説明

ラペルガード

【課題】振動を受けても確実に適正な装着状態を維持し続けてラペルの形崩れを防止し得るラペルガードを提供し、テーラードカラーを持つ衣料品の梱包箱による運搬を実現する。
【解決手段】各翼片部7,8の下端部同士を連結部9で連結した略U字形のシート材10を備え、各翼片部7,8の内側辺11の下方位置に段差を付して折り曲げ起点12,13を夫々設定し、これらから上方へ向け互いに離間するように延びる折り曲げ線14と、折り曲げ線14と内側辺11との間を折り曲げ起点12,13から上方へ向け中途位置まで延びる折り曲げ線15と、各折り曲げ起点12,13の夫々から直下へ延びる折り曲げ線17,18とを夫々形成し、各翼片部7,8に切り込み線19を形成し、各翼片部7,8の内側辺11を外側へ折り起こして切り込み線19に差し込むための差し込み片20を各内側辺11に形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラペルガードに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、衣料品業界においては、ジャケットや背広などのテーラードカラーの下衿部分のことをラペル(日本では単に「返り」と呼ばれることもある)と称しており、例えば、図6に例示する如き三つボタンのジャケット1では、きざみの切り替えを境に上衿部分2をカラー側に属するものとして扱っているが、下衿部分はラペル3として呼び分けて身頃4側に属するものとして扱っている。
【0003】
そして、この種のテーラードカラーを持つ衣料品にあっては、胸元のラペル3のソフト感が非常に重要であり、ラペル3の折り返し線のところが、ふんわりと膨らんでカーブしているような風合が良いとされているが、逆にアイロンを掛けた時のようにラペル3の折り返し線の膨らみが潰れて平坦に折れてしまうと、製品の高級感が著しく損なわれる結果となり、クリーニング店などで立体的なプレスを依頼しない限りラペル3の折り返しの膨らみを復元することができなくなって商品価値の大幅な低下を招いてしまう。
【0004】
このため、ジャケット1や背広などの出荷時の運搬に際しては、ラペル3の形崩れが生じないようハンガー5に吊るして運搬するハンギング方式が採用されており、一般衣料品のように梱包箱に重ねて詰め込んで運搬するといった方式は採用されてこなかった。
【0005】
ただし、前述した如きハンギング方式による運搬では、トラックへの荷積みの効率が著しく悪いため、商品運搬コストが高くついてしまうという不具合があり、梱包箱による運搬を実現するべく、ジャケット1や背広などのラペル3と身頃4との間に挿し入れて前記ラペル3の形崩れを防止し得るようなラペルガードの提供が望まれている。
【0006】
尚、この種のラペルガードに関連する先行技術文献情報としては下記の特許文献1や特許文献2などがある。
【特許文献1】実公昭38−22337号公報
【特許文献2】実公昭31−9844号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1、2に示されている如き既提案のラペルガードは、ジャケット1などを折り畳んでタンスなどに収納しておくことを目的としたものであったため、左右のラペル3と身頃4との間に確実に留まるような固定機能が特に付与されておらず、これらをそのまま梱包箱での運搬に転用したとしても、運搬時に梱包箱が振動を受けることでラペルガードがラペル3と身頃4との間から外れて保形効果が得られなくなる虞れがあった。
【0008】
より具体的に述べると、特許文献1で提案されているラペルガードは、襟首に掛け回せるようにした馬蹄形の本体により、V字型又はO字型の断面を有する左右一対の型部を連結した構造を成し、その左右一対の型部をラペル3と身頃4との間に挿し入れて形崩れを防止するようになっているが、このような構造のラペルガードでは、ハンガーなどに吊るした際に各型部を落とさなくて済むという落下防止機能を期待できても、折り畳み収納時に各型部が振動を受けて外側へ移動してしまうことは防げないため、運搬途中に各型部がラペル3と身頃4との間から外れてしまう可能性が高かった。
