説明

ラベル連続体及びラベル貼付装置

【課題】 長尺状のラベル基材の裏面に粘着剤層が形成されたラベル連続体をその幅方向に沿って適切に切断させて、各ラベルに分離させることが簡単に行えるようにする。
【解決手段】 裏面に粘着剤層12が形成された長尺状のラベル基材11をその幅方向に切断して各ラベル10aに分離させる位置にミシン目13aと少なくとも1つの連続した切れ目13bとが形成されたラベル連続体10を用い、ラベル貼付装置20におけるラベル分離部材26に設けられた差込片26aを、上記のラベル基材に設けられた連続した切れ目に差し込んで、ラベル連続体10を各ラベル10aに分離させるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、裏面に粘着剤層が形成された長尺状のラベル基材をその幅方向に切断して各ラベルに分離させるラベル連続体及びこのようなラベル連続体を各ラベルに分離させて貼付させるのに用いるラベル貼付装置に係り、上記のラベル連続体が各ラベルの分離位置において歪んだ状態で切断されるのを防止し、ラベル連続体から各ラベルが簡単かつ適切に切断されて貼付されるようにした点に特徴を有するものである。
【背景技術】
【0002】
従来においては、ラベル連続体として、裏面に粘着剤層が形成された複数のラベルを長尺状の剥離シートに剥離可能に仮着させたものが多く利用されており、このようなラベル連続体においては、上記の各ラベルを剥離シートから剥離させて被貼付物に貼付させるようになっている。
【0003】
しかし、このようなラベル連続体の場合、剥離シートが無駄になると共に、上記のように各ラベルを剥離シートから剥離させて被貼付物に貼付させる場合、ラベルを剥離させた剥離シートを巻き取ったりすることが必要になり、ラベルを貼付させる装置が大型化するという問題もあった。
【0004】
このため、近年においては、上記のような剥離シートを用いずに、長尺状のラベル基材の裏面に粘着剤層が形成されただけのラベル連続体を用い、このラベル連続体を順々にその幅方向に切断して各ラベルに分離させるようにしたものが用いられるようになった。
【0005】
ここで、このようなラベル連続体を各ラベルに分離させるにあたり、従来においては、特許文献1に示されるように、上記のラベル基材の幅方向に沿った切れ目を複数設け、切れ目が設けられていない部分をカッターにより切断させて、ラベル連続体を各ラベルに分離させるようにしたものや、特許文献2,3に示されるように、ラベル基材の幅方向全長に沿ったミシン目を設け、このミシン目に沿ってラベル基材を切断させて、ラベル連続体を各ラベルに分離させるようにしたものが提案されている。
【0006】
しかし、上記のようにラベル基材の幅方向に沿った切れ目を複数設け、切れ目が設けられていない部分をカッターによって切断させるようにした場合、上記の切れ目の位置とカッターによって切断される位置とがずれて、適切に切断することができなくなったり、また切断された部分に段差が生じたりするという問題があった。
【0007】
また、ラベル基材の幅方向全長に沿ったミシン目を設け、このミシン目に沿ってラベル基材を切断させる場合、切断時におけるねじれ等により、切断されたラベルの端部がミシン目からずれた状態になることが多く、各ラベルを適切に切断させることが困難になるという問題があった。
【特許文献1】特開昭51−48999号公報
【特許文献2】特開平11−189229号公報
【特許文献3】特開2004−279840号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この発明は、裏面に粘着剤層が形成された長尺状のラベル基材をその幅方向に切断して各ラベルに分離させるラベル連続体における上記のような問題を解決することを課題とするものである。
【0009】
すなわち、この発明においては、ラベル連続体をその幅方向に沿って適切に切断させて、各ラベルに分離させることが簡単に行えるラベル連続体及びこのようなラベル連続体を各ラベルに分離させて貼付させるのに好適に使用できるラベル貼付装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明のラベル連続体においては、上記のような課題を解決するため、裏面に粘着剤層が形成された長尺状のラベル基材をその幅方向に切断して各ラベルに分離させるラベル連続体において、上記のラベル基材を切断する各位置に、ミシン目と少なくとも1つの連続した切れ目とを形成した。
【0011】
ここで、この発明のラベル連続体においては、上記の連続した切れ目をラベル基材の幅方向の中間位置に設けるようにすることが好ましい。
【0012】
また、この発明のラベル貼付装置においては、上記のような課題を解決するため、ラベル連続体を保持する保持部と、保持部に保持されたラベル連続体を順々に移送させるラベル移送機構と、移送されたラベル連続体を切断させてラベルを分離させるラベル分離部材とを備えたラベル貼付装置において、上記のラベル連続体を用いると共に、上記のラベル分離部材に上記のラベル基材に設けられた連続した切れ目に差し込む差込片を設けた。
【0013】
ここで、この発明のラベル貼付装置においては、上記のラベル分離部材に設ける差込片を、連続した切れ目に差し込む差込側先端部から差込方向と逆方向に向かって幅広がり状に形成することが好ましい。
【0014】
また、この発明のラベル貼付装置においては、上記の保持部に上記のラベル連続体を巻回された状態で保持させるようにし、またこの保持部より移送されたラベル連続体におけるラベル基材の表面にプリントを行うプリント機構を設けるようにすることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
この発明における剥離シート付きラベルにおいては、上記のようにラベル基材を切断する各位置にミシン目と少なくとも1つの連続した切れ目とを形成したため、ミシン目と少なくとも1つの連続した切れ目とが形成された位置において、上記のラベル基材が適切に切断されるようになる。
【0016】
また、このラベル連続体において、上記の連続した切れ目をラベル基材の幅方向の中間位置に設けると、このラベル連続体を順々に送り出して、各ラベルを順々に分離させるにあたり、上記の連続した切れ目をラベル基材の幅方向の端部に設けた場合のように、ラベルを分離させる前の送り出し時等において、ラベル基材が幅方向の端部から勝手に切れて、ラベル連続体の送り方向がずれたり、ラベルが先に切断されたりするのが防止され、各ラベルを適切な状態で分離させることができるようになる。
【0017】
また、この発明のラベル貼付装置のように、上記のラベル連続体を用い、このラベル連続体を保持した保持部から、このラベル連続体をラベル移送機構により順々に移送させて、ラベル分離部材によりラベル連続体を切断させてラベルを分離させるにあたり、上記のラベル分離部材に差込片を設け、この差込片をラベル基材に設けられた連続した切れ目に差し込むようにすると、この差込片が差し込まれた連続した切れ目の位置からラベル基材がミシン目に沿って適切に切断されるようになり、ミシン目と連続した切れ目とが形成された位置において各ラベルが適切に分離されるようになる。
【0018】
また、この発明のラベル貼付装置において、上記のラベル分離部材に設ける差込片を、連続した切れ目に差し込む差込側先端部から差込方向と逆方向に向かって幅広がり状に形成すると、この差込片にラベル基材に設けられた上記の連続した切れ目を深く差し込むことにより、この連続した切れ目がミシン目の位置まで広がって、ラベルがより適切に分離されるようになる。
【0019】
また、この発明のラベル貼付装置において、上記の保持部に上記のラベル連続体を巻回された状態で保持させると、長いラベル連続体をコンパクトにして保持部に保持させることができるようになり、ラベル貼付装置をコンパクト化することができる。
【0020】
また、この発明のラベル貼付装置において、保持部より移送されたラベル連続体におけるラベル基材の表面にプリントを行うプリント機構を設けると、予めラベル基材にプリントを行う必要がなくなると共に、ラベルの貼付時に被貼付物の種類等に対応させて、様々なプリントを行うことも可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、この発明の実施形態に係るラベル連続体及びラベル貼付装置を添付図面に基づいて具体的に説明する。なお、この発明に係るラベル連続体及びラベル貼付装置は、特に下記の実施形態に示したものに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施できるものである。
【0022】
この実施形態におけるラベル連続体10においては、図1(A),(B)に示すように、長尺状のラベル基材11の裏面に粘着剤層12が形成されると共に、このラベル基材11の長手方向に所要間隔を介した位置に、それぞれラベル基材11を幅方向に切断させて各ラベル10aに分離させるための、ミシン目13aと連続した切れ目13bとを両者が連続して一列になるように形成している。この場合、ラベル連続体10の幅方向全幅にわたり、ミシン目13a又は連続した切れ目13bの何れかが形成されている。
【0023】
ここで、この実施形態におけるラベル連続体10においては、ラベル基材11の幅方向の中間位置に、連続した切れ目13bを、所要間隔を介して3つ設けるようにしたが、連続した切れ目13bを設ける数は特に限定されず、少なくとも1つの連続した切れ目13bが設けられていればよい。
【0024】
また、この実施形態におけるラベル連続体10においては、上記のラベル基材11として、図2に示すように、シート基材11aの表面側に、熱によって発色する感熱記録層11bが設けられると共に、シート基材11aの最表面にラベル連続体10を巻回したとき上記の粘着剤層12との接着性が低い剥離剤層11cが設けられたものを用いるようにしている。
【0025】
また、この実施形態におけるラベル貼付装置20においては、図3に示すように、上記のラベル基材11の裏面に設けられた粘着剤層12が内周側に位置するようにして、ラベル連続体10を巻き芯21に巻き付け、このようにラベル連続体10が巻き付けられた巻き芯21を、このラベル貼付装置20の保持部22に回転可能に保持させるようにしている。
【0026】
そして、このラベル貼付装置20においては、上記のように保持部22に回転可能に保持されたラベル連続体10を巻き戻すようにして引き出し、ラベル貼付装置20の送り出し口23側に送るようにしている。この場合、上記のラベル基材11の表面に設けられた剥離剤層11cに対する粘着剤層12の接着力が弱いため、ラベル連続体10を引き出す際に加わる負荷が少なくなり、ミシン目13aと連続した切れ目13bとが形成された位置においてラベル基材11が勝手に切断されるのが防止される。
【0027】
また、このラベル貼付装置20においては、その送り出し口23側に、上記のラベル基材11の表面にプリントを行う感熱記録装置(プリント機構)24と上記のラベル連続体10を移送させる送りローラ(ラベル移送機構)25とを設け、上記のように引き出されたラベル連続体10をこの感熱記録装置24と上記のラベル連続体10を移送させる送りローラ25との間に導くようにしている。
【0028】
次いで、このように感熱記録装置24と送りローラ25との間に導かれたラベル連続体10に対して、上記の感熱記録装置24によりラベル基材11に設けられた感熱記録層11bに必要な情報等の各種のプリントを行うと共に、上記の送りローラ25を回転させて、プリントされたラベル連続体10を送り出し口23から送り出すようにする。ここで、上記の送りローラ25を回転させるにあたっては、電動或いは手動の何れであってもよい。
【0029】
そして、このラベル貼付装置20においては、上記の送り出し口23よりもラベル連続体10の送り出し側に設けられたラベル分離部材26に、図4及び図5に示すように、ラベル基材11に設けられた上記の3つの連続した切れ目13bに対応するようにして3つの差込片26aを設け、この3つの差込片26aをそれぞれ送り出し口23から送り出されたラベル連続体10のラベル基材11における各切れ目13bに差し込むようにする。
【0030】
ここで、上記のようにラベル分離部材26に設けられた各差込片26aをラベル連続体10のラベル基材11に設けられた各切れ目13bに差し込むにあたっては、例えば、図3に示すように、上記のラベル分離部材26を上下方向に移動できるようにし、ラベル連続体10が所定位置まで送り出された状態で、このラベル分離部材26を下方に移動させて、このラベル分離部材26における各差込片26aをラベル基材11における各切れ目13bに差し込むようにすることができる。
【0031】
また、この実施形態おいては、上記のラベル分離部材26における各差込片26aを、ラベル基材11の切れ目13bに差し込む差込側先端部から差込方向と逆方向に向かって幅広がり状に形成している。
【0032】
そして、このようにラベル分離部材26における各差込片26aをラベル基材11における各切れ目13bに差し込んだ状態で、図6に示すように、ラベル基材11の裏面に設けられた粘着剤層12を被貼付物30に貼着させると共に、上記のラベル分離部材26における各差込片26aを、ラベル基材11の切れ目13bにさらに深く差し込むようにする。
【0033】
また、上記のように送り出し口23から送り出されたラベル連続体10のラベル基材11における粘着剤層12を被貼付物30に貼着させた後、ラベル分離部材26における各差込片26aをラベル基材11における各切れ目13bに差し込み、その後、各差込片26aをさらに深く差し込むようにすることもできる。
【0034】
このように、上記のラベル分離部材26における各差込片26aを、ラベル基材11の切れ目13bにさらに深く差し込むと、差込側先端部から差込方向と逆方向に向かって幅広がり状に形成された各差込片26aによって上記の各切れ目13bがミシン目13aの位置まで広がって、ラベル連続体10がミシン目13aと連続した切れ目13bとが形成された位置において適切に切断され、図7に示すように、ラベル10aが適切に分離された状態で被貼付物30に貼着されるようになる。
【0035】
また、別の方法として、上記のように送り出し口23から送り出されたラベル基材11の切れ目13bにラベル分離部材26における各差込片26aを差し込んだ状態で、先端側のラベル10aを手でつかみ、上記のラベル分離部材26における各差込片26aをラベル基材11の切れ目13bにさらに深く差し込んむようにして先端側のラベル10aを分離させ、このラベル10aを被貼付物30に貼着させるようにすることもできる。
【0036】
なお、この実施形態におけるラベル貼付装置20においては、ラベル分離部材26における差込片26aをラベル基材11における各切れ目13bに対応させて設けるようにしたが、必ずしも、ラベル基材11における各切れ目13bに対応させて差込片26aを設ける必要はなく、例えば、ラベル分離部材26における差込片26aを、ラベル基材11における両側の切れ目13bに対応するようにして設けることも可能である。
【0037】
また、上記のように送りローラ25を回転させてラベル連続体10を順々に送り出すにあたり、ラベル連続体10の適当な位置に係止穴(図示せず)を設けると共に、上記の送りローラ25に係止穴に係合する突起(図示せず)を設け、この送りローラ25に設けられた突起をラベル連続体10に設けられた係止穴に係合させて、ラベル連続体10を送りローラ25の回転に伴って確実に送り出すようにすることも可能である。
【0038】
また、この実施形態におけるラベル貼付装置20においては、その送り出し口23側に、ラベル基材11の表面にプリントを行う感熱記録装置24を設けるようにしたが、ラベル基材11の表面にプリントを行うプリント機構はこのようなものに限定されず、また予めラベル基材11の表面がプリントされたラベル連続体10を用いる場合には、特にこのようなプリント機構を設ける必要はない。
【0039】
また、上記のミシン目13aと連続した切れ目13bは、ラベル基材11だけに形成することも、ラベル基材11とともに粘着剤層12にかかるように或いは粘着剤層12を貫通するように形成することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】この発明の実施形態に係るラベル連続体を示し、(A)は概略平面図、(B)は概略側面図である。
【図2】上記の実施形態に係るラベル連続体におけるラベル基材の積層構造を示した概略説明図である。
【図3】上記の実施形態に係るラベル連続体からラベルを分離させて貼付させるのに使用するこの発明の実施形態に係るラベル貼付装置の概略説明図である。
【図4】上記の実施形態に係るラベル貼付装置において、ラベル分離部材に設けた各差込片をラベル基材に形成された各切れ目に差し込む前の状態を示した概略斜視図である。
【図5】上記の実施形態に係るラベル貼付装置において、ラベル分離部材に設けた各差込片をラベル基材に形成された各切れ目に差し込んだ状態を示した概略正面図である。
【図6】上記の実施形態に係るラベル貼付装置によりラベル連続体からラベルを分離させて被貼付物に貼着させる状態を示した概略側面図である。
【図7】上記の実施形態に係るラベル貼付装置によりラベル連続体からラベルを分離させて被貼付物に貼着させた状態を示した概略側面図である。
【符号の説明】
【0041】
10 ラベル連続体
10a ラベル
11 ラベル基材
11a シート基材
11b 感熱記録層
11c 剥離剤層
12 粘着剤層
13a ミシン目
13b 切れ目
20 ラベル貼付装置
21 巻き芯
22 保持部
23 送り出し口
24 感熱記録装置(プリント機構)
25 送りローラ(ラベル移送機構)
26 ラベル分離部材
26a 差込片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
裏面に粘着剤層が形成された長尺状のラベル基材をその幅方向に切断して各ラベルに分離させるラベル連続体において、上記のラベル基材を切断する各位置に、ミシン目と少なくとも1つの連続した切れ目とが形成されていることを特徴とするラベル連続体。
【請求項2】
請求項1に記載のラベル連続体において、上記の連続した切れ目が、ラベル基材の幅方向の中間位置に形成されていることを特徴とするラベル連続体。
【請求項3】
ラベル連続体を保持する保持部と、保持部に保持されたラベル連続体を順々に移送させるラベル移送機構と、移送されたラベル連続体を切断させてラベルを分離させるラベル分離部材とを備えたラベル貼付装置において、請求項1又は請求項2に記載したラベル連続体を用いると共に、上記のラベル分離部材に上記のラベル基材に設けられた連続した切れ目に差し込む差込片を設けたことを特徴とするラベル貼付装置。
【請求項4】
請求項3に記載のラベル貼付装置において、上記の差込片が、連続した切れ目に差し込む差込側先端部から差込方向と逆方向に向かって幅広がり状に形成されていることを特徴とするラベル貼付装置。
【請求項5】
請求項3又は請求項4に記載のラベル貼付装置において、上記の保持部に上記のラベル連続体が巻回された状態で保持されていることを特徴とするラベル貼付装置。
【請求項6】
請求項3〜請求項5の何れか1項に記載のラベル貼付装置において、上記の保持部より移送されたラベル連続体におけるラベル基材の表面にプリントを行うプリント機構を設けたことを特徴とするラベル貼付装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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