説明

ラケットフレーム

【課題】良好なコントロール性能および打球感を得ることができ、打球面でのオフセンター位置においてボールを打った場合においても十分なコントロール性能を発揮するラケットフレームを提供する。
【解決手段】打球部4の面積が485cm以上550cm未満に設定され、シャフト部6の長さMが全長Lの0.268倍以上0.352倍以下の範囲内に設定され、スロート領域5の長さMaが全長Lの0.05倍以上0.147倍の範囲内に設定され、スロート部における面外方向幅SWaの最小値が12mm以上18mm以下の範囲内にあり、面外方向幅SWaの最小値を示す領域におけるスロート部の面内方向幅SWbが、上記最小値の0.788倍以上1.5倍以下に設定され、(ヨーク部14の狭幅部における面外方向幅YWa)/(ヨーク部14端部の面外方向幅YWae)が0.36以上0.65以下に設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソフトテニス用のラケットフレームに関するものであり、特に、シャフト部に二股状に分岐するスロート領域を具備した「ダブルシャフト」構造のラケットフレームに関するものである。
【背景技術】
【0002】
テニス競技には使用するボールの相違に応じて、硬式とソフト(軟式とも称される)の区別があり、それぞれ使用するラケットフレームの形状寸法や質量、そして、強度、剛性等の要求品質が異なることは知られている。以下に、ソフトテニス用のラケットフレーム(以下、ラケットフレームと称する)について説明する。
【0003】
図10は、従来のラケットフレームを示す正面模式図である。図10に示すように、この種のラケットフレーム101の全長Lは680mm〜710mm、ガット張設前の質量は、170g〜280g、グリップエンド部113から80mmの箇所を回転軸とするスイング方向の慣性モーメントは、21.5g・m〜29.0g・mの範囲内にあるものが一般的である。
【0004】
また、打球部104の面積は、プレーヤの技量、力量、プレースタイル等の相違により、その好適とされる面積は種々異なり、通常、初級者の間においては、打球部104の面積が大きいラケットフレームが好まれ、技量、力量が増す程、打球部104の面積が小さいラケットフレームが好まれる傾向にある。一般的に、技量、力量に優れたトップレベルの男子プレーヤの間では、485cm以上550cm未満、トップレベルの女子プレーヤや、中級〜上級レベルのプレーヤの間では、550cm以上615cm未満、初級〜中級レベルのプレーヤの間では、615cm以上680cm未満、シニア層やジュニア層の間では、680cm以上745cm未満の範囲内に設定されたラケットフレームが多く使用されている。
【0005】
また、ラケットフレーム101の全長L中に占めるシャフト部106の長さMは、打球部104の面積やグリップ部107の長さとの関係で決定されることが多い。通常、打球部104の面積が485cm以上550cm未満の範囲にある時、シャフト部106の長さMはラケットフレーム101の全長Lの0.268倍〜0.352倍となり、打球部104の面積が550cm以上615cm未満の範囲にある時、シャフト部106の長さMは全長Lの0.241倍〜0.327倍となり、打球部104の面積が615cm以上680cm未満の範囲にある時、当該長さMは全長Lの0.216倍〜0.301倍となり、打球部104の面積が680cm以上745cm未満の範囲にある時、当該長さMは全長Lの0.193倍〜0.277倍となることが多い。
【0006】
従来より、シャフト部106の形態としては、図11に示すように、打球部104とグリップ部107との間を一本形状のシャフト部106で構成する、所謂「シングルシャフト」と称されるものと、図10に示すように、シャフト部106において二股状に分岐するスロート領域105を設けた、所謂「ダブルシャフト」と称されるものとがある。ここで、図11は、従来の「シングルシャフト」構造のラケットフレームを示す正面模式図である。
【0007】
一般に、図10に示したような「ダブルシャフト」構造のラケットフレーム101は、図11に示したような「シングルシャフト」構造のラケットフレームに比して捩れ難く、面安定性能に優れるといった特性を有している。そのため、「ダブルシャフト」構造のラケットフレームは、オフスポットエリアでの打撃頻度の高い初級プレーヤのみならず、打球のハイスピード化及びハイパワー化が進む近年においては、中上級プレーヤのあいだでも多く使用されるに至っている。
【0008】
通常、このような「ダブルシャフト」構造を有するラケットフレームの殆どは、シャフト部106の大部分がスロート領域105で構成されており、結果的にラケットフレーム101の全長Lに対するスロート領域105の長さMaの割合が高い。具体的には、ラケットフレーム101の打球部104の面積が485cm以上550cm未満の範囲にある時、スロート領域105の長さMaはラケットフレーム101の全長Lの0.148倍〜0.19倍となっており、打球部104の面積が550cm以上615cm未満の範囲にある時、スロート領域105の長さMaはラケットフレーム101の全長Lの0.134倍〜0.18倍となっており、打球部104の面積が615cm以上680cm未満の範囲にある時、スロート領域105の長さMaはラケットフレーム101の全長Lの0.119倍〜0.17倍、打球部104の面積が680cm以上745cm未満の範囲にある時、スロート領域105の長さMaはラケットフレーム101の全長Lの0.104倍〜0.16倍となっているものが殆どである。
【0009】
ところで、このような「ダブルシャフト」構造を有するラケットフレーム101は、良好な面安定性能が得られる反面、撓りが少ないことから、打撃時にボールを打球面103で捕える時間(ボールと打球面103の接触時間)が短い。このため、「ダブルシャフト」構造を有するラケットフレーム101は、ボレー以外の通常のストロークやサービス、スマッシュなどにおいて、打球をコントロールし難いという問題があると共に、打球感が硬く、良好なフィーリングが得られ難い傾向にある。
【0010】
そのため、この種のラケットフレーム101においては、例えば、ラケットフレーム101を構成する外殻の肉厚を全体的に或いは、部分的に薄く構成したり、補強繊維の種類や弾性率、或いは、配向角度等の仕様を種々設計するなどしてある程度撓りを持たせるような設計が成されていた。しかし、ラケットフレームとして必要な設計強度を確保しなければならないという制約の中で十分に満足のできる撓りを発現させることは難しかった。
【0011】
従来、ラケットフレームの撓りを改善するため、例えば、特許文献1では、図12に示すように、ラケット全長Lを710〜812mmの長尺としたラケットフレーム101において、ラケット全長Lに対するシャフト部106の長さMの割合を小さく設計したラケットフレームが提案されていた。この特許文献1において提案されているラケットフレーム101では、従来のラケットフレームよりも前記全長Lに占めるシャフト部106の長さMを短く構成することによって、良好な撓りを発現できるとしている。ここで、図12は従来のラケットフレームの他の例を示す正面図である。
【0012】
しかし、上述のような従来のラケットフレームでは、ラケット全長Lに対するシャフト部106の長さM(ダブルシャフト構造のテニスラケットの場合は、二股状に分岐するスロート領域105(図12参照)を含む長さ)の割合を小さく設定するものにあっては、上述した割合を得るために、打球部104とグリップ部107の長さを長く構成することが必要となり、打球部104はより一層大型化し、グリップ部107は長尺化する傾向にある。そして、このように打球部104が大型化すると、必然的にラケットフレーム自体の質量や、慣性モーメント及び、スイング時における風圧面積が増大してしまうことから振り抜き性が悪くなるという問題があり、スピードのあるプレーに対応し難くなるものと予測される。一方、このような問題に鑑みて、ある程度打球部104の大型化を抑制すると、その分グリップ部107を長尺化しなければならない。この場合、グリップ部107が長くなり過ぎて、使用時に違和感が生じるという問題があった。
【0013】
また、この種のテニスラケットでは、ラケット全長Lを長尺としているため、ラケットの回転中心(プレーヤの手により把持されるグリップ部107)からスイートスポットまでの距離が長くなる。このため打撃時にスイートスポットでボールを捕えるミート率が低下し、却って、良好な打撃を行なえる頻度が少なくなる傾向にある。
【0014】
そこで本発明者らはこのような問題点に鑑み、特許文献2において、ラケットフレームの全長L及び、該全長Lに対するシャフト部の長さMの割合を、従来の一般的なラケットフレームと略同様な適性範囲内に制限させながらも、打撃時に良好な撓りを発現できるラケットフレームを提案している。
【0015】
発明者は上述した従来のラケットフレームについて撓りの挙動を考察した。その結果、図13に示すように、ボール111を打撃した際、ラケットフレーム101は、グリップエンド部113からシャフト部106を構成するスロート領域105の二股状に分岐する分岐点110位置までの区間S1は曲げ剛性が高いため殆ど撓らず、該分岐点110位置を起点(キックポイント)として、該分岐点110位置から打球部104の先端部までの区間S2が折れ曲がるような撓り挙動を呈する。従来のラケットフレームにおいては、シャフト部106の大部分がスロート領域105で構成されているため、分岐点110位置がグリップ部107の近傍にあり、該分岐点110位置を起点として撓る区間S2が長い。その結果、打撃時に区間S2が撓ることによって得られる傾斜角(撓り角θ)が小さくなるため、打球面103でボール111を捕える時間(ボール111と打球面103の接触時間)が短くなっていた。ここで、図13は、従来のラケットフレームの撓り挙動を説明するための模式図である。
【0016】
そこで、発明者は、分岐点110位置を打球部104側に移行させ、該分岐点110を起点として撓る区間S2を短く構成する、即ち、シャフト部106の長さMに占めるスロート領域105の長さMaの割合を小さく構成したラケットフレームを提案している(たとえば、特許文献2参照)。特許文献2において提案しているラケットフレームによれば、打撃時に撓る区間の撓り角θを大きくすることができるため、打球面103でボール111を捕える時間(ボール111と打球面103の接触時間)を長くすることができ、打撃時に良好なコントロール性能及び、打球感を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特許第2866020号公報
【特許文献2】特開2004−97303号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
発明者は、さらに検討を進め、特許文献2に示したようなラケットフレームでは、ボール111を打球面103のオフセンター位置で打った場合でのボールのコントロール特性について、更なる改善の余地があることを見出した。すなわち、特許文献2に開示されたラケットフレームでは、ラケットフレームにおける撓り方向はラケットフレームに対する横軸(面内方向であってグリップ部107の延在方向と垂直な方向に延びる軸)を回転軸とした方向となる。つまりラケットフレームの縦軸(面内方向であってグリップ部107の延在方向に沿って延びる軸)を回転中心とした撓りの程度はあまり大きくない。そのため、ボール111を打球面103のオフセンター位置で打った場合、ボールと打球面103のガットとの接触時間は短くなり、ボールのコントロール性能が不十分であるという問題があった。
【0019】
また、最近のプレーでは、ベースライン前後における高い打点でのボールの打撃(トップ打ち)も多く見られ、その結果ラケットの打球面103がボール111の進行方向に対して斜めに入っていくことも多くなっている。この場合、従来のラケットフレームでは、スロート領域105での面内方向における剛性が不十分であるため、ラケットの安定が低く、結果的にミスショットとなる可能性が高くなっていた。
【0020】
この発明は、上述のような課題を解決するために成されたものであり、この発明の目的は、良好なコントロール性能および打球感を得ることができるとともに、打球面でのオフセンター位置においてボールを打った場合においても十分なコントロール性能を発揮し、トップ打ちのような局面においても高い安定性を示すラケットフレームを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
この発明に従ったラケットフレームは、打球部と、シャフト部と、グリップ部とから構成され、且つシャフト部が二股状に分岐するスロート領域を有して成るラケットフレームであって、ラケットフレームの全長Lが、680mm以上710mm以下である。打球部の面積が485cm以上550cm未満の範囲内に設定される。シャフト部の長さMが、全長Lの0.268倍以上0.352倍以下の範囲内に設定される。スロート領域の長さMaが、全長Lの0.05倍以上0.147倍以下の範囲内に設定される。スロート領域を構成する左右一対のスロート部における面外方向幅SWaの最小値が12mm以上18mm以下である。前記面外方向幅SWaの最小値を示す領域における前記スロート部の面内方向幅SWbが、前記最小値の0.788倍以上1.5倍以下の範囲内に設定される。スロート領域の上端側で左右一対のスロート部同士を接続し、打球部の一部を構成するヨーク部は、面外方向幅が最も狭くなっている狭幅部を有する。前記ヨーク部の狭幅部における面外方向幅をYWa、前記ヨーク部が前記スロート部に接続される領域におけるヨーク部端部の面外方向幅をYWaeとしたとき、YWaに対するYWaeの比(YWa/YWae)が0.36以上0.65以下の範囲に設定されている。
【0022】
この発明に従ったラケットフレームは、打球部と、シャフト部と、グリップ部とから構成され、且つシャフト部が二股状に分岐するスロート領域を有して成るラケットフレームであって、ラケットフレームの全長Lが、680mm以上710mm以下である。打球部の面積が550cm以上615cm未満の範囲内に設定される。シャフト部の長さMが、全長Lの0.241倍以上0.327倍以下の範囲内に設定される。スロート領域の長さMaが、全長Lの0.05倍以上0.133倍以下の範囲内に設定される。スロート領域を構成する左右一対のスロート部における面外方向幅SWaの最小値が12mm以上18mm以下である。前記面外方向幅SWaの最小値を示す領域における前記スロート部の面内方向幅SWbが、前記最小値の0.788倍以上1.5倍以下の範囲内に設定される。スロート領域の上端側で左右一対のスロート部同士を接続し、打球部の一部を構成するヨーク部は、面外方向幅が最も狭くなっている狭幅部を有する。前記ヨーク部の狭幅部における面外方向幅をYWa、前記ヨーク部が前記スロート部に接続される領域におけるヨーク部端部の面外方向幅をYWaeとしたとき、YWaに対するYWaeの比(YWa/YWae)が0.36以上0.65以下の範囲に設定されている。
【0023】
この発明に従ったラケットフレームは、打球部と、シャフト部と、グリップ部とから構成され、且つ前記シャフト部が二股状に分岐するスロート領域を有して成るラケットフレームであって、ラケットフレームの全長Lが、680mm以上710mm以下である。打球部の面積が615cm以上680cm未満の範囲内に設定される。シャフト部の長さMが、全長Lの0.216倍以上0.301倍以下の範囲内に設定される。スロート領域の長さMaが、全長Lの0.05倍以上0.118倍以下の範囲内に設定される。スロート領域を構成する左右一対のスロート部における面外方向幅SWaの最小値が14mm以上20mm以下である。前記面外方向幅SWaの最小値を示す領域における前記スロート部の面内方向幅SWbが、前記最小値の0.788倍以上1.5倍以下の範囲内に設定される。スロート領域の上端側で左右一対のスロート部同士を接続し、打球部の一部を構成するヨーク部は、面外方向幅が最も狭くなっている狭幅部を有する。前記ヨーク部の狭幅部における面外方向幅をYWa、前記ヨーク部が前記スロート部に接続される領域にお
けるヨーク部端部の面外方向幅をYWaeとしたとき、YWaに対するYWaeの比(YWa/YWae)が0.36以上0.65以下の範囲に設定されている。
【0024】
この発明に従ったラケットフレームは、打球部と、シャフト部と、グリップ部とから構成され、且つシャフト部が二股状に分岐するスロート領域を有して成るラケットフレームであって、ラケットフレームの全長Lが、680mm以上710mm以下である。打球部の面積が680cm以上745cm未満の範囲内に設定される。シャフト部の長さMが、全長Lの0.193倍以上0.277倍以下の範囲内に設定される。スロート領域の長さMaが、全長Lの0.05倍以上0.103倍以下の範囲内に設定される。スロート領域を構成する左右一対のスロート部における面外方向幅SWaの最小値が14mm以上20mm以下である。前記面外方向幅SWaの最小値を示す領域における前記スロート部の面内方向幅SWbが、前記最小値の0.788倍以上1.5倍以下の範囲内に設定される。スロート領域の上端側で左右一対のスロート部同士を接続し、打球部の一部を構成するヨーク部は、面外方向幅が最も狭くなっている狭幅部を有する。前記ヨーク部の狭幅部における面外方向幅をYWa、前記ヨーク部が前記スロート部に接続される領域におけるヨーク部端部の面外方向幅をYWaeとしたとき、YWaに対するYWaeの比(YWa/YWae)が0.36以上0.65以下の範囲に設定されている。
【0025】
上記ラケットフレームにおいて、ヨーク部の前記狭幅部における前記面外方向幅YWaが、前記スロート部における面内方向幅SWbの0.5倍以上0.88倍以下の範囲内に設定されていてもよい。
【0026】
この発明に従ったラケットフレームは、打球部と、シャフト部と、グリップ部とから構成され、且つシャフト部が二股状に分岐するスロート領域を有して成るラケットフレームであって、ラケットフレームの全長Lが、680mm以上710mm以下である。打球部の面積が485cm以上550cm未満の範囲内に設定される。シャフト部の長さMが、全長Lの0.268倍以上0.352倍以下の範囲内に設定される。スロート領域の長さMaが、全長Lの0.05倍以上0.147倍以下の範囲内に設定される。スロート領域を構成する左右一対のスロート部における面外方向幅SWaの最小値が12mm以上18mm以下である。前記面外方向幅SWaの最小値を示す領域における前記スロート部の面内方向幅SWbが、前記最小値の0.788倍以上1.5倍以下の範囲内に設定される。スロート領域の上端側で左右一対のスロート部同士を接続し、打球部の一部を構成するヨーク部は、面外方向幅が最も狭くなっている狭幅部を有する。狭幅部における前記面外方向幅YWaが、前記スロート部における面内方向幅SWbの0.5倍以上0.88倍以下の範囲内に設定されている。
【0027】
この発明に従ったラケットフレームは、打球部と、シャフト部と、グリップ部とから構成され、且つシャフト部が二股状に分岐するスロート領域を有して成るラケットフレームであって、ラケットフレームの全長Lが、680mm以上710mm以下である。打球部の面積が550cm以上615cm未満の範囲内に設定される。シャフト部の長さMが、全長Lの0.241倍以上0.327倍以下の範囲内に設定される。スロート領域の長さMaが、全長Lの0.05倍以上0.133倍以下の範囲内に設定される。スロート領域を構成する左右一対のスロート部における面外方向幅SWaの最小値が12mm以上18mm以下である。前記面外方向幅SWaの最小値を示す領域における前記スロート部の面内方向幅SWbが、前記最小値の0.788倍以上1.5倍以下の範囲内に設定される。スロート領域の上端側で左右一対のスロート部同士を接続し、打球部の一部を構成するヨーク部は、面外方向幅が最も狭くなっている狭幅部を有する。狭幅部における前記面外方向幅YWaが、前記スロート部における面内方向幅SWbの0.5倍以上0.88倍以下の範囲内に設定されている。
【0028】
この発明に従ったラケットフレームは、打球部と、シャフト部と、グリップ部とから構成され、且つ前記シャフト部が二股状に分岐するスロート領域を有して成るラケットフレームであって、ラケットフレームの全長Lが、680mm以上710mm以下である。打球部の面積が615cm以上680cm未満の範囲内に設定される。シャフト部の長さMが、全長Lの0.216倍以上0.301倍以下の範囲内に設定される。スロート領域の長さMaが、全長Lの0.05倍以上0.118倍以下の範囲内に設定される。スロート領域を構成する左右一対のスロート部における面外方向幅SWaの最小値が14mm以上20mm以下である。前記面外方向幅SWaの最小値を示す領域における前記スロート部の面内方向幅SWbが、前記最小値の0.788倍以上1.5倍以下の範囲内に設定される。スロート領域の上端側で左右一対のスロート部同士を接続し、打球部の一部を構成するヨーク部は、面外方向幅が最も狭くなっている狭幅部を有する。狭幅部における前記面外方向幅YWaが、前記スロート部における面内方向幅SWbの0.5倍以上0.88倍以下の範囲内に設定されている。
【0029】
この発明に従ったラケットフレームは、打球部と、シャフト部と、グリップ部とから構成され、且つシャフト部が二股状に分岐するスロート領域を有して成るラケットフレームであって、ラケットフレームの全長Lが、680mm以上710mm以下である。打球部の面積が680cm以上745cm未満の範囲内に設定される。シャフト部の長さMが、全長Lの0.193倍以上0.277倍以下の範囲内に設定される。スロート領域の長さMaが、全長Lの0.05倍以上0.103倍以下の範囲内に設定される。スロート領域を構成する左右一対のスロート部における面外方向幅SWaの最小値が14mm以上20mm以下である。前記面外方向幅SWaの最小値を示す領域における前記スロート部の面内方向幅SWbが、前記最小値の0.788倍以上1.5倍以下の範囲内に設定される。スロート領域の上端側で左右一対のスロート部同士を接続し、打球部の一部を構成するヨーク部は、面外方向幅が最も狭くなっている狭幅部を有する。狭幅部における前記面外方向幅YWaが、前記スロート部における面内方向幅SWbの0.5倍以上0.88倍以下の範囲内に設定されている。
【0030】
このようにすれば、スロート領域の長さを上述のような範囲とすることで打撃時に撓る区間の撓り角が大きくなり、打球面でボールを捕える時間を長くできるとともに、ヨーク部に上述のような面外方向幅の狭幅部を形成することで、ラケットフレームの縦軸(面内方向であってグリップ部の延在方向に沿って延びる軸)を回転中心とした撓みの程度を大きくすることで、オフセンター位置でボールを打ったときのコントロール性能を向上させることができる。また、スロート部の面外方向幅SWaと面内方向幅SWbとを上述のような関係を満たすように規定することで、スロート領域での面内方向における剛性を向上させてラケットの安定性を高めることができる。
【0031】
上記ラケットフレームにおいて、面内方向の一次固有振動数に対する面外方向の一次固有振動数の比が0.75以上0.95以下に設定されていてもよい。
【0032】
上記ラケットフレームにおいて、面内方向の一次固有振動数は、120Hz以上150Hz以下の範囲内に設定されていてもよい。
【0033】
上記ラケットフレームにおいて、打球面と直交する方向から投影したスロート領域の外周縁が形成する曲率半径は、30mm以上210mm以下の範囲内に設定されていてもよい。
【発明の効果】
【0034】
この発明によれば、十分なコントロール性能と安定性を示すラケットフレームを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明によるラケットフレームを示す正面模式図である。
