説明

ラベル貼付装置及びラベル貼付方法

【課題】ラベル上に付着した微細な屑を除去することができ、下流側に位置する印字検査装置において、正確に印字されているにもかかわらず印字不良と判断され、その容器(容器詰飲料)が排除されてしまうのを防止することのできるラベル貼付装置及びラベル貼付方法を提供する。
【解決手段】容器BにラベルRを貼付するラベル貼付装置は、最表面に着色層が設けられてなるラベルR表面にレーザ光を所望とする印字形状に合わせて照射し、当該着色層を除去することにより当該ラベルRに印字するレーザ印字部9と、レーザ印字部9により印字されたラベル上に除電エアーを供給する第1の静電除去部10と、第1の静電除去部10により除電エアーが供給されたラベルRを容器Bの表面に貼付するラベル貼付部12とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラベル貼付装置及びラベル貼付方法に関し、特に所定の情報が印字されたラベルを容器に貼付する装置及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ビール等の飲料をはじめ、医薬品、化粧品、食品等は、充填された容器に、所定の情報(例えば、製造工場、賞味期限、製造年月日等に関する情報等)が印字されたラベルが貼付されて流通されることがある。容器詰飲料を例に挙げて説明すると、このラベルは、容器詰飲料の製造ラインの途中に設けられたラベル貼付装置により、当該製造ラインにおける搬送経路上を所定の間隔をあけて搬送される当該容器の表面に連続的に貼付される(特許文献1参照)。
【0003】
従来、このようなラベル貼付装置においては、所定の情報が未だ印字されていないラベルの所定領域(印字領域)に上記所定の情報を印字した後、印字されたラベルが連続的に容器の表面に貼付される。このラベルへの印字方法としては、レーザ光の照射により除去され得る着色層が紙ラベル等の白色の支持体上に積層されてなるラベルに所望とする印字形状に合わせてレーザ光を走査状に照射し、当該着色層を所望とする印字形状に合わせて除去することにより、着色層が除去されて露出した白色の支持体と着色層との明度差等を利用して視認性を得ることのできる印字方法等が知られている(特許文献2参照)。
【0004】
このようにして印字されたラベルが貼付された容器は、ラベル貼付装置の下流に設けられている印字検査装置に搬送され、当該印字検査装置において容器の表面に貼付されたラベルの印字内容の良否を検査し、印字不良であると判断された容器は排除されることになる(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−189228号公報
【特許文献2】特開2010−155365号公報
【特許文献3】特開2002−053198号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献3に記載されているように、印字検査装置においては、容器に貼付されたラベル(印字領域)をCCDカメラ等で撮像し、得られた画像に基づいてラベル上の印字が正常であるか否かを判断する。しかしながら、上記特許文献2に記載の印字方法によりラベルに印字すると、ラベルに静電気が帯電している場合に、レーザ光により除去された着色層の微細な屑が、ラベル上、特にラベルにおける印字領域に吸着されてしまうことがある。その微細な屑がラベル上に吸着された容器が印字検査装置に搬送され、検査されると、当該屑が印字の一部と認識(誤認)されてしまうことがあり、ラベルに正確に印字されているにもかかわらず、印字不良と判断され、当該容器が排除されてしまうことがあるという問題がある。
【0007】
このような課題に鑑みて、本発明は、ラベル上に吸着された微細な屑を確実に除去することができ、下流側に位置する印字検査装置において、ラベルに正確に印字されているにもかかわらず、印字不良と判断され、そのラベルが貼付されてなる容器が排除されてしまうのを防止することのできるラベル貼付装置及びラベル貼付方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、容器にラベルを貼付するラベル貼付装置であって、最表面に着色層が設けられてなるラベル表面にレーザ光を所望とする印字形状に合わせて照射し、当該着色層を除去することにより当該ラベルに印字するレーザ印字部と、前記レーザ印字部により印字されたラベル上に除電エアーを供給する第1の静電除去部と、前記第1の静電除去部により除電エアーが供給されたラベルを前記容器の表面に貼付するラベル貼付部とを備えることを特徴とするラベル貼付装置を提供する(発明1)。
【0009】
一般に、ラベル貼付装置の下流側には、ラベルの印字の良否を検査する印字検査装置が設けられており、レーザ印字部による印字の際に生じる微細な屑がラベル上に吸着されたままラベルが容器に貼付され、そのラベル貼付後の容器が印字検査装置にて検査されると、当該微細な屑が印字(文字)部であると認識されてしまい、正確に印字されているにもかかわらず印字不良と判断されてしまうことがある。この場合において、ラベル上に吸着されている微細な屑を除去するために高圧エアーを吹き付けることが考えられるが、この微細な屑はラベルに帯電する静電気の作用により吸着されているため、高圧エアーを吹き付けたとしても微細な屑を完全には除去することができない。しかしながら、上記発明(発明1)によれば、第1の静電除去部からラベル上に除電エアーが供給されることで、ラベルに帯電する静電気を中和することができるため、レーザ印字部による印字の際に生じ、ラベル上に静電吸着されている微細な屑を、第1の静電除去部からラベル上に供給される除電エアーにて吹き飛ばし、除去することができる。結果として、その下流側に位置する印字検査装置において、正確に印字されているにもかかわらず印字不良と判断されてしまうのを防止することができる。
【0010】
上記発明(発明1)においては、前記ラベル貼付部により前記容器の表面に貼付されたラベル表面を押圧する押圧部と、前記押圧部により押圧された容器表面のラベル上に除電エアーを供給する第2の静電除去部とをさらに備えるのが好ましく(発明2)、かかる発明(発明2)においては、前記押圧部が、前記ラベル表面に摺接するブラシ部であるのが好ましい(発明3)。
【0011】
一般にラベルを貼付する対象である容器は曲面形状(略円筒形状)を有するものが多いため、ラベル貼付部にて容器表面にラベルを貼付した際に、ラベルの周縁部の少なくとも一部は容器表面に貼付されないことがある。そのため、ラベル貼付部にて貼付したラベルを押圧部により容器の曲面形状に沿って押圧することで、ラベル全体を容器表面に貼付することができるが、この押圧部としてのブラシ部がラベル表面に摺接することで、ラベルに静電気が帯電し、微細な屑がラベル表面(印字領域)に吸着されてしまうおそれがある。しかしながら、上記発明(発明3)によれば、ブラシ部により摺接されたラベル表面に第2の静電除去部から除電エアーが供給されることで、ラベルに帯電した静電気を中和し、ラベルに吸着された微細な屑を吹き飛ばし、除去することができるため、その下流側に位置する印字検査装置において、正確に印字されているにもかかわらず印字不良と判断されてしまうのを防止することができる。
【0012】
上記発明(発明3)においては、前記ブラシ部が、第1のブラシ部と当該第1のブラシ部の下流側に位置する第2のブラシ部とを有し、前記第2の静電除去部が、前記第1のブラシ部の下流側であって、前記第2のブラシ部の上流側に設けられているのが好ましい(発明4)。
【0013】
印字検査装置は第1のブラシ部の下流側であって第2のブラシ部の上流側(第1のブラシ部と第2のブラシ部との間)に位置させることができるが、上記発明(発明4)によれば、第1のブラシ部の下流側であって印字検査装置の上流側に第2の静電除去部を設けることができるため、第1のブラシ部の下流側に設けられている第2の静電除去部からラベルに除電エアーが供給されることで、ラベルに帯電する静電気が中和され、ラベルに付着している微細な屑を吹き飛ばし、除去することができる。その結果、印字検査装置において、正確に印字されているにもかかわらず印字不良と判断されてしまうのを防止することができる。
【0014】
また、本発明は、最表面に着色層が設けられてなるラベル表面にレーザ光を所望とする印字形状に合わせて照射し、当該着色層を除去することにより当該ラベルに印字する印字工程と、前記印字工程により印字されたラベル上に除電エアーを供給する第1の静電除去工程と、前記第1の静電除去工程により除電エアーが供給されたラベルを容器の表面に貼付するラベル貼付工程とを含むことを特徴とするラベル貼付方法を提供する(発明5)。
【0015】
上記発明(発明5)においては、前記ラベル貼付工程により容器の表面に貼付されたラベルを押圧する押圧工程と、前記押圧工程により押圧されたラベル上に除電エアーを供給する第2の静電除去工程とをさらに含むのが好ましく(発明6)、かかる発明(発明6)においては、前記押圧工程において、前記ラベル貼付工程により容器の表面に貼付されたラベルをブラシにより押圧するのが好ましい(発明7)。
【0016】
上記発明(発明7)においては、前記押圧工程が、前記ラベル貼付工程により容器の表面に貼付されたラベルを第1のブラシにより押圧する第1の押圧工程と、当該第1の押圧工程後、当該ラベルを第2のブラシにより押圧する第2の押圧工程とを含み、前記第2の静電除去工程は、前記第1の押圧工程後であって前記第2の押圧工程前に行われるのが好ましい(発明8)。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ラベル上に吸着された微細な屑を確実に除去することができ、下流側に位置する印字検査装置において、ラベルに正確に印字されているにもかかわらず、印字不良と判断され、そのラベルが貼付されてなる容器が排除されてしまうのを防止することのできるラベル貼付装置及びラベル貼付方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態に係るラベル貼付装置を示す概略構成図である。
【図2】実施例及び比較例におけるムダバネ率を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るラベル貼付装置を示す概略構成図である。
【0020】
図1に示すように、本実施形態に係るラベル貼付装置1は、ラベルRに転移される糊をパレット7に供給するための糊付けローラ2と、糊付けローラ2の外周面に対向するように配置され、糊付けローラ2の外周面に向けて糊タンクから糊を吐出する糊供給用チューブ3と、糊付けローラ2の回転方向において糊供給用チューブ3の下流側に位置し、糊付けローラ2の径方向と略平行に延伸するとともに先端部が糊付けローラ2の外周面に対して接離する方向にスライド自在に設けられたスクレーパ4と、スクレーパ4に連結され、スクレーパ4を糊付けローラ2の外周面に対して接離する方向にスライドさせる駆動機構5と、糊付けローラ2の隣接位置に回転自在に配置されたターンテーブル6と、ターンテーブル6の上面周縁部に等角度間隔に配設された複数のパレット7と、ターンテーブル6の回転方向において糊付けローラ2の下流側に位置し、各パレット7に一枚ずつ供給されるラベルRを保持するラベルマガジン8と、ターンテーブル6の回転方向においてラベルマガジン8の下流側に位置し、パレット7上のラベルRにおける印字領域に対してレーザ光を所望とする印字形状に合わせて走査状に照射するレーザ印字装置9と、ターンテーブル6の回転方向においてレーザ印字装置9の下流側に位置し、パレット7上のラベルRに対して除電エアーを供給する第1の静電除去装置10と、ターンテーブル6の回転方向において第1の静電除去装置10の下流側に位置し、回転自在に配置されたターンテーブル11と、ターンテーブル11の上面周縁部に等角度間隔で配設され、パレット7からラベルRを受け取るグリッパ12と、ターンテーブル11に隣接し、ラベルRを貼付する対象物としての容器(例えば、壜等)Bを所定の間隔をあけて搬送するボトルテーブルプレートTと、ボトルテーブルプレートTの搬送方向(回転方向)において容器Bに対するラベルRの貼付位置の下流側に位置し、容器BにおけるラベルR表面(ラベルRの両側部)にボトルテーブルプレートTの両側から摺接する一対の第1のブラシ13と、ボトルテーブルプレートTの搬送方向(回転方向)において第1のブラシ13の下流側に位置し、ラベルR表面(ラベルRの両側部)にボトルテーブルプレートTの両側から摺接する一対の第2のブラシ14と、第1のブラシ13及び第2のブラシ14の間に配設され、容器Bに貼付されたラベルRに対して除電エアーを供給する第2の静電除去装置15とを備える。なお、本実施形態においては、第1のブラシ13と第2のブラシ14との間であって、第2の静電除去装置15の下流側に、容器Bに貼付されたラベルRの印字内容を検査する印字検査装置(図示せず)が備えられている。
【0021】
ラベルマガジン8に保持されているラベルRは、少なくとも基材と、着色層とがこの順に積層されてなり、着色層がラベル最表面に位置するものである。ラベルRにおける基材としては、特に限定されるものではないが、例えば、普通紙、アート紙、コート紙、アルミ蒸着紙、塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、金属等材質のシート、合成紙、ラミネート紙等が挙げられる。また、着色層としては、ポリアミド系樹脂、ポリブチラール系樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ニトロセルロース系樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、ウレタン系樹脂、石油系樹脂、塩化ゴム系樹脂、環化ゴム系樹脂、アルキッド系樹脂、フェノール系樹脂、エポキシ系樹脂等の樹脂成分に、顔料や染料等の着色剤が粒子状に分散又は溶解してなる塗工液を基材上に塗布することにより形成されてなる、膜厚0.1〜10μm程度のものを例示することができる。
【0022】
ラベルRの基材及び着色層の色は、レーザ印字装置9にて着色層が所望とする印字形状に合わせて除去された際に、着色層が除去された部分の色(基材の色)と着色層が残存する部分の色(着色層の色)との間に明瞭な明度差がある色を選択すればよく、例えば、基材の色が白色の場合、着色層の色としては、赤色、黒色、茶色、緑色、青色等を選択することができ、これらの中では黒色、茶色が好ましく、レーザ光の照射により除去されることを考慮すると、黒色が特に好ましい。
【0023】
なお、本実施形態におけるラベルRは、基材及び着色層を有するものであるが、本発明はこれに限定されるものではなく、着色層上にレーザ光の照射により除去され得るオーバーコート層を有するものであってもよく、また、基材と着色層との間に、ニトロセルロース系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、シリコン系樹脂、フッ素系樹脂等を含むアンダーコート層を有するものであってもよい。
【0024】
レーザ印字装置9としては、例えば、出力が0.2J/cm2/パルス以上(好ましくは0.3J/cm2/パルス以上)のエネルギーを照射表面に与えられるパルス型レーザ光照射装置、0.5W以上の出力を有する走査型レーザ光照射装置等を好適に用いることができる。このようなレーザ光照射装置から照射されるレーザとしては、例えば、炭酸ガスレーザ、一酸化炭素レーザ、半導体レーザ、イットリウム・アルミニウム・ガーネット(YAG)レーザ等が挙げられ、特にTransversely Excited Atomospheric Pressure(TEA)型炭酸ガスレーザであれば、高速かつ1パルスで広い領域に照射できるため、多くの情報を高速に印字することができ好ましい。
【0025】
第1の静電除去装置10及び第2の静電除去装置15としては、例えば、コロナ放電方式、放射線方式、X線方式、紫外線方式等のイオン発生方式によりイオンを発生するイオン発生装置と、イオン発生装置において発生したイオンを含むエアー(除電エアー)を噴射するノズルとを備えるものを用いることができるが、本発明において第1及び第2の静電除去装置10,15はこれに限定されるものではない。
【0026】
第1の静電除去装置10は、ターンテーブル6の回転方向におけるレーザ印字装置9の下流側であって、パレット7とグリッパ12との当接位置よりも上流側においてパレット7上のラベルRに対して除電エアーを供給し得る位置に設けられており、第1の静電除去装置10に備えられるノズルは、パレット7上のラベルRにおける少なくとも印字領域に対して除電エアーを供給し得るように位置決めされている。
【0027】
第2の静電除去装置15は、第1のブラシ13及び第2のブラシ14の間において、容器Bに貼付されたラベルRに対して除電エアーを供給し得る位置に設けられ、第2の静電除去装置15に備えられるノズルは、容器Bに貼付されたラベルRにおける少なくとも印字領域に対して除電エアーを供給し得るように位置決めされている。
【0028】
上述した構成を有するラベル貼付装置1において、糊供給用チューブ3から糊付けローラ2の外周面に向けて糊が吐出され、糊付けローラ2の外周面にその回転に伴って当該糊が付着される。糊付けローラ2の外周面に付着された糊は、スクレーパ4と糊付けローラ2の外周面との間に形成される隙間を通過し、それによりその隙間の大きさに応じ、略均一の膜厚を有する糊の膜が糊付けローラ2の外周面に形成される。なお、スクレーパ4と糊付けローラ2の外周面との間の隙間の大きさは、糊付けローラ2の外周面上の糊の膜が所望とする膜厚で形成されるよう、駆動機構5によってスクレーパ4をスライドさせることにより適宜調整される。
【0029】
糊付けローラ2の外周面に膜状に形成された糊は、糊付けローラ2とターンテーブル6との回転に伴い、パレット7が糊付けローラ2の外周面に順次接触することによって、パレット7のパレット面に転移される。
【0030】
糊が転移されたパレット7が、ターンテーブル6の回転に伴いラベルマガジン8の位置に到達すると、ラベルマガジン8からラベルRが一枚ずつ繰り出されてパレット面に付着する。そして、パレット面にラベルRが付着したパレット7が、ターンテーブル7の回転に伴いレーザ印字装置9の前方に到達すると、レーザ印字装置9からパレット面に付着されているラベルRの印字領域に対してレーザ光が所望とする印字形状に合わせて走査状に照射され、当該印字領域における着色層が所望とする印字形状に合わせて除去される。
【0031】
このようにして印字されたラベルRに静電気が帯電していると、レーザ印字装置9による印字処理により生じた微細な屑(着色層の剥離カス)が、その静電気の作用によりラベルRの表面(特に印字領域)に吸着されることがある。しかしながら、本実施形態に係るラベル貼付装置1においては、ターンテーブル6の回転に伴い、ラベルRをパレット面に付着したパレット7が第1の静電除去装置10の前方に到達すると、第1の静電除去装置10のノズルから除電エアーがラベルR表面に噴射される。これにより、ラベルRに帯電する静電気が中和されるとともに、ラベルR表面に吸着されている微細な屑が吹き飛ばされ、除去される。
【0032】
このようにしてラベルR表面に吸着されている微細な屑が除去された後、当該ラベルRが付着されたパレット7が、さらにターンテーブル6の回転に伴いグリッパ12との接触位置に到達すると、パレット7に付着されていたラベルRが、糊が転移された裏面を表向きにした状態でグリッパ12に吸着される。グリッパ12に吸着されたラベルRは、ターンテーブル11の回転に伴い、ボトルテーブルプレートT上を所定の間隔をあけて搬送されてきた容器Bの外周面に回転接触し、容器Bの外周面に順次貼付される。
【0033】
グリッパ12から容器Bの外周面に貼付されたラベルRは、少なくともその両側部が容器Bの外周面に完全に貼付されていない状態であるが、容器BがボトルテーブルプレートT上を回転しながら搬送され、ボトルテーブルプレートTの両側に位置する第1のブラシ13間を、当該第1のブラシ13にラベルRの両側部のそれぞれが摺接するようにして通過する。これにより、当該ラベルRの両側部が容器B側に押圧され、ラベルRの全面が容器Bの外周面に貼付されることになる。
【0034】
ここで、第1のブラシ13がラベルRの両側部に摺接することにより、ラベルRに静電気が帯電するが、このときに、ラベルRへの印字や第1のブラシ13による摺接の際に生じた微細な屑がラベルRの表面(特に印字領域)に静電吸着されることがある。しかし、第1のブラシ13間を通過した容器BにおけるラベルRの表面に、第2の静電除去装置15のノズルから除電エアーが噴射されるため、ラベルRに帯電する静電気が中和されるとともに、ラベルRの表面に吸着されている微細な屑が吹き飛ばされ、除去されることになる。
【0035】
第1のブラシ13間を通過し、第2の静電除去装置15からラベルRに除電エアーが噴射された容器Bは、その下流側に位置する印字検査装置(図示せず)によりラベルRの印字領域における印字内容が検査され、その後、第2のブラシ14間を通過する。
【0036】
印字検査装置によりラベルRの印字領域における印字内容の検査に際して、ラベルR上の着色層が剥離して生じ得る微細な屑がラベルRの印字領域に吸着されたままの状態であると、ラベルRの印字領域に吸着されている微細な屑が印字(文字)と認識されてしまい、印字検査装置において、正確に印字されているにもかかわらず印字不良と判断されてしまうことがある。
【0037】
しかしながら、本実施形態に係るラベル貼付装置1においては、第1の静電除去装置10及び第2の静電除去装置15から噴射される除電エアーによりラベルRに帯電する静電気が中和されるとともに、ラベルRに吸着されている微細な屑が確実に吹き飛ばされ、除去されるため、印字検査装置において、正確に印字されているにもかかわらず印字不良と判断され、排除されてしまうのを防止することができる。
【0038】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0039】
上記実施形態においては、ラベルRが貼付される容器として飲料用容器を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、ラベルRが貼付される容器は、医薬品、化粧品、食品等を収容する容器等であってもよい。
【0040】
また、上記実施形態においては、第1のブラシ13の下流側に第2のブラシ14が設けられているが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、第2のブラシ14を省略し、第1のブラシ13のみを有する構成であってもよいし、第2のブラシ14の下流側にさらに1又は2以上のブラシが設けられていてもよい。
【0041】
さらに、上記実施形態においては、第1のブラシ13と第2のブラシ15との間に印字検査装置が設けられており、そのため、第1のブラシ13と第2のブラシ15との間であって、印字検査装置の上流側に第2の静電除去装置14を設けているが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、第2のブラシ15の下流側に印字検査装置を設けるとともに、第2のブラシ15の下流側であって、印字検査装置の上流側に第2の静電除去装置14を設けてもよい。
【実施例】
【0042】
以下に、実施例及び比較例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は下記の実施例等に何ら限定されるものではない。
【0043】
〔実施例1〕
図1に示すラベル貼付装置1を用いて、茶色の着色層を有するラベルRを容器Bに貼付した。ラベルRが貼付された容器BにおけるラベルRの印字領域における印字内容を、印字検査装置を用いて検査し、印字不良と判断された容器の数を計測した。その後、印字不良と判断された容器Bが、正確に印字されているか否かを目視により判別し、正確に印字されているにもかかわらず印字不良と判断された容器Bの数を計測し、印字不良と判断された容器Bの数に対する、正確に印字されているにもかかわらず印字不良と判断され、排除された容器Bの数の割合(ムダバネ率)を算出した。結果を図2のグラフに示す。
【0044】
〔実施例2〕
実施例1においてラベルRを黒色の着色層を有するラベルRに変更した以外は実施例1と同様にしてラベルを貼付し、ムダバネ率を算出した。結果を図2のグラフに示す。
【0045】
〔比較例1〕
実施例1において第1の静電除去装置10及び第2の静電除去装置15からラベルRに除電エアーを供給しなかった以外は実施例1と同様にしてラベルを貼付し、ムダバネ率を算出した。結果を図2のグラフに示す。
【0046】
〔比較例2〕
実施例2において第1の静電除去装置10及び第2の静電除去装置15からラベルRに除電エアーを供給しなかった以外は実施例2と同様にしてラベルを貼付し、ムダバネ率を算出した。結果を図2のグラフに示す。
【0047】
図2に示すように、実施例1及び2のラベル貼付装置においては、比較例1及び2に比してムダバネ率を極めて低下させることができた。この結果から、微細な屑がラベル表面に吸着されたとしても、第1及び第2の静電除去装置から除電エアーをラベルに吹き付けることにより、当該微細な屑を確実に除去することができ、ラベル貼付装置の下流側に位置する印字検査装置にて、正確に印字されているにもかかわらず、印字不良と判断されるのを防止することができることが確認された。
【符号の説明】
【0048】
1…ラベル貼付装置
9…レーザ印字装置(レーザ印字部)
10…第1の静電除去装置(第1の静電除去部)
12…グリッパ(ラベル貼付部)
13…第1のブラシ(第1のブラシ部)
14…第2のブラシ(第2のブラシ部)
15…第2の静電除去装置(第2の静電除去部)
B…容器
R…ラベル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器にラベルを貼付するラベル貼付装置であって、
最表面に着色層が設けられてなるラベル表面にレーザ光を所望とする印字形状に合わせて照射し、当該着色層を除去することにより当該ラベルに印字するレーザ印字部と、
前記レーザ印字部により印字されたラベル上に除電エアーを供給する第1の静電除去部と、
前記第1の静電除去部により除電エアーが供給されたラベルを前記容器の表面に貼付するラベル貼付部と
を備えることを特徴とするラベル貼付装置。
【請求項2】
前記ラベル貼付部により前記容器の表面に貼付されたラベル表面を押圧する押圧部と、
前記押圧部により押圧された容器表面のラベル上に除電エアーを供給する第2の静電除去部と
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のラベル貼付装置。
【請求項3】
前記押圧部が、前記ラベル表面に摺接するブラシ部であることを特徴とする請求項2に記載のラベル貼付装置。
【請求項4】
前記ブラシ部が、第1のブラシ部と当該第1のブラシ部の下流側に位置する第2のブラシ部とを有し、
前記第2の静電除去部が、前記第1のブラシ部の下流側であって、前記第2のブラシ部の上流側に設けられていることを特徴とする請求項3に記載のラベル貼付装置。
【請求項5】
最表面に着色層が設けられてなるラベル表面にレーザ光を所望とする印字形状に合わせて照射し、当該着色層を除去することにより当該ラベルに印字する印字工程と、
前記印字工程により印字されたラベル上に除電エアーを供給する第1の静電除去工程と、
前記第1の静電除去工程により除電エアーが供給されたラベルを容器の表面に貼付するラベル貼付工程と
を含むことを特徴とするラベル貼付方法。
【請求項6】
前記ラベル貼付工程により容器の表面に貼付されたラベルを押圧する押圧工程と、
前記押圧工程により押圧されたラベル上に除電エアーを供給する第2の静電除去工程と
をさらに含むことを特徴とする請求項5に記載のラベル貼付方法。
【請求項7】
前記押圧工程において、前記ラベル貼付工程により容器の表面に貼付されたラベルをブラシにより押圧することを特徴とする請求項6に記載のラベル貼付方法。
【請求項8】
前記押圧工程が、前記ラベル貼付工程により容器の表面に貼付されたラベルを第1のブラシにより押圧する第1の押圧工程と、当該第1の押圧工程後、当該ラベルを第2のブラシにより押圧する第2の押圧工程とを含み、
前記第2の静電除去工程は、前記第1の押圧工程後であって前記第2の押圧工程前に行われることを特徴とする請求項7に記載のラベル貼付方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2012−106769(P2012−106769A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−257680(P2010−257680)
【出願日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【出願人】(307027577)麒麟麦酒株式会社 (350)
【Fターム(参考)】