【0009】
また、特許文献2で提案されているラペルガードは、薄板を折り曲げて形成した隙間にラペルを挿入せしめて該ラペルに装着できるようにした左右で別体のラペルガードとなっているが、該各ラペルガードはラペルの挿入方向と逆向きの方向となる下方向きの移動が起こり易い装着形態となっており、しかも、左右のラペルガードが別体であることから互いに引き止め合う機能も備えられていないため、折り畳み収納時に振動を受ければ、各ラペルガードの夫々が下方向きに移動してラペル3に対する適正な装着状態(保形効果が得られる装着状態)が解けてしまう可能性が高かった。
【0010】
要するに、図6を見れば明らかな通り、ジャケット1などのラペル3は、ジャケット1などのボタンを閉じた状態で互いの下端部分が前後に重なり合うことになるが、もともと立体的で嵩張っているラペルガード同士も部分的に重なり合うことになるため、斯かる状態に折り畳んだジャケット1などを梱包箱に積み重ねていくと、部分的に重なり合うラペルガードに上載荷重がかかることで該ラペルガードを外す方向への力が発生し、このような力がかかっている状態で振動を受けることでラペルガードが移動し易くなってしまうのである。
【0011】
本発明は上述の実情に鑑みてなしたもので、振動を受けても確実に適正な装着状態を維持し続けてラペルの形崩れを防止し得るラペルガードを提供することによって、テーラードカラーを持つ衣料品の梱包箱による運搬を実現することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、テーラードカラーを持つ衣料品のラペルと身頃との間に挿し入れて前記ラペルの形崩れを防止するラペルガードであって、両側に翼片部を備え且つ該各翼片部の下端部同士を連結部で連結した略U字形のシート材から成り、各翼片部の互いに向かい合う内側辺の下方位置に相互に高さ方向の段差を付して折り曲げ起点を夫々設定し、該各折り曲げ起点から上方へ向け互いに離間するように延びる第一の折り曲げ線と、各翼片部の夫々で第一の折り曲げ線と内側辺との間を折り曲げ起点から上方へ向け中途位置まで延びる第二の折り曲げ線と、前記各折り曲げ起点の夫々から直下へ延びてシート材の下側辺に到る第三の折り曲げ線とを夫々形成し、各翼片部における第一の折り曲げ線より外側位置で折り曲げ起点に向けて短く延びる切り込み線を形成し、前記第一及び第二の折り曲げ線を谷折りにして前記各翼片部の内側辺を外側へ折り起こした際に前記切り込み線に差し込んで折り起こし状態を保持し得るよう各翼片部の内側辺に差し込み片を形成したことを特徴とするものである。
【0013】
而して、このように構成されたシート材から成るラペルガードを使用可能な状態に組み立てるに際し、第一及び第二の折り曲げ線を谷折りにして各翼片部の内側辺を外側へ折り起こし、該各内側辺の差し込み片を左右の切り込み線に差し込むと、各翼片部の夫々に下方向きに先細りとなる三角錐状の隆起部が形成され、該各隆起部がV字形を成すように配置される。
【0014】
この際、左右の隆起部の稜線を成す第二の折り曲げ線は、折り曲げ起点から上方へ向け中途位置までしか延びていないので、山高さが高くなる上方の隆起部は、明確な稜線を持たずに緩やかな曲面を描くような膨らみを形成するものとなる。
【0015】
次いで、高さが低い方の折り曲げ起点から直下へ延びる第三の折り曲げ線を山折りとし、高さが高い方の折り曲げ起点から直下へ延びる第三の折り曲げ線を谷折りとして、一方の翼片部に他方の翼片部を部分的に折り重ねるようにすれば、ラペルガードが使用可能な状態に組み立てられることになる。
【0016】
そして、このように組み立てられたラペルガードを、テーラードカラーを持つ衣料品に装着するにあたっては、高さが高い方の折り曲げ起点から直下に延びる第三の折り曲げ線の谷折り部分を、前後に重なり合う身頃同士の間に挿し入れて一方の翼片部(高さが高い方の折り曲げ起点が設定されている側の翼片部)を後側の身頃の表面に沿わせると共に、この谷折り部分の上側に位置する隆起部を後側の身頃のラペル裏に挿し入れ、また、高さが低い方の折り曲げ起点から直下に延びる第三の折り曲げ線の山折り部分で他方の翼片部(高さが高い方の折り曲げ起点が設定されている側の翼片部)を前側の身頃の表面に折り返して沿わせ、この山折り部分の上側に位置する隆起部を前側の身頃のラペル裏に挿し入れるようにすれば良い。
【0017】
このようにすれば、各隆起部の大半の部分で三角錐状のボックス構造が形成され且つ切り込み線と差し込み片との係合により折り返し状態が強固に保持されることで上載荷重に対する高い強度が発揮され、テーラードカラーを持つ衣料品を折り畳んで梱包箱に積み重ねていっても、各ラペルの形崩れがラペルガードの隆起部により防止され、該各ラペルの折り返しの膨らみがソフト感のある状態に保持されることになる。
【0018】
尚、山高さが高くなる上方の隆起部は、明確な稜線を持たずに緩やかな曲面を描くような膨らみを形成するものとなっているので、積み重ねられる衣料品に対し隆起部の稜線の跡が付くような不具合の心配はない。
【0019】
しかも、このラペルガードは、各翼片部と連結部とが成すZ字状のジグザグ折りを利用して身頃同士の重なり合いに対応させた極めて特徴的な装着形態を採用しているので、振動を受けても確実に適正な装着状態を維持し続けるような固定機能が発揮されることになる。
【0020】
即ち、ラペルガードの各翼片部が互いに離間する方向へ移動してラペル裏から外れるには、各翼片部の間でZ字状に折り畳まれている連結部の起立動作を伴うことになるため、このような連結部の起立動作が衣料品の上載荷重で押え込まれた状態にあっては、各翼片部の互いに離間する方向への移動が全く不可能となる。
【0021】
更に、前側の身頃の閉じ合わせ端部が、その表側の翼片部と裏側の連結部とにより挾持されることになるため、衣料品の積み重ね時に上載荷重がかかる程にラペルガードが前側の身頃から外れ難くなり、これに左右の翼片部が連結部を介し互いに引き止め合う機能も相まって適正な装着状態(保形効果が得られる装着状態)が良好に維持されることになる。
【0022】
また、本発明においては、高さが低い方の折り曲げ起点を設定された翼片部の外側辺に前記折り曲げ起点と略同じ高さで内側へ切れ込む第一のスリットを形成し、高さが高い方の折り曲げ起点から直下へ延びる第三の折り曲げ線を横断して前記第一のスリットと同じ高さで左右方向に延在する第二のスリットを形成することが好ましい。
【0023】
このようにすれば、高さが高い方の折り曲げ起点から直下へ延びる第三の折り曲げ線を谷折りとした際に、その谷折り部分に第二のスリットが二つ折りの状態で重合されて一端を開放した半分の長さのスリットが形成されるので、このスリットに第一ボタンの縫着部分を通しながら前後の身頃間に前記谷折り部分を挿し入れることが可能となり、他方、前側の身頃の表面に折り返した翼片部の第一のスリットに前記第一ボタンの縫着部分を同様に通して掛止させることも可能となる。
【0024】
尚、シート材は厚紙により構成されていることが好ましく、このようにすれば、ラペルガードの製作を容易ならしめ且つ安価な素材を利用することにより製作コストの大幅な低減化を図ることが可能となる。
【発明の効果】
【0025】
上記した本発明のラペルガードによれば、下記の如き種々の優れた効果を奏し得る。
【0026】
(I)本発明の請求項1に記載の発明によれば、振動を受けても確実に適正な装着状態を維持し続けてラペルの形崩れを防止することができるので、テーラードカラーを持つ衣料品の梱包箱による運搬を実現することができ、トラックなどへの荷積みの効率を著しく向上させて商品運搬コストの大幅な低減化を図ることができる。
【0027】
(II)本発明の請求項2に記載の発明によれば、第一及び第二のスリットに第一ボタンの縫着部分を通すことによりラペルガードを第一ボタンに掛止させることができるので、より一層確実な固定機能をラペルガードに付与することができ、該ラペルガードを更に確実に適正な装着状態に維持することができる。
【0028】
(III)本発明の請求項3に記載の発明によれば、シート材を厚紙で構成することによって、ラペルガードの製作を容易ならしめ且つ安価な素材を利用することで製作コストの大幅な低減化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【0030】
図1〜図5は本発明を実施する形態の一例を示すもので、図6と同一の符号を付した部分は同一物を表わしている。
【0031】
本形態例においては、図1に示す如きジャケット1(テーラードカラーを持つ衣料品)のラペル3と身頃4との間に挿し入れて前記ラペル3の形崩れを防止するラペルガード6を、図2に示す如き両側に翼片部7,8を備え且つ該各翼片部7,8の下端部同士を連結部9で連結した略U字形の厚紙から成るシート材10で構成するようにしている。
【0032】
このシート材10の詳細について図2を参照しつつ以下に説明すると、各翼片部7,8の互いに向かい合う内側辺11の下方位置には、相互に高さ方向の段差を付された折り曲げ起点12,13が夫々設定されており、該各折り曲げ起点12,13から上方へ向け互いに離間するように延びる折り曲げ線14と、各翼片部7,8の夫々で折り曲げ線14と内側辺11との間を折り曲げ起点12,13から上方へ向け中途位置まで延びる折り曲げ線15と、前記各折り曲げ起点12,13の夫々から直下へ延びてシート材10の下側辺16に到る折り曲げ線17,18とが夫々形成されている。
【0033】
これら折り曲げ線14,15,17,18を形成するに際しては、例えば、夫々の裏面の表層部にのみミシン目などの弱め線を入れて折り曲げ易くしておけば良く、端的に言えば、意図した位置に折れ線の形成が誘導されるようになっていれば良い。
【0034】
また、各翼片部7,8における折り曲げ線14より外側位置には、折り曲げ起点12,13に向けて短く延びる切り込み線19が形成されていると共に、前記折り曲げ線14,15を谷折りにして前記各翼片部7,8の内側辺11を外側へ折り起こした際に前記切り込み線19に差し込んで折り起こし状態を保持し得るよう各翼片部7,8の内側辺11に差し込み片20が形成されている。
【0035】
更に、本形態例においては、高さが低い方の折り曲げ起点13を設定された翼片部8の外側辺に、前記折り曲げ起点13と略同じ高さで内側へ切れ込むスリット21が形成されていると共に、高さが高い方の折り曲げ起点12から直下へ延びる折り曲げ線17を横断して前記スリット21と同じ高さで左右方向に延在するスリット22が形成されている。
【0036】
而して、このように構成されたシート材10から成るラペルガード6を使用可能な状態に組み立てるに際し、折り曲げ線14,15を谷折りにして各翼片部7,8の内側辺11を外側へ折り起こし、該各内側辺11の差し込み片20を左右の切り込み線19に差し込むと、図3に示す如く、各翼片部7,8の夫々に下方向きに先細りとなる三角錐状の隆起部23が形成され、該各隆起部23がV字形を成すように配置される。
【0037】
この際、左右の隆起部23の稜線を成す折り曲げ線15は、折り曲げ起点12,13から上方へ向け中途位置までしか延びていないので、山高さが高くなる上方の隆起部23は、明確な稜線を持たずに緩やかな曲面を描くような膨らみを形成するものとなる。
【0038】
次いで、高さが低い方の折り曲げ起点13から直下へ延びる折り曲げ線18を山折りとし、高さが高い方の折り曲げ起点12から直下へ延びる折り曲げ線17を谷折りとして、図4に示す如く、一方の翼片部7に他方の翼片部8を部分的に折り重ねるようにすれば、ラペルガード6が使用可能な状態に組み立てられることになる。
【0039】
そして、このように組み立てられたラペルガード6を、ジャケット1に装着するにあたっては、図1及び図5に示す如く、折り曲げ起点12から直下に延びる折り曲げ線17の谷折り部分を、前後に重なり合う身頃4同士の間に挿し入れて一方の翼片部7を後側の身頃4の表面に沿わせると共に、この谷折り部分の上側に位置する隆起部23を後側の身頃4のラペル3裏に挿し入れ、また、折り曲げ線18の山折り部分で他方の翼片部8を前側の身頃4の表面に折り返して沿わせ、この山折り部分の上側に位置する隆起部23を前側の身頃4のラペル3裏に挿し入れるようにすれば良い。
【0040】
この際、本形態例においては、折り曲げ線17を谷折りとした際に、その谷折り部分にスリット22が二つ折りの状態で重合されて一端を開放した半分の長さのスリット22’が形成されるので、このスリット22’に第一ボタン24(図1参照)の縫着部分を通しながら前後の身頃4間に前記谷折り部分を挿し入れることが可能となり、他方、前側の身頃4の表面に折り返した翼片部8のスリット21に前記第一ボタン24の縫着部分を同様に通して掛止させることも可能となる。
【0041】
このようにすれば、各隆起部23の大半の部分で三角錐状のボックス構造が形成され且つ切り込み線19と差し込み片20との係合により折り返し状態が強固に保持されることで上載荷重に対する高い強度が発揮され、ジャケット1を折り畳んで梱包箱に積み重ねていっても、各ラペル3の形崩れがラペルガード6の隆起部23により防止され、該各ラペル3の折り返しの膨らみがソフト感のある状態に保持されることになる。
【0042】
尚、山高さが高くなる上方の隆起部23は、明確な稜線を持たずに緩やかな曲面を描くような膨らみを形成するものとなっているので、積み重ねられる衣料品に対し隆起部23の稜線の跡が付くような不具合の心配はない。
【0043】
しかも、このラペルガード6は、各翼片部7,8と連結部9とが成すZ字状のジグザグ折り(図5参照)を利用して身頃4同士の重なり合いに対応させた極めて特徴的な装着形態を採用しているので、振動を受けても確実に適正な装着状態を維持し続けるような固定機能が発揮されることになる。
【0044】
即ち、ラペルガード6の各翼片部7,8が互いに離間する方向(図5中に矢印A,Bで示す方向)へ移動してラペル3裏から外れるには、各翼片部7,8の間でZ字状に折り畳まれている連結部9の起立動作を伴うことになるため、このような連結部9の起立動作が、積み重ねられるジャケット1の上載荷重で押え込まれた状態にあっては、各翼片部7,8の互いに離間する方向への移動が全く不可能となる。
【0045】
更に、前側の身頃4の閉じ合わせ端部が、その表側の翼片部8と裏側の連結部9とにより挾持されることになるため、ジャケット1の積み重ね時に上載荷重がかかる程にラペルガード6が前側の身頃4から外れ難くなり、これに左右の翼片部7,8が連結部9を介し互いに引き止め合う機能も相まって適正な装着状態(保形効果が得られる装着状態)が良好に維持されることになる。
【0046】
従って、上記形態例によれば、振動を受けても確実に適正な装着状態を維持し続けてラペル3の形崩れを防止することができるので、ジャケット1などのテーラードカラーを持つ衣料品の梱包箱による運搬を実現することができ、トラックなどへの荷積みの効率を著しく向上させて商品運搬コストの大幅な低減化を図ることができる。
【0047】
更に、特に本形態例においては、スリット21,22’に第一ボタン24の縫着部分を通すことによりラペルガード6を第一ボタン24に掛止させることができるので、より一層確実な固定機能をラペルガード6に付与することができ、該ラペルガード6を更に確実に適正な装着状態に維持することができる。
【0048】
また、このようにラペルガード6を第一ボタン24に掛止させるためのスリット21,22(22’)を備えた例では、ラペルガード6を装着した状態のままジャケット1などの衣料品をハンガーで吊るしてもラペルガード6の落下を防止できるという付帯的な効果も期待できる。
【0049】
更に、ここで説明している例では、ラペルガード6を成すシート材10を厚紙で構成するようにしているので、ラペルガード6の製作を容易ならしめ且つ安価な素材を利用することで製作コストの大幅な低減化を図ることができる。
【0050】
尚、本発明のラペルガードは、上述の形態例にのみ限定されるものではなく、図示例では男性用のジャケットの例で説明しているが、女性用のジャケットなどでは、左右の身頃の重ね合わせ方が男性用と反対になることが多いため、そのような場合には、折り曲げ起点の段差を図示例とは逆に付すようにしても良いこと、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明を実施する形態の一例を示す正面図である。
【図2】図1のラペルガードを成すシート材の一例を示す正面図である。
【図3】図2の各翼片部の内側辺を外側へ折り起こした状態を示す正面図である。
【図4】図3の各翼片部を部分的に折り重ねた状態を示す正面図である。
【図5】図4のV−V方向の矢視の断面図である。
【図6】テーラードカラーを持つ衣料品の一例を示す正面図である。
【符号の説明】
【0052】
1 ジャケット(テーラードカラーを持つ衣料品)
2 上衿部分
3 ラペル
4 身頃
5 ハンガー
6 ラペルガード
7 翼片部
8 翼片部
9 連結部
10 シート材
11 内側辺
12 折り曲げ起点
13 折り曲げ起点
14 折り曲げ線(第一の折り曲げ線)
15 折り曲げ線(第二の折り曲げ線)
16 下側辺
17 折り曲げ線(第三の折り曲げ線)
18 折り曲げ線(第三の折り曲げ線)
19 切り込み線
20 差し込み片
21 スリット(第一のスリット)
22 スリット(第二のスリット)
22’ スリット
23 隆起部
24 第一ボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テーラードカラーを持つ衣料品のラペルと身頃との間に挿し入れて前記ラペルの形崩れを防止するラペルガードであって、両側に翼片部を備え且つ該各翼片部の下端部同士を連結部で連結した略U字形のシート材から成り、各翼片部の互いに向かい合う内側辺の下方位置に相互に高さ方向の段差を付して折り曲げ起点を夫々設定し、該各折り曲げ起点から上方へ向け互いに離間するように延びる第一の折り曲げ線と、各翼片部の夫々で第一の折り曲げ線と内側辺との間を折り曲げ起点から上方へ向け中途位置まで延びる第二の折り曲げ線と、前記各折り曲げ起点の夫々から直下へ延びてシート材の下側辺に到る第三の折り曲げ線とを夫々形成し、各翼片部における第一の折り曲げ線より外側位置で折り曲げ起点に向けて短く延びる切り込み線を形成し、前記第一及び第二の折り曲げ線を谷折りにして前記各翼片部の内側辺を外側へ折り起こした際に前記切り込み線に差し込んで折り起こし状態を保持し得るよう各翼片部の内側辺に差し込み片を形成したことを特徴とするラペルガード。
【請求項2】
高さが低い方の折り曲げ起点を設定された翼片部の外側辺に前記折り曲げ起点と略同じ高さで内側へ切れ込む第一のスリットを形成し、高さが高い方の折り曲げ起点から直下へ延びる第三の折り曲げ線を横断して前記第一のスリットと同じ高さで左右方向に延在する第二のスリットを形成したことを特徴とする請求項1に記載のラペルガード。
【請求項3】
シート材が厚紙により構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のラペルガード。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate