説明

ラット膵島の分離方法

【課題】機能的な膵島を高収量でラットから効率的に分離する方法、および機能的なバイオ人工膵臓用ラット膵島を提供する。
【解決手段】ラット膵島の分離方法であって、a)該ラットのファーター乳頭部を完全にクランプし、総胆管から膵管を介して膵臓にコラゲナーゼを注入する工程、b)膵臓摘出の前に腹部大動脈を尾側で切開して失血させる工程、およびc)膵臓を摘出し、膵島を分離する工程を含む方法、ならびに該分離方法により得られたバイオ人工膵臓用ラット膵島。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機能的なラット膵島の分離方法に関する。詳細には、膵島の分離において、ファーター乳頭部を完全にクランプし、膵臓にコラゲナーゼを注入する工程および膵臓摘出前に失血させる工程を含むラット膵島の分離方法に関する。
【背景技術】
【0002】
国際糖尿病連合(IDF)は、世界の糖尿病患者数は2億3000万人以上で、有病率は成人の全人口の6%に相当すると発表している(非特許文献1参照)。今後20年間に3億5000万に増加すると予測されており、糖尿病は21世紀最大の医療問題になると警告している。増加が著しいのは2型糖尿病であるが、1型の糖尿病も増加しており、特に途上国の糖尿病の増加は深刻である。
【0003】
近年の糖尿病治療の進歩として、膵、膵島移植がインスリン療法に変わる治療として期待されている。膵、膵島移植は生体の微妙な血糖の変動に合わせたインスリン分泌の自己調節が可能であり、糖尿病の理想的な治療である。膵島移植とは、膵臓から分離した膵島を経門脈的にレシピエントの肝臓内に移植する方法である。膵移植と膵島移植を比較すると、膵島移植は複雑な手術手技を必要とせず、膵外分泌腺による合併症がないことから、より魅力的な治療であると考えられる。2000年にカナダのアルバーター大学から膵島移植患者7例中7例のインスリン離脱を認めたことが報告され、膵島移植が世界的に非常に注目を集めるようになった(非特許文献2参照)。このエドモントンプロトコールの発表以来、全世界で1999年から2005年までの間に約400例の膵島移植が施行され、良好なレシピエントのQOLが報告されている。一方で、この移植治療の成功とは裏腹に深刻なドナー膵の不足という問題も浮上してきたことも事実である。これに加え、膵島移植は長期の免疫抑制剤の使用を必要とし、それによる様々な合併症の危険性もある(非特許文献3および4)。これらの問題を解決するため、様々な研究が続けられているが、その一つとして、バイオ人工膵臓の開発があげられる。
【0004】
バイオ人工膵臓(bioartificial pancreas;BAP)とは、血糖応答性のインスリン分泌細胞を被包することにより構成されるデバイスである。BAPデバイス内で、隔壁となる半透膜により被包されたインスリン分泌細胞は膜を介して酸素と栄養の供給がなされ、グルコース濃度に反応してインスリンを分泌する。この際、該半透膜(免疫隔離膜)は、細胞が生存するのに必要な酸素、栄養素、グルコースといった物質は通過するが、免疫反応に関与する細胞、抗体、補体は通過できない設計となっているため、ブタなどの異種動物膵島やインスリン分泌細胞株を使用することができる。つまり、該免疫隔離膜は、異種タンパクやウイルスを遮断することで患者を感染から守り、また使用する異種膵島や株化アロ細胞株に対しては宿主からの免疫防護のバリアーとなる。したがって、同種膵島に限定されないため、膵島移植のドナー不足を解決できる可能性がある。低侵襲な膵島移植に際しても、肝内血腫、門脈血栓症、出血などの合併症が少なからず報告されているため、BAPは、こうした膵島移植における諸問題の解決に対しても大きな可能性を秘めている。
【0005】
また、ヒト以外の動物では、驚くことに、こうしたヒト糖尿病と類似した病態が犬においても起こっている。犬の糖尿病罹患率は0.5〜1%である。国内のペット犬の数は1200万頭(2006年推計)であることから、糖尿病罹患犬は6万〜12万頭と推測される。家族の一員として共存している伴侶動物である犬とヒトの絆を保つためにも糖尿病犬の適切な治療法の開発は重要である。また、近年Dog Yearと称され、犬の1年がヒト7年の相当することから、ヒトへのデータの信憑性を評価するために犬での治療成績を還元し、治療法や新規薬物のヒト応用へのスピード化が検討されている。犬糖尿病治療に向けたバイオ人工膵臓BAPの開発を目指すに当たり、どれくらいの膵島が必要か検討したところ、10Kgビーグル犬から摘出された膵臓の大きさは28gで、イヌ膵島が15000個であった。
【0006】
一方、膵島の分離に関しては、膵臓摘出後の膵臓からの膵島分離については、膵島分離回路中の溶存酸素濃度を高める方法(特許文献1参照)など、種々の方法が検討されているが、膵臓摘出時の工程を検討した例は特に報告されていない。
【0007】
ラットの膵島を効率的に回収するには、膵臓摘出時にいかに取り残しなく膵臓を他の臓器から剥離できるかということが重要であるが、膵臓はその境界がわかりにくく、摘出時に出血させてしまったり、膵臓自体に傷害をあたえてしまったりして、十分に回収できていないのが現状であった。
【0008】
【非特許文献1】http://www.dm-net.co.jp/calendar/2006/09/004396.php
【非特許文献2】N Engl J Med 343(4): 230-238, 2000.
【非特許文献3】J Pediatr Gastroenterol Nutr 33: 445-449, 2001
【非特許文献4】Dermatol Surg 30: 628-633, 2004.Surgery 121: 1-9, 1997.
【特許文献1】特開2007−195573号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、より機能的な膵島を効率良く得ることができる膵島の分離方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、前記課題に鑑み鋭意検討した結果、膵島の分離にあたり、膵臓を摘出する前工程において十分に膵臓に酵素を注入することにより、より機能的な膵島を効率的に得ることができることを見出し、本発明を完成させた。
【0011】
すなわち、本発明は、ラット膵島の分離方法であって、
a)該ラットのファーター乳頭部を完全にクランプし、総胆管から膵管を介して膵臓にコラゲナーゼを注入する工程、
b)膵臓摘出の前に腹部大動脈を尾側で切開して失血させる工程、および
c)膵臓を摘出し、膵島を分離する工程
を含む方法に関する。
【0012】
前記本発明の膵島の分離方法において、a)工程のコラゲナーゼ注入を0.5〜1.5ml/秒の速度で行なうことが好ましい。
【0013】
本発明の膵島の分離方法において、ラットの体重が400g以上であることがより好ましい。
【0014】
本発明は、前記膵島の分離方法により得られたバイオ人工膵臓用ラット膵島にも関する。
【発明の効果】
【0015】
本発明の分離方法により、体重400gのラット一頭から機能的な膵島を最大数2000個も分離することができる。これは、ラット膵島の1個あたりのサイズが犬膵島の一個あたりのそのサイズよりも3倍大きいことを考慮すると、Islet Equivalent(IEQ)の概念(直径150mmの球状の膵島を標準として、それよりも大きな膵島はより多くのインスリン分泌能を有しているし、それよりも小さな膵島はより少ないインスリン分泌しかできないというので、ただ膵島の数だけでなく、一個の大きさを考慮した考えである)から、イヌ膵島の6000個(イヌ1頭分の膵島は約15000個)に相当するものであり、ラット3頭でイヌ1頭の糖尿病の治療が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明は、ラット膵島の分離方法であって、a)該ラットのファーター乳頭部を完全にクランプし、総胆管から膵管を介して膵臓にコラゲナーゼを注入する工程、b)膵臓摘出の前に腹部大動脈を尾側で切開して失血させる工程、およびc)膵臓を摘出し、膵島を分離する工程を含む方法に関する。
【0017】
本発明の分離方法においては、ファーター乳頭部を完全にクランプすることにより、コラゲナーゼを総胆管から膵管の末端まで十分に注入することができ、それにより膵臓の全域に酵素を均一に行き渡らせることができる。
【0018】
本発明の分離方法においては、膵臓摘出の前に腹部大動脈を切開して失血させることにより膵臓摘出時の視野を十分に確保することができ、膵臓を周辺組織から剥離し切開する際に膵臓自体を傷つけ酵素が漏出するといった問題点を克服することができる。
【0019】
本発明で用いるラットは、性別、種類など特に限定されるものではないが、実際の糖尿病の治療への適用を考慮すれば、SPFラットが好ましい。SPFラットとは、特定病原微生物のない状態(Specific Pathogen Free)で生育されたラットのことであり、SPFラットでは、ラットの指定病原体が陰性である。
【0020】
また、実験に用いるラットとしては、200〜250g程度の体重のものを使用するのが一般的であるが、本発明においては、ラットの体重は重いほど良く、400g以上が好ましい。400g以下では膵島の外縁を取り巻いている被膜が十分に発達しておらず、コラゲナーゼで消化した際に膵島細胞に障害が出ことにより、得られる膵島の収量が低下する傾向がある。体重が大きくなる程、膵島の外縁を取り巻いている被膜が良く発達しているので、コラゲナーゼで消化した際に膵島細胞に障害性がなくなり、分離できる膵島細胞の数も多くなる傾向があり好ましい。
【0021】
「ファーター乳頭部」とは、肝臓で作られる消化酵素である胆汁と、膵臓で作られる消化酵素である膵液との腸管内への出口部分を意味する。
【0022】
ファーター乳頭部のクランプは、総胆管の拡張と続くコラゲナーゼ注入の効率のため完全に行なわなければならない。このクランプが不完全であると、コラゲナーゼ注入の際にファーター乳頭部から十二指腸の方に薬液が流れてしまい、膵管へのコラゲナーゼの流入が不良となり、膵臓の消化不良の原因となり、最終的には膵島分離の効率の低下につながる。
【0023】
コラゲナーゼの注入は、0.5〜1.5ml/秒が好ましく、約1ml/秒がより好ましい。0.5ml/秒より遅いと十分に隅々までコラゲナーゼが行き渡らない傾向があり、1.5ml/秒より速いと圧がかかり過ぎて胆管などが損傷したりサーフローが抜け落ちたりして、結果として収量が低下する傾向がある。
【0024】
使用するコラゲナーゼとしては、特に限定されるものではないが、Liberase RI(ロッシュ社製)およびCollagenase typeXI(シグマ社製)などが使用できる。
【0025】
つぎに、膵臓摘出の前に腹部大動脈を尾側で切開してラットを失血させる必要がある。この処置を行なうことにより、膵臓摘出の際にしばしば認められる膵臓周辺からの出血を防ぐことができる。膵臓周辺に出血があると、膵臓と他の臓器との境が不明瞭となって、膵臓を摘出する際に傷つけてしまう結果となり、一旦、膵臓を傷つけるとその障害部位から注入した酵素のコラゲナーゼが漏出して、その後の膵臓の消化がうまくいかず、膵島の収量が低下する傾向がある。
【0026】
また、膵臓の摘出にあたっては、周辺臓器から丁寧に膵臓の境界を剥離し、大網なども残さないことが重要である。当該処置が不充分だと後の膵臓の消化の工程で脂肪が多く含まれる結果となり、最終的な膵島の収量が低下する傾向がある。
【0027】
ここで、本発明の方法を具体的に説明する。
【0028】
ラットを呼吸がやや浅くなる程度に麻酔し、腹部を切開する。この際、できるだけ尾側から正中の腹部を切開し、側腹部を肋弓下まで切り上げて、可能な限り頭側に切開した皮膚を牽引する。ここでしっかり展開することで、肝臓が引き続く施行する実験の妨げにならない視野が確保できる。
【0029】
つぎに、ラットの十二指腸1を同定し、総胆管2を確認する。総胆管は透見できるが糸の用に細い構造物である(図1、矢印で走行を示す)。これを尾側にたどるとファーター乳頭部3を確認することができる。ファーター乳頭部を完全にクランプ(挟む操作のこと)する。ラットの向きを頭尾反対方向にして、左右の胆管から総胆管となった直下(できるだけ頭側の胆管)で絹糸5を通してカニュレーション後のサーフロー6固定のための準備を行う。この際、膵臓よりで結紮してしまうと、膵臓を損傷する危険性があり、この操作をできるだけ頭側(肝臓より)で行うことにより、カニュレーションに失敗しても再度、膵臓よりの総胆管を切開してカニュレーションをやり直すことができる。確実に胆管であることを確認するため、マイクロ尖刀で総肝管を切開して胆汁が出てくることを確認する。サーフローを半分ほど挿入して先の絹糸5で固定する(図2)。そして、コラゲナーゼを注入し、コラゲナーゼが膵尾部にまで十分入っていること、および脾臓周辺まで膨化していることを確認する。
【0030】
再度、ラットの体位を頭尾反対にして、膵臓の摘出を開始する。その際に、前もって、腹部大動脈を尾側で切開してラットを失血死させる。当該処置にて、引き続き施行する膵臓摘出の際に認められる膵臓周囲からの出血を防ぐことができ、きれいに膨張して花が咲いたようになった膵臓7(図3、矢印で周辺組織との境界を示す)を周囲組織(大腸、小腸、脾臓、胃8、十二指腸1および後腹膜)から剥離し摘出できる(図4)。大網がくっついてくるが、周辺臓器から丁寧に膵臓の境界を剥離する。
【0031】
摘出した膵臓の消化、膵島の分離および浄化は、従来の方法を使用することもできるが、本発明の分離方法では、膵臓摘出までに特定の工程を経ることにより、従来よりも簡単な方法で膵島を分離および浄化することができる。
【0032】
その具体的内容は、例えば、以下のとおりである。
(1)摘出した膵臓および冷コラゲナーゼ溶液を入れたコニカルチューブを37℃の恒温槽で静置、湯浸することにより膵臓を消化する。
(2)その後、直ちに冷却した血清含有培養液、たとえば冷ハンクス平衡塩溶液(HBSS)+10%FBSを混入し、コニカルチューブを氷冷してコラゲナーゼを不活性化する。
(3)コニカルチューブを激しく振盪する。
(4)消化した膵組織の懸濁液をピペッターで400μm程度のフィルターを通して、ビーカーに吹き付けるように注ぐ。
(5)濾過された溶液をコニカルチューブに回収する。
(6)冷HBSSを加え、ピペッターを用いてよく混和し、4℃、1000rpmの条件で遠心、洗浄を計数回施行する。
(7)密度勾配遠心比重液、たとえばFicollを用い、密度勾配遠心分離により膵島を分離する。
(8)回収した膵島をコニカルチューブへ注ぎ、血清含有培養液、たとえばHBSS+10%FBSを加え、遠心・洗浄を計数回行う。
(9)ペレットを培養液で攪拌し培養皿に移す。
(10)顕微鏡下でスポイトを用いて膵島をピックアップすることで純化を行う。純化後、得られた膵島の形態評価および生存率評価を行う。
【0033】
図5は、本発明により得られた膵島のジチゾン(Dithizone)染色による形態評価を示しており、形態も球形で縁辺がスムーズで綺麗な膵島9が確認できる。図6は、本発明により得られた膵島のLIVE/DEAD Viability Kit(モレキュラー プローブス(Molecular Probes)社製)による生存率(viability)の評価を示しており、緑色に呈色した膵島9が確認できる。
【0034】
分離膵島の生理機能を検査する方法としては、形態学的検査項目として下記4項目を5段階(1〜5点)評価する方法が挙げられる(文献:Matsumoto S.ら、Transplantation, 2002; 74: 1414参照)
【0035】
1.形状(shape):
「扁平(flat):1点」、「ほぼ扁平:2点」、「いびつな球状:3点」、「ほぼ球状:4点」、および「球状(spherical):5点」の5段階評価する。この中では、「球状:5点」が最も好ましい。
【0036】
2.辺縁の形状(border):
「不ぞろいの(irregular):1点」、「ほぼ不ぞろいの:2点」、「やや均整のとれた:3点」、「ほぼ均整のとれた:4点」、および「均整のとれた(well-rounded):5点」の5段階評価する。この中では、「均整のとれた:5点」が最も好ましい。
【0037】
3.統合性(integrity):
「断片化した(fragmented):1点」、「ほぼ断片化した:2点」、「ややソリッド/コンパクト:3点」、「ほぼソリッド/コンパクト:4点」、および「ソリッド/コンパクト(solid/compact):5点」の5段階評価する。この中では、「ソリッド/コンパクト:5点」が最も好ましい。
【0038】
4.直径(diameter):
「膵島の個々が100μm未満(all<100μm):1点」、「膵島の個々が100〜150μm:2点」、「膵島の個々が125〜175μm:3点」、「膵島の個々が150〜200μm:4点」、および「膵島の個々中10%以上が200μmより大きい(>10%>200μm):5点」の5段階評価する。その中では、「膵島の個々中10%以上が200μmより大きい:5点」が最も好ましい。
【0039】
5.染色の均一性(uniformity staining):
「均一ではない(not uniform):1点」、「ほぼ均一でない:2点」、「やや均一:3点」、「ほぼ均一:4点」および「完全に均一(perfectly uniform):5点」の5段階評価する。その中では、「完全に均一:5点」が最も好ましい。
【0040】
本発明のラット膵島は、形態学的には、形状が3点以上、辺縁の形状が3点以上、統合性が3点以上、直径が3点以上、染色の均一性が3点以上、評価値の合計が15点以上であることが好ましく、形状が4点以上、辺縁の形状が4点以上、統合性が4点以上、直径が4点以上、染色の均一性が4点以上、評価値の合計が20点以上であることがより好ましく、形状が5点、辺縁の形状が5点、統合性が5点、直径が5点、染色の均一性が5点、評価値の合計が25点であることが最も好ましい。
【0041】
上記検査項目において、形状が「扁平」とは細胞を楕円状の球体とみなした際に、長軸/短軸比が10以上であることを示し、「ほぼ扁平」とは前記長軸/短軸比が5以上10未満であることを示し、「いびつな球状」とは前記長軸/短軸比が2以上5未満であることを示し、「ほぼ球状」とは前記長軸/短軸比が1.2以上2未満であることを示し、「球状」とは前記長軸/短軸比が1.2未満であることを示す。
【0042】
辺縁の形状が「不ぞろいの」とは膵島の辺縁の9割以上がでこぼこしており滑らかさを欠いた辺縁であることを示し、「ほぼ不ぞろいの」とは膵島の辺縁の5割以上〜9割未満が不ぞろいであることを示し、「やや均整のとれた」とは膵島の辺縁の2割以上〜5割未満が不ぞろいであることを示し、「ほぼ均整のとれた」とは膵島の辺縁の1割以上〜2割未満が不ぞろいであることを示し、「均整がとれた」とは膵島の辺縁の1割未満が不ぞろいであることを示す。
【0043】
統合性が「断片化した」とは膵島の中にくびれがあるものが全体の8割以上であることを示し、「ほぼ断片化した」とは膵島の中にくびれがあるものが全体の6〜8割であることを示し、「ややソリッド/コンパクト」とは膵島の中にくびれがあるものが全体の4〜6割であることを示し、「ほぼソリッド/コンパクト」とは膵島の中にくびれがあるものが全体の2〜4割であることを示し、「ソリッド/コンパクト」とは膵島の中にくびれがあるものが全体の2割以下であることを示す。
【0044】
直径について、「膵島の個々が100μ未満」とは膵島個々の直径が全て100μm未満であることを示し、「膵島の個々が100〜150μm」とは膵島個々の直径が100〜150μmの範囲であることを示し、「膵島の個々が125〜175μm」とは膵島個々の直径が125〜175μmの範囲であることを示し、「膵島の個々が150〜200μm」とは膵島個々の直径が150〜200μmの範囲であることを示し、「膵島の個々中10%以上が200μmより大きい」とは膵島個々中10%以上が200μmより大きいことを示す。
【0045】
本発明のラットから分離された膵島を充填したバイオ人工膵臓を製造する場合、不織布などのスキャフォールドを使用することで膵島を三次元培養することが好ましい。近年、スキャフォールド上で細胞を三次元培養することでより生体内環境に近い条件を作ることができ細胞機能が向上することが知られてきており、不織布などのスキャフォールド上で膵島を培養することが機能の向上に有効である。また、膵島を高分子素材で作製したデバイス中に封入して免疫系から隔離した状態で生着させることが可能なため、バイオ人工膵臓を使用する患者の身体的負担が軽減される。したがって、本発明のバイオ人工膵臓は21世紀の糖尿病治療における中心的役割を果たすものとして期待される。
【0046】
バイオ人工膵臓としては、中空糸型のリアクター(デバイス)と分離・培養細胞を組み合わせたハイブリッド型の人工膵臓などが挙げられる。バイオ人工膵臓は、体外に装着して血管に接続するもの、体内に留置して血管に接続するもの、または血管に接続せずに腹腔内に留置するものの、血管に接続せず皮下に留置する4つの形態がある。本発明の膵島は、いずれの形態のバイオ人工膵臓にも使用可能であるが、任意に膵島を注入したり、取り出したりすることが可能であるように細胞注入口が装備されたものが好ましい。また、任意にリアクターを取り出せると言う点から皮下埋め込み体内型であることが好ましい。
【0047】
バイオ人工膵臓の開発においては、リアクターの設計・開発も重要な要素である。バイオリアクターとしては、体内に留置して使用するバッグ型人工膵臓(たとえば、Nature biotechnology, Volume24, No.11, pp1412 - 1419(Published online: 05 November 2006 | doi:10.1038/nbt1257)参照。以下「SG文献」と言うこともある。当業者であれば、SG文献を参照することで、バッグ型人工膵臓を製造することが可能である。)、サーシ バイオメディカル社(Circe Biomedical Inc.)(レキシントン、マサチューセッツ州、米国)の支援下でシダーズサイナイ医療センター(Cedars-Sinai Medical Center)(ロサンジェルス、カリフォルニア州、米国)のディメトリュー(Demetriou)らを中心としたブタ肝細胞を用いたバイオ人工肝臓治療用のヘパトアシスト(HepatAssist)(J Hepatobiliary Pancreat Surg 2001; 8: 1-15.)や、ブタ肝細胞を使用したドイツのゲルラック(Gerlach)らのMELS(モジュラー体外肝臓システム(Modular Extracorporeal Liver System))など、様々なタイプが知られている。これらのリアクターは、もちろん本発明において使用することができるが、膵島が付着するための足場が無いため、細胞はただ単に、中空糸内スペースか、中空糸外スペースに充填されるのみで浮遊した状態となる傾向がある。膵島は、浮遊状態では周りの細胞と衝突し、ストレス刺激を受けやすい。
【0048】
したがって、本発明においては、膵島に足場が提供できるよう、中空糸と不織布などのスキャフォールドからなるリアクターが好ましい。
【0049】
中空糸膜としては、膜表面に細胞が付着して物質交換が妨げられることがなければどのようなものでも使用することができ、具体的には、従来医療用に用いられている市販の物、たとえば、ポリスルフォン膜、エチレン−ビニルアルコール共重合体膜(たとえば、商品名:エバール、クラレメディカル株式会社製など)などが好ましい。市販の中空糸膜のポアサイズは、その用途から透析膜(〜5nm)、血漿成分分離膜(20〜30nm)、血漿分離膜(30〜200nm)などがある。物質の透過性の点からは、血漿分離膜(30〜200nm)が好ましい。拒絶反応の危険性を回避するため、中空糸内を流れる血液中の免疫担当細胞や免疫グロブリンが中空糸外の不織布などのスキャフォールド上に充填した細胞と直接接触することがないよう、30nm〜100nmのポアサイズが最も好ましい。
【0050】
不織布としては、細胞が接着することが出来るように加工・修飾されているものが好ましい。不織布の線維としては、ポリ四フッ化エチレン(PTFE)、高密度ポリエチレン(HDPE)などが挙げられる。なかでも、その加工のしやすさの点から、高密度ポリエチレンにポリアミノ酸ウレタン(PAU)加工を施したものPAU加工HDPEが好ましい。また、自己組織化ペプチドハイドロゲル、たとえば、株式会社スリーディー・マトリックス・ジャパンより市販されている、アミノ酸配列Ac−(RADA)4−CONH2を有する自己組織化ペプチドゲルPuraMatrix(登録商標)にて表面加工することも可能である。
【0051】
本発明の膵島細胞を使用するためのバイオ人工膵臓の概略図を図7に示す。バイオ人工膵臓は、免疫担当細胞の透過を阻止するための中空糸膜12、細胞接着のための不織布13、膵島9を注入する細胞注入口10および蓋11を備える。不織布13が中空糸膜14に覆われた2層構造となっている(図7)。膵島9は不織布に付着して存在し、バイオ人工膵臓内部に留まることが可能である。このバイオ人工膵臓を体内に埋め込むと、中空糸膜12の周囲に血管が伸びてきて、バイオ人工膵臓内の細胞の栄養供給が可能となる。2層のバイオリアクターは、注入された膵島と中空糸膜の周囲に誘導された血管がより近くに位置するため、血糖値のコントロールが容易となるため好ましい。なお、当該人工膵臓は、「SG文献」を参照することにより当業者であれば作製することが可能である。
【0052】
バイオリアクターに膵島を充填させる方法としては、例えば、バイオリアクターをあらかじめ体内に埋め込んでおき、その後膵島を充填させる方法がある。バイオリアクターが、バック型である場合、バック型バイオリアクターをあらかじめ体内に埋め込んでおき、バイオリアクターの周辺に血管が伸長してから、膵島をバイオリアクターに充填させる方法が好ましい。いずれの場合も、膵島の充填には、膵島懸濁液を10〜50mlの注射器を使用して、リアクターに装着されている膵島注入口より注入することが好ましい。
【0053】
本発明のバイオリアクターはまた、有用物質生産、組織や器官・臓器の機能の調査・探索、新薬のスクリーニングや内分泌撹乱物質等の影響を評価するための動物実験代替法等にも好適に適用できる。
【0054】
本発明のバイオ人工膵臓は、例えば、膵島に本来備わっている産生成分であるインスリンの製造に使用することができる。インスリンの製造は、得られた培地をアフィニティーカラムなど、通常タンパク質の精製に使用される方法によって精製することにより行なうことができる。
【0055】
以下、実施例によって、本発明の分離方法をさらに詳細に説明するが、本発明はその趣旨と適用範囲を逸脱しない限りこれらに限定されるものではない。
【実施例】
【0056】
実施例1
(1)膵臓の摘出
ラット(Lewis、体重400〜420g、n=10、日本チャールス・リバー株式会社より入手)に、エーテルの吸入麻酔により呼吸がやや浅くなる程度に麻酔を行なった。ラットの、できるだけ尾側から正中の腹部を切開し、側腹部を肋弓下まで切り上げて、可能な限り頭側に切開した皮膚を牽引し、視野を確保した。つぎに、ラットの十二指腸1を同定し、総胆管2を確認し(図1)、これを尾側にたどりファーター乳頭部3を確認した。ファーター乳頭部3を小モスキートケリー鉗子4で完全にクランプした。ラットの向きを頭尾反対方向にして、左右の胆管から総胆管となった直下(できるだけ頭側の胆管)に3−0絹糸5を通してカニュレーション後のサーフロー6固定のための準備を行なった。マイクロ尖刀で総胆管を切開して胆汁が出てくることを確認した後、クランプにより拡張した総胆管2に、サーフロー(24ゲージ)6を半分ほど挿入して先の3−0絹糸5で固定した(図2)。サーフロー6から膵管へ濃度0.23mg/mlのコラゲナーゼ溶液(Liberase RI、ロッシュ社製)を8〜10ml注入した(注入速度1ml/秒)。コラゲナーゼ溶液が膵尾部にまで十分に入っていること、および脾臓周辺まで膨化していることを確認した。
【0057】
再度、ラットの体位を頭尾反対にして、腹部大動脈を尾側で切開してラットを失血死させた。その後、きれいに膨張して花が咲いたようになった膵臓7(図3)を周囲組織(大腸、小腸、脾臓、胃8、十二指腸1、及び後腹膜)から剥離し摘出した(図4)。
【0058】
大網がくっついてくるが、周辺臓器から丁寧に膵臓の境界を剥離した。
【0059】
(2)膵臓の消化と膵島の分離
摘出した膵臓と濃度0.23mg/mlのコラゲナーゼ溶液(Liberase RI、ロッシュ社製)5mlを50mlのコニカルチューブに入れ、37℃の恒温槽で30分間静置、湯浸した。その後、直ちに10mlの冷HBSS+10%FBS(CANSERAインターメディカル社製 、トロント、オンタリオ州、カナダ)を混入し、コニカルチューブを氷冷してコラゲナーゼを不活性化した。20秒間コニカルチューブを激しく振盪し、消化した膵組織の懸濁液を50mlピペッターで400μmのフィルターに通し、ビーカーに吹き付けるように注いだ。濾過された溶液を50mlコニカルチューブに入れ、ビーカーを冷HBSSで洗い、これも回収した。冷HBSSを加え総量で50mlとし、10mlのピペッターを用いてよく混和し、4℃、1000rpm、1分の条件で遠心した。ペレットを回収し、洗浄・遠心を合計2回行なった。25%Ficoll(GEヘルスケア社製、カタログ番号17-0300-50)を8mlを加えて、ペレットとなっている膵島をピペッティングしながら溶かした。その後、23%、20%、11%のFicollをそれぞれ5mlずつゆっくり加えた。1500rpm(400g)で20分間遠心した。ピペットを使って20%レーヤーに位置する膵島を取り出し、50mlのコニカルチューブに移した。当該膵島をピペッターにて総量10mlほど吸引しながら回収し、50mlコニカルチューブへ注ぎ、HBSS+10%FBSを加え総量40mlとし4℃、1000rpm、1分の条件で遠心した。ペレットを回収し、洗浄・遠心を合計2回行なった。ペレットを10mlのCMRL−1066(ギブコ(Gibco)社製)で攪拌し10cmの培養皿に移した。Stereomicroscope Stemi DV4顕微鏡(ツァイス(Zeiss)社製、ドイツ)下にスポイト(1ml用)を用いて膵島をピックアップすることで純化を行なった。
【0060】
純化後、ジチゾン染色による形態評価、LIVE/DEAD Viability Kit(モレキュラー プローブス(Molecular Probes)社製)による生存率の評価を行なった。
【0061】
結果は、1頭のラットから平均2063個の膵島を得ることができた。
【0062】
比較例1
体重400〜420gのラット5頭を用い、ファーター乳頭部を完全にクランプしていない以外実施例1と同様の方法で膵島を分離した。
【0063】
結果は、1頭のラットから平均640個の膵島しか得ることができなかった。
【0064】
比較例2
体重400〜420gのラット5頭を用い、膵臓摘出前に失血死させていない以外は実施例1と同様の方法で膵島を分離した。
【0065】
結果は、1頭のラットから平均616個の膵島しか得ることができなかった。
【0066】
試験例1:形態学的評価
実施例1で得られた膵島についてジチゾン染色を施し形態学的に評価を行なった。染色した膵島の写真を図5に示す。実施例1の膵島9は、形態も球形で縁辺がスムーズで綺麗であった。
【0067】
結果は、1.形状が「球状:5点」、2.辺縁の形状が「均整のとれた:5点」、3.統合性が「ソリッド/コンパクト:5点」、4.直径が「培養膵島の個々中10%以上が200μmより大きい:5点」、5.染色の均一性が「完全に均一:5点」であり、評価値の合計が25点であった(図5参照)。
【0068】
また、膵島の生存率をLIVE/DEAD Viability Kitを用いて検討したところ、ほぼ100%の生存率であった(生細胞は緑色を、死細胞は赤色を呈する)(図6参照)。
【0069】
ラット3頭から分離した膵島数は、犬1頭の膵臓から摘出した膵島数に匹敵する。よって、当該ラット膵島を免疫隔離作用を有するバイオ人工膵臓デバイスに注入して、糖尿病犬を治療することが可能であると考えられる。
【0070】
試験例2:バイオ人工膵臓の評価
使用したバイオ人工膵臓のリアクターを図8に示す。バイオ人工膵臓は膵島を注入する細胞注入口10、蓋11、免疫担当細胞の透過を阻止するためのエチレン−ビニルアルコール共重合体膜(商品名エバール、クラレメディカル社製、ポアサイズ:30nm)14、細胞接着のためのPAU加工HDPE不織布15からなる(図8)。また、リアクターの蓋部分は注射針を刺し細胞を出し入れすることができる細胞充填用ポートに加工されている。
【0071】
実施例1にて、得られた3000個のラット膵島を各々計3個の二層式のバック(リアクター)に充填して培養を7日間施行し、培養液中へ分泌されるインスリン量をRat Insulin ELISA kit(メルコディア(Mercodia)社)を使用して測定した。使用した培養液は、CMRL 1066+10%FBS+1%ペニシリン/ストレプトマイシンである。
【0072】
結果を図9に示す。実施例1で得られたラット膵島は、バイオ人工膵臓として、1日目から7日目までほとんど変わらず十分なインスリン量を分泌した。
【0073】
試験例3:バイオ人工膵臓の評価
培養期間を35日間とした以外は、試験例2と同様にしてバイオ人工膵臓の評価を行なった。
【0074】
結果を図10に示す。培養14日間でインスリン分泌量は半減したが、その後培養28日まで維持された。膵島を充填していない対照群(図10の陰性対照)では、一切、インスリン分泌は認めなかった。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】腹部を切開したラットの腹部内の写真である。頭部が上側である。十二指腸1および総胆管2が確認できる。矢印は総胆管の走行を示すものである。
【図2】本発明の方法にしたがって、ラットのファーター乳頭部を小モスキートケリー鉗子4で完全にクランプし、総胆管に通した3−0絹糸5により総胆管に挿入したサーフローを固定している状態の写真である。頭部は下側である。
【図3】本発明の方法にしたがって、膵臓にコラゲナーゼを十分に注入し、腹部大動脈より失血させたラットの膨張した膵臓を示す写真である。矢印で周辺組織との境界を示す。
【図4】本発明の方法にしたがって、ラットの膵臓を周辺組織から摘出した後のラット腹部の写真である。周辺組織も傷ついておらず、きれいに膵臓が摘出されたことがわかる。
【図5】ジチゾン染色された本発明にしたがって分離されたラット膵島9を示す写真である。
【図6】生細胞を緑色、死細胞を赤色に染色するLIVE/DEAD Viability Kitを用いて染色した、本発明にしたがって分離されたラット膵島9を示す写真である。すべての膵島が緑色に呈色している。
【図7】本発明で使用したバイオ人工膵臓の概略図であり、(a)が斜視図、(b)が(a)のX−Y断面図である。バイオ人工膵臓は膵島9を注入する細胞注入口10、蓋11、免疫担当細胞の透過を阻止するための中空糸膜12、細胞接着のための不織布13からなる。
【図8】(a)は、本発明で使用したバイオ人工膵臓の一実施態様を示す写真である。バイオ人工膵臓は、膵島を注入する細胞注入口10、蓋11、免疫担当細胞の透過を阻止するためのエチレン−ビニルアルコール共重合体膜(商品名エバール、クラレメディカル社製)14、細胞接着のためのPAU加工したHDPE不織布15からなる。(b)および(d)は、それぞれ、エバール14およびPAU加工HDPE不織布15の表面の顕微鏡写真であり、(c)および(e)は、エバール14およびPAU加工HDPE不織布15の断面の顕微鏡写真である。
【図9】培養1日目〜14日目までの、本発明の膵島を充填したバイオ人工膵臓のインスリン分泌量を示すグラフである。
【図10】培養7日目〜35日目までの、本発明の膵島を充填したバイオ人工膵臓のインスリン分泌量を示すグラフである。膵島を充填していないバイオ人工膵臓の結果を陰性対照として示す。
【符号の説明】
【0076】
1 十二指腸
2 総胆管
3 ファーター乳頭部
4 小モスキートケリー鉗子
5 3−0絹糸
6 サーフロー
7 膵臓
8 胃
9 膵島
10 細胞注入口
11 蓋
12 中空糸膜
13 不織布
14 エチレン−ビニルアルコール共重合体膜
15 PAU加工HDPE不織布

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラット膵島の分離方法であって、
a)該ラットのファーター乳頭部を完全にクランプし、総胆管から膵管を介して膵臓にコラゲナーゼを注入する工程、
b)膵臓摘出の前に腹部大動脈を尾側で切開して失血させる工程、および
c)膵臓を摘出し、膵島を分離する工程
を含む方法。
【請求項2】
前記a)工程のコラゲナーゼ注入を0.5〜1.5ml/秒の速度で行なう請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記ラットの体重が、400g以上である請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の分離方法により得られたバイオ人工膵臓用ラット膵島。

【図7】
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【図9】
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【図10】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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