説明

ラテラルフローアッセイの基準としての天然分析物

本発明は、液体被験試料中の分析物の存在を検出するためのラテラルフローアッセイに関する。本ラテラルフローアッセイは、正確に高性能の再現性で液体試料中の標的分析物の有無を検出する能力の改善を示す。これは部分的には、分析物と標識された捕捉試薬との相互作用および結合を妨害する任意の因子の検出を可能にする固定化された非拡散性分析物の基準領域を包含することによる。液体被験試料中で溶解して遊離状態にある分析物とそれと相補的な標識試薬との相互作用および結合が受ける任意の影響は、標識試薬が基準領域を拡散するときに基準領域における固定化分析物と標識試薬との間の結合と平行して遭遇される。一態様において本発明のラテラルフローアッセイは、尿に基づくヒト絨毛性性腺刺激ホルモン(hCG)アッセイである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、免疫クロマトグラフィー法によって液体被験試料中の分析物濃度を決定することに関する。
【背景技術】
【0002】
免疫クロマトグラフィー用ストリップ形式は、目視検出スキームを使用する定性、半定量および定量アッセイにますますよくみられるようになった。この種のイムノアッセイは、免疫クロマトグラフィー用テストストリップの適用ゾーンに、検出すべき分析物を含む疑いのある液体被験試料を適用することを伴う。ストリップはマトリックス材料を含み、液体被験媒質およびそこに懸濁または溶解している分析物は、適用ゾーンから捕捉ゾーンへ毛管現象によってそのマトリックス材料を通過流動でき、捕捉ゾーンでは検出可能なシグナルまたはその不在が分析物の存在を示す。概してストリップは、検出すべき分析物と、検出可能な標識を有するその特異的結合パートナーとが免疫特異的に結合するための手段を含む。米国特許第4446232号に開示されているような一スキームにおいて、ストリップは、分析物に対する酵素標識された可動結合パートナーを含み、その結合パートナーはストリップの試料適用ゾーンから下流のゾーンに存在する。分析物が被験試料に存在するならば、分析物はその標識された結合パートナーと化合して複合体を形成し、その複合体は、酵素標識の存在下で着色応答をもたらす能力のある、酵素標識に対する基質を含有する検出ゾーンまでストリップに沿って流動する。試料中に十分な分析物が存在しないことが原因で、分析物と化合しない標識された結合パートナーを捕捉し、それによって検出ゾーンに達するのを阻害するように分析物が固定化された別のゾーンを、ストリップは含む。この手法の様々な変形が公開されており、その全ては、被験試料中の分析物の有無が、捕捉ゾーンにおける標識された結合パートナーの検出もしくはその欠如によって決定される特異的競合結合系を含んでいる。
【0003】
欧州特許出願EP0462376において、免疫クロマトグラフィー用ストリップの捕捉部位および結合体収集部位でのシグナルを検出し、回収部位でのシグナルに対する捕捉部位でのシグナルの強度によって分析物の濃度を決定する手順が開示されている。これに関して、米国特許第5569608号、第6183972号、および第6436721号も関心対象であり、これらのそれぞれが参照により本明細書に組み入れられる。
【0004】
たいていのラテラルフロー(lateral flow)免疫化学テストは、テストラインから膜の遠位に結合している(着色した粒子に付着した抗体に対する)抗種抗体から概してなる手順対照も備える。着色ラインの出現によって、正確な手順が用いられたことを確認する。このように、手順対照は、試料が加えられ、パッドに乾燥した着色粒子と混ざり、可溶化し、複合体が膜を通過流動した結果として、対照ラインへの着色粒子の結合が生じることを確認する。それから試料はストリップを上方向に移動し続け、抗種IgGの固定バンドを含む対照バンドに達し、対照ラインを作る。
【0005】
製造業者の中には、テストラインと対照ラインの中ほどに位置する基準ラインも提供するものもある。SureStep(商標)hCG Combo(II)妊娠テスト、製品添付説明書、カタログ#6018、Applied Biotech, Inc.、サンディエゴ、カリフォルニア州を参照されたい。基準ラインは、膜のテストラインと対照ラインとの中ほどに一定濃度の別の非特異的免疫グロビンを適用することによって作られる。着色粒子に付着したヒト絨毛性性腺刺激ホルモン(hCG)抗体を含むパッドに、基準免疫グロビンに対する抗体が付着した別の着色粒子を加える。非特異的免疫グロビンの量および着色粒子の濃度を調整し、その結果として妊娠の検出のためのテストラインの感度要求の強度に相当する強度を有する基準ラインを生じさせる。このように、テストラインの強度が基準ラインの強度に等しいか、またはそれよりも大きいことは、妊娠を示す。
【0006】
しかし、例えばpH、タンパク質濃度、およびイオン強度に関して組成が概して非常に一貫している血清試料とは異なり、尿試料は組成がかなり多様である。これらの差は、免疫化学結合に影響を与え、結果の正確さに影響しうる妨害因子を表している。多くの製造業者が、タンパク質含有緩衝液に入れて着色粒子を乾燥させることによって、これらの試料の差のいくつか、例えばpHおよびタンパク質レベルを補正するテストを考案している。しかし、分析物がその相補的な結合試薬と結合するのを妨害することによってラテラルフロー免疫化学テストの正確さに影響を与える追加の妨害因子、例えば尿の比重(SG)が存在する。テストラインの強度と基準ラインの強度との比較は、基準ライン用の免疫化学試薬がテストライン用の試薬と同一であり、比重のような妨害因子における変動によって同程度影響を受けるのでなければほとんど価値をもたない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このように、免疫化学結合の妨害がテスト試薬系と基準試薬系との両系に平行した作用を示すような、テスト試薬系に利用されるのと同様の基準試薬系の必要性が存在する。理想的には、基準領域の強度から観察されるシグナルの強度は、結果のさらに高性能の再現性を保証するようにテスト領域のシグナル強度と平行する。本発明は、この必要性を満たし、その上関連した利点も提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、液体試料中の標的分析物に相補的な拡散性に結合した標識試薬を含有し、かつ拡散性に結合した標識試薬および標的分析物が拡散性の第一複合体を形成する第一領域;第一複合体と複合体を形成する能力のある非拡散性に結合した捕捉試薬を含有するテスト領域;拡散性に結合した標識試薬と相補的である非拡散性に結合した対照試薬を含有する対照領域;および拡散性に結合した標識試薬と複合体を形成する能力のある非拡散性に結合した分析物を含有する基準領域を包含するラテラルフローアッセイに関する。
【0009】
本発明は、液体テスト試料、例えば尿試料中の分析物の存在を検出するためのラテラルフローアッセイを提供する。本ラテラルフローアッセイは、正確に高性能の再現性で液体試料中の標的分析物の有無を検出する能力の改善を示す。これは部分的には、分析物と標識された捕捉試薬との相互作用および結合を妨害する任意の因子の検出を可能にする固定化された非拡散性分析物の基準領域を包含することによる。液体被験試料中で溶解して遊離状態にある分析物とそれと相補的な標識試薬との相互作用および結合が受ける任意の影響は、標識試薬が基準領域を拡散するときに基準領域における固定化分析物と標識試薬との間の結合と平行して遭遇される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明は、液体試料中の分析物の存在を検出するためのラテラルフローアッセイに関する。本ラテラルフローアッセイは、正確に高性能の再現性で液体試料中の標的分析物の有無を検出する能力の改善を示す。これは部分的には、分析物と標識された捕捉試薬との相互作用および結合を妨害する任意の因子の検出を可能にする固定化された非拡散性分析物の基準領域を包含することによる。液体被験試料中で溶解して遊離状態にある分析物とそれと相補的な標識試薬との相互作用および結合が受ける任意の影響は、標識試薬が基準領域を拡散するときに基準領域における固定化分析物と標識試薬との間の結合と平行して遭遇される。
【0011】
一態様において、本発明のラテラルフローアッセイは、尿に基づくアッセイである。血清試料とは異なり、例えばpH、タンパク質含量、およびイオン強度を含めた多様な因子を原因として、尿試料はその組成に変動を示す。これらの因子および他の因子は、尿中に含有される分析物と特定の分析物に相補的な結合パートナーとの間の相互作用に影響を与えうる妨害物を表している。これらの妨害物の中には、アッセイをいかに設計するかに特別な対策をとって原因が分かるものもあれば、例えば尿の比重(SG)における差のような他の妨害因子はラテラルフローアッセイの正確さに影響を与える。
【0012】
本発明により提供されるラテラルフローアッセイは、液体試料中の標的分析物に相補的な拡散性に結合した標識試薬を含有し、かつ拡散性に結合した標識試薬および標的分析物が拡散性の第一複合体を形成する第一領域;第一複合体と複合体を形成する能力のある非拡散性に結合した捕捉試薬を含有するテスト領域;拡散性に結合した標識試薬に相補的な非拡散性に結合した対照試薬を含有する対照領域;および拡散性に結合した標識試薬と複合体を形成可能な非拡散性に結合した分析物を含有する基準領域を包含する。以下にさらに詳細に記載するように、第一領域、テスト領域および対照領域に比べた基準領域の相対位置を当業者に考慮される多様な因子に基づいて選択できる。詳細には、基準領域は第一領域とテスト領域との間に位置しうるし、またその代わりにテスト領域と対照領域との間に位置しうる。
【0013】
本発明により提供されるラテラルフローアッセイは、液体試料中に含有される任意の分析物とその相補的標識試薬との結合に影響する妨害因子の検出を可能にする非拡散性に結合した分析物の基準領域を提供する尿に基づく免疫化学テストでありうる。標的分析物に結合した標識試薬によって形成された移動性第一複合体の一部はテスト領域の捕捉試薬と複合体を形成するが、過剰の移動性標識試薬は基準領域の非拡散性に結合した分析物と結合し複合体を形成する。分析物と相補的標識試薬との結合に影響する特定の液体試料に関連する、本明細書において「妨害物」とも呼ばれる任意の妨害因子は、平行してテスト領域および基準領域に影響する。このように本発明は、テスト領域と同じ妨害因子に供され、比例的に影響される基準領域を提供する。
【0014】
本明細書において使用する「標的分析物」という用語は、被験試料から検出または測定される化合物または組成物を指す。標的分析物は、抗体またはその免疫学的反応性フラグメントが認識できる少なくとも一つのエピトープを有する。標的分析物は、任意の抗原物質、ハプテン、抗体およびその組み合わせでありうる。アッセイにおける対象となる分析物は、例えばタンパク質、ペプチド、アミノ酸、核酸、ホルモン、ステロイド、ビタミン、ポリクローナルおよび/またはモノクローナル抗体を製造できる病原微生物、天然または合成化学物質、汚染物、治療目的で投与される薬物および不法な目的で投与される薬物を含めた薬物、ならびに前記の任意の物質の代謝物または抗体でありうる。検出に適したホルモンの好ましい例は、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)である。本発明によって提供されるラテラルフローアッセイは、多様な標的分析物、例えば卵胞刺激ホルモン(FSH)、黄体形成ホルモン(LH)、淋疾抗原、クラミジア抗原、架橋N−テロペプチド、デオキシプリジノロン(deoxyprydinolone)(Dpd)、HIV抗体および核膜タンパク質−22(NMP−22)の存在をテストできる。
【0015】
本発明の方法を適用できる適切な標的分析物は、特定の結合パートナーを見出すことができる任意のものである。一般に、医学および生物学的に重要なたいていの標的分析物は、それらに対して調製された抗体またはこれらの抗体のフラグメントから特異的結合パートナーを見出すことができる。このように適切な標的分析物には、ホルモン、酵素、リポタンパク質、細菌抗原またはウイルス抗原、免疫グロブリン、リンホカイン、サイトカイン、薬物、可溶性癌抗原などのような任意の可溶性分析物がある。これらの分析物には、プロタミン、ヒストン、ポルフォリル化(porphorylated)タンパク質、核タンパク質のような各種タンパク質、ならびに例えばトランスコルチン、エリスロポイエチン、トランスフェリン、各種グロブリン、チロキシン結合グロブリン、各種サブクラスA、G、D、E、およびMの免疫グロブリン、各種補体因子、フィブリノーゲン、第VIII因子、組織トロンボプラスチンおよびトロンビンのような血液凝固因子のようなその他の各種タンパク質がある。
【0016】
標的にできる分析物にはインスリン、グルカゴン、レラクシン、チロトロピン、ソマトトロピン、ゴナドトロピン、ガストリン、ブラジキニン、バソプレシンおよび各種放出因子のようなホルモンもある。クラミジア(Chlarmydia)、ナイセリア・ゴノレエ(Neisseria gonorrheae)、パスツレラ・デスティス(Pasteurella Destis)、赤痢菌(Shigella dysentereae)およびマイコスポルム(Mycosporum)ならびにアスペルギルス(Aspergillus)のようなある種の真菌からのような広範囲の抗原多糖も決定できる。適切な標的分析物の別の主要群は、他のオリゴヌクレオチドまたはタンパク質標的と特異的に反応するオリゴヌクレオチド配列を含む。
【0017】
本発明の態様において、標識された試薬がアッセイのマトリックスを通過拡散することによって移動するときに液体試料と共に移行することが必須である。このように本ラテラルフローアッセイは、液体試料が毛管現象によって通過流動できるマトリックスを含む。
【0018】
本明細書において使用する「マトリックス」という用語は、ラテラルフローをもたらす能力のある任意の多孔質材料を指す。これには、ニトロセルロース、ポリエステルもしくはセルロースとのニトロセルロースブレンド体、未処理の紙、多孔質紙、レーヨン、ガラス繊維、アクリロニトリル共重合体またはナイロンのような材料がある。当業者はラテラルフローを可能にする、本発明のマトリックスに有用な他の多孔質材料を承知している。概して、マトリックスは被験液が水平に通過流動するストリップの形状であるが、上から下に、またはその反対に被験液が垂直に通過流動できる層状にマトリックスを組み立てることができる。
【0019】
被験液およびそれに含有される分析物が毛管現象によって通過流動できる任意のマトリックス材料からストリップを調製できる。マトリックスは、非吸収性のラテラルフローが可能な材料製でありうる。概してクロマトグラフィー用マトリックスは、クロマトグラフィー用マトリックスの固相の第一端またはその近くに液体試料を適用でき、液体試料が毛管作用によりマトリックスを通過拡散するように長方形の形状でありうる固相を含む。この種の流動は、米国特許第4943522号に液体流動として記載され、そこで液体の全ての溶解成分または分散成分は、実質的に等しい速度および相対的に損なわれていない流動でマトリックスを通過して運搬され、これはマトリックス材料が一つもしくは複数の成分を吸着または吸収可能である場合のように一つまたは複数の成分が選択的に保持されることとは対照的である。そのようなマトリックス材料の例は、高密度もしくは超高分子量ポリエチレンシート材料、または分析物および分析物−抗体結合体の薄層クロマトグラフィー用の媒質に適した他の任意の吸着剤もしくは多孔質材料であり、その例はニトロセルロース、ナイロン、レーヨン、セルロース、紙、シリカまたは不織材料もしくは多孔質合成材料である。クロマトグラフィー用マトリックスを必要に応じて前処理または改変できる。クロマトグラフィー用マトリックスは、出現したシグナルを両側からみられるように透明でありうる。
【0020】
「ラテラルフロー」という用語は、液体の全ての溶解成分または分散成分が実質的に等しい速度および相対的に損なわれていない横方向の流動でマトリックスを通過して運搬される、毛管現象による液体流を指し、これは一つもしくは複数の成分を吸着または吸収可能であるマトリックスで起こる一つまたは複数の成分が選択的に保持されることとは対照的である。
【0021】
本明細書において言及する「拡散性に結合した」という用語は、試薬が付着または含浸しているが、液体試料と共に分散し、ラテラルフローで液体試料により運搬される能力のあることを意味する。本明細書において使用する「非拡散性に結合した」という用語は、液体試料のラテラルフローがマトリックスの別個の領域における固定された試薬の配置に影響しないように支持体に付着された試薬を指す。そのような付着は共有結合的またはイオン的な手段を介しうる。当業者は、様々な試薬に非拡散性に結合させるための付着手段を承知している。
【0022】
本明細書において使用する「標識試薬」という用語は、問題の標的分析物を認識し、それに結合し、目視的手段または計器的手段によって検出可能なシグナルを生成可能な任意の物質と化学的、共有結合的もしくは非共有結合的、イオン的または非イオン的に付着、複合または結合した任意の粒子、タンパク質または分子を指す。標識試薬は、本発明のラテラルフローアッセイの第一領域においてマトリックスに拡散性に結合している。この試薬は、シグナルを生成可能な標識成分を付着している。標識試薬の適切な標識成分には、色原体、触媒、蛍光化合物、コロイド状金属および非金属粒子、色素粒子、酵素または基質、有機ポリマー、ラテックス粒子、シグナル生成物質を有するリポソームなどがある。標識試薬の試薬成分は、分析物を認識する能力のある粒子または分子でありえ、天然または非天然のいずれか、好ましくはモノクローナルもしくはポリクローナル抗体またはそのフラグメントでありうる。本発明の一態様において標識試薬は、金ゾルもしくは染色ポリスチレンマイクロビーズに結合した、hCGまたはhCGのβエピトープに対するモノクローナル抗体でありうる。
【0023】
本明細書において使用する「試料」という用語は、検出のための分析物を含有しうる任意の生物学的試料を指す。好ましくは生物学的試料は、液体の形状であるか、液体に変化しうる。好ましくは、試料は尿試料である。
【0024】
本明細書において使用する「捕捉試薬」という用語は、問題の標的分析物を認識するか、もしくはそれと結合する任意の粒子または分子を指す。捕捉試薬は、標識試薬および試料中の分析物によって形成される第一複合体と結合複合体を形成できる。捕捉試薬は、ラテラルフローアッセイのマトリックスのテスト領域を作る多孔質材料に非拡散性に結合している。捕捉試薬は、多孔質マトリックス材料に非拡散性に結合しているため、液体試料のラテラルフローにより移動しない。捕捉試薬は天然または非天然分子でありえ、特には合成分子である。捕捉試薬が非拡散性に結合しているテスト領域に向けて、第一複合体が液体試料のラテラルフローでいったん拡散すると、捕捉試薬は標識試薬および分析物からなる第一複合体と結合する。本発明の一態様において、標識試薬は、標識試薬により認識されるエピトープとは別個のエピトープを認識した、無傷hCGに対するモノクローナル抗体でありうる。
【0025】
本明細書に記載するように、本発明のラテラルフローアッセイは非拡散性に結合した天然分析物を含む基準領域を含む。基準領域の存在によって、液体試料中で溶解して遊離状態である分析物と、マトリックスの第一領域に固定化された拡散性に結合した標識試薬との間の結合における妨害を検出することが可能になる。非拡散性に結合した天然分析物を含有することによって、基準領域は、分析物と標識試薬との結合に影響する任意の妨害物の存在の間接的な指標として働く。詳細には、試薬系が同一であることから、テスト領域と基準領域との間のシグナル強度は、分析物とその相補的試薬との間の結合で遭遇する妨害の関数として相互に平行する。本明細書に記載するように、高いSGの尿試料は、尿試料が第一領域を通過するときの尿試料中に溶解して遊離状態の分析物と標識試薬との結合、および基準領域に存在する非拡散性に結合した分析物と標識試薬との結合の両方に、同様に影響する。
【0026】
基準領域に非拡散性に結合した分析物の濃度は、使用者に所望の所定の濃度で基準領域に分布しうる。例えば、分析物は目視的または計器的手段のいずれかによってシグナルが依然として容易に検出できる分析物の最小濃度またはカットオフ濃度で分布しうる。本発明の本態様において、目視的または計器的手段のいずれかによってシグナルを決定できる。分析物とそれに相補的な標識試薬との間の結合に任意の妨害物が存在しない場合、標識試薬が基準領域を通過して移動しその領域に存在する非拡散性に結合した分析物と結合する標識試薬の間の結合時に、基準領域にシグナルを予想できる。逆に、標識試薬が基準領域を通過して移動し非拡散性に結合した分析物と結合する結果として検出されるシグナルの不在は、結合を妨害する因子の存在を示す。結合を妨害する因子の存在を確かめる能力は、テスト領域に陽性シグナルが存在しないときに重大であり、同じ妨害因子がテスト領域でシグナル強度に平行した影響を招くと予想される。詳細には、基準領域およびテスト領域の両方におけるシグナルの不在は、偽陰性の結果が得られたおそれがあり、結果の正確さを保証するための確認テストが当然である可能性を使用者に警告する。
【0027】
最小またはカットオフ濃度で分布させること以外に、非拡散性に結合した天然分析物を、特定の反射シグナルを生成するように予め決定された濃度で分布させることもできる。本発明の本態様において、結合を妨害する因子の存在を決定するために、予想されるシグナルと観察されたシグナルとの比を使用できる。観察されたシグナルに対する予想されるシグナルの比が高いほど、分析物およびそれに相補的な試薬の結合を妨害する因子が存在する公算が増える。
【0028】
このように、本発明は分析物の存在を目視的に計装なしに検出できる最小濃度を表す濃度の非拡散性に結合した分析物の基準領域を含むラテラルフローアッセイを提供する。関連する態様において、本発明は、検出可能な標識からのシグナルを測定する能力のある検出器を有する計器によって分析物の存在を検出できる最小濃度を表す濃度の非拡散性に結合した基準領域を含むラテラルフローアッセイを提供する。基準領域において検出されたシグナルが、最小検出濃度で分析物をアッセイが感知することを示すように基準領域における分析物の濃度を予め決定できる。本明細書において記載するように、対照領域におけるシグナルの存在と組み合わさった基準領域およびテスト領域の両方におけるシグナルの不在は、偽陰性の結果の公算を示しうる。
【0029】
第一領域、テスト領域および対照領域に比べた基準領域の位置を、第一領域とテスト領域との間、またはその代わりにテスト領域と対照領域との間のどちらかに位置するように選択できる。基準領域の相対位置の選択は、多様な因子、例えば試料中の高濃度の分析物に対するテスト応答に基づきうる。詳細には、高濃度の分析物が捕捉試薬に結合する重大な比率の第一複合体を招くならば、第一複合体がテスト領域に接触する前に基準領域に接触するように基準領域を配置することができる。逆に、高濃度の分析物がテスト領域における捕捉試薬に結合する重大な比率の第一複合体を招かないのであれば、テスト領域と対照領域との間に基準領域を配置することができる。
【0030】
特定の態様において、本発明は尿試料中のhCGの存在を検出するためのラテラルフローアッセイを提供し、このアッセイは、拡散性に結合した標識抗hCG抗体を含み、かつその拡散性に結合した標識抗hCG抗体およびhCGが拡散性の第一複合体を形成する第一領域;第一複合体と複合体を形成する能力のある無傷hCGに対する非拡散性に結合した抗体を含有するテスト領域;第一領域の拡散性に結合した標識抗体に対する抗種抗体である非拡散性に結合した対照抗体を含む対照領域;ならびに前記拡散性に結合した標識抗hCG抗体と複合体を形成する能力のある非拡散性に結合したhCGを含む基準領域を含む。本発明のラテラルテストアッセイを描写する略図を図4に提供する。
【0031】
本明細書に使用する「対照領域」という用語は、アッセイが計画通りに働いたことを使用者に確認させる領域を指す。本発明のラテラルフローアッセイにおいて、本用語は液体試料が計画されたとおりにマトリックスを透過または通過流動したことを確認するゾーンについて使用される。例えば対照領域は、第一領域の拡散性に結合した標識試薬に相補的な非拡散性に結合した対照試薬を含有しうる。このように対照領域は、非拡散性に結合した結合パートナー、および例えば標識試薬がマウスハイブリドーマから得られたのであれば抗マウス抗体のような、第一領域からの標識抗体に結合する抗種抗体を含有しうる。
【0032】
あるいは、対照領域は、湿潤すると色の変化または発色を生じる無水試薬、例えば水性試料によって湿潤すると青色に変わる無水硫酸銅を含有しうる。テストが完了したことを効果的に確認するために、対照領域はテスト結果が記録されるテスト領域の下流に位置すべきである。対照領域における陽性シグナルは、試料がラテラルフローアッセイマトリックスを必要な距離透過したことを使用者に知らせる。
【0033】
本明細書において使用する「対照試薬」という用語は、標識用試薬と結合でき、試料中の分析物を認識せずそれと結合しない任意の粒子または分子を指す。例えば、標識捕捉試薬は金ゾルにコンジュゲートした分析物に特異的な抗体でありうる。本態様において、対照試薬は標識捕捉試薬に対する抗種抗体でありうる。このように、対照試薬は標識試薬を認識するモノクローナルまたはポリクローナル抗体でありうる。対照試薬は、テスト領域の下流に位置する対照領域におけるマトリックスに非拡散性に結合している。対照試薬は標識捕捉試薬と結合し固定化する。標識試薬がマトリックスの別個の位置に非拡散性に結合しているちょうどそのように、対照試薬も対照領域と呼ばれるマトリックスの別個の位置に固定化されている。
【0034】
結合手段として固定化分析物を含有する基準ゾーンにおける検出可能な標識の物理的に検出可能な性質からのシグナル、および標識第一複合体に対する固定化捕捉試薬が結合手段であるテストゾーンにおける標識の物理的に検出可能な性質からのシグナルを測定すること、ならびにこれらのシグナルの比を測定することによって、分析物に対するテストの正確さを上げることができる。この手法が分析物と試薬との結合相互作用を乱す妨害因子を補正することから、正確さが高まる。
【0035】
標識は、その存在を容易に検出できる実体でありうる。好ましくは標識は、自然状態で肉眼で、または光学フィルターおよび/もしくは適用された刺激、例えば蛍光を促進するUV光の助けを借りてのいずれかで容易に目視できる直接標識である。例えば、色素ゾルのような微小着色粒子、金属ゾル(特には金)、および着色ラテックス粒子は本発明の試薬に適した標識である。小さな領域または体積への標識の濃縮は、目視的に、または所望ならば計装によって評価できる容易に検出可能なシグナルを生じるはずである。
【0036】
酵素、例えばアルカリホスファターゼおよびワサビペルオキシダーゼのような間接標識を使用できるが、これらは、可視シグナルを検出できるようになる前に通常一つまたは複数の基質として顕色試薬の添加を必要とする。必要ならば、そのような追加の試薬をマトリックスに組み入れてそれらの試薬が水性液体試料に溶解または分散するようにできる。あるいは、ラテラルフローアッセイと接触する前に顕色試薬を試料に加えて、結合反応が起こった後にシグナルを顕色試薬に曝露することができる。
【0037】
試薬への標識の連結は、所望ならば共有結合、または疎水性結合によるものでありうる。そのような手法は当業者に通常実行されている。標識が金ゾルまたは着色ラテックス粒子のような直接標識である態様において、疎水性結合が好ましい。
【0038】
本明細書に記載するように、本発明によって提供されるラテラルフローアッセイは、液体試料に含有される分析物の、それと相補的な標識試薬との結合に影響する妨害因子の検出を可能にする非拡散性に結合した分析物の基準領域を提供する免疫化学テストである。一態様において、本発明によって提供されるラテラルフローアッセイは、尿に基づく免疫化学テストである。尿に基づくラテラルフローアッセイについて、妨害因子には、例えば尿の比重(SG)、pH、総タンパク質、尿素または糖尿がある。これらの因子は、免疫化学結合を妨害し、よって結果の正確さに影響する。妨害物の中には、例えば種々の試料の間のpHおよびタンパク質レベルにおける差を最小にすることを助けるタンパク質を含有する緩衝液に入れて着色粒子を乾燥させることによって補正することができる妨害物もあれば、種々の塩および尿素の組成ならびに濃度における日内変動に概して起因する例えば尿の比重(SG)のような他の妨害物は、ラテラルフロー免疫化学テストの正確さに影響を与える。本発明のラテラルフローアッセイは、妨害物の影響を最小化するように、当該技術で公知の任意の補正手段を組み入れることができる。
【0039】
比重(SG)に関して、図2は三つの異なるSGを有する尿中濃度20mlU/mlのhCG試料についての動態応答を示す。図2に示すように、相対テストライン強度は試料SGと逆比例する。目視的に検出できない非常に高いSG(1.024)試料とは対照的に、低および中度SG試料についてのテストライン強度は試料の添加後120秒で目視的に検出できる。通常は、SGは1.010と1.025との間(平均1.015)を変動し、概して朝一番の排尿で最高である。したがって、テストの正確さは、朝一番の排尿を包含し相対的に低レベルのhCGを含有する試料で特に損なわれうる。しかし、テストライン強度と対照ライン強度との比較は限られた価値しかもたない。それは、対照ラインのための免疫化学試薬は、テストラインのための試薬と異なり、SGの変動によって同程度影響を受けるわけではないからである。本発明は、テストライン強度と同じ妨害因子を供される基準ライン強度を生成する基準領域を提供することによって、この問題の解決を提供している。
【0040】
このように、本発明は基準ライン物質としての天然分析物、例えば天然hCGの使用に関する。それは、液体試料溶液に含有される分析物の間の結合に及ぼす影響が基準領域における結合した天然分析物に対する標識試薬の結合に同様に影響するからであり、これは二つの試薬系が同じであることを理由にする。第一複合体の一部はテストラインに結合し、試料中の分析物の量に比例しているが、低レベルのhCG含有基準ラインに結合するのに十分な標識試薬がまだ残っている。これは、反応を加速し、非常に高濃度の分析物の存在下で結合の低下が経験されるいわゆる高用量付着効果に関連する問題を最小にする大過剰の標識捕捉試薬を製造業者が概して提供しているからである。
【0041】
本発明の特定の態様において、相互に対してストリップまたは検出器を動かすための手段を有する反射分光器が提供され、その手段の例は、ストリップを上に配置し、検出器の読み取りヘッドの下を横方向に動かすことができる標本テーブルである。検出可能な物理学的性質が所定の波長での光の反射である場合、検出器は分光器である。この手法は、分光器の検出手段に対して正確に位置していないおそれのあるストリップの領域を正確に定量するのを援助する。さらに具体的には、任意の所望の領域の反射を決定できるように、検出器に対するストリップの位置をマイクロプロセッサの制御下にできる。このように、本発明は反射分光器、例えばBayer Diagnosticsの CLINITEK Status(登録商標)によって読み取られるラテラルフローアッセイを提供する。測定された反射から得られるK/S値として、計器は読み取りを提供できる。
【0042】
本明細書に記載するように、本発明のラテラルフローアッセイにおけるシグナル強度を目視的にまたは計装によって検出および評価できる。液体試料中のhCGの計器による検出については、一次ユーザーインターフェースとしてタッチスクリーンを利用した反射に基づくデスクトップ分析器、例えばClinitest(登録商標)hCGと呼ばれるhCGに適合するBayer DiagnosticsのCLINITEK Status(登録商標)システムをBrockら、Clinical Chemistry 49(6)補遺、2003、A151 (F20)に記載されているように利用できる。反射に基づく分析器は、ストリップおよびプラスチックカセット形式の両方の多様なラテラルフローイムノアッセイ、ならびに存在する尿の化学的性質を読み取ることができる。分析器の例は、ストリップまたはカセット性テストを整列させるためのリバーシブルインサートを含むモータ駆動テーブルを備えるBayer DiagnosticsのMultistix(登録商標)である。投入された尿化学ストリップまたはラテラルフローアッセイを、自動的にテストの同定を行い、最適の性能に必要な関連する読み取り時間を決定するテーブルに置くことができ、「陰性」(例えば2mIU/ml未満)または「陽性」(例えば25mIU/mlを超える)、その間の結果を「ボーダーライン、48〜72時間以内に再テスト」と注記してhCGの結果を報告することができる。タッチスクリーンおよび連続紙または印刷用粘着シートのどちらかを使用したオンボードプリンターを用いたハードコピーの両方により最終テスト結果を伝達できる。反射メータを用いた計器、例えばBayer DiagnosticsのCLINITEK Status(登録商標)は、例えば視力および/または周囲の照明における差が原因の読み取り間および読み取り内変動を排除できる。
【0043】
本発明の様々な態様の活動に実質的に影響しない変更も本明細書に提供される発明の定義内に含まれることは言うまでもない。したがって、以下の実施例は例解であり、本発明を制限するものではないことを意図する。
【0044】
実施例1
潜在的妨害を補正するための基準ラインを用いた尿中hCGの定量検出
本実施例は、試料中の溶液遊離状態のhCGおよび標識モノクローナル抗ベータhCG抗体の結合に対する潜在的妨害の補正を可能にする固定化hCGを含有する基準ラインを用いたhCGの定量検出を実証する。
【0045】
試料パッド(試料適用、試料処理およびろ過)、結合体パッド(金ゾル標識モノクローナル抗ベータhCG抗体を含有)、ニトロセルロース膜(テストラインはヤギ抗hCG抗体、基準ラインはhCG、かつ対照ラインはヤギ抗マウスIgG)および吸着剤パッドを含む免疫化学ストリップ。このストリップを図1に図示する。
【0046】
試薬カードの調製
様々な亜成分を接着プラスチック積層板に集合させることによって試薬カードを調製し、次にディップスティック形式またはカセット形式のどちらかで使用するために様々な幅に切って試薬ストリップにする。ディップスティック形式の例は、5mm幅のストリップであるApplied Biotech, Inc.のSureStrip(商標)hCG妊娠テスト、カタログ#6007である。Applied Biotech, Inc.がこれもまた製造しているClinitest(登録商標)hCG妊娠テストはプラスチックカセットのケースに入った8mm幅のテストストリップを含んでいる(Bayer Corporation、US D456,082S)。
【0047】
臨界試薬の適用
金ゾル溶液(40nm径粒子に対し4.0の520nmでの吸光度)1mLあたり(リン酸緩衝生理食塩水、pH7.4に溶かした)マウス抗hCG0.048mgを含有する溶液を1:10に希釈した液に結合体パッド(長さ7mm)を浸し、乾燥させる。ヤギ抗hCG(1.5mg/mLリン酸緩衝生理食塩水、pH7.4)でニトロセルロースのテストラインの位置に線を引く。基準領域について、25mIU/mLのhCGテスト溶液200uLの適用と等しい基準ライン強度を生じるであろう濃度で精製hCG(リン酸緩衝生理食塩水、pH7.4に溶解)で線を引く。さらに、リン酸緩衝生理食塩水、pH7.4に溶解した2.0mg/mLのヤギ抗マウスIgGで対照領域に線を引く。調製したマトリックスを次に乾燥させる。
【0048】
次に、線を引き乾燥させた膜マトリックス(長さ25mm)を、まず長さ60mm、幅25cmのプラスチック積層板の中央に置き固定することによってテスト装置を組み立てる。乾燥した結合体パッドを加えて、結合体パッドの0.5mmがニトロセルロース膜からなるマトリックスに接触するようにする。次に試料パッド(長さ20mm)を結合パッド上に固定し、結合体パッドの0.5mmを露出させる。最後に吸収体パッド(長さ16mm)をストリップの他端に固定する。次に、組み立てられたカードをディップスティック形式で使用するための幅5mmのストリップまたはカセットで使用するための幅8mmのストリップのどちらかに切ることができる。
【0049】
ディップスティック形式
hCGの結合動態に及ぼす比重の作用を評価するために、hCG原液を男性プール尿に加え、低(1.006)、中(1.014)および高(1.024)比重尿に溶けた20mIU/mLのhCGの被験溶液を作った。組み立てた5mm幅のストリップ(5回の繰り返し)を尿試料に室温で15秒間浸し(ディップスティック形式)、5分間のアッセイ顕色時間にわたり15秒ごとにClinitek Status(登録商標)計器を用いて生じたピーク振幅(相対強度)を測定、記録した。結果を図2に示す。
【0050】
カセット形式
比重がテストラインの結合強度に及ぼす影響を確認するために、男性27人および妊娠していない女性11人の尿試料にhCG原液を加え、25mIU/mLのhCGを含有する試料を作った。個別の尿の比重の測定をTSメータで行った。簡潔には、添加後の尿200uLをカセットテストに加えた。投入の5分後にテストライン強度を自動的に読み取るClinitek Status(登録商標)計器に装置を導入した。二つの試薬カードのロットのそれぞれで測定する3台の異なるClinitek Status(登録商標)計器で各試料をアッセイした。この混合(男性および女性の添加尿試料)研究の結果を95%信頼区間を表す誤差の棒線と共に図3に示す。
【0051】
図3に示すように、テストライン強度は比重の関数として減少する。しかし、基準領域に線を引いたhCGを伴う場合、基準ラインの相対結合強度はテストラインの強度と平行し、比重の関数として一定の比を作り、比重における差の補正が可能になる。
【0052】
この出願にわたり様々な公報が挿話として参照された。これらの公報の全体の開示は、本明細書によって本発明が属する当技術分野の状態をさらに完全に解説するために参照により本出願に組み入れられている。
【0053】
開示された態様を参照して本発明を記載したが、当業者は上に詳記した特定の実施例および研究が本発明の例解に過ぎないことを容易に認識している。本発明の精神から逸脱せずに種々の変更を行うことができるものである。したがって、本発明は特許請求の範囲によってのみ限定される。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明のラテラルフローアッセイの一態様における配置マトリックスの配置を示す図である。この実施態様において、非拡散性に結合した分析物を含む基準領域は、テスト領域と対照領域の間に位置する。
【図2】三つの異なる比重を有する尿におけるhCG試料に対する動態応答を示す図である。
【図3】比重の関数としてどの程度テストラインの強度が減少するかを示す図である。
【図4】非拡散性に結合した分析物の基準領域を含むラテラルフローアッセイを示す概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体試料中の分析物の存在を検出するためのラテラルフローアッセイであって、以下を含むアッセイ:
(a)該液体試料中の分析物に相補的な拡散性に結合した標識試薬を含み、該拡散性に結合した標識試薬および該分析物が拡散性の第一複合体を形成する第一領域;
(b)該第一複合体と複合体を形成する能力のある非拡散性に結合した捕捉試薬を含むテスト領域;
(c)該拡散性に結合した標識試薬に相補的な非拡散性に結合した対照試薬を含む対照領域;
(d)該拡散性に結合した標識試薬と複合体を形成する能力のある非拡散性に結合した分析物を含む基準領域。
【請求項2】
液体試料が毛管現象によって通過流動できるマトリックスをさらに含む、請求項1記載のラテラルフローアッセイ。
【請求項3】
マトリックスがニトロセルロースを含む、請求項2記載のラテラルフローアッセイ。
【請求項4】
基準ラインが第一領域における分析物および結合した標識試薬の間の結合の妨害の検出を可能にする、請求項1記載のラテラルフローアッセイ。
【請求項5】
テスト領域および基準領域の間のシグナル強度が妨害の関数として互いに平行する、請求項1記載のラテラルフローアッセイ。
【請求項6】
液体試料が尿を含む、請求項4記載のラテラルフローアッセイ。
【請求項7】
分析物が卵胞刺激ホルモン(FSH)、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)、黄体形成ホルモン(LH)、淋疾抗原、クラミジア抗原、架橋N−テロペプチド、デオキシプリジノロン(Dpd)、HIV抗体および核膜タンパク質−22(NMP−22)からなる群より選択される、請求項6記載のラテラルフローアッセイ。
【請求項8】
分析物がヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)である、請求項7記載のラテラルフローアッセイ。
【請求項9】
分析物が黄体形成ホルモン(LH)である、請求項7記載のラテラルフローアッセイ。
【請求項10】
妨害が尿の比重(SG)を原因とする、請求項6記載のラテラルフローアッセイ。
【請求項11】
妨害がpH、総タンパク質、尿素または糖尿を原因とする、請求項6記載のラテラルフローアッセイ。
【請求項12】
基準領域が第一領域およびテスト領域の間に位置する、請求項1記載のラテラルフローアッセイ。
【請求項13】
基準領域がテスト領域および対照領域の間に位置する、請求項1記載のラテラルフローアッセイ。
【請求項14】
拡散性に結合した標識試薬が抗体を含む、請求項1記載のラテラルフローアッセイ。
【請求項15】
拡散性に結合した標識試薬が、hCGと特異的に結合して標識抗hCG抗体と該hCGとの第一複合体を形成する能力のある抗hCG抗体を含む、請求項1記載のラテラルフローアッセイ。
【請求項16】
標識が金ゾルである、請求項1記載のラテラルフローアッセイ。
【請求項17】
標識が着色ラテックス粒子である、請求項1記載のラテラルフローアッセイ。
【請求項18】
非拡散性に結合した分析物が所定の濃度を有する、請求項1記載のラテラルフローアッセイ。
【請求項19】
濃度が、分析物の存在を目視的にかつ計装なしに検出できる最小濃度を表す、請求項18記載のラテラルフローアッセイ。
【請求項20】
濃度が、検出可能な標識からのシグナルを測定する能力のある検出器を有する計器によって分析物の存在を検出できる最小濃度を表す、請求項18記載のラテラルフローアッセイ。
【請求項21】
基準領域に検出されたシグナルは最小検出濃度でアッセイが分析物を感知することを示す、請求項1記載のラテラルフローアッセイ。
【請求項22】
対照領域におけるシグナルの存在と組み合わさった基準領域およびテスト領域の両方におけるシグナルの不在が偽陰性の結果の見込みを示す、請求項1記載のラテラルフローアッセイ。
【請求項23】
前記計器が反射分光器である、請求項20記載のラテラルフローアッセイ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−526443(P2007−526443A)
【公表日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−515147(P2006−515147)
【出願日】平成16年6月3日(2004.6.3)
【国際出願番号】PCT/US2004/017568
【国際公開番号】WO2004/109285
【国際公開日】平成16年12月16日(2004.12.16)
【出願人】(503106111)バイエル・ヘルスケア・エルエルシー (154)
【Fターム(参考)】