説明

ラベル剥がし清掃用シート

【課題】使用する有機溶剤が少量で済み、効率的に力を加えて汚れを落とすことができるラベル剥がし清掃用シートを提供する。
【解決手段】繊維質よりなる織布、不織布、紙などの基材2に清掃油剤を保持するゲル状物質または弾性多孔性物質であって清掃油剤に溶解せず、これを吸蔵できるエラストマー3を、粒状に加工して縫い込むか、凹凸のあるシート状にして貼り合わせるなどの方法により一体化する。エラストマー3は有機溶剤を吸蔵し、押圧力が加わるとこれを吐き出すとともに、基材2の表面に弾力性のある凹凸を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不要となったラベル、ステッカー、シール剥がしや、ラベルプリンタなどに付着した粘着剤やインキ、トナー等の汚れを落とすのに用いて好適なラベル剥がし清掃シートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、不要なラベル等を剥がすには、n−ヘキサン等の石油系溶剤を刷毛で塗布するか、スプレーで吹きかけて接着剤を軟化させた後、ヘラ等で掻き落としていた。
しかしながら、このような方法では、垂直な面では溶剤が流れ落ちてしまい、大量の溶剤を消費するという欠点があり、有機溶剤は悪臭となるばかりでなく、一般的に呼吸で吸引等すると人体に有害であり、室内等での大量使用は控えなければならない。
また、有機溶剤を含ませた布や紙ワイプ等で拭く場合には、有機溶剤は布に急速に浸透してしまい清掃面に十分に行き渡らない場合がある。また、紙ワイプでは逆に溶剤の戻りが多く、滴り落ちたり手に付着して不快であり、また一旦落ちた汚れが清掃面に戻ったり、破れやすくて力が入らない等の問題もあった。
この種の清掃用品として、不織布、紙等に天然油、合成油等からなる油剤性分を含浸或いは塗布したいわゆる化学雑巾が知られている。
【0003】
【特許文献1】特開昭57ー39825号公報
【0004】
【特許文献2】特開昭59ー140282号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記従来技術の問題に鑑みなされたもので、使用する有機溶剤が少量で済み、効率的に力を加えて汚れを落とすことができる清掃用シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る清掃用シートは、繊維質よりなる基材に清掃油剤を保持するゲル状物質または弾性多孔性物質を挟み込んで、前記ゲル状物質または弾性多孔性物質は清掃油剤に溶解せず、これを吸蔵できるエラストマーであって、不均一に分散して前記基材に凹凸を形成する構成からなることを特徴とする。
【0007】
上記構成によると、有機溶剤がゲル状物質または弾性多孔性物質に吸蔵されるため、清掃用シートを清掃面に押し当てたときに有機溶剤がはき出され、力を掛けるのと同時に汚れを溶かして繊維質よりなる基剤に吸着させる。ここで、前記ゲル状物質または弾性多孔性物質が不均一に分散して基剤に凹凸を形成するので、汚れを書き落とす力も効果的に作用する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、清掃用シートの内部に有機溶剤が吸蔵され、この溶剤が押圧力によりはき出されて基材面に供給されるので、少量の有機溶剤でも効果的に汚れを溶かして清掃することができる。また、エラストマーにより基材表面に形成される凹凸は汚れを掻き落として捕獲するのに効果を発揮する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図1ないし図3を用いて説明する。
図1は本発明の実施の形態に係るラベル剥がし清掃用シートの外観斜視図、図2は図1中の矢示II−II方向の断面図、図3は清掃用シートの使用方法の説明図である。
【0010】
本発明による清掃用シートは、繊維質よりなる基材に清掃油剤を保持するゲル状物質または弾性多孔性物質を挟み込んで、前記ゲル状物質または弾性多孔性物質は清掃油剤に溶解せず、これを吸蔵できるエラストマーであって、不均一に分散して前記基材に凹凸を形成する構成からなることを特徴としている。
【0011】
図1中、1は清掃用シート、2は基材、3はエラストマーを示す。
上記繊維質よりなる基材2としては、織布、不織布、紙などを用いることができる。更に詳細には、上記基材を構成する繊維として、コットン、麻、パルプ等の天然繊維、レーヨン、キュプラ等の半合成繊維、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド等の合成繊維を用いることができる。
【0012】
上記エラストマー3としては、SBS(スチレンーブタジエンースチレン)、SIS(スチレンーイソプレンースチレン)、SEBS(スチレンーエチレン/ブチレンースチレン)等のブロックコポリマーが好適に用いられる。これらを球状、金平糖状等の粒状あるいは、これらの粒状を含めたシート状に加工して使用するのが好ましい。
【0013】
上記有機溶剤としては、被清掃面に対してぬれ性が良く、上記エラストマーを溶解せず安全性と安定性に優れたものが好ましく、n−ヘキサン、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン(MEK)、テトラヒドロフラン(THF)等を用いることができる。
【0014】
エラストマー3を基材2の間に不均一に分散させて保持するには、図2(a)のように、粒状のエラストマー3を糸4で縫い込む方法、(b)のように、厚みを不均一にして断面が凹凸をなすエラストマー3のシートを形成し、基材2と糸で縫い合わせる、または、部分的に熱圧着して溶着させる、接着剤を用いて貼り合わせる等の方法がある。
【0015】
そして、清掃用シート1を使用する時は、有機溶剤5をシートに直接スプレーすれば、薄い基材2を通してエラストマー3に吸蔵されるので、このシートで剥がしたいラベルや汚れを押圧して擦ればよい。
【0016】
なお、本発明が上記各実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、各実施の形態は適宜変更され得ることは勿論である。また、上記構成部材の数、位置、形状等は上記実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態に係るラベル剥がし清掃用シートの外観斜視図
【図2】図1中の矢示II−II方向断面であり、(a)は粒状のエラストマーを糸で縫い込む場合、(b)はシート状のエラストマーを熱圧着する場合の構造図
【図3】ラベル剥がし清掃用シートの使用方法の説明図
【符号の説明】
【0018】
1…ラベル剥がし清掃用シート、2…基材、3…エラストマー、4…縫い糸、5…有機溶剤スプレー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維質よりなる基材に清掃油剤を保持するゲル状物質または弾性多孔性物質を挟み込んだラベル剥がし清掃用シートであって、前記ゲル状物質または弾性多孔性物質は清掃油剤に溶解せず、これを吸蔵できるエラストマーであり、不均一に分散して前記基材に凹凸を形成することを特徴とするラベル剥がし清掃用シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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