説明

モレキュラーシーブに閉じ込められた金属クラスターを含む発光ランプ

本発明は、室温またはそれより高い温度において放射線源によって放出される非可視光を可視光に変換するために、モレキュラーシーブ内に閉じ込められたオリゴ原子金属クラスターのアセンブリを含む発光素子に向けて、使用時に280nm未満の波長範囲内の放射線を放出する放射線源を含む発光システムであって、さらに前記発光システムの透明なエンベロープを含む発光システムに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は概して閉じ込められた金属原子クラスター、好ましくはケイ素、銀、銅および金、を用いた白色光および着色光の発光に関し、さらに具体的には、フォトルミネッセンス型照明のための発光材料としてオリゴ原子銀クラスターを含むモレキュラーシーブの仕様に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
本発明はモレキュラーシーブ内に閉じ込められた金属オリゴ原子クラスター、たとえばゼオライト、の発光材料を含む蛍光ランプなどの発光ランプに関する。
【0003】
近年、所望の特性を有するゼオライトの合成において、構造指向剤(SDA:structure directing agent)の選択、合成条件の制御および合成後処理により、専門的知識が得られている。
【0004】
【表1】

【0005】
同時に、規則的メソ多孔性材料の族は、異なる界面活性剤および合成条件の使用により、大いに拡大された。
【0006】
【表2】

【0007】
適切な鋳型の使用は、ゼオライト合成における孔サイズ、分散および結合性の制御を可能とする。例えば、界面活性剤、例えば臭化セチルトリメチルアンモニウムまたは臭化ドデシルトリメチルアンモニウムなどの使用は、一般にメソ多孔性材料の形成をもたらす。好ましい実施態様において、該モレキュラーシーブは、モルデナイト、ZSM−5、A−ゼオライト、L−ゼオライト、フォージャサイト、フェリエ沸石、菱沸石型のゼオライト、および上述のゼオライトの混合物からなる群から選択される1以上のものである。
【0008】
本発明の該材料、例えば、オリゴ銀原子クラスターを含むゼオライトは、安価かつ非毒性である。ゼオライトは、現在、洗浄パウダーに大量に使用されており、また、銀はその抗菌特性にも関わらず、人体組織への公知の毒性効果を有していない。コロイド銀は、例えば、酸化的ストレスおよび活性酸素種の生成に対する保護活性のため栄養補助食品として、広く市販されている。
【0009】
バンドギャップを持っていない、良好な導電体であるバルク金属とは対照的に、小さな金または銀クラスターは、とびとびのエネルギー準位からの興味深い発光特性を示す。この現象は、希ガスマトリクス中、水溶液中および酸化銀フィルム上の100原子より小さい銀で実証された。これら小さな銀クラスターの分子特性および離散エネルギー状態は、量子化学的計算により確認される
【0010】
【表3】

【0011】
小さな金または銀クラスターの研究および作製における主な問題は、発光のロスとなる、大きなナノ粒子への、ひいてはバルク金属への凝集である。ここで、限定された大きさの孔、空洞およびとトンネルを有する孔性構造の使用が、凝集の問題を解消し、発光体を経時的に安定化できることが示される。
【0012】
モレキュラーシーブ中の銀クラスターは、顕著な安定性を示す(Ref: Bogdanchikova, N. E., Petranovskii, V. P., Machorro, R., Sugi, Y., Soto, V. M, & Fuentes, S. (1999) Applied Surface Science 150, 58-64.)。Bogdanchikovaらは、モレキュラーシーブの組成、例えばSiO2ZAl23のモル比、に関連し得る銀クラスターの安定性が、酸強度に左右されることを見出した。弱酸性部位を有するモルデナイト中の銀クラスターは、可視光源での使用のための本発明の思想に関して十分な長期間である、少なくとも50ヶ月の間、安定である。クラスターの消失は、酸化と関連している。クラスターまたは無酸素もしくは低酸素デバイスの還元は、明らかにさらにその安定性を高めることができた。本発明の1実施形態において、金または銀クラスターは、モレキュラーシーブ内での封入化により、酸化から保護される。さらに、必要な場合は、閉鎖金属クラスターをさらに保護するために、材料結晶の外部被覆または孔の入口のキャッピングを用いることができる。
【0013】
最先端の技術は、モレキュラーシーブ内に埋め込まれたオリゴ原子金属クラスターによる、非可視光、例えば紫外領域でのエネルギーから、より低いエネルギー、例えば可視光への室温変換を全く示唆も実証もしていない。
【0014】
いくつかの先端技術は、銀がゼオライト充填された光物理的特性に関係する。例えば、Chenらは、Yゼオライトに銀クラスターの代わりとしてヨウ化銀(AgI)を充填し、254nmの光を照射または負荷したが、可視発光の観察または記述はされていない(Chen, W.. JoIy, A. G., & Roark, J. (2002) Physical Review B 65, 245404 Artn 245404, US patent 7067072およびUS patent 7126136)。Calzaferriらは、 ゼオライトを含む銀金属による254nmの光の吸収を実証したが、発光の通知はされていない(Calzaferri. G.. Leiggener, C, Glaus. S., Schurch. D.. & Kuge, K. (2003) Chemical Society Reviews 32, 29-37.)。Kananらは、いくつかの銀(I)交換されたゼオライトYの発光強度を示したが、200K以下の温度で励起された場合のみである(Kanan, M. C, Kanan, S. M., & Patterson, H. H. (2003) Research on Chemical Intermediates 29, 691- 704)。要するに、本発明のランプまたは照明システムまたはデバイスは実施例に限定されるものではなく、本発明の思想におけるものである。
【0015】
本発明は、たとえば、白色または着色の可視光の室温以上での発光を伴う白色光および着色発光材料を含む、可視光ランプおよび関連物の分野に関する。係るデバイスは、このように閉じ込められた金属オリゴ原子クラスター、より具体的にはモレキュラーシーブ(たとえば、A3、A4およびA5ゼオライトのようなゼオライト)内に取り込まれたオリゴ原子銀クラスターの、働きを通して、生じるフォトルミネッセンス型照明のための発光材料を含んでいる。
【0016】
そのような発光材料は、特に、紫外線の範囲(たとえば限定されないが、254nmの光)現在蛍光ランプに一般に使用されている第1の水銀紫外線源の発光ラインである、を可視光に変換することができるという特性を有することが見出された。また、本発明の発光材料は、システム全体の発光効率よりも低い可視範囲の大きな吸収を示さない。
【0017】
本発明は、概して閉じ込められたオリゴ原子金属クラスターを用いた白色および着色光の発光に関し、より具体的には、フォトルミネッセンス型照明のための発光材料としてこれらのオリゴ原子金属クラスターを含むモレキュラーシーブの仕様に関する。
【0018】
極端に高いおよび安定な活性化後の発光は、減衰曲線による発光波長の記録を可能とし、多様な発光の存在を証明する。オリゴ原子銀クラスターを含むモレキュラーシーブは、フォトルミネッセンス型照明のための発光材料として使用される。
【0019】
本発明の発光材料中のこれらのオリゴ原子金属クラスターを含むモレキュラーシーブの明るく安定な発光は、蛍光ランプの第2の光源として、または、ラベルまたはたとえばバイオラベルまたはセキュリティラベルとして使用されることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
発明の概要
本発明は、低エネルギ消費ランプを提供することにより、関連する技術分野の問題を解決する。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明の目的に従って、この中で具体化され広く記載されるように、本発明は、400nm未満、好ましくは300nm未満、の波長を用いた励起が、可視範囲の放射線または可視範囲に近い放射線を発する放射線源を含む照明システムであることが広く記載されている。本発明の目的に従って、本発明は、室温またはそれより高い温度において放射線源により発光される非可視放射線を可視光に変換するために、モレキュラーシーブ(好ましくは、ゼオライト)の中に閉じ込められた、金、銀、プラチナ、パラジウム、ケイ素およびロジウムからなる群の貴金属の小クラスター(好ましくは、金および/または銀クラスター)のアセンブリを含み、さらに、前記照明システムの透明なエンベロープを含む。
【0022】
そのような照明システムは、さらに光転位部材、または、所望の方向の可視光を変換するための変換方法を含むことができる。また、放射線源は、放射線変換部材、または、接触し、または、接続されることができ、光線を変換するための放射線変換方法は、発光方法となり得る。このようなシステムは、さらに前記クレームのいずれかの発光システムを含むことができ、さらに光変換部材、または、所望の方向における可視光の変換のための変換方法を含むことができる。放射線変換部材または放射線変換方法は、モレキュラーシーブに閉じ込められた小金およびまたは銀クラスターのアセンブリへ励起された放射線を向ける。
【0023】
本発明の一面において、本発明の照明システムは、放射線源を含み、該放射線源は中波長紫外(UVC)線放射線源、または、該放射線源は遠紫外(FUV)または真空紫外(VUV)線放射線源であってもよく、極紫外(EUV)または深紫外(XUV)線放射線源であってもよい。
【0024】
本発明の他の面において、該発光システムは、エンベロープに囲まれている。このエンベロープは、たとえばバルブまたはチューブであることができ、好ましくは放射線耐性、たとえば紫外線耐性である。
【0025】
本発明の一面において、本発明の照明システムはモレキュラーシーブに閉じ込められた、たとえば、金、銀および/またはそれらの合金のオリゴ原子金属クラスターを含むアセンブリを備えており、それはマトリクス中に備えられている。そのようなマトリクスは、さらに粒子バインダを含んでいてもよい。該アセンブリは、モレキュラーシーブ中に閉じ込められた小さな金および/または銀クラスターの粉体アセンブリであることができる。
【0026】
本発明の特定の実施態様において、発光システムは、レーザー、光発光ダイオード放射線源、または、水銀およびリーランプなどの他のタイプの励起源である放射線源を有している。
【0027】
発光システムは、白色光および/または特定の着色光の発生のために、所定の色温度で使用されることができる。それは他の光源と比較した標準であるため、理想黒体ラジエータからの熱放射の色温度は、ケルビン、または代替的にミレッド(micro-reciprocal degrees kelvin)で表わされるその表面温度に等しいものとして定義される(Wallace Roberts Stevens(1951))。
【0028】
本発明の発光システム内のクラスターは、たとえば1−100原子のオリゴ原子クラスターである。本発明におけるモレキュラーシーブは、概して構造的に明確に定義されていない固体または材料に関し、その孔サイズ分布は、それが正確に繰り返される材料の結晶性である微小構造によって制御されているため、非常に狭いものである。これらの材料は、「モレキュラーシーブ」と呼ばれ、最も重要な例はゼオライトである。いくつかのゼオライト材料は順序付けられ、多孔性結晶アルミノケイ酸塩X線回折によって決定される明確な決勝構造を有しており、その中に、多数のさらに小さな流路または孔によって相互接続されていてもよい多数のより小さな空洞がある。これらの空洞および孔は、特定のゼオライト材料においてサイズが統一されている。これらの孔の寸法は、ある寸法の分子の吸着を受入れ、一方でより大きな寸法のものを拒絶するような大きさであるため、これらの材料は「モレキュラーシーブ」として知られており、これらの特性の利点を生かすさまざまな方法に利用される。そのようなモレキュラーシーブは、天然および合成のいずれも、広い種類の陽イオン含有結晶ケイ酸塩を含んでいる。これらのケイ酸塩は、堅固な三次元フレームワークの酸化ケイ素、および、周期表IIIB族元素酸化物、たとえば酸化アルミニウム、として記載されることができ、そこでその4面体は酸素原子を分け合うことにより架橋され、IIIB族元素、たとえばアルミニウム、の総量、および、IVB族元素、たとえばケイ素、の酸素原子に対する原子数の比は1:2である。
【0029】
本発明のためのモレキュラーシーブは、ゼオライト、多孔性酸化物、アルミノケイ素リン酸塩、ガロリン酸塩、リン酸亜鉛、チタノケイ酸塩、および、アルミノケイ酸塩、または、それらの混合物からなる群から選択されることができる。本発明の特定の実施形態において、本発明のモレキュラーシーブは、ZSM−5、MCM−22、フェリエライト、フォージャサイトXおよびYからなる群からのラージポアゼオライトから選択される。本発明の他の実施形態におけるモレキュラーシーブは、ゼオライト3A、ゼオライト13X、ゼオライト4A、ゼオライト5AおよびZKFからなる群から選択される材料である。
【0030】
モレキュラーシーブまたは微小孔性構造内に閉じ込められたオリゴ原子金属クラスターは、たとえば、シリーコン、エポキシ、接着剤、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネートなどの透明マトリクス材料中に設けられた膜またはフィルム内に組込まれることができる。さらに、本発明のモレキュラーシーブ、または、規則正しく含まれるオリゴ原子銀クラスターは、表面コーティングのためのフィルム形成材の塗料または液体に組込まれることができる。媒体(塗料、ジェル液体、エラストマー)、および、たとえばエラストマー重合体で満たされたそのような膜またはフィルムを達成するための製造方法が使用でき、それは、モレキュラーシーブ内、または、規則正しい多孔酸化物(微小多孔またはメソ多孔または混合メソ多孔/微小多孔)内に閉じ込められたオリゴ原子金属クラスター、または、ナノメータ寸法(0.3−10nm)の窓、チャネルおよび空洞構造を有する多孔性材料を含んでいる。そのようなエラストマー重合体の典型的ではあるが限定的ではない例は、ポリジメチルシロキサン(シリコーンゴム)、ポリイソブチレン(ブチルゴム)、ポリブタジエン、ポリクロロプレン、ポーリングイソプレン、スチレンブタジエンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、エテンプロペンジエンゴム(EPDM)およびアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)である。そのようなオリゴ原子金クラスターを含むモレキュラーシーブのフィルムまたは膜、オリゴ原子銀クラスターを含む規則正しいメソ多孔および/または微小多孔酸化物、または、オリゴ原子銀クラスターを含むナノメータ寸法(たとえば0.3−10nm)の窓、チャネルおよび空洞構造を有する多孔材料が基質の上に被覆されていてもよい。ASTM(米国材料試験協会)規格によれば、「エラストマー」は「弱いストレスおよびストレスの解放による実質的な変形の後に、ほぼ初期の寸法および形状に戻るマクロ分子材料」として定義される。エラストマーはしばしば「ゴム状材料」とも言われる。「ゴム」は「大きな変形から迅速および強制的に回復することができ、ベンゼン、トルエン、メチルエチルケトン、および、エタノール/トルエン共沸混合物などの沸騰溶媒中に基本的に不溶性である(膨潤することはできるが)ある状態に修飾されることができ、または既に修飾されている材料」と定義されている。
【0031】
微小多孔構造内に閉じ込められたオリゴ原子金属クラスターを有する膜の調製において、微小多孔構造はまず適切な溶媒中に分散される。適切な溶媒は、低イオン強度の溶媒(たとえばイオン強度値が1mmol/Lから0.05mmol/Lの範囲にある)であり、エラストマーを十分に溶解することのできるものであり、または少なくとも膜形成ポリマーが溶解された溶媒に部分的に混和性であるものである。分散を改善するために、超音波処理、高速混合、修飾反応を適用することができる。
【0032】
その中に閉じ込められたオリゴ原子金属クラスターを有する多孔構造、および、該分散中のポリマーの範囲は、1重量%から80重量%の範囲であることができ、好ましくは20重量%から60重量%である。該分散は、分散を改善するため、および、可能であれば化学反応を起こさせるために、一定の時間(ポリマー/充填材)相互作用が達成されるようにかき混ぜられる。適切な場合、分散は加熱され、または、超音波で分解されてもよい。
【0033】
微小多孔性材料中の金属クラスターは、モレキュラーシーブまたは微小多孔性構造の中にあり、塗料または印刷インク(たとえば、印刷可能なマトリクス印刷インク)または印刷可能な塗料、ニス(たとえば上塗りニス)および基板上の層またはコーティングに堆積する、吹付ける、印刷する、または、塗るための塗料に組込まれてもよい。本発明の発光材料を含有するために適した該分野の印刷インクまたは塗料は、たとえば、硬質樹脂、コロフォニー修飾フェノール樹脂、マレイン酸エステル樹脂、水素化鉱油カット、合成アロマオイル、アルキド樹脂、特に炭化水素樹脂および/またはコロフォニー樹脂エステル、および、ジ−n−ドデシルエーテル、ジ−n−ウンデシルエーテル、アリル−n−オクチルエーテル、n−ヘキシル−n−ウンデシルエーテルなどの担体としてのジアルキルエーテルである。特に適切な溶媒は、多価アルコールまたはエタノールの水不溶性脂肪酸エステル樹脂である。当該技術分野の適切な印刷インクはUS4028291、US4169821、US4196033、US4253397、US4262936、US4357164、US5075699、US5286287、US5431721、US5886066、US5891943、US6613813およびUS5965633に記載されている。本発明のそのような発光材料は、基材上に塗られ、印刷され、または、被覆されてもよい。
【0034】
溶媒キャスティングまたはコーティングは、膜調製工程として使用される。
コーティングの特定の方法は、オリゴ原子銀クラスターを含むモレキュラーシーブの溶液堆積であり、オリゴ原子銀クラスターを含むモレキュラーシーブ、オリゴ原子銀クラスターを含む規則的なメソ多孔および/または微小多孔酸化物、または、基材上のそのような構造(以下、その中に閉じ込められたオリゴ原子金属クラスターを有する多孔性材料)内に閉じ込められたオリゴ原子金属クラスターのアセンブリを備えた、ナノメータ寸法(たとえば0.3−10nm)の窓、チャネルおよび空洞構造を有する多孔性材料への、スプレーコーティング、ディップキャスティング、ドロップキャスティング、エバポレーティング、グレードキャスティング、または、スピンコーティングを含む。
【0035】
該分散(その中に閉じ込められたオリゴ原子金属クラスターを有するポリマー/多孔性構造)は、後で除去される自己補強フィルムを形成するための非多孔性補強材上にキャストされることができる。一方向の少量の実現は、溶媒の前にそれを浸漬することによるものであり、分散のための低い親和性を有している。また、補強材は接着増強剤で処理されてもよい。
【0036】
キャスティングまたはコーティングの後に、溶媒は蒸発され、および、必要であれば架橋反応を終結させるために加熱処理が施されてもよい。加熱処理は、可能なら残った溶媒を除去するために真空条件下で行なわれる。結果として生じた補強された膜は、0.01μmから500μm、好ましくは0.1から250μm、さらに好ましくは10から150μmの範囲内の厚さのこの選択的層を有するエラストマーで満たされる。
【0037】
最も重要なエラストマーは、ポリイソプレン(天然または合成ゴム(IR))、ポリクロロプレン(クロロプレンゴム(CR))、ブチルゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、エテンプロペンジエンゴム(EPDM)、アクリロニトリロブタジエンスチレン(ABS)、塩化スルホン酸ポリエチレン(CSM)、ポリアクリレート(ポリアクリル酸ゴム)、ポリウレタンエラストマー、ポリジメチルシロキサン(PDMS、しばしばより一般的にはシリコーンゴムと呼ばれる)、フッ化シリコーン、およびポリスルフィドである。
【0038】
ポリスチレンは、部分的に放射線に対して耐性である熱可塑性ポリマーである。
本発明の多孔性構造を有するフィルムは、使用環境に応じた特定の性質を必要としてもよい。さまざまな代わりのポリマーはデザインの自由性を提供し、複雑な形状をデザインするために、部分をより少ない構成に統合し生産物を単純化するために、透明なおよび予め着色された部品を生産するために、重量を減じるために、オリゴ原子金属クラスターを有する多孔質構造が動くときのノイズを減じるために、上昇した温度での信頼できる機能性を有するために、厳しい気候での化学的耐性を有するために、所望の剛性、強度および強靭性を有するために、経時の加水分解安定性を有するために、所望の外観を有するための電気的特性を有するために当該技術分野の調整プロトコルが利用できる。
【0039】
本発明の多孔性構造に組込まれるための適切なポリマーは、たとえば、Spire(商標)族のウルトラポリマー、たとえば1)極めて優れた化学的耐性および機械的機能性を300℃(570°F)まで提供する成形しやすいウルトラポリマーであるKetaSpire(登録商標)ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、または、AvaSpire(登録商標)(修飾PEEK、PEEK型フォーミュレーション、または、2)PrimoSpire(登録商標)自己補強されたポリフェニレン(SRP)であり、表面硬度、化学耐性および固有の難燃性の優れた組合せを備えた非常に硬く強力な補強されていないポリマーにデザインすることのできるものとして知られている、または、3)EpiSpire(商標)、265℃(510°F)までの温度で優れた耐クリープ性を備えた透明なアモルファスポリマーであることが知られている高温スルフォン(HTS)、または、4)Torlon(登録商標)、優れた化学耐性、クリープ耐性および耐摩耗性と組合された275℃(525°F)までの熱可塑性を備えており高い強度と硬さを備えたポリアミドイミド(PAI)である。本発明のその中に閉じ込められたオリゴ原子金属クラスターを備えた多孔性構造に組込まれるための適切な他のポリマーは、1)特別な化学耐性、良好な加水分解安定性、および、345°F(374℃)のHDTを備えた頑丈で透明なプラスチックにデザインすることのできることが知られているUdel(登録商標)PSU、2)優れた電気特性を備えた修飾ポリスルフォンであるMindel(登録商標)、3)405°F(207℃)のHDT、優れた化学耐性、および、重大な特性のロスなく蒸気滅菌され得る特徴的な能力を備えた極めて頑丈で透明なプラスチックを供給することが知られているRadel(登録商標)R(PPSU)、または、4)400°F(204℃)の高いHDTと良好な化学耐性を備えた透明なプラスチックを供給することが知られているRadel(登録商標)A(PES)、または、修飾PPSUであるAcudel(登録商標)などのアモルファススルフォンポリマー族である。本発明のその中に閉じ込められたオリゴ原子金属クランプを備えた多孔性構造に組込むために適した他のポリマーは、たとえば、特別な機械的特性、535°F(280℃)のHDT、優れた化学耐性、および低い水分吸収性を備えた高温ナイロンを供給することが知られたポリフタルアミド(PPA)であるAmodel(登録商標)、または、特別な表面形状、低くかつ遅い水分吸収、および優れたフロー特性に未処理の堅固さを組合せた美的、構造的特徴を有するナイロンを供給することが知られているポリアリルアミド(PA MXD6)であるIxef(登録商標)などの、半結晶性芳香族ポリアミドが挙げられる。本発明のその中に閉じ込められたオリゴ原子金属クラスターを備えた多孔性構造に組込むための適切な他のポリマーは、良好な温度および化学耐性とともに、固有の難燃性を備えた高流動の構造プラスチックを供給するポリフェニレンスルフィド(PPS)であるPrimef(登録商標)、または、570°F(300℃)のHDTおよび極めて高い化学耐性を備えた高流動、高温プラスチックを供給することが知られた液晶ポリマー(LCP)であるXydar(登録商標)などの半結晶性ポリマーが挙げられる。これらは、ソルベー改良ポリマーのデザインおよび形成誘導処理に利用できる。
【0040】
本発明のその中に閉じ込められた多孔性構造オリゴ原子金属クラスターおよびポリマーに基づく発光フィルムの製造の特定の例は、たとえば、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、RTV−615AおよびB(密度1.02g/ml)、ならびに、General Electric Corp.(USA)から得られる接着増強剤(SS4155)である。成分Aはビニル基を備えたプレポリマーである。成分Bは、水素基を有しており、架橋剤およびEPDM(DSMからのKeltan 578)および使用前に十分に乾燥された。
【0041】
それは、ヘキサン中の本発明のその中に閉じ込められたオリゴ原子金属クラスターを含む多孔質構造体(たとえば、オリゴ原子銀クラスターを含むゼオライト)の粉末を分散させる調整により生産されることができる。その際、本発明のその中に閉じ込められたオリゴ原子金属クラスターを含む多孔質構造体の分散に架橋剤(RTV615B)を加え、両方の層の間の強力な相互作用が達成されるのに十分な時間を得るためにこの混合物を40℃で2時間攪拌する。プレポリマー(RTV615A)を追加し、その混合物をさらに1時間60℃で攪拌してプレポリメライゼーションを誘導する。ペトリ皿に(PDMS/ZSM−5 CBV 3002)を注ぎ、数時間溶媒を蒸発させて、その結果得られたフィルムは100℃で保存された。キャスティング溶液中の固体成分の内容(たとえばPDMSおよび充填材)は、18.5重量%であった。最適なポリマー保存のためのRTV615A/B比は、ゼオライト上の表面シラノール基とのそれらの反応による水素基のロスを補償するためには7であった(通常は望ましい保存のための比として製造者により提案された値は10/1比である)。
【0042】
柔軟性基材熱可塑性材料(たとえば、ポリエチレンナフタレン(PEN)、ポリエーテルスルフォン(PES)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PED)、ポリプロピレン(PP)、配向ポリプロピレン(OPP)、など)、およびガラス(たとえば、ホウケイ酸塩)基材のためには、これらのアプリケーションのために用いられてもよい。特徴的に低い液相温度を有する(または、特定の実施形態において低いガラス転位温度を有する)低液相温度材料は、柔軟性基材上にバリア層を形成するために用いることができ、柔軟性基材上に、たとえば、スパッタリング、高エバポレーション、レーザーアブレーション、フラッシュエバポレーション、吹き付け、注入、フリット蒸着、蒸着、ディップコーティング、塗装または圧延、スピンコーティング、または、それらのいずれかの組合せによって堆積することができる。その中に閉じ込められたオリゴ原子金属クラスターを含む多孔質構造体は、低液相温度材料中に組込むことができる。そのような低液相温度材料は限定されないが錫、フルオロリン酸塩ガラス、カルコゲナイドガラス、テルライトガラスおよびホウ酸塩ガラスを含む。
【0043】
本発明の特定の実施形態において、たとえば金および/または銀の小さなクラスターを含むモレキュラーシーブの孔は、マトリクスで被覆されるか、ストッパー分子で塞がれる。
【0044】
さらに、本発明は、放射線透過法による要素または媒体のモレキュラーシーブ内に閉じ込められた小さな金および/または銀クラスターのアセンブリへの直接的接触による、前記放射線源からの400nm未満の波長における励起放射線の変換を含む、室温以上における非可視線の可視光への変換のための方法をも包含する。
【0045】
非可視線を可視光に変換するために、本発明の発光システムはシュウ酸塩、水酸化物、アジド、炭酸塩、重炭酸塩、硫酸塩、亜硫酸塩、塩素酸塩、過塩素酸塩、酢酸塩およびギ酸塩などの電荷補償アニオンの存在により小金属クラスターなどの貴金属との電荷相互作用を生じることを必要としない。
【0046】
本発明の適用性のさらなる範囲は、以下に与えられる詳細な記載から明らかとなる。しかし、詳細な説明および特定の実施例は、発明の好ましい実施態様を示しているものであり、例示としてのみ与えられるものと理解されるべきであり、本発明の思想および範囲においての種々の変更および修飾は、この詳細な説明から当業者に明らかとなる。上述の一般的記載および以下の詳細な説明の両者は例示であり説明のためのみであって、クレームされた発明を限定するものではないと理解されるべきである。
【0047】
図面説明
図面の簡単な説明
本発明は、以下に与えられる詳細な説明と、図解のみによって与えられる添付図面から、より十分に理解されるであろう。また、本発明はこのように限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】図1は254nmの紫外光で励起されたときの銀で満たされたゼオライト3Aの発光の異なる色の一例での写真を提供する。
【図2】顕微鏡下で紫外光によって励起された個々のゼオライト結晶(図1右側の試料から得られる)の検出された発光のイメージ。明らかに独立した明るい色の結晶が存在する。
【図3】材料を含む微小多孔性オリゴ金属クラスターの層を含む発光ランプの図である。
【図4】異なる励起波長における銀交換ゼオライトの粉末の発光スペクトル。
【図5】3つの蛍光減衰曲線およびそれらの結晶位置のための全体的フィッティングの結果。
【図6】結晶のための発光波長の関数としての減衰成分の相対的寄与。
【図7】0.32および1.0kW/cm2における連続的照明上のAG,K−ゼオライト内の同じスポットの活性化曲線。
【図8】紫外線照射による光活性化の前(上部)および後(下部)における単独の銀充填ゼオライト3Aのための関連する自動相関(G(τ))グラフ(右側)での0.5msにおいて捨てられた(左側)強度時間遷移。
【図9】金充填ゼオライト3A結晶のSEM像。
【図10】a)光活性化前(1)、および、3つの個々のスポットの連続的活性化後(2、3および4)の、10W/cm2のピコ秒375nmレーザーの20分間の各スポットへの共焦点顕微鏡を通した放射による1つの結晶内の単独銀交換ゼオライトA結晶のフォルスカラーイメージ。b)単結晶の総活性化。(1)は、活性化前の結晶を示す。16.7kW/cm2パルスの375nmビームよる5分の放射後、その強度は、因子10(2)によって増大する。同じパワーでの、さらに20分の活性化は因子20の総強度増加をもたらした。(1)から(3)まで増加した目盛範囲を示す。a)およびb)における画像は、画素当たり2msの積分時間でそれぞれ10および20W/cm2の375nmパルスの励起源による放射下での共焦点顕微鏡により得られた。c)デジタルカメラ(励起光をカットするレンズ前面の400nmロングパスフィルターを備えたキャノン製Power Shot A710)によって顕微鏡の接眼部を通して得られたトゥルーカラーイメージは、16.7kW/cm2励起パワーでの完全な活性化後に同じゼオライトからの緑の発光を示す。
【図11】活性化のための4つの異なる強度で励起された11の異なる単独の銀充填ゼオライト結晶の発光強度(I)(活性化曲線)の時間発展の対数−対数プロット。差込図は、励起パワーの関数として、各々の結晶のために達成される最大活性化比率(活性化曲線の直線部分のdI/dt)のプロットを示す。これらのデータ点はパワー関数によってフィットされ、非線形挙動を示す。
【図12】a)1つの単結晶のための光活性化の前後における発光スペクトル。点線は活性化後のスペクトル(実線)に関する実スケールにおける活性化前のスペクトルを示す。一方、破線は、活性化後の最大強度へ正常化された(×13)活性化前のスペクトルを表わす。b)12の単結晶の光活性化前後における最大発光。この最大値は活性化前の広い範囲から光活性化後の540nm付近のより小さいバンドへ変化する。すべてのスペクトルは33W/cm2から9.5kW/cm2までの範囲の励起パワーにおいて375nmのpsレーザによる励起において得られる。
【発明を実施するための形態】
【0049】
詳細な説明
本発明の実施形態の詳細な説明
本願で用いられる「室温」は、12〜30℃(摂氏)の温度を意味し、好ましくは16〜28℃、より好ましくは17〜25℃、最も好ましくは概ね20〜23℃とされる。
【0050】
用語 「発光(luminescence)」または「放射性(emissive)」には、次のタイプが含まれる:化学発光、化粧発光、エレクトロルミネッセンス、フォトルミネッセンス、リン光、熱ルミネッセンス。
【0051】
「蛍光ランプ」は、電気を用いてアルゴンまたはネオンガス中の水銀蒸気を励起させて、短波紫外光を作り出すプラズマを生じさせる気体−放電ランプである。この光は、リン光を蛍光に変えて、可視光を生じる。
【0052】
オリゴ原子金属クラスターは、次の金属(サブナノメーターサイズ):Si、Cu、Ag、Au、Ni、Pd、Pt、Rh、CoおよびIr、または、それらの合金(例えば、Ag/Cu、Au/Niなど)の1〜100原子の範囲のクラスターを包含する。該クラスターは、中性、正または負に荷電されていてもよい。該オリゴ原子金属クラスターは、1〜100原子を含む小オリゴ原子銀(および/または金)分子であってもよい。
【0053】
ここで用いられる冠詞「a」および「an」は、冠詞の文法的な目的語の1または1より多いこと(すなわち、少なくとも1)をいう。例として、「an element」は1のelementまたは1より多いelementを意味する。
【0054】
用語「含む(comprise)」および「含む(comprising)」は追加の要素を含んでもよいことを意味する包括的で開かれた意味に用いられる。
【0055】
用語「含む(including)」は「含むが限定されない(including but not limited to)」を意味するように用いられる。「含む(including)」および「含むが限定されない(including but not limited to)」は相互変換可能に用いられる。
【0056】
用語「特に(in particular)」は「限定されないが、特に(in particular but not limited to)」を意味するように用いられる。また、用語「特に(particularly)」は「限定されないが、特に(particularly but not limited to)」を意味するように用いられる。
【0057】
用語「ゼオライト」は、ナトリウムおよびカルシウム、または、やや一般的ではないが、バリウムj、ベリリウム、リチウム、カリウム、マグネシウムおよびストロンチウムなどのカチオンを含むアルミノケイ酸塩鉱物から構成される群、または、群のいずれかのメンバーをいう。それは、比(Al+Si):O=約1:2、イオン交換可能な開四面体骨格構造、および、(可逆性脱水を可能とする)緩く水を保持する分子によって特徴付けられる。用語「ゼオライト」は、アルミノリン酸塩(例えば、MeAPO、SAPO、ElAPO、MeAPSOおよびElAPSO)、ガロリン酸塩、リン酸亜鉛、チタノケイ酸塩などの場合に、Si4+またはAl3+が他の元素で置き換えられることにより調製される「ゼオライト関連材料」または「ゼオタイプ」も包含する。ゼオライトは、「Pure Appl. Chem., Vol. 73. No. 2, pp. 381-394, (c) 2001 IUPAC」に記載されるような骨格を有する結晶性多孔性材料であってもよく、または、国際ゼオライト学会によって定義される以下の構造タイプの基にあるIZA構造委員会のゼオライト骨格タイプデータベースにおいて提供されてもよい。
【0058】
【表4】

【0059】
用語「ゼオライト」は、「ゼオライト関連材料」、または、アルミノリン酸塩(例えば、MeAPO、AlPO、SAPO、ElAPO、MeAPSO、および、ElAPSO)、ガロリン酸塩、リン酸亜鉛、チタノケイ酸塩等の場合にSi4+またはA13+を他の元素に置き換えることで調製される「ゼオタイプ」、および、本願に記載されるゼオライトも含んでいる。
【0060】
ここで用いられる用語「モレキュラーシーブ」は、分子サイズの孔を有する固体をいう。それは、限定されないが、微小孔性およびメソ多孔性材料を含む。モレキュラーシーブの命名において、<20オームストロング(A)の孔サイズは微小孔性と考えられ、また、20〜500Aはメソ多孔性と考えられる。
【0061】
ここで用いられる用語「微小孔性担体」は、分子サイズの孔を有する固体をいう。それは、限定されないが、微小孔性材料、ALPOsおよび(合成)ゼオライト、柱状または非柱状粘土、炭素モレキュラーシーブ、微小孔性チタノケイ酸塩(ETS−I O、微小孔性酸化物など)を含む。微小孔性担体は、多様な孔サイズ分布を有していてもよく、規則的な極微小孔(典型的には、0.7nmより小さい)および超微小孔(典型的には、約0.7〜2nmの範囲内)であってもよい。本発明において想定される特定のタイプの微小孔性担体は、モレキュラーシーブであるゼオライトである。ゼオライトは、微小孔性担体の族のアルミノケイ酸塩メンバーである。
【0062】
モレキュラーシーブの孔径は、さらに、合成における鋳型分子の性質によって影響され得る。合成混合物への膨張剤の添加は、さらに、得られるモレキュラーシーブの孔サイズに影響を及ぼし得る。異なる孔サイズを有するゼオライトは、よく特徴づけられ、Martin David Fosterによって「"Computational Studies of the Topologies and Properties of zeolite", The Royal Institution of Great Britain Department of Chemistry, University College London, a thesis submitted for the degree of Doctor of Philosophy, London, January 2003.」に記載されている。
【0063】
当業者の有機化学者によって使用される略語の包括的なリストは、「Journal of Organic Chemistry」の各巻の最初の号に登場する。このリストは、通常、「Standard List of Abbreviations」と題された表として提示される。
【0064】
本発明の目的のために、「the Periodic Table of the Elements, CAS version, Handbook of Chemistry」および「Physics, 67th Ed., 1986-87, inside cover」に従って、化学成分が確認された。そのような上記の熟考されたゼオライト構造の等価物、サブユニットおよび他の成分は、そうでなければそれらに相当し、それらの同じ一般特性(例えば、生体適合性)を有する材料を含み、そこで、1以上のシンプルな置換基の変化は、その意図する目的を達成するためのそのような分子の効果に逆に影響を与えないようになされた。一般に、本発明の化合物は、例えば、容易に利用可能な出発材料、試薬および従来の合成手順を用いて、以下に記載されるような反応スキームに描かれる方法により調製されてもよい。これらの反応において、自体公知の変形を使用することも可能であるが、ここでは言及されていない。
【0065】
a.. 「モレキュラーシーブマトリクスは、ゼオライト、孔性酸化物、ケイ素アルミノリン酸塩ケイ素アルミノリン酸塩およびアルミノケイ酸塩から選択される微小孔性材料の中から選択される。」
b.. 「ゼオライトAおよびZKFなどのスモールポアサイズのゼオライト族、および、それらの組合せから選択されるゼオライト」
c.. 「ZSM−5、MCM−22、フェリエ沸石、フォージャサイトXおよびYなどのラージポアゼオライト、ならびに、微小孔性モレキュラーシーブ」
d.. 「マトリクスは、モレキュラーシーブMCM−41、MCM−48、HSM、SBA−15、および、それらの組合せから選択されるモレキュラーシーブであってもよい。」
e.. 「微小孔性ゼオライトの調製のための技術における方法が使用できる。」
f.. 「ここで使用されるように、微小孔性 ゼオライトは、好ましくは、約3オングストローム〜約14オングストロームの孔サイズを有する」。
【0066】
微小孔性材料の用語は、アモルファス微小孔性固体をも含む。代替的にアモルファス微小孔性固体は、本発明に使用できる。例えば、乾燥形態において、<3nmの範囲の直径の微小孔の狭い孔サイズ分布(半値幅<孔径の±10%)を有するアモルファス微小孔性混合酸化物や、前記アモルファス微小孔性混合酸化物の調製は、US6121187に十分に記載され、他はWO0144308、US6753287、US6855304、US6977237、WO2005097679、US7055756およびUS7132093に十分に記載される。
【0067】
銀交換シングルゼオライト3A結晶(LTA−トポロジー;Union Carbide製)、および、蛍光顕微鏡法を用いた紫外線照射によるこの単結晶発光の制御可能な光活性化は、極めて明るい蛍光特性を生じることも見出された。本発明は、放射線透過法による要素または媒体のモレキュラーシーブ内に閉じ込められた小さな金および/または銀クラスターのアセンブリへの直接的接触による、前記放射線源からの400nm未満の波長における励起放射線の変換を含む、室温以上における非可視線の可視光への変換のための方法を包含する。
【0068】
発光材料としてオリゴ原子銀クラスターを含むモレキュラーシーブは、その高い発光強度、特別な光安定性および大きなストークシフトによって、蛍光ランプの第2の光源などのさまざまな他の応用が見出せる。発光強度の空間分離活性化は、データ記録アプリケーションにも使用することができる。
【0069】
そのような発光粒子の例は、ゼオライト3A(Kフォーム;実施例10参照)において8±1%(w/w)の銀イオンを交換することにより調製されたものである。次の熱処理は、銀種の部分的(自動)還元を生じる。図10a(1)およびb(1)は、10a、10bはそれぞれ10および20W/cm2のピコ秒パルスの375nm(二重チタン:サファイア;実施例10参照)励起源を用いた共焦点顕微鏡のもとで、およそ3×3μmの銀含有ゼオライトの特徴的なスキャンイメージを示す。図10aに示される結晶において、3つの個々の回折の限定されたスポットが、低パワー(10w/cm2)(パネル1から)における同じパルスの375nm源での20分の照射により活性化されている。これはデータ記録アプリケーションにおける材料の書込および読込の可能性を示している。図10bの結晶は、全体として高パワー(16.7kW/cm2)375nm励起によって活性化されている。5分後、10フォールドの増加が図10b(2)に示される発光強度において認められる。さらに高強度の20分の照射により、図10b(3)に見られるように、発光が20フォールド強度増加での安定状態に達するようになった。図10cは、顕微鏡のアイピースを通して観察した16.7kW/cm2における紫外線励起下の同じ結晶のトゥルーカラーイメージ(本願ではグレースケール)を示す。他のタイプの明るく光安定な放射体である量子ドット(S. K. Ghosh, S. Kundu, M. Mandai, S. Nath, T. Pal, Journal of Nanoparticle Research 2003, 5, 577)とは対称的に、この材料の発光は、その発光が1つの結晶中に閉じ込められた多数の銀粒子放射体に由来するものであることから、どのような点滅も示さない(実施例10参照)。
【0070】
その活性化プロセスの力学は、1秒間隔(またはより低い励起強度の場合10秒)での発光スペクトルの記録により観察される。異なる紫外線パワーによる時間の機能としてこれらのスペクトルの発光強度最大値をプロットすることにより、実際の活性化が行なわれる前の低い励起パワーにおける数百秒までの特徴的な遅延時間でのシグモイド的動きを示す(図11)。格子酸素から、高発光クラスターを形成することのできる還元銀を産生する銀種への紫外線導入電子電位が存在する。活性化後、その発光強度はほぼ安定状態に達し、少なくとも数時間の間光退色なしに、または、わずかな光退色で維持される。シグモイド活性化曲線における最大の傾斜は、適用された励起パワーと非直線的な関係を示す(図11、挿入図)。データを2.24の指数のべき関数高にフィッティングすることは、多数の格子が2つの格子優秀工程によっても2つの個別の同時的光化学反応によっても励起強度に関連した高い水準の反応動態を生じる活性化クラスターの形成に含まれることを示す。銀0−クラスター精製と紫外線照明上の弱い銀−銀結合の崩壊との均衡が存在する。安定状態強度が一定の励起パワーに達した場合、追加的活性化が、新たな安定状態レベルに達するまで、より高い励起パワーで行なわれることができる。これは、形成と崩壊との均衡が励起パワーの種類により変化し得ることを意味する。
【0071】
スペクトル分析は、活性化後の優性種が375nm励起による541.8±3.8nmの強度における特徴的な最大値を有する強い緑色の発光を有する(図12)を示した。活性化前の充填された結晶の不均一な発光スペクトルに比べて、493から541nmまでの範囲の発光最大値を有し、限られた量のクラスタータイプのみが光活性化により非常に特異的に形成され、発光スペクトルを支配することが示される。
【0072】
単一の活性化された結晶から生じる極めて高い発光強度によって、90psの機械的応答機能を備えたPMT検出器を用いて単独格子係数による波長依存減衰を記録することができる(表1)。活性化後、発光減衰は、約100ps、1ナノ秒および4ナノ秒の3つの特徴的な成分を示す。得られた減衰は全体的に分析され、すべての発光波長と特徴的減衰時間τを維持する時間分解蛍光分析ソフトウェアプログラム(TRFA)(H K. Beyer, P. A. Jacobs, J. B. Uytterhoeven, Journal of the Chemical Society-Faraday Transactions I 1979, 75, 109)を用いて三次指数的減衰によってフィットされた。より高い発光波長において、早い減衰成分の貢献、およびより少ない程度までの中程度の減衰成分は、最も遅い減衰と同じように減少する(補足情報も参照)。この3つの貢献がスペクトル的に分離され得るという事実は、多数の発光種の存在がゼオライト格子または配位圏との異なる相互作用を有し、異なる銀ナノクラスターであっても同じナノクラスターであってもよいことを示している。
【0073】
(表1) 異なる発光波長における2つの単独結晶のために測定された異なる蛍光減衰成分の貢献および減衰時間は、1つの結晶のすべての発光波長のための結合されたτ値による全体的分析によって得られた。データのグラフィカルな描写は補足説明に見つけることができる。
【0074】
【表5】

【0075】
銀が充填されたゼオライトの発光特性の綿密な顕微的測定が存在する。回折限界分解能制御可能な発光の空間分解光活性化は、興味深いアプリケーションデータ記録デバイスを有する。大きなストークシフト、広い発光レンジおよび紫外線照射における高い光安定性により、この高い発光性材料は、蛍光ランプの第2の光源としての使用のために潜在的な代替物としても提供され得る。さらに、発光の点滅しない性質は、この材料をたとえばバイオラベルとして単独量子ドットよりも大いに有益なものとする。
【実施例】
【0076】
(実施例1) 準備
当該技術分野の様々な金属イオン交換モレキュラーシーブの製造方法が利用できる。acobsら(Jacobs, P. A. & Uytterhoeven, J. B., 1979, Journal of the Chemical Society-Faraday Transactions I 75, 56-64)によって記載されたような同様の方法が、incorporating 銀イオンをモレキュラーシーブおよび生成銀クラスター内に組み込むために使用された。しかし、多くのパラメータlike ゼオライトの充填比率、交換時間、熱処理の時間、熱処理の初期、勾配および最終の温度、熱処理の間の気体の存在(例えば、真空中、酸素の存在中、酸素および窒素の存在中、水素の存在中、COおよび/またはCO2ガスの存在中)、および、空気中の水分の存在は、最終的に形成されたクラスタータイプ、クラスターの酸化状態、ならびに、形成されたクラスタータイプの分布および多分散性に影響を与える。
【0077】
(実施例2) 発光
閉じ込められたモレキュラーシーブ内の金属イオンクラスター、特に銀が電磁気スペクトルのVISおよびNIR部分を通した特徴的および調整可能な発光を有し、一方で、それらは全てLJV領域内で励起しやすいことが実証された。ホストマトリクスのおかげで、閉じ込められた金属クラスターは、お互いに凝集して非発光性のより大きいナノ粒子を形成することが抑えられる。また、それらは、もし、モレキュラーシーブの周りのシリコンを加えることによるコーティングが必要な場合は、外部環境(例えば、酸素)から保護されてもよい。
【0078】
(実施例3) 発光性可視光源
モレキュラーシーブ材料およびそれらの混合物は、現在用いられている蛍光ランプと同様のランプの製造における発光材料として使用することができる。蛍光ランプにおいて、一般的には、紫外線源(最も一般的には水銀源からの254nm励起)からの第1の発光がガラス管内表面上の材料の層によって吸収される。そしてこの層は可視(白色)光を発する。現在傾向ランプで使われている材料は、本発明:モレキュラーシーブを含む金属クラスターによって置換えられることができる。異なるクラスターを含むモレキュラーシーブを含む異なる金属クラスターを混合することにより、異なるスペクトル特性が生じ得る。混合材料の比率を変えることにより、白色光を含むすべての範囲の光の色を生じさせることができる。しかしもし特定の色の光がほしい場合は、特定の金属クラスター発光を選択することができる。図1はこの例を示しており、加熱処理(24時間450℃)されて部分的に還元され、ホストマトリクスに小さな銀クラスターが形成された、(10重量%)銀で交換された3Aゼオライトを示している。紫外線励起下で、緑/黄色が観察され得る。他の還元候補、たとえば、水素ガスをゼオライトの銀イオン交換溶液に追加すること、によって、顕著な青色の発光が見られる。さらに金を加えることにより、可視スペクトルの赤部分の発光が生じた(図1も参照)。所望の発光特性を有するオリゴ金属クラスターの剛性は、剛性パラメータを変化させることにより調整することができる。紫外線励起を用いた顕微鏡下では、明らかに均一で異ならない色の特徴的な結晶を見ることができる(図2)。この試料において、この異なる色の結晶が存在した。しかし、剛性によって1つのタイプの発光種が存在するような製造を行なうことができる。オレンジ色の発光サンプルを図1に示す。たとえば、紫外線励起下での顕微鏡上で黄色または赤色の結晶が示された。図3は、本発明で提供される材料の発光型ランプのための可能なデザインの概略図を示す。現在の通常の蛍光ランプ内のような第1の紫外線源は、ガラスまたは透明管の内側表面上の材料の層を励起する。数種の異なる色の発光結晶を一緒に混合することによっても、1つの結晶内に多数の着色発光種を生成させることによっても材料を調整することで、白色光発光を生じさせることができる。有色の可視発光ランプのために、ただ1つの色を発する唯一のタイプの結晶を使用することができる。
【0079】
(実施例4) 紫外線ブロック、VIS透明材料
第1の紫外線源および発光性金属クラスターを含むモレキュラーシーブ材料の周りには、以下の特性を有するシェルが存在すべきである。それは第1の紫外線励起源(たとえば254nm水銀源)からの有害な紫外線放射をブロックすることが好ましい。この例は、紫外線スペクトルの大部分をブロックするガラスであってもよい。他の材料としては、ポリカーボネート、紫外線耐性プラスチック(TYGON(登録商標)紫外線耐性、たとえばウルトラブロック紫外線耐性材料)、紫外線耐性ポリエチレン(フィルムPolwfelx(登録商標)234)であってもよい。これらのシェルはいずれの形状または形態であってもよく、硬質であっても柔軟性であってもよい。
【0080】
(実施例5) 第1の紫外線源
放射線源は、蛍光ランプ(通常254nm光)または高圧水銀蒸気ランプに現在使用されている水銀などのガス、または、プラズマディスプレイのネオン、アルゴンおよび/またはキセノンなどの希ガスを含んでいてもよい。紫外エネルギは紫外線透過バルブまたはエンベロープ内に含まれる気体媒体中の放電によって供給される。特徴的なガス充填物は、その中の放電において紫外線中で豊富であるアルゴン(および/またはキセノンXe、クリプトンKrなどの他のガス)および水銀Hgの混合物を含む(他の紫外線富化イオン化ガスを使用してもよい)。一般的に、バラスト電源が電極に接続される。電気的バラストシステムにおいて、ステップアップトランスは、高い点弧またはイオン化電圧、数百ボルト(ランプが1度励起されると、通常の作動電圧よりも低い。これは通常は100−200ボルトの範囲内である)を供給する。紫外線源の製造方法は多くのものがあり、いくつかは2つの米国特許Uryにより1994年に発行された第5,334,913号およびUseakiにより1991年に発行された第4,990,789号において議論されている。さらに、多くの選択的発光体およびそれらの作製方法があり、米国特許第5,500,054、5,686,368および6,104,031号ならびに1998年6月12日に出願された出願番号60/089,176に記載されており、参照することにより本書に組込まれる。
【0081】
他の放射線源は、レーザーダイオードまたは誘起光発光ダイオード(OLED)または半導体LED(たとえばInGaN光発光ダイオード)を含んでいてもよい。望まれる場合は、複数の放射線源を該システムに使用することができる。他の紫外線源は、紫外レーザーまたは広いバンドの低パワー紫外線源、たとえば広いバンドのデューテリウムランプ、であってもよい。この第1の紫外線源は、放射線源によって放出される放射線を可視光に変換するためのオリゴ原子金属クラスターを含むモレキュラーシーブに囲まれている。
【0082】
基本的にどの第1の線源も以下の条件に合致する。その放射線源は、放射線源により放射される放射線を可視光に変換するためのオリゴ原子金属クラスターを含むモレキュラーシーブからもたらされることのできるどのような放射線源も含むことができる。
【0083】
(実施例6) オリゴ原子金属クラスターを含むモレキュラーシーブの支持材
いくつかの支持材は、第1の紫外線源の周りの小さな金または銀クラスターを含むモレキュラーシーブを構造的に支えるために、および、同種の方法において周囲のカバーシェルから発光が生じることを確認するために加えられるべきであってもよい。この支持材は、紫外および可視線に耐性であり、第1の紫外線源からの紫外線をあまり多く吸収せず、熱耐性であればどのようなものであってもよい。
【0084】
(実施例7) 可視発光減の励起および発光の調整可能な色
オリゴ原子クラスターを含むモレキュラーシーブは、紫外光によって励起され、実施例3に記載されるように可視範囲の発光をもたらしてもよい。しかし、励起波長の変更もしくは調整により、または、1つまたは複数の線源から生じる複数の励起波長を用いることにより、および、異なる波長間の励起パワーの異なる比率を調整することにより、可視光の色を調整することが可能になる。このように、出力色が末端利用者によって調整できる1つの発光デバイスが得られる。この効果は、異なる発光を異なる紫外線波長に応答させるモレキュラーシーブ内の異なるオリゴ原子クラスターを使用することによって達成することができる。これは図3にも示されている。この1つの例が合成され、360nm光での材料の放射は青色の発光を生じ、一方、254nmでの励起は黄色の発光を生じた。同時に254nmおよび360nmの2つの波長で励起した場合、励起パワーを変えることにより、青色と黄色の間の発光色の全ての範囲および全ての可能な太陽の色を生じることができた。
【0085】
(実施例8) マイクロレーザー
オリゴ原子クラスターを含むこれらもモレキュラーシーブは、一般にマイクロメータの範囲の結晶であるゼオライト材料であるため、単結晶の周りにレーザー空洞を構築することができ、マイクロメータのサイズのレーザーを作ることができる。
【0086】
(実施例9) 明るい発光マーカー
モレキュラーシーブを含むオリゴ原子クラスターは、一般にマイクロメータまたはサブマイクロメータサイズの結晶からなる明るい発光材料であるため、これらの小さな結晶を明るい発光マーカーとして使用することができる(図2も参照)。特に、それらが100nmより小さい場合、それらは蛍光ビーズまたは量子ドットのための代替物として使用することができる。
【0087】
(実施例10) 高い安定な発光材料
銀交換ゼオライトA材料の剛性
ゼオライト3A(ユニオンカーバイド;500mg)は13±1重量%の硝酸銀(8±1%の銀)を含むMQ水100mLに懸濁された。暗室で2時間かき混ぜられた後、イオン交換(±17%のゼオライトの陽イオン交換能)は停止された。該材料はブフナーフィルタに注がれ、MQ水で広範囲に洗浄された。洗浄液中には塩化物の沈殿が観測されなかったため、この段階的洗浄が定量的銀交換であるとわかった。フィルタの上端に回収された白い粉末は、摂氏450℃で1日加熱された。この加熱処理の後に、白色でときどきわずかに黄色がかった粉体が得られた。その粉体は乾燥環境下の暗室中で保存された。
【0088】
銀充填ゼオライトのバルク特性評価
発光スペクトルは、Horiba Jobin Yvon FluoroLog蛍光光度計によって20nmのインターバルで260nmから660nmの範囲の異なる励起波長で記録された。該粉体は2つの石英板の間に挟まれて、蛍光光度計内に取付けられた。発光は「前面モード」において検出された。少なくとも3つの特徴的な発光種が図4に見られるようにこれらのスペクトルから確認され得る。
【0089】
単結晶測定方法
セットアップの説明
励起光源として、モード固定されたチタン:サファイアレーザー(Tsunami. Spectra Physics)の周波数二重出力(375nm、8.18MHz、0.8psFWHM)が、単結晶を励起するために使用された。ベレック偏光補償器(New Focus)の使用により円偏光化された励起光は、2色性ビームスプリッタの使用により、スキャニングステージ(Bhysics Instruments)が備えられた反転顕微鏡(オリンパスIX70)の受信対物レンズ(オリンパス、1.3N.A.、100×)内へ向けられた。励起パワーは、顕微鏡の入口ポートで中間密度の和によって調整された。蛍光は同じ対物によって集められ、フィルタ(400nmロングパス、Chroma Technology)にかけられ、非偏光ビームスプリッタ(50対50)で分割され、1nmまで下がった分解能で蛍光スペクトルを記録するために背面照明液体窒素冷却CCDカメラ(LN/CCD−1340×4000、Princeton Instruments)に接続されたポリクロメーター(Spectra Pro150 Acton Research Corporation)内への1つの進路に集中された。他の進路はアバランシェ光ダイオード(SPCMAQ−15、EG&G Electro Optics)上へ集中され、スキャンイメージを取得するために使用された。これらのスキャンイメージは15W/cm2の励起パワーを使用することで得られ、各々の画素のためにその強度は2ミリ秒を超えて統合された。
【0090】
特定の波長における減衰測定のために、すべての蛍光は100ミクロンのマルチモード光学ファイバ内へ集められ集中された。該ファイバの出力は20モノクロメーター(Sciencetech 9030、6nm bandwith)の入口にマウントされ、その蛍光は時間相関単光子係数カード(Becker & Hickl, SPC830)が備えられた微小チャネルプレート光マルチプライヤー(MCP−PMT,R3809U,Hamamatsu)で検出された。蛍光減衰分析は、パルスデコンボリューションを考慮した内生の時間分析蛍光分析(TRFA)ソフトウェアを用いて行なわれた。そのソフトウェアは三次指数的モデル機能(M)lでセットアップの機械的応答機能の再荷重反復リコンボリューション法を使用するMarquardtアルゴリズムに基づくものである:
【0091】
【数1】

【0092】
jは1からkまでの範囲であり、kは減衰格子が広がったチャネルの数であり、iは指数項の数である。ここでTは実験の時間窓であり、aおよびτは振幅および減衰時間であり、Uは非相関背景を占める乗数である。実験的機械反応機能はカバーガラス上のレーザーの散乱を用いることによる90ピコ秒オーダでの決定がなされた。
【0093】
その蛍光減衰はまず個別に減衰時間τlおよびそれらの関連するプレ指数関数的因子ajに関して分析された。最終的な曲線フィッティングは発光スペクトル上での異なる発光波長で記録された1つの結晶のすべての減衰のための結合されたτ値での三次指数関数的減衰機能を用いた全体的分析によって行なわれた。また、フィッティングパラメータは、全体的減少カイ二乗X2gを最小化(非線形最小二乗法)することにより決定された。全体的分析後に回復された減衰時間の寄与は相対的振幅を用いて評価された:
【0094】
【数2】

【0095】
ここに現われたすべての減衰曲線は、1.46未満(ほとんどは1.1未満)のX2値を有する。一例として、三次指数関数的全体的フィットからの3つの異なる発光波長の結晶位置の減衰曲線が図5に示される。剰余は全体的フィットの高い精度を示す完全にランダムな動向を示す。
【0096】
当該技術分野に存在する2つの結晶の生存期間関数として異なる減衰成分の寄与の動向が図6にグラフを用いて強調されている。
【0097】
単結晶発光スペクトルの測定および活性化曲線の構築
発光スペクトルは、単結晶のための時間の関数(毎秒1つのスペクトル)として測定された。得られたスペクトルは、2項フィルターを用いて平滑化された。活性化プロセスの終わりにおける最大発光波長が決定され、この波長における強度が当該分野の図1における活性化グラフを構築するために活性化プロセス全体の間プロットされた。
【0098】
図7は、一定の紫外線照射パワーにおいて発光がそのプラトー強度に到達した後に、この放射されたスポットが励起パワーの増加によりさらに活性化されることができることを示す。この観測結果は、これらのプラトーがクラスター形成および崩壊が均衡している各々の励起パワーに特徴的な代表的安定状態条件であることを示唆する。
【0099】
単結晶発光時間遷移および自動相関グラフ
図8は光子到達時間に直接行なわれる自動相関グラフとともに、紫外線放射による光活性化の前(上部)および後(下部)の発光強度時間遷移(500μsで捨てられ;Becker & Hickl SPC830係数カードに接続されたAPDを用いて記録された)を示す。これらのグラフから、単結晶の発光が1μs未満から0.1秒までの時間範囲において点滅または強度変動を示さないと結論付けられる。個々の結晶が大量の発光体を含むという仮説はしたがって妥当である。
【0100】
銀充填ゼオライトのSEM像
使用されたゼオライト(金充填および焼成後)のSEM像はフィリップスXL30−FEGを用いて記録される(図8)。平均結晶サイズは約3μmである。約20%の観察された結晶で、より大きい凝集体(おそらく銀ナノ粒子)は結晶の外表面で分解され得る。これらの比較的大きな粒子は、非発光性であると思われる。さらに、蛍光顕微鏡実験のために、我々はできるだけ多く結晶の真ん中に常に注力した。発光パス内のピンホールが効果的に焦点外の光を拒絶するように、我々は観察された発光および光活性化がゼオライト内の銀粒子に由来することを確信できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの放射線源および少なくとも1つの発光素子を含む照明システムであって、
前記発光素子はモレキュラーシーブ内に閉じ込められたオリゴ原子金属クラスターのアセンブリを含み、
前記放射線源が400nm未満の波長範囲内において前記発光素子を放射するときに、前記放射線源は室温以上において前記放射線源により放射された非可視線を可視光に変換することを特徴とする、照明システム。
【請求項2】
室温またはそれより高い温度において放射線源により放射された非可視線を可視光に変換するために、モレキュラーシーブ内に閉じ込められた小さな金および/または銀クラスターのアセンブリを含む前記発光素子に向けて、使用時に280nm未満の波長範囲内の放射線を放射する少なくとも1つの放射線源を含むことを特徴とする、請求項1に記載の照明システム。
【請求項3】
さらに前記放射線源および前記発光素子の環境を取囲むエンベロープを含む、請求項1または2に記載の照明システム。
【請求項3】
さらに可視光を所望の方向に送信するための送信素子を含む、請求項1または2に記載の照明システム。
【請求項4】
前記放射線源は、光線を発光手段へ送信するための放射線送信素子に直接接触している、または、接続されている、請求項1または2に記載の照明システム。
【請求項5】
前記放射線源は中波紫外(UVC)線放射線源である、前記いずれかの請求項に記載の照明システム。
【請求項6】
前記放射線源が遠紫外(FUV)または真空外(VUV)線放射線源である、前記請求項のいずれかに記載の照明システム。
【請求項7】
前記放射線源が極紫外(EUV)または深紫外(XUV)線放射線源である、前記請求項のいずれかに記載の照明システム。
【請求項8】
さらに可視光を所望の方向に送信するための送信素子を含む、前記請求項のいずれかに記載の照明システム。
【請求項9】
前記エンベロープはバルブまたは管である、前記請求項のいずれかに記載の照明システム。
【請求項10】
前記エンベロープは放射線耐性である、前記請求項のいずれかに記載の照明システム。
【請求項11】
前記エンベロープは紫外線耐性である、前記請求項のいずれかに記載の照明システム。
【請求項12】
前記放射線送信素子はモレキュラーシーブ内に閉じ込められた小さな金および/または銀クラスターのアセンブリへ励起された放射線を向かわせる、前記請求項のいずれかに記載の照明システム。
【請求項13】
前記アセンブリは、マトリクス内に埋め込まれたモレキュラーシーブ内に閉じ込められた小さな金および/または銀クラスターを含む、前記請求項のいずれかに記載の照明システム。
【請求項14】
前記マトリクスがさらに粒子結合材を含む、請求項12に記載の照明システム。
【請求項15】
前記アセンブリはモレキュラーシーブ内に閉じ込められた小さな金および/または銀クラスターの粉体アセンブリである、前記請求項のいずれかに記載の照明システム。
【請求項16】
前記放射線源はレーザーまたは光発光ダイオード放射線源である、前記請求項のいずれかに記載の照明システム。
【請求項17】
白色光および/または特定の着色光の発生のための、前記請求項のいずれかに記載の証明システム。
【請求項18】
予め定められた色温度の光を発生するために多数のモレキュラーシーブの1つまたは組合せの中に閉じ込められた異なる小さな金および/または銀クラスターのアセンブリからなる、前記請求項のいずれかに記載の照明システム。
【請求項19】
前記小クラスターは1から100原子のクラスターである、前記請求項のいずれかに記載の照明システム。
【請求項20】
前記小クラスターはオリゴ原子クラスターである、前記請求項のいずれかに記載の照明システム。
【請求項21】
前記モレキュラーシーブは微小多孔性材料である、前記請求項のいずれかに記載の照明システム。
【請求項22】
前記モレキュラーシーブは、ゼオライト、多孔性酸化物、ケイ素アルミノリン酸塩およびアルミノケイ酸塩からなる群から選ばれる微小多孔性材料から選択される、前記請求項のいずれかに記載の照明システム。
【請求項23】
前記モレキュラーシーブはゼオライト3A、ゼオライト13X、ゼオライト4Aおよびゼオライト5A、およびZKF、およびそれらの組合せなどのゼオライト 材料のうちの小孔ゼオライトから選択されるゼオライトである、前記請求項のいずれかに記載の照明システム。
【請求項24】
前記モレキュラーシーブは、モルデナイト、ZSM−5、MCM−22、フェリエ沸石、フォージャサイト/XおよびYからなる群から選択されるラージポアゼオライトである、前記請求項のいずれかに記載の照明システム。
【請求項25】
前記モレキュラーシーブは、モレキュラーシーブMCM−41、MCM−48、HSM、SBA−15、および、それらの組合せから選択される、前記請求項のいずれかに記載の照明システム。
【請求項26】
前記金および/または銀の小クラスターを含む前記モレキュラーシーブの孔が、コーティングマトリクスで被覆されているか、または、ストッパー分子で閉じられている、前記請求項のいずれかに記載の照明システム。
【請求項27】
より高い温度の室温で非可視線を可視光に変換するための方法であって、
放射線送信素子または媒体との、または、による直接的接触による、前記放射線源からの400nm未満の波長における励起放射線を、放射線源によって放射される非可視線を可視光に変換するためのモレキュラーシーブ内に閉じ込められた小さな金および/または銀クラスターのアセンブリに向けさせることを含む、変換方法。

【図9】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2010−532911(P2010−532911A)
【公表日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−515323(P2010−515323)
【出願日】平成20年7月7日(2008.7.7)
【国際出願番号】PCT/BE2008/000050
【国際公開番号】WO2009/006707
【国際公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【出願人】(510008846)カトリーケ・ユニフェルジテイト・ルーベン (3)
【氏名又は名称原語表記】KATHOLIEKE UNIVERSITEIT LEUVEN