部から、前記個人傾向指標における前記特徴分類の値がしきい値を超える又はしきい値よりも小さいことに対応したメッセージを取得する、請求項17に記載の業務効率化支援方法。
【請求項19】
前記コンピュータが、対象ユーザが送受信する電子メールが新たに発生すると、該新たな電子メールの発生前後で、前記新たに発生する電子メールが含まれるメールスレッドの分類が変化するか否かを判定するステップを更に有し、
前記コンピュータは、前記分類が変化するか否かを判定するステップで前記分類が変化すると判定すると、前記メッセージを取得するステップで、前記メッセージ格納部から分類変化に対応したメッセージを取得する、請求項17又は18に記載の業務効率化支援方法。
【請求項20】
コンピュータに、
少なくとも対象ユーザが送受信した電子メールを記憶する電子メール格納部を参照し、ユーザが発信した電子メールを含むメールスレッドを生成する処理と、
前記メールスレッドを、メールスレッドの段数と枝の広さとに応じて複数の分類に分類する処理とを実行させるプログラム。
【請求項21】
前記メールスレッドを分類する処理では、前記メールスレッドの段数dと、前記メールスレッドを構成する電子メールの総数Nとに基づいて、前記枝の広さを示す指標Kを求め、該指標Kの値に応じて前記枝の広さを評価する、請求項20に記載のプログラム。
【請求項22】
前記メールスレッドを分類する処理では、メールスレッドの段数dの関数であり、基準となるメールスレッド形状における段数dまでの累積ノード数を表す値q(d)と、前記メールスレッドを構成する電子メールの総数Nとの比に基づいて、前記枝の広さを示す指標Kを算出する、請求項21に記載のプログラム。
【請求項23】
コンピュータに、
少なくとも対象ユーザが送受信した電子メールを記憶する電子メール格納部を参照し、ユーザが発信した電子メールを含むメールスレッドを生成する処理と、
前記メールスレッドを、メールスレッドの段数と枝の広さとに応じて複数の分類に分類する処理と、
前記メールスレッドの分類結果に応じて、メッセージを格納するメッセージ格納部からメッセージを取得する処理とを実行させるプログラム。
【請求項24】
前記コンピュータに、
メールスレッドの総数に対する各分類のメールスレッド数の割合、及び、発信メールの総数に対する各分類の発信メール数の割合の少なくとも一方を個人傾向指標として算出する処理と、
前記個人傾向指標における各分類の値としきい値とを比較し、前記各分類の値がしきい値を超える又はしきい値よりも小さい分類を特徴分類として特定する処理とを更に実行させ、
前記メッセージを取得する処理では、前記メッセージ格納部から、前記個人傾向指標における前記特徴分類の値がしきい値を超える又はしきい値よりも小さいことに対応したメッセージを取得する、請求項23に記載のプログラム。
【請求項25】
前記コンピュータに、対象ユーザが送受信する電子メールが新たに発生すると、該新たな電子メールの発生前後で、前記新たに発生する電子メールが含まれるメールスレッドの分類が変化するか否かを判定する処理を更に実行させ、
前記分類が変化するか否かを判定する処理で前記分類が変化すると判定されると、前記メッセージを取得する処理で、前記メッセージ格納部から分類変化に対応したメッセージを取得する、請求項23又は24に記載のプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−176193(P2010−176193A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−15596(P2009−15596)
【出願日】平成21年1月27日(2009.1.27)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年1月27日(2009.1.27)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】
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