説明

モノリシックガス発生剤粒子を製造する方法

膨張可能拘束装置(例えば、車両用のエアバッグシステム)のための加圧モノリシックガス発生剤を形成する方法が提供される。方法は、ガス発生剤材料と衝撃性能改質剤とを混ぜ合わせて混合物を形成することを含む。混合物は粒状化される。その後、粒状化された混合物に対して圧力を印加することにより加圧モノリシックガス発生剤粒子が形成される。この場合、粒子は、最大理論密度の少なくとも約95%の実密度を有する。圧力は、ダイキャビティ内のガス発生剤材料の両側に対して制御された態様で加えられてもよく、また、粒子の両側に対する何らかの圧力を維持しつつ、形成された粒子をダイキャビティから除去し、それにより、様々な火薬特性が向上される。本開示の方法は、経済的に製造できるとともに、異なる生産ロット間で一貫した形状を有しつつ、改善された燃焼速度、燃焼プロファイル、排ガス品質、強度、耐久性、および、粒子の一体性を有する火薬組成体を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、膨張可能拘束システムに関し、特に、そのようなシステムで用いる火薬ガス発生剤材料を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この節での記述は、本開示に関連する背景情報を単に与えるものであり、従来技術を構成し得ない。
【0003】
受動型膨張可能拘束システムは、しばしば、自動車などの様々な用途で使用される。車両が衝突に起因して減速すると、膨張可能拘束システムは、エアバッグクッションを展開して、搭乗者と車両との間の接触を防止し、それにより、搭乗者の負傷を最小限に抑える。そのような装置は、通常、火薬式ガス発生剤を含むことができるインフレータを使用する。ガス発生剤は、非常に急速に燃えて、エアバッグを膨張させる加熱ガスを生成し、それにより、搭乗者を車両に対して拘束する。
【0004】
車両の搭乗者は、エアバッグ展開の利益全体を受けるための所定位置にいない場合がある。エアバッグ内の圧力増大速度は非常に急速であり、また、ガス発生剤によって生成される圧力の大きさは過剰であり、その結果、アウトオブポジションの搭乗者がエアバッグの望ましい利益を受けない場合がある。エアバッグ性能および安全性を高めたいという要求、および、製造コストおよび生産コストを低減させる必要性は益々増大している。したがって、ガス発生剤およびエアバッグインフレータシステム全体のコストを低減しつつ、エアバッグインフレータで使用される推進剤またはガス発生剤の機能性を高める必要性がある。
【0005】
ガス発生剤性能の向上は依然として望ましい。エアバッグなどの膨張可能装置システムにおけるガス発生剤の性能を仕立て合わせることは、ガス発生剤だけでなく、ガス流を制御するハードウェアシステムについても複雑な設計を必要とする可能性がある。膨張可能拘束装置のインフレータ用のガス発生剤は、優れた性能を得るために、また、アウトオブポジション性能を高めるために、燃焼中に所望の圧力レベルおよび速度でガスを急速に生成することが好ましい。同様に、ガス発生剤材料は、取り扱いが安全であるとともに、高いガス発生量および許容できる火炎温度を有し、発生剤ウェブ厚に適する燃焼速度を伴うことが好ましい。これらの要件を満たし且つエアバッグを通じて解放される排ガス中での副生成化合物の生成を最小限に抑えるガス発生剤が非常に望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示の様々な態様によれば、モノリシックガス発生剤を形成するための方法が提供される。特定の態様では、ガス発生剤材料が衝撃性能改質剤と混ぜ合わされて混合物が形成され、該混合物はその後に粒状化される。方法は、粒状化された混合物に対して圧力を印加することにより加圧モノリシックガス発生剤粒子を形成することを含み、加圧モノリシックガス発生剤粒子は、ガス発生剤の最大理論密度の少なくとも約95%の実密度を有する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
他の態様において、本開示は、ガス発生剤材料をダイキャビティ内へ導入することを含む、モノリシックガス発生剤を形成するための方法を提供する。ダイキャビティは、第1の側と、第1の側と反対の第2の側とを有する。第1の側および第2の側に沿ってガス発生剤材料に圧力が印加され、ガス発生剤材料の最大理論密度の約95%以上の実密度を有する加圧モノリシック粒子が形成される。加圧モノリシック粒子は、より大きい圧力を第1の側に加えてダイから粒子を押し進めることによってダイから取り出され、この間、取り出しの期間の少なくとも一部にわたって第2の側での印加圧力が維持される。印加圧力は約3000psig(ポンド/平方インチゲージ)(約21MPa)以上である。
【0008】
他の態様によれば、本開示は、モノリシックガス発生剤を形成するための方法を提供する。ガス発生剤材料が衝撃性能改質剤と混ぜ合わされて混合物が形成される。混合物は、少なくとも約40000psigの印加圧力を発生剤に作用させて圧縮される。混合物は粒状化される。粒状化された混合物に対して約70000psig(約480MPa)よりも大きい圧力を印加することにより加圧モノリシックガス発生剤粒子が形成され、加圧モノリシックガス発生剤粒子が約13000mm未満の初期表面積を有し、ガス発生剤の密度とガス発生量との積が約5.0モル/100cm以上である。ガス発生剤粒子は、高分子結合剤が実質的に無く、ガス発生剤の最大理論密度の少なくとも約95%の実密度を有する。
【0009】
更なる適用分野は、本明細書中で与えられる説明から明らかになる。説明および特定の実施例が単なる例示目的であって本開示の範囲を限定しようとするものでないことが理解されるべきである。
【0010】
本明細書で説明される図面は、単なる例示目的であり、本開示の範囲を限定しようとするものではない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】搭乗者を伴う車両における典型的な受動型膨張可能エアバッグ装置システムの簡略化された部分側面図である。
【図2】膨張可能エアバッグ拘束装置のためのインフレータを含む典型的な乗員側エアバッグモジュールの部分断面図である。
【図3】膨張可能エアバッグ拘束装置のためのインフレータを含む典型的なドライバ側エアバッグモジュールの部分断面図である。
【図4】本開示の一態様を示すプロセスフローチャートである。
【図5】図5A〜図5Fは、本開示の様々な態様にしたがって液圧プレス、ダイ、および、上側および下側パンチを使用してガス発生剤粒子を形成する段階の断面図を示している。
【図6】本開示の原理にしたがって製造される加圧モノリシックガス発生剤の等角図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の説明は、実際は単なる典型例であり、本開示内容、用途、または、使用を限定しようとするものではない。言うまでもなく、図面の全体にわたって、対応する参照符号は、類似する或いは対応する部分および特徴を示している。説明および任意の特定の例は、本開示の実施形態を示しているが、単なる例示目的であって、本開示の範囲を限定しようとするものではない。また、特徴を述べた複数の実施形態の説明は、付加的特徴を有する他の実施形態、または、述べられた特徴の異なる組み合わせを組み入れる他の実施形態を排除しようとするものではない。
【0013】
膨張可能拘束装置は、その中に収容される火薬ガス発生剤の反応から現場でガスを生成することが好ましい。本開示の様々な態様によれば、膨張可能拘束装置において優れた性能特性をもたらす望ましい組成および形状を有するガス発生剤が形成される。様々な態様において、本開示は、高い燃焼速度(すなわち、燃焼反応の速度)、高いガス発生量(発生剤のモル/質量)、高い達成密度、高い理論密度、および、高い荷重密度を有するモノリシックガス発生剤粒子を形成する方法を提供する。特定の態様において、モノリシックガス発生剤は、高分子結合剤が実質的に無く、高い密度を有する。そのようなモノリシックガス発生剤粒子は、それに含まれる材料の衝撃燃焼プロファイルを最適化する独特の形状で形成される。
