説明

ユニット空間

【課題】自然な残響感と広がりのある音により快適な空間となるユニット空間を提供する。
【解決手段】ユニット空間S内で発生した音を集音する集音マイク4と、集音マイク4で集音した音に音声加工を加えることのできる音響制御器6と、互いに平行な壁面2,2にそれぞれ設けたモノラルパネルスピーカー5,5を備え、集音マイク4で集音した音を音響制御器6を介して音声加工してモノラルパネルスピーカー5,5からユニット空間S内にフィードバックさせるように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自然な残響感と広がりのある音による音場が形成されるユニット空間に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に開示されているように、浴室と脱衣室を仕切る仕切りの両側にスピーカーを設けて、浴室と脱衣室にスピーカーからの音が聞こえるように構成したものがある。
【特許文献1】特開2006−138149号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1に開示されている構造は、集音した音をフィードバックさせるものではなく、単にスピーカーからの音が浴室と脱衣室に聞こえるようにしたものである。
なお、ユニットバスなどでは特有の固有モード周波数による不自然な残響が生じやすく、物が落下した時の音や扉の開閉音などから生じる残響が心理的に不快感を与えるものであった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、自然な残響感と広がりのある音が得られ、快適なユニット空間にすることができる構造を提供することを目的の1つとし、この目的の少なくとも一部を達成するために以下の手段を採った。
本発明は、ユニット空間内で発生した音を集音する集音マイクと、該集音マイクで集音した音に音声加工を加えることのできる音響制御器と、互いに平行な壁面にそれぞれ設けたモノラルパネルスピーカーを備え、前記集音マイクで集音した音を前記音響制御器を介して音声加工して前記モノラルパネルスピーカーからユニット空間内にフィードバックさせるように構成したことを要旨とする。
【発明の効果】
【0005】
ユニット空間内で発生する全ての音を集音マイクで集音して、音響制御器を介してエコー量や残響時間などの制御による音声加工を加え、これを平行な壁面にそれぞれ設けたモノラルパネルスピーカーからユニット空間内にフィードバックさせることで、ユニット空間内には違和感のない自然なエコーや残響を有した広がりのある音が付与されて、自然に音が響いているという印象をユニット空間内の人に与えることができ、ユニット空間内が快適な空間となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
次に、本発明を実施するための最良の形態を実施例を用いて説明する。
図1は、装置の概略図であり、床面1の周囲に側壁面2が立設され、側壁面2,2の上端には天井面3が形成されて、ユニットバス或いはシャワーブース等のユニット空間Sが形成されており、本例では、天井面3の中央部に、ユニット空間S内の音を集音できる集音マイク4が設けられている。また、ユニット空間Sを形成する平行に対向する一対の側壁面2,2には、それぞれモノラルパネルスピーカー5,5が取り付けられている。
【0007】
集音マイク4で集音された音は、音響制御器6で音声加工され、加工された音声が、平行状に対向する一対の側壁面2,2に取り付けたモノラルパネルスピーカー5,5からユニット空間S内にフィードバックされて、ユニット空間S内が一対のモノラルパネルスピーカー5,5からの音が供給される音場となるように構成されている。
なお、有線または無線のリモコン7でユニット空間S内またはユニット空間S外から音響制御器6を遠隔操作できるように構成されている。
【0008】
なお、集音マイク4は天井面3の中央部に限らず、天井面のコーナー側等に設けても良く、また側壁面2側に設けたものであっても良いが、天井面3の中央部に設置すると、ユニット空間S内の全ての音を良好に集音できるものとなる。
また、音響制御器6は、集音マイク4で集音した音の残響時間,エコー量,ディレイ量を可変制御することのできる公知のもので構成されている。この音響制御器6内での残響時間やエコー量の調整は、リモコン7で使用者が適宜設定変更して調整できるものである。
【0009】
なお、音響制御器6を図2のようにMPU6aとAMP6bで構成しても良く、図2では、MPU6a内で、集音マイク4で集音した音の残響時間,エコー量,ディレイ量を制御して、音声加工を加え、これをAMP6bで音量増幅させて一対のモノラルパネルスピーカー5,5に送り、一対のモノラルパネルスピーカー5,5からユニット空間S内に音を出力するように構成したものである。
