説明

ユニバーサルジョイント

【課題】駆動側連結部に対し、中間連結部や作動側連結部、さらには工具が勝手に垂れ下がることを極力防止することができる、ユニバーサルジョイントを提供すること。
【解決手段】このユニバーサルジョイントは、駆動側連結部11と、作動側連結部12と、中間連結部13とから構成されており、駆動側連結部11と中間連結部13とが所定範囲内で傾斜した状態にあっても、駆動側連結部11の球状頭部111先端の凸部111bと、収縮したスプリング137によりプレート部138の漏斗部138aの傾斜面138a2とにより、常に、駆動側連結部11と中間連結部13とがストレート状態に戻るようにストレート状態復帰(保持)力が作用しており、駆動側連結部11と中間連結部13との間が勝手に折れ曲がったり、垂れ下がることを防止している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動側連結部と中間連結部との間、および、作動側連結部と中間連結部との間で所定範囲内の自由な角度で連結可能なユニバーサルジョイントに関する。
【背景技術】
【0002】
2つの連結部材を連結角度を変えて連結可能なユニバーサルジョイント(自在継手またはユニバーサルソケットともいい、本発明では、ユニバーサルジョイントにより総称する。)として、例えば、トルクを伝達する工具に使用したり(例えば、特許文献1参照。)、中間軸部の両端それぞれに軸受孔部を設け、その両端それぞれの軸受孔部に、それぞれ球状頭部を有する入力軸と出力軸とをそれぞれ挿入して、中間軸部の両端の2箇所で自在角度設定機能を有するユニバーサル機能を持たせ、連結角度の自由度を高めたものが提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−96473号公報
【特許文献2】特開平9−68235号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、前記特許文献1,2のユニバーサルジョイントは、2箇所で自在角度設定機能を有するユニバーサル(自在継手)機能を有するため、重量のある工具を作動側連結部に装着した場合、工具と共に中間連結部や作動側連結部が、駆動側連結部に対し垂れ下がるおそれがある、という課題があった。そのため、重量のある工具を装着して、狭いスペースで作業する場合には、ワーク等の嵌め合わせに時間を要し、作業勝手や作業効率が悪くなる、おそれがある。
【0005】
そこで、本発明は、駆動側連結部に対し、中間連結部や作動側連結部、さらには工具が勝手に垂れ下がることを極力防止することができる、ユニバーサルジョイントを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明のユニバーサルジョイントは、先端部側にトルク伝達部が形成された球状頭部を有する一方、後端部側にハンドルが連結される駆動側連結部と、先端部側に工具が装着される工具装着部が設けられている一方、後端部側にトルクが伝達されるトルク伝達部が形成された球状頭部を有する作動側連結部と、駆動側端部に前記駆動側連結部の前記球状頭部が挿入されてそのトルク伝達部と係合する駆動側球状頭部挿入孔を有すると共に、作動側端部に前記作動側連結部の前記球状頭部が挿入されてそのトルク伝達部と係合する作動側球状頭部挿入孔を有し、前記駆動側連結部から伝達されたトルクを前記作動側連結部に伝達する中間連結部と、を有し、前記駆動側連結部の前記球状頭部には、突出した凸部が設けられている一方、前記中間連結部の前記駆動側球状頭部挿入孔には、前記駆動側連結部の前記球状頭部の凸部に当接する、弾性部材により付勢された円錐状の漏斗部が形成されたプレート部が設けられている、ことを特徴とするユニバーサルジョイントである。
また、本発明のユニバーサルジョイントは、先端部側にトルク伝達部が形成された球状頭部を有する一方、後端部側にハンドルが連結される駆動側連結部と、先端部側に工具が装着される工具装着部が設けられている一方、後端部側にトルクが伝達されるトルク伝達部が形成された球状頭部を有する作動側連結部と、駆動側端部に前記駆動側連結部の前記球状頭部が挿入されてそのトルク伝達部と係合する駆動側球状頭部挿入孔を有すると共に、作動側端部に前記作動側連結部の前記球状頭部が挿入されてそのトルク伝達部と係合する作動側球状頭部挿入孔を有し、前記駆動側連結部から伝達されたトルクを前記作動側連結部に伝達する中間連結部と、を有し、前記作動側連結部の前記球状頭部には、突出した凸部が設けられている一方、前記中間連結部の前記作動側球状頭部挿入孔には、前記作動側連結部の前記球状頭部の凸部に当接する、弾性部材により付勢された円錐状の漏斗部が形成されたプレート部が設けられている、ことを特徴とするユニバーサルジョイントである。