【0014】
背景として、膨張可能拘束装置は、例えばドライバ側、乗員側、側方の衝撃、カーテン・カーペットエアバッグアセンブリなど、自動車のための、および、例えばボート、航空機、および、列車を含む他のタイプの車両に関する、様々なタイプのエアバッグモジュールアセンブリにおいて適用性を有する。そのような火薬ガス発生剤は、例えばシートベルト拘束など、ガスの急速生成が必要とされる他の用途でも使用できる。
【0015】
本明細書中で説明されるように、典型的な膨張可能拘束装置は、例示目的で、エアバッグアセンブリと称される。図1は、典型的なドライバ側フロントエアバッグ膨張可能拘束装置10を示している。そのようなドライバ側膨張可能拘束装置は、一般に、車両16のステアリングコラム14内に格納されるエアバッグクッション12を備える。ステアリングコラム14内のインフレータ(図示せず)内に収容されるガス発生剤は、エアバッグ12を膨張させる膨張ガス18を急速に生み出す。エアバッグ12は、車両16の減速を検出して数ミリ秒内で展開し、車両搭乗者20と車両コンポーネント22との間にバリアを形成する。したがって、負傷が最小限に抑えられる。
【0016】
膨張可能拘束装置は、一般に、エアバッグを展開するための膨張ガスの生成を容易にする一連の反応を伴う。エアバッグアセンブリシステム全体の作動時には、エアバッグクッションが数ミリ秒以内で膨張し始めなければならない。
【0017】
図2は、パッセンジャーコンパートメントインフレータアセンブリ32とエアバッグ36を格納するためのカバーコンパートメント34とを備える簡略化された典型的なエアバッグモジュール30を示している。そのような装置は、しばしば、急速な減速及び/又は衝突が検出されるときに電気的に点火される点火装置またはイニシエータ40を使用する。点火装置40からの排出物は、通常、急速に発熱して燃える点火材料42を点火し、それにより、ガス発生剤材料50が点火される。ガス発生剤材料50は、燃えることにより、エアバッグ36へと方向付けられて膨張をもたらす多量のガス生成物を生成する。
【0018】
様々な実施形態において、ガス発生剤50は、火薬材料を含む固体粒子である。火薬材料は、燃料、酸化剤、および、点火時に急速に燃焼してガス反応生成物(例えば、CO、HO、および、N)を形成する他の微量の原料からなる。ガス発生剤は、当技術分野では推進剤としても知られている。したがって、ガス発生剤材料は、点火時に急速な燃焼反応を起こして熱およびガス生成物を形成する単一構造へと組み合わされる1つ以上の化合物(例えば、原材料)を含む。すなわち、ガス発生剤50は、燃焼することにより、膨張可能拘束装置のための加熱膨張ガスを生み出す。
【0019】
様々な実施形態において、ガス発生剤50は、火薬材料を含む固体粒子である。燃焼中に固体燃焼生成物が時としてクリンカーと称される単一の容易に濾過できる塊を形成するようにガス発生剤組成を編成することが望ましい。クリンカーは、しばしば、様々な粒子を隔離する役目を果たす。しかしながら、多くの場合、ガス中に混入する粒子を除去してガスがエアバッグ36内に入る前にガス温度を下げるために、ガス発生剤50とエアバッグ36との間にフィルタ52が付加的に設けられる。ガス発生剤50によって生成される排ガスとも称されるガスの成分の品質および毒性は重要である。これは、場合によっては車両の搭乗者がこれらの化合物に晒される場合があるからである。したがって、排ガス中の害を及ぼす場合がある化合物の濃度を最小限に抑えることが望ましい。
【0020】
図3は、エアバッグ64を格納するためのカバーコンパートメント62を有する簡略化された典型的なドライバ側エアバッグモジュール60を示している。急速に発熱して燃える点火材料68内の中心に点火装置66が配置されており、それにより、ガス発生剤材料70が点火される。エアバッグ64が膨張するときに該エアバッグ内に入る排ガス中の粒子を減少させるためにフィルタ72が設けられる。
【0021】
車両搭乗者膨張可能拘束システムでは様々な異なるガス発生剤組成体(50または70)が使用される。前述したように、ガス発生剤材料選択は、現在の工業性能仕様、ガイドライン、および、標準規格を満たすこと、安全なガスまたは排ガスを生成すること、ガス発生剤材料の安全性、材料の継続安定性、および、製造の費用対効果を扱うことを含むが、他の検討材料も含む様々なファクタを伴う。ガス発生剤組成体は、取り扱い中、保管中、および、処分中に安全であることが好ましく、アジドが無いことが好ましい。特定の態様において、本開示は、高い密度、環境条件および点火に耐える強度、粒子間の形状の一貫性を有し、更にはクラック、チップ、空隙などの粒子の欠陥がない加圧モノリシックガス発生剤粒子を形成する方法を提供する。
【0022】
図2および図3に示される50または70などのガス発生剤の衝撃特性は、一般に、ガス発生剤材料の組成、形状、および、表面積、並びに、材料の燃焼速度によって制御される。従来のガス発生剤材料は、少なくとも1つの燃料、酸化剤、および、少なくとも1つの結合剤、例えば高分子結合剤を含む。結合剤は、一般に、ガス発生剤の様々な構成物質と混合される。結合剤は、しばしば、特にガス発生剤固体が押し出し及び/又は成形によって形成される場合に保管中および使用中にわたってガス発生剤固体の形状を保持し且つガス発生剤固体の破砕を防止する役目を果たす。例えば、様々なガス発生剤原材料成分の乾燥した配合された混合物は、液体結合剤樹脂と混合させて、押し出し成形した後に、硬化させることができる。あるいは、固体高分子結合粒子は、溶媒中で溶かすことができ或いは融点まで加熱することができ、その後、他のガス発生剤成分と混合させて押し出し或いは成形することができる。しかしながら、そのような方法によって形成されるガス発生剤固体は、製造方法の性質および印加される相対圧縮力に起因して、比較的低い度合いから中程度の圧縮力にしか晒されない。
【0023】
前述した形成方法の大部分は、有機膜形成体、無機高分子、熱可塑性高分子及び/又は熱硬化性高分子を含む高分子結合剤などの結合剤を必要とする。一般的な高分子結合剤の例としては、天然ゴム、セルロースエステル、ポリアクリル酸塩、ポリスチレン、シリコーン、ポリエステル、ポリエーテル、ポリブタジエンなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0024】
従来のガス発生剤中に高分子結合剤が存在すると、幾つかの問題が起こる。第1に、燃料および酸化剤の燃焼中に、結合剤も同様に燃やされ、そのため、ガス排出物中の望ましくない副生成物の形成を防止するために更なる酸化剤を必要とする。更なる酸化剤の使用が組成体のガス発生量を減少させ、また、高分子材料の燃焼が燃焼温度を高め、いずれも望ましくない結果である。第2に、結合剤樹脂は、希釈剤であり、さもなければガス発生剤中の化学材料の急速な反応を遅らせる。幾つかの状況では、特定の結合剤を有するガス発生剤の燃焼速度がかなり損なわれるため、以前はモノリシック形状を工業的に実施できなかった。結合剤の存在がガス発生剤の反応速度を遅らせるため、しばしば、結合剤を補償するために他の化合物が加えられる(それにより、反応速度を増大する)。これらの添加物としては、排ガス中に濾過できない粒子を形成する過塩素酸塩含有酸化剤などの共酸化剤が挙げられる。
【0025】
本開示の特定の態様によれば、ガス発生剤材料は高分子結合剤が実質的に無い。本明細書中で言及される「実質的に無い」という用語は、望ましくない及び/又は有害な効果が無視できる或いは存在しない程度まで化合物が無いことを意味しようとするものである。本実施形態において、高分子結合剤が「実質的に無い」ガス発生剤は、約5重量%未満の高分子結合剤、より好ましくは約4重量%未満、随意的には約3重量%未満、随意的には約2重量%未満、随意的には約1重量%未満の高分子結合剤を含んでおり、また、特定の実施形態では、0重量%の高分子結合剤を含む。このように本開示の原理にしたがって形成されるガス発生剤組成体は、ガス発生剤が燃焼するときに高分子結合剤樹脂の燃焼によって排ガス中に形成される可能性がある望ましくない副生成物種の生成を回避する。また、高分子結合剤が実質的に無いガス発生剤は、かなり改良された燃焼特性(すなわち、高い燃焼速度)を有する。
【0026】
様々な態様において、本開示の方法は、高い密度を有するモノリシック加圧粒形のガス発生剤材料を提供する。ガス発生剤粒子を形成する際には、原材料が混合された後に処理される。ガス発生剤の様々な成分の原材料特性の変動性は、場合によりガス発生剤粒子の変動性をもたらす可能性があり、それにより、場合により一貫性のない衝撃性能を引き起こす可能性がある。特定のタイプの形成プロセスでは、この固有のロット間性能変動は、ガス発生剤負荷または厚さを調整するだけで調整することができる。しかしながら、モノリシック加圧粒子の場合、モノリシック加圧粒子が「同調性」を欠く或いは固有のロット間性能変動を補償できないという潜在的懸念がある。しかしながら、本開示は、製造からのそのような起こり得る変動を補償する柔軟性のある製造プロセスによってモノリシックガス発生剤粒子を形成する方法を提供する。
【0027】
したがって、本開示の方法は、高い密度を有する、例えばガス発生剤の最大理論密度の約90%以上の実密度を有するモノリシック加圧粒形のガス発生剤材料を提供する。本発明の特定の態様によれば、実密度は、最大理論密度の約93%以上、より好ましくは約95%を上回り、更に好ましくは最大理論密度の約97%を超える。幾つかの実施形態において、実密度は、ガス発生剤材料の最大理論密度の約98%を超える。ガス発生剤材料におけるそのような高い実密度は、本開示の様々な態様にしたがってガス発生剤粒子を形成する特定の方法で得られる。この場合、結合剤が実質的に無いガス発生剤原材料に対して高い圧縮力が加えられる。
【0028】
本開示の教示内容が機能する任意の特定の理論に関して限定しないが、理論密度に比べて高い実密度が重要であると考えられる。これは、加圧ガス発生剤粒子が(破砕中及び/又は粉砕中ではなく)燃焼中にその形状を保持し、それにより、漸進的な表面積露出、燃焼プロファイル、燃焼圧力などの望ましい性能特性を維持するのを助けるからである。これらの性能態様は、以下で更に詳しく説明するように、搭乗者アウトオブポジション性能を改善するとともに、2段階ドライバ膨張可能拘束装置アセンブリの必要性を排除する。
【0029】
特定の態様において、本開示の方法によって形成される加圧モノリシック粒子は、比較的高いガス発生剤の荷重密度を有する。さもなければ、所定のエンベロープにおける性能が結果的に低くなる場合がある。荷重密度は、発生剤材料の実際の体積を形状のために利用できる全体積で割ったものである。本開示の様々な態様によれば、ガス発生剤粒子は、約60%以上、随意的には約62%以上のガス発生剤のための荷重密度を有する。特定の態様において、ガス発生剤は約62〜約63%の荷重密度を有する。
【0030】
様々な態様では、加圧モノリシックガス発生剤粒子を形成するための方法が提供される。一般に、そのような方法は、ガス発生剤材料を衝撃性能改質材と混ぜ合わせて混合物を形成することを含む。その後、混合物が粒状にされる。粒状混合物に対して圧力を加えることにより加圧モノリシックガス発生剤粒子が形成される。結果として得られる加圧モノリシックガス発生剤粒子は、ガス発生剤の最大理論密度の少なくとも約95%の実密度を有する。幾つかの態様において、混合物は、混合物を粒状にする前に粉末緻密化器具(他の圧搾機またはロール圧縮)を使用して少なくとも約40,000PSI(約275MPa)の圧力をガス発生剤に対して加えることにより圧縮される。本明細書中に記載される方法は、ロット間性能変動の「調整」を可能にする。そのような製造プロセスは、更に、性能要件および排ガス要件の全てを満たす望ましいモノリシック粒子を形成する。
【0031】
図4は、開示の方法の特定の態様を示すフローチャートである。300では、ガス発生剤材料を生成するためにガス発生剤原材料が使用される。以下では、様々なガス発生剤原材料について更に詳しく説明するが、そのような成分は、一般に、少なくとも1つの燃料と少なくとも1つの酸化剤とを含む。特定の態様では、以下のプロセス、すなわち、噴霧乾燥、乾式混合、および、湿式粒状化のうちの1つ以上により、300においてガス発生剤粉末が生成される。特定の態様では、幾つかの原材料成分を水中及び/又は親水性溶媒中に分配して完全に混合することによりスラリーを形成し、その後、乾燥(例えば、噴霧乾燥)することにより、粉末生成・処理が行なわれる。粉末状及び/又は粒状のガス発生剤を形成するためのそのようなプロセスは、単なる典型例であり、当業者によく知られている。特定の代わりの態様では、ガス発生剤が市販されており及び/又はさもなければ予め生成されるため、ガス発生剤粉末の生成が不要である。ガス発生剤粉末生成が行なわれる場合には、幾つかのガス発生剤原料(原材料)の緊密な混合物の形成および品質制御を確保でき、それにより、ガス発生剤形成体の燃焼速度を高めることができる。また、ガス発生剤粉末の生成300は、他のガス発生剤材料を用いた希釈により、繊細な原料の安全な取り扱いを可能にする。
【0032】
図4は、ガス発生剤粉末を生成した後に310においてガス発生剤を測定し及び/又は検査することによってガス発生剤材料の1つ以上の衝撃特性を決定できることを示している。1つ以上のそのようなガス発生剤材料の測定が可能である。すなわち、ステップ310が繰り返され得る。このような測定は、原材料バッチおよび処理変数が、固有のロット間衝撃変動を引き起こし得るため、望ましい。検査され得る衝撃特性としては、燃焼速度、線形燃焼速度、及び/又は、ガス発生量が挙げられる。特定の態様において、そのような測定値のうちの1つ以上は、爆発熱(HEX)および材料密度(質量/体積)からなる群より選択される。当業者によく知られるように、爆発熱は、通常、材料を不活性雰囲気(例えば、20atmN)で燃焼させることにより解放されるエネルギとして規定され、材料は、その後、所定の体積で大気温度まで冷却される。そのため、1つ以上の衝撃特性の測定値は、所定量のモノリシックガス発生剤に対して加えられるべきガス発生剤の量の決定を知らせる。したがって、これらの測定値は、典型的な望ましいモノリシックガス発生剤粒子のための各パラメータにおける所望のベースライン目標値との比較を可能にし、したがって、1つ以上の衝撃性能改質剤およびガス発生剤の濃度を変えることによりガス発生剤粒子の性能特性の調整が可能になる。衝撃性能改質剤は、例えば火炎温度を下げたり、燃焼速度を高めるなど、ガス発生剤粒子の1つ以上の衝撃特性を改質する物質である。性能改質剤の量は、バッチ間で一定の衝撃性能を達成するように調整される。したがって、ガス発生剤と衝撃性能改質剤との混合物の衝撃性能を予測するためには、性能改質剤の1つ以上の衝撃特性を決定することも有益である。そのような性能改質剤については以下で更に詳しく説明する。
【0033】
320では、ガス発生剤粉末が衝撃性能改質剤と混合される。320における混合は、随意的に、第1の量のガス発生剤および第2の量の衝撃性能改質剤を導入することを含む。ガス発生剤の第1の量および衝撃性能改質剤の第2の量は、ステップ310で決定されるガス発生剤材料の衝撃特性に関連し、随意的には、性能改質剤の1つ以上の衝撃特性の決定に基づく(製造メーカから得られてもよく、あるいは、検査によって得られてもよい)。様々な態様において、混合は、ガス発生剤および性能改質剤が十分に混合され、好ましくは均一に混合されて、混合物、好ましくは均一な混合物が形成されるように行なわれる。随意的には、320において、ガス発生剤粒子のための他の材料を加えてガス発生剤粉末と混合することができる。例えば、特定の態様において、混合物は、混合プロセス前または混合プロセス中にガス発生剤および性能改質剤に導入される圧力解放補助剤を含む。
【0034】
340では、ガス発生剤と性能改質剤との混合物が圧縮され、その後、350において、圧縮された混合物の粒状化が行なわれる。様々な態様において、混合物は、当業者によく知られたプレスまたはロール圧縮器具などの粉末緻密化器具を使用した粒状化によって圧縮される。様々な態様において、混合物に対して加えられる緻密化のための最小圧力は約40000psi(275MPa)である。特定の態様において、粒状化の前の圧縮は任意である。圧縮ステップ340及び/又は粒状化ステップ350は混合物を緻密にする役目を果たし、それにより、加圧前に混合物をダイへと変えることができ、また、圧縮/粒状化プロセスにより、特定のガス発生剤原材料が加圧下で流れることができる。特定の態様では、原材料のこの流れが望ましい。これは、それによって、乾式混合された性能改質剤がガス発生剤の母体に組み込まれ、その結果、プロセスの後半で成分の分離が防止されるからである。この態様では、硝酸グアニジンまたは、ジシアンジアミドなどの特定の水溶性複合燃料がガス発生剤粒子中で非高分子結合材として作用する。
【0035】
350での粒状化の後、粒状化された混合物は、ダイキャビティ(ダイまたはモールド)内へ導入され或いは充填される。この場合、印加される力または圧力は、粒状材料を圧縮して、所望のモノリシック粒子形状を形成する。したがって、ステップ360では、圧力の印加により、粒状体がモノリシック粒子へと加圧される。特定の態様において、加圧は、インフレータが所定の態様で機能できるようにする所望の形状へと混合物を形成する。開示の様々な態様によれば、高い密度、環境条件および点火に耐える強度、粒子間の形状の一貫性を有するとともに、クラック、チップ、空隙などの粒子の欠陥がない加圧モノリシックガス発生剤粒子が形成される。
【0036】
幾つかの態様において、加圧ガス発生剤粒子の形成は、粒状混合物がダイキャビティ内へ導入される液圧プレスで行なわれる。圧力の印加は、当業者に知られるように必要な印加圧縮力を与える任意の加圧操作によって達成できるが、液圧プレスに限定されない。背景として、図5A〜図5Fは、ガス発生剤粒子を形成するための液圧プレス400の簡略化された描写を使用する典型的な加圧プロセスの段階を描いている。液圧プレス400は、上側液圧シリンダ402と下側液圧シリンダ404とを備える。上側液圧シリンダ402には上側プラテン406が取り付けられる。同様に、下側液圧シリンダ404は下側プラテン408に取り付けられる。上側プラテン406には上側パンチ410が取り付けられる。下側プラテン408には下側パンチ412が取り付けられる。液圧プレス400の底部(図示せず)には固定ダイ414が装着される。プレス400の底部には複数のコアピン416も装着される。ピン416は、圧力が印加されると、ガス発生剤材料(図5Cの420)中に空隙または開口を形成し、それにより、ガス発生剤粒子(図5Fの424)中に1つ以上の開口(図5Fの422)が形成される。
【0037】
下側パンチ412は、複数のコアピン416の周囲で垂直方向に移動する。図5Aにおいて、コアピン416はダイ414の上面430と面一である。同様に、下側パンチ412もダイ414の上面430と面一である。
【0038】
図5Bでは、下側シリンダ404が下側パンチ412を所定の下側位置へと移動させ、それにより、適切な所定の容積を有する空隙領域432が形成され、この空隙領域にはガス発生剤材料(図5Cの420)を加えることができる。図5Cに示されるように、空隙領域432をガス発生剤材料420で満たすため、粒状ガス発生剤材料を収容するフィードシュー(図示せず)がダイ414の中央領域434上にわたって移動する。ダイ414の中央領域434の外側の任意の過剰なガス発生剤材料420は除去される。図5Cは、ガス発生剤材料420がダイ414の中央領域434の空隙領域432を占めている状態を示している。ガス発生剤材料420の第1の側436が下側パンチ412と接触する。
【0039】
図5Dにおいて、上側シリンダ402は、上側パンチ410を移動させてダイ414内のガス発生剤材料420と接触させる。上側パンチ410は、ガス発生剤材料420の第2の表面438と接触する。上側パンチ410は、複数のコアピン416を受けるようになっている複数の開口440(図5C)を有する。上側パンチ410および下側パンチ412は、ガス発生剤材料420に対して力を加えるために互いの方へと押し進められる。このように、上側および下側液圧シリンダ402、404を介して上側および下側パンチ410、412によりガス発生剤材料420に圧力が加えられ、それにより、所定の時間にわたってガス発生剤材料420が圧縮されて、強固なモノリシックガス発生剤粒子が形成される(図5Fの424)。
【0040】
特定の態様において、開示の方法は、随意的に、印加される力が上側及び/又は下側パンチ410、412によってピーク圧密圧力よりも低い圧力でガス発生剤材料420に対して及ぼされる予圧サイクルを含む。そのような事前加圧ステップは、ガス発生剤材料420の脱気を制御された態様で可能にし、それにより、密度や強度などの加圧モノリシックガス発生剤粒子424の物理特性が向上される。上側および下側シリンダ402、404を介して上側および下側パンチ410、412によって加えられる事前プレス保持圧は、随意的に、約5000psig(約35Mpa)よりも大きく、幾つかの態様では約10000psig(約70MPa)よりも大きく、また、随意的には約14000psig(約96MPa)である。幾つかの態様では、事前プレス保持圧が約20000psig(約138MPa)未満である。特定の態様において、事前プレスドウェル時間は、約0.1秒よりも長く、約3秒よりも短い。
【0041】
図5Dにおいて、上側パンチ410は、ダイ414の中央領域434へと突出し、ガス発生剤材料420の第2の表面438と接触する。粒子形成中にガス発生剤材料420に対して加えられる最大圧力は圧密圧力と称される。圧密圧力ドウェル時間は、ピーク圧密圧力が印加されている期間である。したがって、特定の態様において、開示は、ダイキャビティ414内に充填される粒状ガス発生剤材料混合物420に対して圧力を加えることを含むモノリシック粒子424を形成する方法を提供する。この場合、圧力は、下側パンチ412の第1の接触面442でガス発生剤材料混合物420の第1の側に沿って加えられるとともに、上側パンチ410の第2の接触面444で第2の側438に沿って加えられ、それにより、加圧モノリシック粒子424が形成される。
【0042】
圧密圧力は、粒子424を形成するために加えられる最大圧力である。開示の特定の態様において、圧密圧力は、約50000psig(約345MPa)よりも大きく、随意的には約90000psig(約620MPa)よりも大きいが、随意的には90000psig(約620MPa)より大きくてもよい。したがって、特定の態様において、圧密圧力は、約50000psig(約345MPa)〜約70000psig(約480MPa)の範囲であり、随意的には約90000psig(約620MPa)よりも大きい。圧密圧力での上側および下側パンチ410、412のドウェル時間は約0.1秒よりも長いことが好ましい。特定の態様において、ピーク圧密圧力でのドウェル時間は約5秒未満である。
【0043】
図5Eにおいて、下側パンチ412は、第1の接触面436がダイ414の上面430と面一になるように及び/又は該上面430よりも上側に上昇されるように引き上げられる。同時に、上側パンチ410も同様に上面430よりも上側に引き上げられる。従来の粒子形成プロセスでは、粒子424が取り出される際に上側パンチ410によって僅かな或いは無視できる圧力が粒子424に対して印加される。これは、下側パンチ412が一般に上昇して粒子424をダイ414から放出する一方で、上側パンチ410が急速に上昇されて粒子424から引き離され、除去されるべき粒子424のためのクリアランスが形成されるためである。
【0044】
開示の方法の幾つかの態様において、加圧モノリシック粒子424は、依然として上側および下側パンチ410、412の両方に圧力を加えつつ上側および下側パンチ410、412を同じ方向に(例えば、ダイの中央領域から離れるダイの上面430よりも上側へと上方へ)移動させることよって、ダイ414から解放され或いは吐き出される。したがって、両方のパンチ410、412が同じ(上)方向に移動しつつ、粒子424がダイ414およびコアピン416から除去される際に粒子424に作用する軸方向圧力を依然として維持しつつ、上側パンチ410が下側パンチ412よりも僅かに速い速度で移動する。
【0045】
このように、粒子424をダイ414の上面430よりも上側に上昇させてダイ414から粒子424を除去するために、より大きい圧力が第1の側436に沿って(下側パンチ412の第1の接触面442を介して)加えられる。圧力は、(上側パンチ410の第2の接触面444を介して)第2の側438に沿って粒子424に作用して維持され得るが、圧力は、同時に第1の側436に沿っても加えられる。特定の態様において、加えられる圧力は、粒子424がダイ414から取り出されている期間の少なくとも一部にわたって粒子424の第1および第2の側436、438で維持される。特定の態様において、圧力は、ピン416が粒子424から除去される間において粒子424の第1および第2の側436、438で維持される。
【0046】
任意の特定の理論によって縛られるつもりではないが、ダイからのガス発生剤粒子の取り出し中に粒子に対して両側から力を加える(すなわち、粒子がダイ414から解放される際に及び/又はピン416が除去される間に粒子424の第1の側436および第2の側438の両方で圧力を維持する)と、高い密度、優れた強度、および、最小の密度勾配を有する改良されたモノリシックガス発生剤粒子がもたらされると考えられる。特定の態様において、解放または取り出しの期間の一部にわたって第2の側438に作用する圧力は約3000psig以上である。上側接触面444での取り出し圧力は、随意的には、約3200psigよりも大きい約6700psigまでの範囲内である。したがって、最小プレス要件(圧密圧力、圧密圧力でのドウェル時間、事前プレス圧力、及び/又は、事前プレスドウェル時間)を満たすことにより、開示の所望の高密度モノリシックガス発生剤粒子が得られる。
【0047】
特定の代わりの態様において、ピン416は、第1および第2のシリンダ402、404とは無関係に移動される第3のシリンダ(図示せず)に取り付けられる。そのような実施形態では、ピン416またはコアロッドが「浮く」。粒子424がダイ414から除去されるとき、ピン416またはコアロッドは、粒子424および下側パンチ412と共に上方へ移動する。下側パンチ412が上側接触面444と面一になると、ピン416は、第3のシリンダによって下降され、したがって、粒子424から除去される。
【0048】
図5Fは、開口422を有する加圧モノリシックガス発生剤粒子424がプレスから除去される際の該粒子の断面図を示している。その後、図5B〜図5Fのステップが繰り返されて、更なる加圧モノリシックガス発生剤粒子が形成される。
【0049】
幾つかの実施形態では、プレス解放補助剤が、ガス発生剤材料混合物に対して(前述したように、粒状化中及び/又は混合中に)加えられ、あるいは、ダイキャビティ、パンチの内面及び/又はピン表面などの工具表面に対して直接に加えられ、それにより、圧密後の粒子の除去を容易にし、その結果、粒子に作用する解放力を低下させる。適切なプレス解放補助剤の例としては、当業者によく知られるように、グラファイト、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、および、これらの混合物が挙げられる。プレス解放補助剤の濃度は、一般に、ダイからの同等の解放力に関連付けられる。例えば、グラファイトは、約0.1重量%を超える最大で2重量%の濃度でガス発生剤材料中に加えることができる。特定の態様では、グラファイトが約0.5重量%で存在する。ステアリン酸マグネシウムは、随意的には約0.5重量%〜約3重量%でガス発生剤材料中に存在し、随意的には約1重量%で存在する。幾つかの態様では、有益なプレス解放補助剤がグラファイトを含む。これは、多くの火薬組成用途においてグラファイトが不燃性であるからであり、また、グラファイトが望ましくはCO生成などの燃焼中のガス発生剤粒子からの排ガスレベルに寄与しないからである。
【0050】
開示の様々な態様は、急速加熱ガスを生み出すようになっているモノリシック粒形を有するガス発生剤を形成することを提供する。典型的な粒形および関連する詳細は、Mendenhallらの同一出願人による米国出願第11/472,260号(2006年6月21日出願)で扱われている。本開示にしたがって製造されるガス発生剤も含めた、望ましい燃焼速度、密度、および、ガス発生量を有するガス発生剤組成体の適切な例としては、Mendenhallらの同一出願人による米国特許第6,958,101号に記載される例が挙げられる。しかしながら、望ましい燃焼速度、ガス発生量、および、前述した密度を有するガス発生剤を与えることができる当技術分野で知られ或いは開発されるべき任意の適切な燃料は、本開示の教示内容と共に使用できると考えられる。米国出願第11/472,260号および米国特許第6,958,101号の開示内容は、あたかも本明細書中に十分に記載されているかのように、参照により本明細書に組み入れられる。
【0051】
前述したように、本開示の様々な態様によれば、本開示にしたがって製造されるガス発生剤は高分子結合剤が実質的に無い。高分子結合剤が実質的に無いガス発生剤材料は、それが過塩素酸塩含有酸化剤(例えば、過塩素酸アンモニウム及び/又は過塩素酸カリウム)を実質的に無くすこともできるように十分な燃焼速度および燃焼ガス生成物を有する。そのような実施形態において、ガス発生剤は、約5重量%未満の過塩素酸塩含有酸化剤を含み、より好ましくは、約4重量%未満、随意的には約3重量%未満、随意的には約2重量%未満、随意的には約1重量%未満の過塩素酸塩含有酸化剤を含み、特定の実施形態では、0重量%の過塩素酸塩含有酸化剤を含む。
【0052】
特定の態様では、本開示にしたがって製造されるガス発生剤組成体が高分子結合剤を実質的に有さないことが好ましいが、特定の代わりの態様では、ガス発生剤組成体は、随意的に、粉砕力を高めるために低レベルの特定の許容できる結合剤または賦形剤を含む。しかしながら、排ガスおよび燃焼特性に対して著しい悪影響を与えない。そのような賦形剤としては、一例として、微結晶性セルロース、澱粉、カルボキシアルキルセルロース、例えばカルボキシメチルセルロース(CMC)が挙げられる。そのような賦形剤は、存在する場合には、10重量%未満で、好ましくは約5重量%未満で、より好ましくは約2.8%未満で、代わりのガス発生剤組成体中に含められ得る。
【0053】
必要に応じて、本開示の様々な態様にしたがって製造されるガス発生剤組成体は、随意的には、過塩素酸塩が無い酸化剤、スラグ形成剤、冷却剤、流動助剤、粘性改質剤、加圧助剤、分散助剤、粘液質剤、賦形剤、燃焼速度改質剤、および、これらの混合物などの更なる成分を含んでもよい。そのような添加物は、一般に、保管中にわたってガス発生剤材料の安定性を高めるように機能し、ガス発生剤組成体の燃焼速度または燃焼プロファイルを変更するように機能し、ガス発生剤材料の燃焼後に残存するスラグの取り扱い或いは他の材料特性を向上させるように機能し、火薬原材料を取り扱う或いは処理する能力を高めるように機能する。
【0054】
本開示にしたがって製造されるガス発生剤組成体において、特定の望ましくない酸化剤を避けることができる。例えば、特定の実施形態において、本開示にしたがって製造されるガス発生剤は過塩素酸塩含有酸化剤が実質的に無い。1つの態様において、ガス発生剤で用いる適切な過塩素酸塩が無い酸化剤は、塩基性金属窒化物、例えば塩基性窒化銅を含む。塩基性窒化銅は、高い酸素−金属比率と、良好なスラグ形成能力とを有する。そのような過塩素酸塩が無い酸化剤は、ガス発生剤組成体の約50重量%以下の量で存在し得る。
【0055】
他の適した添加物としては、ガス発生剤組成体中に含まれ得るスラグ形成剤、流動助剤、粘性改質剤、加圧助剤、分散助剤、または、粘液質剤が挙げられる。ガス発生剤組成体は、随意的には、耐熱化合物などのスラグ形成剤、例えば酸化アルミニウム及び/又は二酸化ケイ素を含む。一般に、そのようなスラグ形成剤は、ガス発生剤組成体の0〜約10重量%の量でガス発生剤組成体中に含まれてもよい。
【0056】
ガス発生剤組成体と混合される衝撃性能改質剤は、燃焼中に衝撃性能を変える。性能改質剤は、ガス発生剤粒子全体の標準的な衝撃性能を生み出すように選択され(したがって、ロット生産間の変動が最小限に抑えられる)、したがって、ガス発生剤材料の特定の衝撃性能特性を最小にすることができ或いは高めることができる。1つの例において、衝撃性能改質剤は、塩基性銅カーボネートまたは他の適したカーボネートなど、ガス温度を下げるための冷却剤であり、随意的には混合物全体の0〜約20重量%でガス発生剤に加えられる。性能改質剤として加えられ得る他の適した原料は、燃焼速度勾配の圧力感度を変更することによって火薬燃料材料の燃焼プロファイルを変える。1つのそのような例が銅ビス−4−ニトロイミダゾールである。そのような影響を与える物質は、「感圧改質剤」と称されており、随意的には0〜約10重量%で混合物中に存在する。そのような添加物は、Mendenhallらの「Gas Generation with Copper Complexed Imidazole and Derivatives」と題される米国特許出願第11/385,376号に更に詳しく記載されており、その開示内容は参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。当技術分野において衝撃性能改質剤及び/又は火薬ガス発生剤組成体として知られ或いは開発される他の添加物も、それらがガス発生剤組成体の望ましい燃焼プロファイル特性を過度に損なわない限り、本開示の様々な実施形態で同様に用いることができると考えられる。
【0057】
図6は、参照により本明細書に組み入れられる米国特許出願第11/472,260号に開示されるものに類似する単一の加圧モノリシックガス発生剤粒子形状110を示している。図6に示されるようなモノリシック環状ディスク粒子形状110の燃焼に起因する燃焼圧力は、従来のペレット(円柱形状)またはウェハ(トロイダルリング形状)のそれとは異なる。
【0058】
図6に示されるモノリシック粒子形状110は環状ディスクである。粒子形状110の典型的な寸法は、内径「a」が約14mm、外径「b」が41mm、高さ「c」が約22mmである。複数の開口114がガス発生剤粒子110の第1の側116からガス発生財粒子110の第2の側118へと延びており、それにより、粒子110の本体120を貫通して延びる開口チャンネルが形成される。図示のように、各開口114は約3mmの直径「d」を有する。ガス発生剤粒子110は図示のように30個の開口114を有するが、異なる形態、寸法、および、数量の開口114が考えられる。開口114の数、サイズ、および、位置は、それらがガス発生剤材料の望ましい初期表面積および特定の燃焼速度に関連するため、変えることができる。同様に、当業者であれば分かるように、ディスクの寸法(a、b、c)も変えることができる。例えば、複数のディスクがガス発生剤として使用される場合には、高さ「c」を減少させることができる。
【0059】
この粒子形状110の初期表面積は、従来のペレット形状またはウェハ形状と比べて相対的に小さいが、ガス発生剤材料の燃焼速度は十分に高く、それにより、急速に燃焼する小さい初期表面積は、燃焼反応が進行するにつれて、更なる表面積を露出できる。図6に示されるガス発生剤粒子110の形状の初期表面積は、12000mm未満であり、具体的には約11930mmである。様々な実施形態では、粒子形状の初期表面積が約13000mm未満である。従来のペレット形状は、特に、必要な燃焼速度およびガス燃焼圧力を得てエアバッグクッションを適切に膨張させるために、更に高い初期表面積、例えば約35000mmを超える初期表面積を有する。
【0060】
本開示によれば、直径に対する各開口の長さの比率(L/D)は約3.5〜約9であることが好ましい。特定の実施形態では、L/Dの最大比率が7.5である。図6に示される特定の例では、各開口のL/D比率が約7.3である。複数の開口のL/Dの比率は、ガス発生剤の全体の燃焼挙動および表面積進行に関連する。開口の数および各開口のL/Dの比率は、ガス発生剤材料の燃焼圧力曲線の形状またはプロファイルに関連する。
【0061】
燃焼圧力曲線のプロファイルは搭乗者のための保護向上に関連しており、また、ガス発生剤粒子にとって望ましい衝撃挙動にしたがって燃焼圧力曲線が中立ヘ向けて漸進的であることが好ましい。比較の従来の材料は、一般に、退行的な燃焼圧力曲線を有する。この圧力曲線のプロファイルは、発生剤反応の質量、したがって、経時的に生成されるガスの圧力および質量ガス生成率(m)と相関するガス発生剤の表面積の大きさに関連する。この場合、図6に示される形状に類似するガス発生剤粒子110のモノリシック形状は、インフレータ排ガス特性を向上させるために重要で且つエアバッグクッションの展開中における搭乗者の安全性にとって重要な所望のレベルで更に長い制御された持続的な燃焼圧力を与える制御された燃焼圧力をもたらす。
【0062】
この概念は、インフレータからのガス出力が圧力を増大させる比率である「上昇率」として表わすこともできる(通常は、ガス出力が閉じられた容積へと方向付けられるときに測定される)。一般的には、搭乗者の負傷を減らすために膨張可能拘束エアバッグクッションが最初は比較的緩やかな態様で膨張し(特に、搭乗者がエアバッグに接近しすぎている場合または「アウトオブポジション」の場合)、その後、膨張ガスが比較的大きい或いは高い圧力比率でエアバッグクッションに入り込むことが望ましい。そのような膨張を生み出すガス発生剤は、一般に、当技術分野では、「S」曲線での膨張ガス生成と称される。本開示の特定の原理にしたがって形成されるガス発生剤は、特にアウトオブポジションの搭乗者にとって非常に望ましいS曲線を有する上昇率に近づく。これらの特徴については、図6との関連で更に詳しく説明する。
【0063】
本開示の様々な実施形態の態様によれば、モノリシック加圧粒子構造は、低い上昇率を与える一方で、高い平均燃焼圧力と燃焼特性の優れた制御とを与える。また、好ましい実施形態において、従来の押し出しモノリシック粒子と比べてガス発生剤中に高分子結合剤及び/又は過塩素酸塩酸化剤が存在しないことにより、燃焼特性および排ガスが向上する。
【0064】
前述したように、モノリシックガス発生剤は、排ガス品質を向上させる。これは、ガス発生剤組成体が高分子結合剤と燃焼火炎温度を上昇させる過塩素酸塩などの関連する共酸化剤とを実質的に有さないことを含む高密度モノリシック粒子の幾つかの態様に起因し得る。燃焼温度が更に高い場合には、一般に、燃焼温度が高くなればなるほど、例えば一酸化炭素(CO)および窒素酸化物(NO)燃焼生成物のレベルまたは相対量が高くなることが観察された。様々な態様において、最大燃焼温度(火炎温度としても表わされる)は随意的には、例えば、約2300K未満であり、燃焼中の火炎温度は約1400K〜約2300Kである。特定の態様において、火炎温度は随意的には約2000K未満である。
【0065】
表1は、ペレットの形態を成す従来通りに形成されたガス発生剤から生成される排ガスと、図6に示されるものと類似する加圧モノリシック環状ディスク形状のガス発生剤から生成される排ガスとを比較しており、それぞれは、約28%の硝酸グアニジン、約13%の塩基性硝酸銅(II)、約4%の塩基性炭酸銅、約3%の二酸化ケイ素、約52%の塩基性硝酸銅アミノテトラゾールを有する同じガス発生剤組成からなる。米国自動車リサーチ協会(U.S.Council for Automotive Research(USCAR))は、エアバッグ装置における排ガス構成物質の最大推奨レベルのためのガイドラインを発表している。これらの排ガスの生成は、これらのガイドラインまで或いはこれらのガイドラインを下回るまで最小限に抑えられることが望ましい。車両拘束装置におけるトータルな現在のUSCARガイドラインが表1に含められている。また、排ガス構成物質のためのUSCARドライバ側ガイドラインの1/4(推奨レベルの25%)が通常のドライバ側割り当てとして含められている。
【0066】