【0010】
なお、モノラルパネルスピーカー5から音が出力される際に、平行に向かい合う側壁面2,2が振動面となり、ユニット空間S内には違和感のない自然なエコーや残響を有する広がりのある音が供給されることとなり、ユニット空間S内が快適な空間となり、心理的にユニット空間Sを広く感じることができるものとなる。
例えば、ユニット空間S内で物が落下した時の音や、扉の開閉音などから生じる心理的に不快な音も、適度な残響やエコーを加えることにより、自然な残響感と広がりのある音となり、ユニット空間S内にフィードバックされて自然な違和感のない広がりのある音となる。
【0011】
なお、図3は、ユニットバスに集音マイク4とモノラルパネルスピーカー5を設けた例を示している。
この図3に示す構造では、床面1が床パン1aで構成されており、床パン1aの外周に立ち上がる側壁面2,2は、それぞれ二重壁構造となっており、内側の内壁2aと外側の外壁2bで構成されている。また、天井面3も二重構造となっており、内側の内壁3aと外側の外壁3bで構成されている。
集音マイク4は、天井面3を構成する内壁3aから僅かにユニット空間S内に突出した状態で取り付けておくことができ、また、モノラルパネルスピーカー5は、側壁面2を構成する内壁2aと外壁2b間に隠蔽状態で配設しておくことができ、内壁2aの裏側にモノラルパネルスピーカー5を固定させて、内壁2aが振動面となるように構成しておくことができる。
【0012】
このような二重壁構造では、モノラルパネルスピーカー5を隠蔽させることができ、ユニット空間S内にいる人はスピーカーが室内から見えないために違和感が生ずることがなく、自然にユニット空間S内に音が響いている印象が得られて快適な空間となる。
【0013】
なお、側壁面の内壁2aを振動面とするためには、モノラルパネルスピーカー5を内壁2aに密着状に固定する必要がある。なお、モノラルパネルスピーカー5の駆動部は、内壁2aと外壁2b間に隠蔽状に設置されるため、ユニット空間S内の意匠性が向上し、空間の有効利用を図ることができ、また、外壁2bを外せば、簡単にモノラルパネルスピーカー5のメンテナンス等を行うことができるものとなる。
【0014】
なお、図4および図5で拡大して示すものは、側壁面2を鋼板パネル20で構成した場合である。
鋼板パネル20は、室内側の鋼板21の裏側に石膏ボード22が貼着されて構成されており、この石膏ボード22を切り欠いた切欠部22aを形成させておき、この切欠部22a内にモノラルパネルスピーカー5を配置させて、モノラルパネルスピーカー5を鋼板21の裏面に密着状に貼着等で固定しておくことができるものである。
このようにすれば、モノラルパネルスピーカー5の音で鋼板21を振動させて、鋼板21を振動面として良好にユニット空間S内に自然なエコーや残響を有する音を出力することができる。
【0015】
なお、本例では、平行に向かい合う一対の側壁面2,2にそれぞれモノラルパネルスピーカー5を取り付けたものを例示しているが、90度方向を変えた向かい合う側壁面2,2にもモノラルパネルスピーカー5,5をそれぞれ取り付けて構成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】装置の概略構成図である。
【図2】変更例を示す装置の概略構成図である。
【図3】二重壁構造のユニット空間にモノラルパネルスピーカーを取り付けた斜視構成図である。
【図4】鋼板パネルにモノラルパネルスピーカーを取り付けた裏面側からの斜視構成図である。
【図5】図4の拡大縦断面構成図である。
【符号の説明】
【0017】
1 床面
2 側壁面
2a 内壁
2b 外壁
3 天井面
3a 内壁
3b 外壁
4 集音マイク
5 モノラルパネルスピーカー
6 音響制御器
7 リモコン
20 鋼板パネル
21 鋼板
22 石膏ボード
22a 切欠部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユニット空間内で発生した音を集音する集音マイクと、
該集音マイクで集音した音に音声加工を加えることのできる音響制御器と、
互いに平行な壁面にそれぞれ設けたモノラルパネルスピーカーを備え、
前記集音マイクで集音した音を前記音響制御器を介して音声加工して前記モノラルパネルスピーカーからユニット空間内にフィードバックさせるように構成したことを特徴とするユニット空間。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−115853(P2009−115853A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−285495(P2007−285495)
【出願日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【Fターム(参考)】