説明

ラップフィルム

【課題】ラップフィルムの利便性を高める。
【解決手段】樹脂を主体とする材料からなるフィルム本体と、フィルム本体の両縁部にそれぞれ設けたテープ部とを備えたラップフィルムである。テープ部は、フィルム本体より肉厚寸法が大きく、フィルム本体の外面側に備えられかつフィルム本体より熱収縮率が小さい樹脂材料からなることが望ましい。別に開示するラップフィルムは、フィルム本体と、フィルム本体の一方の縁部に設けた第一テープ部と、フィルム本体の他方の縁部に設けた第二テープ部とを備え、第一テープ部の表面に粘着層を有すると共に、第一テープ部と第二テープ部とが互いに貼着剥離できる。フィルム本体の両縁に粘着テープを配しても良い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラップフィルムに係り、特に、食品包装用のラップフィルムの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、家庭内において食品や食材を保存したり電子レンジで加熱するときにこれらを覆うラップフィルムが広く利用されている。かかるラップフィルムは、一般にポリ塩化ビニリデンなどの薄手の樹脂フィルムからなり、ロール状に巻かれて包装箱に収容され提供される。使用にあたっては、ロールから適当な長さを引き出し、包装箱に備えられた切断刃で切断して使用される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、かかるラップフィルムは、包装箱については例えばラップを引き出しやすくし或いは引き出したラップが切りやすくなるように従来から改良が加えられているが、フィルム自体については基本的に旧来から構造が変わっておらず、下記の点でラップフィルムの利便性を更に向上させる余地がある。
【0004】
第一に、包装箱から引き出し切断した後におけるラップの扱い辛さの点である。ラップは上記のようにロール状に巻かれて包装箱に収容されており、使用にあたってはロールから適当な長さを引き出し、包装箱に備えられた切断刃で切断して使用される。ところが、ラップは非常に薄くて柔らかく(腰がない)、しかも互いに付着しやすいから、ロールから引き出して切断すると、よれてラップ同士がくっついてしまったり、縁部が折れ曲がって二つ折りになるなど包装箱から取り出した後には扱い難い面がある。
【0005】
第二に、電子レンジを使用するときの問題である。食器に入れた食品を電子レンジで加熱する場合、加熱中に食材や汁などがレンジ内に飛び散ることを防ぐため、食器の上面開口をラップで塞いで加熱を行うことが一般に行われている。このような場合、従来のラップは密着性が高く、加熱後に食器の周囲表面にラップが貼り付いて剥がし難い。特に、ガラス容器や表面が平滑な陶磁器に食品を入れて加熱する場合には、ラップが食器の表面にぴったりと貼り付いて、加熱後には内容物と共に食器の表面が非常に熱くなっていることとも相まってラップを剥がすことは容易ではない。また、このように食器に隙間なくラップを被せて密閉してしまうと、加熱に伴う水蒸気の発生や内容物の熱膨張により、被せたラップが破裂して食材や汁がレンジ内に飛び散るおそれもある。
【0006】
さらに、ラップフィルムの用途を広げることが出来れば、その需要を増大することが出来ると考えられる。具体的には、例えばカップ麺やカップスープなどカップ状の樹脂容器に食材を収納した即席食品への使用である。このようなカップ入りの食品は、蓋裏面に金属フィルムが使用されているなどの理由から一般に電子レンジの使用は出来ず、調理するには別途、湯を沸かさなければならない煩わしさがある。また電子レンジと比べ、やかんで湯を沸かすよりほうが一般に時間もかかる。
【0007】
一方、このような即席食品について、カップの蓋を取り外してカップ内に水を入れ、蓋の代わりにラップを被せてレンジで加熱すれば、湯を沸かす煩雑さを回避することが可能とも考えられる。しかしながら、カップ麺などの容器は一般にラップが付き難く(殆ど付かないものも少なくない)カップ上面にラップを単にふわりと載せたに過ぎない状態となるから、レンジへの出し入れ作業時や、レンジ内での加熱調理中にラップがずり落ちたり飛んでしまって使い勝手が良いとは言えない。
【0008】
さらに食品や食材保存に使用される包装フィルム材として、左右両縁が閉じられた袋状の樹脂フィルムをロール状に巻いた食品包装用フィルムが近年提供されている。この種のフィルムは、冷凍保存から電子レンジ加熱まで対応可能な温度耐性を備えたものもあり、使用にあたっては、上記ラップフィルム同様に適当な長さだけ引き出して切断し、袋状に形成された2枚のフィルムの間に食品や食材を入れた後、フィルムの長さ方向の端部を専用の装置で閉塞して食品を包装する。
【0009】
ところが、この種のフィルム材では、上記のようにフィルム端部を閉じるための専用の装置が必要であって簡便性に欠け、当該専用装置ならびにフィルム自体もラップフィルムと比べて高額で十分普及するには至っていないのが現状である。
【0010】
またこのようなフィルム材は、家庭内に限らず、飲食店や食料品・食材を取り扱う各種の店舗・事業所等においても同様に使用されており、上記のような諸問題が生じ得る。
【0011】
したがって、本発明の目的は、以上のような問題を解決し、ラップフィルムの利便性を更に向上させる点にある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決し目的を達成するため、本発明に係る第一のラップフィルムは、樹脂を主体とする材料からなるフィルム本体と、当該フィルム本体の長さ方向に延在するように当該フィルム本体の両縁部にそれぞれ設置したテープ部とを備える。
【0013】
本発明の第一のラップフィルム(以下、単にラップと言うことがある)では、ラップの左右両縁部にテープ部を備えるから、包装箱からラップフィルムを引き出したときに、縁部がよれたり皺になったり、あるいは互いにくっ付いてしまうような不具合が生じることを防ぐことが出来る。また、テープ部の設置によりラップの縁部が肉厚になるから、この部分を手で持って食材や食器に被せることが出来るなど包装箱から引き出して切断した後にもラップの扱いを容易にすることが出来る。さらに、電子レンジで加熱した後にも、本発明のラップは縁部にテープ部を備えるから、ラップを開けやすい(例えば食器の周面から剥がしやすくなる)。
【0014】
また、上記テープ部は、重りの機能を果たして例えば食器内に食品を入れて電子レンジで加熱するときに当該食器の開口をラップで良好に塞ぐことを可能とする。具体的には、例えば上部が開口した食器に食品や食材を入れて電子レンジで加熱する場合に、本発明のラップによれば、食器の上に単にふわりと被せるだけで(食器の周面にラップをぴったりと密着させなくても)ラップの両縁部にテープ部を備えるから、当該テープ部が重りとなってラップが不用意に飛んでしまうような事態を防ぐことができ、電子レンジへ出し入れするときに、あるいは加熱時に食器を載せたレンジ内のテーブルが回転しても、ラップが外れ難い。
【0015】
特に、前に述べたようなカップ入りの即席食品(例えばカップ麺など)を電子レンジを使って加熱調理する場合に、カップの蓋を取って水を入れ、本発明のラップをふわりと被せるだけでカップの上部開口を塞いで加熱することが出来る。このとき、ラップがカップの周面に密着していないから(ガラスや陶磁器などの食器を使用する場合も同様である)、加熱に伴い発生する水蒸気が適度にカップの外に逃げ、ラップが破裂して食材や汁がレンジ内に飛散するおそれもない。
【0016】
なお、本発明のラップフィルムは、食品および食材以外の物品にも使用することが可能であり、本発明は食品や食材を対象としたラップフィルムに限定されるものではないが、本明細書では、ラップフィルムを適用する物品として食品または食材を例に採って説明する。また、ラッピングする対象として「食品」と言った場合には、食材を除外する意味では勿論なく、食材についても全く同様に本発明を適用することができ、逆に「食材」と言った場合に食品を除外するものでは勿論なく、食品についても全く同様に本発明を適用することが出来ることは当業者に明らかである。
【0017】
上記テープ部は、フィルム本体より肉厚寸法を大きくすることが望ましい。上記のようなラップの扱い並びに重りとしての機能を向上させるためである。
【0018】
また、上記テープ部は、フィルム本体の外面側に備えられ、かつ、フィルム本体より熱収縮率が小さい樹脂材料からなることが好ましい。フィルム本体は加熱に伴い収縮する。このとき、上記テープ部をフィルム本体の上面側に配置しかつ当該フィルム本体より熱収縮率が小さい材料により構成すれば、テープ部およびフィルム本体両材料の熱収縮率の差によって加熱に伴いラップの縁部が弧を描くように湾曲することとなる(後述の図3参照)。そして、このようにラップの縁部が湾曲すれば、ラップが加熱中やレンジから取り出すときにずれ落ちたりレンジ内のターンテーブルの回転や蒸気の噴出し等によって飛んでしまうような事態をより一層確実に防ぐことができ、当該湾曲した縁部に両手をかけて容易にラップを外すことも可能となる。
【0019】
なお、フィルム本体について「外面」とは、ラップを適用する対象物品(例えば食品や食材、食器等)に被せたときに外側となる面を言う。一方、「内面」とは、前記外面の反対側の面であり、対象物品に被せたときに内側となって当該対象物品に接しあるいは面する側の面を言う。
【0020】
また、本発明においてフィルム本体およびテープ部の材料は、特に限定されないが、フィルム本体は、例えばポリ塩化ビニリデンやポリエチレン、ポリプロピレンなどの樹脂により、またテープ部は、例えばアセテートやポリプロピレンなどの樹脂によりそれぞれ構成することが出来る。ただし、これら以外の材料を使用することも可能である。また、これら主原料となる樹脂材料に添加剤、例えば柔軟剤や粘着性付与剤、安定剤(例えば脂肪酸誘導体、脂肪酸エステル、エポキシ化植物油など)などを適宜添加しても構わない。さらに、フィルム本体およびテープ部が、2以上の層からなる積層構造を有していても良い。
【0021】
テープ部は、フィルム本体の長さ方向に断続的に配置された複数の短冊状の短寸テープからなるようにしても良い。このようなラップ構造によれば、上記のようにラップの縁部が全体としてひとつの弧形状に湾曲するのではなく、短寸テープに対応して複数の弧を繋げたように湾曲することとなるから(後述の図6参照)、同様にラップの取り外しを容易にすることが出来るとともに、加熱中に各湾曲した短寸テープの下面側を通じて蒸気が逃げやすくなる。
【0022】
さらに、フィルム本体およびテープ部のうちの少なくともテープ部の少なくとも一方の縁部に切込みを備えても良い。これによれば、レンジで加熱したときにラップが食器の周面に貼り付いてしまうような事態が万一発生したとしても、縁部の切込みからラップを裂いてラップを外すことが出来る。また、食器上面全体を覆うようにラップを被せた後に、上記切込みからラップの一部を裂いて当該食器上面の一部に開口を開けることにより、加熱中により多くの蒸気を外部に逃がすような使用形態を採ることも可能となる。
【0023】
本発明に係る第二のラップフィルムは、樹脂を主体とする材料からなるフィルム本体と、当該フィルム本体の長さ方向に延在するように当該フィルム本体の一方の縁部に設置した第一テープ部と、フィルム本体の長さ方向に延在するように当該フィルム本体の他方の縁部に設置した第二テープ部とを備え、前記第一テープ部は、その表面に粘着層を備え、前記第二テープ部は、前記粘着層を貼着および剥離可能である。
【0024】
かかる第二のラップフィルムは、前述のように食器やカップに被せて使用することも可能であるが、主としてラップ自体により対象物品(例えば食品や食材等)を包んで使用するのに適したものである。具体的には、フィルム本体の上に食品を載せ、上記第一テープ部と第二テープ部とを貼り合わせるようにフィルム本体を折り曲げることにより、当該フィルム本体の上に載せた食品を包み込む。このとき、第一テープ部の粘着層が第二テープ部に貼り付いてフィルム本体内の食品を包装することが出来る。また、この包装状態では、ラップの両端部が閉塞されていないから、例えば電子レンジで加熱する場合に加熱に伴い食品から放出される蒸気を当該ラップの両端部から逃がすことが出来る。
【0025】
一方、当該ラップ端部を例えば数回折り曲げれば、内部の食品を密閉することが可能である。さらに、上記第一テープ部の粘着層は、第二テープ部に対して剥離可能であるから、これを剥がして食品を容易に取り出すことが出来る。また、当該粘着層ないし第二テープ部として反復着脱可能な材料を使用することもでき、このようなラップ構造によれば、繰り返し貼着および剥離が可能であるから、何度も繰り返し使用することが出来る。
【0026】
かかるラップフィルムでは、フィルム本体の長さ方向に沿って延在しかつ第二テープ部に貼り付かない非粘着部を、第一テープ部の外縁部にさらに備えても良い。このような非粘着部を設ければ、上記のように食品を包装した後にラップを開封するときに、当該非粘着部をつまんで容易に開封操作を行うことが出来る。
【0027】
また、フィルム本体の長さ方向に沿って延在しかつ可撓性を有する棒状の芯材を、第一テープ部にさらに備えても良い。
【0028】
このようなラップ構造によれば、棒状の芯材によってラップの縁部(第一テープ部)が支持されるから、食品をフィルム本体に載せた後に第一テープ部を第二テープ部に貼り付けるラッピング作業やこれを開ける開封操作がやりやすくなる。
【0029】
また、当該第二のラップフィルムでは、フィルム本体の幅方向の略中央位置にフィルム本体の長さ方向に沿って延在するよう配した帯状の支持テープ部をさらに備えても良い。
【0030】
この支持テープ部は、フィルム本体に食品を載せ、第一テープ部と第二テープ部とを合わせるようにフィルム本体を2つ折りしてつまんだときに、ラップ内の食品を支持する機能を果たすものである(後述の図13参照)。そして、これを電子レンジのターンテーブルや皿などの上に置いたときにも、支持テープ部によって食品を良好に保持することが可能となる。
【0031】
本発明の第三のラップフィルムは、樹脂を主体とする材料からなるフィルム本体と、当該フィルム本体の長さ方向に延在するように当該フィルム本体の一方の縁部に設置した第一粘着テープ部と、前記フィルム本体の長さ方向に延在するように当該フィルム本体の他方の縁部に設置した第二粘着テープ部とを備える。
【0032】
本発明の第三のラップフィルムでは、ラップの両縁部に粘着部を備えている。したがって、前記第二のラップと同様に(1)ラップの両縁を合わせるようにして食品を包装することも出来るし、(2)ラップを一定の長さに切って方形にした後にフィルム本体に食品を載せ、一方の縁部をラップの一方の端部に重ねて三角形となるように食品を包装することもでき(後述の図14〜図15参照)、さらに(3)ラップの両端部同士を合わせるように食品を包装することも可能である(後述の図16〜図17参照)。このように第三のラップフィルムによれば、各種の包装形態を採ることが出来るから、様々な形状・大きさの食品により柔軟に対応することが可能となる。
【0033】
さらに当該第三のラップフィルムでは、第二粘着テープ部に貼り付かない非粘着部を第一テープ部の外縁部に備えると共に、第一粘着テープ部に貼り付かない非粘着部を第二テープ部の外縁部に備えるようにしても良い。前記第二のラップと同様に、開封操作を容易にするためである。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、ラップフィルムの利便性を更に向上させることが出来る。
【0035】
本発明の他の目的、特徴および利点は、図面に基づいて述べる以下の本発明の実施の形態の説明により明らかにする。尚、各図中、同一の符号は、同一又は相当部分を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
〔実施形態1〕
図1から図3は、本発明の第一の実施の形態に係るラップフィルムを示すものである。これらの図に示すようにこのラップフィルム11は、食品を包装可能な肉薄の樹脂フィルムからなるフィルム本体12と、このフィルム本体12の左右両縁部にそれぞれ設置したテープ部13,14とからなる。
【0037】
なお、図1ではラップフィルム11の長さ方向(図1の上下方向)の一部についてのみ示しているが、本実施形態ならびに後述の各実施形態のフィルムは図示したよりも長尺であり(図の上下方向に連続している/後述の実施形態に関する図4,図7,図8,図10,図11,図12,図14,図16,図18及び図21についても同様)、製品として提供する場合には例えばこれをロール状に巻いて提供する。より具体的には、本実施形態に係るラップフィルム11は、例えば数十センチメートル程度の一定の幅を有すると共に、数メートルから数十メートルの長さを有して、従来提供されている食品包装用ラップフィルムと同様にこれを円筒状の芯の周りにロール状に巻いて包装箱に収納して提供することが出来る。使用にあたっては、適用する食品の形状・サイズに合わせて適当な長さに切って使用すれば良い。
【0038】
一方、このように長尺のフィルムとして提供するのではなく、一定の長さに予め切断(又は成形)したラップフィルム(例えば縦横共に十数センチメートル程度の寸法としたフィルム)として提供することも可能である。例えば、前に述べた即席食品(カップ麺など)に付属させて(電子レンジ加熱用のフィルムとして)提供するような利用形態が考えられる。この場合には、カップの上面を覆うことが出来る程度の長さの短寸のフィルムとして提供すれば良い。なお、フィルムの寸法や提供形態はこれらに限定されるものではない。
【0039】
テープ部13,14は、フィルム本体12より厚さ寸法が大きく、フィルム本体12の上面側に設置する(図2参照)。テープ部13,14のフィルム本体12に対する固定方法は、例えば接着剤によっても良いし、熱溶着その他の方法によることも可能である。
【0040】
フィルム本体12は、例えばポリ塩化ビニリデンにより構成する。またこれに添加剤、例えば柔軟剤や粘着性付与剤、安定剤(脂肪酸誘導体、脂肪酸エステル、エポキシ化植物油など)などを適宜添加しても良い。一方、テープ部13,14は、例えばアセテートにより構成する。なお、フィルム本体12およびテープ部13,14についてこれら以外の材料を使用することも可能である。
【0041】
ただし、フィルム本体12とテープ部13,14の各材料を選択する場合には、テープ部13,14の熱収縮率がフィルム本体12の熱収縮率より小さくなるように材料選択を行うことが好ましい。このようにすれば、例えば図3に示すように、食品の入ったカップ1に被せて(テープ部13,14が外側になるようにしてラップフィルム11を被せる)電子レンジを使用して加熱する場合に、熱収縮率の差から加熱に伴いラップ11の縁部がカール(湾曲)してカップ1を包み込むように変形するから、ラップ縁部のテープ部13,14が重りとなることと相まってラップ11をカップ1に被せただけでもラップ11が不用意に外れることを防ぐことが出来るからである。加熱後には、カールしたラップ11の縁部(テープ部13,14の設置部分)に手をかけて容易にラップ11を外すことが出来る。
【0042】
〔実施形態2〕
上記テープ部13,14は、連続したものではなく、図4および図5に示すように断続的に配置したものであっても良い。この実施形態(第二実施形態)に係るラップフィルム21では、フィルム本体12の両縁部に配した各テープ部13,14を、フィルム本体12の長さ方向に配列した複数の短寸テープ13a,14aにより形成した。このような複数の短寸テープ13a,14aによりテープ部13,14を構成すれば、前記実施形態のようにカップ1に被せて電子レンジで加熱した場合に、図6に示すようにラップ縁部に各短寸テープ13a,14aに対応した複数のアーチが形成され、これらのアーチを通じてカップ1内の蒸気がカップ1の外に逃げやすくなる。
【0043】
さらに本実施形態では、図7に示すようにフィルム本体12の両縁に(片縁でも良い)切欠部(切込み)15を形成しておいても良い。このような切込み15を備えれば、カップ1(又は他の食器を使用する場合には当該食器)の周面にフィルム本体12が貼り付いてしまったときにも、当該切込み15からフィルム本体12を裂いてラップ11を外すことが出来る。また、当初(加熱前)からカップ1の周面にラップ11を密着させた場合にも、ラップ端部の切込みを使ってフィルム本体12を裂いてカップ上面を被覆するフィルム本体12の一部を取り除くことによりカップ上面に開口を形成することができ、当該開口を形成してからレンジで加熱するようにすれば当該開口から蒸気を逃がすことが出来る。
【0044】
なお、図7の例では、隣接する短寸テープ13a,13a(14a,14a)の間に切込み15を設けたが、短寸テープ13a,14aの設置位置に切込み15を形成しても良く、さらに、前記第一実施形態(図1)や後述の各実施形態のラップにおいても、同様の切込みを設けることも可能である。また、切込み15の形状は、図示の例では三角形状としたが、他の形状、例えば直線形状(フィルム本体ないしテープ部の縁を単に切断しただけ)その他としても良い。
【0045】
〔実施形態3〕
図8から図9は、本発明の第三の実施形態に係るラップフィルムを示すものであり、本実施形態を含め、以降の実施形態に係るラップフィルムは、前記実施形態のように食器等に被せて使用することも可能であるが、ラップ自体で食品を包装するのに好適なフィルムである。具体的には、図8に示すように本実施形態に係るラップフィルム31は、前記実施形態と同様にフィルム本体12の両縁部にテープ部を備えるものであるが、一縁部のテープ部が表面に粘着層を備えた粘着テープ34からなり、他縁部のテープ部が当該粘着テープ34を繰り返し貼着および剥離が可能な非粘着テープ(アセテートを主材料とする樹脂テープ)33からなる。
【0046】
食品2を包装するには、例えば図8に示すようにフィルム本体12の上に食品2を載せた後、ラップの幅方向の略中央(図8に一点鎖線で示す)を中心として2つにフィルム本体12を折るように重ね合わせて粘着テープ34と非粘着テープ33とを貼り合わせれば、図9に示すように食品2を包装することが出来る。
【0047】
またこのとき、ラップ31の両端部(図9の上下端部)は粘着テープ34により密封されていないから、そのまま電子レンジで加熱しても当該両端部から蒸気を逃がすことが出来る。一方、加熱を行わず、冷蔵庫で保存するような場合には、ラップ31の両端部を例えば数回折り曲げておけば、食品2がラップ31の端部から飛び出ることを防ぐことが出来る。
【0048】
また本実施形態のラップでは、図10に示すように、粘着テープ34の左右両側部に前記非粘着テープ33と同様のテープ(例えばアセテートテープ)33a,33bを備えておいても良い。このようにすれば、粘着テープ34を備えた側のラップの縁部がよれて(折れ曲がって)粘着テープ34とフィルム本体12とが癒着してしまう(貼り付いてしまう)ことを防ぐことが出来る。言い換えれば、粘着テープ34の左右両側に粘着テープ34と強固に接着することのない(繰り返し貼着・剥離可能な)非粘着テープ33a,33bを備えることで、誤ってラップの一縁部が折れ曲がってしまってもこれを容易に剥がして開くことができ、本来貼り合わせるべきラップ他縁部の非粘着テープ33に粘着テープ34を貼り付けて食品2を包装することが出来る。さらに、粘着テープ34の外側に非粘着テープ33aを備えることで、食品2を包装した後にこれを開封する場合に、当該粘着テープ外側の非粘着テープ33aをつまんで容易に(非粘着テープ33aの設置によりラップの縁同士が密着しない/当該非粘着テープ33aは開封タブの機能を果たす)包装を開封することが出来る。
【0049】
〔実施形態4〕
図11は、本発明の第四の実施形態に係るラップフィルムを示すものである。同図に示すようにこのラップフィルム41は、前記第三の実施形態(図8)に係るフィルムと同様に、フィルム本体12の一縁部に粘着テープ34を、他縁部に非粘着テープ(アセテートテープ)33をそれぞれ備えるものであるが、粘着テープ34の内側(ラップの中心寄り)に棒状の芯材35と、さらにその内側に肉厚の樹脂テープ36を備える。芯材35および樹脂テープ36は、粘着テープ34と同様にラップ41の長さ方向に延びるようフィルム本体12の表面に設置してある。このような芯材35および肉厚の樹脂テープ36を備えれば、粘着テープ34を非粘着テープ33に貼り合わせるラッピング操作がやりやすくなる。
【0050】
〔実施形態5〕
図12から図13は、本発明の第五の実施形態に係るラップフィルムを示すものである。図12に示すようにこのラップフィルム51は、前記第三の実施形態(図8)に係るフィルムにおいて、フィルム本体12の幅方向の中央位置にラップの長さ方向に延びる支持テープ40を設けたものである。この支持テープ40は、フィルム本体12より肉厚の樹脂テープからなる。この樹脂テープ40は、図13に示すようにラップ各縁の粘着テープ34と非粘着テープ33とを貼り合わせて食品2を包み、当該貼り合わせた部分を上方にして皿や電子レンジのターンテーブルに置いたときに、フィルム本体12(柔らかく腰がない)により包装された食品2を安定して支持することを可能とするものである。
【0051】
〔実施形態6〕
図14から図15は、本発明の第六の実施形態に係るラップフィルムを示すものである。図14に示すようにこのラップフィルム61は、前記第三実施形態(図8)のフィルムと同様にフィルム本体12の両縁部にテープ部をそれぞれ備えるが、これらのテープ部を共に粘着テープ34としたものである。
【0052】
このようにフィルム本体12の両縁に粘着テープ34を備えれば、前記第三実施形態のフィルムのように両縁を合わせるようにして食品を包装すること(図9)も可能であるし、切断したラップ61の対角線(図14において一点鎖線で示す)に沿ってフィルム本体12を折り曲げ、図15に示すように三角形状になるようにラップ61を畳んで食品2を包装することも可能となる。図15の包装状態では、粘着テープ34によって内部の食品2を密封することが出来る。一方、これを例えば電子レンジで温める場合には、当該三角形状のラップ61の両角部を切って(図15において一点鎖線で示す)密封を解けば良く、こうすることにより当該切断したラップ角部から加熱に伴い発生する蒸気をラップ外へ逃がすことが可能となる。
【0053】
〔実施形態7〕
図16から図20は、本発明の第七の実施形態に係るラップフィルムを示すものである。図16に示すようにこのラップフィルム71は、前記第六実施形態(図6)のフィルムと同様にフィルム本体12の両縁部に粘着テープ34を有するものであるが、粘着テープ34の両側(ラップ71の中心から見て外側と内側)に非粘着テープ(アセテートテープ)33a,33bを備えている。これらの非粘着テープ33a,33bは、前記図10に基づいて説明したのと同様に、粘着テープ34を備えたラップ71の縁部がよれて(折れ曲がって)粘着テープ34とフィルム本体12とが貼り付いてしまう(癒着する)ことを防ぐと共に、包装の開封を容易にする機能を奏する。
【0054】
このラップ71を使用して食品2を包装するには、例えば図16において一点鎖線で示すようにラップ71の上下方向に関する略中央位置でラップ71を折り返せば、図17に示すように食品2をラッピングすることが出来る。このとき、ラップ71の各縁部の粘着テープ34が2つに折れ曲がって貼り合わせられ、ラップ71の両縁部が閉塞される。一方、ラップ71の端部(図16の上端および下端)は粘着テープ34が存在しないから、例えば電子レンジで加熱した場合に当該部分(図17の上端部)から蒸気を逃がすことが出来る。他方、冷蔵庫で保存するような場合には、当該ラップ端部(図17の上端部)を折り曲げておけば良い。
【0055】
また、長尺の食品(例えば葱や牛蒡のような食材)を包装するには、図18に示すように本実施形態のラップ71を比較的長めに引き出して切断し、同図に一点鎖線で示すように左右の略中央でラップ71を折り返してラップ両縁の粘着テープ34同士を貼り合せるようにして食品2を包装すれば良い(図19参照)。
【0056】
なお、本実施形態のラップ71も、前記第六実施形態のラップと同様に、前記図15に示したように三角形状に折って食品を包装することが出来るし、逆に、前記第六実施形態のラップについても、本実施形態のラップ(図17、図19および図20)のような使用を行うことが可能である。
【0057】
さらに本実施形態のラップ71(他の実施形態のラップについても同様)は、図20に示すようにフィルム本体12の上に水分や油分を吸着できる各種のシート(例えば所謂キッチンペーパー、クッキングシートなど、紙あるいは樹脂などからなるシート材)3を載せ、その上に食品を載せる利用方法を採ることも可能である。このように包装される食品とフィルム本体12との間にシート材3を介在させれば、保存中あるいは加熱調理中に余分な水分や油分を食品から取り除くことが出来る。シート材3はラップ縁部の粘着テープ34を利用して留める(ラップに対して支持させる)ことが出来る。また、当該シート材3を予めフィルム本体12の表面に配した積層構造のラップフィルムを構成することも可能である。
【0058】
〔実施形態8〕
図21は、本発明の第八の実施形態に係るラップフィルムを示すものである。同図に示すようにこのラップフィルム81は、前記第七実施形態(図16)のフィルムと同様に、ラップ81の両縁部に粘着テープ34と非粘着テープ33a,33b,33cとを有するものであるが、粘着・非粘着の各テープを複数本備え、これらを、フィルム本体12の幅方向に交互に配列されるように設置したものである。
【0059】
粘着テープ34と非粘着テープ33a,33b,33cの設置本数は、図示の例では粘着テープが2本、非粘着テープが3本としてあるが、これ以外の本数(粘着テープが例えば3本以上、非粘着テープが例えば4本以上)であっても良い。ただし、ラップ81の最外側と最内側には非粘着テープ(図示の例では符号33a,33bで示す)が配されるようにすることが望ましい。前記第三および第七実施形態で述べたように、ラップ縁部の折れ曲がり(ラップ縁部におけるフィルム本体12と粘着テープ34との癒着)を防ぐと共にラップの開封を容易にするためである。
【0060】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載の範囲内で種々の変更を行うことができることは当業者に明らかである。
【0061】
例えば、ラップフィルム(フィルム本体)の幅寸法ならびに長さ寸法については、現在、数種類のものが提供されているが、これらのいずれの幅のものでも、あるいはそれ以外の寸法のものであっても良い。また、ラップフィルムの用途は、家庭用フィルムに限られず、業務用ないし工業・農業・水産加工業その他の産業用のフィルム材を構成することも可能である。さらに、食品ないし食材以外の物品に使用するフィルムに対して本発明を適用することも可能である。
【0062】
また、前記各実施形態における各テープ部(粘着テープ34、非粘着テープ33a,33b,33c、支持テープ40、肉厚樹脂テープ36)や芯材35は、フィルム本体12と同様に、電子レンジによる加熱に耐え得る耐熱性と、冷凍保存に耐え得る耐冷性を有することが望ましい。この耐熱性および耐冷性は、構成材料の選択・添加剤の添加等により実現することが可能である。ただし、これら耐熱性・耐冷性のいずれか又は双方を欠くものであっても本発明はこれを除外するものではなく、当該フィルムも本発明に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の第一の実施形態に係るラップフィルムを示す平面図である。
【図2】前記第一実施形態に係るラップフィルムの拡大断面図(図1のA‐A矢視拡大断面図)である。
【図3】前記第一実施形態に係るラップフィルムの使用状態の一例を示す図である。
【図4】本発明の第二の実施形態に係るラップフィルムを示す平面図である。
【図5】前記第二実施形態に係るラップフィルムの拡大断面図(図4のB‐B矢視拡大断面図)である。
【図6】前記第二実施形態に係るラップフィルムの使用状態の一例を示す図である。
【図7】前記第二実施形態に係るラップフィルムの変形例を示す平面図である。
【図8】本発明の第三の実施形態に係るラップフィルムを示す平面図である。
【図9】前記第三実施形態に係るラップフィルムの使用状態の一例を示す図である。
【図10】前記第三実施形態に係るラップフィルムの変形例を示す平面図である。
【図11】本発明の第四の実施形態に係るラップフィルムを示す平面図である。
【図12】本発明の第五の実施形態に係るラップフィルムを示す平面図である。
【図13】前記第五実施形態に係るラップフィルムの使用状態の一例を示す図である。
【図14】本発明の第六の実施形態に係るラップフィルムを示す平面図である。
【図15】前記第六実施形態に係るラップフィルムの使用状態の一例を示す図である。
【図16】本発明の第七の実施形態に係るラップフィルムを示す平面図である。
【図17】前記第七実施形態に係るラップフィルムの使用状態の一例を示す図である。
【図18】前記第七実施形態に係るラップフィルムの使用状態の別の一例を示す図である。
【図19】同じく前記第七実施形態に係るラップフィルムの使用状態の別の一例を示す図である。
【図20】前記第七実施形態に係るラップフィルムの使用状態のさらに別の一例を示す図である。
【図21】本発明の第八の実施形態に係るラップフィルムを示す平面図である。
【符号の説明】
【0064】
1 カップ(カップ麺等の即席食品)
2 食品(食材)
3 シート材
11,21,31,41,51,61,71,81 ラップフィルム
12 フィルム本体
13,14 テープ部
15 切込み部
33,33a,33b,33c 非粘着テープ
34 粘着テープ
35 芯材
36 肉厚樹脂テープ
40 支持テープ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂を主体とする材料からなるフィルム本体と、
当該フィルム本体の長さ方向に延在するように当該フィルム本体の両縁部にそれぞれ設置したテープ部と、
を備えたことを特徴とするラップフィルム。
【請求項2】
前記テープ部は、前記フィルム本体より肉厚寸法が大きい
請求項1に記載のラップフィルム。
【請求項3】
前記テープ部は、
前記フィルム本体の外面側に備えられ、かつ、
フィルム本体より熱収縮率が小さい樹脂材料からなる
請求項1または2に記載のラップフィルム。
【請求項4】
前記テープ部は、前記フィルム本体の長さ方向に断続的に配置された複数の短冊状の短寸テープからなる
請求項1から3のいずれか一項に記載のラップフィルム。
【請求項5】
前記フィルム本体および前記テープ部のうちの少なくともテープ部の少なくとも一方の縁部に切込みを備えた
請求項1から4のいずれか一項に記載のラップフィルム。
【請求項6】
樹脂を主体とする材料からなるフィルム本体と、
当該フィルム本体の長さ方向に延在するように当該フィルム本体の一方の縁部に設置した第一テープ部と、
前記フィルム本体の長さ方向に延在するように当該フィルム本体の他方の縁部に設置した第二テープ部と、
を備え、
前記第一テープ部の表面に粘着層を有すると共に、当該第一テープ部と前記第二テープ部とが互いに貼着および剥離可能である
ことを特徴とするラップフィルム。
【請求項7】
前記フィルム本体の長さ方向に沿って延在しかつ前記第二テープ部に貼り付かない非粘着部を、前記第一テープ部の外縁部にさらに備えた
請求項6に記載のラップフィルム。
【請求項8】
前記フィルム本体の長さ方向に沿って延在しかつ可撓性を有する棒状の芯材を、前記第一テープ部にさらに備えた
請求項6または7に記載のラップフィルム。
【請求項9】
前記フィルム本体の幅方向の略中央位置に当該フィルム本体の長さ方向に沿って延在するよう配した帯状の支持テープ部をさらに備えた
請求項6から8のいずれか一項に記載のラップフィルム。
【請求項10】
樹脂を主体とする材料からなるフィルム本体と、
当該フィルム本体の長さ方向に延在するように当該フィルム本体の一方の縁部に設置した第一粘着テープ部と、
前記フィルム本体の長さ方向に延在するように当該フィルム本体の他方の縁部に設置した第二粘着テープ部と、
を備えたことを特徴とするラップフィルム。
【請求項11】
前記第二粘着テープ部に貼り付かない非粘着部を前記第一テープ部の外縁部に備えると共に、
前記第一粘着テープ部に貼り付かない非粘着部を前記第二テープ部の外縁部に備える
請求項10に記載のラップフィルム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2009−107707(P2009−107707A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−283832(P2007−283832)
【出願日】平成19年10月31日(2007.10.31)
【出願人】(502454857)
【Fターム(参考)】