表1は、NO、NO、および、NO排ガスを含む窒素酸化物種が減少され、そのため、改善されることを表わしている、フーリエ変換赤外線分析(FTIR)によるガス発生剤の燃焼中の排ガス分析を示している。表1から分かるように、排ガス中の亜酸化窒素種の総量は、ペレット粒子と比べて少なくとも約50%の量だけ減少される。例えば、一酸化窒素が約68%だけ減少され、二酸化窒素が少なくとも50%だけ減少される。残存する亜酸化窒素は、両方のガス発生剤における検出限界を下回る。また、排ガス中に生成される微粒子種も減少される。
【0067】
更に、ガス発生剤は過塩素酸塩含有酸化剤が実質的に無いため、排ガスはHClなどの塩化物種が実質的に無い。一酸化炭素およびアンモニアのレベルはほぼ同じであり、このことは、他の構成物質に関する有害な増大を何ら伴わない特定の排ガス構成物質の改善を明らかにしている。データから分かるように、発生剤燃焼のかなりの部分において中立〜漸進的な表面を有するモノリシック粒子は、USCARガイドラインの1/4未満の排ガス構成物質を生成し、一方、非常に退行的な表面積を有する従来のガス発生剤ペレットは、幾つかの排ガス構成物質に関してUSCARガイドラインの1/4を超える。したがって、モノリシックガス発生剤粒子は、様々な排ガス構成物質に関し、退行的な表面積を有しているために平均燃焼圧力が低い従来のガス発生剤粒子と比べて有利な全面的減少を示す。排ガス微粒子出力も、ペレットなどの従来のガス発生剤形状と比べてかなり減少される。
【表1】

【0068】
本開示にしたがって形成されるモノリシック粒子の他の利点としては、モジュールのアセンブリにおけるハードウェアの簡略化が挙げられる。多くの現在の膨張可能拘束アセンブリは、2つの異なるガス発生剤がインフレータ装置内で段階付けられる2段階ドライバインフレータを有する。第1のガス発生剤は、エアバッグクッションを第1の燃焼期間にわたって膨張させることができる十分なガス生成物を与えるが衝撃/衝突期間全体にわたって所要時間クッション圧力を維持するには不十分な燃焼速度およびガス発生量を有する。したがって、第2のガス発生剤(時として、異なる組成を有する)は、第2の段階で点火される。この場合、第2のガス発生剤は、衝撃中の第2の段階にわたって加圧ガス生成物をバッグへ供給する。そのような段階付けは、激突の程度に応じて衝突中に衝撃力に比例的に応答するために使用することもできる。しかしながら、2段階ドライバは、複雑な機械的ハードウェアおよび制御システムを有しており、高価である。また、二重ガス発生剤は、制御されない共鳴的点火反応をもたらす可能性がある。
【0069】
例えば、2段階ドライバのための一般的形態は、第1の点火システム内に第2の点火システムを組み込むことを含む。二重点火装置は、封入設備、電気配線、イニシエータ、短絡クリップ、ステージングカップ、蓋、更に複雑なベースなどを含む様々なハードウェアコンポーネントにおいて冗長性をもたらす。また、発生剤の更なる段階のために他のガス発生剤ローディングステーションが必要とされる。動作中、点火の第2の段階にわたる燃焼圧力の制御は困難である。これは、第1の段階が依然として点火している場合があり及び/又は第1の段階が既に加圧ガスで周囲領域を加熱してしまっているからである。蓋とカップとの間の流れ領域が一貫していない可能性があり、また、燃焼圧力を第2の段階から制御することが困難となる可能性がある。更に、場合によっては、第1の段階から組み込まれた第2の段階への燃焼ガスの漏れによって面倒な事態が起こる可能性がある。この場合、第2の段階の発生剤の意図しない燃焼が起こる可能性がある。
【0070】
本開示の様々な実施形態によれば、モノリシック加圧ガス発生剤は1段階ドライバ膨張可能拘束装置に適している。これは、ガス発生剤粒子が急速な反応速度および十分な持続性燃焼圧力を有しており、それにより、アウトオブポジション(OOP)状態の搭乗者を危険に晒すことなく複数の膨張段階のどのような必要性をも排除するからである。したがって、本開示の様々な実施形態に係る1段階の改良されたガス発生剤の使用により、前述したハードウェアおよび面倒な事態の全てを回避できる。そのため、1段階インフレータにおいて図6の形状に類似する粒子形状を使用することにより、2段階動作および関連する複雑なハードフェアを必要とすることなく、優れたOOP性能を与えることができる。
【0071】
本開示の実施形態は、本明細書中に含まれる特定の例によって更に理解され得る。特定の例は、本開示の組成体および方法の形成方法および使用方法に関して例示目的で与えられており、また、別な方法で明確に述べられていなければ、この本開示の所定の実施形態が作られ或いは検査されたこと或いはそうでなかったことを表わそうとするものではない。
【0072】
実施例1
1つの例では、冷却剤(塩基性炭酸銅)が、噴霧乾燥されたガス発生剤組成体と乾式混合される。混合された粉末は、その後、回転式医薬プレス上でロール圧縮または軟加圧によって圧縮される。混合された粉末は、少なくとも約40000psig(約275MPa)の印加圧力を用いて圧縮され、その後、適切なダイ充填が達成されるようにそのバルク密度を増大させるべく粒状化される。このプロセスにより、バルク密度が約0.75〜1.75g/ccまで増大される。予め圧縮された粉末は、その後、グラファイトなどの解放剤と混合され、例えば図6に示されるような複数の開口を伴う環状ディスク形状などの所望の形状を有する予備成形ダイ内に配置される。ダイおよび粉末は、50トンを超える力を及ぼすことができる大型で総トン数の高い液圧プレス内に配置される。原材料が加圧され、モノリシックガス発生剤固体が形成される。
【0073】
本開示の様々な実施形態は、膨張可能拘束装置で用いるモノリシックガス発生剤粒子を形成する方法であって、従来のウェハおよびペレットと比べて小さい初期表面積を与え、したがって、OOP挙動を改善するモノリシックガス発生剤粒子を形成する方法を提供する。モノリシック粒子が燃焼すると、表面積が増大し、それにより、搭乗者拘束全体が維持され或いは更には改善される。この場合、モノリシックガス発生剤粒子は、従来のガス発生剤ペレットまたはウェハよりもかなり高い平均燃焼圧力を有する。また、本開示の方法は、工業的に実用性のある、モノリシックガス発生剤粒子の大量生産の方法を提供する。更に、本開示の方法は、性能特性を向上させつつロット間の性能変動を制御することを含む。
【0074】
排ガス品質の更なる改善は、本開示の特定の実施形態の他の態様によって達成される。この態様では、ガス発生剤形成体を押し出すのとは対照的に、モノリシック粒子を加圧することによりガス発生剤粒子が形成される。この場合、ガス発生剤粒子は、高分子結合剤が実質的に無く、圧縮強度の適用による形成に起因して強固な安定性を有する。特定の実施形態において、ガス発生剤粒子の実密度は最大理論密度の95%を超える。燃焼速度、燃焼プロファイル、排ガス品質、強度、耐久性は、環境条件および点火に耐えることができる能力並びに粒子の耐久性および一体性を含めて、また、クラック、チップ、空隙、および、他の欠陥の回避を含めて、本開示の原理にしたがって形成される際に著しく向上される。
【0075】
更にまた、本開示は、経済的に製造でき且つ異なる生産ロット間で一貫した形状および火薬組成を与える火薬組成体を提供する。また、本開示は、従来のガス発生剤の限界の1つ以上を克服する燃焼速度が高いガス発生剤粒子を提供する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モノリシックガス発生剤粒子を形成するための方法であって、
ガス発生剤材料と衝撃性能改質剤とを混ぜ合わせて混合物を形成するステップと、
前記混合物を粒状化するステップと、
前記粒状化された混合物に対して圧力を印加することにより加圧モノリシックガス発生剤粒子を形成し、前記加圧モノリシックガス発生剤粒子がガス発生剤の最大理論密度の少なくとも約95%の実密度を有するステップとを含む方法。
【請求項2】
前記ガス発生剤粒子は、直径に対する長さの比率が約3.5〜約8の複数の開口を有する環状ディスクであり、ディスクの初期表面積が約13000mm未満であり、ガス発生剤粒子の線形燃焼速度が約3000ポンド/平方インチの圧力で約1.6インチ/秒以上であり、ガス発生剤粒子の密度とガス発生量との積が約5.0モル/100cm以上であり、ガス発生剤粒子は高分子結合剤が実質的に無い、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記粒状化の前に、少なくとも約40000psig(275MPa)の圧縮力を加えることによって前記混合物が圧縮される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
混合の前に、以下のプロセス、すなわち、噴霧乾燥、乾式混合、および、湿式粒状化のうちの1つ以上によってガス発生剤粉末を形成することにより前記ガス発生剤材料が生成される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記混合の前に、前記ガス発生剤材料の1つ以上の衝撃特性が決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記混合は、第1の量のガス発生剤と第2の量の衝撃性能改質剤とを混合させることを含み、ガス発生剤の前記第1の量および衝撃性能改質剤の前記第2の量は、ガス発生剤材料の前記1つ以上の衝撃特性に関連する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
請求項1の方法において、前記加圧ガス発生剤粒子の前記形成は、更に、
前記粒状化された混合物をダイキャビティ内へ導入することを含み、ここで、前記粒状化された混合物が、第1の側と、前記第1の側と反対の第2の側とを有し、
圧力の前記印加は、前記第1の側および前記第2の側に沿って前記粒状化された混合物に圧力を印加して前記加圧モノリシック粒子を形成することを含み、
前記加圧ガス発生剤粒子の前記形成は、前記第2の側よりも大きい圧力を前記第1の側に加えて前記加圧モノリシック粒子をダイから押し進めることによって前記ダイから前記加圧モノリシック粒子を取り出しつつ、前記取り出しの期間の一部にわたって前記第2の側での印加圧力を維持することを更に含み、前記第2の側での前記印加圧力が約3000psig(約21MPa)以上である。
【請求項8】
前記ダイキャビティの表面、前記第1の側、および、前記第2の側のうちの少なくとも1つに対してプレス解放剤を加えることを更に含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
ガス発生剤は、約1.9g/cm以上の密度を有し、100gのガス発生剤につき約2.4モルを上回るガス発生量を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
ガス発生剤は、高分子結合剤および過塩素酸塩含有酸化剤が実質的に無い、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
発生剤は、1つ以上の開口を備える環状ディスクの形態を成す加圧モノリシック粒子であり、ディスクの初期表面積が約13000mm未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
ガス発生剤粒子が少なくとも約62%の荷重密度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記粒状化された混合物がプレス解放助剤を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記混合は、非高分子結合剤を前記混合物に導入することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
モノリシックガス発生剤を形成するための方法であって、
ガス発生剤材料をダイキャビティ内へ導入するステップであって、ダイキャビティ内のガス発生材料が、第1の側と、前記第1の側と反対の第2の側とを有するステップと、
前記第1の側および前記第2の側に沿って前記ガス発生剤材料に圧力を印加して、ガス発生剤材料の最大理論密度の約95%以上の実密度を有する加圧モノリシック粒子を形成するステップと、
前記第2の側よりも大きい圧力を前記第1の側に加えて前記加圧モノリシック粒子をダイから押し進めることによって前記ダイから前記加圧モノリシック粒子を取り出しつつ、前記取り出しの期間の一部にわたって前記第2の側での印加圧力を維持するステップであって、前記印加圧力が約3000psig(約21MPa)以上であるステップとを含む方法。
【請求項16】
ガス発生剤材料は、ガス発生剤材料、燃焼速度改質剤、および、解放剤を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記解放剤は、グラファイト、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、および、これらの混合物からなる群より選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記ガス発生剤材料が粉末であり、圧力の前記印加が第1の段階および異なる第2の段階で生じ、前記第1の段階は、前記ガス発生剤粉末を脱気するために約20000psig(約138MPa)未満の印加保持圧を有する、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
ガス発生剤材料に対する前記第1の側と前記第2の側との間での圧力の前記印加は、約70000psig(約480MPa分)以上の圧密圧力を生み出す、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
ガス発生剤材料に対する前記第1の側と前記第2の側との間での圧力の前記印加は、約70000psig(約480MPa)以上のピーク圧密圧力を生み出し、前記ピーク圧密圧力中のドウェル時間が約0.1〜約5秒である、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
ガス発生剤材料の前記第1の側と前記第2の側との間での圧力の前記印加が事前加圧段階を含み、前記事前加圧段階圧力中の事前プレスドウェル時間が約0.1〜約3秒である、請求項15に記載の方法。
【請求項22】
前記取り出しの期間の一部にわたる前記第2の側での印加圧力の前記維持は、約3200psig(22MPa)〜約6700psig(46MPa)の範囲の圧力である、請求項15に記載の方法。
【請求項23】
モノリシックガス発生剤を形成するための方法であって、
ガス発生剤材料と衝撃性能改質剤とを混ぜ合わせて混合物を形成するステップと、
少なくとも約40000psig(約275MPa)の印加圧力を用いて前記混合物を圧縮するステップと、
前記混合物を粒状化するステップと、
前記粒状化された混合物に対して約70000psig(約480MPa)よりも大きい圧力を印加することにより加圧モノリシックガス発生剤粒子を形成するステップであって、前記加圧モノリシックガス発生剤粒子が約13000mm未満の初期表面積を有し、ガス発生剤の質量密度とガス発生量との積が約5.0モル/100cm以上であり、ガス発生剤粒子は、高分子結合剤が実質的に無く、ガス発生剤の最大理論密度の少なくとも約95%の実密度を有するステップとを含む方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公表番号】特表2010−522687(P2010−522687A)
【公表日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−500908(P2010−500908)
【出願日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際出願番号】PCT/US2008/002654
【国際公開番号】WO2008/118273
【国際公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【出願人】(597065363)オートリブ エーエスピー,インコーポレイティド (87)