説明

ライトコントローラ

【課題】照明空間に配置された複数の照明負荷の明るさを、一つの操作手段で容易に設定する。
【解決手段】ライトコントローラ1は、予め二次元的に表現して設定された照明空間のイメージから、所望のイメージポイントを選択するイメージポイント選択部11と、イメージポイントを表示するイメージポイント表示部12と、選択したイメージポイントに基づいて、照明空間のイメージに対応して予め決められている調光レベルの範囲内で演算し、照明負荷の明るさを制御するための調光信号のレベルを設定する調光信号制御部14と、設定された調光信号を照明負荷に出力する調光信号出力部17から構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ライトコントローラに係り、特に照明空間に配置された複数の照明負荷の明るさを調光制御するライトコントローラに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、照明空間に配置された複数の照明負荷の明るさを調光操作するものとして、四季や自然等のテーマをイメージさせるシーンを創り出す照明を行うための制御データをメモリから読み出し、制御データに基づいて照明負荷の明るさを制御することで、照明環境に合った照明シーンを演出する例があった(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
住宅や店舗、オフィス等屋内の照明空間においては、複数の照明負荷の明るさを容易に調光操作できることが必要とされ、例えば、ユーザの手元で操作可能なライトコントローラによって複数の照明負荷の明るさを設定できることが望まれる。
【0004】
しかしながら、上記特許文献1では、システム構成および操作が複雑であった。
【0005】
図4は、照明空間の照明条件を適切に制御するために使用される一般的なライトコントローラを示す図である。
【0006】
ライトコントローラ2は、複数の照明負荷の明るさを回路毎に制御して調光信号のレベルを設定する調光設定部21と、調光設定部21によって設定された調光信号のレベルをシーンデータとして記憶し、記憶されたシーンデータを選択して再生するシーン操作部22を備えて構成され、照明空間の明るさ感がユーザの好みに合うように調節している。
【0007】
しかしながら、上記のライトコントローラでは、複数の照明負荷の明るさを回路毎に設定する必要があり、操作が煩わしいという問題があった。
【0008】
【特許文献1】特開2002−43074号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、照明空間に配置された複数の照明負荷の明るさを一つの操作手段で容易に設定することのできるライトコントローラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、照明空間に配置された複数の照明負荷の明るさを調光制御するライトコントローラであって、前記複数の照明負荷は、2つの回路に分けて接続され、予め二次元的に表現して設定された前記照明空間のイメージから、所望のイメージポイントを選択するイメージポイント選択手段と、選択した前記イメージポイントを表示するイメージポイント表示手段と、予め前記空間のイメージに対応して前記2つの回路毎に設定された調光レベルの範囲の、選択した前記イメージポイントにおける調光レベルの範囲で、前記2つの回路にそれぞれ接続された前記照明負荷に出力する調光信号を制御する調光信号制御手段と、制御された前記調光信号を出力する調光信号出力手段とを備えるものである。
【0011】
この構成により、ユーザは複数の照明負荷の明るさを個々に設定することなく、予め二次元的に表現して設定された照明空間のイメージから、所望のイメージポイントをイメージポイント選択手段で選択するだけで、照明空間に配置された複数の照明負荷の明るさを容易に設定することができる。
【0012】
また、本発明は、上記のライトコントローラにおいて、前記2つの回路は、主に、壁面上部および天井面を照明する照明負荷が接続される回路と、主に、床面を照明する照明負荷が接続される回路と、から成るものを含む。
【0013】
この構成により、主に、壁面上部および天井面を照明する照明負荷が接続される回路と、主に、床面を照明する照明負荷が接続される回路とに分けて接続された照明負荷の明るさを、予め二次元的に表現して設定された照明空間のイメージから選択されたイメージポイントに基づいて、統括して設定することができる。
【0014】
更に、本発明は、上記のライトコントローラにおいて、前記2つの回路を切り替える回路切替手段を備えるものも含む。
【0015】
この構成により、2つの回路のいずれかに接続された照明負荷の明るさを、予め二次元的に表現して設定された照明空間のイメージから選択されたイメージポイントに基づいて回路毎に容易に設定することができる。
【0016】
また、本発明は、上記のライトコントローラにおいて、前記照明負荷に出力する制御された調光信号を、照明シーンのデータとして記憶するシーン記憶手段と、前記シーン記憶手段に記憶された前記照明シーンの一つを選択するシーン選択手段と、を備え、前記調光信号制御手段は、選択された前記照明シーンのデータに基づいて、前記2つの回路にそれぞれ接続された前記照明負荷に出力する調光信号を制御するものも含む。
【0017】
この構成により、使用頻度の高い照明空間のイメージにおける照明負荷の明るさを照明シーンとして記憶し、再生の際にシーン選択手段で選択することで、1回の操作だけで照明空間に配置された複数の照明負荷の明るさを容易に設定することができる。
【0018】
また、本発明は、上記のライトコントローラにおいて、前記イメージポイント選択手段は、ユーザによって二次元的に操作される方向キーから構成され、前記イメージポイント表示手段は、前記イメージポイントを二次元的に表示可能な表示装置から構成されるものも含む。
【0019】
この構成により、ユーザは複数の照明負荷の明るさを個々に設定することなく、予め二次元的に表現して設定された照明空間のイメージから、所望のイメージポイントを方向キーを操作して選択するだけで、照明空間に配置された複数の照明負荷の明るさを容易に設定することができる。
【0020】
また、本発明は、上記のライトコントローラにおいて、外部から前記照明負荷の種類、およびその配置情報を入力するための通信手段を備え、前記通信手段を介して入力した前記情報に基づいて、前記調光レベルの範囲を変更するものも含む。
【0021】
この構成により、予め設定した照明空間のイメージが異なった場合に、調光レベルの範囲を変更することで、照明空間に配置された複数の照明負荷の明るさをユーザの好みに合わせて容易に設定することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、照明空間に配置された複数の照明負荷の明るさを一つの操作手段で容易に設定することのできるライトコントローラを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態に係るライトコントローラについて、図面を用いて説明する。図1は本実施形態に係るライトコントローラの外観を示す正面図、図2はライトコントローラの内部構成を示すブロック図、図3は二次元的に表現した照明空間のイメージを表す図である。
【0024】
本実施形態のライトコントローラは、照明空間に配置された複数の照明負荷の明るさを調光操作するものであり、主に、壁面上部および天井面を照明する照明負荷が接続される回路と、主に、床面を照明する照明負荷が接続される回路とからなる2つの回路に分けて接続された照明負荷を調光制御するための調光信号を出力するものである。
【0025】
図1において、本実施形態におけるライトコントローラ1は、図3に示すような照明空間のイメージから所望のイメージポイントを選択するイメージポイント選択部11と、選択したイメージポイントを表示するイメージポイント表示部12と、照明シーンを記憶、再生する操作を行うシーン操作部13をパネル上に備える構成である。なお、イメージポイント選択部11は、設定した明るさのイメージを決定する決定ボタン111を含む。
【0026】
図2において、ライトコントローラ1は、イメージポイント選択部11と、イメージポイント表示部12と、シーン操作部13と、イメージポイント選択部11において設定したイメージポイントに基づいて、図3に示すような照明空間のイメージの各象限ごとに予め決められている調光レベルの範囲内で演算し、照明負荷の明るさを制御するための調光信号のレベルを設定する調光信号制御部14と、調光信号制御部14によって設定された照明負荷毎の調光信号のレベルを照明シーンのデータとして記憶するシーンデータ記憶部15と、照明負荷に接続される2つの回路の設定を、主に壁面上部や天井面を照明する回路と、主に床面を照明する回路のいずれかに切り替える回路切替部16と、調光信号制御部14によってレベルが設定された調光信号を照明負荷に出力する調光信号出力部17と、パソコンやワイヤレス送信機等のデータ送信装置100から送信された照明負荷の種類とその配置情報を入力する通信部18を有する構成である。
【0027】
照明空間のイメージは、図3(a)に示すように、例えば、開放的な照明空間(ゾーン1)、落ち着いた照明空間(ゾーン2)、賑わいのある照明空間(ゾーン3)、しっとりした照明空間(ゾーン4)というように、4つの象限に分類した表現として設定する。そして、各ゾーンにおいて、回路毎の調光レベルの範囲が図示のように設定されている。図3(b)は、ゾーン2において設定された回路毎の調光レベルの範囲を示すものである。
【0028】
イメージポイント選択部11は、前後左右の押下方向に応じて接点が閉成または開放する方向キーから構成され、ユーザが設定したい照明負荷の明るさを照明空間のイメージにおけるXY座標のポイント情報として入力する。
【0029】
イメージポイント表示部12は、液晶ディスプレイ、又はドットマトリクス状に配置された多数のLEDランプから構成され、イメージポイント選択部11によって設定された照明空間のイメージをXY座標のポイント情報として表示する。
【0030】
シーン操作部13は、押釦スイッチやタッチパネル等から構成され、シーンデータの記憶および再生に際し、ユーザによって操作される。
【0031】
調光信号制御部14は、CPUと、RAM及びROM等を含むマイコンシステムから構成され、ROMに記憶されたプログラムに従って動作し、イメージポイント選択部11において設定した照明空間のイメージポイント情報に基づき、予め決められた調光レベルの範囲内で演算を行って、照明負荷の明るさを制御するための調光信号のレベルを設定するとともに、ライトコントローラ1の各部を統括制御する。
【0032】
シーンデータ記憶部15は、RAM、ROM、EEPROM及びフラッシュメモリ等の半導体メモリから構成され、調光信号制御部14によって設定された調光信号のレベルを照明シーンのデータとして記憶するとともに、再生に際してそのデータを読み出す。
【0033】
回路切替部16は、ディップスイッチやスライドスイッチ等から構成され、照明負荷に接続する回路の設定を、主に、壁面上部や天井面を照明する回路と、主に、床面を照明する回路のいずれかに切り替える。この回路切替部16はユーザによって操作されるものである。
【0034】
調光信号出力部17は、例えば、位相制御に用いるトライアック等の半導体素子、DMX512信号出力や、ゲート信号の出力に用いるシリアル通信用IC等から構成され、調光信号制御部14によってレベルが設定された調光信号を所定の信号形態に変換して照明負荷に出力する。
【0035】
通信部18は、シリアル通信用やイーサネット通信用のIC、接点情報を入力するフォトカプラ、および無線モジュール等から構成され、パソコンやワイヤレス送信機等のデータ送信装置100から有線、無線、光等によって送信された照明負荷の種類とその配置情報を受信する。
【0036】
次に、このように構成されたライトコントローラ1の動作について、図1〜図3を参照しながら説明する。
【0037】
(動作例1)
まず、照明空間のイメージから所望のイメージポイントを選択し、当該イメージポイントにおける照明負荷の明るさを調光制御する動作について説明する。
【0038】
図1において、ユーザは、イメージポイント表示部12に表示されるイメージポイントを見ながらイメージポイント選択部11の方向キーを操作して、照明負荷の明るさを設定したい照明空間イメージのポイントを選択し、決定キー111を押下する。入力された明るさイメージのポイントの情報は、イメージポイント表示部12に固定表示されるとともに、調光信号制御部14に送られる。
【0039】
調光信号制御部14は、選択したイメージのポイントが、図3に示すいずれのゾーンに属するかを判断し、当該ゾーンにおける調光レベルの範囲で、主に壁面上部や天井面を照明する回路と、主に床面を照明する回路ごとに、各照明負荷の明るさを制御するための調光信号のレベルを演算して、照明負荷の明るさを制御するための調光信号のレベルを設定する。
【0040】
設定された調光信号のレベルは、調光信号出力部17において、位相変調またはPWM変調されて照明負荷に出力される。
【0041】
次いで、ユーザは、このとき設定された調光信号のレベルの情報を照明シーンのデータとして記憶するために、シーン操作部13の押釦操作を行う。これによって照明シーンのデータがシーンデータ記憶部15に記憶される。
【0042】
この動作例によれば、ユーザはライトコントローラ1を用いて、イメージポイント選択部11の方向キーを操作するだけで、照明空間に配置された複数の照明負荷の明るさを容易に設定することができる。
【0043】
(動作例2)
ここでは、重点的に設定したい照明負荷の回路を切り替えるための動作について説明する。
【0044】
ユーザは、回路切替部16のスイッチを操作して、照明負荷の各回路を、「主に、壁面上部や天井面を照明する回路」と、「主に、床面を照明する回路」に設定する。設定した情報は、調光信号制御部14で検知される。
【0045】
以下、動作例1と同様の手順で明るさを制御するための調光信号が照明負荷に送出される。
【0046】
この動作例によれば、ユーザはライトコントローラ1を用いて、イメージポイント選択部11の方向キーを操作するだけで、照明空間に配置された複数の照明負荷の明るさを、回路毎に容易に設定することができる。
【0047】
(動作例3)
この動作例は、照明空間のイメージにおけるゾーン毎に設定された調光レベルの範囲を変更するものである。
【0048】
パソコンやワイヤレス送信機等のデータ送信装置100から、照明負荷の種類とその配置情報が送信されると、通信部18でこれを受信する。
【0049】
調光信号制御部14は、データ送信装置100から送信された照明負荷の種類とその配置情報に基づいて、図3に示す照明空間のイメージにおけるゾーン毎に各回路の調光レベルの範囲を変更する。
【0050】
以下、動作例1と同様の手順で明るさを制御するための調光信号が照明負荷に送出される。
【0051】
この動作例によれば、照明空間に配置された複数の照明負荷の明るさをユーザの好みに合わせて容易に設定することができる。
【0052】
以上説明したように、このような本発明の実施形態に係るライトコントローラによれば、照明空間に配置された複数の照明負荷の明るさを、方向キー等の一つの操作手段で容易に設定することができる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明のライトコントローラは、照明空間に配置された複数の照明負荷の明るさを一つの操作手段で容易に設定することができる効果を有し、住宅や店舗における照明システム等に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の実施形態におけるライトコントローラの外観を示す正面図
【図2】本発明の実施形態におけるライトコントローラの内部構成を示すブロック図
【図3】(a)本発明の実施形態において、二次元的に表現した照明空間のイメージを表す図 (b)照明空間のイメージのゾーンにおいて、調光レベルの範囲の例を示す図
【図4】通例のライトコントローラの外観を示す正面図
【符号の説明】
【0055】
1 ライトコントローラ
11 イメージポイント選択部
12 イメージポイント表示部
13 シーン操作部
14 調光信号制御部
15 シーンデータ記憶部
16 回路切替部
17 調光信号出力部
18 通信部
100 データ送信装置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明空間に配置された複数の照明負荷の明るさを調光制御するライトコントローラであって、
前記複数の照明負荷は、2つの回路に分けて接続され、
予め二次元的に表現して設定された前記照明空間のイメージから、所望のイメージポイントを選択するイメージポイント選択手段と、
選択した前記イメージポイントを表示するイメージポイント表示手段と、
予め前記空間のイメージに対応して前記2つの回路毎に設定された調光レベルの範囲の、選択した前記イメージポイントにおける調光レベルの範囲で、前記2つの回路にそれぞれ接続された前記照明負荷に出力する調光信号を制御する調光信号制御手段と、
制御された前記調光信号を出力する調光信号出力手段と、
を具備したライトコントローラ。
【請求項2】
請求項1に記載のライトコントローラであって、
前記2つの回路は、
主に、壁面上部および天井面を照明する照明負荷が接続される回路と、
主に、床面を照明する照明負荷が接続される回路と、
を具備したライトコントローラ。
【請求項3】
請求項2に記載のライトコントローラであって、
前記2つの回路を切り替える回路切替手段を具備した
ライトコントローラ。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載のライトコントローラであって、
前記照明負荷に出力する制御された調光信号を、照明シーンのデータとして記憶するシーン記憶手段と、
前記シーン記憶手段に記憶された前記照明シーンの一つを選択するシーン選択手段と、
を備え、
前記調光信号制御手段は、
選択された前記照明シーンのデータに基づいて、前記2つの回路にそれぞれ接続された前記照明負荷に出力する調光信号を制御する
ライトコントローラ。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載のライトコントローラであって、
前記イメージポイント選択手段は、
ユーザによって二次元的に操作される方向キーから構成され、
前記イメージポイント表示手段は、
前記イメージポイントを二次元的に表示可能な表示装置から構成される
ライトコントローラ。
【請求項6】
請求項1乃至4のいずれかに記載のライトコントローラであって、
外部から前記照明負荷の種類、およびその配置情報を入力するための通信手段を備え、
前記通信手段を介して入力した前記情報に基づいて、
前記調光レベルの範囲を変更する
ライトコントローラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−224220(P2009−224220A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−68145(P2008−68145)
【出願日】平成20年3月17日(2008.3.17)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.イーサネット
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】