また、本発明のユニバーサルジョイントは、先端部側にトルク伝達部が形成された球状頭部を有する一方、後端部側にハンドルが連結される駆動側連結部と、先端部側に工具が装着される工具装着部が設けられている一方、後端部側にトルクが伝達されるトルク伝達部が形成された球状頭部を有する作動側連結部と、駆動側端部に前記駆動側連結部の前記球状頭部が挿入されてそのトルク伝達部と係合する駆動側球状頭部挿入孔を有すると共に、作動側端部に前記作動側連結部の前記球状頭部が挿入されてそのトルク伝達部と係合する作動側球状頭部挿入孔を有し、前記駆動側連結部から伝達されたトルクを前記作動側連結部に伝達する中間連結部と、を有し、前記駆動側連結部の前記球状頭部および前記作動側連結部の前記球状頭部には、それぞれ、突出した凸部が設けられている一方、前記中間連結部の前記駆動側球状頭部挿入孔および前記作動側球状頭部挿入孔には、それぞれ、前記駆動側連結部および前記作動側連結部の前記球状頭部の凸部に当接する、弾性部材により付勢された円錐状の漏斗部が形成されたプレート部が設けられている、ことを特徴とするユニバーサルジョイントである。
ここで、前記中間連結部の駆動側端部および作動側端部には、それぞれ、駆動側球状頭部挿入孔および作動側球状頭部挿入孔と、その駆動側球状頭部挿入孔および作動側球状頭部挿入孔を貫通するトルク伝達ピンが設けられている一方、前記駆動側連結部の球状頭部と、前記作動側連結部の球状頭部とには、それぞれ、中心部分は前記トルク伝達ピンが通るほぼ円形状孔で、かつ、上下の開口部に近付くに従い前記中間連結部の軸方向に拡がって上下の開口部では長孔形状孔となり、前記トルク伝達ピンが挿入されるトルク伝達孔を有し、前記中間連結部の駆動側端部および作動側端部それぞれに設けられた前記トルク伝達ピンは、同一平面上で、かつ、平行に設けられている、ようにしても良い。
【発明の効果】
【0007】
本発明のユニバーサルジョイントによれば、駆動側連結部の球状頭部と、作動側連結部の球状頭部とのうち少なくとも一方には、突出した凸部が設けられている一方、その凸部に当接する、中間連結部の駆動側球状頭部挿入孔と作動側球状頭部挿入孔の少なくとも一方には、弾性部材により付勢された円錐状の漏斗部が形成されたプレート部が設けられているので、作動側連結部に装着した工具を使用しての作業時以外は、弾性部材により付勢されたプレート部の円錐状の漏斗部と、駆動側連結部の球状頭部または作動側連結部の球状頭部の凸部とにより、中間連結部の長手方向の中心軸に対し駆動側連結部または作動側連結部がスレート状態に戻るように保持力ないしは復元力が働くので、駆動側連結部に対し、中間連結部や作動側連結部、さらには工具が勝手に垂れ下がることを極力防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】(a),(b)は、それぞれ、本発明の実施形態のユニバーサルジョイントの正面図と、そのユニバーサルジョイントにインパクトレンチ本体および工具を装着した状態を示す図である。
【図2】図1(a)に示す本発明の実施形態のユニバーサルジョイントを正面から見た状態での分解断面図である。
【図3】図1(a)に示す本発明の実施形態のユニバーサルジョイントを上方から見た駆動側連結部や、作動側連結部、中間連結部の分解平面図である。
【図4】(a)〜(c)は、それぞれ、図3に示す作動側連結部におけるロックピンの設置構造、プレート部の外観の一例および他の例を示す図である。
【図5】(a)〜(c)は、それぞれ、実施形態のユニバーサルジョイントの全体断面図、A−A線断面図、B−B線断面図である。
【図6】(a)〜(c)は、それぞれ、実施形態のユニバーサルジョイントにおけるストレート状態復帰機能を示す外観図、断面図である。
【図7】本発明の実施形態のユニバーサルジョイントの他の構成例を示す全体断面図である。
【図8】本発明の実施形態のユニバーサルジョイントのさらに他の構成例を示す全体断面図である。
【図9】本発明の実施形態のユニバーサルジョイントにラチェッレンチハンドルおよび工具を装着した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、本発明の実施形態のユニバーサルジョイントの一例について、図面を参照して説明する。
【0010】
図1(a),(b)は、それぞれ、本発明の実施形態のユニバーサルジョイント1の正面図と、そのユニバーサルジョイント1にインパクトレンチ本体2および工具3を装着した状態を示している。
【0011】
つまり、図1(a)に示すように、本実施形態のユニバーサルジョイント1は、駆動側連結部(F部という場合もある。)11と、作動側連結部(M部という場合もある。)12とが、中間連結部13に連結されて構成されている。そして、例えば、図1(b)に示すように、本実施形態のユニバーサルジョイント1では、作動側連結部12には、各種の工具3が連結されている一方、駆動側連結部11には、例えば、圧縮空気やスライド機構等により工具3を介しナット(図示せず。)等に衝撃や回転等を与えて締め付けるインパクトレンチ本体2の駆動軸21が連結される。なお、図1(b)において、114は、連結ピン113(図2参照)の脱落を防止するゴム製等のOリングである。
【0012】
図2は、図1(a)に示す本発明の実施形態のユニバーサルジョイント1を正面から見た状態での分解断面図である。また、図3は、図1(a)に示す本発明の実施形態のユニバーサルジョイント1を上方から見た駆動側連結部11や、作動側連結部12、中間連結部13の分解平面図である。
【0013】
図2および図3に示すように、駆動側連結部11は、先端部側にトルク伝達部としてトルク伝達孔111aが形成された球状頭部111を有する一方、後端部側にインパクトレンチ本体2が連結されるレンチ本体側連結部112とを有している。
【0014】
そして、図2および図3に示すように、実施形態のユニバーサルジョイント1では、駆動側連結部11の球状頭部111の先端部に凸部111bが設けられている。また、この駆動側連結部11の球状頭部111には、中心部分はトルク伝達ピン133が通るほぼ円形状孔で、かつ、上下の開口部に近付くに従い中間連結部の軸方向にほぼ開口角度60°で拡がり、上下の開口部では長孔形状孔となるトルク伝達孔111aが形成されている。このような形状のトルク伝達孔111aにより、駆動側連結部11は、中間連結部13に対し、図上上下方向にその開口角度60°の範囲で角度を自由に変更することができる。また、トルク伝達孔111aには、トルク伝達ピン133が挿入され、駆動側連結部11を回動可能に支持しているので、図の表裏方向に所定範囲で角度を自由に変更することができる。
【0015】
また、図2および図3に示すように、駆動側連結部11のレンチ本体側連結部112には、例えば、インパクトレンチ本体2の駆動軸21が挿入される駆動軸連結穴112aと、駆動軸連結穴112aに挿入されたインパクトレンチ本体2の駆動軸21と駆動側連結部11とを連結する連結ピン113が挿入される連結ピン挿入孔112bとが形成されている。そして、駆動軸連結穴112aにインパクトレンチ本体2の駆動軸21等を挿入後、連結ピン挿入孔112bに連結ピン113を挿入してインパクトレンチ本体2の駆動軸21等と駆動側連結部11とを連結後、リング溝112cにゴム製等のOリング114を嵌めることにより、連結ピン113の脱落を防止する。
【0016】
また、作動側連結部12は、図2および図3に示すように、先端部側に工具3が装着される工具装着部122が設けられている一方、後端部側にトルクが伝達されるトルク伝達部としてトルク伝達孔121aが形成された球状頭部121が設けられている。そして、作動側連結部12の工具装着部122には、後述する図4(a)や図5(b)に示すように、スプリング122bにより付勢された進退するロックピン122aが設けられている。なお、後述する図4(a)のところでも説明するように、ロックピン122aが進退する進退孔122cは、貫通していても、貫通してなくてもどちらでも良く、またロックピン122aは、ピン状でなく、鋼球等でも勿論よく、要は、工具3を装着して固定できるものであれば良い。
【0017】
また、図2および図3に示すように、作動側連結部12の球状頭部121には、駆動側連結部11の球状頭部111と同様に、中心部分にトルク伝達ピン134が通るほぼ円形状孔で、かつ、上下の開口部に近付くに従い中間連結部の軸方向にほぼ開口角度60°で拡がり、上下の開口部では長孔形状孔となるトルク伝達孔121aが形成されている。このような形状のトルク伝達孔121aにより、作動側連結部12は、中間連結部13に対し、図上上下方向にその開口角度60°の範囲で角度を自由に変更することができる。また、トルク伝達孔121aには、トルク伝達ピン134が挿入され、作動側連結部12を回動可能に支持しているので、図の表裏方向に所定範囲で角度を自由に変更することができる。
【0018】
また、中間連結部13は、図2および図3に示すように、駆動側連結部11側の駆動側端部131に、駆動側連結部11の球状頭部111が挿入される駆動側球状頭部挿入孔131aが形成されている一方、作動側連結部12側の作動側端部132に、作動側連結部12の球状頭部121が挿入される作動側球状頭部挿入孔132aが形成されている。
【0019】
そして、中間連結部13の駆動側端部131と作動側端部132とには、それぞれ、駆動側連結部11の球状頭部111のトルク伝達孔111aと、作動側連結部12の球状頭部121のトルク伝達孔121aに挿入されて、トルクを伝達するトルク伝達ピン133,134が挿入されるトルク伝達ピン挿通孔131b,132bが形成されている。そして、トルク伝達ピン挿通孔131b,132bに、それぞれ、トルク伝達ピン133,134が挿入された後、そのトルク伝達ピン133,134が落脱しないように、中間連結部13の駆動側連結部11側および作動側連結部12側にピン落脱防止リング135,136が嵌められる。なお、中間連結部13の駆動側端部131と作動側端部132の外周面には、それぞれ、円周方向に所定幅かつ所定間隔で、ピン落脱防止リング135,136の挿入性を高めたり回転防止のためのスプライン溝131c,132cが形成されていると共に、中間連結部13の軸方向へのピン落脱防止リング135,136の抜け止めを図るため周方向に窪んだニガシ溝131d,132dが形成されている。そのため、駆動側端部131と作動側端部132とにピン落脱防止リング135,136を装着後、駆動側端部131と作動側端部132の対向する側を外側から押し潰す等してそのニガシ溝131d,132dに嵌める。なお、ニガシ溝131d,132dや、スプライン溝131c,132c等を形成することは任意である。
【0020】
ここで、トルク伝達ピン133,134は、それぞれ、駆動側端部131および作動側端部132に、それぞれ、同一平面上で、かつ、平行に挿入されている。そのため、同一平面上で、駆動側連結部11が中間連結部13に対し最大60°角度を設定できると共に、作動側連結部12が中間連結部13に対し最大60°角度を設定できるので、駆動側連結部11と作動側連結部12とは最大120°の角度を設定できることになる。
【0021】
そして、中間連結部13の駆動側球状頭部挿入孔131aには、図2や後述する図5(a)に示すように、スプリング137により付勢された円錐状の漏斗部138aが形成されたプレート部138が挿入されており、漏斗部138aに駆動側連結部11の球状頭部111の先端部に凸部111bが当接する。なお、スプリング137の一端は、収縮した状態で、プレート部138の漏斗部138aとは反対側の底面に当接する一方、スプリング137の他端は、作動側連結部12の球状頭部121の先端部に当接する。
【0022】
図4(a)〜(c)は、それぞれ、図3に示す作動側連結部12におけるロックピン122aの設置構造、プレート部138の外観の一例および他の例を示す図である。
【0023】
つまり、図4(a)に示すように、作動側連結部12の工具装着部122には、スプリング122bおよびロックピン122aと同径の進退孔122cが形成されており、この進退孔122cにスプリング122bにより付勢されたロックピン122aが設けられている。なお、ロックピン122aは、進退孔122cに挿入後、図5(b)に示すように、進退孔122cの入り口部分を潰すことにより、抜け止めを図っている。なお、進退孔122cは、貫通していても、貫通してなくてもどちらでも良く、またロックピン122aは、ピン状でなく、鋼球等でも勿論よく、要は、工具3を装着して固定できるものであれば良い。
【0024】
図4(b)は、プレート部138の外観を示しており、プレート部138には、円錐状の傾斜面138a2と、最深部138a1とを有する漏斗部138aが形成されている。なお、図4(b)に示すプレート部138には、漏斗部138aの周囲に平面部138bが設けられているが、図4(c)に示すプレート部138’のように、漏斗部138a’の周囲に平面部を設けないようにしても勿論よい。そして、図4(b)に示すプレート部138および図4(c)に示すプレート部138’では、駆動側連結部11が中間連結部13に対し最大開口角度60°に角度を設定された場合でも、共に、駆動側連結部11の球状頭部111の凸部111bは、プレート部138,138’の漏斗部138a,138a’の傾斜面138a2,138a2’の最外部に位置するので、収縮したスプリング137の付勢力により、駆動側連結部11が中間連結部13に対しストレート状態に復帰する復帰力が作用することになる。
【0025】
図5(a)〜(c)は、それぞれ、実施形態のユニバーサルジョイント1の全体断面図、A−A線断面図、B−B線断面図である。
【0026】
図5(a)に示すように、実施形態のユニバーサルジョイント1では、作動側連結部12先端の球状頭部121が中間連結部13の作動側球状頭部挿入孔132aに挿入され、作動側連結部12先端の球状頭部121のトルク伝達孔121aにトルク伝達ピン134が挿入され、そのトルク伝達ピン134が脱落しないように中間連結部13の作動側端部132にピン落脱防止リング136が嵌められる。
【0027】
その一方、駆動側連結部11の球状頭部111は、中間連結部13の駆動側球状頭部挿入孔131aに挿入され、駆動側連結部11の球状頭部111のトルク伝達孔111aにトルク伝達ピン133が挿入され、そのトルク伝達ピン133が脱落しないように中間連結部13の駆動側端部131にピン落脱防止リング135が嵌められている。
【0028】
そして、実施形態のユニバーサルジョイント1では、駆動側連結部11の球状頭部111先端の凸部111bが、作動側連結部12先端の球状頭部121との間で収縮しているスプリング137により矢印α方向の外側方向に押されたプレート部138の漏斗部138aの傾斜面138a2に当接している。なお、駆動側連結部11と中間連結部13とが一直線状に並んでいる状態では、作動側連結部12先端の球状頭部121がプレート部138の漏斗部138a中心で最も深い最深部138a1に位置するものとする。
【0029】
図5(b)は、実施形態のユニバーサルジョイント1の作動側連結部12のA−A線断面図であり、ロックピン122aがスプリング122bにより付勢された状態で、しかも抜け止めされた状態であることを示している。
【0030】
図5(c)は、実施形態のユニバーサルジョイント1の駆動側連結部11のB−B線断面図であり、インパクトレンチ本体2の駆動軸21等が挿入される矩形の駆動軸連結穴112aと、駆動側連結部11のレンチ本体側連結部112を貫通する連結ピン挿入孔112bが形成されていることがわかる。
【0031】
図6(a)〜(c)は、それぞれ、実施形態のユニバーサルジョイント1におけるストレート状態復帰機能を示す外観図、断面図である。
【0032】
つまり、図6(a),(b)に示すように、駆動側連結部11と中間連結部13とが首を振ったように、中間連結部13の長手方向の中心軸に対し傾斜した状態にある場合、駆動側連結部11の球状頭部111先端の凸部111bがプレート部138の漏斗部138aの傾斜面138a2に当接している。ここで、プレート部138は、作動側連結部12先端の球状頭部121との間で収縮しているスプリング137により矢印α方向に押されているので、プレート部138の漏斗部138aの傾斜面138a2により、駆動側連結部11の球状頭部111先端の凸部111bを、プレート部138の漏斗部138a中心で最も深い最深部138a1に移動させるようにストレート状態復帰(保持)力が作用している。
【0033】
つまり、本実施形態のユニバーサルジョイント1の場合、駆動側連結部11と中間連結部13とが所定範囲内で首を振ったように傾斜した状態にある場合、駆動側連結部11の球状頭部111先端の凸部111bと、収縮したスプリング137により付勢されたプレート部138の漏斗部138aの傾斜面138a2とにより、駆動側連結部11は矢印β方向に、中間連結部13はγ方向のストレート状態に戻るようにストレート状態復帰(保持)力が作用している。ただし、駆動側連結部11にインパクトレンチ本体2等を装着した場合には、駆動側連結部11に対し中間連結部13がγ方向のストレート状態に戻るようなストレート状態復帰(保持)力が作用する。
【0034】
その結果、駆動側連結部11と中間連結部13等に外力が作用しなくなると、図5(c)に示すように、駆動側連結部11と中間連結部13とがストレート状態に戻ることになる。そして、駆動側連結部11と中間連結部13とがストレート状態に戻った状態では、駆動側連結部11の球状頭部111先端の凸部111bが、プレート部138の漏斗部138a中心で最も深い最深部138a1に位置して、そのストレート状態が安定することになる。
【0035】
従って、本実施形態のユニバーサルジョイント1によれば、駆動側連結部11と中間連結部13とが所定範囲内で傾斜した状態にあっても、駆動側連結部11の球状頭部111先端の凸部111bと、収縮したスプリング137によりプレート部138の漏斗部138aの傾斜面138a2とにより、常に、駆動側連結部11と中間連結部13とがストレート状態に戻るようにストレート状態復帰(保持)力が作用しているので、例えば、作動側連結部12に重量のある工具3を装着し、作業をする前でも、駆動側連結部11と中間連結部13との間が勝手に折れ曲がったり、垂れ下がることを防止することができる。
【0036】
これにより、本実施形態のユニバーサルジョイント1では、作業スペースの狭い場所等で重量のある工具3を装着して作業をする場合でも、駆動側連結部11と中間連結部13との間が勝手に折れ曲がったり、垂れ下がることがなくなるので、作業効率が向上する。
【0037】
特に、本実施形態のユニバーサルジョイント1では、インパクトレンチ本体2やその工具3を装着した場合には、インパクトレンチ本体2は、ユニバーサルジョイント1を介しその工具3に圧縮空気やスライド機構等により衝撃や回転等を与えるので、駆動側連結部11と中間連結部13との間がガタついたり、振れ(暴れ)易いが、駆動側連結部11と中間連結部13との間のストレート状態復帰(保持)力により、ユニバーサルジョイント1や工具3の振れ(暴れ)を効果的に抑えることができる。
【0038】
また、本実施形態のユニバーサルジョイント1では、駆動側連結部11と中間連結部13との間と、作動側連結部12と中間連結部13との間の2点において、所定の角度範囲内で自由角度に設定可能なユニバーサルジョイント(自在継手)機能を持たせているので、駆動側連結部11と中間連結部13との間には、作動側連結部12に工具3を装着した状態では、作動側連結部12および工具3の重量だけでなく、中間連結部13の重量もかかることになるので、通常の1点のユニバーサルジョイント(自在継手)機能を持たせたユニバーサルジョイントよりも、駆動側連結部11と中間連結部13との間が勝手に折れ曲がったり、垂れ下がり易いが、本実施形態の駆動側連結部11と中間連結部13との間のストレート状態復帰(保持)機能により、これを防止することができる。また、この点から、作動側連結部12に工具3を装着しない状態でも、駆動側連結部11と中間連結部13との間が勝手に折れ曲がったり、垂れ下がり易いが、本実施形態のユニバーサルジョイント1では、駆動側連結部11と中間連結部13との間のストレート状態復帰(保持)機能により、ユニバーサルジョイント1を使用していない場合でも、駆動側連結部11と中間連結部13との間が勝手に折れ曲がったり、垂れ下がることがなくなるので、ユニバーサルジョイント1の保管時に整理整頓がし易いという効果が得られる。
【0039】
また、本実施形態のユニバーサルジョイント1では、中間連結部13の駆動側球状頭部挿入孔131aおよび作動側球状頭部挿入孔132aには、それぞれ、同一平面上で、かつ、平行にトルク伝達ピン133,134が設けられているので、同一平面上で、駆動側連結部11が中間連結部13に対し最大60°角度を設定できると共に、作動側連結部12が中間連結部13に対し最大60°角度を設定できるので、駆動側連結部11と作動側連結部12とは最大120°の角度を設定できることになり、角度設定範囲を拡大することができる。なお、これは任意であり、トルク伝達ピン133,134は、同一平面上で、かつ、平行に設けられていなくても勿論よい。
【0040】
なお、本実施形態のユニバーサルジョイント1では、図2〜図6に示すように、駆動側連結部11の球状頭部111の先端に凸部111bを設けて、駆動側連結部11と中間連結部13との間が勝手に折れ曲がったり、垂れ下がることを防止するように説明したが、本発明では、これに限定されず、図7に示すユニバーサルジョイント1’のように、作動側連結部12’の球状頭部121’の先端に凸部121bを設けて、その凸部121bが収縮したスプリング137により付勢されたプレート部139の漏斗部139aに当接して、作動側連結部12’と中間連結部13’との間が勝手に折れ曲がったり、垂れ下がることを防止するようにしても勿論よい。このようにすれば、作動側連結部12’と中間連結部13’との間が勝手に折れ曲がったり、垂れ下がることを極力防止することができるので、作業効率が向上する。
【0041】
また、図2〜図6に示すユニバーサルジョイント1と、図7に示すユニバーサルジョイント1’とを組み合わせて、図8に示すようにユニバーサルジョイント1”を構成するようにしても良い。つまり、図8に示すようにユニバーサルジョイント1”では、図2〜図6に示すユニバーサルジョイント1と同様に、駆動側連結部11の球状頭部111先端に凸部111bを設ける一方、図7に示すユニバーサルジョイント1’と同様に、作動側連結部12’の球状頭部121’の先端に凸部121bを設けて、中間連結部13”の駆動側球状頭部挿入孔131aおよび作動側球状頭部挿入孔132aには、それぞれ、収縮したスプリング137により付勢された円錐状の漏斗部138aが形成されたプレート部138と、円錐状の漏斗部139aが形成されたプレート部139とを設けるようにしても良い。このようにすれば、駆動側連結部11および作動側連結部12’と、中間連結部13”との間の2箇所が勝手に折れ曲がったり、垂れ下がることを極力防止することができるので、作業スペースの狭い場所等でさらに重量のある工具3を装着して作業をする場合や、インパクトレンチ本体2を使用して、このユニバーサルジョイント1を介しその工具3に圧縮空気やスライド機構等により衝撃や回転等を与える場合でも、駆動側連結部11と中間連結部13”との間および中間連結部13”と作動側連結部12’との間におけるストレート状態復帰(保持)力により、駆動側連結部11と中間連結部13”との間だけでなく、中間連結部13”と作動側連結部12’との間でも、ストレート状態復帰(保持)力により、ユニバーサルジョイント1や工具3の振れ(暴れ)を効果的に抑えることが可能となり、さらに作業効率が向上する。
【0042】
また、本実施形態の説明では、中間連結部13の駆動側端部131および作動側端部132には、それぞれ、駆動側球状頭部挿入孔131aおよび作動側球状頭部挿入孔132aと、その駆動側球状頭部挿入孔131aおよび作動側球状頭部挿入孔132aを貫通するトルク伝達ピン133,134を設ける一方、駆動側連結部11の球状頭部111と、作動側連結部12の球状頭部121とには、それぞれ、中心部分はトルク伝達ピン133,134が通るほぼ円形状孔で、かつ、上下の開口部に近付くに従い中間連結部13の軸方向に拡がって上下の開口部では長孔形状孔となるトルク伝達孔111a、121aを設けて、トルクを伝達するように説明したが、本発明では、これに限らず、トルク伝達ピン133,134を使用せずに、内周面に溝や歯車の形成された駆動側球状頭部挿入孔131aおよび作動側球状頭部挿入孔132aと、外周面に溝や歯車の形成された駆動側連結部11の球状頭部111と、作動側連結部12の球状頭部121との連結により回転自在な状態でトルクを伝達するように構成しても勿論よい。
【0043】
また、本実施形態の説明では、図1(b)に示すように、駆動側連結部11にインパクトレンチ本体2が装着されるものとして説明したが、本発明では、これに限らず、図9に示すように、手動式のラチェッレンチハンドル2’や、T型レンチ等の手動式のトルク伝達工具のハンドルが装着されるようにしても勿論よい。
【符号の説明】
【0044】
1,1’,1” ユニバーサルジョイント
11,11’ 駆動側連結部
111,111’ 球状頭部
111a トルク伝達孔
111b 凸部
12,12’ 作動側連結部
121,121’ 球状頭部
121a トルク伝達孔
121b 凸部
13,13’,13” 中間連結部
131 駆動側端部
131a 駆動側球状頭部挿入孔
131d,132d ニガシ溝
132 作動側端部
132a 作動側球状頭部挿入孔
133,134 トルク伝達ピン
135,136 ピン落脱防止リング
137 スプリング
138,138’,139 プレート部
138a,138a’,139a 漏斗部
138a1,138a1’ 最深部
138a2,138a2’ 傾斜面
2 インパクトレンチ本体
2’ ラチェッレンチハンドル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端部側にトルク伝達部が形成された球状頭部を有する一方、後端部側にハンドルが連結される駆動側連結部と、
先端部側に工具が装着される工具装着部が設けられている一方、後端部側にトルクが伝達されるトルク伝達部が形成された球状頭部を有する作動側連結部と、
駆動側端部に前記駆動側連結部の前記球状頭部が挿入されてそのトルク伝達部と係合する駆動側球状頭部挿入孔を有すると共に、作動側端部に前記作動側連結部の前記球状頭部が挿入されてそのトルク伝達部と係合する作動側球状頭部挿入孔を有し、前記駆動側連結部から伝達されたトルクを前記作動側連結部に伝達する中間連結部と、
を有し、
前記駆動側連結部の前記球状頭部には、突出した凸部が設けられている一方、
前記中間連結部の前記駆動側球状頭部挿入孔には、前記駆動側連結部の前記球状頭部の凸部に当接する、弾性部材により付勢された円錐状の漏斗部が形成されたプレート部が設けられている、
ことを特徴とするユニバーサルジョイント。
【請求項2】
先端部側にトルク伝達部が形成された球状頭部を有する一方、後端部側にハンドルが連結される駆動側連結部と、
先端部側に工具が装着される工具装着部が設けられている一方、後端部側にトルクが伝達されるトルク伝達部が形成された球状頭部を有する作動側連結部と、
駆動側端部に前記駆動側連結部の前記球状頭部が挿入されてそのトルク伝達部と係合する駆動側球状頭部挿入孔を有すると共に、作動側端部に前記作動側連結部の前記球状頭部が挿入されてそのトルク伝達部と係合する作動側球状頭部挿入孔を有し、前記駆動側連結部から伝達されたトルクを前記作動側連結部に伝達する中間連結部と、を有し、
前記作動側連結部の前記球状頭部には、突出した凸部が設けられている一方、
前記中間連結部の前記作動側球状頭部挿入孔には、前記作動側連結部の前記球状頭部の凸部に当接する、弾性部材により付勢された円錐状の漏斗部が形成されたプレート部が設けられている、
ことを特徴とするユニバーサルジョイント。
【請求項3】
先端部側にトルク伝達部が形成された球状頭部を有する一方、後端部側にハンドルが連結される駆動側連結部と、
先端部側に工具が装着される工具装着部が設けられている一方、後端部側にトルクが伝達されるトルク伝達部が形成された球状頭部を有する作動側連結部と、
駆動側端部に前記駆動側連結部の前記球状頭部が挿入されてそのトルク伝達部と係合する駆動側球状頭部挿入孔を有すると共に、作動側端部に前記作動側連結部の前記球状頭部が挿入されてそのトルク伝達部と係合する作動側球状頭部挿入孔を有し、前記駆動側連結部から伝達されたトルクを前記作動側連結部に伝達する中間連結部と、
を有し、
前記駆動側連結部の前記球状頭部および前記作動側連結部の前記球状頭部には、それぞれ、突出した凸部が設けられている一方、
前記中間連結部の前記駆動側球状頭部挿入孔および前記作動側球状頭部挿入孔には、それぞれ、前記駆動側連結部および前記作動側連結部の前記球状頭部の凸部に当接する、弾性部材により付勢された円錐状の漏斗部が形成されたプレート部が設けられている、
ことを特徴とするユニバーサルジョイント。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか一の請求項に記載のユニバーサルジョイントにおいて、
前記中間連結部の駆動側端部および作動側端部には、それぞれ、駆動側球状頭部挿入孔および作動側球状頭部挿入孔と、その駆動側球状頭部挿入孔および作動側球状頭部挿入孔を貫通するトルク伝達ピンが設けられている一方、
前記駆動側連結部の球状頭部と、前記作動側連結部の球状頭部とには、それぞれ、
中心部分は前記トルク伝達ピンが通るほぼ円形状孔で、かつ、上下の開口部に近付くに従い前記中間連結部の軸方向に拡がって上下の開口部では長孔形状孔となり、前記トルク伝達ピンが挿入されるトルク伝達孔を有し、
前記中間連結部の駆動側端部および作動側端部それぞれに設けられた前記トルク伝達ピンは、同一平面上で、かつ、平行に設けられている、
ことを特徴とするユニバーサルジョイント。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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