説明

ライフジャケット

【課題】物を収容してもポケットの膨らみを低減できるライフジャケットを提供する。
【解決手段】ポケットP1,P3を有するジャケット生地の裏側に浮力材14A,16を配設したライフジャケットであって、少なくとも1つのポケットP1に対応する浮力材14Aの位置に貫通穴を含む意味の凹部Kを設け、少なくとも前記1つのポケットは生地20に対して内方に向かう膨出部BAを有し、該膨出部BAは対応する前記凹部Kに入り込んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ライフジャケットに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1にはボードセイリング用のライフジャケットが開示されている。この他、船釣りを行う際や磯釣り等の釣りにおいても、釣人の安全のためにライフジャケットを着用することが多い。更には、釣りにおいては、釣用の仕掛け部品等の小道具を常に携行すべくライフジャケットにはポケットを設けていることが普通である。
【特許文献1】特開平6−312040号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
然しながら、ポケットに種々の小道具を入れた場合、ポケットが膨らんで見栄えが良くない。ライフジャケットには浮力材が収納配設されており、特にこの浮力材の存在がポケットを膨らませる要因となる。
依って解決しようとする課題は、物を収容してもポケットの膨らみを低減できるライフジャケットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題に鑑みて第1の発明では、ポケットを有するジャケット生地の裏側に浮力材を配設したライフジャケットであって、少なくとも1つのポケットに対応する浮力材の位置に貫通穴を含む意味の凹部を設け、少なくとも前記1つのポケットは生地に対して内方に向かう膨出部を有し、該膨出部は対応する前記凹部に入り込んでいることを特徴とするライフジャケットを提供する。
【0005】
また、第2の発明では、第1の発明の前記膨出部は前記凹部の何処かで保持されているよう構成する。
第3の発明では、第2の発明の前記浮力材はジャケット生地の表地と裏地との間に配設されており、前記凹部は貫通孔を有しており、該貫通孔を介して前記膨出部が前記裏地に対して保持されているよう構成する。
【0006】
第4の発明では、ポケットを有するジャケット生地の裏側に浮力材を配設したライフジャケットであって、少なくとも1つのポケットに対応する浮力材の位置に貫通穴を含む意味の凹部を設けていることを特徴とするライフジャケットを提供する。
【発明の効果】
【0007】
第1の発明では、内方に向かう膨出部を有するポケットの存在は、多くの物収納を可能にさせると共に、この膨出部が浮力材の凹部に入り込んでいるため、物を収納してもポケットが外方向に膨出することを低減でき、見栄えが良い。
第2の発明では、膨出部が凹部のどこかで保持されているため、物を収容しても、更にポケットは外方向に膨出し難い。
【0008】
第3の発明では、凹部に設けられた貫通孔を介して裏地の後側(内方側)と膨出部の前側とから指で押圧する等の作業操作をすれば、ポケットの膨出部は裏地に対して容易に保持させることができ、保持作業が容易である。
また、保持が面ファスナーでなされる場合は、ポケットを強く引っ張ったりして保持状態から引き剥がす場合でも、浮力材が剥がれて破損することがなく、製品の信頼性が高い。
第4の発明では、ポケットに対応する位置に凹部を設けているので、ポケットに物を入れた場合、膨らみは凹部に収まって外方向に膨出し難い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明を添付図面を用いて更に詳細に説明する。図1は本発明に係るライフジャケットの正面図、図2は矢視線B−Bによる横断面図、図3は矢視線C−Cによる縦断面図である。この形態例では、ジャケット生地は表地20と裏地22とを有しており、各浮力材14A,14B,16は表地と裏地の間に配設されている。しかし、第3の発明以外の発明では、裏地が無くて浮力材が生地(表地)の裏面に取り付けられていてもよい。また、浮力材としては、ウレタン等の発泡性合成樹脂材の他、空気等の気体を封入した袋体でもよい。
【0010】
左前身頃10Aには図示の如き破線で輪郭を示す一体の浮力材14Aが一個配設され、右前身頃10Bにも図示の如き破線で輪郭を示す一体の浮力材14Bが一個配設され、後身頃12には一体の浮力材16が一個配設されている。左前身頃には上下にポケットP3,P1が設けられ、右前身頃には上下にポケットP4,P2が設けられている。浮力材も含め、ライフジャケットは左右対称に構成されており、左右の前身頃はチャックCHで開閉自在である。
【0011】
ポケットP1は表地20に対して縫製されており、しかも、この形態例のポケットの背部は表地20に対して面一ではなく、裏地の方向(内方)に向かう膨出部BAとしての形態に形成されている。また、この膨出部に対応して、浮力材14Aには膨出部の輪郭に沿った凹部Kが設けられており、この凹部の中に膨出部BAが入り込んでいる。従って、ポケットの容積が大きく構成されているにも拘らず、物を収容してもジャケットの前方には膨出し難く、見栄えが良い。更に、浮力材14Aは柔軟性やクッション性を有し、ポケットに収納した物が凹部Kに収まると、浮力材の緩衝効果によって破損が防止される。
【0012】
更にこの形態例では、凹部Kの底壁の一部に貫通孔Hが形成されていて、これに対応する位置の裏地22の前面と膨出部BAの後面には面ファスナー24が装着されている。従って、この貫通孔を介して面ファスナー24を貼り合わせ作用させると、凹部内に膨出部が安定位置する。しかし、こうした貫通孔Hとここでの面ファスナー24を設けても設けなくても、凹部Kの底壁が存在する場合には、その底壁前面と対応する膨出部後面とに亘って面ファスナーを設けてもよい。
【0013】
また、ポケットP1に対応する浮力材14Aの凹部Kの、ポケット上部の背部に対応する壁が後下方向に延伸する傾斜面KKに形成されており、凹部のポケット下部の背部に対応する部分のように直角状態には形成されていない。即ち、図3の2点鎖線で示す部分14AKが浮力材として残っている。このため、浮力を最大限に確保しつつ、ポケットの上部は、このような傾斜に沿って手や物を入れるので、部分14AKは本来的に利用する部分ではなく、その意味でのポケット空間の不足もない。
以上のポケットとその周辺に関する事項は、他のポケットP2,P3,P4においても同様である。なお、ポケットP1,P2,P3,P4毎に対応する浮力体を個別に設け、夫々の浮力体にポケットに対応する凹部を形成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0014】
本発明はライフジャケットに利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は本発明に係るライフジャケットの正面図である。
【図2】図2は図1の矢視線B−Bによる横断面図である。
【図3】図3は図1の矢視線C−Cによる縦断面図である。
【符号の説明】
【0016】
10A 左前身頃
10B 右前身頃
12 後身頃
14A,14B 浮力材
16 浮力材
20 表地
22 裏地
24 面ファスナー
BA 膨出部
H 貫通孔
K 浮力材の凹部
P1,P2,P3,P4 ポケット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポケットを有するジャケット生地の裏側に浮力材を配設したライフジャケットであって、
少なくとも1つのポケットに対応する浮力材の位置に貫通穴を含む意味の凹部を設け、少なくとも前記1つのポケットは生地に対して内方に向かう膨出部を有し、該膨出部は対応する前記凹部に入り込んでいることを特徴とするライフジャケット。
【請求項2】
前記膨出部は前記凹部の何処かで保持されている請求項1記載のライフジャケット。
【請求項3】
前記浮力材はジャケット生地の表地と裏地との間に配設されており、前記凹部は貫通孔を有しており、該貫通孔を介して前記膨出部が前記裏地に対して保持されている請求項2記載のライフジャケット。
【請求項4】
ポケットを有するジャケット生地の裏側に浮力材を配設したライフジャケットであって、
少なくとも1つのポケットに対応する浮力材の位置に貫通穴を含む意味の凹部を設けていることを特徴とするライフジャケット。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate