説明

ユニット足場

【課題】高所作業を行うのに際しての横方向には延びずして上方向にのみ延びる作業用足場の形成および撤去を容易にする。
【解決手段】ユニットY1と方ユニットY2をと分離可能に連結し手摺を設けるユニット足場であって、ユニットY1は、縦材11と横架材12とで形成される建枠1と、縦材11に水平方向の揺動を自在に連結される手摺枠2と、足場枠3とを有し、ユニットY2は、縦材11と横架材12とで形成される建枠1と、縦材11に水平方向の揺動を自在に連結される手摺枠2とを有し、ユニットY1の手摺枠2がユニットY2の建枠1における縦材11に分離可能に連結され、ユニットY2の手摺枠2がユニットY1の建枠1における縦材11に分離可能に連結され、ユニットY1の足場枠3がユニットY2の建枠1における横架材12に分離可能に連結され、足場枠3が作業員の立ち入りを許容する床板33と作業員の通過を許容する開口34とを有す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、高所作業の際に利用される作業用足場の形成に向くユニット足場に関する。
【背景技術】
【0002】
高所作業の際に利用される作業用足場としては、従来から種々の提案があり、たとえば、特許文献1には、枠体たる建枠を利用した枠組足場からなる作業用足場が開示されている。
【0003】
すなわち、枠組足場は、一対の縦材と、この一対の縦材の上端を繋ぐ横架材とで門形に形成された建枠を、たとえば、建造物の長手方向に沿って複数立設すると共に、この複数立設された建枠における横架材に足場板を架け渡して長手方向に延びる作業用足場を形成する。
【0004】
その一方で、この枠組足場にあっては、言わば下段の建枠に上段の建枠を連結して上方に延すようにすると共に、この上段の建枠にも足場板を架け渡して長手方向に延びる作業用足場を形成する。
【0005】
つまり、この枠組足場にあっては、建造物の壁面に沿うように上方向および横方向に任意の長さに延びる作業用足場を形成できる。そして、この枠組足場にあっては、その解体時には、この枠組足場を組み上げる際の手順と逆となる手順を辿れば足りる。
【0006】
それゆえ、この枠組足場にあっては、利用時には、作業員による作業で組み立て、また、利用の終了後、すなわち、不使用時には、作業員による作業で解体して撤去すれば良い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−196403号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記した特許文献1に開示の枠組足場にあっては、たとえば、建造物の壁面に沿うように上方向および横方向に任意の長さに延びる作業用足場を形成できる点で基本的に問題がある訳ではないが、限られた条件の下では、その利用が不向きとされる可能性がある。
【0009】
すなわち、高所作業を行うについて、作業現場の状況などから、横方向には延びずして上方向にのみ延びる作業用足場を設置する必要があり、しかも、その設置から撤去までを含む全時間に余裕がない場合には、上記した枠組足場は、言わば不向きとなる。
【0010】
つまり、上記した枠組足場で横方向には延びずして上方向にのみ延びる作業用足場を形成する場合にも、作業員による作業で、建枠の立設、建枠間への足場板の架け渡しが行われる。
【0011】
そして、このときには、いわゆる枠組を補強するための斜材の設置作業や安全設備としての手摺の設置作業なども併行して行われ、全体としてみるとき、かなりの時間を要すことになる。
【0012】
そしてまた、作業用足場を利用しての本来の作業が終了した後は、作業用足場を解体して撤去するが、この解体は、組み立ての際の手順と逆となる手順を辿るから、それなりの時間を要すことになる。
【0013】
その結果、横方向には延びずして上方向にのみ延びる作業用足場を利用して高所作業を行うのに際して作業用足場の形成から撤去までを含む全時間に余裕がない場合には、上記した枠組足場の利用が好ましくないことになる。
【0014】
この発明は、上記した現状を鑑みて創案されたものであって、その目的とするところは、高所作業を行うのに際しての横方向には延びずして上方向にのみ延びる作業用足場の形成およびその撤去を容易にするユニット足場を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記した目的を達成するために、この発明によるユニット足場の構成を、一方ユニットと他方ユニットをと分離可能に連結し手摺を設けて作業員の立ち入りを許容する作業用足場を形成するユニット足場であって、一方ユニットは、縦材と横架材とで形成される建枠と、この建枠における縦材に水平方向の揺動を自在に連結される手摺枠と、建枠における横架材に起伏自在に連結される足場枠とを有し、他方ユニットは、縦材と横架材とで形成される建枠と、この建枠における縦材に水平方向の揺動を自在に連結される手摺枠とを有し、一方ユニットの手摺枠が他方ユニットの建枠における縦材に分離可能に連結され、他方ユニットの手摺枠が一方ユニットの建枠における縦材に分離可能に連結され、一方ユニットの足場枠が他方ユニットの建枠における横架材に分離可能に連結され、足場枠が作業員の立ち入りを許容する床板と作業員の通過を許容する開口とを有してなるとする。
【0016】
それゆえ、この発明にあっては、一方ユニットおよび他方ユニットが複数準備されることで横方向には延びずして上方向にのみ延びる作業用足場の形成を容易に可能にする。
【0017】
すなわち、組立に際して、最下段にあっては、ベース部材などの利用下に一方ユニットと他方ユニットとを起立させ、一方ユニットの手摺枠を対向する他方ユニットの建枠に連結すると共に、他方ユニットの手摺枠を対向する一方ユニットの建枠に連結し、かつ、一方ユニットの足場枠を他方ユニットの建枠に連結することで、一方ユニットと他方ユニットで形成される内側に作業員の立ち入りを許容する作業用足場を形成する。
【0018】
このとき、一方ユニットおよび他方ユニットが有する手摺枠は、これが対向するユニットの建枠に連結されるだけで、作業用足場における手摺を形成するから、従来のように、作業員が枠組足場に手摺枠をいわゆる後付けで設ける場合に比較して、作業用足場に手摺を設ける作業が容易にして迅速になる。
【0019】
そして、一方ユニットが有する足場枠は、これが対向するユニットの建枠に連結されるだけで、この足場枠が有する床板で作業用足場を形成するから、従来のように、作業員が枠組足場に足場板をいわゆる後付けで架け渡す場合に比較して、作業用足場の形成作業が容易にして迅速になる。
【0020】
一方、最下段の一方ユニットには、上方から他方ユニットが連結され、最下段の他方ユニットには、上方から一方ユニットが連結され、これにより、下方の足場枠が有する床板の上方、つまり、作業用足場の上方には、上方の足場枠が有する開口が対向し、この開口が作業員の通路となる。
【0021】
そして、上方に順次連結されるユニットが下方のユニットと反対側のユニットとされることで、下方に位置決めされる足場枠が有する床板で形成される作業用足場が上方に位置決めされる足場枠が有する開口を介して順次連続することになる。
【0022】
ちなみに、建枠における縦材は、任意の間隔を有する一対とされ、建枠における横架材は、上下方向に適宜間隔で整列される複数本とされて両端が縦材に連結されてなる場合には、この建枠をいわゆる梯子にすることが可能になり、この梯子を利用することで作業員が上下となる作業用足場を容易に往復し得ることになる。
【0023】
そして、この発明にあっては、本来の作業が終了した後の撤去の際には、上記した組立の際の手順と逆の手順を辿れば良く、従来の各部材ごとに分解して解体して撤去する場合に比較して、撤去作業を容易にして迅速に行える。
【発明の効果】
【0024】
その結果、この発明にあっては、高所作業を行うのに際しての横方向には延びずして上方向にのみ延びる作業用足場の形成およびその撤去を容易にする。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】この発明によるユニット足場を示す斜視図である。
【図2】図1のユニット足場における一方ユニットを示す斜視図である。
【図3】図1のユニット足場における他方ユニットを示す斜視図である。
【図4】図1のユニット足場における枢着手段を示す部分図で、(A)は、正面図、(B)は、一部断面平面図である。
【図5】図1のユニット足場における連結手段を示す部分平面図である。
【図6】図1のユニット足場における足場枠連結手段を示す一部断面正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に、図示した実施形態に基づいて、この発明を説明するが、この発明によるユニット足場は、高所作業のために横方向には延びずして上方向にのみ延びる作業用足場を形成するのに向く。
