説明

ユニット装置

【課題】ユニット2を筐体1に収納する際、作業者が手を挟まれることを防止する。
【解決手段】筐体1からユニット2が引出されると、付勢手段により付勢された手挟み防止部材9が突出し、この手挟み防止部材9が筐体1の切欠部4の部分で筐体1の前端とユニット2の後端の間に生じる隙間7を覆うことで、作業者の手や指が隙間7に挿入されることを阻止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筐体とこの筐体に収納されるユニットとを備えたユニット装置に関するもので、ユニットを筐体に押込んで収納する際に、筐体とユニットとの間に操作者の手や指が挟まれることを防止するための構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、鉄道の車両等においては、開閉可能な扉を収納する戸袋の縁部に沿って伸びるローラを設け、扉が開く方向つまり扉が戸袋に収納される方向に移動したとき、ローラが扉の移動方向と逆の方向に回転するように構成することで、人が不注意に手を戸袋の縁部に近づけても、ローラの回転により指等が戸袋の外方向に押し返されて、指等が巻き込まれて扉と戸袋の縁部に挟まれることを防止するようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−159102号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した先行技術文献の技術においては、以下の問題がある。
図7は金融機関の自動機である現金処理装置等に用いられるユニット装置を示す斜視図で、筐体1とこの筐体1に収納されるユニット2がスライドレール3により結合され、このスライドレール3によってユニット2は筐体1に対して引出し、押込みが可能になっている。また、筐体1の高さはユニット2の高さより一定の寸法だけ高くなっており、筐体1の正面側上部には切欠部4が設けられ、ユニット2の正面側上部には切欠部4に対応するブロック部5が設けられていて、ユニット2を押込んで筐体1内に収納したとき、ブロック部5が切欠部4を塞ぐようになっている。
【0005】
このような構成によるユニット装置では、筐体1からユニット2を引出したとき、切欠部4の部分で筐体1の前端とユニット2の後端の間に隙間7が生じるため、ユニット2を押込んで収納する際、操作者が誤って手等を隙間7に入れてしまうと、手や指が筐体1とユニット2により挟まれてしまうことになり、そのため前記先行技術文献と同様のローラRを配置し、ユニット2を矢印Bで示したように押込んだとき、ローラRが矢印Cの方向に回転することで指等の巻込みを防止しようすると、ローラRは切欠部4の近くに位置するように筐体1内に配置しなければならず、その結果、隙間7は埋まらず、この隙間7に指等が挿入されると、その指等がユニット2の後端とローラRとの間に挟まれてしまうという問題がある。
本発明は、このような問題を解決することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そのため、本発明は、一面を開口部とした筐体と、この筐体より高さが低くかつこの筐体に出入可能に取り付けられたユニットを備え、このユニットを前記筐体の開口部から押込んで筐体に収納するユニット装置において、前記筐体の開口部上部の内側に手挟み防止部材を設けると共に、この手挟み防止部材を前方に突出するように付勢手段で付勢し、 前記筐体から前記ユニットを引出すと、前記手挟み防止部材が前方に突出して、前記筐体の前端と前記ユニットの後端の間に生じる隙間を覆うようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
このようにした本発明は、ユニットが筐体から引出されると、付勢手段により付勢された手挟み防止部材が前方に突出して筐体の前端とユニットの後端の間に生じる隙間を覆うようにしているため、作業者の手や指が隙間7に挿入されることが阻止され、ユニットを筐体に収納する際、作業者が手を挟まれることを防止することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1の実施例を示す斜視図
【図2】第1の実施例を示す側面図
【図3】第1の実施例の輸送時の状態を示す側面図
【図4】第1の実施例の輸送時の状態を示す斜視図
【図5】第2の実施例を示す側面図
【図6】第2の実施例を示す斜視図
【図7】現金処理装置等に用いられるユニット装置を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明によるユニット装置の実施例を説明する。
【実施例1】
【0010】
図1は第1の実施例を示す斜視図で、(a)はユニットを筐体に収納した状態、(b)はユニットを筐体から引出した状態であり、図2は第1の実施例を示す側面図で、(a)はユニットを筐体に収納した状態、(b)はユニットを筐体から引出した状態である。
図において1は金融機関の自動機である現金処理装置等に用いられるユニット装置の筐体で、その一面である前面(正面)が開口部となっている。2はこの筐体1に収納されるユニットで、このユニット2はスライドレール3を介して筐体1に出入可能に取り付けられ、このスライドレール3によってユニット2は筐体1に対して図1(b)及び図2(b)に示した矢印A、Bのように前後方向に引出し、押込みが可能になっている。
【0011】
また、ユニット2の高さは筐体1の高さより一定の寸法だけ低くなっており、筐体1の正(前)面側上部には切欠部4が設けられ、ユニット2の正(前)面側上部には切欠部4に対応するブロック部(化粧パネル)5が設けられていて、ユニット2を押込んで筐体1内に収納したとき、ブロック部5が切欠部4を塞ぐようになっている。
【0012】
8は筐体1とユニット2の高さの差による空間に位置するように筐体1の開口部上部において天井板の内面に取り付けられたガイドフレーム、9はこのガイドフレーム8に出入可能に設けられた手挟み防止部材で、この手挟み防止部材9はスライドレール10を介してガイドフレーム8に取り付けられおり、図示しないバネ等の付勢手段により筐体1から前方に突出するように付勢されている。
【0013】
11は操作者が手を挟まれないように注意を促す文言やイラストを印刷した注意表示ラベルで、この注意表示ラベル11は手挟み防止部材9の上面に貼りつけられている。
12はガイドフレーム8の前端より奥側に位置するようにガイドフレーム8内に設けられた固定ブラケットで、手挟み防止部材9はその前端部が固定ブラケット12に突当るまで押込んで移動させることが可能となっている。
【0014】
上述した構成による第1の実施例の作用について説明する。
ユニット2内には、例えば紙幣等の媒体の集積部や搬送機構、電子部品等が収納されており、通常時このユニットは図1(a)及び図2(a)に示したように筐体1内に押込まれて収納され、図示しないロック手段によりロックされている。ユニット2のメンテンナンス時に、筐体1からユニット2を引出す場合、前記ロック手段によるロックを解除することで、ユニット2は引出し可能となる。
【0015】
図1(b)及び図2(b)に示したように筐体1からユニット2を引出すと、その引出しに伴って手挟み防止部材9は付勢手段の付勢力によりユニット2を追いかけるように筐体1(ガイドフレーム8)から前方に突出する。これにより手挟み防止部材9が筐体1の切欠部4の部分で筐体1の前端とユニット2の後端の間に生じる隙間7を覆うため、作業者の手6や指が隙間7に挿入されることを阻止することができる。
【0016】
メンテナンス終了後、ユニット2を筐体1内に収納する場合は、ユニット2のブロック部5の部分等を押してユニット2を筐体に押込んでゆくと、ブロック部5の後端面が手挟み防止部材9に突き当たるので、そのまま更に押込むと手挟み防止部材9が付勢手段に抗して筐体1(ガイドフレーム8)内に戻され、ユニット2は筐体1内に収納される。収納されたユニット2は前記ロック手段によりロックされ、引出し不可となる。
尚、筐体1からユニット2を引出した状態において、隙間7を覆うように突出している手挟み防止部材9を意図的に手でガイドフレーム8内に押し戻すことが可能であるが、
手挟み防止部材9を突出した状態に固定する固定手段を設けることも可能である。
【0017】
この場合の固定手段としては、例えば手挟み防止部材9に上方に突出するようにバネ等の不正手段で付勢されたボタン等を設け、このボタンが嵌合する孔をガイドフレーム8や筐体1に設けて、手挟み防止部材9をガイドフレーム8から突出したとき、前記ボタンが孔に嵌合することで、手挟み防止部材9を固定し、ユニット2を筐体1内に収納する際に、前記ボタンを押込んで孔から外すことにより、手挟み防止部材9をガイドフレーム8内に押し戻せるような構造のものを用いることができる。
【0018】
また、筐体1から引出したユニット2をその状態のままでは筐体1内に収納することができないように固定する固定手段を設けることも可能である。この場合の固定手段も、例えばユニット2の側方に突出するようにバネ等の不正手段で付勢されたボタン等を設け、このボタンが嵌合する孔を筐体1に設けて、筐体1からユニット2を引出したとき、前記ボタンが孔に嵌合することで、ユニット2を固定し、ユニット2を筐体1内に収納する際に、前記ボタンを押込んで孔から外すことにより、ユニット2を筐体1内に押し戻せるような構造のものを用いることができる。
【0019】
ユニット2が故障したとき等は、ユニット2を筐体1から取外して修理あるいは交換する場合があるが、この場合、筐体1からユニット2を引出すと、手挟み防止部材9も上記のようにガイドフレーム8から前方に突出するので、手挟み防止部材9をその前端部が固定ブラケット12に突当るまでガイドフレーム8内に押し戻し、手挟み防止部材9の前端部に設けられた透孔にネジ13(図3、図4参照)を通して固定ブラケット12に設けられているネジ穴に締め付けることで、手挟み防止部材9を固定ブラケット12に固定する。
【0020】
これにより筐体1の前端とユニット2の後端の間の隙間7に手を差し込める状態となるので、隙間7から手を挿し込んでユニット2の後部を持ち、所定の操作でユニット2を筐体1から取り外して修理あるいは交換を行う。修理あるいは交換が終了した後は、ユニット2を筐体1に取り付けてから、ネジ13を緩めて外し、ユニット2を筐体1に押込んで収納させる。
【0021】
また、ユニット装置を輸送する場合がある。図3は第1の実施例の輸送時の状態を示す側面図、図4は第1の実施例の輸送時の状態を示す斜視図で、この場合も筐体1からユニット2を引出し、上記と同様の手順でネジ13により手挟み防止部材9を固定ブラケット12に固定する。この状態では、ユニット収納時にユニット2の後面と手挟み防止部材9の前面は接触しなくなると同時に、ユニット2を手挟み防止部材9は前方へ突出することができないので、安定した輸送が可能になる。
【0022】
以上説明したように第1の実施例では、ユニット2が完全に筐体1から引出されると、付勢手段により付勢された手挟み防止部材9が突出して筐体1の切欠部4の部分で筐体1の前端とユニット2の後端の間に生じる隙間7を覆うようにしているため、作業者の手6や指が隙間7に挿入されることが阻止され、ユニット2を筐体1に収納する際、作業者が手を挟まれることを防止することができるという効果が得られる。
【0023】
また、ユニット2を筐体1から取外して修理あるいは交換する場合、手挟み防止部材9をその前端部が固定ブラケット12に突当るまでガイドフレーム8内に押し戻してネジ13により固定することで、隙間7から手を挿し込んでユニット2の後部を持つことができるため、ユニット2の修理あるいは交換の作業性が良い装置を実現することができる。
また、ユニット装置を輸送する場合も、同じく手挟み防止部材9をネジ13により固定ブラケット12に固定することで、ユニット2と手挟み防止部材9とを互いに接触しないようにすることができるので、安定して輸送が可能な装置を実現することができる
【実施例2】
【0024】
図5は第2の実施例を示す側面図、図6は第2の実施例を示す斜視図である。この第2の実施例は軸14を介して手挟み防止部材9の後部をスライドレール10に取り付けることにより、軸14を支点として手挟み防止部材9を上方に回転できるようにし、またユニット2の後部側上面に軸15を支点として上方に回転できるようにした扉16を設けたもので、扉16の下側には媒体17の集積部等が設けられている。
この他の構成は第1の実施例と同様であるので、同一の構成要素には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0025】
上述した構成による第2の実施例の作用について説明する。この第2の実施例においても、ロック手段によるロックを解除して図5に示したように筐体1からユニット2を引出すと、その引出しに伴って手挟み防止部材9は付勢手段の付勢力によりユニット2を追いかけるようにガイドフレーム8から前方に突出して、手挟み防止部材9が筐体1の切欠部4の部分で筐体1の前端とユニット2の後端の間に生じる隙間7を覆うため、作業者の手6や指が隙間7に挿入されることを阻止することができる。
【0026】
ユニット2を筐体1内に収納する場合は、ユニットのブロック部5の部分等を押してユニット2を筐体に押込んでゆくと、ブロック部5の後端面が手挟み防止部材9に突き当たるので、そのまま更に押込むと手挟み防止部材9が付勢手段に抗してガイドフレーム8内に戻され、ユニット2は筐体1内に収納される。収納されたユニット2は前記ロック手段によりロックされ、引出し不可となる。
【0027】
ユニット2内に故障等が生じ、ユニット2内の集積部等に集積された媒体17を取り出す必要が生じた場合、筐体1からユニット2を引出した状態で、手挟み防止部材9を軸14を支点として上方に回転させ、また扉16も軸15を支点として上方に回転させて開く。これによりユニット2内の集積部等が開放されるので、媒体17を取り出すことができる。
尚、ユニット2内に搬送等の機構や電子部品等が設けられている場合は、扉16を開くことで、それらの機構の点検や電子部品等の交換等を行うことも可能である。
【0028】
以上説明したように第2の実施例でも、第1の実施例と同様にユニット2が完全に筐体1から引出されると、付勢手段により付勢された手挟み防止部材9が突出して筐体1の切欠部4の部分で筐体1の前端とユニット2の後端の間に生じる隙間7を覆うようにしているため、作業者の手6や指が隙間7に挿入されることが阻止され、ユニット2を筐体1に収納する際、作業者が手を挟まれることを防止することができるという効果が得られる。
ユニット2が完全に筐体1から引出されると、手挿入ガイド4が装置後方部を覆い、ユニット2と筐体1との隙間に手を挿入できなくなるので、ユニット挿入時に手挟みを防止することができるという第1の実施例と同様の効果が得られる。
【0029】
また、この第2の実施例では、手挟み防止部材9を上方へ回転可能にすると共に、ユニット2の上面後部に上方への回転が可能な扉16を設けているため、この手挟み防止部材9と扉16を上方へ回転させることでユニット2内の媒体20の取出しや、機構の点検、電子部品の交換等を行うことが可能となるという効果も得られる。
【符号の説明】
【0030】
1 筐体
2 ユニット
3 スライドレール
4 切欠部
5 ブロック部
6 手
7 隙間
8 ガイドフレーム
9 手挟み防止部材
10 スライドレール
11 注意表示ラベル
12 固定ブラケット
13 ネジ
14 軸
15 軸
16 扉

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一面を開口部とした筐体と、この筐体より高さが低くかつこの筐体に出入可能に取り付けられたユニットを備え、このユニットを前記筐体の開口部から押込んで筐体に収納するユニット装置において、
前記筐体の開口部上部の内側に手挟み防止部材を設けると共に、この手挟み防止部材を前方に突出するように付勢手段で付勢し、
前記筐体から前記ユニットを引出すと、前記手挟み防止部材が前方に突出して、前記筐体の前端と前記ユニットの後端の間に生じる隙間を覆うようにしたことを特徴とするユニット装置。
【請求項2】
請求項1に記載のユニット装置において、
前記筐体の開口部側上部に切欠部を設け、前記ユニットの収納時にこの切欠部を塞ぐブロック部を前記ユニットに設けて、
前記ユニットを前記筐体に押込んだとき、前記ブロック部が前記手挟み防止部材を前記筐体内に押し戻すようにしたことを特徴とするユニット装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のユニット装置において、
前記筐体の開口部上部の内側にブラケットを設け、このブラケットに前記手挟み防止部材の前端部をネジで固定可能としたことを特徴とするユニット装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のユニット装置において、
前記手挟み防止部材を上方へ回転可能とし、前記ユニットの後部上面に上方へ回転可能とした扉を設けて、前記筐体から前記ユニットを引出したとき、前記手挟み防止部材と前記扉をそれぞれ上方へ回転させることで前記ユニット内を開放することを特徴とするユニット装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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