【図2】図1の線分II−IIにおける断面模式図である。
【図3】図1の線分III−IIIにおける断面模式図である。
【図4】図1〜図3に示したラケットフレームの変形例を示す断面模式図である。
【図5】図1〜図3に示したラケットフレームの撓み挙動を説明するための模式図である。
【図6】図1〜図3に示したラケットフレームのスロート領域を表す拡大模式図である。
【図7】ラケットフレームの一次曲げ固有振動数の測定に用いた測定装置の構成を示す模式図である。
【図8】図7に示した測定装置において、ラケットフレームの面内方向に関して一次曲げ固有振動数を測定するときのラケットフレームの状態を示す模式図である。
【図9】図7に示した測定装置において、ラケットフレームの面外方向に関して一次曲げ固有振動数を測定するときのラケットフレームの状態を示す模式図である。
【図10】従来のラケットフレームを示す正面模式図である。
【図11】従来の「シングルシャフト」構造のラケットフレームを示す正面模式図である。
【図12】従来のラケットフレームの他の例を示す正面図である。
【図13】従来のラケットフレームの撓り挙動を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付しその説明は繰返さない。
【0037】
図1〜図3を参照して、本発明によるラケットフレームの実施の形態を説明する。
図1〜図3を参照して、ラケットフレーム1は、ガット2が張設されて打球面3が形成される打球部4と、二股状に分岐して前記打球部4に繋がるスロート領域5を有したシャフト部6と、グリップ部7とから構成されている。ラケットフレーム1の全長L及び、シャフト部6の長さMは、従来の一般的なラケットフレームと略同様の寸法を成すもので、全長Lが680mm以上710mm以下、シャフト部6の長さMが、全長Lの0.193倍以上0.352倍以下の範囲内に設定されている。
【0038】
そして、ラケットフレーム1では、シャフト部6を構成するスロート領域5の長さMaを短く構成し、従来のラケットフレームよりも全長Lに占めるスロート領域5の長さMaの割合を小さく設計している。
【0039】
即ち、図1〜図3に示したラケットフレーム1において設定するシャフト部6の長さM及び、スロート領域5の長さMaなどは、前述したようにラケットフレーム1を構成する打球部4の面積の相違によりその好適な長さは種々相違するものである。シャフト部6の長さM、スロート領域5の長さMaなど、本発明の実施の形態であるラケットフレーム1の特徴的な構成について、各打球部4の面積毎にその好適なサイズなどの要件を説明すると、打球部4の面積が485cm以上550cm未満の範囲にある時、スロート領域の長さMaは、全長Lの0.05倍以上0.147倍以下の範囲内に設定される。図2に示すように、スロート領域を構成する左右一対のスロート部6における面外方向幅SWaの最小値が12mm以上18mm以下、より好ましくは14mm以上16mm以下である。前記面外方向幅SWaの最小値を示す領域における前記スロート部6の面内方向幅SWbは、前記最小値の0.788倍以上1.5倍以下、より好ましくは0.83倍以上1.13倍以下の範囲内に設定される。スロート領域5の上端側で左右一対のスロート部同士を接続し、打球部4の一部を構成するヨーク部14は、図3に示すように面外方向幅が最も狭くなっている狭幅部17を有する。前記ヨーク部14の狭幅部17における面外方向幅をYWa、前記ヨーク部14が前記スロート部6に接続される領域におけるヨーク部端部の面外方向幅YWae(図3参照)としたとき、YWaに対するYWaeの比(YWa/YWae)が0.36以上0.65以下、より好ましくは0.45以上0.60以下の範囲に設定されている。ヨーク部14の狭幅部17における面外方向幅YWa(図3参照)は、スロート領域フレーム15の面内方向幅SWbの0.5倍以上0.88倍以下、より好ましくは0.5倍以上0.63倍以下の範囲内に設定されている。
【0040】
また、前記打球部4の面積が550cm以上615cm未満の範囲にある時、スロート領域の長さMaは、全長Lの0.05倍以上0.133倍以下の範囲内に設定される。図2に示すように、スロート領域を構成する左右一対のスロート部における面外方向幅SWaの最小値が12mm以上18mm以下、より好ましくは14mm以上16mm以下である。前記面外方向幅SWaの最小値を示す領域における前記スロート部の面内方向幅SWbが、前記最小値の0.788倍以上1.5倍以下、より好ましくは0.83倍以上1.13倍以下の範囲内に設定される。スロート領域5の上端側で左右一対のスロート部同士を接続し、打球部4の一部を構成するヨーク部14は、図3に示すように面外方向幅が最も狭くなっている狭幅部17を有する。前記ヨーク部14の狭幅部17における面外方向幅をYWa、前記ヨーク部14が前記スロート部6に接続される領域におけるヨーク部端部の面外方向幅YWae(図3参照)としたとき、YWaに対するYWaeの比(YWa/YWae)が0.36以上0.65以下の範囲、より好ましくは0.45以上0.60以下の範囲に設定されている。ヨーク部14の狭幅部17における面外方向幅YWa(図3参照)は、スロート領域フレーム15の面内方向幅SWbの0.5倍以上0.88倍以下、より好ましくは0.5倍以上0.63倍以下の範囲内に設定されている。
【0041】
前記打球部4の面積が615cm以上680cm未満の範囲にある時、スロート領域の長さMaは、全長Lの0.216倍以上0.301倍以下の範囲内に設定される。図2に示すように、前記スロート領域を構成する左右一対のスロート部6における面外方向幅SWaの最小値が14mm以上20mm以下、より好ましくは16mm以上18mm以下である。前記面外方向幅SWaの最小値を示す領域における前記スロート部の面内方向幅SWbが、前記最小値の0.788倍以上1.5倍以下、より好ましくは0.83倍以上1.13倍以下の範囲内に設定される。スロート領域5の上端側で左右一対のスロート部同士を接続し、打球部4の一部を構成するヨーク部14は、図3に示すように面外方向幅が最も狭くなっている狭幅部17を有する。前記ヨーク部の狭幅部17における面外方向幅をYWa、前記ヨーク部14が前記スロート部に接続される領域におけるヨーク部端部の面外方向幅YWae(図2参照)としたとき、YWaに対するYWaeの比(YWa/YWae)が0.36以上0.65以下、より好ましくは0.45以上0.60以下の範囲に設定されている。ヨーク部14の狭幅部17における面外方向幅YWa(図3参照)は、スロート領域フレーム15の面内方向幅SWbの0.5倍以上0.88倍以下、より好ましくは0.5倍以上0.63倍以下の範囲内に設定されている。
【0042】
前記打球部4の面積が680cm以上745cm未満の範囲にある時、スロート領域の長さMaは、全長Lの0.193倍以上0.277倍以下の範囲内に設定される。図2に示すように、スロート領域を構成する左右一対のスロート部6における面外方向幅SWaの最小値が14mm以上20mm以下、より好ましくは16mm以上18mm以下である。前記面外方向幅SWaの最小値を示す領域における前記スロート部の面内方向幅SWbが、前記最小値の0.788倍以上1.5倍以下、より好ましくは0.83倍以上1.13倍以下の範囲内に設定される。スロート領域5の上端側で左右一対のスロート部同士を接続し、打球部4の一部を構成するヨーク部14は、図3に示すように面外方向幅が最も狭くなっている狭幅部17を有する。前記ヨーク部14の狭幅部17における面外方向幅をYWa、前記ヨーク部14が前記スロート部に接続される領域におけるヨーク部端部の面外方向幅YWae(図2参照)としたとき、YWaに対するYWaeの比(YWa/YWae)が0.36以上0.65以下、より好ましくは0.45以上0.60以下の範囲に設定されている。ヨーク部14の狭幅部17における面外方向幅YWa(図3参照)は、スロート領域フレーム15の面内方向幅SWbの0.5倍以上0.88倍以下、より好ましくは0.5倍以上0.63倍以下の範囲内に設定されている。
【0043】
なお、図1〜図3に示すラケットフレーム1におけるシャフト部6の長さMとは、該シャフト部6を構成するスロート領域5が打球部4と接する境界端部8からグリップ部7の上端部9までの長さを言う。また、スロート領域5の長さMaとは、境界端部8から、二股状に分岐するスロート領域5の分岐点10の位置までの長さを言う。
【0044】
また、ヨーク部14の形状としては、図3に示すようにヨーク部14の端部から中央部の狭幅部17に向けて、ヨーク部の面外方向幅が徐々に小さくなる(ヨーク部14の端部における面外方向幅YWaeから、狭幅部17における面外方向幅YWaまで幅がなだらかに変化する)ような構成としてもよいが、他の構成を採用してもよい。たとえば、図4に示すように、ヨーク部14において端部から中央部にかけてほとんど面外方向幅は変わらず、中央部において比較的急激に面外方向幅が小さくなり狭幅部17が形成されるような構成としてもよい。ここで、図4は、図1〜図3に示したラケットフレームの変形例を示す断面模式図である。図4は図3に対応する。
【0045】
このようなラケットフレーム1においては、ラケットフレーム1の全長L及び、シャフト部6の長さMを、従来の一般的なラケットフレームと略同様の寸法としていることから、振り抜き性が悪くなるようなことがなく、又、使用時に違和感を抱く問題もない。更に、ラケットの回転中心(プレーヤの手により把持されるグリップ部)からスイートスポットまでの距離が変わらないため、打撃時にスイートスポットでボールを捕えるミート率が低下するようなことがない。従って、スピードのある実際のプレーにおいて扱い易く、安定した打撃を行なうことが可能となる。
【0046】
また、従来のラケットフレームよりも全長Lに占めるスロート領域5の長さMaの割合を小さく設計しているため、図5に示すように、前記スロート領域5の二股状に分岐する分岐点10位置が打球部4側に移行し、ボール打撃時に該分岐点10位置を起点として撓る区間S2の長さが短く構成される。この結果、打撃時に撓る前記区間S2の撓り角θを大きくすることができるため、打球面3でボール11を捕える時間(ボール11と打球面3の接触時間)を長くすることができ、打撃時に良好なコントロール性能及び、打球感を得ることができる。ここで、図5は、図1〜図3に示したラケットフレームの撓み挙動を説明するための模式図である。
【0047】
さらに、図1および図2に示すように、スロート領域のスロート領域フレーム15の断面形状を、従来より面外方向幅SWaに対する面内方向幅SWbの割合を大きくした(スロート領域フレーム15の断面形状を面内方向においてより肉厚にした)ことにより、ラケットフレーム1のスロート領域5における面内方向(図2の矢印16に示す方向)での剛性を高めている。このため、高い打点でのボールの打撃を行なう場合においても、ラケットの安定性を高めることができる。
【0048】
さらに、図1および図3に示すように、ヨーク部14においてその中央部に面外方向幅YWaが相対的に狭くなっている狭幅部17を形成することで、ラケットフレーム1の縦軸(面内方向であってグリップ部7の延在方向に沿って延びる軸)を回転中心とした撓りを発生しやすくしている。この結果、図5に示すように、打球部4においてオフセンター位置でボール11aを打った場合でも、打球部4が縦軸を回転中心として撓ることによってボール11aと打球面3のガットとの接触時間を相対的に長くし、ボールのコントロール性能を向上させることができる。
【0049】
上述したラケットフレーム1において、シャフト部6の長さMの上限値を上記のように、打球部4の面積が485cm以上550cm未満の場合で全長Lの0.352倍、550cm以上615cm未満の場合で0.327倍、615cm以上680cm未満の場合で0.301倍、680cm以上745cm未満の場合で0.277倍に設定したのは、これより大きいと、グリップ部7が短くなり過ぎて使用時に違和感が生じるという理由による。また、シャフト部6の長さMの下限値を上記のように、打球部4の面積が485cm以上550cm未満の場合で全長Lの0.268倍、550cm以上615cm未満の場合で0.241倍、615cm以上680cm未満の場合で0.216倍、680cm以上745cm未満の場合で0.193倍に設定したのは、これより小さいと、グリップ部7が長くなり過ぎて使用時に違和感が生じるという理由による。
【0050】
また、上述したラケットフレーム1において、スロート領域5の長さMaの上限値を上記のように、打球部4の面積が485cm以上550cm未満の場合で全長Lの0.147倍、550cm以上615cm未満の場合で0.133倍、615cm以上680cm未満の場合で0.118倍、680cm以上745cm未満の場合で0.103倍に設定したのは、これより大きいと、打撃時に良好な撓り角θの発現が得られず、打球面3でボール11を捕える時間(ボール11と打球面3の接触時間)が短くなって、打球をコントロールし難くなってしまうからである。また、スロート領域5の長さMaの下限値を上記のように、打球部4の面積が485cm以上550cm未満の場合、550cm以上615cm未満の場合、615cm以上680cm未満の場合、680cm以上745cm未満の場合でそれぞれ0.05倍に設定したのは、これより小さいと、打球部4が過度に捩れ、安定した打撃を行うことができなくなるからである。
【0051】
また、上述したラケットフレーム1において、スロート部(スロート領域フレーム15)における面外方向幅SWaの最小値の上限値を上記のように、打球部4の面積が485cm以上550cm未満の場合、及び550cm以上615cm未満の場合で18mm、615cm以上680cm未満の場合、及び680cm以上745cm未満の場合で20mmに設定したのは、これより大きいと、打撃時に良好な撓り角θの発現が得られず、打球面3でボール11を捕える時間(ボール11と打球面3の接触時間)が短くなって、打球をコントロールし難くなってしまうからである。また、前記最小値の下限値を上記のように、打球部4の面積が485cm以上550cm未満の場合、及び550cm以上615cm未満の場合で12mm、615cm以上680cm未満の場合、及び680cm以上745cm未満の場合で14mmに設定したのは、これより小さいと、ラケットフレームとして必要な耐久強度(実使用に必要な強度)が確保し難くなるからである。
【0052】
また、上述したラケットフレーム1において、スロート領域フレーム15の面内方向幅SWbの上限値を上記のように、打球部4の面積が485cm以上550cm未満の場合、550cm以上615cm未満の場合、615cm以上680cm未満の場合、680cm以上745cm未満の場合でそれぞれ1.5倍に設定したのは、これより大きいと、打撃時に良好な撓り角θの発現が得られず、打球面3でボール11を捕える時間(ボール11と打球面3の接触時間)が短くなって、打球をコントロールし難くなってしまうからである。また、面内方向幅SWbの下限値を上記のように、打球部4の面積が485cm以上550cm未満の場合、550cm以上615cm未満の場合、615cm以上680cm未満の場合、680cm以上745cm未満の場合でそれぞれ0.788倍に設定したのは、これより小さいと、ラケットフレームとして必要な耐久強度(実使用に必要な強度)が確保し難くなり、また所望とする面内方向剛性及び面外方向剛性の発現が難しくなる。
【0053】
また、上述したラケットフレーム1において、ヨーク部14の狭幅部17における面外方向幅をYWa、前記ヨーク部14が前記スロート部に接続される領域におけるヨーク部端部の面外方向幅YWaeとしたとき、YWaに対するYWaeの比(YWa/YWae
)の上限値を上記のように、打球部4の面積が485cm以上550cm未満の場合、550cm以上615cm未満の場合、615cm以上680cm未満の場合、680cm以上745cm未満の場合でそれぞれ0.65に設定したのは、これより大きいと、打撃時に良好な撓り角θの発現が得られず、またオフセンター打撃時のラケットフレームの縦軸(面内方向であってグリップ部107の延在方向に沿って延びる軸)を回転中心とした撓りが小さくなり過ぎるため、打球面3でボール11を捕える時間(ボール11と打球面3の接触時間)が短くなって、打球をコントロールし難くなってしまうからである。また、上記した比(YWa/YWae)の下限値を上記のように、打球部4の面積が485cm以上550cm未満の場合、550cm以上615cm未満の場合、615cm以上680cm未満の場合で、680cm以上745cm未満の場合でそれぞれ0.36に設定したのは、これより小さいと、打球部4が必要以上に大きく捩れ、打球部の面安定性が低下するからである。
【0054】
また、上述したラケットフレーム1において、ヨーク部14における狭幅部17の面外方向幅YWaについて、上限値を上記のようにスロート領域フレーム15における面内方向幅SWbの最小値の0.88倍に設定したのは、これより大きいと、打撃時に良好な撓り角θの発現が得られず、またオフセンター打撃時のラケットフレームの縦軸(面内方向であってグリップ部107の延在方向に沿って延びる軸)を回転中心とした撓りが小さくなり過ぎるため、打球面3でボール11を捕える時間(ボール11と打球面3の接触時間)が短くなって、打球をコントロールし難くなってしまうからである。また、前記下限値を上記のように0.5倍に設定したのは、これよりも小さいと、実使用に必要な強度が確保し難く、また要求特性(球持ち感、撓り、飛び等)を好適に実現し難くなってしまうからである。
【0055】
なお、図1〜図3に示したラケットフレーム1においては、上記のような構成に加え、図6に示すように、打球面3と直交する方向から投影したスロート領域5の外周縁12が形成する曲率半径Rを、従来の一般的なラケットフレームよりも小さい、30mm以上210m以下の範囲内に設定している。このように、スロート領域5の曲率半径Rを小さく設計すると、該スロート領域5の柔軟性が増し、打撃時に良好な撓りが得られるためソフトな打球感が発現できる。スロート領域5の曲率半径Rは、スロート領域5の長さMaを上記の範囲内に設定した場合における適性範囲であり、曲率半径Rの上限値を210mmに設定したのは、これ以上大きいと、スロート領域5の柔軟性が乏しくなり、打撃時の打球感が硬くなるからである。又、下限値を30mmに設定したのは、これよりも小さいと、打撃時に打球部4が必要以上に捩れ易くなり、安定した打球を行なうことが難しくなるからである。
【0056】
また、図1〜図3に示したラケットフレーム1においては、上記のような構成に加え、面内方向の一次固有振動数(一次曲げ固有振動数)に対する面外方向の一次固有振動数の比(面外方向の一次固有振動数/面内方向の一次固有振動数)が0.75以上0.95以下に設定されている。なお、上記比が0.95を超えると、面外方向の動的な曲げ剛性が高くなりすぎて、打球時の打球感が硬くなってしまう。また、上記比が0.75を下回ると、面外方向での動的な曲げ剛性が低くなりすぎて、打球の飛距離が短くなったり、安定した打球動作が難しくなったりする弊害が顕著になる。なお、上記比は、好ましくは0.80以上0.93以下、より好ましくは0.84以上0.88以下、さらに好ましくは0.85以上0.87以下である。
【0057】
また、図1〜図3に示したラケットフレーム1においては、上記のような構成に加え、面内方向の一次固有振動数(一次曲げ固有振動数)を、120Hz以上150Hz以下の範囲内に設定している。なお、面内方向の一次固有振動数が上記のような範囲内に設定されることで、ラケットフレームとして好適な安定性能が備わる。上記面内方向における一次固有振動数は、とりわけ、125Hz以上145Hz以下の範囲内に、さらに好ましくは125Hz以上140Hz以下の範囲内に設定されることが好ましい。
【0058】
本発明のラケットフレームは、繊維強化樹脂材料或いは、軽金属材料等から構成されることが好ましく、特に繊維強化樹脂材料から構成されることが好ましい。また、図1〜図3に示したラケットフレーム1を、たとえば繊維強化樹脂を用いて製造する場合、以下のような工程を用いることができる。例えば、まず内圧成形用のチューブの周囲に、ラケットフレーム成形用の複数のプリプレグシートを積層する。その後、当該プリプレグシートが積層されたチューブを、金型のフレーム形状としたキャビティ内に配置する。そして、当該チューブ内に圧縮空気等を注入するとともに金型を加熱する。このように、図1〜図3に示したラケットフレーム1は、繊維強化樹脂製ラケットフレームの通常の製造法によって製造することができる。
【0059】
また、繊維強化樹脂製のラケットフレーム1を構成する主たる補強繊維としては、炭素繊維、ガラス繊維、ボロン繊維、芳香族ポリアミド繊維等種々のものが使用できるが、強度や剛性、質量、コストの面からも炭素繊維を用いることが好ましい。また、マトリックス樹脂としては、エポキシ樹脂、ナイロン樹脂等が使用できるが、強度、耐久性の点でエポキシ樹脂を用いることが好ましい。
【0060】
更に、ラケットフレーム1のガット張設前の質量は、170g以上280g以下とすることが好ましく、中でもとりわけ中上級者向けのラケットフレームの場合では230g以上280g以下とすることが好ましい。また、初級者或いは、非力なプレーヤ向けのラケットフレームの場合ではラケットフレーム1のガット張設前の質量を170g以上230g以下とすることがより好ましい。
【0061】
又、振り抜き性を考慮して、ラケットフレーム1のグリップエンド部13から80mmの箇所を回転軸とするスイング方向の慣性モーメントは、中上級者向けのラケットフレーム1の場合では23.0g・m以上29.0g・m以下、初級者或いは、非力なプレーヤ向けのラケットフレームの場合では21.5g・m以上26.0g・m以下とすることが好ましい。
【0062】
(実施例1)
本発明の効果を確認するため、以下のような実打試験を行なった。
【0063】
(試料)
表1に示すような実施例1〜5、比較例1〜14のラケットフレームの試料を準備した。なお、実施例1〜5は、いずれも基本的な構成は図1〜図3に示したラケットフレームの構成とした。
【0064】
【表1】

【0065】
(試験)
これらのラケットフレームについて、面外方向および面内方向での一次曲げ固有振動数(一次固有振動数とも言う)の測定を行なった。一次曲げ固有振動数の測定方法としては、図7に示した装置構成を用いて具体的に以下のような方法を用いた。図7を参照して、一次曲げ固有振動数の測定方法を説明する。
【0066】
図7に示すように、測定に用いた装置(振動減衰測定装置)は、ラケットフレームの吊り下げ台44と、化学繊維系の紐45と、インパルスハンマ43と、加速度計46と、シグナルコンディショナ42と、FFT(Fast Fourier Transformation)アナライザ41と、制御装置としてのコンピュータ40とを備える。
【0067】
このような装置構成において、まずラケットフレームの吊り下げ台44に紐45を用いてラケットフレーム1を吊り下げる。紐45はラケットフレーム1のグリップ部側に接続される。この結果、ラケットフレーム1は軸方向(図7の上下方向)における移動が主に制限され、その他の方向においてはほぼ自由に移動・回転できる。そして、ラケットフレーム1のグリップ側端部から200mmの位置に加速度計46を設置した。この加速度計46はシグナルコンディショナ42に接続される。また、ラケットフレーム1を打撃するためのインパルスハンマ43もシグナルコンディショナ42に接続される。そして、シグナルコンディショナ42はFFTアナライザ41を介してコンピュータ40に接続される。
【0068】
また、面内方向での一次曲げ固有振動数を測定する場合には、図8に示すように、グリップ軸に垂直な方向であって、かつラケット面に平行な方向からラケットフレーム1の表面に加速度計46を設置する。また、インパルスハンマ43による打撃も、図8の矢印47、48に示す方向(グリップ軸に垂直な方向であって、かつラケット面に平行な方向)から行なう。なお、インパルスハンマ43による打撃位置は、ラケットフレーム1の軸方向において複数箇所設ける。
【0069】
また、面外方向での一次曲げ固有振動数を測定する場合には、図9に示すように、グリップ軸に垂直な方向であって、かつラケット面に垂直な方向からラケットフレーム1の表面に加速度計46を設置する。また、インパルスハンマ43による打撃も、図9の矢印49に示す方向(グリップ軸に垂直な方向であって、かつラケット面に垂直な方向)から行なう。なお、インパルスハンマ43による打撃位置は、図8に示した場合と同様に、ラケットフレーム1の軸方向において複数箇所設ける。なお、いずれの場合にもグリップ部には打撃位置を設けない。
【0070】
このような装置構成において、以下のように測定を行なった。
まずインパルスハンマ43によってラケットフレーム1の所定の打撃位置を打撃する。そして、この打撃によるラケットフレーム1の振動(変形)の経時変化を、加速度計46により時系列のデータとして測定する。そして、当該測定結果をFFTアナライザ41により解析することで、固有振動数を測定した。なお、当該測定結果はコンピュータ40において表示/記録される。
【0071】
ここで、インパルスハンマ43、加速度計46、シグナルコンディショナ42、TFTアナライザ41については、それぞれPCB PIEZOTRONICS.INC.の型式208A04、PCB PIEZOTRONICS.INC.の型式352A21、PCB PIEZOTRONICS.INC.の型式483A、株式会社 小野測器の型式DS−9110という装置を用いた。
【0072】
また、上記ラケットフレームについて、実打試験を行なった。この実打試験では、複数(20名)の中上級プレーヤ(高校、大学、社会人)を対象にして、実際に、実施例1〜5及び、比較例1〜14のラケットフレームを用いて実戦に則した試合形式の打撃練習を行い、その際、プレーヤが体感したコントロール性、面安定性、打球感等の評価を行った。また、特にオフセンター位置での打撃時におけるコントロール性能および高い打点でのボールの打撃時でのラケットの安定性については、独立した項目として評価を行なった。上述した試験の結果を以下の表に示す。
【0073】
(結果)
【0074】
【表2】

【0075】
表2は、上述した一次曲げ固有振動数の測定結果および振動数比(面外方向での一次曲げ固有振動数/面内方向での一次曲げ固有振動数)の計算結果を示す表である。表2からわかるように、実施例1〜5については当該振動数比が0.84〜0.93という数値範囲内に入っており、また面内方向での一次曲げ固有振動数が124Hz以上130Hz以下という数値範囲に入っている。一方、比較例1〜14の試料については、当該振動数比がほとんど1前後の値となっており、また面内方向での一次曲げ固有振動数はほとんどが120Hz以下となっている。
【0076】
【表3】

【0077】
表3は、上述した実打試験の結果を閉めす表である。表3からわかるように、実施例1〜5については、いずれも各項目において良好な評価を得た。一方、比較例1〜14については、個別の項目については部分的に良好な評価を得たものもあったが、特にオフセンター位置での打撃時におけるコントロール性能および高い打点でのボールの打撃時でのラケットの安定性については低い評価であった。
【0078】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0079】
この発明は、ダブルシャフト構造を有するソフトテニス用のラケットフレームに有利に適用される。
【符号の説明】
【0080】
1,101 ラケットフレーム、2 ガット、3,103 打球面、4,104 打球部、5,105 スロート領域、6,106 シャフト部、7,107 グリップ部、8 境界端部、9 上端部、10,110 分岐点、11,11a,111 ボール、12 外周縁、13,113 グリップエンド部、14 ヨーク部、15 スロート領域フレーム、16,47〜49 矢印、17 狭幅部、40 コンピュータ、41 FFTアナライザ、42 シグナルコンディショナ、43 インパルスハンマ、44 吊り下げ台、45 紐、46 加速度計。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
打球部と、シャフト部と、グリップ部とから構成され、且つ前記シャフト部が二股状に分岐するスロート領域を有して成るラケットフレームにおいて、
前記ラケットフレームの全長Lが、680mm以上710mm以下であり、
前記打球部の面積が485cm以上550cm未満の範囲内に設定され、
前記シャフト部の長さMが、前記全長Lの0.268倍以上0.352倍以下の範囲内に設定され、
前記スロート領域の長さMaが、前記全長Lの0.05倍以上0.147倍以下の範囲内に設定され、
前記スロート領域を構成する左右一対のスロート部における面外方向幅SWaの最小値が12mm以上18mm以下の範囲内にあり、
前記面外方向幅SWaの最小値を示す領域における前記スロート部の面内方向幅SWbが、前記最小値の0.788倍以上1.5倍以下に設定され、
前記スロート領域の上端側で前記左右一対のスロート部同士を接続し、前記打球部の一部を構成するヨーク部は、面外方向幅が最も狭くなっている狭幅部を有し、
前記ヨーク部の狭幅部における面外方向幅をYWa、前記ヨーク部が前記スロート部に接続される領域におけるヨーク部端部の面外方向幅をYWaeとしたとき、YWaに対するYWaeの比(YWa/YWae)が0.36以上0.65以下の範囲に設定されている、ラケットフレーム。
【請求項2】
打球部と、シャフト部と、グリップ部とから構成され、且つ前記シャフト部が二股状に分岐するスロート領域を有して成るラケットフレームにおいて、
前記ラケットフレームの全長Lが、680mm以上710mm以下であり、
前記打球部の面積が550cm以上615cm未満の範囲内に設定され、
前記シャフト部の長さMが、前記全長Lの0.241倍以上0.327倍以下の範囲内に設定され、
前記スロート領域の長さMaが、前記全長Lの0.05倍以上0.133倍以下の範囲内に設定され、
前記スロート領域を構成する左右一対のスロート部における面外方向幅SWaの最小値が12mm以上18mm以下の範囲内にあり、
前記面外方向幅SWaの最小値を示す領域における前記スロート部の面内方向幅SWbが、前記最小値の0.788倍以上1.5倍以下に設定され、
前記スロート領域の上端側で前記左右一対のスロート部同士を接続し、前記打球部の一部を構成するヨーク部は、面外方向幅が最も狭くなっている狭幅部を有し、
前記ヨーク部の狭幅部における面外方向幅をYWa、前記ヨーク部が前記スロート部に接続される領域におけるヨーク部端部の面外方向幅をYWaeとしたとき、YWaに対するYWaeの比(YWa/YWae)が0.36以上0.65以下の範囲に設定されている、ラケットフレーム。
【請求項3】
打球部と、シャフト部と、グリップ部とから構成され、且つ前記シャフト部が二股状に分岐するスロート領域を有して成るラケットフレームにおいて、
前記ラケットフレームの全長Lが、680mm以上710mm以下であり、
前記打球部の面積が615cm以上680cm未満の範囲内に設定され、
前記シャフト部の長さMが、前記全長Lの0.216倍以上0.301倍以下の範囲内に設定され、
前記スロート領域の長さMaが、前記全長Lの0.05倍以上0.118倍以下の範囲内に設定され、
前記スロート領域を構成する左右一対のスロート部における面外方向幅SWaの最小値が14mm以上20mm以下の範囲内にあり、
前記面外方向幅SWaの最小値を示す領域における前記スロート部の面内方向幅SWbが、前記最小値の0.788倍以上1.5倍以下に設定され、
前記スロート領域の上端側で前記左右一対のスロート部同士を接続し、前記打球部の一部を構成するヨーク部は、面外方向幅が最も狭くなっている狭幅部を有し、
前記ヨーク部の狭幅部における面外方向幅をYWa、前記ヨーク部が前記スロート部に接続される領域におけるヨーク部端部の面外方向幅をYWaeとしたとき、YWaに対するYWaeの比(YWa/YWae)が0.36以上0.65以下の範囲に設定されている、ラケットフレーム。
【請求項4】
打球部と、シャフト部と、グリップ部とから構成され、且つ前記シャフト部が二股状に分岐するスロート領域を有して成るラケットフレームにおいて、
前記ラケットフレームの全長Lが、680mm以上710mm以下であり、
前記打球部の面積が680cm以上745cm未満の範囲内に設定され、
前記シャフト部の長さMが、前記全長Lの0.193倍以上0.277倍以下の範囲内に設定され、
前記スロート領域の長さMaが、前記全長Lの0.05倍以上0.103倍以下の範囲内に設定され、
前記スロート領域を構成する左右一対のスロート部における面外方向幅SWaの最小値が14mm以上20mm以下の範囲内にあり、
前記面外方向幅SWaの最小値を示す領域における前記スロート部の面内方向幅SWbが、前記最小値の0.788倍以上1.5倍以下に設定され、
前記スロート領域の上端側で前記左右一対のスロート部同士を接続し、前記打球部の一部を構成するヨーク部は、面外方向幅が最も狭くなっている狭幅部を有し、
前記ヨーク部の狭幅部における面外方向幅をYWa、前記ヨーク部が前記スロート部に接続される領域におけるヨーク部端部の面外方向幅をYWaeとしたとき、YWaに対するYWaeの比(YWa/YWae)が0.36以上0.65以下の範囲に設定されている、ラケットフレーム。
【請求項5】
前記ヨーク部の前記狭幅部における前記面外方向幅YWaが、前記スロート部における面内方向幅SWbの0.5倍以上0.88倍以下の範囲内に設定されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のラケットフレーム。
【請求項6】
打球部と、シャフト部と、グリップ部とから構成され、且つ前記シャフト部が二股状に分岐するスロート領域を有して成るラケットフレームにおいて、
前記ラケットフレームの全長Lが、680mm以上710mm以下であり、
前記打球部の面積が485cm以上550cm未満の範囲内に設定され、
前記シャフト部の長さMが、前記全長Lの0.268倍以上0.352倍以下の範囲内に設定され、
前記スロート領域の長さMaが、前記全長Lの0.05倍以上0.147倍以下の範囲内に設定され、
前記スロート領域を構成する左右一対のスロート部における面外方向幅SWaの最小値が12mm以上18mm以下の範囲内にあり、
前記面外方向幅SWaの最小値を示す領域における前記スロート部の面内方向幅SWbが、前記最小値の0.788倍以上1.5倍以下に設定され、
前記スロート領域の上端側で前記左右一対のスロート部同士を接続し、前記打球部の一部を構成するヨーク部は、面外方向幅が最も狭くなっている狭幅部を有し、
前記狭幅部における前記面外方向幅YWaが、前記スロート部における面内方向幅SWbの0.5倍以上0.88倍以下の範囲内に設定されている、ラケットフレーム。
【請求項7】
打球部と、シャフト部と、グリップ部とから構成され、且つ前記シャフト部が二股状に分岐するスロート領域を有して成るラケットフレームにおいて、
前記ラケットフレームの全長Lが、680mm以上710mm以下であり、
前記打球部の面積が550cm以上615cm未満の範囲内に設定され、
前記シャフト部の長さMが、前記全長Lの0.241倍以上0.327倍以下の範囲内に設定され、
前記スロート領域の長さMaが、前記全長Lの0.05倍以上0.133倍以下の範囲内に設定され、
前記スロート領域を構成する左右一対のスロート部における面外方向幅SWaの最小値が12mm以上18mm以下の範囲内にあり、
前記面外方向幅SWaの最小値を示す領域における前記スロート部の面内方向幅SWbが、前記最小値の0.788倍以上1.5倍以下に設定され、
前記スロート領域の上端側で前記左右一対のスロート部同士を接続し、前記打球部の一部を構成するヨーク部は、面外方向幅が最も狭くなっている狭幅部を有し、
前記狭幅部における前記面外方向幅YWaが、前記スロート部における面内方向幅SWbの0.5倍以上0.88倍以下の範囲内に設定されている、ラケットフレーム。
【請求項8】
打球部と、シャフト部と、グリップ部とから構成され、且つ前記シャフト部が二股状に分岐するスロート領域を有して成るラケットフレームにおいて、
前記ラケットフレームの全長Lが、680mm以上710mm以下であり、
前記打球部の面積が615cm以上680cm未満の範囲内に設定され、
前記シャフト部の長さMが、前記全長Lの0.216倍以上0.301倍以下の範囲内に設定され、
前記スロート領域の長さMaが、前記全長Lの0.05倍以上0.118倍以下の範囲内に設定され、
前記スロート領域を構成する左右一対のスロート部における面外方向幅SWaの最小値が14mm以上20mm以下の範囲内にあり、
前記面外方向幅SWaの最小値を示す領域における前記スロート部の面内方向幅SWbが、前記最小値の0.788倍以上1.5倍以下に設定され、
前記スロート領域の上端側で前記左右一対のスロート部同士を接続し、前記打球部の一部を構成するヨーク部は、面外方向幅が最も狭くなっている狭幅部を有し、
前記狭幅部における前記面外方向幅YWaが、前記スロート部における面内方向幅SWbの0.5倍以上0.88倍以下の範囲内に設定されている、ラケットフレーム。
【請求項9】
打球部と、シャフト部と、グリップ部とから構成され、且つ前記シャフト部が二股状に分岐するスロート領域を有して成るラケットフレームにおいて、
前記ラケットフレームの全長Lが、680mm以上710mm以下であり、
前記打球部の面積が680cm以上745cm未満の範囲内に設定され、
前記シャフト部の長さMが、前記全長Lの0.193倍以上0.277倍以下の範囲内に設定され、
前記スロート領域の長さMaが、前記全長Lの0.05倍以上0.103倍以下の範囲内に設定され、
前記スロート領域を構成する左右一対のスロート部における面外方向幅SWaの最小値が14mm以上20mm以下の範囲内にあり、
前記面外方向幅SWaの最小値を示す領域における前記スロート部の面内方向幅SWbが、前記最小値の0.788倍以上1.5倍以下に設定され、
前記スロート領域の上端側で前記左右一対のスロート部同士を接続し、前記打球部の一部を構成するヨーク部は、面外方向幅が最も狭くなっている狭幅部を有し、
前記狭幅部における前記面外方向幅YWaが、前記スロート部における面内方向幅SWbの0.5倍以上0.88倍以下の範囲内に設定されている、ラケットフレーム。
【請求項10】
面内方向の一次固有振動数に対する面外方向の一次固有振動数の比が0.75以上0.95以下に設定されたことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のラケットフレーム。
【請求項11】
前記面内方向の一次固有振動数が、120Hz以上150Hz以下の範囲内に設定されたことを特徴とする請求項10に記載のラケットフレーム。
【請求項12】
打球面と直交する方向から投影した前記スロート領域の外周縁が形成する曲率半径が、30mm以上210mm以下の範囲内に設定されたことを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載のラケットフレーム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−261914(P2009−261914A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−71952(P2009−71952)
【出願日】平成21年3月24日(2009.3.24)
【出願人】(000005935)美津濃株式会社 (239)