説明

モータおよび圧縮機

【課題】磁石の耐熱性およびモータ効率を改善し、さらには磁石の使用量を抑えたモータならびに前記モータを用いる圧縮機を提供する。
【解決手段】ロータ10と、ロータ10の径方向外側に空隙を介して配置され、巻き線を巻いた複数のスロット22を有するステータコア21を含むステータ20とを備えるモータ1において、ロータ10が、ロータコア11と、該ロータコア11内にロータ周方向に配列される複数のスロット12と、複数のスロット12のそれぞれに、ロータ径方向を厚さとする板状に形成され、ロータ周方向に分割されて配列される2つの磁石13a,13bと、該分割のためのスペーサとを備え、前記2つの磁石13a,13bを前記スペーサにより該2つの磁石を備えるスロット12の周方向の長さLに対して10〜50%の距離cの磁石間隙14で互いに離間して配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えばエアコンや冷蔵庫の圧縮機等に用いられるモータ、およびこのモータを用いる圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の、圧縮機等に用いられるモータ101は、図9に示すようにロータ110と、このロータ110の径方向外側に空隙を介して配置され、図示しない巻き線を巻いた複数のスロット122を有するステータコア121を含むステータ120とを備えている。上記ロータ110は、ロータコア111と、その周方向に配列される複数のスロット112を有し、各スロット112内には一つの磁石113が設けられている(例えば、特許文献1)。さらに、扁平かつ寸法の大きい磁石の製造は容易ではないため、磁石をロータの周方向に2分割した後、接合してスロット内に挿入したモータも存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−32921号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような従来のモータでは、磁石の耐熱性を確保するために高保磁力の磁石が用いられてきた。
高保磁力の磁石としては、例えば希土類磁石、特にネオジム系磁石が挙げられる。希土類磁石はジスプロシウムやテルビウムなどの貴重な重希土類元素を用いており、磁石が高コストとなるため、モータをコストダウンする際の課題となっている。
また、例えばエアコン需要は特に近年で著しく増大しているため、エアコンの圧縮機のモータに用いられる希土類磁石の需要も必然的に増加の一途をたどっている。重希土類元素は枯渇が懸念されており、そのため重希土類元素の使用量の削減が急務となってきている。
【0005】
さらに、磁石を2分割してスロット内に収めた上述のモータでは、低コスト化のためには2分割された磁石についてその形状を変更する必要がある。
また、磁石の形状を変更してロータの周方向、軸方向および径方向の磁石寸法を小さくする場合、同時にロータ形状をも変更するとモータ効率の点でより効果的であるが、この場合、ロータの金型を作り直すことになるため莫大なコストが掛かってしまう。しかしながら、ロータ形状を変えずに磁石寸法を単に小さくするだけでは、スロット内で磁石が固定されず問題となり得る。
【0006】
そこで本発明は、磁石の耐熱性およびモータ効率を改善し、さらには磁石の使用量を抑えたモータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、鋭意検討の結果、ロータコアに設けたスロット内の磁石を、ロータの回転軸に垂直な面上で径方向に直交する方向(以下「周方向」という。)に2分割し、その2分割した磁石をスロットの周方向の長さの10%〜50%の距離で離間配置することで、スロット内にスロットの周方向長さの50%の幅の磁石を2枚配置する場合と比較して、磁石のパーミアンス係数を向上させ、磁石の耐熱性ならびにモータ効率を改善可能であることを見出した。したがって、磁石の所定の形状および配置を選択することで高効率なモータを提供でき、既存のモータ形状を大きく変更せずに磁石形状を変えることで、磁石の耐熱性の改善および磁石の小型化、結果的には磁石の使用量の削減が可能である。本発明は、かかる見地より完成されたものである。
【0008】
すなわち本発明は、ロータと、前記ロータの径方向外側に空隙を介して配置され、巻き線を巻いた複数のスロットを有するステータコアを含むステータとを備えるモータであって、前記ロータが、ロータコアと、前記ロータコア内に前記ロータの周方向に配列される複数のスロットと、前記複数のスロットのそれぞれに、前記径方向を厚さとする板状に形成され、前記周方向に分割されて配列される2つの磁石と、前記分割のためのスペーサとを備え、前記2つの磁石が、前記径方向外側にS極およびN極の一方で同じ極性を有し、前記径方向内側にS極およびN極の他方で同じ極性を有し、前記2つの磁石が、前記スペーサにより該2つの磁石を備えるスロットの周方向の長さに対して10〜50%の距離で互いに離間して配置されるモータを提供する。さらに、本発明は、前記モータを用いる圧縮機を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明のモータによれば、ロータの各スロット内に、ロータ周方向に分割され、スロットのロータ周方向の長さの10〜50%の距離で離間して配置される2つの磁石が設けられているので、磁石の耐熱性およびモータ効率を向上させることができる。
【0010】
また、本発明のモータによれば、磁石の重量すなわち使用量を削減できるため、従来のモータと比べて低コストで製作することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態による磁石間に間隙を設けた埋込磁石型モータ(IPMモータ)を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態による磁石配置を示す図である。
【図3】磁石間隙保持用の突起を用いたスロットを示す図である。
【図4】磁石間隙に非磁性部材を用いたスロットを示す図である。
【図5】実施例によるIPMモータを示す図である。
【図6】磁石間に間隙を設けた磁石配置を示す図である。
【図7】スロット両端部に間隙を設けた磁石配置を示す図である。
【図8】磁石重量と誘起電圧の増減比を示す図である。
【図9】従来技術によるIPMモータを例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明では、磁石をスロットの周方向あるいはロータ周方向に分割して離間配置することで、磁石のロータ周方向の長さを短くする。これにより、磁石の扁平率が低くなるため、磁石のパーミアンス係数が大きくなり、磁石の耐熱性が向上すると考えられる。
【0013】
磁石のパーミアンス係数は、反磁界係数の逆数であり、磁石の磁気モーメントの熱的安定性、または外部磁場に対する安定性を示す係数であって、磁石の耐熱性と深く関係する。このパーミアンス係数は、磁石形状、特に磁化方向の厚さとその他の寸法との比から求めることができ、磁石の磁化方向と垂直な断面が大きくなるほど、すなわち磁石の見かけ上の扁平率が高くなるほどパーミアンス係数は小さくなり、反対に扁平率が低くなるほどパーミアンス係数は大きくなる性質がある。
磁石の耐熱性は、熱減磁の生じにくさを表し、モータの耐熱性に影響するものである。
したがって、パーミアンス係数が向上することによって磁石の耐熱性が向上するため、磁石の重量を削減でき、結果的に磁石の重希土類元素使用量を低減できると考えられる。
【0014】
また、ロータのスロット内において2つの磁石をそのスロットのロータ周方向に離間し、その離間距離、すなわち2つの磁石間の間隙の幅を、スロットのロータ周方向の長さの10%以上とすると、スロットのロータ周方向中央部分にスロットのロータ周方向の長さの10%以上の幅の磁石間隙が設けられる。このとき、後述するようにモータの無負荷誘起電圧の低下は、磁石の削減比率と比較して相対的に小さくなる。さらに、ロータのスロット内に分割されていない単一の磁石が挿入されている場合や、磁石が2分割であっても2つの磁石間の間隙の幅がスロットのロータ周方向の長さの10%未満である場合と比べて、入力電流に対するトルク特性、すなわちモータ効率が向上する。これは、単一の磁石または間隙の幅が10%未満である2分割磁石の場合には、モータ性能に寄与していない磁石領域がスロット内のロータ周方向の中央部分に存在するためと考えられる。したがって、スロット内のロータ周方向中央部分を磁石間隙とすることで、磁石重量を削減できる一方、磁石が発生する磁場への影響は小さく抑えることができると考えられる。
【0015】
本発明のモータには、好ましくは埋込磁石型モータ(Interior Permanent Magnet、「IPMモータ」)が用いられる。モータは、ロータと、ロータの径方向外側に空隙を介して配置されるステータを備えている。ステータは、複数のスロットを有するステータコアを備え、この複数のスロットには巻き線が巻かれ、複数のコイルが形成されている。ロータは、その周方向に回転可能に配設されている。
図1は、本発明の一実施形態におけるIPMモータであるモータ1の構成図を示している。図1の例では、モータ1は、ロータ10と、ロータ10の径方向外側に空隙を介して配置されるステータ20を備えている。ステータ20は、複数のスロット22を有するステータコア21を備え、この複数のスロット22には巻き線(図示せず)が巻かれている。なお、各図において同様の機能を有する要素には、同一の符号を付した。
【0016】
ロータは、ロータコアと、ロータコア内にロータの周方向に配列される複数のスロットとを備えている。各スロットは、ロータの回転軸の延びる方向(回転軸方向)に深さを有する。スロットの開口部は略四角形状とすることができ、開口部の対向する2辺がロータの径方向に直交するように設けることができる。好ましくは、スロットの開口部は矩形状であり、開口部の対向する2辺がロータ径方向に直交し、ロータ回転軸方向と平行な深さを有する直方体(立方体を含む。以下同じ。)に形成される。図1の例では、ロータ10は、ロータコア11と、ロータコア11内にロータ10の周方向に配列される複数のスロット12とを備えている。
【0017】
複数のスロットのそれぞれには、ロータ径方向を厚さとする板状に形成された2つの磁石(図1の例では2つの磁石13a,13b)がロータ周方向に分割されて配列されている。このとき、1つのスロット内の2つの磁石は、ロータ径方向外側にS極およびN極の一方で同じ極性を有し、ロータ径方向内側にS極およびN極の他方で同じ極性を有するように配置されている。また、隣り合うスロット間では、例えば図2に示すように、磁石は互いに異なる極性を有するように配置されている。
【0018】
本実施形態で用いられる磁石は、好ましくは希土類磁石であり、より好ましくはネオジム系磁石、さらに好ましくはNd−Fe−B磁石である。また、好ましくは、磁石は直方体に形成され、スロット内に配置したときに、2つの磁石間に設けた間隙を除き、スロット内において空隙を実質的に生じない形状および寸法を有する。このとき、磁石のロータ回転軸方向の高さは、スロットの深さと同じであることが好ましい。さらに、2つの磁石は同一の形状を有することが好ましい。これは、2つの磁石の形状が同一であることでロータに用いる磁石の寸法が同一になり、磁石を1種類しか用いなくても良いうえに、磁石から発生するフラックスが安定する点で有利となりえるためである。
【0019】
スロット内に配置された2つの磁石は、スペーサにより互いに離間して配置され、2つの磁石間には間隙(図1の例では磁石間隙14)が設けられている。また、2つの磁石は、スペーサにより、スロット内においてロータ周方向の両端部の内壁にそれぞれ当接して配置される。スペーサは、各スロットに収納される2つの磁石間の間隔をあけるものであれば特に限定されず、例えば、突起(図3の例では突起15)または非磁性部材(図4の例では部材16)を用いることができる。突起は、例えば図3に示されるように、スロットの内壁においてロータ周方向の中央部分に設けることができる。非磁性部材は、非磁性の固体で形成することができ、磁石間隙を全て占有してもよいし、磁石を離間できれば突起と同様に磁石間隙の一部の占有でもよい。一般的なモータは加熱および放熱を繰り返すため、この加熱および放熱の影響を受けにくい突起または非磁性部材の使用が好ましい。スペーサとして接着剤などを用いた場合、この加熱および放熱により接着剤が劣化して磁石を固定できなくなる場合があり不向きである。
【0020】
2つの磁石間の間隙は、スロット内においてロータ周方向の中央部分に設けることが好ましい。これは、スロット内においてロータ周方向中央部分は、スロット内に組み込んだ磁石のパーミアンス係数が最も低くなる領域であり、またロータ内の磁石による発生磁場への寄与が小さい領域であることが考えられるためである。
【0021】
スロット内の2つの磁石間の間隙の幅(図1の例ではc)は、スロットのロータ周方向の長さ(スロット幅、図1の例ではL)の10%以上〜50%以下に設定される。10%未満では、磁石の熱減磁率が効果的に低下せず、また磁石重量の削減効果も得られにくい。10%以上とすることで、磁石の熱減磁率が有利に低下し、また磁石の削減比に対するモータの無負荷誘起電圧の低下が相対的に小さく磁石重量を有利に削減でき、さらに磁石間隙を保持するための突起の形成または非磁性部材の挿入がより確実に行える。また、50%を超えると磁石重量の削減量は大きくなるが、モータの無負荷誘起電圧の低下量も大きくなる。
【実施例】
【0022】
以下、本発明を実施例を用いて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0023】
実施例1
図5に示す実機のIPMモータを作成した。ロータコアの直径は49mm、ステータコアの外径は109mmとし、ロータのスロットについて、ロータ周方向の長さは25mm、ロータ径方向の厚さは2mm、ロータ回転軸方向の深さは55mmとした。
ロータのスロット内に配置する2つの磁石は、互いに同一の形状とし、各磁石は、ロータ周方向の長さは10.5mm、ロータ径方向の厚さは2mm、ロータ回転軸方向の高さは55mmとした。この2つの磁石は、ロータのスロット内にロータ周方向中央部分に磁石間隙を生じるように配置し、2つの磁石の間には、ロータ周方向に4mmの間隙幅cを設けた(図6参照)。磁石間隙には、スペーサとしてアルミ製部材(周方向長さ4mm、径方向厚さ2mm、回転軸方向高さ55mm)を挿入し、磁石を固定した。
IPMモータの諸元を表1に示す。
【0024】
【表1】

【0025】
実施例2
実施例1の磁石のロータ周方向の長さおよび間隙幅cを変化させて、実施例1と同様のIPMモータを作成した。
ロータの各スロット内に配置する2つの磁石は、互いに同一の形状とし、各磁石は、ロータ周方向の長さは9.5mm、ロータ径方向の厚さは2mm、ロータ回転軸方向の高さは55mmとした。この2つの磁石は、ロータのスロット内にロータ周方向中央部分に磁石間隙を生じるように配置し、2つの磁石の間には、ロータ周方向に6mmの間隙幅cを設けた。磁石間隙には、スペーサとしてアルミ製部材(周方向長さ6mm、径方向厚さ2mm、回転軸方向高さ55mm)を挿入し、磁石を固定した。
【0026】
比較例1
実施例1の磁石のロータ周方向の長さおよび間隙幅cを変化させて、実施例1と同様のIPMモータを作成した。
ロータの各スロット内に配置する2つの磁石は、互いに同一の形状とし、各磁石は、ロータ周方向の長さは12.5mm、ロータ径方向の厚さは2mm、ロータ回転軸方向の高さは55mmとした。この2つの磁石は、ロータのスロット内にロータ周方向に配置し、2つの磁石間の間隙幅は0mmとした。
【0027】
熱減磁試験
実施例1,2および比較例1によるモータについて熱減磁試験を行った。
熱減磁試験は先ず、加熱前に電力計を用いて無負荷誘起電圧を計測し、電流進角90°の状態でロータを固定した後に、オーブンにて110℃まで加熱した。オーブン内において、十分にモータが加熱されて温度が安定化したことを確認して、U相に定格10倍に相当する25Aの電流を印加した。印加後はオーブンからモータを取り出し、常温まで冷却してから再度誘起電圧を計測して、加熱前の無負荷誘起電圧から減磁率を算出した。
【0028】
熱減磁試験による磁石間隙と減磁率の関係を表2に示す。磁石間隙を設けない場合(比較例1)と比較して、磁石間隙が広くなるほど減磁率が低下することが示された(実施例1、2)。また、実施例1,2および比較例1によるモータについて、モータ効率を算出し、表2に示す。磁石間隙を設けない場合(比較例1)と比較して、磁石間隙が広くなるほどモータ効率が向上することが示された(実施例1、2)。
【0029】
【表2】

【0030】
比較例2〜3
磁石間隙を設けない比較例1において、磁石の耐熱性を変化させ、上記の熱減磁試験と同様の方法で減磁率を求めた。IPMモータには、比較例1と同様のモータを使用し、磁石の耐熱性のみ変化させた。モータのスロット内に挿入する磁石は、ロータのスロット内にてロータ周方向に2分割とした。磁石は、比較例1で用いた希土類磁石であるNd−Fe−B磁石に換えて、Nd−Fe−B磁石の低耐熱性磁石(比較例2)および高耐熱性磁石(比較例3)を用いた。
【0031】
磁石間隙を設けず磁石の耐熱性を変化させた場合の熱減磁試験の結果を表3に示す。高耐熱性磁石(比較例3)では誘起電圧の低下は見られなかった。Nd−Fe−B磁石(比較例1)では減磁率は12%となった。一方、低耐熱性磁石(比較例2)では、減磁率が30%となった。
【0032】
【表3】

【0033】
したがって、表2および3に示す結果から、磁石間の間隙を広くすることで(実施例1、2)高耐熱性磁石(比較例3)に近似する耐熱性能が得られることが確認された。
【0034】
比較例4、5
実施例1および2の磁石間隙の位置を変化させて、実施例1と同様のIPMモータを作成し、それぞれ比較例4および5とした。
実施例1および2と同様の磁石を、ロータのスロット内に、図7に示すようにスロット両端部に間隙幅dを生じるように配置した。比較例4の間隙幅dはそれぞれ2mm、比較例5の間隙幅dはそれぞれ3mmとした。磁石間隙には、スペーサとしてアルミ製部材(周方向長さ2mm(比較例2)または3mm(比較例3)、径方向厚さ2mm、回転軸方向高さ55mm)を挿入し、磁石を固定した。
【0035】
無負荷誘起電圧の計測試験
比較例4および5によるモータについて、熱減磁試験の際と同様に無負荷誘起電圧を計測した。スロット両端部に間隙を設けたモータ(比較例4、5)において得られた無負荷誘起電圧と、磁石間に間隙を設けたモータ(実施例1、2)において前記熱減磁試験で得られた無負荷誘起電圧について、間隙を設けないモータ(比較例1)において前記熱減磁試験で得られた無負荷誘起電圧に対する増減比(%)を求めた。
【0036】
無負荷誘起電圧の計測結果を図8に示す。間隙を設けたことによる磁石重量の増減比(%)についても合わせて示す。図8に示すように、間隙を設けないモータ(比較例1)が最も誘起電圧が大きくなった。間隙を広げた場合、磁石間に間隙を設けたモータ(実施例1、2)とスロット両端部に間隙を設けたモータ(比較例4、5)とでは、誘起電圧の低下比率が異なった。さらに、誘起電圧の増減比と磁石重量の増減比から、磁石間に間隙を設けたモータ(実施例1、2)のほうが、スロット両端部に間隙を設けたモータ(比較例4、5)に比べて誘起電圧に対する磁石重量削減効果が大きくなった。
したがって、スロット内においてロータ周方向中央部分は、ロータ内の磁石による発生磁場への寄与が小さい領域であることが確認された。
【符号の説明】
【0037】
1 モータ
10 ロータ
11 ロータコア
12 スロット
13a,13b 磁石
14 磁石間隙
15 突起
16 非磁性部材
20 ステータ
21 ステータコア
22 スロット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータと、前記ロータの径方向外側に空隙を介して配置され、巻き線を巻いた複数のスロットを有するステータコアを含むステータとを備えるモータであって、
前記ロータが、ロータコアと、前記ロータコア内に前記ロータの周方向に配列される複数のスロットと、前記複数のスロットのそれぞれに、前記径方向を厚さとする板状に形成され、前記周方向に分割されて配列される2つの磁石と、前記分割のためのスペーサとを備え、
前記2つの磁石が、前記径方向外側にS極およびN極の一方で同じ磁極を有し、前記径方向内側にS極およびN極の他方で同じ磁極を有し、
前記2つの磁石が、前記スペーサにより該2つの磁石を備えるスロットの周方向の長さに対して10〜50%の距離で互いに離間して配置される
ことを特徴とするモータ。
【請求項2】
前記スペーサが、前記ロータコア内の前記複数のスロットの内壁に設ける突起、または非磁性部材である、請求項1に記載のモータ。
【請求項3】
前記2つの磁石が、同一の形状を有する、請求項1に記載のモータ。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載のモータを用いる圧縮機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate