説明

モールディング付き合わせガラス及びモールディング付き合わせガラスの取付構造

【課題】車両の開口部に取り付けられる合わせガラスと、この合わせガラスの端面と車両の開口部との隙間を封止するための樹脂製モールディングとを備えたモールディング付き合わせガラスの中間膜の発泡による外観上の不具合を防止する。
【解決手段】中間膜16の端面16Aとモールディング14との間に所定の空隙部29が設けられるとともに、外板18及び内板20の各端面18A、20Aとモールディング14の本体部14Bとが常時当接するように構成される。このため、中間膜16の端面16Aがモールディング14と接触することを確実に防止でき、中間膜16の端部の残留応力の発生を抑制できるので、中間膜16の発泡による不具合を防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モールディング付き合わせガラス及びモールディング付き合わせガラスの取付構造に関し、特に自動車用ウインドシールドとして使用されるモールディング付き合わせガラス、及びそのモールディング付き合わせガラスの車体窓用開口部への取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動車用ウインドシールドには、合わせガラスが用いられている。合わせガラスは、2枚のガラス板の間にPVB(ポリビニルブチラール)製等の透明樹脂膜を挟持して構成されたものであり、交通事故等でガラス板が破砕しても破片が中間膜に付着して飛散し難いという利点がある。
【0003】
一方、自動車の窓用開口部に前記合わせガラスを取り付ける場合、合わせガラスの周縁端部と窓用開口部との間の隙間に、長尺または枠状の樹脂製モールディング(以下、モールディングという)が取り付けられるのが通常である。このようなモールディングによって隙間を封止することにより、車内に雨水等が浸入することを防ぐことができ、その具体的な構成としては、例えば特許文献1にいわゆる「2面モール」と称されるモールディング付き合わせガラスが開示されている。
【0004】
2面モールとは、モールディングの車内側表面と合わせガラスの端面との計2面で接するように、モールディングは略L字の断面形状を有し、ガラス面(外板面)の法線方向にほとんど突出しない形状を有することを特徴としたものである。モールディングが略コ字状の断面形状を有する従来の「3面モール」と比べ、車体外側にモールディングの出っ張りがないことから、外観上優れるだけでなく、自動車の走行時においてはウインドシールドからルーフにかけての空気の流れがスムーズになり、耳障りな風切り音の発生を低減できるという利点もある。
【特許文献1】特開平11−129747号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、モールディングが装着された合わせガラスは、経年変化により中間膜の外周縁部に気泡が発生する場合があり、気泡が発生すると、その気泡が車外側から白っぽく見えたり、線が入ったりして見えるなどの不具合として視認され、主として意匠上の欠陥になるという不具合があった。
【0006】
また、特開2006−232228号公報の図4、図5には、合わせガラスの外板の端部のみが樹脂製モールディングに接触し、内板の端部及び中間膜の端部が樹脂製モールディングに非接触の合わせガラスの取付構造が開示されている。この取付構造では、内板の端部が樹脂製モールディングに接触していないため、中間膜の端部と樹脂製モールディングとの間の空隙部の形状は安定せず、よって、中間膜の末端がモールディングと接触し、中間膜に不要の応力を生じさせる可能性があった。
【0007】
合わせガラスは中間膜を介して外板及び内板を貼り合わせたものであるため、貼り合わせ工程(予備圧着、及びオートクレーブを用いた加圧・加熱工程)において外板の内板との間に微妙なずれが生じ、最終的に外板と内板の端部(最外端)が厚さ方向で不ぞろいの合わせガラスが製造されることがある。従来の3面モールであれば、合わせガラスの端面近傍の周縁部をその表面から裏面にかけて覆ってしまうため、このような多少のずれが生じたとしても樹脂製モールディングにずれた端部が隠れてしまい、自動車の組み付け時にそのずれが目立つようなことはない。
【0008】