【0027】
ところで、高所作業には、たとえば、垂直リフトや折り畳み可能な篭付アームを装備した高所作業用車両を利用することを提案でき、この高所作業用車両を利用する場合には、いわゆる足場を組み上げて形成したり解体して撤去したりする場合に比較して、高所作業たる本来の作業に対する付帯作業に多大な時間を要せず、したがって、本来の作業に要する時間を短くしないで済む。
【0028】
しかし、この高所作業用車両を利用できるのは、この高所作業用車両が走行する道路に支承なくして繋がる言わばオープンな空間に限られ、たとえば、鉄道の駅舎内やホームなどの道路に繋がらずに限られた空間になり易い場所での高所作業には、この高所作業用車両を利用できない。
【0029】
この発明のユニット足場は、上記の鉄道の駅舎内やホームなどのような限られた場所に横方向には延びずして上方向にのみ延びる作業用足場を形成し得るとする。
【0030】
そして、この発明のユニット足場は、形成から撤去までの全時間に余裕がない限られた条件下での利用に向くように、従来の枠組足場を利用する場合に比較して、形成および撤去に要する時間を大幅に短縮できる作業用足場を形成し得るとする。
【0031】
そのため、この発明によるユニット足場は、図1に示すように、一方ユニットY1と他方ユニットY2とを連結することで、つまり、二つのユニットを連結することで、内側に作業員の立ち入りを許容する作業用足場(符示せず)を手摺(符示せず)を有した状態で形成する。
【0032】
このとき、この発明にあっては、二つのユニットY1,Y2が分離可能に連結されるとし、これによって、二つのユニットY1,Y2があらかじめ一体になっている場合に比較して、搬送や組立などの際のいわゆる取扱を容易にする。
【0033】
このような前提の下で、一方ユニットY1は、図2にも示すように、建枠1と、手摺枠2と、足場枠3とを有してなり、他方ユニットY2は、図3にも示すように、建枠1と、手摺枠2とを有してなる。
【0034】
そして、図2および図3に示すように、一方ユニットY1および他方ユニットY2にあって、縦枠1は、縦材11と横架材12とで剛体に形成され、手摺枠2は、剛体に形成されながら建枠1に水平方向の揺動を自在に連結され、一方ユニットY1にあって、足場枠3は、剛体に形成されながら建枠1に起伏自在に連結されてなる。
【0035】
縦枠1にあって、縦材11は、任意、すなわち、たとえば、ほぼ900mmの間隔を有する一対とされ、横架材12は、上下方向に適宜間隔で整列される複数本とされて両端が縦材11に一体に連結されてなる。
【0036】
縦材11,11の間隔がほぼ900mmとされることで、縦材11,11間が作業員の肩幅寸法より大きくなり、後述するように、作業員がこの建枠1を梯子として利用することを容易にする。
【0037】
また、縦材11は、この種の建枠における縦材と同様に金属製の筒状体、たとえば、アルミ製の丸パイプからなり、上端部を細径化されたジョイント部11aとし、このジョイント部11aを上方の縦材11の下端部(符示せず)に挿し込むことで上下となる縦材11の連結を可能にする。
【0038】
ちなみに、縦材11の下端部も筒状になっているから、下方の縦材11における上端部たるジョイント部11aの挿し込みを許容するのはもちろんのこと、いわゆる地上などに立設される最下段となる建枠1にあっては、図示しないが、縦材11の下端部にベース部材におけるジョイント部に相当する上端側筒状部が挿し込まれる。
【0039】
横架材12は、基本的には、一対となる縦材11の上端あるいは上端部を連結するいわゆる頭繋ぎとなり、従前であれば、図示しないが、足場板の両端に設けられたフック部材の係合を許容する。
【0040】
それに対して、この発明にあっては、最上段の横架材12は、いわゆる頭繋ぎとして機能するが、図示するように、横架材12は、縦材11の下端部から上端部にかけての上下方向に等間隔に整列される複数本とされている。
【0041】
このように、一対の縦材11,11に連結される横架材12が複数本とされ、また、上下方向に等間隔に整列される場合には、この縦材11と横架材12とからなる建枠1を梯子として利用することを可能にすることになる。
【0042】
一方、この横架材12は、両端が縦材11に、たとえば、溶接されることから、縦材11と同様の金属材からなり、また、横架材12は、上記したように、頭繋ぎとして機能する場合には、丸パイプからなるとしても良いが、梯子として機能することを勘案すると、たとえば、断面を矩形あるいは台形にする角パイプ、さらには、建枠1の軽量化を意図する上で断面を下向きL字状などにする型材からなるとするのが良い。
【0043】
手摺枠2は、この発明にあって、基端が建枠1における縦材11に枢着されて他端が任意の長さを有して水平方向に延在される手摺部材21と、この手摺部材21の他端に設けられて対向するユニットの建枠1における縦材11に連結される連結手段25とを有してなる。
【0044】
これによって、手摺枠2は、一方ユニットY1および他方ユニットY2にあって、水平方向に揺動可能とされて建枠1に沿わせるように折り畳めることになり、搬送や格納を便利する。
【0045】
そして、この発明にあって、手摺枠2は、手摺部材21の下方に遮蔽面を形成するとして、手摺部材21の下方を介して作業員が転落するような危険をあらかじめ回避するとしている。
【0046】
以上のような前提の下に、この手摺枠2、つまり、一方ユニットY1および他方ユニットY2における手摺枠2は、図2および図3に示すところにあって、手摺部材21および桟部材22と、間柱部材23および斜材24とを有し、さらに、連結手段25を有してなる。
【0047】
そして、この手摺枠2にあって、手摺部材21および桟部材22は、一端たる基端が建枠1における縦材11に枢着手段26を介して連結されると共に他端たる先端が任意の間隔を有して水平方向に延在されてなる。
【0048】
また、この手摺枠2にあって、間柱部材23および斜材24は、上下端が手摺部材21と桟部材22とに連結されて手摺部材21と桟部材22との間に面、つまり、遮蔽面(符示せず)を形成する。
【0049】
手摺部材21および桟部材22の水平方向への長さは、たとえば、前記した建枠1における縦材11,11間の寸法をほぼ900mmとしたことに相応するように、ほぼ900mmとされるのが良い。
【0050】
これによって、この手摺枠2を揺動させて縦枠1に重ねるようにするとき、つまり、いわゆる折り畳むとき、いたずらに寸法違いを生じず、搬送や格納などに際して便利となる。
【0051】
間柱部材23および斜材24の上下方向の長さは、たとえば、手摺部材21が手摺とされるときに、この手摺が腰高と言われる高さに設定されることが望ましいことを考慮した長さに設定されるのが良い。
【0052】
たとえば、桟部材22とその下方の足場枠3との間にほぼ100mmから200mmの隙間を設けるように桟部材22の高さ位置を設定するのであれば、間柱部材23および斜材24の上下方向の長さは、ほぼ700mmから800mmの間とされるであろう。
【0053】
また、手摺部材21および桟部材22と、間柱部材23および斜材24とは、それぞれアルミ製の角パイプからなり、各材の連結は、溶接によるとし、これにより、たとえば、作業員の体重が作用するときにも、所定の機械的強度を有する設定とされている。
【0054】
ところで、手摺枠2にあって、手摺部材21がいわゆる手摺を形成し、この手摺の下方に遮蔽面を形成することからすれば、桟部材22,間柱部材23および斜材24の構成については任意とされて良い。
【0055】
とは言え、この手摺枠2は、上記したように、作業員の体重が作用するときにも、所定の機械的強度を有する設定とされることからすれば、手摺部材21に言わば対峙する桟部材22も必須の部材になり、手摺部材21と桟部材22との間に設けられる間柱部材23および斜材24も必須の部材になる。
【0056】
このことからすると、手摺部材21の下方に設けられる桟部材22,間柱部材23および斜材24については、これを省略できないが、遮蔽面を形成するとの見地からすれば、図示しないが、間柱部材23および斜材24に代えて板材を手摺部材21の下端に垂設するとしても良い。
【0057】
ところで、手摺部材21の一端たる基端と桟部材22の一端たる基端は、枢着手段26を介してそれぞれ建枠1における縦材11に連結され、これによって、手摺部材21および桟部材22が水平方向に揺動可能、すなわち、連結手段25を有する先端側部を水平方向に旋回可能にしている。
【0058】
それゆえ、一方ユニットY1および他方ユニットY2にあって、手摺枠2は、建枠1に沿うように折り畳み可能とされ、不使用時の格納などの際にいたずらに嵩張らないことになる。
【0059】
手摺部材21の基端と桟部材22の基端に設けられる枢着手段26は、ヒンジ構造からなり、図4に示すように、建枠1における縦材11に連結されるヒンジ板26aと、このヒンジ板26aと共に手摺部材21の基端部あるいは桟部材22の基端部(符示せず)を貫通するボルトナットからなるヒンジ軸26bとを有してなる。
【0060】
このとき、この発明では、手摺枠2があらかじめ建枠1に連結されてなるとして、いわゆる組立作業の単純化を意図しているから、枢着手段26にあって、必ずしもヒンジ板26aからヒンジ軸26bを抜き取ることを可能にする構造に構成される必要はなく、したがって、ヒンジ軸26bは、図示しないが、これがリベット構造に構成されて抜き取りが不能とされてなるとしても良い。
【0061】
一方、手摺部材21の先端と桟部材22の先端に設けられる連結手段25は、フック構造からなり、図5に示すように、建枠1における縦材11を内側に位置決めさせるように平面視をコ字状にして横方向から包持するフック板25aと、このフック板25aの先端部を横方向に貫通して内側からの縦材11の抜け出しを阻止する閂ピン25bとを有してなる。
【0062】
そして、閂ピン15bは、図示しないが、連結ワイヤでフック板25aに連結されて、いわゆる紛失騒ぎとならないようにしている。なお、閂ピン15bは、図するところでは、折り曲げ可能に形成されているが、この閂ピン15bの機能するところからすれば、必ずしも折り曲げ可能に形成されている必要はなく、折り曲げ不能な直状に形成されてなるとしても良い。
【0063】
ところで、この連結手段25におけるフック板25aの手摺枠2における手摺部材21および桟部材22に対する向きについてであるが、以下のような配慮がなされている。
【0064】
つまり、図1に示すように、二つのユニットY1,Y2が連結されて内側に作業用足場を形成する態勢になるとき、一方ユニットY1に連結される手摺枠2は、言わば内側から揺動されて手摺部材21および桟部材22が有するフック板25a内に他方ユニットY2における建枠1の縦材11を侵入させる、つまり、フック板25aが縦材11を抱持する態勢になるとしている。
【0065】
それに対して、他方ユニットY2に連結される手摺枠2は、言わば外側から揺動されて手摺部材21および桟部材22が有するフック板25a内に一方ユニットY1における建枠1の縦材11を侵入させる、つまり、抱持する態勢になるとしている。
【0066】
このことから、図5に示すところは、他方ユニットY2の手摺枠2における手摺部材21および桟部材22が有するフック板25aを示すことになり、図示しないが、この図5の鏡面図が一方ユニットY1の手摺枠2における手摺部材21および桟部材22が有するフック板25aを示すことになる。
【0067】
このように、一方ユニットY1と他方ユニットY2とで、手摺枠2における手摺部材21および桟部材22が有するフック板25aの向きが異なるとするのは、この二つのユニットY1,Y2を利用した作業用足場の形成作業のより一層の簡素化を可能にするためである。
【0068】
つまり、先ずは、一方ユニットY1および他方ユニットY2にあって、手摺枠2が共に内側から外側に向けて揺動されて建枠1における縦材11に連結される設定とすると、一方ユニットY1が有する足場枠3を他方ユニットY2の建枠1における横架材12に連結する作業に際して、他方ユニットY2が手摺枠2を揺動させないで有した状態にあると、干渉が危惧され、足場枠3の建枠1への連結が巧く運ばなくなる可能性がある。
【0069】
ちなみに、一方ユニットY1における足場枠3をいわゆる倒す前に、他方ユニットY2における手摺枠2を揺動して一方ユニットY1における建枠1の縦材11に連結させると、その後に、一方ユニットY1が有する足場枠3を倒して他方ユニットY2における建枠1の横架材12に連結するのが容易でなくなる可能性がある。
【0070】
それに対して、他方ユニットY2における手摺枠2が外側から一方ユニットY1の建枠1における縦材11に連結される設定の場合には、一方ユニットY1が有する足場枠3を他方ユニットY2の建枠1における横架材12に連結する作業が巧く運ぶかどうかを懸念する必要すら生じなくなり、いわゆる組立作業を迅速化させる。
【0071】
それと、たとえば、一方ユニットY1および他方ユニットY2にあって、手摺枠2が共に外側から内側に向けて揺動されて建枠1における縦材11に連結される設定とすると、組立作業を円滑に運べなくなる危惧がある。
【0072】
つまり、二つのユニットY1,Y2からなる作業用足場を、たとえば、ホームにおける線路側のいわゆるぎりぎりの位置に設ける場合には、たとえば、一方ユニットY1の手摺枠2を他方ユニットY2の建枠1に連結する作業を円滑に実行し得なくなる可能性がある。
【0073】
以上の不具合の招来を回避することから、この発明にあっては、一方ユニットY1と他方ユニットY2とで、手摺枠2における手摺部材21および桟部材22が有するフック板25aの向きが異なるとする。
【0074】
足場枠3は、任意の間隔を有する一対とされ基端が建枠1における横架材12に枢着されると共に他端が並行されて水平方向に延在される桁部材31と、この一対となる桁部材31の他端を連結すると共に対向するユニットの建枠1における横架材に連結される連結部材32と、一対となる桁部材31の基端側部に展設されて作業員の立ち入りを許容する床板33と、一対となる桁部材31の先端側部に形成されて作業員の通過を許容する開口34とを有してなる。
【0075】
それゆえ、足場枠3は、一方ユニットY1にあって、一対の桁材31,31が上下方向に揺動可能、すなわち、起伏可能とされて建枠1に沿わせるように折り畳めることになり、搬送や格納を便利する。
【0076】
また、足場枠3は、これがいわゆる使用状態に倒されるとき、一対の桁材31,31の先端が他方ユニットY2における建枠1の横架材12に担持されることになり、床板33によるいわゆる足場の形成が可能とされ、また、開口34を足場に隣接する通路にすることが可能とされる。
【0077】
このことから、図1および図2に示す足場枠3にあって、一対の桁材31,31の基端は、枢着手段35を介して建枠1における横架材12に連結され、一対の桁材31,31の先端は、連結部材32を有してなる。
【0078】
枢着手段35は、詳しくは図示しないが、形状から見ると、前記した図4に示す手摺枠2における枢着手段26と同様の構造に形成されてなる。
【0079】
すなわち、枢着手段35について、図4を借りて説明すると、図4(A)に示すところが、この枢着手段35における平面図に相当し、図4(B)に示すところが、この枢着手段35における正面図に相当する。
【0080】
そして、図4中に示す縦材11が、この枢着手段35にあっては、横架材12に代わり、同じく手摺部材21あるいは桟部材22が、この枢着手段35にあっては、桁部材31に代わる。
【0081】
また、この枢着手段35にあっては、ヒンジ板が横架材12に連結され、このヒンジ板を貫通するヒンジ軸が桁部材31の基端部を併せて貫通する。
【0082】
枢着手段35が以上のように構成されるから、足場枠3における桁材31は、図4(B)中で、基端部がヒンジ板にヒンジ軸で枢着された状態で、図4(B)中の左側部が上下方向に揺動可能とされることになる。
【0083】
ちなみに、上記の枢着手段35についても、前記した枢着手段26と同様に、ヒンジ軸がリベット構造に構成されてヒンジ板からの抜き取りが不能とされても良い。
【0084】
ところで、一対となる桁部材31の水平方向への長さは、前記した手摺枠2における長さ寸法にほぼ等しくなるとし、これによって、この足場枠3をいわゆる倒して先端の連結部材32を他方ユニットY2における建枠1の横架材12に無理なく係合することが可能になる。
【0085】
また、一対となる桁部材31の先端と一方ユニットY1における建枠1との間には、図示しないが、吊りワイヤが配設されていて、桁部材31の、つまり、足場枠3の先端を必要以上に下降させたいようにする配慮がなされていても良い。
【0086】
一方、連結部材32、すなわち、一対となる桁部材31の他端を連結すると共に対向する他方ユニットY2の建枠1における横架材12に連結される連結部材32は、図6に示すように、横断面を下向きコ字状にして下方からの横架材12の内側への侵入を許容する態様に形成されてなる。
【0087】
そして、下方に延びる下辺部を閂ピン32aが貫通して、内側からの横架材12の抜け出し、つまり、連結部材32が横架材12から離座して上昇することを阻止している。
【0088】
また、閂ピン32aは、図示しないが、連結ワイヤで連結部材32に連結されて、いわゆる紛失騒ぎとならないようにしている。なお、閂ピン32aは、図示するところでは、折り曲げ可能に形成されているが、この閂ピン32aの機能するところ頃からすれば、必ずしも折り曲げ可能に形成されている必要はなく、折り曲げ不能な直状に形成されてなるとしても良い。
【0089】
床板33は、図示するところでは、一対となる桁部材31の基端側部に展設されて作業員の立ち入りを許容し、開口34は、一対となる桁部材31の先端側部に形成されて作業員の通過を許容する。
【0090】
床板33については、図示するところでは、両側端部が一対の桁部材31の基端側部上に担持された状態にして展設されてなるとするが、この床板33が機能するところ、すなわち、作業用足場を形成するとの観点からすれば、この床板33が桁部材31に一体に形成されてなるとしても良い。
【0091】
そして、このときには、床板33が桁部材31の下端部側に連設され、したがって、桁部材31が床板33に対して上に立ち上がる態様になり、このことから、桁部材31に爪先板、つまり、床板33上に置いた小物が落下することを阻止する爪先板の機能を果たさせることが可能になる。
【0092】
尤も、より有効に機能する爪先板を設けるべく、図示しないが、床板33に折り畳み式に爪先板を設けるとしても良いこともちろんであり、このとき、爪先板が床板33の四辺部に設けられて良いこともちろんである。
【0093】
以上のように形成されたこの発明によるとユニット足場を利用して作業用足場を形成するには、以下の手順による。
【0094】
先ずは、作業用足場を設けたい場所にあって、いわゆる地上にベース部材を前後左右に所定の間隔、たとえば、図示する実施形態にあっては、ほぼ900mmの間隔に配置する。
【0095】
そして、この配置されたベース部材におけるジョイント部に相当する上端側筒状部を一方ユニットY1を形成する建枠1における縦材11の下端部に導通させて、縦材11、つまり、建枠1を立設する。
【0096】
この建枠1の立設を他方ユニットY2においても行うことで、一方ユニットY1およびこれに言わば対峙する他方ユニットY2が立設される。
【0097】
そして、それぞれ立設された一方ユニットY1と他方ユニットY2とをそれぞれの手摺枠2を利用して相手方に連結する。これによって、一方ユニットY1と他方ユニットY2とが一対の手摺枠2で一体的に連結される。
【0098】
このとき、図示する実施形態にあっては、一方ユニットY1における手摺枠1は、いわゆる内側から外側に向けて揺動されて他方ユニットY2に建枠1の縦材11に連結される。
【0099】
これによって、一方ユニットY1と他方ユニットY2との間に一対となる内の一方の手摺が設けられたことになる。
【0100】
そして、一方ユニットY1における手摺枠2の他方ユニットY2に対する連結が終了した後は、一方ユニットY1における足場枠3を倒して桁部材31の先端の連結部材32を他方ユニットY2における建枠1の横架材12に連結させる。
【0101】
これによって、一方ユニットY1と他方ユニットY2との間に床板33による作業用足場が設けられたことになり、このとき、この作業用足場に近接する開口34が作業員用の通路になる。
【0102】
なお、床板33で作業用足場が設けられるから、この足場を利用して一方ユニットY1に他方ユニットY2を連結し、他方ユニットY2に一方ユニットY1を連結する作業を実行できることになる。
【0103】
さらに、他方ユニットY2における手摺枠2をいわゆる外側から内側に向けて揺動して一方ユニットY1における建枠1の縦材11に連結する。
【0104】
これによって、一方ユニットY1と他方ユニットY2との間に一対となる内の他方の手摺が設けられたことになり、また、一方ユニットY1と他方ユニットY2とが一対の手摺枠2で一体的に連結されたことになる。
【0105】
以上のようにして、最下段の一対のユニットY1,Y2による作業用足場の形成が完了するが、一対のユニットY1,Y2を連結して作業用足場を形成するのにあって、要する連結作業は、一対の手摺枠2,2を連結させる作業と、足場枠3を連結させる作業の三つとなる。
【0106】
このことから、この発明のユニット足場による場合には、従前の枠組足場による場合に比較して、要する連結作業の総数を極端に少なくすることが可能になり、作業用足場の形成にいたずらに時間を要せず、本来の作業に要する時間をいたずらに短縮させないことになる。
【0107】
ちなみに、最下段の一対のユニットY1,Y2における起立性を向上させるために、図示しないが、アウトリガーなどの控えが設けられるとしても良く、この控えについては最下段だけではなく上方の一対のユニットY1,Y2を含む二段に渡って設けられても良い。
【0108】
作業用足場を上方に延すには、上方に一対のユニットY1,Y2を連結することを繰り返していけば良いが、下方となる既設の一方ユニットY1には他方ユニットY2を連結し、同じく既設の他方ユニットY2には一方ユニットY1を連結する。
【0109】
これによって、下方の床板33からなる作業用足場の上方には開口34からなる通路が形成されることになり、下方の作業用足場からの作業員の上方の作業用足場への移動が可能になる。
【0110】
このとき、この発明にあっては、建枠1が梯子を形成するから、作業員は、この建枠1を利用して上方の作業用足場と下方の作業用足場との間の往復を可能にし得ることになる。
【0111】
ちなみに、このユニット足場をその設置場所から撤去する場合には、上記した手順を逆に辿れば足りるが、一対のユニットY1,Y2は、一対の手摺枠2,2と、一つの足場枠3とで連結されてなるから、撤去、すなわち、解体に際して分離する部位の総数が、従前の枠組足場の場合に比較して、極端に少なくなり、形成時と同様に撤去時にもいたずらに時間を要しないことになる。
【0112】
前記したところでは、この発明によるユニット足場が横方向には延びずして上方向にのみ延びるとしたが、個々に独立して立設されたユニット足場を、たとえば、単管を利用するなどして横方向に、あるいは、平面視で四方形に連続させるとしても良いことはもちろんであり、このとき、ユニット足場の形成や撤去がようになるのはもちろんである。
【産業上の利用可能性】
【0113】
道路に繋がらずして垂直リフトや折り畳み可能な篭付アームを装備した高所作業用車両を利用できない、たとえば、鉄道の駅舎内やホームなどにおける高所作業のための作業用足場を形成するのに向く。
【符号の説明】
【0114】
1 建枠
2 手摺枠
3 足場枠
11 縦材
11a ジョイント部
12 横架材
21 手摺部材
22 桟部材
23 間柱部材
24 斜材
25 連結手段
25a フック板
25b,32a 閂ピン
26,35 枢着手段
26a ヒンジ板
26b ヒンジ軸
31 桁部材
32 連結部材
33 床板
34 開口
Y1 一方ユニット
Y2 他方ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方ユニットと他方ユニットをと分離可能に連結し手摺を設けて作業員の立ち入りを許容する作業用足場を形成するユニット足場であって、
一方ユニットは、縦材と横架材とで形成される建枠と、この建枠における縦材に水平方向の揺動を自在に連結される手摺枠と、建枠における横架材に起伏自在に連結される足場枠とを有し、
他方ユニットは、縦材と横架材とで形成される建枠と、この建枠における縦材に水平方向の揺動を自在に連結される手摺枠とを有し、
一方ユニットの手摺枠が他方ユニットの建枠における縦材に分離可能に連結され、他方ユニットの手摺枠が一方ユニットの建枠における縦材に分離可能に連結され、一方ユニットの足場枠が他方ユニットの建枠における横架材に分離可能に連結され、
足場枠が作業員の立ち入りを許容する床板と作業員の通過を許容する開口とを有してなることを特徴とするユニット足場。
【請求項2】
建枠は、任意の間隔を有して一対とされる縦材と、この一対の縦材に両端が連結されて上下方向に適宜間隔で整列される複数本の横架材とからなる請求項1に記載のユニット足場。
【請求項3】
手摺枠は、基端が建枠における縦材に枢着されて他端が任意の長さを有して水平方向に延在される手摺部材と、この手摺部材の他端に設けられて対向するユニットの建枠における縦材に連結される連結手段とを有してなる請求項1に記載のユニット足場。
【請求項4】
足場枠は、任意の間隔を有する一対とされ基端が建枠における横架材に枢着されると共に他端が並行されて水平方向に延在される桁部材と、この一対となる桁部材の他端を連結すると共に対向するユニットの建枠における横架材に連結される連結部材と、一対となる桁部材の基端側部に展設されて作業員の立ち入りを許容する床板と、一対となる桁部材の先端側部に形成されて作業員の通過を許容する開口とを有してなる請求項1に記載のユニット足場。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−241405(P2012−241405A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−111937(P2011−111937)
【出願日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(000227146)日綜産業株式会社 (10)
【出願人】(591075641)東鉄工業株式会社 (36)