モジュール式患者支持システム
【課題】モジュール式患者支持システム及び患者位置決め装置を含み、癌患者患者の体内の目標位置に正確に放射線を送出するための放射線治療システムを提供する。
【解決手段】モジュール式患者支持システムにはモジュール式に伸長できる患者ポッド200と例えば堅い、成型可能なフォームクレードルのような少なくとも1台の固定装置が含まれる。この患者ポッドには近位端214と遠位端216の間を縦方向に伸び及び2本の側縁222,224の間を横方向に広がるほぼ半円筒形の支持シェル212が含まれる。一実施態様において、この側縁は先細になり、放射線ビームがこの側縁を横断する場合に生じるエッジ効果を最小限にする。
【解決手段】モジュール式患者支持システムにはモジュール式に伸長できる患者ポッド200と例えば堅い、成型可能なフォームクレードルのような少なくとも1台の固定装置が含まれる。この患者ポッドには近位端214と遠位端216の間を縦方向に伸び及び2本の側縁222,224の間を横方向に広がるほぼ半円筒形の支持シェル212が含まれる。一実施態様において、この側縁は先細になり、放射線ビームがこの側縁を横断する場合に生じるエッジ効果を最小限にする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(政府からの支援)
本発明は、国防総省からの補助金DAMD17−99−1−9477とDAMD17−02−1−0205を受けて米国政府の支援の下で完成した。米国政府は確かに本発明に対して権利を有する。
【0002】
(関連出願)
本出願が優先権を主張するものは、「精密な患者の位置合わせとビーム療法システム」と称する2003年8月12日出願の米国仮出願第60/494,699号と、「精密な患者の位置合わせとビーム療法システム」と称する、2004年6月10日出願の米国仮出願第60/579,095号であり、両出願の内容は参照により完全に本明細書中に取り込まれている。
【0003】
本発明は放射線ビーム療法システムに関し、より詳細には患者位置決め装置を用いる放射線治療システムに関する。本発明は放射線ビーム療法システムに関し、より詳細にはモジュール式患者支持システムに関する。本発明は放射線ビーム療法システムに関し、より詳細には放射線ビーム通路内での水当量の突然の変化に関連するエッジ効果を緩和するテーパー端形状を有する患者ポッドに関する。
【背景技術】
【0004】
放射線療法システムは公知であり、広範囲の多様な症状に悩まされる患者に治療を提供するために用いられる。放射線療法は癌組織のような好ましくない組織の生長を阻止したり抑制したりするために一般的に用いられる。一定量の高エネルギー電磁放射線及び/又は高エネルギー粒子は、放射線が好ましくない組織に至る通路上の、放射線が通過する好ましい組織又は健康な組織への不慮の損傷を低減させつつ、好ましくない組織を損傷させるという目的をもってその好ましくない組織に向けられる。
【0005】
陽子線治療は、多様な症状に特に有効な治療法として出現した。陽子線治療において、正電荷陽子亜原子粒子は、加速され、密集束ビームにコリメートされ、患者体内の指定対象部位に誘導される。陽子は、患者組織に対して電磁放射線や低質量電子荷電粒子より横方向の衝突の分散がより小さく、従ってビーム軸に沿ったより正確な照準と供給が可能となる。また、患者組織に対する衝撃において、加速陽子は、相対的に低エネルギー転移で近位の組織を通過し、加速質量の運動エネルギ−のかなりの部分が患者体内の比較的狭い透過深さの範囲内に投入する特有のブラッグピークを示す。これは加速陽子粒子から指定対象部位を越えて位置する”ダウンレンジ”組織に加え対象部位と陽子線治療機の供給ノズルの間に介在する健康な組織へのエネルギ−の供給を減らす顕著な利点を提供する。特定の患者に対する効能とその症状にもよるが、治療上有効な陽子線ビームの供給は、介在する所望の/健康な組織の副次照射線量を減らしながら対象部位に供給する総計線量を実現するため好ましくは複数の治療部分において複数の方向からおこなうのが良い。
【0006】
ローマリンダ ユニヴァーシティ メディカル センターを譲受人とし、1989年9月26日発行のマルチステーション陽子線ビーム療法システムと称する、米国特許第4,870,287号には放射線ビーム療法システムが記述され実例を示して説明されている。ここで記述されたシステムにはいくつかの異なる治療ステーションが含まれ、各ステーションには固定された患者の周りの回転軸上に放射線ビーム移送及び送出システムを支え回転させるための保持台が含まれ、いくつかの異なる角度から患者体内の所定の目標たる等角点へ治療ビームが送出される。
【0007】
多くの放射線治療システム及びプロトコールを備えた類のない治療計画は先ず癌患者ごとに開発される。例えば、陽子線放射線治療のような、治療計画の開発に際して、一般に、患者は支持テーブル又は支持構造体の上に位置決めされ、その患者の身体の内部組織は例えばコンピュータ断層撮影法(CTスキャン)のような撮像技術でその画像が取り込まれる。撮像装置で作られた画像が分析され、放射線ビームの目標をはっきりさせる癌の位置が正確に突き止められる。多くの事例で、医師たちは、異なる規模、期間及び角度の放射線ビームを用いた、多数の異なる患者治療セッションを必要とする放射線治療計画を開発する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
仮に放射線治療及び、世の中で利用できる、比較的少ない数の高性能の(例えば、陽子線)治療設備及びシステムから恩恵を受けることができる癌患者の数が多くなれば、既存の設備での患者の処理数を増やすために放射線治療提供者が必要とされる。従って、自動又はロボット患者位置決め装置を用い、その結果として、患者処理数を増やす能力を有する放射線治療提供者を提供する、患者支持及び位置決めシステムが必要とされる。
【0009】
治療セッションごとに、治療計画の開発で利用される予備撮像又はスキャニングセッション中と厳密に同一位置で(即ち、元の位置で)患者を支えることが重要である。従って、放射線治療中に患者を元の位置にしっかりと固定し、引き続く放射線治療セッション中に同一の元の位置に患者を再固定するための、患者の位置決め及び再位置決め支持システムが必要とされる。患者の組織の異なる部分にいくつかの異なる角度から放射線を照射することを含むある種の応用にとって、患者位置決め及び再位置決め支持器が患者をしっかりと固定することは望ましい。
【0010】
いずれかの既知の患者にとっての放射線治療プロトコールは多くの要因に依存することがあり、例えば、その要因には患者の大きさ及び身体的特徴;放射線を照射される腫瘍の型、大きさ及び位置;及び治療プロトコールの積極性が含まれる。従って多数の治療プロトコールを適応させるために容易に調整できるモジュール式患者支持システムが必要とされる。
【0011】
ある種の治療プロトコールにとって、患者ポッドの少なくとも一方の側縁を横断する角度で放射線ビームを誘導することが必要である。従ってポッド側縁を通過するかその近傍を通過する放射線ビームの強度又はエネルギーの大きさにおいて不連続性を低減させるポッド端形状が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本明細書中に記述された一実施態様に従って、処方量の放射線を癌患者体内の目標位置に送出するための、及び患者処理数水準を増やすための放射線治療システムが提供される。この治療システムには、患者治療ステーション;ガントリ、放射線ビーム源;ノズル;モジュール式患者支持システム;患者位置決め装置;及び管理システムが含まれる。
【0013】
一実施態様において、放射線ビーム源には陽子線源及びビームとしての陽子線を加速させる加速器が含まれる。
【0014】
本明細書中に記述された一実施態様に従って、放射線治療中に定位置に癌患者を効率よく固定するためのモジュール式患者支持システムが提供される。この支持システムにはモジュール式患者ポッドが含まれる。
【0015】
本明細書中に記述された一実施態様に従って、放射線治療を受ける癌患者を片持ち梁で支えるモジュール式患者ポッドが提供される。このポッドには縦方向に伸びる支持シェル;近位延伸トラック;遠位延伸トラック;及び位置決めポッドコネクタが含まれる。
【0016】
一実施態様において、この支持シェルは例えば炭素繊維のような治療材料から作られる。
【0017】
一実施態様において、遠位ポッド取付具は遠位延伸トラックと係合されている。他の実施態様において、近位ポッド取付具は近位延伸トラックと係合されている。
【0018】
本明細書中に記述された一実施態様に従って、いずれかのエッジ効果を緩和するように構成されるモジュール式患者ポッドが提供される。このポッドには第一の側縁と第二の側縁を有する支持シェルが含まれる。
【0019】
一実施態様において、第一の側縁には、例えば微細球を伴うエポキシのような第一低密度材料から作られる、第一テーパー端及び第一レールが含まれる。他の実施態様において、第二の側縁には、第二低密度材料から作られる、第二テーパー端及び第二レールが含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】ロボット患者位置決めシステムを用いる放射線治療システムの一実施態様の概念図である。
【図2】ロボット患者位置決めシステムを用いる放射線治療システムの他の実施態様の概念図である。
【図3】ロボット患者位置決め装置の一実施態様の等角側面図である。
【図4A】モジュール式患者ポッドの一実施態様の等角高架側面図である。
【図4B】図4Aの患者ポッドの横断断面図である。
【図4C】図4Bのポッドシェル側縁の、近接撮影された断面図である。
【図5】モジュール式患者支持システムの一実施態様の横断断面図である。
【図6】位置決めポッドコネクタの一実施態様の等角高架側面図である。
【図7A】短く、平らな取付具の一実施態様の等角高架側面図である。
【図7B】長く、平らな取付具の一実施態様の等角高架側面図である。
【図7C】シェル脚部又は頭部延伸部の一実施態様の等角高架側面図である。
【図7D】固定装置を適応させる平らな延伸部の一実施例の等角高架側面図である。
【図7E】短いヘッドレスト延伸部の一実施態様の等角高架側面図である。
【図7F】位置決め装置末端延伸部の一実施態様の等角高架側面図である。
【図7G】伏臥位ヘッドレストの一実施態様の等角高架側面図である。
【図8】モジュール式患者支持システム及び対応する、ねらいを定めることのできる容量の一実施態様の概略部分断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
A. ロボット患者位置決め装置を有する放射線治療システム
本明細書中に記述された一実施態様に従って、患者位置決め装置を有する放射線治療システムが提供される。
【0022】
これから図面を参照するが、そこでは最初から最後まで同一参照表記は同一部分を指すこととする。図1は放射線治療システム100の一実施態様を概略的に説明する。放射線治療システム100は、患者を基準にして少なくとも一つの角度又は方向から、悪性の又は他の症状の治療を求める癌患者108の体内の目標領域に治療用放射線線量を送出するように設計されている。
【0023】
一実施態様において、放射線治療システム100は患者体内の目標領域に治療用線量の陽子線ビームを送出するように設計されている。このようなシステム100の構造及び操作に関する他の細目は「マルチステーション陽子線ビーム療法システム」と称する米国特許第4,870,287号に見ることができ、その内容は引用により完全に本明細書中に取り込まれている。他の実施態様において、そのシステム100は、いずれかの他の臨床上適正な形態のこの分野で公知の放射線、例えば、X線、ガンマ線、ハドロン、ニュートロンなどの、この分野で公知の放射線を送出するように設計されている。
【0024】
通常放射線治療システム100には患者治療ステーション及びガントリ102が含まれ、一般にそのガントリには放射線治療システム100の他の構成要素を取り付け及び支持するための半球形の又は円錐台形の支持枠が含まれる。ガントリ102の構造及び操作に関する他の細目は米国特許第4,917,344号及び米国特許第5,039,057号に見ることができ、両者の発明の名称はローラーで支えられた、モジュール式等角ガントリ及び組立て方法であり、両者の内容は引用により完全に本明細書中に取り込まれている。
【0025】
図1を引き続き参照すれば、一実施態様において、そのシステム100はさらにガントリ102で取り付けられ支持されるノズル110を備え、そこではノズル110はかなり正確にガントリ等角点120の周りを回転することができる。そのシステム100はさらに加速陽子線のビームのような治療用ビームを送出する放射線源106を備え、その陽子
線はノズル110の端部に配置された開口部110を通過し具体化される。ビームの通路は数字146で示される。好ましくは、開口部は治療用放射線療法の患者特有の処方に合わせて配置されることとする。
【0026】
図1を引き続き参照すれば、そのシステム100はさらに少なくとも1台の撮像素子112を備え、この実施態様において、その素子は伸長位置と収縮位置の間でガントリ102を基準にして伸縮可能である。ここでは、撮像素子112が伸長位置に示されている。一実施態様において、この撮像素子112は固体状アモルファスシリコンX線撮像素子を備え、その素子は患者の身体を通過する入射X線放射線からの画像情報のような画像情報を発生させることができる。このシステム100はさらに適当なX線放射線を選択的に放射するX線源130を備え、そのX線放射線は撮像素子112によって介在する材料のX線撮影画像を発生させるように介在する患者組織を通過する。撮像素子112の伸縮可能な性質から提供される利点は、放射線源106からの潜在的に有害な放出物の通路の外へ撮像素子112を配置し、これにより撮像素子112に提供される遮蔽材の必要性を低減することと同様に、撮像素子112が不要になり、これによりガントリ102の囲いの内部に空隙を増やす場合に放射線源106のビーム通路から撮像素子スクリーンを引っ込めることである。この実施態様において、撮像素子及び放射線源130は直交方向に配列され、2つの方向からの、患者の放射線透過画像が提供される。
【0027】
このシステム100はさらに患者位置決め装置114及び患者ポッド200を備え、このポッドは患者位置決め装置114の遠位の作用端部116にある位置決めポッドコネクタ234に取り付けられている。患者位置決め装置114は、適当な動作指令を受け取った際に、多数本の並進軸及び回転軸で患者ポッド200を位置するように適合させられ、好ましくは完全に自由度が6度の患者ポッド200の配置に向けての動きを提供するために、3本の直交回転軸(例えば、ピッチ軸、横転軸、及び偏揺軸)と同様に3本の直交並進軸(例えば、縦軸、垂直軸、及び側軸)で患者ポッド200を位置決めすることができるものとする。
【0028】
かなり多数の方法で患者を位置決めすることができ、その方法は以下のものに限定されるものではないが、その方法には自動式のもの、半自動式のもの(例えば、手作業を伴うもの)、位置決め装置コントローラに直接接続して制御される手動式のもの、又は完全手動式のもの(例えば、手動式回転腕を用いて制動装置を解除し各装置軸を移動させるもの)が含まれることは理解できよう。
【0029】
図2及び図3を参照すれば、一実施態様において、患者位置決め装置114は例えばKUKA KR500−L420ロボットのようなロボットアーム150を備える。一実施態様において、KUKA KR500−L420ロボットは回転台132の下の凹みに設置される台座上に安全に搭載され、台132の切欠部134を貫いて上方へ伸びる。一般に台132は治療領域床130と同一平面を成す。概してロボットアーム150は6度の自由度で動くことができ、ガントリ102内で可能性がある治療位置をすべて実現することを必要とする範囲を有する。ロボットアーム150は台118及び遠位の作用端部116の間に伸びる。
【0030】
ロボットアーム150の遠位端部116にある旋回継手152はその遠位端部に接続されたいずれかの装置を時計方向に又は反時計方向に回転させることができる。概してその旋回継手152は位置決めポッドコネクタ234と接続し、そのコネクタはひいては患者ポッド200と連結する。ロボットアームセグメント162及びいずれかの遠位に配置されたアーム構成要素は旋回継手154を中心に回転することができる。ロボットアームセグメント164及びいずれかの遠位に配置されたアーム構成要素は旋回継手156を中心に回転することができる。ロボットアームセグメント166及びいずれかの遠位に配置さ
れたアーム構成要素は旋回継手158を中心に回転することができる。ロボットアームセグメント168及びいずれかの遠位に配置されたアーム構成要素は旋回継手159を中心に回転することができる。ロボットアームセグメント170及びいずれかの遠位に配置されたアーム構成要素は旋回継手160を中心に回転することができる。
【0031】
図2を参照すれば、一実施例において、この放射線治療システム100は撮像素子112を備え、その素子は収縮位置又は収縮配置にあり、このように図示されていない。患者位置決め装置114は回転台132の下の凹みに設置される台座上に搭載される。一般にその台132は治療領域床130と同一平面を成し、概して位置決め装置114の台118で位置決め装置114の回転運動に従う。位置決め装置114のロボットアーム150は台132の切欠部134を貫いて上方へ伸びる。図2及び図3に示されるように、一実施例において、台132は時計方向に又は反時計方向に回転し、旋回継手160を中心とした回転運動を行う。
【0032】
図2及び図5を参照すれば、一実施態様において、放射線治療システム100は患者位置決め装置114と接続するモジュール式患者支持システム199を備える。さらに詳しくは、ロボットアーム150の端部116は以下にさらに詳細に記述されるように患者ポッド200と接続する。
【0033】
このシステム100は制御システムを通じて定値制御及びオペレーター制御のもとにあり、そのシステムは一般にローマリンダ ユニヴァーシティ メディカル センターの200MeVシンクロトロン設備に用いられるシステムにならって作られる。この制御システムからオペレーターに提供されるものは患者位置決め装置114の並進かつ回転位置と同様にガントリ102の回転位置を制御するための制御可能なシステムである。この制御システムはシステム100全体にタイミングパルスを提供する。
【0034】
一実施態様において、この制御システムはローカルエリアネットワーク(LAN)規格を用いて相互に及びワークステーションコンピュータにネットワーク接続された、多数の、分散された、マイクロプロセッサベースのシステムを備える。このLANはイーサーネットベースのプロトコールである。このワークステーションはプログラムビームエネルギー制御と同様に治療システムで治療ステーションからのビームリクエストの集中管理を遂行する。
【0035】
放射線治療システムの構造及び操作に関する他の細目は正式に譲渡された特許出願、すなわち「放射線治療環境における経路計画及び機器移動のための衝突防止」と称する同時出願(出願番号は不明、代理人名簿番号、ロマール134A)、及び(「外部測定を伴う患者位置合わせシステム及び放射線治療システムのための対象物調整」と称する同時出願(出願番号は不明、代理人名簿番号、ロマール135A)に見ることができる。両出願の内容は引用により完全に本明細書の開示内容に取り込まれている。
【0036】
B. モジュール式患者支持システム
本明細書中に記述された一実施態様に従って、一般にモジュール式患者ポッド及び固定装置を備えるモジュール式患者支持システムが提供される。
【0037】
図4A及び図4Bでは放射線治療用モジュール式患者ポッド200の一実施態様が示される。このポッド200は縦方向に伸長するシェル構造体212を備える。今ここにある実施態様において、位置決めポッドコネクタ234はシェル構造体212の中央からずれており、これにより患者位置決め装置114の作用端部116を基準にして片持ち梁で支えられるポッド200となる。位置決め装置114を基準にして片持ち梁で支えられるポッド200は都合の良いことに放射線治療システム100内で患者を位置決めするために
より多くの方法を実現可能にする。片持ち梁で支えられるポッド200は都合の良いことにポッド200及び/又は位置決め装置114のようなシステム100の他の構成要素との衝突の機会を低減するか又はシステム100内部で調整される。片持ち梁で支えられるポッド200はさらにポッド200の内部へ患者を入れたりその内部に配置したりすることを容易にすることができる。(図示されていない)他の実施態様において、コネクタ234は、ポッド200の縦軸に沿って、シェル構造体212の中央に又は中央近傍に配置される。
【0038】
ポッド200、そのいずれかの構成要素、及びいずれかの延伸部又はそれに対する取付具はポッド200の断面に関連して本明細書中で記述され、そのポッドは位置決めポッドコネクタ234を介して患者位置決め装置114と接続する。ポッド200の仮想縦軸に沿って、コネクタ234により近づいているいずれかの構成要素、延伸部、及び取付具はここでは基部に近いことを意味し、一方、ポッドの反対端の方へ配置されるいずれかの構成要素、延伸部、及び取付具はここでは基部から離れていることを意味する。
【0039】
この縦方向へ伸長するシェル構造体212はシェル近位端214及びシェル遠位端216の間に伸びる。このシェル212は横方向に凹の上面218及び横方向に凹の底面220を有する。このシェル212は上方に伸長する第一の側縁222及び上方に伸長する第二の側縁224の間を横断するように伸びる。
【0040】
図4A及び図4Bを参照すれば、一実施態様において、この支持シェル212は放射線治療の際に患者を片持ち梁で支える支持器として作用する半円筒形構造体である。この点では、以下にさらに詳細に記述されるように、シェル212の半円筒形状は、例えば泡差込工具又は真空袋のような固定装置と共に用いられた場合、強化身体支持器及び首尾一貫した位置合わせをもたらすことを容易にする。ポッド200の湾曲形状はさらに患者の近傍に配置されるビーム整形装置に機会を与える。
【0041】
患者を多くの位置で患者ポッド200内に配置することができる。一つの方法では、患者がシェル遠位端216の近傍に頭部を置きシェル近位端214の近傍に脚部を置くという条件の下で仰臥位でポッド200内に配置される場合、側縁222は患者の右手側にあり、一方、側縁224は患者の左手側にある。他の方法では、患者がシェル遠位端216の近傍に頭部を置きシェル近位端214の近傍に脚部を置くという条件の下で伏臥位でポッド200内に配置される場合、側縁222は患者の左手側にあり、一方、側縁224は患者の右手側にある。さらに他の方法では、患者がシェル遠位端216の近傍に脚部を置きシェル近位端214の近傍に頭部を置くという条件の下で仰臥位でポッド200内に配置される場合、側縁222は患者の左手側にあり、一方、側縁224は患者の右手側にある。
【0042】
図4A及び図4Bを参照すれば、一実施態様において、ポッド200は取付具又は延伸トラック226及び228を備え、これらはそれぞれシェル端214及び216に配置される。延伸トラック226及び228は例えば複数の直線的に配列される開口230、232のような既知の汎用取付機構を備えることができ、これらの開口はシェル212の上面及び底面218,220の間の連通を容易にする。一実施態様において、少なくとも一つのモジュール式延伸部が開口230、232を介して、すり割り付き又はねじ込み式の取り外しのきくピン又はボルトにより、取付トラック226,228に調整可能に固定される。
【0043】
患者の頭部領域近傍での治療を含む一つの使用法において、頭部がシェル端216越しにトラック228に付けられたヘッドレスト延伸部310上にあるという条件の下で患者が位置決めされる。患者の肺領域の治療を含む他の使用法において、患者は肩がトラック
228に沿うという条件の下で頭部から先に(例えば、シェル端216の近傍に頭部が位置する)位置決めされ、その結果として放射線ビームはシェル212を貫通し肺領域に入る。患者の肺領域の治療を含むさらに他の使用法において、患者は肩がトラック228越しにあるという条件の下で頭部から先に位置決めされ、その結果としてシェル212の外側で治療が行われる。
【0044】
本明細書中で用いられるように、一般にネガティブピッチはポッド200遠位端部の下降又はディッピングを指し、一方、ポジティブピッチは概してポッド200遠位端部の上昇を指す。一般にネガティブロールはポッド200の半時計方向回転を意味し、一方、ポジティブロールは概してポッド200の時計方向回転を意味する。一般にネガティブ偏揺は軸6を中心とするポッド200の左方への回転を意味し、一方、ポジティブ偏揺は概して軸6を中心とするポッド200の右方への回転を意味する。
【0045】
好ましくはシェル212が十分に長く又幅の広いものであり、例えば仰臥位又は伏臥位のいずれかの姿勢で横たわる患者の身体の大部分又は全てが受け入れられるものとする。取付具を具備しないままの、軸6から遠位端216に至る構造シェル212は一般に約75cm乃至約175cmの範囲にあり、これはしばしば約80cm乃至約125cmの範囲にあり、対象とする患者アプリケーション特有の大きさ(例えば、小児科寸法)及び/又はガントリ寸法に依存する。一実施態様において、軸6から遠位端216に至るシェル212の長さは90cm級である。本明細書中で用いられるように、軸6は位置決め装置114の軸を意味し、この軸は位置決め装置114の終段偏揺軸(例えば、手関節)にて取付具を貫いて垂直方向へ伸び(例えば、図2及び図3に示される実施態様において、この手関節はロボットアーム150の遠位端116の旋回継手152を備える)、これにより患者ポッド200の偏揺回転が許される。
【0046】
一般にシェル212の全縦長(例えば、シェル近位端214及びシェル遠位端216の間の長さ)は約90cm乃至約235cmの範囲であり、しばしば約95cm乃至約175cmの範囲である。一実施態様において、シェル212の全縦長は約106cmである。一般にシェル212の外径は約35cm乃至約65cmの範囲であり、しばしば約35cm乃至55cmの範囲であり、対象とする患者への適用での特有の大きさ(例えば、小児科寸法、大柄な患者寸法、など)及び/又は利用できる治療エネルギーに依存する。一実施態様において、シェル212の外径は約46cmである。
【0047】
一実施態様において、シェル212はシェル212を介した放射線ビーム治療を容易にする非金属(例えば、炭素繊維)複合材構造を有する。多数のこの分野で公知の画像シミュレータ(例えば、コンピュータ断層撮影法(CT)、ポジトロン射出断層撮影法(PET)、磁気共鳴法(MRJ)、円錐ビーム法、など)が用いられ、シェル212の治療材料の使途を説明している。本明細書中で用いられるように、一般に用語“治療”は放射線ビームが表面を貫いて照射されるのを許容する材料又は表面の物性を意味し、これにより所定の放射線線量を放射線源から、表面を貫通させて、その表面の他端の患者体内の目標領域の中へ送出することができる。一般に治療特性は水の分子当量に換算して測定されたり又は定量化されたりする。本明細書中で用いられるように、一般に用語“未治療”は放射線ビームが表面を貫いて照射されるのを許容しない材料又は表面の物性を意味する。概して非金属材料から作られるシェル212の領域は治療面又は治療帯を意味する。
【0048】
本明細書中で用いられているように、一般に水当量は水に対する陽子線ビーム範囲上の吸収材料の効果を意味する。本明細書中に記述される治療断面、治療帯、又は治療面に関連して、水当量は貫通されうる面に垂直である放射線ビームについて測定される。
【0049】
一実施態様において、図4Cに示されるように、シェル212は構造表皮242の中に
封じ込められたコア材料240を備える。コア材料240は例えば構造フォームなどのこの分野で公知のいずれかの適当な低密度材料を備える。構造表皮242は例えば炭素繊維、スペクトル繊維などのこの分野で公知のいずれかの適当な堅い軽量材料を備える。
【0050】
2004年6月25日出願の「位置決め及び固定のための方法及び装置」と称する米国仮出願第60/583,063号の開示内容は引用により完全に本明細書中に取り込まれており、シェル212が構成されるいくつかの適当な材料が開示されている。
【0051】
一実施態様において、シェル212はポリ塩化ビニル(PVC)などから作られる。一実施態様において、シェル212はガラス繊維などから作られる。さらに他の実施態様において、シェル212はいずれかの公知の適当な低密度フォームなどからなる。
【0052】
一実施態様において、シェル212はエポキシ樹脂のコア及び低密度ポリスチレンフォーム(スチロフォーム(登録商標))のコア内に埋め込まれたポリエチレン繊維からなる複合材料皮から構成される。シェル212を製造する際に用いることができる材料のリストが以下の表1に示されている。
【0053】
【表1】
一実施態様において、炭素繊維複合材料では、成層の織り層はいずれも厚さが約0.25mmである。一実施態様において、複合材料成層は約50重量%の繊維及び50重量%の樹脂からなる。一実施態様において、複合材料の繊維含量は最大になり、一方、樹脂含量は最小になる。一実施態様において、ポッド200のシェル212は複合材料「スペクトラ」から作られ、その「スペクトラ」はヴァージニア州コロニアルハイツのハネウエルパフォーマンスファイバーズ社から入手可能である。
【0054】
一実施態様において、延伸トラック226,228のうち少なくとも1本は例えばアルミニウムのようなこの分野で公知のいずれかの適当な金属から作られる。しかしながら金属を使用すれば未治療帯又は未治療領域が生じる。従って、一般に金属構造の使用は未治療面を最小にするために制限される。他の実施態様において、延伸トラック226,228のうち少なくとも1本は例えば炭素複合材料のようなこの分野で公知の適当な非金属材料から作られる。
【0055】
延伸トラック226,228は都合の良いことにポッド200のシェル端214及び216に位置決めされ、これによりポッド200の支持シェル212を介した放射線治療が容易になる。さらにシェル端214,216での延伸トラック226,228の位置決めは以下でさらに詳細に説明されるように少なくとも1本のポッド延伸部のポッド200への取り付けを容易にする。
【0056】
一実施態様において、延伸トラック226,228は一定の治療姿勢に合うように丸みをおび、患者はトラック226又は228との接触の結果として苦痛又は不快感を体験することがない。好ましくは延伸トラック226,228がシェル212の内面218とほとんど同一平面を成すインターフェイス延伸部を備える。一実施態様において、内面218及びトラックインターフェイス延伸部の間の最大ステップ、すなわち最大垂直距離は約1cmである。
【0057】
延伸トラック226,228のおかげで少なくとも1本のポッド延伸部がポッド200に連結され、設計全体にモジュール性が提供される。例えば、トラック228は多様な頭部延伸部に適応し、2π頭部及び頸部治療に適応する。ポッド要素及び任意のポッド延伸部のモジュール性は、例えば頭を先にした治療姿勢及び足を先にした治療姿勢の双方のようなポッド220内部の多様な患者姿勢に適応する。ポッド200はさらに患者があおむけに、横向きで、うつぶせで、又はこれらのいずれかを変化させて横たわる場合はその治療姿勢に適応する。ポッド200内部における患者の実際の姿勢が例えば医師及び/又は放射線物理学者により決定される放射線治療プロトコール、及び患者の身体的特徴のような様々な要因に依存することは明らかであろう。
【0058】
図4A、図4B及び図6を参照すれば、一実施態様において、位置決めポッドコネクタ234は堅い台部材であり、この部材により例えば位置決め装置114の遠位の作用端部116を介していずれかの患者位置決め装置114への連結が許容される。コネクタ234はポッド200を患者位置決め装置114に接続させて取り付けるための位置決め装置インターフェイス挟持板236を備える。この挟持板236はボルト又は他の適当な固定装置を受け入れるために円形パターンで配列された複数の雌型端238を備え、これによりポッド200は位置決め装置114へ固く固定される。挟持板236のこの特有の実施態様はKUKA KR500−L420ロボット位置決め装置上で利用できるボルトパターンを適応させるのに十分に適している。