ところが、今後普及が予想される2面モールにおいては、端面近傍における合わせガラスの外板が露出しているため、内板端部が外板端部よりも突出したような場合に内板端部が樹脂製モールディングを押し広げ、外板端部と樹脂製モールディングの間に隙間が生じてしまい、外観上好ましくない。また、このような隙間は雨水等の浸入を許すこととなり、中間膜が発泡するなどし、ウインドシールドの性能や外観を低下させるおそれがある。
【0009】
本発明は、このような課題を解決するものであり、車両の開口部に取り付けられる合わせガラスと、この合わせガラスの端面と車両の開口部との隙間を封止するための樹脂製モールディングとを備えたモールディング付き合わせガラスであって、合わせガラスの中間膜の発泡による主に外観に現れる不具合を防止することができるモールディング付き合わせガラス、及びモールディング付き合わせガラスの取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、前記目的を達成するために、車両の開口部に取り付けられる合わせガラスと、該合わせガラスの端面と前記開口部との隙間を封止するための樹脂製モールディングとを備えたモールディング付き合わせガラスであって、前記合わせガラスは、前記車両の車外側に面したガラス板(以下、外板という)と、前記車両の車内側に面したガラス板(以下、内板という)と、これらの外板と内板とで挟持された中間膜とで少なくとも構成され、前記中間膜の端面と前記樹脂製モールディングとの間に所定の空隙部が設けられるとともに、前記外板及び内板の端面と前記樹脂製モールディングとが常時当接するように構成されていることを特徴とするモールディング付き合わせガラスを提供する。
【0011】
中間膜の発泡による不具合は、合わせガラスの車内側面と端面との計2面に樹脂製モールディングを接着して取り付けた断面構成(2面モール)のモールディング付き合わせガラスで発生していることから、樹脂製モールディングと合わせガラスの中間膜とが接触(接着)し、中間膜に残留応力が発生していることが原因であることを推測し、検証試験を行い以下の結果を得た。
【0012】
すなわち、請求項1に記載の如く、中間膜の端面と樹脂製モールディングとが接触しないように空隙部を設けた断面構成にするとともに、外板と内板の2枚のガラス板の端面がともに樹脂製モールディングと接触した断面構成にすることによって、中間膜の発泡を抑制できることが確認された。要するに、外板及び内板の各端面と樹脂製モールディングとを常時接触させることにより、空隙部の形状が安定し、外板と内板の各端面、中間膜の端面と樹脂製モールディングの位置関係が安定する。このため、中間膜の端面が樹脂製モールディングと接触することを確実に防止でき、中間膜端部の残留応力の発生を抑制できるので、中間膜の発泡による不具合を防止することができる。また、外板及び内板の各端面と樹脂製モールディングとが常時接触しているため、中間膜が内包される空隙部のシール性が向上し、雨水等の浸入を確実に防止でき、雨水浸入による中間膜の発泡を防止できるという利点もある。
【0013】
請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記樹脂製モールディングの前記中間膜の端面と少なくとも対向する位置に凹部が形成されることにより、前記空隙部が設けられることを特徴としている。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、樹脂製モールディングの中間膜の端面と少なくとも対向する位置に凹部を形成して空隙部を形成することが好ましい。これにより、空隙部を容易に形成することができる。
【0015】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2において、前記内板の最外端は、前記外板の最外端よりも、合わせガラスの中心側に位置していることを特徴としている。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、外板と内板の端部の最外端の相対位置関係において内板の最外端を、外板の最外端よりも、合わせガラスの中心側に位置させた。これにより、外板端部と樹脂製モールディングの間に隙間が生じることはないので、外観が良好になり、また、このような隙間発生による雨水等の浸入を防止できる。したがって、中間膜の発泡による不具合を防止できるとともに、ウインドシールドの性能を維持することができる。
【0017】
請求項4に記載の発明は、請求項1、2又は3において、前記空隙部には、その一部に接着剤が充填されていることを特徴としている。
【0018】
請求項4に記載の発明によれば、空隙部全体または一部に接着剤を塗布すると、空隙部を接着剤が埋めることにより、モールディングとガラス板の位置関係がより安定する。また、中間膜の端部と樹脂製モールディングとの間の空隙を接着剤が充填される場合においては、中間膜の端部と樹脂製モールディング直接接着することがなくなる。その結果、中間膜に不要の応力がかかることを防止できる。
【0019】
請求項5に記載の発明は、前記目的を達成するために、請求項1から4のうちいずれかに記載の合わせガラスは、自動車に用いられるウインドシールド、リヤガラス、サイドガラス、及びルーフガラスから選択される少なくともいずれか一つであり、樹脂製モールディングを介して車両の開口部に取り付けられることを特徴とするモールディング付き合わせガラスの取付構造を提供する。
【0020】
請求項5に記載の発明によれば、合わせガラスは、自動車に用いられるウインドシールド、リヤガラス、サイドガラス及びルーフガラスから選択される少なくとも何れか一つである。さらに、本発明の一態様において、前記樹脂製モールディングは、前記ウインドシールドと自動車のルーフとの間に用いられる。
【0021】
また、合わせガラスを構成する前記内板の最外端は、前記外板の面取りされた領域と面取りされていない領域との境を中心とする所定の範囲に位置している。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係るモールディング付き合わせガラス及びモールディング付き合わせガラスの取付構造によれば、中間膜の端面と樹脂製モールディングとが接触しないように空隙部を設けるとともに、外板と内板の2枚のガラス板の端面がともに樹脂製モールディングと接触した断面構成としたので、中間膜の発泡を抑制でき、それによる主として外観上の不具合を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、添付図面に従って本発明に係るモールディング付き合わせガラス及びモールディング付き合わせガラスの取付構造の好ましい実施の形態について説明する。
【0024】
なお、実施の形態では樹脂製モールディングについて説明するが、この樹脂製モールディングは、窓用合わせガラスと車両開口部との間の隙間を閉塞するために用いられる部材なので、ガーニッシュ、ガーニッシュに射出成形等により一体的に取り付けられて車両開口部に接触されるリップモールも、樹脂製モールディングの概念に含むものとする。また、窓用合わせガラスが車両本体に取り付けられたときの車外側面を表面、車内側面を裏面と称することとする。
【0025】
図1は、第1の実施の形態を示した樹脂製モールディング付き合わせガラス(以下、「モールディング付き合わせガラス」と称する)10の断面図である。モールディング付き合わせガラス10は、自動車の窓用開口部に取り付けられ、本例ではフロントガラス(ウインドシールド)について説明するが、これに限定されるものではなく、リヤガラス、サイドガラスまたはルーフガラスとしてなどの固定窓に好適に用いることができる。
【0026】
モールディング付き合わせガラス10は、合わせガラス12と樹脂製モールディング14とから構成され、接着剤(不図示)を介して車体パネル(不図示)に固定される。また、合わせガラス12の端部と車体パネルとの隙間が、モールディング14のリップ部14Aによって封止される。なお、モールディング14の材質としては、TPO(オレフィン系熱可塑性エラストマー)、TPE(エチレン系熱可塑性エラストマー)、またはPVC(ポリ塩化ビニル)等の弾性のある樹脂材を例示できる。また、モールディング14を車体パネルに固定する前記接着剤は、ウレタン接着剤を好適に用いることができ、車体パネルとモールディング付き合わせガラス10との間に配置されたゴム製のダムラバー(不図示)によってその流動が規制される。
【0027】
合わせガラス12は、PVB等の透明樹脂製の中間膜16を、車外側に位置するガラス板(以下、「外板」と称する)18と車内側に位置するガラス板(以下、「内板」と称する)20とによって挟持した通常の合わせガラスである。
【0028】
内板20の周縁における車内側面には、図2に示すように、スクリーン印刷等されてから焼成により作られた黒色セラミック層22が、合わせガラスの12の全周にほぼ枠状に形成されている。黒色セラミック層22は、黒色または暗色のセラミック製の皮膜であり、可視光だけでなく紫外線の透過を遮ることができ、前記接着剤の劣化を防止できる。また、及び合わせガラス10とモールディング14とを両面テープで固着する場合は、固着に用いた両面粘着テープの劣化も同様に防ぐことができる。また、黒色セラミック層22によって車外からは両面粘着テープ等が見えなくなり、外観の審美性を向上させている。その黒色セラミック層22の内側が透明な視認域26である。なお、黒色セラミック層22は、外板18の車内側面、または内板20の車外側面に形成されていてもよい。また、図2のA−A線に沿う断面図が図1の断面図である。
【0029】
モールディング14は図1に示すように厚肉の本体部14Bと、本体部14Bから合わせガラス12の内板20を支持するように内側に延設されたフランジ部14Cと、本体部14Bから外側に延設された前記リップ部14Aとから構成される。
【0030】
モールディング14の本体部14Bとフランジ部14Cとの間に、合わせガラス12の端部が嵌入される溝部28が形成され、また、この溝部28に連通して空隙部29を形成するための凹部30が形成される。この凹部30は、凹部30の一部に充填されたウレタン系接着剤32を、合わせガラス12の端面とモールディング14との間で溜める機能を有する。この凹部30の一部に溜められた接着剤32によって合わせガラス12の内板20の端部がモールディング14に接着固定される。なお、接着剤32の塗布量は、中間膜16の端面16Aがモールディング14に接着固定されない量に設定されている。また、内板20の端部20Aには、汎用で黒色のシランカップリング剤含有のプライマーが予め塗布されており、接着剤32との接着性が高められている。
【0031】
図1は、合わせガラス12の外板18と内板20の各端面18A、20Aが厚さ方向にそろった例を示したが、図3の如く外板18の端面18Aに対して内板20の端面20Aをガラス板中心側にずらし段差をつけた構成の合わせガラス12であってもよい。図3のモールディング付き合わせガラス12によれば、凹部30と内板20の端面20Aとの間隔が広くなるため、凹部30へ充填された接着剤32のはみ出しを低減できるという利点がある。外板18の端面18Aと内板20の端面20Aの段差は、外板18よりもサイズの小さい内板20を組み合わせることによっても形成することができる。
【0032】
また、図1、図3に示したモールディング付き合わせガラス10は、外板18の端面18Aがモールディング14の本体部14Bの内縁外側凸部15Aに接触され、内板20の端面20Aも同様に、本体部14Bの内縁内側凸部15Bに接触されている。これにより、空隙部29の形状が安定され、中間膜16の端面16Aとモールディング14が非接触に維持されている。
【0033】
次に、このように構成されたモールディング付き合わせガラス10の特徴について説明する。
【0034】
図1、図3に示したモールディング付き合わせガラス10は、前述の如く、中間膜16の端面16Aとモールディング14との間に所定の大きさの空隙部29が設けられるとともに、外板18及び内板20の各端面18A、20Aとモールディング14の本体部14Bとが常時当接するように構成されている。
【0035】
このように構成されたモールディング付き合わせガラス10を用いて発泡確認検証試験(耐久試験)を実施したところ、中間膜端部がモールディングと接触した「2面モール」のモールディング付き合わせガラスと比較して、中間膜16の端部16Aの発泡を抑制できることが確認された。要するに、実施の形態のモールディング付き合わせガラス10は、外板18及び内板20の各端面18A、20Aとモールディング14とを常時接触させることにより、空隙部29の形状が安定し、外板18と内板20の各端面18A、20A、中間膜16の端面16Aとモールディング14の位置関係が安定する。
【0036】
このため、中間膜16の端面16Aがモールディング14と接触することを確実に防止でき、中間膜16の端部の残留応力の発生を抑制できるので、中間膜16の発泡による不具合を防止することができる。また、外板18及び内板20の各端面18A、20Aとモールディング14とが常時接触しているため、中間膜16が内包される空隙部29のシール性が向上し、雨水等の浸入を確実に防止でき、雨水浸入による中間膜16の発泡も防止できる。
【0037】
また、空隙部29は、モールディング14の中間膜16の端面16Aと少なくとも対向する位置に凹部30を形成することにより設けられている。これにより、空隙部29を容易に形成することができる。
【0038】
更に、図3に示したモールディング付き合わせガラス10の如く、外板18と内板20の端部18A、20Aが厚さ方向で不ぞろいの合わせガラス12の場合に、内板20の最外端を、外板18の最外端よりも、合わせガラス12の中心側に位置させている。これにより、外板18の端部18Aとモールディング14の間に隙間が生じることはないので、外観が良好になり、また、このような隙間発生による雨水等の浸入を防止できる。したがって、中間膜16の発泡による不具合を防止できるとともに、フロントガラスの性能を維持することができる。
【0039】
更にまた、モールディング付き合わせガラス10によれば、中間膜16の端部16Aとモールディング14の本体部14Bとが接着しないように、空隙部29の一部に接着剤32を充填している。空隙部29全体または一部に接着剤を塗布し、空隙部29を接着剤が埋めることにより、モールディング14の本体部14Bと外板18と内板20の端部18A、20Aとの位置関係がより安定する。また、中間膜18の端部16とモールディング14の本体部14Bとの間の空隙を接着剤が充填される場合においては、中間膜18の端部16とモールディング14の本体部14Bが直接接着することがなくなる。その結果、中間膜18に不要の応力がかかることを防止できる。
【0040】
次に、空隙部29を設けるための具体的な手法について説明する。内板20のサイズを小さくすればするほど、貼りあわせ工程においてずれが生じた際に、内板20の端部18Aが突出することを防止することができる。そこで、外板18に対する内板20のサイズを調整することで空隙部29を作り出すとよい。しかし、必要以上に小さくしてしまうと空隙部29が大きくなり過ぎ、却って空隙部29が外板18越しに目立ってしまったり、合わせガラス12の端部における強度を低下させてしまったりするおそれもある。そのため、なるべく最小限度に収めておくことが好ましい。
【0041】
ここでは、外板18の端部18Aにおける面取りされた領域を基準として空隙部29の大きさを決定する方法について説明する。
【0042】
図3に示すように、外板18の端部18Aにおける面取りされた領域40と面取りされていない領域41との境界42を中心とし、図3の左右それぞれに所定の長さとなるように領域43を設定する。そして、このようにして決定された領域43内に内板20の端部(最外端部)20Aが位置するようにする。領域43の長さは、ガラス板を切り出す際の公差や端部の面取りにおける公差等を加味して決定されるが、領域43の長さを面取りされた領域40の長さに等しくしたり、または内板20もしくは外板18の厚さ程度にしたりするなどしてもよい。概ね数mm程度にすればよい。なお、境界42が目立つのを防ぐために、本体部14Bの内縁外側凸部15Aが領域43の一部に到達するまで覆うようにすることが好ましく、境界42に到達するまで覆うようにするとさらに好ましい。
【0043】
図4は、図3に示したモールディング付き合わせガラス10が自動車の車体パネル44の不図示の開口部に取り付けられた構造を示す断面図である。
【0044】
図4に示すモールディング付き合わせガラス10と車体パネル44は、接着剤46を介して接着固定される。接着剤44は、車体パネル44と合わせガラス12との間に設置されたゴム製のダムラバー48によってその流動が規制されている。
【0045】
なお、図3に示したモールディング付き合わせガラス10の代わりに図1に示したモールディング付き合わせガラス10を車体パネル44に取り付けてもよい。
〔合せガラスの製造方法の一例〕
普通単板ガラスを用いた場合を例にとり、合せガラスの製造方法について説明する。
【0046】
まず、湾曲前のガラス板を使用箇所に合った所定の形状に切断する。このとき、隠蔽層(黒色セラミック層)を所望の面に形成しておいてもよい。隠蔽層は、着色セラミックペーストなど公知の材料、製造方法を用いて形成することができる。次に、隠蔽層が塗着されたガラス板11を予備乾燥し、次いで、所定の型に載せ加熱炉及び冷却炉等を用いて、所望の形状に湾曲させる。中間膜は、予め所望の形状に伸展されており、この中間膜を2枚のガラス板に挟み込んで積層する。この後、挟み込んだガラス板及び中間膜を予備圧着し、その後、オートクレーブ内で処理する。これによって、合わせガラスが製造される。
【産業上の利用可能性】
【0047】
以上説明したとおり、本発明は、自動車用フロントガラスに好適な合わせガラスの取付構造を提供することができる。また、本発明はフロントガラスだけでなく、サイドガラス、リヤガラス、ルーフガラスにも適用できることは明らかである。
【0048】
また、実施の形態では、外板18、内板20、及び中間膜16からなる3層構造の合わせガラス12について説明したが、外板18と中板との間に中間膜を介在させ、中板と内板20との間に中間膜を介在させて積層した5層以上の構造の合わせガラスであっても適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】第1の実施の形態のモールディング付き合わせガラスの断面図
【図2】第1の実施の形態のモールディング付き合わせガラスが適用された車両用フロントガラスの正面図
【図3】第2の実施の形態のモールディング付き合わせガラスの断面図
【図4】第2の実施の形態のモールディング付き合わせガラスの取り付け構造の一例を示す断面模式図
【符号の説明】
【0050】
10…樹脂製モールディング付き合わせガラス、12…合わせガラス、14…樹脂製モールディング、14A…リップ部、14B…本体部、14C…フランジ部、15A…内縁外側凸部、15B…内縁内側凸部、16…中間膜、16A…中間膜の端部、18…外板、18A…外板の端部、20…内板、20A…内板の端部、22…黒色セラミック層、26…視認域、28…溝部、29…空隙部、30…凹部、32…接着剤、40…面取りされた領域、41…面取りされていない領域、42…境界、43…端部が位置する領域、44…車体パネル、46…接着剤、48…ダムラバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の開口部に取り付けられる合わせガラスと、該合わせガラスの端面と前記開口部との隙間を封止するための樹脂製モールディングとを備えたモールディング付き合わせガラスであって、
前記合わせガラスは、前記車両の車外側に面したガラス板(以下、外板という)と、前記車両の車内側に面したガラス板(以下、内板という)と、これらの外板と内板とで挟持された中間膜とで少なくとも構成され、
前記中間膜の端面と前記樹脂製モールディングとの間に所定の空隙部が設けられるとともに、前記外板及び内板の端面と前記樹脂製モールディングとが常時当接するように構成されていることを特徴とするモールディング付き合わせガラス。
【請求項2】
前記樹脂製モールディングの前記中間膜の端面と少なくとも対向する位置に凹部が形成されることにより、前記空隙部が設けられる請求項1に記載のモールディング付き合わせガラス。
【請求項3】
前記内板の最外端は、前記外板の最外端よりも、合わせガラスの中心側に位置している請求項1又は2に記載のモールディング付き合わせガラス。
【請求項4】
前記空隙部には、その一部に接着剤が充填されている請求項1、2又は3のうちいずれかに記載のモールディング付き合わせガラス。
【請求項5】
請求項1から4のうちいずれかに記載の合わせガラスは、自動車に用いられるウインドシールド、リヤガラス、サイドガラス、及びルーフガラスから選択される少なくともいずれか一つであり、樹脂製モールディングを介して車両の開口部に取り付けられるモールディング付き合わせガラスの取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−143479(P2009−143479A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−324733(P2007−324733)
【出願日】平成19年12月17日(2007.12.17)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000000044)旭硝子株式会社 (2,665)