【0059】
一実施態様において、コネクタ236(例えば、挟持板)はおよそ1.75インチの高さHを有するシェル212の中へ突き出ており、ロボット接続上でおよそ12インチのシェル212に沿って縦方向へLだけ伸び、およそ11インチの幅Wを有する。(図示されていない)他の実施態様において、このコネクタはシェル212の中へ組み込まれ、シェル212の内面の等高線にじかにくっついている。
【0060】
ポッド200及びそれに搭載されたいずれかの定着具は、偏揺治療角度の間中位置決め装置114との衝突が回避されるように配置されるべきことは明らかであろう。シェル212の内面218とコネクタ234の間の距離は通常約5mm乃至約35mmの範囲内にあり、しばしば約12mm乃至約25mmの範囲内にある。一実施態様において、シェル212の内面218とコネクタ234の間の距離は約19mmである。
【0061】
患者ポッド200は少なくとも1個の取付具、延伸部、アダプタープレート、又は類似物、又はこれらの組み合わせ(一括して“ポッド取付具”)を備える。図4Aに示されるように、一つの実施態様において、ポッド200は片持ち梁で支えられたヘッドレスト延伸部310及びロボット端部脚受け延伸部320を備える。図2に示されるように、他の実施態様において、ポッド200は仰臥位頭部延伸部258及びロボット末端延伸部32
0を備える。
【0062】
図7Aから図7Gを参照すれば、少なくとも1個のポッド取付具はポッド延伸トラック226,228の少なくとも一方に取り外しのきくように取り付けることができる。一つの実施態様において、ポッド取付具をポッド200の延伸トラック226,228に取り付けたり又はそこから移動したりするための工具は不要である。好ましくは、ポッド取付具は治療材料及び治療面を備えることとする。
【0063】
これらのポッド取付具が水当量厚みの点で変動する治療面を持つことができる場合、好ましいのはその治療面が水当量厚みの点でいずれかの横の距離に沿って約0.5mm水当量厚み/mmよりも大きな勾配で変動しないことである。勾配の限界は空隙や材料面の不備のような一般的な製造上の許容範囲と同様にデザインのエッジ効果、厚みの変化及び材料の変遷上の問題点を明らかにする。一実施態様において、その取付具は約2cmを超えない水当量を有する。一実施態様において、シェル212は搭載された取付トラック226又は228のおかげで約25mmの幅の未治療領域を有する。トラック226,228が例えば炭素繊維のような非金属材料から作られる実施態様ではトラック226,228が治療帯を提供し、一方、トラック226,228が金属製である実施態様では、そのトラックが未治療帯であることは明らかであろう。シェル212に関しては、ある種のポッド取付具はトラック226,228のおかげで約25mmの幅にまで及ぶ未治療領域からなってもよい。
【0064】
図7Aから図7Gを参照すれば、ポッド取付具270、280、290、300、310、320、330はいずれも延伸トラック226及び/又は228に接続し連結する延伸トラック係合端部262を備える。このトラック係合端部262は上部リップ264及び下部リップ266を備え、そこではリップ264と266の間隙は延伸トラック226及び228の内径と外径の間の距離にほぼ等しい。この上部リップ及び下部リップ264及び266はそれぞれ複数個の開口268を備え、そこでは上部リップの開口はそれぞれ半円筒形シェル212の中心から外側へ伸びる仮想半径に沿って対応する下部リップの開口と整列させられる。一実施態様において、開口268はトラック係合端部262の中の位置に穴を開けたり成形したりして作られ、これによりトラック係合端部262がトラック226又は228と係合する場合、半円筒形シェル212の中心から外側へ伸びる仮想半径に沿って延伸トラック開口230又は232と整列させられる。一実施態様において、取付具270は放射状に配列された開口230,232,268を介してすり割り付き又はねじ込み式の取り外しのきくピン、ボルト、又はこれらの同等物により取付トラック226又は228に調整可能に固定される。
【0065】
図7Aを参照すれば、一実施態様において、ポッド取付具は長さが約30cmで幅が約23cmである、短く、平らな取付具270を備える。取付具270は材料を貫くシュートを最小限にした状態で頂点を含む頭部治療用等角点で患者を位置決めすることを容易にし、5度のピッチ及びロール調整を許可する。取付具270は治療セクション271及び治療端272,273を備える。
【0066】
図7Bを参照すれば、一実施態様において、ポッド取付具は長さが約48cmで幅が約23cmである、長く、平らな取付具280を備える。取付具280はいずれかの未治療ポッド取付トラック226,228から遠く離れたENT/肩領域を位置決めすることを容易にする。取付具280は治療セクション281及び治療端282,283を備える。
【0067】
図7Cを参照すれば、一実施態様において、ポッド取付具はシェル脚部又は頭部延伸取付具290を備え、これはポッドシェル212とほぼ等しい直径を持ち、その長さはおよそ67cmであり、これによりポッド200により身長75インチの患者に対処できる。
取付具290は患者の脚部が寄りかかるように配置されるエンドストップ又はキャップ294を備える。取付具290は治療セクション291、治療端292,293、未治療セクション295及び未治療端296,297を備える。
【0068】
図7Dを参照すれば、一実施態様において、このポッド取付具は長さが約40cmで幅が約36cmである平らな延伸部300を備える。延伸部300は治療セクション301、未治療セクション302,303,304、及び未治療端305,306を備える。ここでは、セクション301はヘッドレスト領域であり、一方、セクション302,303,304は固定装置取付領域を構成する。一実施態様において、延伸部300は以下にさらに詳細に記述されるようにいくつかの固定装置及び手技に適応する。例えば、一実施態様において、延伸部300は特定の寸法に作られ、任意の頭蓋環固定取り付けを容易にする。
【0069】
図7Eを参照すれば、一実施態様において、このポッド取付具は短いヘッドレスト延伸部310を備える。延伸部310は治療セクション311及び治療端312、313、314を備える。
【0070】
図7Fを参照すれば、一実施態様において、このポッド取付具はロボット末端延伸部320を備え、この延伸部は近位及び遠位延伸トラック226と228の間に伸び、軸6から約19cmの距離乃至その上方へこの軸6から約43cmの距離の間で始まり、これにより患者位置決め装置114との衝突を防止する、仮想された縦軸に対しておよそ45度の角度で面取りされる。延伸部320は治療セクション又は端を持たず、むしろ、セクション321、322,323及び端324,325,326はすべて未治療性である。
【0071】
図7Gを参照すれば、一実施態様において、このポッド取付具は伏臥位治療に適応するための伏臥位ヘッドレスト330を備える。この伏臥位ヘッドレストは患者が介在させることにより自己の顔を配置することができる対向穴331の範囲を定める。伏臥位ヘッドレスト330は未治療セクション332,333を備える。
【0072】
複数台の固定装置を患者ポッド200といっしょに用いることができる。図5を参照すれば、一実施態様において、モジュール式支持システム199は患者ポッド200及び固定装置を備え、さらにポッドシェル上面218に接着された、堅い、成型可能なフォームクレードル350を備える。クレードル350は選択された領域(例えば、背面、正面、又は側面)に適合し、又、放射線治療中に患者を位置決めした状態でしっかり保持するために、患者の身体に正確に適合する型352を備える。この堅いフォームクレードル350は「組立て方法及び放射線ビーム療法システムで使用される全身、患者位置決め及び再位置決め支持器」と称する米国特許第4,905,267号で採用されている方法に類似した方法で形成され、その開示内容は引用により完全に本明細書中に取り込まれている。
【0073】
一つの方法では、ACMM発泡剤325として知られる液状発泡剤(フロリダ州ルッツのソウルカンパニー株式会社又はオハイオ州アクロンのスミザーズメディカルプロダクツ株式会社から入手可能である)が堅いフォームクレードル350を形成するために用いられる。一つの方法では、この発泡剤はシェル上面218上に塗装される。この発泡剤がシェル内に導入された後、この発泡剤が室温まで冷却し患者身体用型352が成型されるまでおよそ15分間患者が動かずに横たわるシェル内で患者が位置決めされている。
【0074】
患者とポッドの間のフォームは機械的に固定され、このポッドは機械的に安定化され、このフォームが患者の治療と治療の間に又は治療中に患者を動かし又移動させるのを防止することができる。一つの方法ではこのフォームは極めて薄いプラスチック袋の内部に配置される。他の方法では、このポッドは低密度フォームシートで内張りされる。さらに他
の方法では、この極めて薄い使い捨てプラスチックシェルは発泡性化学薬品を使用する前にポッドの中へ装着される。さらにまた他の方法では、フォームとポッドの間にライニング材がなく、むしろポッド内面が高質アルミニウム型上に複合材料層により極めて滑らかに作られる。さらに他の方法では、ポッドの内面はテフロン(登録商標)又は他の未反応物質で被覆される。
【0075】
患者ポッド200と共に用いられ、いずれかの平らな延伸部を具備するか又は具備しない他の適当な固定装置は以下のものに限定されるわけではないが、これには咬合阻止器、マスク、真空袋、傘即ち頭蓋環、定位器Z−フレームボックス、三脚枕、フォーム差込工具、又は類似物、又はこれらの組み合わせが含まれる。好ましくは咬合阻止器の口金はいずれかの既存のMRI“ヘッドコイル”と互換性があるものとする。一実施態様において、好ましくは、いずれかの方向において30ポンドの力が加えられた場合に、咬合阻止器のフレームは治療される容積内のいずかの点の並進運動が約1.0mmを超える箇所まで及ばないように制限するものとする。他の実施態様において、咬合阻止器のフレームはいずれかの方向において約30ポンドの力が加えられた場合に角度が約1度以下になるように頭部の回転を制限する。一実施態様において、咬合阻止器のフレームは既存の真空システムを介してシェル212及び/又はいずれかのポッド取付具に搭載され、およそ1平方インチ当たり9ポンドの重量に備える。
【0076】
上記の多様なポッド取付具を参照すれば、好ましくはいずれかのポッド取付具の重量は約30ポンドを超えることがなく、これにより個人がポッド取付具をポッドシェル212まで搬送しこれに取り付けることはいっそう容易になる。好ましくは軸6の近傍で側面に搭載されたポッド取付具はロボットアーム又は位置決め装置に沿って角度を付けられ、外傷又は衝突の問題が解消されることとする。
【0077】
一実施態様において、このポッド200は患者の重心が軸6から37インチを越えることがないという条件の下で(いずれかの固定装置を除いて)400ポンドの分布患者荷重を支えることができる。好ましくはこのポッド200は(延伸部を具備するか又は具備することなく)300ポンドの末端荷重を支えて片持ち梁で支えられる端部216上に固定された個人に対処できるものとする。一実施態様において、このポッド200は延伸部上に配置される300lbfの患者荷重、50lbfの固定荷重、及び200lbfの縦荷重を支えることができる。
【0078】
一実施態様において、好ましくはこのポッド200は近位延伸トラック226における275ポンド(125kg)の水仮想荷重を支えることができるものとする。
【0079】
一実施態様において、このポッド200は、偏差が2mmに満たないという条件の下で、取付具上に配置される、およそ150ポンドまでの固定荷重及び患者荷重を支えることができる。人が延伸部上にすわるという状況では、好ましくは、延伸部は端部における300ポンドの荷重を支え、これにより過度に曲がることがない延伸部付きポッドがもたらされることとする。
【0080】
引き続いて図4A及び図4Bを参照すれば、一実施態様において、好ましくは、患者荷重による、片持ち梁で支えられた端部216における、シェル212の撓み量は約5mm以下であることとする。一実施態様において、かかる撓み量は固有の機械的誤差を補正する外部測定システムを用いて治療の間中打ち消すことができる。一実施態様において、ポッド200は安全装備としての傾斜計を伴い又は含み、位置決め装置114が水平線から約±5.5度より大きな角度の撓みを生じさせることがないようにする。傾斜計又は傾斜センサーはいずれかの装置、一般には、電気−機械装置を備え、これは重力を基準とする目標物の角度を検出する。
【0081】
好ましくは、300ポンド患者分布荷重及び50ポンド固定荷重による(延伸部を具備して又は具備することがない)遠位の、片持ち梁で支えられた端部における患者ポッド200の垂直撓み量は約4mmより小さいものとする。好ましくは、100ポンドの患者横荷重による(延伸部を具備して又は具備することがない)患者ポッド200の横撓み量は約0.5mmより小さいものであることとする。これらのタイプの垂直撓み及び横撓みは固有の機械的誤差を補正する外部測定システムを用いて治療の間中打ち消すことができることは明らかであろう。
【0082】
好ましくは、テーブル構成要素材料及び構成品は全て20年の期間を越えて年当たり52週間、週当たり5日間、およそ9,000ラドの平均日間放射線線量に耐えるものであることとする。好ましくは、機械装置及び構成品は全て相対湿度25乃至78%で、温度環境40乃至95度Fで正常に作動するものであることとする。
【0083】
好ましくは、ポッド200の治療面は勾配がいずれかの横の距離に沿って1mm当たり約0.5mmの水当量厚みよりも大きいという条件の下で厚みが変化しないものであることとする。好ましくはポッド200の治療領域端は約0.5mmの水当量厚みより薄いものであることとする。一実施態様において、好ましくは、ポッド200の治療厚みはおよそ2cmより少ない水当量を有するものであることとする。
【0084】
好ましくは、患者と放射線透過撮像レセプターの間に位置するポッド200の構成品はFDA CFR パート1020に準拠して約5mm以下のアルミニウム当量を有するものであることとする。
【0085】
引き続いて図4A及び図4Bを参照すれば、一実施態様において、ポッド200の形状及び寸法は68cmの物理的開口及び48cmの画像再構築径を備えたCTスキャナーを収容できるものである。好ましくはシェル212の処理面は厚みが変化しないこととする。ここでは、好ましくは、この治療領域端は約0.5mmの水当量厚みより薄いものであることとする。好ましい一実施態様において、シェル212の厚みは約2cmにすぎない水当量を有する。
【0086】
好ましくは、このポッド取付具はFDA CFR パート1020(100キロボルトのピークのポテンシャルでなされるX線測定により又アルミニウムのHVL値2.7mmを有するX線ビームを用いて決定されたコンプライアンス)に準拠して約5mmのアルミニウム当量を有することとする。本明細書で用いられるように、アルミニウム当量は問題とする材料と同様に、同一特異条件下で、同一放射線透過減衰をもたらすアルミニウム(タイプ1100合金)の厚みを意味する。好ましくは、モジュール式患者支持システム199はロボット端で65cm×60cm×60cmの水模型に適合することができるものであることは明らかであろう。
【0087】
一実施態様において、放射線治療システム100は外部測定システム又は外部視覚システムを備え、さらに視覚システムマーカーを備える。好ましくは、この視覚システムマーカーは例えば金属製のトラック226,228のような未治療領域に搭載されることとする。
【0088】
C.テーパー端形状を備えた患者ポッド
本明細書中に記述された一実施態様に従って、テーパー端形状を備えた患者ポッドが提供され、この構造により放射線ビーム通路内における水当量の急激な変化に関連するエッジ効果が緩和される。
【0089】
ある種の放射線治療プロトコールの場合、所定の強度の放射線ビームが横位置から送出される。例えば、患者ポッドよりも十分に高い横位置から放射線ビームが送出されるある具体例では、その放射線ビームは患者ポッドを貫いて送出されなくてもよい。放射線ビームが患者ポッドから十分に下方にある横位置から送出される他のシナリオでは、その放射線ビームは均一密度又は水当量のポッドシェル面を貫通することができる。しかしながら、放射線ビームが側縁(例えば、図4Aに描かれたポッドシェル212の側縁222又は224)の一方又は双方を横断する状況がある。ポッドシェル側縁上でポッドシェルと空隙の間における水当量の急激な移り変わり又は変化は不均一な又は予想が困難な強度を有する放射線ビームをもたらす。ビーム通路における水当量の急激な移り変わりという効果は本明細書中でエッジ効果と呼ばれる。
【0090】
患者ポッドの側縁のセクションはエッジ効果を緩和したり又は最小限にするために先細にされる。図4Cを参照すれば、一実施態様において、側縁222はゆるやかなテーパー端243及び縦方向に伸びるレール299を備える。このテーパー端243は下部端244に始まって外側へ先細になり上部端248で終わる内面245を備える。このテーパー端243はさらに下部端246に始まって内側へ先細になり上部端248で終わる外面247を備える。面245及び247は最終的に上部端248に集まる。端244,246の先細りの位置及び程度はいずれかのエッジ効果を緩和するのに必要とされるように変えることができる。
【0091】
図4Aから図4Cを参照すれば、テーパー端243は一般に約0.1mm水当量/mmから約5mm水当量/mmまでの勾配で先細にされ、これは固定装置の精度要件及び固定装置の再現性に依存する。一実施態様において、テーパー部243は約0.5mmの水当量/mmの勾配で先細にされる。
【0092】
ポッドの側縁は比較的薄く、これによりいずれかの側縁を貫通するか又はその近傍を通過するいずれかの治療用陽子線ビームに最小限の摂動を起こさせる。
【0093】
低密度レール299はテーパー端243を覆い、これにより鋭角端になりがちな上部端248から患者や放射線治療プロバイダーが保護される。図4Cに示される典型的なシェル側縁222を参照すれば、一般に側縁222はテーパー端243の形状に補足的な下位部及び概して丸みを付けられたり又は先がとがっていなかったりする上位部を備える。
【0094】
好ましくは、レール299は例えば微細球を伴うエポキシ、成形又は成型されたプラスチック(ナイロン、ウレタンなど)、ゴム、又は類似物、又はこれらの組み合わせのような低密度材料からなることとする。一実施態様において、このレール299はシェル212の勾配、0.5mm/mm水当量を維持する。
【0095】
一実施態様において、このレール299は例えばレール299を積極的に設置し保持するためにシェル212の内部に成型された連結受け部のようなこの分野で公知のいずれかの取付機構を介してシェルテーパー端243に取り外し可能に固定される。他の実施態様において、このレール299はいずれかの取付具の助けを借りずにテーパー端243上に位置するだけである。さらにまた他の実施態様において、このレール299は例えば微細球を伴うエポキシのようないずれかの公知の適正な取付機構を用いてテーパー端に恒久的に固定される。好ましくは、患者の安全と快感は各実施態様と結合されているものとする。いくつかの移行、方法、及び材料を利用して、例えば取り替えられるハンドレール又はしなやかな端のような、特異な勾配、安全水準及び患者の快感を達成することができる。
【0096】
D.モジュール式患者支持システムの目指すことができる容積
一般に目指すことができる容積は患者ポッド200及び直交する並進及び回転軸に沿っ
て患者ポッド200と接続する患者位置決め装置114の向きに依存しよう。
【0097】
図8はポッドシェル212のために(切り刻まれた)目指すことができる容積352,354の形状の概要部分断面側面図を提供する。ここで、このポッド200は位置決めポッドコネクタ234の上方にて約1.9cmの厚みを有する。93度にまで及ぶ偏揺角のために、ピッチ及びロールコネクションを具備するか又は具備しない条件の下で、(容積352及び354から作られる)目指すことができる容積はお概ね高さが40cmで幅が50cmである台形容積であり、これは軸6から約31.9cmの遠位高さまでテーブル伝いに約120cm伸びている。目指すことができる容積の底部が等角点にある場合、目指すことができる容積の半分は93度の頂点位置で利用しやすい。例えば、一実施態様において、93度の偏揺時の左頂点位置では、(ポッド200の端部において頭部を上向きにして位置決めされる)患者の頭部の左半分は最大ロボット到達範囲のため接近できない。ポッド200を右頂点へ位置決めすることはこの左半分への接近を可能にする。この問題点を解消するために患者自身を横移動させ位置決めしてよい。ここで、一般に頂点治療のための目指すことができる容積352,354はシェル面218から約3cm離れて開始する。
【0098】
本明細書中に記述された発明、及びその構成部分は陽子線治療、従来の放射線治療及び撮像システム(例えば、CT、PET、MRI、円錐状ビームなど)に限定されるものではないが、これらを含めて多くの治療システムの組み合わせで請求されることは理解できよう。
【0099】
本発明が好ましい実施態様により特別に図示され記述されてきたが、一方、本発明の範囲の限界はこれにより意図されていないことは理解できよう。いずれかの前記装置及び方法の特徴は、当業者に明らかであるように、その他のもので置換され又はその他のものに付加されてよい。本発明の範囲は本明細書に添付された請求の範囲によってのみ限定される。さらに本発明の原理を取り入れて本明細書中に記述される特別な実施態様の変形が当業者の心に浮かび、又、添付された請求の範囲内に既に存在することは理解できよう。
【技術分野】
【0001】
(政府からの支援)
本発明は、国防総省からの補助金DAMD17−99−1−9477とDAMD17−02−1−0205を受けて米国政府の支援の下で完成した。米国政府は確かに本発明に対して権利を有する。
【0002】
(関連出願)
本出願が優先権を主張するものは、「精密な患者の位置合わせとビーム療法システム」と称する2003年8月12日出願の米国仮出願第60/494,699号と、「精密な患者の位置合わせとビーム療法システム」と称する、2004年6月10日出願の米国仮出願第60/579,095号であり、両出願の内容は参照により完全に本明細書中に取り込まれている。
【0003】
本発明は放射線ビーム療法システムに関し、より詳細には患者位置決め装置を用いる放射線治療システムに関する。本発明は放射線ビーム療法システムに関し、より詳細にはモジュール式患者支持システムに関する。本発明は放射線ビーム療法システムに関し、より詳細には放射線ビーム通路内での水当量の突然の変化に関連するエッジ効果を緩和するテーパー端形状を有する患者ポッドに関する。
【背景技術】
【0004】
放射線療法システムは公知であり、広範囲の多様な症状に悩まされる患者に治療を提供するために用いられる。放射線療法は癌組織のような好ましくない組織の生長を阻止したり抑制したりするために一般的に用いられる。一定量の高エネルギー電磁放射線及び/又は高エネルギー粒子は、放射線が好ましくない組織に至る通路上の、放射線が通過する好ましい組織又は健康な組織への不慮の損傷を低減させつつ、好ましくない組織を損傷させるという目的をもってその好ましくない組織に向けられる。
【0005】
陽子線治療は、多様な症状に特に有効な治療法として出現した。陽子線治療において、正電荷陽子亜原子粒子は、加速され、密集束ビームにコリメートされ、患者体内の指定対象部位に誘導される。陽子は、患者組織に対して電磁放射線や低質量電子荷電粒子より横方向の衝突の分散がより小さく、従ってビーム軸に沿ったより正確な照準と供給が可能となる。また、患者組織に対する衝撃において、加速陽子は、相対的に低エネルギー転移で近位の組織を通過し、加速質量の運動エネルギ−のかなりの部分が患者体内の比較的狭い透過深さの範囲内に投入する特有のブラッグピークを示す。これは加速陽子粒子から指定対象部位を越えて位置する”ダウンレンジ”組織に加え対象部位と陽子線治療機の供給ノズルの間に介在する健康な組織へのエネルギ−の供給を減らす顕著な利点を提供する。特定の患者に対する効能とその症状にもよるが、治療上有効な陽子線ビームの供給は、介在する所望の/健康な組織の副次照射線量を減らしながら対象部位に供給する総計線量を実現するため好ましくは複数の治療部分において複数の方向からおこなうのが良い。
【0006】
ローマリンダ ユニヴァーシティ メディカル センターを譲受人とし、1989年9月26日発行のマルチステーション陽子線ビーム療法システムと称する、米国特許第4,870,287号には放射線ビーム療法システムが記述され実例を示して説明されている。ここで記述されたシステムにはいくつかの異なる治療ステーションが含まれ、各ステーションには固定された患者の周りの回転軸上に放射線ビーム移送及び送出システムを支え回転させるための保持台が含まれ、いくつかの異なる角度から患者体内の所定の目標たる等角点へ治療ビームが送出される。
【0007】
多くの放射線治療システム及びプロトコールを備えた類のない治療計画は先ず癌患者ごとに開発される。例えば、陽子線放射線治療のような、治療計画の開発に際して、一般に、患者は支持テーブル又は支持構造体の上に位置決めされ、その患者の身体の内部組織は例えばコンピュータ断層撮影法(CTスキャン)のような撮像技術でその画像が取り込まれる。撮像装置で作られた画像が分析され、放射線ビームの目標をはっきりさせる癌の位置が正確に突き止められる。多くの事例で、医師たちは、異なる規模、期間及び角度の放射線ビームを用いた、多数の異なる患者治療セッションを必要とする放射線治療計画を開発する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
仮に放射線治療及び、世の中で利用できる、比較的少ない数の高性能の(例えば、陽子線)治療設備及びシステムから恩恵を受けることができる癌患者の数が多くなれば、既存の設備での患者の処理数を増やすために放射線治療提供者が必要とされる。従って、自動又はロボット患者位置決め装置を用い、その結果として、患者処理数を増やす能力を有する放射線治療提供者を提供する、患者支持及び位置決めシステムが必要とされる。
【0009】
治療セッションごとに、治療計画の開発で利用される予備撮像又はスキャニングセッション中と厳密に同一位置で(即ち、元の位置で)患者を支えることが重要である。従って、放射線治療中に患者を元の位置にしっかりと固定し、引き続く放射線治療セッション中に同一の元の位置に患者を再固定するための、患者の位置決め及び再位置決め支持システムが必要とされる。患者の組織の異なる部分にいくつかの異なる角度から放射線を照射することを含むある種の応用にとって、患者位置決め及び再位置決め支持器が患者をしっかりと固定することは望ましい。
【0010】
いずれかの既知の患者にとっての放射線治療プロトコールは多くの要因に依存することがあり、例えば、その要因には患者の大きさ及び身体的特徴;放射線を照射される腫瘍の型、大きさ及び位置;及び治療プロトコールの積極性が含まれる。従って多数の治療プロトコールを適応させるために容易に調整できるモジュール式患者支持システムが必要とされる。
【0011】
ある種の治療プロトコールにとって、患者ポッドの少なくとも一方の側縁を横断する角度で放射線ビームを誘導することが必要である。従ってポッド側縁を通過するかその近傍を通過する放射線ビームの強度又はエネルギーの大きさにおいて不連続性を低減させるポッド端形状が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本明細書中に記述された一実施態様に従って、処方量の放射線を癌患者体内の目標位置に送出するための、及び患者処理数水準を増やすための放射線治療システムが提供される。この治療システムには、患者治療ステーション;ガントリ、放射線ビーム源;ノズル;モジュール式患者支持システム;患者位置決め装置;及び管理システムが含まれる。
【0013】
一実施態様において、放射線ビーム源には陽子線源及びビームとしての陽子線を加速させる加速器が含まれる。
【0014】
本明細書中に記述された一実施態様に従って、放射線治療中に定位置に癌患者を効率よく固定するためのモジュール式患者支持システムが提供される。この支持システムにはモジュール式患者ポッドが含まれる。
【0015】
本明細書中に記述された一実施態様に従って、放射線治療を受ける癌患者を片持ち梁で支えるモジュール式患者ポッドが提供される。このポッドには縦方向に伸びる支持シェル;近位延伸トラック;遠位延伸トラック;及び位置決めポッドコネクタが含まれる。
【0016】
一実施態様において、この支持シェルは例えば炭素繊維のような治療材料から作られる。
【0017】
一実施態様において、遠位ポッド取付具は遠位延伸トラックと係合されている。他の実施態様において、近位ポッド取付具は近位延伸トラックと係合されている。
【0018】
本明細書中に記述された一実施態様に従って、いずれかのエッジ効果を緩和するように構成されるモジュール式患者ポッドが提供される。このポッドには第一の側縁と第二の側縁を有する支持シェルが含まれる。
【0019】
一実施態様において、第一の側縁には、例えば微細球を伴うエポキシのような第一低密度材料から作られる、第一テーパー端及び第一レールが含まれる。他の実施態様において、第二の側縁には、第二低密度材料から作られる、第二テーパー端及び第二レールが含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】ロボット患者位置決めシステムを用いる放射線治療システムの一実施態様の概念図である。
【図2】ロボット患者位置決めシステムを用いる放射線治療システムの他の実施態様の概念図である。
【図3】ロボット患者位置決め装置の一実施態様の等角側面図である。
【図4A】モジュール式患者ポッドの一実施態様の等角高架側面図である。
【図4B】図4Aの患者ポッドの横断断面図である。
【図4C】図4Bのポッドシェル側縁の、近接撮影された断面図である。
【図5】モジュール式患者支持システムの一実施態様の横断断面図である。
【図6】位置決めポッドコネクタの一実施態様の等角高架側面図である。
【図7A】短く、平らな取付具の一実施態様の等角高架側面図である。
【図7B】長く、平らな取付具の一実施態様の等角高架側面図である。
【図7C】シェル脚部又は頭部延伸部の一実施態様の等角高架側面図である。
【図7D】固定装置を適応させる平らな延伸部の一実施例の等角高架側面図である。
【図7E】短いヘッドレスト延伸部の一実施態様の等角高架側面図である。
【図7F】位置決め装置末端延伸部の一実施態様の等角高架側面図である。
【図7G】伏臥位ヘッドレストの一実施態様の等角高架側面図である。
【図8】モジュール式患者支持システム及び対応する、ねらいを定めることのできる容量の一実施態様の概略部分断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
A. ロボット患者位置決め装置を有する放射線治療システム
本明細書中に記述された一実施態様に従って、患者位置決め装置を有する放射線治療システムが提供される。
【0022】
これから図面を参照するが、そこでは最初から最後まで同一参照表記は同一部分を指すこととする。図1は放射線治療システム100の一実施態様を概略的に説明する。放射線治療システム100は、患者を基準にして少なくとも一つの角度又は方向から、悪性の又は他の症状の治療を求める癌患者108の体内の目標領域に治療用放射線線量を送出するように設計されている。
【0023】
一実施態様において、放射線治療システム100は患者体内の目標領域に治療用線量の陽子線ビームを送出するように設計されている。このようなシステム100の構造及び操作に関する他の細目は「マルチステーション陽子線ビーム療法システム」と称する米国特許第4,870,287号に見ることができ、その内容は引用により完全に本明細書中に取り込まれている。他の実施態様において、そのシステム100は、いずれかの他の臨床上適正な形態のこの分野で公知の放射線、例えば、X線、ガンマ線、ハドロン、ニュートロンなどの、この分野で公知の放射線を送出するように設計されている。
【0024】
通常放射線治療システム100には患者治療ステーション及びガントリ102が含まれ、一般にそのガントリには放射線治療システム100の他の構成要素を取り付け及び支持するための半球形の又は円錐台形の支持枠が含まれる。ガントリ102の構造及び操作に関する他の細目は米国特許第4,917,344号及び米国特許第5,039,057号に見ることができ、両者の発明の名称はローラーで支えられた、モジュール式等角ガントリ及び組立て方法であり、両者の内容は引用により完全に本明細書中に取り込まれている。
【0025】
図1を引き続き参照すれば、一実施態様において、そのシステム100はさらにガントリ102で取り付けられ支持されるノズル110を備え、そこではノズル110はかなり正確にガントリ等角点120の周りを回転することができる。そのシステム100はさらに加速陽子線のビームのような治療用ビームを送出する放射線源106を備え、その陽子
線はノズル110の端部に配置された開口部110を通過し具体化される。ビームの通路は数字146で示される。好ましくは、開口部は治療用放射線療法の患者特有の処方に合わせて配置されることとする。
【0026】
図1を引き続き参照すれば、そのシステム100はさらに少なくとも1台の撮像素子112を備え、この実施態様において、その素子は伸長位置と収縮位置の間でガントリ102を基準にして伸縮可能である。ここでは、撮像素子112が伸長位置に示されている。一実施態様において、この撮像素子112は固体状アモルファスシリコンX線撮像素子を備え、その素子は患者の身体を通過する入射X線放射線からの画像情報のような画像情報を発生させることができる。このシステム100はさらに適当なX線放射線を選択的に放射するX線源130を備え、そのX線放射線は撮像素子112によって介在する材料のX線撮影画像を発生させるように介在する患者組織を通過する。撮像素子112の伸縮可能な性質から提供される利点は、放射線源106からの潜在的に有害な放出物の通路の外へ撮像素子112を配置し、これにより撮像素子112に提供される遮蔽材の必要性を低減することと同様に、撮像素子112が不要になり、これによりガントリ102の囲いの内部に空隙を増やす場合に放射線源106のビーム通路から撮像素子スクリーンを引っ込めることである。この実施態様において、撮像素子及び放射線源130は直交方向に配列され、2つの方向からの、患者の放射線透過画像が提供される。
【0027】
このシステム100はさらに患者位置決め装置114及び患者ポッド200を備え、このポッドは患者位置決め装置114の遠位の作用端部116にある位置決めポッドコネクタ234に取り付けられている。患者位置決め装置114は、適当な動作指令を受け取った際に、多数本の並進軸及び回転軸で患者ポッド200を位置するように適合させられ、好ましくは完全に自由度が6度の患者ポッド200の配置に向けての動きを提供するために、3本の直交回転軸(例えば、ピッチ軸、横転軸、及び偏揺軸)と同様に3本の直交並進軸(例えば、縦軸、垂直軸、及び側軸)で患者ポッド200を位置決めすることができるものとする。
【0028】
かなり多数の方法で患者を位置決めすることができ、その方法は以下のものに限定されるものではないが、その方法には自動式のもの、半自動式のもの(例えば、手作業を伴うもの)、位置決め装置コントローラに直接接続して制御される手動式のもの、又は完全手動式のもの(例えば、手動式回転腕を用いて制動装置を解除し各装置軸を移動させるもの)が含まれることは理解できよう。
【0029】
図2及び図3を参照すれば、一実施態様において、患者位置決め装置114は例えばKUKA KR500−L420ロボットのようなロボットアーム150を備える。一実施態様において、KUKA KR500−L420ロボットは回転台132の下の凹みに設置される台座上に安全に搭載され、台132の切欠部134を貫いて上方へ伸びる。一般に台132は治療領域床130と同一平面を成す。概してロボットアーム150は6度の自由度で動くことができ、ガントリ102内で可能性がある治療位置をすべて実現することを必要とする範囲を有する。ロボットアーム150は台118及び遠位の作用端部116の間に伸びる。
【0030】
ロボットアーム150の遠位端部116にある旋回継手152はその遠位端部に接続されたいずれかの装置を時計方向に又は反時計方向に回転させることができる。概してその旋回継手152は位置決めポッドコネクタ234と接続し、そのコネクタはひいては患者ポッド200と連結する。ロボットアームセグメント162及びいずれかの遠位に配置されたアーム構成要素は旋回継手154を中心に回転することができる。ロボットアームセグメント164及びいずれかの遠位に配置されたアーム構成要素は旋回継手156を中心に回転することができる。ロボットアームセグメント166及びいずれかの遠位に配置さ
れたアーム構成要素は旋回継手158を中心に回転することができる。ロボットアームセグメント168及びいずれかの遠位に配置されたアーム構成要素は旋回継手159を中心に回転することができる。ロボットアームセグメント170及びいずれかの遠位に配置されたアーム構成要素は旋回継手160を中心に回転することができる。
【0031】
図2を参照すれば、一実施例において、この放射線治療システム100は撮像素子112を備え、その素子は収縮位置又は収縮配置にあり、このように図示されていない。患者位置決め装置114は回転台132の下の凹みに設置される台座上に搭載される。一般にその台132は治療領域床130と同一平面を成し、概して位置決め装置114の台118で位置決め装置114の回転運動に従う。位置決め装置114のロボットアーム150は台132の切欠部134を貫いて上方へ伸びる。図2及び図3に示されるように、一実施例において、台132は時計方向に又は反時計方向に回転し、旋回継手160を中心とした回転運動を行う。
【0032】
図2及び図5を参照すれば、一実施態様において、放射線治療システム100は患者位置決め装置114と接続するモジュール式患者支持システム199を備える。さらに詳しくは、ロボットアーム150の端部116は以下にさらに詳細に記述されるように患者ポッド200と接続する。
【0033】
このシステム100は制御システムを通じて定値制御及びオペレーター制御のもとにあり、そのシステムは一般にローマリンダ ユニヴァーシティ メディカル センターの200MeVシンクロトロン設備に用いられるシステムにならって作られる。この制御システムからオペレーターに提供されるものは患者位置決め装置114の並進かつ回転位置と同様にガントリ102の回転位置を制御するための制御可能なシステムである。この制御システムはシステム100全体にタイミングパルスを提供する。
【0034】
一実施態様において、この制御システムはローカルエリアネットワーク(LAN)規格を用いて相互に及びワークステーションコンピュータにネットワーク接続された、多数の、分散された、マイクロプロセッサベースのシステムを備える。このLANはイーサーネットベースのプロトコールである。このワークステーションはプログラムビームエネルギー制御と同様に治療システムで治療ステーションからのビームリクエストの集中管理を遂行する。
【0035】
放射線治療システムの構造及び操作に関する他の細目は正式に譲渡された特許出願、すなわち「放射線治療環境における経路計画及び機器移動のための衝突防止」と称する同時出願(出願番号は不明、代理人名簿番号、ロマール134A)、及び(「外部測定を伴う患者位置合わせシステム及び放射線治療システムのための対象物調整」と称する同時出願(出願番号は不明、代理人名簿番号、ロマール135A)に見ることができる。両出願の内容は引用により完全に本明細書の開示内容に取り込まれている。
【0036】
B. モジュール式患者支持システム
本明細書中に記述された一実施態様に従って、一般にモジュール式患者ポッド及び固定装置を備えるモジュール式患者支持システムが提供される。
【0037】
図4A及び図4Bでは放射線治療用モジュール式患者ポッド200の一実施態様が示される。このポッド200は縦方向に伸長するシェル構造体212を備える。今ここにある実施態様において、位置決めポッドコネクタ234はシェル構造体212の中央からずれており、これにより患者位置決め装置114の作用端部116を基準にして片持ち梁で支えられるポッド200となる。位置決め装置114を基準にして片持ち梁で支えられるポッド200は都合の良いことに放射線治療システム100内で患者を位置決めするために
より多くの方法を実現可能にする。片持ち梁で支えられるポッド200は都合の良いことにポッド200及び/又は位置決め装置114のようなシステム100の他の構成要素との衝突の機会を低減するか又はシステム100内部で調整される。片持ち梁で支えられるポッド200はさらにポッド200の内部へ患者を入れたりその内部に配置したりすることを容易にすることができる。(図示されていない)他の実施態様において、コネクタ234は、ポッド200の縦軸に沿って、シェル構造体212の中央に又は中央近傍に配置される。
【0038】
ポッド200、そのいずれかの構成要素、及びいずれかの延伸部又はそれに対する取付具はポッド200の断面に関連して本明細書中で記述され、そのポッドは位置決めポッドコネクタ234を介して患者位置決め装置114と接続する。ポッド200の仮想縦軸に沿って、コネクタ234により近づいているいずれかの構成要素、延伸部、及び取付具はここでは基部に近いことを意味し、一方、ポッドの反対端の方へ配置されるいずれかの構成要素、延伸部、及び取付具はここでは基部から離れていることを意味する。
【0039】
この縦方向へ伸長するシェル構造体212はシェル近位端214及びシェル遠位端216の間に伸びる。このシェル212は横方向に凹の上面218及び横方向に凹の底面220を有する。このシェル212は上方に伸長する第一の側縁222及び上方に伸長する第二の側縁224の間を横断するように伸びる。
【0040】
図4A及び図4Bを参照すれば、一実施態様において、この支持シェル212は放射線治療の際に患者を片持ち梁で支える支持器として作用する半円筒形構造体である。この点では、以下にさらに詳細に記述されるように、シェル212の半円筒形状は、例えば泡差込工具又は真空袋のような固定装置と共に用いられた場合、強化身体支持器及び首尾一貫した位置合わせをもたらすことを容易にする。ポッド200の湾曲形状はさらに患者の近傍に配置されるビーム整形装置に機会を与える。
【0041】
患者を多くの位置で患者ポッド200内に配置することができる。一つの方法では、患者がシェル遠位端216の近傍に頭部を置きシェル近位端214の近傍に脚部を置くという条件の下で仰臥位でポッド200内に配置される場合、側縁222は患者の右手側にあり、一方、側縁224は患者の左手側にある。他の方法では、患者がシェル遠位端216の近傍に頭部を置きシェル近位端214の近傍に脚部を置くという条件の下で伏臥位でポッド200内に配置される場合、側縁222は患者の左手側にあり、一方、側縁224は患者の右手側にある。さらに他の方法では、患者がシェル遠位端216の近傍に脚部を置きシェル近位端214の近傍に頭部を置くという条件の下で仰臥位でポッド200内に配置される場合、側縁222は患者の左手側にあり、一方、側縁224は患者の右手側にある。
【0042】
図4A及び図4Bを参照すれば、一実施態様において、ポッド200は取付具又は延伸トラック226及び228を備え、これらはそれぞれシェル端214及び216に配置される。延伸トラック226及び228は例えば複数の直線的に配列される開口230、232のような既知の汎用取付機構を備えることができ、これらの開口はシェル212の上面及び底面218,220の間の連通を容易にする。一実施態様において、少なくとも一つのモジュール式延伸部が開口230、232を介して、すり割り付き又はねじ込み式の取り外しのきくピン又はボルトにより、取付トラック226,228に調整可能に固定される。
【0043】
患者の頭部領域近傍での治療を含む一つの使用法において、頭部がシェル端216越しにトラック228に付けられたヘッドレスト延伸部310上にあるという条件の下で患者が位置決めされる。患者の肺領域の治療を含む他の使用法において、患者は肩がトラック
228に沿うという条件の下で頭部から先に(例えば、シェル端216の近傍に頭部が位置する)位置決めされ、その結果として放射線ビームはシェル212を貫通し肺領域に入る。患者の肺領域の治療を含むさらに他の使用法において、患者は肩がトラック228越しにあるという条件の下で頭部から先に位置決めされ、その結果としてシェル212の外側で治療が行われる。
【0044】
本明細書中で用いられるように、一般にネガティブピッチはポッド200遠位端部の下降又はディッピングを指し、一方、ポジティブピッチは概してポッド200遠位端部の上昇を指す。一般にネガティブロールはポッド200の半時計方向回転を意味し、一方、ポジティブロールは概してポッド200の時計方向回転を意味する。一般にネガティブ偏揺は軸6を中心とするポッド200の左方への回転を意味し、一方、ポジティブ偏揺は概して軸6を中心とするポッド200の右方への回転を意味する。
【0045】
好ましくはシェル212が十分に長く又幅の広いものであり、例えば仰臥位又は伏臥位のいずれかの姿勢で横たわる患者の身体の大部分又は全てが受け入れられるものとする。取付具を具備しないままの、軸6から遠位端216に至る構造シェル212は一般に約75cm乃至約175cmの範囲にあり、これはしばしば約80cm乃至約125cmの範囲にあり、対象とする患者アプリケーション特有の大きさ(例えば、小児科寸法)及び/又はガントリ寸法に依存する。一実施態様において、軸6から遠位端216に至るシェル212の長さは90cm級である。本明細書中で用いられるように、軸6は位置決め装置114の軸を意味し、この軸は位置決め装置114の終段偏揺軸(例えば、手関節)にて取付具を貫いて垂直方向へ伸び(例えば、図2及び図3に示される実施態様において、この手関節はロボットアーム150の遠位端116の旋回継手152を備える)、これにより患者ポッド200の偏揺回転が許される。
【0046】
一般にシェル212の全縦長(例えば、シェル近位端214及びシェル遠位端216の間の長さ)は約90cm乃至約235cmの範囲であり、しばしば約95cm乃至約175cmの範囲である。一実施態様において、シェル212の全縦長は約106cmである。一般にシェル212の外径は約35cm乃至約65cmの範囲であり、しばしば約35cm乃至55cmの範囲であり、対象とする患者への適用での特有の大きさ(例えば、小児科寸法、大柄な患者寸法、など)及び/又は利用できる治療エネルギーに依存する。一実施態様において、シェル212の外径は約46cmである。
【0047】
一実施態様において、シェル212はシェル212を介した放射線ビーム治療を容易にする非金属(例えば、炭素繊維)複合材構造を有する。多数のこの分野で公知の画像シミュレータ(例えば、コンピュータ断層撮影法(CT)、ポジトロン射出断層撮影法(PET)、磁気共鳴法(MRJ)、円錐ビーム法、など)が用いられ、シェル212の治療材料の使途を説明している。本明細書中で用いられるように、一般に用語“治療”は放射線ビームが表面を貫いて照射されるのを許容する材料又は表面の物性を意味し、これにより所定の放射線線量を放射線源から、表面を貫通させて、その表面の他端の患者体内の目標領域の中へ送出することができる。一般に治療特性は水の分子当量に換算して測定されたり又は定量化されたりする。本明細書中で用いられるように、一般に用語“未治療”は放射線ビームが表面を貫いて照射されるのを許容しない材料又は表面の物性を意味する。概して非金属材料から作られるシェル212の領域は治療面又は治療帯を意味する。
【0048】
本明細書中で用いられているように、一般に水当量は水に対する陽子線ビーム範囲上の吸収材料の効果を意味する。本明細書中に記述される治療断面、治療帯、又は治療面に関連して、水当量は貫通されうる面に垂直である放射線ビームについて測定される。
【0049】
一実施態様において、図4Cに示されるように、シェル212は構造表皮242の中に
封じ込められたコア材料240を備える。コア材料240は例えば構造フォームなどのこの分野で公知のいずれかの適当な低密度材料を備える。構造表皮242は例えば炭素繊維、スペクトル繊維などのこの分野で公知のいずれかの適当な堅い軽量材料を備える。
【0050】
2004年6月25日出願の「位置決め及び固定のための方法及び装置」と称する米国仮出願第60/583,063号の開示内容は引用により完全に本明細書中に取り込まれており、シェル212が構成されるいくつかの適当な材料が開示されている。
【0051】
一実施態様において、シェル212はポリ塩化ビニル(PVC)などから作られる。一実施態様において、シェル212はガラス繊維などから作られる。さらに他の実施態様において、シェル212はいずれかの公知の適当な低密度フォームなどからなる。
【0052】
一実施態様において、シェル212はエポキシ樹脂のコア及び低密度ポリスチレンフォーム(スチロフォーム(登録商標))のコア内に埋め込まれたポリエチレン繊維からなる複合材料皮から構成される。シェル212を製造する際に用いることができる材料のリストが以下の表1に示されている。
【0053】
【表1】
一実施態様において、炭素繊維複合材料では、成層の織り層はいずれも厚さが約0.25mmである。一実施態様において、複合材料成層は約50重量%の繊維及び50重量%の樹脂からなる。一実施態様において、複合材料の繊維含量は最大になり、一方、樹脂含量は最小になる。一実施態様において、ポッド200のシェル212は複合材料「スペクトラ」から作られ、その「スペクトラ」はヴァージニア州コロニアルハイツのハネウエルパフォーマンスファイバーズ社から入手可能である。
【0054】
一実施態様において、延伸トラック226,228のうち少なくとも1本は例えばアルミニウムのようなこの分野で公知のいずれかの適当な金属から作られる。しかしながら金属を使用すれば未治療帯又は未治療領域が生じる。従って、一般に金属構造の使用は未治療面を最小にするために制限される。他の実施態様において、延伸トラック226,228のうち少なくとも1本は例えば炭素複合材料のようなこの分野で公知の適当な非金属材料から作られる。
【0055】
延伸トラック226,228は都合の良いことにポッド200のシェル端214及び216に位置決めされ、これによりポッド200の支持シェル212を介した放射線治療が容易になる。さらにシェル端214,216での延伸トラック226,228の位置決めは以下でさらに詳細に説明されるように少なくとも1本のポッド延伸部のポッド200への取り付けを容易にする。
【0056】
一実施態様において、延伸トラック226,228は一定の治療姿勢に合うように丸みをおび、患者はトラック226又は228との接触の結果として苦痛又は不快感を体験することがない。好ましくは延伸トラック226,228がシェル212の内面218とほとんど同一平面を成すインターフェイス延伸部を備える。一実施態様において、内面218及びトラックインターフェイス延伸部の間の最大ステップ、すなわち最大垂直距離は約1cmである。
【0057】
延伸トラック226,228のおかげで少なくとも1本のポッド延伸部がポッド200に連結され、設計全体にモジュール性が提供される。例えば、トラック228は多様な頭部延伸部に適応し、2π頭部及び頸部治療に適応する。ポッド要素及び任意のポッド延伸部のモジュール性は、例えば頭を先にした治療姿勢及び足を先にした治療姿勢の双方のようなポッド220内部の多様な患者姿勢に適応する。ポッド200はさらに患者があおむけに、横向きで、うつぶせで、又はこれらのいずれかを変化させて横たわる場合はその治療姿勢に適応する。ポッド200内部における患者の実際の姿勢が例えば医師及び/又は放射線物理学者により決定される放射線治療プロトコール、及び患者の身体的特徴のような様々な要因に依存することは明らかであろう。
【0058】
図4A、図4B及び図6を参照すれば、一実施態様において、位置決めポッドコネクタ234は堅い台部材であり、この部材により例えば位置決め装置114の遠位の作用端部116を介していずれかの患者位置決め装置114への連結が許容される。コネクタ234はポッド200を患者位置決め装置114に接続させて取り付けるための位置決め装置インターフェイス挟持板236を備える。この挟持板236はボルト又は他の適当な固定装置を受け入れるために円形パターンで配列された複数の雌型端238を備え、これによりポッド200は位置決め装置114へ固く固定される。挟持板236のこの特有の実施態様はKUKA KR500−L420ロボット位置決め装置上で利用できるボルトパターンを適応させるのに十分に適している。
【0059】
一実施態様において、コネクタ236(例えば、挟持板)はおよそ1.75インチの高さHを有するシェル212の中へ突き出ており、ロボット接続上でおよそ12インチのシェル212に沿って縦方向へLだけ伸び、およそ11インチの幅Wを有する。(図示されていない)他の実施態様において、このコネクタはシェル212の中へ組み込まれ、シェル212の内面の等高線にじかにくっついている。
【0060】
ポッド200及びそれに搭載されたいずれかの定着具は、偏揺治療角度の間中位置決め装置114との衝突が回避されるように配置されるべきことは明らかであろう。シェル212の内面218とコネクタ234の間の距離は通常約5mm乃至約35mmの範囲内にあり、しばしば約12mm乃至約25mmの範囲内にある。一実施態様において、シェル212の内面218とコネクタ234の間の距離は約19mmである。
【0061】
患者ポッド200は少なくとも1個の取付具、延伸部、アダプタープレート、又は類似物、又はこれらの組み合わせ(一括して“ポッド取付具”)を備える。図4Aに示されるように、一つの実施態様において、ポッド200は片持ち梁で支えられたヘッドレスト延伸部310及びロボット端部脚受け延伸部320を備える。図2に示されるように、他の実施態様において、ポッド200は仰臥位頭部延伸部258及びロボット末端延伸部32
0を備える。
【0062】
図7Aから図7Gを参照すれば、少なくとも1個のポッド取付具はポッド延伸トラック226,228の少なくとも一方に取り外しのきくように取り付けることができる。一つの実施態様において、ポッド取付具をポッド200の延伸トラック226,228に取り付けたり又はそこから移動したりするための工具は不要である。好ましくは、ポッド取付具は治療材料及び治療面を備えることとする。
【0063】
これらのポッド取付具が水当量厚みの点で変動する治療面を持つことができる場合、好ましいのはその治療面が水当量厚みの点でいずれかの横の距離に沿って約0.5mm水当量厚み/mmよりも大きな勾配で変動しないことである。勾配の限界は空隙や材料面の不備のような一般的な製造上の許容範囲と同様にデザインのエッジ効果、厚みの変化及び材料の変遷上の問題点を明らかにする。一実施態様において、その取付具は約2cmを超えない水当量を有する。一実施態様において、シェル212は搭載された取付トラック226又は228のおかげで約25mmの幅の未治療領域を有する。トラック226,228が例えば炭素繊維のような非金属材料から作られる実施態様ではトラック226,228が治療帯を提供し、一方、トラック226,228が金属製である実施態様では、そのトラックが未治療帯であることは明らかであろう。シェル212に関しては、ある種のポッド取付具はトラック226,228のおかげで約25mmの幅にまで及ぶ未治療領域からなってもよい。
【0064】
図7Aから図7Gを参照すれば、ポッド取付具270、280、290、300、310、320、330はいずれも延伸トラック226及び/又は228に接続し連結する延伸トラック係合端部262を備える。このトラック係合端部262は上部リップ264及び下部リップ266を備え、そこではリップ264と266の間隙は延伸トラック226及び228の内径と外径の間の距離にほぼ等しい。この上部リップ及び下部リップ264及び266はそれぞれ複数個の開口268を備え、そこでは上部リップの開口はそれぞれ半円筒形シェル212の中心から外側へ伸びる仮想半径に沿って対応する下部リップの開口と整列させられる。一実施態様において、開口268はトラック係合端部262の中の位置に穴を開けたり成形したりして作られ、これによりトラック係合端部262がトラック226又は228と係合する場合、半円筒形シェル212の中心から外側へ伸びる仮想半径に沿って延伸トラック開口230又は232と整列させられる。一実施態様において、取付具270は放射状に配列された開口230,232,268を介してすり割り付き又はねじ込み式の取り外しのきくピン、ボルト、又はこれらの同等物により取付トラック226又は228に調整可能に固定される。
【0065】
図7Aを参照すれば、一実施態様において、ポッド取付具は長さが約30cmで幅が約23cmである、短く、平らな取付具270を備える。取付具270は材料を貫くシュートを最小限にした状態で頂点を含む頭部治療用等角点で患者を位置決めすることを容易にし、5度のピッチ及びロール調整を許可する。取付具270は治療セクション271及び治療端272,273を備える。
【0066】
図7Bを参照すれば、一実施態様において、ポッド取付具は長さが約48cmで幅が約23cmである、長く、平らな取付具280を備える。取付具280はいずれかの未治療ポッド取付トラック226,228から遠く離れたENT/肩領域を位置決めすることを容易にする。取付具280は治療セクション281及び治療端282,283を備える。
【0067】
図7Cを参照すれば、一実施態様において、ポッド取付具はシェル脚部又は頭部延伸取付具290を備え、これはポッドシェル212とほぼ等しい直径を持ち、その長さはおよそ67cmであり、これによりポッド200により身長75インチの患者に対処できる。
取付具290は患者の脚部が寄りかかるように配置されるエンドストップ又はキャップ294を備える。取付具290は治療セクション291、治療端292,293、未治療セクション295及び未治療端296,297を備える。
【0068】
図7Dを参照すれば、一実施態様において、このポッド取付具は長さが約40cmで幅が約36cmである平らな延伸部300を備える。延伸部300は治療セクション301、未治療セクション302,303,304、及び未治療端305,306を備える。ここでは、セクション301はヘッドレスト領域であり、一方、セクション302,303,304は固定装置取付領域を構成する。一実施態様において、延伸部300は以下にさらに詳細に記述されるようにいくつかの固定装置及び手技に適応する。例えば、一実施態様において、延伸部300は特定の寸法に作られ、任意の頭蓋環固定取り付けを容易にする。
【0069】
図7Eを参照すれば、一実施態様において、このポッド取付具は短いヘッドレスト延伸部310を備える。延伸部310は治療セクション311及び治療端312、313、314を備える。
【0070】
図7Fを参照すれば、一実施態様において、このポッド取付具はロボット末端延伸部320を備え、この延伸部は近位及び遠位延伸トラック226と228の間に伸び、軸6から約19cmの距離乃至その上方へこの軸6から約43cmの距離の間で始まり、これにより患者位置決め装置114との衝突を防止する、仮想された縦軸に対しておよそ45度の角度で面取りされる。延伸部320は治療セクション又は端を持たず、むしろ、セクション321、322,323及び端324,325,326はすべて未治療性である。
【0071】
図7Gを参照すれば、一実施態様において、このポッド取付具は伏臥位治療に適応するための伏臥位ヘッドレスト330を備える。この伏臥位ヘッドレストは患者が介在させることにより自己の顔を配置することができる対向穴331の範囲を定める。伏臥位ヘッドレスト330は未治療セクション332,333を備える。
【0072】
複数台の固定装置を患者ポッド200といっしょに用いることができる。図5を参照すれば、一実施態様において、モジュール式支持システム199は患者ポッド200及び固定装置を備え、さらにポッドシェル上面218に接着された、堅い、成型可能なフォームクレードル350を備える。クレードル350は選択された領域(例えば、背面、正面、又は側面)に適合し、又、放射線治療中に患者を位置決めした状態でしっかり保持するために、患者の身体に正確に適合する型352を備える。この堅いフォームクレードル350は「組立て方法及び放射線ビーム療法システムで使用される全身、患者位置決め及び再位置決め支持器」と称する米国特許第4,905,267号で採用されている方法に類似した方法で形成され、その開示内容は引用により完全に本明細書中に取り込まれている。
【0073】
一つの方法では、ACMM発泡剤325として知られる液状発泡剤(フロリダ州ルッツのソウルカンパニー株式会社又はオハイオ州アクロンのスミザーズメディカルプロダクツ株式会社から入手可能である)が堅いフォームクレードル350を形成するために用いられる。一つの方法では、この発泡剤はシェル上面218上に塗装される。この発泡剤がシェル内に導入された後、この発泡剤が室温まで冷却し患者身体用型352が成型されるまでおよそ15分間患者が動かずに横たわるシェル内で患者が位置決めされている。
【0074】
患者とポッドの間のフォームは機械的に固定され、このポッドは機械的に安定化され、このフォームが患者の治療と治療の間に又は治療中に患者を動かし又移動させるのを防止することができる。一つの方法ではこのフォームは極めて薄いプラスチック袋の内部に配置される。他の方法では、このポッドは低密度フォームシートで内張りされる。さらに他
の方法では、この極めて薄い使い捨てプラスチックシェルは発泡性化学薬品を使用する前にポッドの中へ装着される。さらにまた他の方法では、フォームとポッドの間にライニング材がなく、むしろポッド内面が高質アルミニウム型上に複合材料層により極めて滑らかに作られる。さらに他の方法では、ポッドの内面はテフロン(登録商標)又は他の未反応物質で被覆される。
【0075】
患者ポッド200と共に用いられ、いずれかの平らな延伸部を具備するか又は具備しない他の適当な固定装置は以下のものに限定されるわけではないが、これには咬合阻止器、マスク、真空袋、傘即ち頭蓋環、定位器Z−フレームボックス、三脚枕、フォーム差込工具、又は類似物、又はこれらの組み合わせが含まれる。好ましくは咬合阻止器の口金はいずれかの既存のMRI“ヘッドコイル”と互換性があるものとする。一実施態様において、好ましくは、いずれかの方向において30ポンドの力が加えられた場合に、咬合阻止器のフレームは治療される容積内のいずかの点の並進運動が約1.0mmを超える箇所まで及ばないように制限するものとする。他の実施態様において、咬合阻止器のフレームはいずれかの方向において約30ポンドの力が加えられた場合に角度が約1度以下になるように頭部の回転を制限する。一実施態様において、咬合阻止器のフレームは既存の真空システムを介してシェル212及び/又はいずれかのポッド取付具に搭載され、およそ1平方インチ当たり9ポンドの重量に備える。
【0076】
上記の多様なポッド取付具を参照すれば、好ましくはいずれかのポッド取付具の重量は約30ポンドを超えることがなく、これにより個人がポッド取付具をポッドシェル212まで搬送しこれに取り付けることはいっそう容易になる。好ましくは軸6の近傍で側面に搭載されたポッド取付具はロボットアーム又は位置決め装置に沿って角度を付けられ、外傷又は衝突の問題が解消されることとする。
【0077】
一実施態様において、このポッド200は患者の重心が軸6から37インチを越えることがないという条件の下で(いずれかの固定装置を除いて)400ポンドの分布患者荷重を支えることができる。好ましくはこのポッド200は(延伸部を具備するか又は具備することなく)300ポンドの末端荷重を支えて片持ち梁で支えられる端部216上に固定された個人に対処できるものとする。一実施態様において、このポッド200は延伸部上に配置される300lbfの患者荷重、50lbfの固定荷重、及び200lbfの縦荷重を支えることができる。
【0078】
一実施態様において、好ましくはこのポッド200は近位延伸トラック226における275ポンド(125kg)の水仮想荷重を支えることができるものとする。
【0079】
一実施態様において、このポッド200は、偏差が2mmに満たないという条件の下で、取付具上に配置される、およそ150ポンドまでの固定荷重及び患者荷重を支えることができる。人が延伸部上にすわるという状況では、好ましくは、延伸部は端部における300ポンドの荷重を支え、これにより過度に曲がることがない延伸部付きポッドがもたらされることとする。
【0080】
引き続いて図4A及び図4Bを参照すれば、一実施態様において、好ましくは、患者荷重による、片持ち梁で支えられた端部216における、シェル212の撓み量は約5mm以下であることとする。一実施態様において、かかる撓み量は固有の機械的誤差を補正する外部測定システムを用いて治療の間中打ち消すことができる。一実施態様において、ポッド200は安全装備としての傾斜計を伴い又は含み、位置決め装置114が水平線から約±5.5度より大きな角度の撓みを生じさせることがないようにする。傾斜計又は傾斜センサーはいずれかの装置、一般には、電気−機械装置を備え、これは重力を基準とする目標物の角度を検出する。
【0081】
好ましくは、300ポンド患者分布荷重及び50ポンド固定荷重による(延伸部を具備して又は具備することがない)遠位の、片持ち梁で支えられた端部における患者ポッド200の垂直撓み量は約4mmより小さいものとする。好ましくは、100ポンドの患者横荷重による(延伸部を具備して又は具備することがない)患者ポッド200の横撓み量は約0.5mmより小さいものであることとする。これらのタイプの垂直撓み及び横撓みは固有の機械的誤差を補正する外部測定システムを用いて治療の間中打ち消すことができることは明らかであろう。
【0082】
好ましくは、テーブル構成要素材料及び構成品は全て20年の期間を越えて年当たり52週間、週当たり5日間、およそ9,000ラドの平均日間放射線線量に耐えるものであることとする。好ましくは、機械装置及び構成品は全て相対湿度25乃至78%で、温度環境40乃至95度Fで正常に作動するものであることとする。
【0083】
好ましくは、ポッド200の治療面は勾配がいずれかの横の距離に沿って1mm当たり約0.5mmの水当量厚みよりも大きいという条件の下で厚みが変化しないものであることとする。好ましくはポッド200の治療領域端は約0.5mmの水当量厚みより薄いものであることとする。一実施態様において、好ましくは、ポッド200の治療厚みはおよそ2cmより少ない水当量を有するものであることとする。
【0084】
好ましくは、患者と放射線透過撮像レセプターの間に位置するポッド200の構成品はFDA CFR パート1020に準拠して約5mm以下のアルミニウム当量を有するものであることとする。
【0085】
引き続いて図4A及び図4Bを参照すれば、一実施態様において、ポッド200の形状及び寸法は68cmの物理的開口及び48cmの画像再構築径を備えたCTスキャナーを収容できるものである。好ましくはシェル212の処理面は厚みが変化しないこととする。ここでは、好ましくは、この治療領域端は約0.5mmの水当量厚みより薄いものであることとする。好ましい一実施態様において、シェル212の厚みは約2cmにすぎない水当量を有する。
【0086】
好ましくは、このポッド取付具はFDA CFR パート1020(100キロボルトのピークのポテンシャルでなされるX線測定により又アルミニウムのHVL値2.7mmを有するX線ビームを用いて決定されたコンプライアンス)に準拠して約5mmのアルミニウム当量を有することとする。本明細書で用いられるように、アルミニウム当量は問題とする材料と同様に、同一特異条件下で、同一放射線透過減衰をもたらすアルミニウム(タイプ1100合金)の厚みを意味する。好ましくは、モジュール式患者支持システム199はロボット端で65cm×60cm×60cmの水模型に適合することができるものであることは明らかであろう。
【0087】
一実施態様において、放射線治療システム100は外部測定システム又は外部視覚システムを備え、さらに視覚システムマーカーを備える。好ましくは、この視覚システムマーカーは例えば金属製のトラック226,228のような未治療領域に搭載されることとする。
【0088】
C.テーパー端形状を備えた患者ポッド
本明細書中に記述された一実施態様に従って、テーパー端形状を備えた患者ポッドが提供され、この構造により放射線ビーム通路内における水当量の急激な変化に関連するエッジ効果が緩和される。
【0089】
ある種の放射線治療プロトコールの場合、所定の強度の放射線ビームが横位置から送出される。例えば、患者ポッドよりも十分に高い横位置から放射線ビームが送出されるある具体例では、その放射線ビームは患者ポッドを貫いて送出されなくてもよい。放射線ビームが患者ポッドから十分に下方にある横位置から送出される他のシナリオでは、その放射線ビームは均一密度又は水当量のポッドシェル面を貫通することができる。しかしながら、放射線ビームが側縁(例えば、図4Aに描かれたポッドシェル212の側縁222又は224)の一方又は双方を横断する状況がある。ポッドシェル側縁上でポッドシェルと空隙の間における水当量の急激な移り変わり又は変化は不均一な又は予想が困難な強度を有する放射線ビームをもたらす。ビーム通路における水当量の急激な移り変わりという効果は本明細書中でエッジ効果と呼ばれる。
【0090】
患者ポッドの側縁のセクションはエッジ効果を緩和したり又は最小限にするために先細にされる。図4Cを参照すれば、一実施態様において、側縁222はゆるやかなテーパー端243及び縦方向に伸びるレール299を備える。このテーパー端243は下部端244に始まって外側へ先細になり上部端248で終わる内面245を備える。このテーパー端243はさらに下部端246に始まって内側へ先細になり上部端248で終わる外面247を備える。面245及び247は最終的に上部端248に集まる。端244,246の先細りの位置及び程度はいずれかのエッジ効果を緩和するのに必要とされるように変えることができる。
【0091】
図4Aから図4Cを参照すれば、テーパー端243は一般に約0.1mm水当量/mmから約5mm水当量/mmまでの勾配で先細にされ、これは固定装置の精度要件及び固定装置の再現性に依存する。一実施態様において、テーパー部243は約0.5mmの水当量/mmの勾配で先細にされる。
【0092】
ポッドの側縁は比較的薄く、これによりいずれかの側縁を貫通するか又はその近傍を通過するいずれかの治療用陽子線ビームに最小限の摂動を起こさせる。
【0093】
低密度レール299はテーパー端243を覆い、これにより鋭角端になりがちな上部端248から患者や放射線治療プロバイダーが保護される。図4Cに示される典型的なシェル側縁222を参照すれば、一般に側縁222はテーパー端243の形状に補足的な下位部及び概して丸みを付けられたり又は先がとがっていなかったりする上位部を備える。
【0094】
好ましくは、レール299は例えば微細球を伴うエポキシ、成形又は成型されたプラスチック(ナイロン、ウレタンなど)、ゴム、又は類似物、又はこれらの組み合わせのような低密度材料からなることとする。一実施態様において、このレール299はシェル212の勾配、0.5mm/mm水当量を維持する。
【0095】
一実施態様において、このレール299は例えばレール299を積極的に設置し保持するためにシェル212の内部に成型された連結受け部のようなこの分野で公知のいずれかの取付機構を介してシェルテーパー端243に取り外し可能に固定される。他の実施態様において、このレール299はいずれかの取付具の助けを借りずにテーパー端243上に位置するだけである。さらにまた他の実施態様において、このレール299は例えば微細球を伴うエポキシのようないずれかの公知の適正な取付機構を用いてテーパー端に恒久的に固定される。好ましくは、患者の安全と快感は各実施態様と結合されているものとする。いくつかの移行、方法、及び材料を利用して、例えば取り替えられるハンドレール又はしなやかな端のような、特異な勾配、安全水準及び患者の快感を達成することができる。
【0096】
D.モジュール式患者支持システムの目指すことができる容積
一般に目指すことができる容積は患者ポッド200及び直交する並進及び回転軸に沿っ
て患者ポッド200と接続する患者位置決め装置114の向きに依存しよう。
【0097】
図8はポッドシェル212のために(切り刻まれた)目指すことができる容積352,354の形状の概要部分断面側面図を提供する。ここで、このポッド200は位置決めポッドコネクタ234の上方にて約1.9cmの厚みを有する。93度にまで及ぶ偏揺角のために、ピッチ及びロールコネクションを具備するか又は具備しない条件の下で、(容積352及び354から作られる)目指すことができる容積はお概ね高さが40cmで幅が50cmである台形容積であり、これは軸6から約31.9cmの遠位高さまでテーブル伝いに約120cm伸びている。目指すことができる容積の底部が等角点にある場合、目指すことができる容積の半分は93度の頂点位置で利用しやすい。例えば、一実施態様において、93度の偏揺時の左頂点位置では、(ポッド200の端部において頭部を上向きにして位置決めされる)患者の頭部の左半分は最大ロボット到達範囲のため接近できない。ポッド200を右頂点へ位置決めすることはこの左半分への接近を可能にする。この問題点を解消するために患者自身を横移動させ位置決めしてよい。ここで、一般に頂点治療のための目指すことができる容積352,354はシェル面218から約3cm離れて開始する。
【0098】
本明細書中に記述された発明、及びその構成部分は陽子線治療、従来の放射線治療及び撮像システム(例えば、CT、PET、MRI、円錐状ビームなど)に限定されるものではないが、これらを含めて多くの治療システムの組み合わせで請求されることは理解できよう。
【0099】
本発明が好ましい実施態様により特別に図示され記述されてきたが、一方、本発明の範囲の限界はこれにより意図されていないことは理解できよう。いずれかの前記装置及び方法の特徴は、当業者に明らかであるように、その他のもので置換され又はその他のものに付加されてよい。本発明の範囲は本明細書に添付された請求の範囲によってのみ限定される。さらに本発明の原理を取り入れて本明細書中に記述される特別な実施態様の変形が当業者の心に浮かび、又、添付された請求の範囲内に既に存在することは理解できよう。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線治療プロトコールに従って、放射線治療中に癌患者を定位置に効率よく固定し、次の放射線治療用定位置に患者を再位置決めするためのモジュール式患者支持システムであって、
モジュール式患者ポッドと、第一固定装置と、を備え、
前記モジュール式患者ポッドは、
縦方向に伸び概ね半円筒形である支持シェルであって、シェル近位端からシェル縦中心部を経てシェル遠位端に伸びており、横方向に凹の底面、横方向に凹の上面、上方に伸長する第一の側縁、及び上方に伸長する第二の側縁を有する前記支持シェルと、
シェル近位端に連結される近位延伸トラックと、
シェル遠位端に連結される遠位延伸トラックと、
シェル近位端とシェル縦中心部との間でシェル底面に取り付けられる位置決めポッドコネクタとを備える、前記モジュール式患者支持システム。
【請求項2】
前記第一固定装置が、患者身体の少なくとも一部分に適合する型を有する堅い、成型可能なフォームクレードルを備えることを特徴とする、請求項1に記載の支持システム。
【請求項3】
前記第一固定装置が咬合阻止システムを備えることを特徴とする、請求項1に記載の支持システム。
【請求項4】
前記第一固定装置がフェイスマスクを備えることを特徴とする、請求項1に記載の支持システム。
【請求項5】
前記第一固定装置が頭蓋環を備えることを特徴とする、請求項1に記載の支持システム。
【請求項6】
前記ポッドが前記遠位延伸トラックと係合する遠位ポッド取付具を備えることを特徴とする請求項1に記載の支持システム。
【請求項7】
前記遠位ポッド取付具が縦方向に伸び、概ね平らな取付具を備え、当該取付具が患者の頭部を片持ち梁で支えることを特徴とする、請求項3に記載の支持システム。
【請求項8】
前記遠位ポッド取付具が、ヘッドレスト領域と固定装置取付領域とを備えた縦方向に伸びる平らな取付具を備え、当該取付具が患者の頭部を片持ち梁で支えることを特徴とする、請求項3に記載の支持システム。
【請求項9】
前記ポッドが前記近位延伸トラックと係合する近位ポッド取付具を備えることを特徴とする、請求項1に記載の支持システム。
【請求項10】
前記近位ポッド取付具が前記近位延伸トラックと遠位延伸トラックの間に伸びる仮想縦軸を基準にして約50度の角度で面取りされ、縦方向に伸びる位置決め装置末端延伸部を備え、当該延伸部は前記ポッドと前記ポッドと係合するいずれかの患者位置決め装置との衝突を防止し、前記延伸部は患者の脚領域を片持ち梁で支えることを特徴とする、請求項9に記載の支持システム。
【請求項11】
第二固定装置をさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載の支持システム。
【請求項12】
前記第二固定装置が咬合阻止システムを備えることを特徴とする、請求項11に記載の支持システム。
【請求項13】
前記第二固定装置がフェイスマスクを備えることを特徴とする、請求項11に記載の支持システム。
【請求項14】
前記第二固定装置が頭蓋環を備えることを特徴とする、請求項11に記載の支持システム。
【請求項15】
前記シェルが第一治療材料を備えることを特徴とする、請求項1に記載の支持システム。
【請求項16】
前記第一治療材料が炭素繊維を備えることを特徴とする、請求項15に記載の支持システム。
【請求項17】
前記放射線治療プロトコールが患者体内の目標位置に陽子線ビームを送出することを備えることを特徴とする、請求項1に記載の支持システム。
【請求項18】
治療プロトコールに従って放射線治療を受ける癌患者を片持ち梁で支えるためのモジュール式患者ポッドであって、
シェル近位端からシェル縦中心部を経てシェル遠位端に伸びており、縦方向に伸び概ね半円筒形である支持シェルであって、横方向に凹の底面、横方向に凹の上面、上方に伸長する第一の側縁、及び上方に伸長する第二の側縁を有する支持シェルと、
近位端に連結される近位延伸トラックと、
遠位端に連結される遠位延伸トラックと、
シェル近位端とシェル縦中心部の間にてシェル底面に取り付けられる位置決めポッドコネクタとを備えることを特徴とする、モジュール式患者ポッド。
【請求項19】
前記シェルが第一治療材料を備えることを特徴とする、請求項18に記載の患者ポッド。
【請求項20】
前記第一治療材料が炭素繊維を備えることを特徴とする、請求項19に記載の患者ポッド。
【請求項21】
前記遠位延伸トラックと係合する遠位ポッド取付具をさらに備えることを特徴とする、請求項18に記載の患者ポッド。
【請求項22】
前記遠位ポッド取付具が、縦方向に伸び、概ね平らな取付具を備え、当該取付具が患者の頭部を片持ち梁で支えることを特徴とする、請求項21に記載の患者ポッド。
【請求項23】
前記遠位ポッド取付具が、縦方向に伸び、概ね半円筒形の取付具を備え、当該取付具が患者の頭部を片持ち梁で支えることを特徴とする、請求項21に記載の患者ポッド。
【請求項24】
前記遠位ポッド取付具が、ヘッドレスト領域及び固定装置取付領域を備える、縦方向に伸びる平らな取付具を備え、当該取付具が患者の頭部を片持ち梁で支えることを特徴とする、請求項21に記載の患者ポッド。
【請求項25】
前記遠位ポッド取付具が、縦方向へ伸びる伏臥位ヘッドレストを備え、当該ヘッドレストは患者が自己の顔を通して配置することができる顔の通し穴を規定し、前記取付具が患者の頭部を片持ち梁で支えることを特徴とする、請求項21に記載の患者ポッド。
【請求項26】
前記近位延伸トラックと係合する近位ポッド取付具をさらに備えることを特徴とする請求項18に記載の患者ポッド。
【請求項27】
前記近位ポッド取付具が、前記近位延伸トラックと遠位延伸トラックの間に伸びる仮想縦
軸を基準にして約45度の角度で面取りされ、縦方向に伸びるロボット末端延伸部を備え、当該延伸部は前記ポッドと前記ポッドと係合するいずれかの患者位置決め装置との衝突を防止し、かつ患者の脚部領域を片持ち梁で支えることを特徴とする、請求項26に記載の患者ポッド。
【請求項28】
前記近位ポッド取付具が、縦方向に伸び、概ね平らな取付具を備え、当該取付具が患者の脚部領域を片持ち梁で支えることを特徴とする、請求項26に記載の患者ポッド。
【請求項29】
前記近位ポッド取付具が、縦方向に伸び、概ね半円筒形の取付具を備え、当該取付具が患者の脚部領域を片持ち梁で支えることを特徴とする請求項26に記載の患者ポッド。
【請求項30】
前記放射線治療プロトコールが患者体内の目標位置に陽子線ビームを送出することを備える、請求項18に記載の患者ポッド。
【請求項31】
放射線治療プロトコールに従って癌患者の放射線治療中に生じることがあるいずれかのエッジ効果を緩和するために構成されるモジュール式患者ポッドであって、
シェル近位端からシェル縦中心部を経てシェル遠位端に伸びており、縦方向に伸びる支持シェルであって、横方向に凹の底面、横方向に凹の上面、第一の側縁、及び第二の側縁を有する支持シェルと、
シェル近位端に連結される近位延伸トラックと、
シェル遠位端に連結される遠位延伸トラックと、を備え、
第一の側縁が、第一テーパー端及び第一縦伸長レールを備え、当該第一レールが第一テーパー端の形状に補足的な第一レール下位部及び丸みを付けられた第一レール上位部を備え、当該第一レールが第一低密度材料を備え、
第一テーパー端が放射線治療プロトコールに従って第一の側縁を貫いて所定の放射線ビーム線量を送出しやすくすることを特徴とする、モジュール式患者ポッド。
【請求項32】
前記第一テーパー端が、約0.1mm水当量/mmから約5mm水当量/mmの勾配で先細になっていることを特徴とする、請求項31に記載の患者ポッド。
【請求項33】
前記第一テーパー端が、約0.5mm水当量/mmの勾配で先細になっていることを特徴とする、請求項31に記載の患者ポッド。
【請求項34】
前記第一低密度材料が微細球を伴うエポキシを含むことを特徴とする、請求項31に記載の患者ポッド。
【請求項35】
前記第一低密度材料がナイロンを含むことを特徴とする、請求項31に記載の患者ポッド。
【請求項36】
前記第一低密度材料がウレタンを含むことを特徴とする、請求項31に記載の患者ポッド。
【請求項37】
前記第二の側縁は、第二テーパー端及び第二縦伸長レールを備え、当該第二レールが第二テーパー端の形状に補足的な第二レール下位部及び丸みを付けられた第二レール上位部を備え、当該第二レールが第二低密度材料を備え、第二テーパー端が放射線治療プロトコールに従って前記第二の側縁を貫いて所定の放射線ビーム線量を送出しやすくすることを特徴とする、請求項31に記載の患者ポッド。
【請求項38】
前記第二テーパー端が、約0.1mm水当量/mmから約5mm水当量/mmの勾配で先細になっていることを特徴とする、請求項37に記載の患者ポッド。
【請求項39】
前記第二テーパー端が、約0.5mm水当量/mmの勾配で先細になっていることを特徴とする、請求項37に記載の患者ポッド。
【請求項40】
前記第二低密度材料が、微細球を伴うエポキシを含むことを特徴とする請求項37に記載の患者ポッド。
【請求項41】
前記第二低密度材料がナイロンを含むことを特徴とする、請求項37に記載の患者ポッド。
【請求項42】
前記第二低密度材料がウレタンを含むことを特徴とする、請求項37に記載の患者ポッド。
【請求項43】
前記放射線治療プロトコールが患者体内の目標位置に陽子線ビームを送出することを含む、請求項31に記載の患者ポッド。
【請求項44】
放射線治療プロトコールに従って癌患者を放射線で治療するためのモジュール式患者ポッドであって、
シェル近位端からシェル縦中央部を経てシェル遠位端へ伸びる支持シェルであって、第一の側縁及び第二の側縁を有する支持シェルと、
シェル近位端でポッドの長さを伸ばす手段と、
シェル遠位端でポッドの長さを伸ばす手段と、を備え、
前記第一の側縁は治療プロトコールに従って第一の側縁を横断するいずれかのビームに関連するいずれかのエッジ効果を緩和するための手段を備え、
前記第二の側縁は治療プロトコールに従って第二の側縁を横断するいずれかのビームに関連するいずれかのエッジ効果を緩和するための手段を備えることを特徴とする、モジュール式患者ポッド。
【請求項1】
放射線治療プロトコールに従って、放射線治療中に癌患者を定位置に効率よく固定し、次の放射線治療用定位置に患者を再位置決めするためのモジュール式患者支持システムであって、
モジュール式患者ポッドと、第一固定装置と、を備え、
前記モジュール式患者ポッドは、
縦方向に伸び概ね半円筒形である支持シェルであって、シェル近位端からシェル縦中心部を経てシェル遠位端に伸びており、横方向に凹の底面、横方向に凹の上面、上方に伸長する第一の側縁、及び上方に伸長する第二の側縁を有する前記支持シェルと、
シェル近位端に連結される近位延伸トラックと、
シェル遠位端に連結される遠位延伸トラックと、
シェル近位端とシェル縦中心部との間でシェル底面に取り付けられる位置決めポッドコネクタとを備える、前記モジュール式患者支持システム。
【請求項2】
前記第一固定装置が、患者身体の少なくとも一部分に適合する型を有する堅い、成型可能なフォームクレードルを備えることを特徴とする、請求項1に記載の支持システム。
【請求項3】
前記第一固定装置が咬合阻止システムを備えることを特徴とする、請求項1に記載の支持システム。
【請求項4】
前記第一固定装置がフェイスマスクを備えることを特徴とする、請求項1に記載の支持システム。
【請求項5】
前記第一固定装置が頭蓋環を備えることを特徴とする、請求項1に記載の支持システム。
【請求項6】
前記ポッドが前記遠位延伸トラックと係合する遠位ポッド取付具を備えることを特徴とする請求項1に記載の支持システム。
【請求項7】
前記遠位ポッド取付具が縦方向に伸び、概ね平らな取付具を備え、当該取付具が患者の頭部を片持ち梁で支えることを特徴とする、請求項3に記載の支持システム。
【請求項8】
前記遠位ポッド取付具が、ヘッドレスト領域と固定装置取付領域とを備えた縦方向に伸びる平らな取付具を備え、当該取付具が患者の頭部を片持ち梁で支えることを特徴とする、請求項3に記載の支持システム。
【請求項9】
前記ポッドが前記近位延伸トラックと係合する近位ポッド取付具を備えることを特徴とする、請求項1に記載の支持システム。
【請求項10】
前記近位ポッド取付具が前記近位延伸トラックと遠位延伸トラックの間に伸びる仮想縦軸を基準にして約50度の角度で面取りされ、縦方向に伸びる位置決め装置末端延伸部を備え、当該延伸部は前記ポッドと前記ポッドと係合するいずれかの患者位置決め装置との衝突を防止し、前記延伸部は患者の脚領域を片持ち梁で支えることを特徴とする、請求項9に記載の支持システム。
【請求項11】
第二固定装置をさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載の支持システム。
【請求項12】
前記第二固定装置が咬合阻止システムを備えることを特徴とする、請求項11に記載の支持システム。
【請求項13】
前記第二固定装置がフェイスマスクを備えることを特徴とする、請求項11に記載の支持システム。
【請求項14】
前記第二固定装置が頭蓋環を備えることを特徴とする、請求項11に記載の支持システム。
【請求項15】
前記シェルが第一治療材料を備えることを特徴とする、請求項1に記載の支持システム。
【請求項16】
前記第一治療材料が炭素繊維を備えることを特徴とする、請求項15に記載の支持システム。
【請求項17】
前記放射線治療プロトコールが患者体内の目標位置に陽子線ビームを送出することを備えることを特徴とする、請求項1に記載の支持システム。
【請求項18】
治療プロトコールに従って放射線治療を受ける癌患者を片持ち梁で支えるためのモジュール式患者ポッドであって、
シェル近位端からシェル縦中心部を経てシェル遠位端に伸びており、縦方向に伸び概ね半円筒形である支持シェルであって、横方向に凹の底面、横方向に凹の上面、上方に伸長する第一の側縁、及び上方に伸長する第二の側縁を有する支持シェルと、
近位端に連結される近位延伸トラックと、
遠位端に連結される遠位延伸トラックと、
シェル近位端とシェル縦中心部の間にてシェル底面に取り付けられる位置決めポッドコネクタとを備えることを特徴とする、モジュール式患者ポッド。
【請求項19】
前記シェルが第一治療材料を備えることを特徴とする、請求項18に記載の患者ポッド。
【請求項20】
前記第一治療材料が炭素繊維を備えることを特徴とする、請求項19に記載の患者ポッド。
【請求項21】
前記遠位延伸トラックと係合する遠位ポッド取付具をさらに備えることを特徴とする、請求項18に記載の患者ポッド。
【請求項22】
前記遠位ポッド取付具が、縦方向に伸び、概ね平らな取付具を備え、当該取付具が患者の頭部を片持ち梁で支えることを特徴とする、請求項21に記載の患者ポッド。
【請求項23】
前記遠位ポッド取付具が、縦方向に伸び、概ね半円筒形の取付具を備え、当該取付具が患者の頭部を片持ち梁で支えることを特徴とする、請求項21に記載の患者ポッド。
【請求項24】
前記遠位ポッド取付具が、ヘッドレスト領域及び固定装置取付領域を備える、縦方向に伸びる平らな取付具を備え、当該取付具が患者の頭部を片持ち梁で支えることを特徴とする、請求項21に記載の患者ポッド。
【請求項25】
前記遠位ポッド取付具が、縦方向へ伸びる伏臥位ヘッドレストを備え、当該ヘッドレストは患者が自己の顔を通して配置することができる顔の通し穴を規定し、前記取付具が患者の頭部を片持ち梁で支えることを特徴とする、請求項21に記載の患者ポッド。
【請求項26】
前記近位延伸トラックと係合する近位ポッド取付具をさらに備えることを特徴とする請求項18に記載の患者ポッド。
【請求項27】
前記近位ポッド取付具が、前記近位延伸トラックと遠位延伸トラックの間に伸びる仮想縦
軸を基準にして約45度の角度で面取りされ、縦方向に伸びるロボット末端延伸部を備え、当該延伸部は前記ポッドと前記ポッドと係合するいずれかの患者位置決め装置との衝突を防止し、かつ患者の脚部領域を片持ち梁で支えることを特徴とする、請求項26に記載の患者ポッド。
【請求項28】
前記近位ポッド取付具が、縦方向に伸び、概ね平らな取付具を備え、当該取付具が患者の脚部領域を片持ち梁で支えることを特徴とする、請求項26に記載の患者ポッド。
【請求項29】
前記近位ポッド取付具が、縦方向に伸び、概ね半円筒形の取付具を備え、当該取付具が患者の脚部領域を片持ち梁で支えることを特徴とする請求項26に記載の患者ポッド。
【請求項30】
前記放射線治療プロトコールが患者体内の目標位置に陽子線ビームを送出することを備える、請求項18に記載の患者ポッド。
【請求項31】
放射線治療プロトコールに従って癌患者の放射線治療中に生じることがあるいずれかのエッジ効果を緩和するために構成されるモジュール式患者ポッドであって、
シェル近位端からシェル縦中心部を経てシェル遠位端に伸びており、縦方向に伸びる支持シェルであって、横方向に凹の底面、横方向に凹の上面、第一の側縁、及び第二の側縁を有する支持シェルと、
シェル近位端に連結される近位延伸トラックと、
シェル遠位端に連結される遠位延伸トラックと、を備え、
第一の側縁が、第一テーパー端及び第一縦伸長レールを備え、当該第一レールが第一テーパー端の形状に補足的な第一レール下位部及び丸みを付けられた第一レール上位部を備え、当該第一レールが第一低密度材料を備え、
第一テーパー端が放射線治療プロトコールに従って第一の側縁を貫いて所定の放射線ビーム線量を送出しやすくすることを特徴とする、モジュール式患者ポッド。
【請求項32】
前記第一テーパー端が、約0.1mm水当量/mmから約5mm水当量/mmの勾配で先細になっていることを特徴とする、請求項31に記載の患者ポッド。
【請求項33】
前記第一テーパー端が、約0.5mm水当量/mmの勾配で先細になっていることを特徴とする、請求項31に記載の患者ポッド。
【請求項34】
前記第一低密度材料が微細球を伴うエポキシを含むことを特徴とする、請求項31に記載の患者ポッド。
【請求項35】
前記第一低密度材料がナイロンを含むことを特徴とする、請求項31に記載の患者ポッド。
【請求項36】
前記第一低密度材料がウレタンを含むことを特徴とする、請求項31に記載の患者ポッド。
【請求項37】
前記第二の側縁は、第二テーパー端及び第二縦伸長レールを備え、当該第二レールが第二テーパー端の形状に補足的な第二レール下位部及び丸みを付けられた第二レール上位部を備え、当該第二レールが第二低密度材料を備え、第二テーパー端が放射線治療プロトコールに従って前記第二の側縁を貫いて所定の放射線ビーム線量を送出しやすくすることを特徴とする、請求項31に記載の患者ポッド。
【請求項38】
前記第二テーパー端が、約0.1mm水当量/mmから約5mm水当量/mmの勾配で先細になっていることを特徴とする、請求項37に記載の患者ポッド。
【請求項39】
前記第二テーパー端が、約0.5mm水当量/mmの勾配で先細になっていることを特徴とする、請求項37に記載の患者ポッド。
【請求項40】
前記第二低密度材料が、微細球を伴うエポキシを含むことを特徴とする請求項37に記載の患者ポッド。
【請求項41】
前記第二低密度材料がナイロンを含むことを特徴とする、請求項37に記載の患者ポッド。
【請求項42】
前記第二低密度材料がウレタンを含むことを特徴とする、請求項37に記載の患者ポッド。
【請求項43】
前記放射線治療プロトコールが患者体内の目標位置に陽子線ビームを送出することを含む、請求項31に記載の患者ポッド。
【請求項44】
放射線治療プロトコールに従って癌患者を放射線で治療するためのモジュール式患者ポッドであって、
シェル近位端からシェル縦中央部を経てシェル遠位端へ伸びる支持シェルであって、第一の側縁及び第二の側縁を有する支持シェルと、
シェル近位端でポッドの長さを伸ばす手段と、
シェル遠位端でポッドの長さを伸ばす手段と、を備え、
前記第一の側縁は治療プロトコールに従って第一の側縁を横断するいずれかのビームに関連するいずれかのエッジ効果を緩和するための手段を備え、
前記第二の側縁は治療プロトコールに従って第二の側縁を横断するいずれかのビームに関連するいずれかのエッジ効果を緩和するための手段を備えることを特徴とする、モジュール式患者ポッド。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図7E】
【図7F】
【図7G】
【図8】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図7E】
【図7F】
【図7G】
【図8】
【公開番号】特開2011−245327(P2011−245327A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−166210(P2011−166210)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【分割の表示】特願2006−523356(P2006−523356)の分割
【原出願日】平成16年8月12日(2004.8.12)
【出願人】(503042820)ローマ リンダ ユニヴァーシティ メディカル センター (21)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−166210(P2011−166210)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【分割の表示】特願2006−523356(P2006−523356)の分割
【原出願日】平成16年8月12日(2004.8.12)
【出願人】(503042820)ローマ リンダ ユニヴァーシティ メディカル センター (21)
【Fターム(参考)】
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