説明

ラボラトリ物質を保管および保護するための容器ユニット

ラボラトリ物質を保管および保護するためのラボラトリ物質容器ユニットが、保護ハウジングおよび用量分注ユニットを備える。用量分注ユニットを使用可能状態にするために、保護ハウジングは取外し自在である。同ユニットの取扱いの簡易性および安全性を最適化し、中に収容されたラボラトリ物質に対する必要な保護を実現するための手段として、少なくとも1つのチャンバが、保護ハウジング内に形成され、処理剤で充填される。少なくとも1つのチャンバは、内部スペースの方向に向けられた通路開口を有し、この通路開口は、チャンバ閉鎖要素により、気密式に閉鎖することが可能となっている。好ましくは、チャンバ内部の処理剤は、保護筐体を製造する工程内ですでに、チャンバ内に充填され、チャンバ閉鎖要素により気密式に密閉することが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラボラトリ用途について典型的な量の粉末およびペーストを保管および保護するための容器ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
新物質を開発し、製造工程から中間生成物および試料を分析する、地域規模の経営または世界規模の経営を行う企業においては、ワークフロー全体の中の大部分の時間が、ラボラトリ内における、さらには世界中に分散されたな様々なラボラトリ内における様々な場所にて、ソース容器から収容容器内に測定用量のこれらの物質を分注するために必要な、ロジスティクス工程に費やされる。特に、例えば有害物質または発がん性物質などの危険物質の場合においては、必要な安全対策には、非常に多大な時間がかかり、多大なコストがかかる。物質を移動させる自動供給器デバイスを備える大型の用量分注システムのコストは、非常に高額であるため、この種の用途に見合うものとはなり得ない。
【0003】
したがって、このワークフローをより効率的なものにするためには、より多数の器具をそれぞれ異なる各場所に配置することを可能にする、より安価な用量分注器具が必要である。このような用量分注器具は、高精度化学天秤において使用可能な後付け可能ユニットとして構成されると、特に有利である。作動デバイスに結合可能および結合解除可能な用量分注ユニットが、FR2846632A1に開示されている。この用量分注デバイスは、基本的には、分注ヘッドに連結されるリザーバ容器から構成される。分注ヘッドは、スライダ弁による開閉が可能な出口開口を有する。物質を中に収容した用量分注ユニットを保管するためには、分注ヘッド全体、特にその開口を、保護用押込みキャップにより外部から密閉することが可能である。開示されている用量分注ユニットは、いわゆる化合物ライブラリ、すなわち環境条件が規定され管理された非常に大規模な物質保管所における使用に適する。
【0004】
しかし、用量分注ユニットを世界規模で郵送しなければならない場合には、例えば水分または汚物の侵入を防ぐ措置によりこの用量分注ユニットおよびその中に収容された物質を保護するように、ならびに、例えば有毒物質の過失による漏れなどによって引き起こされるおそれのある人的事故を回避するように、特別な注意を払う必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の目的は、この物質の完全性を保護する、および人的事故のリスクを回避することを目的として、以下のようなラボラトリ物質用の容器ユニットを製作することである。
【0006】
− 取扱いが安全かつ簡単である。
− 例えば水分および汚染物質などの外部の影響から、中に収容された物質を保護する。
【0007】
− 例えば分量分注ユニットからの物質の漏れなどにより引き起こされるおそれのある人的事故を防ぎ、さらにはラボラトリ物質の無許可の取出しを防止する。
− この用量分注ユニット内に収容された物質の属性および状態に関する情報を保持するための手段を備えることが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この挙げられた目的は、独立請求項の装置クレームによる、ラボラトリ物質を保管および保護するためのラボラトリ容器ユニットによって達成される。
ラボラトリ物質を保管および保護するためのラボラトリ物質容器ユニットが、保護ハウジングおよび用量分注ユニットを備える。用量分注ユニットは、リザーバ容器および分注ヘッドを備え、保護ハウジングは、この用量分注ユニットに開放可能に連結される。輸送および保管のために、保護ハウジングは、用量分注ユニットと保護ハウジングとの間の内部スペースが外部からしっかりと密閉されるように、ガスを透過させる分注ヘッドの少なくとも全部品を封入する。作動のために用量分注ユニットを準備するために、保護ハウジングは、用量分注ユニットから取り外すことが可能である。好ましくは、保護ハウジングは、狭ピッチねじ山連結、戻り止め要素を備える差込み結合により、または不正防止シールによって固定させることが可能なクランプオン閉鎖要素により、用量分注ユニットに連結される。保護ハウジングは、周囲スペースと用量分注ユニット内部のラボラトリ物質との間に遮蔽部を形成する、とりわけ分注ヘッド内の漏れ通路をふさぐ、一次的な役割を有する。この隔壁は、分注ヘッドを永久的に気密にすることがほぼ不可能であるために、必要となる。分注ヘッドを通りリザーバ容器内に至る漏れ通路は、特に、流量制御デバイスへの結合連結、および分注ヘッドとリザーバ容器との間の連結のために、分注ヘッド内に設置され得る出口開口およびボアホールを備えるものが可能である。さらに、保護ハウジングは、分注工程の後に出口開口の区域において分注ヘッドの外部に付着したままとなるおそれがある物質粒子が、保護ハウジングの内部スペース内に安全に閉じ込められたままとなり、人間および環境を危険にさらすことがないように、分注ヘッドを囲む隔壁部としての役割を果たす。
【0009】
取扱いを可能な限り簡単におよび安全にするために、ならびに内部に収容される物質に対する必要な保護を実現するために、少なくとも1つのチャンバが、保護ハウジング内に形成され、処理剤で充填される。この少なくとも1つのチャンバは、内部スペースの方向に向けられた通路開口を有し、この通路開口は、チャンバ閉鎖要素により、気密式に閉鎖することができる。好ましくは、チャンバ内に収容される処理剤は、保護ハウジングを製造する工程内ですでに、チャンバ内に充填され、チャンバ閉鎖要素により気密式にシールすることが可能である。
【0010】
このチャンバは、外部からチャンバ内に処理剤を充填することが可能となるように、保護ハウジング内に構成することが可能である。また、保護ハウジングは、複数の部品から構成することが可能である。例えば、保護ハウジングの外側に配置され、通路開口により内部スペースに連結されたチャンバが、保護ハウジングにさらに付属する。
【0011】
例えば乾燥剤を有する小バッグが直に物質と共に封入される、気密式に閉鎖させることが可能なラボラトリ容器が、日常的に使用されることが知られているが、本発明による構成により、この従来の保管コンセプトに勝る多数の利点が提供される。
【0012】
処理剤は、ラボラトリ物質を取り出す際に、およびラボラトリ物質容器ユニットの取扱いにおいて、処理剤に関していかなる問題も生じないように、ラボラトリ物質から常に空間的に分離される。さらに、処理剤は、用量分注ユニットを保護ハウジングに連結する直前に保護ハウジングのチャンバ閉鎖要素が開かれ、それにより処理剤が効力を発揮することが可能となる時点では、すでに定位置にあり、例えば不飽和状態など、完全状態にある。保護ハウジング内のチャンバ閉鎖要素がすでに開いていることが判明した場合には、これは、保護ハウジングがすでに使用され、そのため処理剤が飽和状態にある可能性があり、したがってもはや効力を有さないこと、ならびに、保護ハウジングの内部が汚染されている可能性があることを、明白に示唆することとなる。したがって、チャンバ閉鎖要素は、再度閉じることが不可能であるように設計されると、有利である。例えば、保護ハウジング上に形成された剥ぎ取りタグ、または剥ぎ取りシールステッカを、チャンバ閉鎖要素として使用することが可能である。
【0013】
保管すべきラボラトリ物質に応じて、様々な処理剤を使用することができる。処理剤として使用されることが知られている物質は、例えば、シリカゲル、分子ふるい、活性炭、および活性粘土(カリウムベントナイト)などの結合剤である。しかし、処理剤は、結合剤である必要は必ずしもない。例えば空気から酸素を拘束するまたは置換する処理剤をチャンバに充填することも、実に可能である。置換処理剤を使用する場合には、当然ながら、例えば圧力逃がし弁など、内部スペースから外部への出口が必要である。好ましくは、処理剤は、固体の形態で存在するが、当然ながら、液体または気体としてチャンバ内に充填させることも可能であり、その場合には、チャンバ閉鎖要素および通路開口は、処理剤の凝集状態に応じて設計されなければならない。特別な解決策のために、保管期間の間にリザーバ容器内にてラボラトリ物質を変化させるように意図的に企図されたチャンバ内に、反応成分を充填することが、さらに予期し得る。このような特別な解決策は、処理剤の代わりに、例えば水を、さらには硝酸カリウムなどの酸素担体をチャンバに充填することにより、例えば老化試験において使用することが可能である。
【0014】
当然ながら、通路開口は、非常に様々な様式で構成することが可能である。好ましくは、通路開口は、処理剤が通路開口を通り内部スペース内に漏れることが不可能であるが、通路開口によりガスの通過は依然として可能であるように設計される。粗粒シリカゲルが使用される場合には、例えばふるい挿入物を使用することで十分であるが、より細かい粉の場合には、通路開口内にガス透過性膜または薄織物を配置することが好ましい。
【0015】
同一の保護ハウジングを二度以上使用しなければならない場合には、保護ハウジングは、2つ以上のチャンバを有することが可能であり、各チャンバは、それぞれのチャンバ閉鎖要素を有する。1つの可能な実施形態においては、これらのチャンバはそれぞれ、各チャンバ閉鎖要素を開くことによりラボラトリ物質に特定的に適する1つの処理剤を作用させることが可能となるように、異なる処理剤で充填されてよい。当然ながら、各チャンバ閉鎖要素は、適切な使用説明書を備えることが可能である。当然ながら、2つ以上のチャンバ閉鎖要素を取り外すことにより、一度に複数の処理剤を作用させることが可能である。
【0016】
ラボラトリ物質容器ユニット、具体的にはそのリザーバ容器にラボラトリ物質を充填する簡単な方法を提供するために、リザーバ容器は、物質収容スペースおよび充填開口を有することが可能である。充填開口は、蓋によってしっかりと閉じることが可能であり、それにより、物質収容スペースを、外部に対してしっかりとシールすることが可能になる。好ましくは、蓋と充填開口との連結は、蓋が一度閉じられると二度と開くことができないように設計される。
【0017】
容器ユニット内へのラボラトリ物質の充填を容易にするために、蓋は、蓋および保護ハウジングが互いにそれぞれ別個に用量分注ユニットに連結させることが可能となるように、保護ハウジングの一部ではないことが好ましい。
【0018】
さらに、蓋は、少なくとも1つの蓋チャンバを有することが可能である。少なくとも1つの蓋チャンバは、リザーバ容器が閉じられた状態にある場合に物質収容スペースの方向に向けられている、蓋チャンバ通路開口を有する。さらに、蓋チャンバ通路開口は、チャンバ閉鎖要素により気密式に閉鎖させることが可能である。本明細書でチャンバまたは複数のチャンバとそれらのチャンバ閉鎖要素とに関して述べられたものはすべて、この蓋チャンバについても同様に該当する。
【0019】
特に大型の物質保管システムにおいては、保管された物質を個別に監視することが可能であるという利点は、非常に大きな価値を有する。処理剤またはラボラトリ物質の状態の確認を可能にするために、少なくとも1つの指示器および/またはセンサを、少なくとも1つのチャンバ内に、および/または内部スペース内に、および/または該当する場合には蓋チャンバ内に、配置することが可能である。センサは、湿度センサ、圧力センサ、ガスセンサ、または光センサであってよい。
【0020】
好ましくは、この少なくとも1つのセンサは、ラボラトリ物質容器ユニットの内側または外側に配置される監視ユニットに無線結合連結または有線結合連結される。外部に配置された監視ユニットは、物質保管管理システムに接続させることが可能である。ラボラトリ物質容器ユニットに異常が生じるとすぐに、例えば物質保管管理システムに連結されたロボットが、問題のラボラトリ物質容器ユニットを取り出し、出口または処分ステーションにそのラボラトリ物質容器ユニットを置くように自動的に作動されることが可能であることが、考えられる。
【0021】
チャンバ、および該当する場合には蓋チャンバが、観察窓および指示器を備える場合には、処理剤の状態、またはラボラトリ物質容器ユニットの内部スペース内の条件を、光学的に確認することも可能である。このような指示器は、例えばある特定の水分飽和度に達すると青から赤へと変色するシリカゲルなどの、処理剤であってよい。上述の監視ユニットは、この場合には、光センサにより処理剤の状態を監視することが可能であるが、この光センサは、ラボラトリ物質容器ユニットの内部に配置される必要すらなく、観察窓を介して変色を記録することが可能である。光センサは、この場合には、ラボラトリ物質容器ユニットの設置位置に常設させることが可能である。
【0022】
当然ながら、リザーバ容器、および/または分注ヘッドの少なくとも1つのハウジング構成要素、および/または保護ハウジングは、透明材料から構成することが可能である。これにより、ラボラトリ物質容器ユニット内に残存する物質の量を確認するための、問題のない方法が可能となる。さらに、分注ヘッドが依然としてしっかりとシールされているか否か、または、ラボラトリ物質が保護ハウジングの内部スペース内にすでに存在しており、そのため保護ハウジングを取り外す際に汚染の危険があるか否かを確認することが可能となる。
【0023】
環境による有害な放射線から、ラボラトリ物質容器ユニット内に充填されたラボラトリ物質を保護する手段として、透明材料は、光の特定の波長に対するフィルター特性を有することが可能であり、または、このようなフィルター特性を有する材料によって被覆することが可能である。
【0024】
フィルター特性を有する被覆される材料は、内部スペース内に配置され、さらに指示器特性を有することが可能である。例えば、内部スペース内の相対空気湿度が、高すぎる場合には、被覆材料は、この湿度により変色することが可能である、またはその透明性を失うことさえも可能である。被覆材料は、それ自体が水分の一部を吸収することも可能であり、したがって、処理剤としての役割を果たすことも可能である。
【0025】
有利な実施形態においては、リザーバ容器は、リザーバ容器内の物質の量を簡単な視覚的観察によって確認することが可能となるように、目盛標示をさらに有する。
取扱いを容易にするために、好ましくは、保護ハウジングは、ラボラトリ物質容器ユニットが立つための安定的な基部を形成する平坦底部を有する。この安定的な立設基部により、リザーバ容器へのラボラトリ物質の充填が、安全で容易なものとなる。
【0026】
リザーバ容器および用量分注ユニットの分注ヘッドは、それらが互いから分離されることが可能となるように連結される必要は必ずしもない。蓋および充填開口が設けられる場合には、リザーバ容器および分注ヘッドは、1つの部材として一体的に連結させることも可能である。
【0027】
保護ハウジングは、チャンバに加えて、逆止弁を備え、ガス供給源または真空ポンプに連結させることが可能な、少なくとも1つのガス入口および/または真空連結部を有することが可能である。ガス供給源または真空ポンプへの保護ハウジングの連結は、初めの保管期間の間維持することが可能であり、または、充填もしくは排出するための短期間の間のみ行うことが可能である。ガス供給源または真空ポンプにより、保護ハウジングの内部スペースを、ガス雰囲気または準雰囲気圧のいずれかによって満たすことが可能となり、さらにこのガス雰囲気または準雰囲気圧は、分注ヘッドを通りリザーバ容器内に広がり、用量分注ユニット内の空気と入れ替わる。これは、例えば、少なくとも1つのチャンバ内の処理剤の有効寿命に影響を与えることが可能である。保護ハウジング内および用量分注ユニット内の準大気圧または部分真空は、漏れが生じた場合に空気がラボラトリ物質容器ユニット内に侵入しても、物質は外部に漏れることは不可能であるため、追加的な安全手段としての役割を果たすことが可能である。容器ユニットの内部のガス雰囲気または部分真空を維持することを可能にするためには、密閉式(気密式)閉鎖が必要である。当然ながら、容器ユニットおよびリザーバ容器は、圧力に耐えるのに十分な強度を有するように設計されなければならない。
【0028】
ガス連結に加えて、またはガス連結の代替として、保護ハウジングは、内部スペースにガスを充満させるために外部から作動させることが可能な少なくとも1つのガスカートリッジをさらに備えることが可能である。外部から作動させるため、まず初めに用量分注ユニットが、保護ハウジングによって覆われ、ガスカートリッジの弁が、例えば外部からアクセス可能な押しボタンまたは回転ノブなどによって作動可能であることが必要となる。この設計に応じて、ガスカートリッジの弁は、不可逆的に開くことが可能であるか、または、再度閉じることが可能であってよい。ガスカートリッジの弁を再度閉じることが可能である場合には、それにより、保護ハウジングが二度以上取り外される際に、ラボラトリ物質容器ユニットの再度の組立ての後にその都度ガスで内部スペースを再び充満可能にすることが、可能となる。有利な1つの機能部として、カートリッジのガスによって置き換えられる空気が内部スペースから外部に逃げることが可能となるように、逆止弁を備える開口が存在すべきである。また、保護ハウジングと用量分注ユニットとの間の連結部を介して短期間の間漏れが生じ、それにより内部スペース内の過圧をこの漏れによって解放させることが可能となるような程度にまで、ハウジングが内圧下において膨張する場合には、保護ハウジングと用量分注ユニットとの間の連結部を、このような開口の代わりとすることも可能である。
【0029】
他の一実施形態においては、識別手段を、リザーバ容器に、および/または分注ヘッドに、および/または保護ハウジングに配置させることが可能である。この識別手段は、好ましくは、RFIDタグ、バーコードラベルもしくはマトリクスコードラベル、または印刷接着ラベルもしくは手書き接着ラベルである。
【0030】
他の安全要素として、ラボラトリ物質容器ユニットは、不正防止安全ラベルまたは不正防止シールによってシールすることが可能であり、この不正防止安全ラベルまたは不正防止シールは、保護ハウジングから用量分注ユニットを取り出すためには、視認可能な状態に破られなければならないように設計される。
【0031】
保護ハウジングが、カップ形状構成を有する場合には、分注ヘッドの外側に付着する場合がある用量材料が、特に内部スペース内に凝集することとなる。その場合には、ラボラトリ物質粒子を引き止める挿入物が、保護ハウジングの内部スペース内に配置されてよい。このような挿入物は、例えばラボラトリ物質粒子を静電気により引き寄せるフェルト挿入物またはマイクロファイバ挿入物であってよい。当然ながら、湿潤スポンジ、吸引デバイス、回転洗浄ブラシ、および同様のものなど、他の種類の挿入物を使用することも可能である。
【0032】
当然ながら、上述のラボラトリ物質容器ユニットの取扱いは、ラボラトリロボットによって自動化させることが可能である。このコンセプトを実施するためには、ラボラトリロボットは、以下に説明される工程を実施することが可能である。
【0033】
ラボラトリ物質容器ユニットを充填し、輸送し、保管する方法において、
・ 保護ハウジングが立設基部として連結され、開口した頂部の充填開口を備える、用量分注ユニットのリザーバ容器は、ラボラトリ物質で充填され、
・ 該当する場合には、蓋チャンバ通路開口のチャンバ閉鎖要素は、取り外され、または開かれ、充填開口は、蓋によって閉じられ、
・ ラボラトリ物質容器ユニットは、適切に識別され、場合によってはシールされ、保管所に入れられる、またはその送付先に送られる。
【0034】
充填されたラボラトリ物質容器から物質を分注する方法において、
・ 保護ハウジングは、用量分注ユニットから取り外され、頂部の充填開口は、蓋によって閉じられたままであり、
・ 用量分注ユニットは、作動デバイスに連結され、収容容器の上方の位置に移動され、
・ 用量分注工程が、開始され、
・ 前述の1つまたは複数の物質量が、1つまたは複数の収容容器内に分注された後に、用量分注ユニットは、作動デバイスから取り外され、少なくとも1つのチャンバのチャンバ閉鎖要素は、取り外され、または開かれ、用量分注ユニットは、保護ハウジングに再び連結され、
・ ラボラトリ物質容器ユニットは、保管所に戻される、または処分される。
【0035】
さらに前において述べたように、1つまたは複数のラボラトリ物質容器ユニットを監視するための監視ユニットが存在してよい。充填され、保管所に入れられたラボラトリ物質容器ユニットを監視する方法が、以下のステップ、すなわち、
・ センサから監視ユニットへの測定信号接続が、継続的にもしくは周期的に保たれ、またはユーザの入力により開始されるステップと、
・ センサにより継続的にまたは周期的にまたは一度に送信される測定信号が、監視ユニットによって受信され記録されるステップと、
・ 監視ユニットによって受信された少なくとも1つの測定信号、または測定信号から取得された測定値が、監視ユニット内に記憶された少なくとも1つのしきい値と比較されるステップと、
・ しきい値を超過していることが判明した場合には、警告信号が、監視ユニットに付属する出力ユニットに、または指示器に送信されるステップと
を含むことが可能である。
【0036】
前述の説明から結論付けることが可能である通り、指示器は、例えば変色によってなど、変化を示す物質である必要は必ずしもない。また、指示器は、監視ユニットおよび出力ユニット、ならびに場合によってはセンサを備える電子構成要素であることが可能である。しきい値は、その値を超過した場合に、ラボラトリ物質容器ユニット内に収容されるラボラトリ物質が悪影響を受けるおそれがあるような境界に相当する。例えば、ある粉末状のラボラトリ物質において、内部スペース内の相対湿度が0%から15%である場合には、この物質が自由に流れることが可能であることに対する影響はまったくないが、値が15%を超過すると、各粉末粒子は互いに付着し始める、という可能性がある。したがって、この例におけるしきい値は、15%となる。
【0037】
他の可能性として、例えば、超過した場合にはラボラトリ物質の完全分解を想定しなければならなくなる最高許容温度などの、限度値を規定することが可能である。第2の例として、しきい値が、ラボラトリ物質が分解し始める限度値よりも低い温度に設定される場合には、しきい値を超過した時点の複数の事象を把握すること、およびその超過が継続した期間を把握することにより、ならびに、温度がしきい値を超過した間の作動累積合計時間を記録することにより、ラボラトリ物質の残りの有効寿命を算出することが可能となる。
【0038】
図面に図示される実施形態の説明より、ラボラトリ物質容器ユニットの詳細が明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】用量分注ユニットが保護ハウジングから部分的に引き出された、ラボラトリ物質容器ユニットの3次元図である。
【図2】チャンバに処理剤が充填され、密閉されている、組み立てられた状態の空のラボラトリ物質容器ユニットの断面図である。
【図3】蓋が蓋チャンバを有する、保管可能なまたは輸送可能な状態の、組み立てられた状態の、充填されたラボラトリ物質容器ユニットの断面図である。
【図4】図3のラボラトリ物質容器ユニットと実質的に類似のものであるが、自動チャンバ閉鎖要素を備える、充填されたラボラトリ物質容器ユニットの断面図である。
【図5】図3のラボラトリ物質容器ユニットと実質的に類似のものであるが、第1の実施形態の回転可能なチャンバ閉鎖要素を備える、充填されたラボラトリ物質容器ユニットの断面図である。
【図6】図3のラボラトリ物質容器ユニットと実質的に類似のものであるが、第2の実施形態の回転可能なチャンバ閉鎖要素を備える、充填されたラボラトリ物質容器ユニットの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
図1は、第1の実施形態によるラボラトリ物質容器ユニット1を図示する。リザーバ容器3および分注ヘッド5を備える用量分注ユニット2が、保護ハウジング15から部分的に引き出された状態で示される。注出可能なバルク材料用の小型保管ホッパのような外観を呈し、円筒状上部8および漏斗形状下部9を有するリザーバ容器3は、好ましくは、透明材料から構成され、リザーバ容器3内のラボラトリ物質の量を容易に推定することが可能となるように目盛標示50を有する。
【0041】
ラボラトリ物質容器ユニット1またはその構成要素の中の1つの空間的配向に関して、「上部」、「下部」、「上方」、「下方」、等々の表現は、リザーバ容器が頂部に位置し、分注ヘッドが最下部に位置する、物質の分注に関して作動可能状態にある用量分注ユニットの配向を常に参照とする。
【0042】
リザーバ容器3の頂部を覆う蓋11が、幅広充填開口10を閉じる。図示される例においては、蓋11は、雌ねじを有し、この雌ねじは、リザーバ容器3上の第1の雄ねじ4に係合する。さらに、蓋11は、リザーバ容器3を外部環境から密閉式にシールするためのシールリング(図示せず)または別の適切な手段を有することが可能である。リザーバ容器3は、その下方端部が、分注ヘッド5内の雌ねじに係合する第2の雄ねじ12によって、分注ヘッド5に連結される。当然ながら、分注ヘッド5およびリザーバ容器3を、1つの部材として互いに一体的に連結させることも可能である。リザーバ容器3は、円筒状上部8から漏斗形状下部9への移行部分にて、突出鞍部13および第3の雄ねじ14を有する。整合する雌ねじ16を備える保護ハウジング15は、ねじ式にはめ込まれて、この鞍部13に緊密に当接することが可能である。用量分注ユニット2と保護ハウジング15との間に密閉シールを形成するために、シールリング(図2および図3に図示される)を、鞍部13とカップ形状の保護ハウジング15のリムとの間に挿入することが可能である。また、保護ハウジング15は、ガス連結部または真空連結部51を備えることが可能であり、それにより、弁を介してガス供給源(図示せず)または真空ポンプを連結して、保護ハウジング15の内部にガス雰囲気または準周囲圧レベルのいずれかを生じさせ、これが、分注ヘッド5内のガス透過性通路を通りリザーバ容器3内にまで広がるようにすることが可能となる。
【0043】
分注ヘッド5内のガス透過性通路は、分注ヘッド5のハウジング内に可動式に拘束され、出口開口のオリフィス孔を可変式に調節する役割を果たす、とりわけ閉鎖要素6によって制御される。
【0044】
用量分注ユニットを他と識別するための手段として、用量分注ユニットは、例えばバーコードラベルまたはRFIDタグなどの識別手段19を備えることが可能である。しかし、好ましいコンセプトとしては、分注ヘッド5、リザーバ容器3、蓋11、および保護ハウジング15などのすべての分離可能な構成要素が、識別手段19を備え、それによって、これらの全構成要素を、互いに属するものとして明白に識別することが可能となり、混同による相互汚染の危険が生じるおそれがなくなる。
【0045】
さらに、保護ハウジング15は、チャンバ17を含み、このチャンバ17は、破線により示される。チャンバ17の内部は、保護ハウジング15がチャンバ17の区域に透明窓18を有するため、外部から視認することが可能である。
【0046】
図2は、組み立てられた状態の空のラボラトリ物質容器ユニット21の断面図を示す。このラボラトリ物質容器ユニット21は、図1のラボラトリ物質容器ユニットとほぼ同一であるが、リザーバ容器23の頂部が閉じられているという重要な例外を有する、本発明の第2の実施形態である。これは、充填開口も蓋もなく、したがって、蓋の位置での大気中への漏れまたは過失による蓋の持ち上がりの危険が、回避されるという利点を有する。しかし、他方では、ラボラトリ物質をリザーバ容器23内に充填する工程が、図1の容器ユニットを用いる場合よりも困難なものになる。充填工程のためには、用量分注ユニット22が、保護ハウジング35から分離されて、上下を反転されなければならず、分注ヘッド5が、取り外されなければならず、ラボラトリ物質が、最下部の、より小さく、実用性でより劣る開口を介して充填されなければならない。
【0047】
図2は、分注ヘッド5のハウジングと閉鎖要素6との間の漏れ通路またはリングギャップを、図1よりもさらにより明瞭に示す。
保護ハウジング35は、図1のコンテクストにおいてすでに説明されたチャンバ17を備える。保護ハウジング35の内部スペース28とチャンバ17との間には、チャンバ閉鎖要素30により気密式に閉鎖された通路開口29がある。図2に図示されるチャンバ閉鎖要素30は、ふるい様の通路開口29のすべての穴を覆いシールする箔状ステッカである。チャンバ17は、例えば乾燥シリカゲルなどの処理剤52で充填される。チャンバ密閉要素30を単に剥ぎ取ることにより、通路開口29は、開放され、それにより、処理剤52の効果は、内部スペース28内に広がり、分注ヘッドの漏れ口を通り用量分注ユニット22内に及ぶ。チャンバ閉鎖要素30の剥ぎ取りまたは開放は、手動により行われなければならないわけで必ずしもはなく、適切な設計構成により、保護ハウジング35を用量分注ユニット22に接合させる工程において自動的に行うことが可能である。例えば、分注ヘッド5上に形成されたフック(図面には図示されない)が、箔状ステッカを剥ぎ取るまたはカバー蓋を持ち上げて取る役割を果たすことが可能である。透明窓18を介して、本明細書において一例として挙げられる乾燥シリカゲルが変色しているか否か、すなわちシリカゲルが水分により飽和されているか否かを確認することが可能である。当然ながら、処理剤52に応じて、この処理剤に特殊指示器(図2には図示せず)を追加することも可能である。酸性の蒸気を放出するラボラトリ物質においては、処理剤52は、例えばカルシウム含有物質であってよく、指示器は、例えばリトマス試験紙細片である。
【0048】
当然ながら、透明窓18の代替として、または透明窓18に加えて、少なくとも1つのセンサ55およびこのセンサ55に接続された少なくとも1つの監視ユニット56を使用することが可能である。センサ55が配置される位置と監視ユニット56が配置される位置とは、無関係である。センサ55は、ラボラトリ物質容器ユニット21の内部の対象とされる条件を検出することが可能であるという要件、より具体的には、例えば相対湿度などの前記条件を示唆するパラメータを測定することが可能であるという要件を、満たすだけでよい。センサ55は、例えばリザーバ容器23の内側に、または保護ハウジング35の内側に配置させることが可能であり、物理的接続57または無線接続57により、外部に配置される監視ユニット56に接続させることが可能である。さらに、センサ55は、例えばチャンバ17内に含まれる処理剤52の充填レベル、または指示器の変色などを検出するために、例えば透明窓18の近傍などに、外側に設置することも可能である。当然ながら、センサ55および監視ユニット56は、保護ハウジング35内に組み込むことが可能である。
【0049】
好ましくは、保護ハウジング35の底部27は、ラボラトリ物質容器ユニット21のための安定的な立設基部または脚部を形成するように、平坦である。当然ながら、保護ハウジング35は、例えば連結具ソケットまたは結合突起部など、機械的および電気的結合要素を備えることが可能である。これらの結合要素により、ラボラトリ物質容器ユニット23を、ラボラトリ物質容器ユニット21用の複数ユニット収容ラックなどの他のラボラトリ装置と、またはラボラトリロボットなどの搬送システムと、好都合におよび安全に連結させることが可能となる。
【0050】
図3は、保管可能または輸送可能な状態の、組み立てられた状態の、ラボラトリ物質容器ユニット101の断面図を示す。用量分注ユニット102のリザーバ容器123は、ラボラトリ物質150で充填されている。図1におけるように、リザーバ容器123は、蓋111により閉じられる充填開口を有する。蓋チャンバ131が、蓋111内に形成される。蓋チャンバ131と蓋111の内側との間に、蓋チャンバ通路開口134があり、これは、蓋閉鎖要素135により気密式にシールされる。蓋チャンバ131内には、処理剤で充填されガス透過性の袋133、および指示器132が配置される。蓋111が透明プラスチックから構成されることにより、指示器132は、外部から観察することが可能であり、好都合である。
【0051】
保護ハウジング115内には、2つのチャンバ117、118が形成され、これらのチャンバはそれぞれ、通路開口129を有する。一方のチャンバ118は、チャンバ閉鎖要素130により気密式にシールされたままであり、他方のチャンバ117は、保護ハウジング115の内部スペース128に開口している。それに加えて、チャンバ117、118を簡単な様式で充填するために、チャンバ117、118はそれぞれ、シールプラグ119により気密式にシール可能な充填開口をさらに有する。また、このシールプラグ119は、開けることができなくするために、接着剤により保護ハウジング115に接合させる、または保護ハウジング115に溶接することが可能である。
【0052】
保護ハウジング115は、ラボラトリ物質粒子を拘束する挿入物155を収容してよい。この挿入物155は、例えば、ラボラトリ物質粒子を静電気により引き寄せるフェルト挿入物またはマイクロファイバ挿入物であってよい。
【0053】
図4は、用量分注ユニット102が図3に図示される用量分注ユニットと同一である、充填されたラボラトリ物質容器ユニット201の断面図を示し、したがって、この用量分注ユニットを再度詳細に説明する必要はない。図4に図示される保護ハウジング215は、弁本体242を備える自動チャンバ閉鎖要素を有する。リング形状チャンバ218が、保護ハウジング215の床部区域に形成され、処理剤252で充填される。複数の通路開口229が、チャンバから保護ハウジング215の中央部の方向にラジアル方向に延在する。リング形状チャンバ218の中央には、弁本体242が配置され、弁本体242は、弁本体242の上に形成された端部停止部によって限定される直線運動範囲内で摺動可能である。弁本体242は、ばね241により、用量分注デバイス102が保護ハウジング215内に設置される方向に逆らうように押される。弁本体242は、用量分注ユニット102が保護ハウジング215にしっかりと連結され次第、内部スペース228内のガス状媒体がチャンバ218と内部スペース228との間で自在に循環することが可能となるように、構成配置され、通路開口229と対にされた、複数の窓243、244を有する。これは、例えば分注ヘッドなどの用量分注ユニット102の部品により、弁本体242を、ばね241の付勢力に逆らうように押すことが可能であることによって、可能となっている。保護ハウジング215が、用量分注ユニットから外され次第、ばね241は、弁本体215を閉鎖位置まで押し、チャンバ218の通路開口229は、弁本体242の壁部部分によって覆われる。当然ながら、チャンバと弁本体との間のリング形状ギャップの形態の漏れ経路は、Oリングなどの適切なシール手段により気密式にシールすることが可能である。
【0054】
好ましくは、第1の指示器245が、処理剤252の状態を示唆するために、チャンバ218内に配置される。第2の指示器246により、内部スペース228を監視することが可能となる。組み立てられたラボラトリ物質容器ユニット201の2つの指示器245、246が、長期にわたる保管期間の後にそれぞれ異なる状態を示す場合には、弁本体242が正しく機能しておらず、そのため処理剤が意図された効果を発揮することができないと推定することが安全である。
【0055】
図5は、用量分注ユニット102が図3に図示される用量分注ユニットと同一である、充填されたラボラトリ物質容器ユニット301の断面図を示す。図5に図示された保護ハウジング315は、外部から手動操作可能な、第1の実施形態の回転可能チャンバ閉鎖要素を備える。保護ハウジング315の内側には、円筒形状のチャンバ318が形成される。通路開口329が、チャンバ318と保護ハウジング315の内部スペース328との間に配置される。チャンバ318は、保護ハウジング315の一区域において外部からアクセス可能であり、そのためチャンバ318の円筒形状は、保護ハウジング315の周囲に延在することとなる。円筒状チャンバ318内には、カップ形状殻部340が、閉位置と開位置との間で回転することが可能となるように配置される。殻部340は、殻部340がハンドル341によって開位置に回転され次第、内部スペース328内のガス状媒体がチャンバ318と内部スペース328との間で自在に循環することが可能となるように、配置構成され、通路開口329と対にされた、複数の窓343を有する。殻部340は、処理剤352で充填される。
【0056】
外部から操作可能なチャンバ閉鎖要素の第1の利点は、処理剤352の効果の発揮の開始を、ラボラトリ物質容器ユニット301の組立て後にまで、ワークユーザの裁量により遅らせることが可能であるという点である。この実施形態の第2の利点は、保護ハウジング315から用量分注ユニット102を分離させる必要を伴わずに、処理剤352を交換することが可能である点である。殻部340は、この目的で、チャンバ318から引き出すことが可能であり、処理剤352は、交換することが可能であり、殻部340は、チャンバ318内に設置し戻すことが可能である。当然ながら、チャンバと殻部340との間のリング形状ギャップの形態の漏れ経路は、Oリングなどの適切なシール手段により、気密式にシールすることが可能であり、殻部340は、保護ハウジング315内に固定することが可能である。
【0057】
図6は、用量分注ユニット102が図3に図示される用量分注ユニットと同一である、充填されたラボラトリ物質容器ユニット401の断面図を示す。図6に図示された保護ハウジング415は、外部から手動操作可能な、第2の実施形態の回転可能チャンバ閉鎖要素を備える。保護ハウジング415の内側には、より具体的には床部の区域には、下方から開口するリング形状チャンバ418が形成される。リング形状構成のカセット440が、リング形状チャンバ418に嵌入し、閉位置と開位置との間でその中央軸の周囲を回転可能である。リング形状カセット440は、処理剤452で充填される複数の空洞部445を有する。カセット440は、ばね451および回転軸受455により保護ハウジング415のチャンバ418内に保持される。通路開口429が、チャンバ418と保護ハウジング415の内部スペース428との間のリング形状境界面の少なくとも1つの扇形状区域に配置される。リング形状カセット440は、カセット440がハンドル441により開位置に回転され次第、内部スペース428内のガス状媒体がチャンバ418、より具体的には少なくとも1つの空洞445と、内部スペース428と間で自由に循環することが可能となるように、配置構成され、通路開口429と対にされた、複数の窓443を有する。
【0058】
特定の実施形態の例によって本発明を提示したが、例えば、個々の実施形態の特徴を互いに組み合わせることにより、および/または、これらの実施形態の個々の機能ユニットを互いに交換することにより、多数の他の変形形態を、本発明の知識から製作することが可能であることは明らかである。例えば、図2に示される監視ユニット、ならびにこれに関連付けされるセンサ、または、場合によっては、相対湿度、温度、圧力、および同様のものなど、内部スペース内の雰囲気の種々のパラメータを測定するために使用される複数のセンサは、すべての他のラボラトリ物質容器ユニットにおいても使用することが可能である。用量分注ヘッドの他の実施形態または他のチャンバ閉鎖要素が、用量分注ユニットと保護ハウジングとの間の様々な可能な形状ロック連結部と共に、予期し得る。
【符号の説明】
【0059】
1、21、101、201、301、401 ラボラトリ物質容器ユニット
2、22、102 用量分注ユニット
3、23、123 リザーバ容器
4 第1の雄ねじ
5 分注ヘッド
6 閉鎖要素
8 円筒状部
9 漏斗形状部
10 充填開口
11、111 蓋
12 第2の雄ねじ
13 鞍部
14 第3の雄ねじ
15、35、115、215、315、415 保護ハウジング
16 雌ねじ
17、117、118、218、318、418 チャンバ
18 透明窓
19 識別手段
27 平坦底部
28、128、228、328、428 内部スペース
29、129、229、329、429 通路開口
30、130、135 チャンバ閉鎖要素
50 目盛標示
51 ガス連結部または真空連結部
52、252、352、452 処理剤
55 センサ
56 監視ユニット
57 物理的接続または無線接続
119 閉鎖プラグ
131 蓋チャンバ
132、245、246 指示器
133 ガス透過性袋
134 蓋チャンバ通路開口
150 ラボラトリ物質
155 挿入物
241、451 ばね
242 弁本体
243、244、343、443 窓
340 殻部
341、441 ハンドル
440 カセット
445 空洞部
455 回転軸受

【特許請求の範囲】
【請求項1】
保護ハウジング(15、35、115、215、315、415)と、リザーバ容器(3、23、123)および分注ヘッド(5)を備える用量分注ユニット(2、22、102)とを備える、ラボラトリ物質(150)を保管および保護するためのラボラトリ物質容器ユニット(1、21、101、201、301、401)であって、前記保護ハウジング(15、35、115、215、315、415)は、前記用量分注ユニット(2、22、102)に開放可能に連結され、輸送および保管のために、前記用量分注ユニット(2、22、102)と前記保護ハウジング(15、35、115、215、315、415)との間の内部スペース(28、128、228、328、428)が、外部からしっかりと密閉されるように、ガスを透過させる前記分注ヘッド(5)の少なくとも全部品が、前記保護ハウジング(15、35、115、215、315、415)の内部に封入され、作動のために前記用量分注ユニット(2、22、102)を準備するために、前記保護ハウジング(15、35、115、215、315、415)は、前記用量分注ユニット(2、22、102)から取り外すことが可能である、ラボラトリ物質容器ユニット(1、21、101、201、301、401)において、少なくとも1つのチャンバ(17、117、118、218、318、418)が、前記保護ハウジング(15、35、115、215、315、415)の内部に形成され、前記チャンバは、処理剤(52、252、352、452)で充填され、前記チャンバ(17、117、118、218、318、418)は、前記内部スペース(28、128、228、328、428)の方向に向けられた通路開口(29、129、229、329、429)を有し、前記通路開口(29、129、229、329、429)は、チャンバ閉鎖要素(30、130、135)により気密式に閉鎖させることが可能であることを特徴とする、ラボラトリ物質容器ユニット(1、21、101、201、301、401)。
【請求項2】
前記リザーバ容器(3、23、123)は、物質収容スペースおよび充填開口(10)を備え、前記充填開口(10)は、前記物質収容スペースが外部環境に対してしっかりとシールされるように、蓋(11、111)によりしっかりと閉鎖させることが可能であることを特徴とする、請求項1に記載のラボラトリ物質容器ユニット(1、21、101、201、301、401)。
【請求項3】
前記蓋(11、111)および前記保護ハウジング(15、35、115、215、315、415)は、互いにそれぞれ別個に、前記用量分注ユニット(2、22、102)に連結させることが可能であることを特徴とする、請求項2に記載のラボラトリ物質容器ユニット(1、21、101、201、301、401)。
【請求項4】
前記蓋(11、111)は、少なくとも1つの蓋チャンバ(131)を備え、前記少なくとも1つの蓋チャンバ(131)は、前記物質収容スペースの方向に向けられた蓋チャンバ通路開口(134)を有し、前記蓋チャンバ通路開口(134)は、チャンバ閉鎖要素(135)により気密式に閉鎖させることが可能であることを特徴とする、請求項2または3に記載のラボラトリ物質容器ユニット(1、21、101、201、301、401)。
【請求項5】
指示器(132、245、246)および/または少なくとも1つのセンサ(55)が、少なくとも1つのチャンバ(17、117、118、218、318、418)に、および/または前記内部スペース(28、128、228、328、428)に、および/または、該当する場合には前記蓋チャンバ(131)に配置されることを特徴とする、請求項1から4の一項に記載のラボラトリ物質容器ユニット(1、21、101、201、301、401)。
【請求項6】
前記少なくとも1つのセンサ(55)は、物理的電気接続(57)を介して、または無線接続(57)を介して、前記ラボラトリ物質容器ユニット(1、21、101、201、301、401)の内部または外部のいずれかに配置された監視ユニット(56)に接続されることを特徴とする、請求項5に記載のラボラトリ物質容器ユニット(1、21、101、201、301、401)。
【請求項7】
前記チャンバ(17、117、118、218、318、418)、および該当する場合には前記蓋チャンバ(131)は、観察窓(18)を備えることを特徴とする、請求項1から5の一項に記載のラボラトリ物質容器ユニット(1、21、101、201、301、401)。
【請求項8】
前記リザーバ容器(3、23、123)、および/または前記分注ヘッド(5)のハウジングの少なくとも一部、および/または前記保護ハウジング(15、35、115、215、315、415)が、透明材料から構成されることを特徴とする、請求項1から6の一項に記載のラボラトリ物質容器ユニット(1、21、101、201、301、401)。
【請求項9】
前記透明材料は、光のある特定の波長に対するフィルター特性を有する、または前記フィルター特性を有する材料によって被覆されることを特徴とする、請求項8に記載のラボラトリ物質容器ユニット(1、21、101、201、301、401)。
【請求項10】
前記フィルター特性を有する前記被覆される材料は、前記内部スペースに配置され、さらに指示器特性および/または処理剤特性を有することを特徴とする、請求項9に記載のラボラトリ物質容器ユニット(1、21、101、201、301、401)。
【請求項11】
前記リザーバ容器(3、23、123)は、前記リザーバ容器(3、23、123)内の前記物質の量を確認することが可能となるように、目盛標示(50)を有することを特徴とする、請求項8から10の一項に記載のラボラトリ物質容器ユニット(1、21、101、201、301、401)。
【請求項12】
前記保護ハウジング(15、35、115、215、315、415)は、前記ラボラトリ物質容器ユニット(1、21、101、201、301、401)が立つための安定的な基部を形成する平坦底部(27)を有することを特徴とする、請求項1から11の一項に記載のラボラトリ物質容器ユニット(1、21、101、201、301、401)。
【請求項13】
前記リザーバ容器(3、23、123)および分注ヘッド(35)は、1つの部材として一体的に連結されることを特徴とする、請求項1から12の一項に記載のラボラトリ物質容器ユニット(1、21、101、201、301、401)。
【請求項14】
前記保護ハウジング(15、35、115、215、315、415)は、逆止弁を備え、ガス供給源もしくは真空ポンプに連結させることが可能な、少なくとも1つのガス入口(51)および/または真空連結部(51)を有し、それにより、ガス雰囲気または準雰囲気圧のいずれかを、前記保護ハウジング(15、35、115)の前記内部スペース(28、128)において確立することが可能であることを特徴とする、請求項1から13の一項に記載のラボラトリ物質容器ユニット(1、21、101、201、301、401)。
【請求項15】
識別手段(19)が、前記リザーバ容器(3、23、123)に、および/または前記分注ヘッド95)に、および/または前記保護ハウジング(15、35、115)に配置され、前記識別手段は、好ましくは、RFIDタグ、バーコードラベルもしくはマトリクスコードラベル、または印刷接着ラベルもしくは手書き接着ラベルであることを特徴とする、請求項1から14の一項に記載のラボラトリ物質容器ユニット(1、21、101、201、301、401)。
【請求項16】
前記ラボラトリ物質容器ユニット(1、21、101、201、301、401)は、不正防止保護シールによってシールされ、前記不正防止保護シールは、前記保護ハウジング(15、35、115、215、315、415)から前記用量分注ユニット(2、22、102)を取り出すためには、視認可能な状態に破られなければならないように設計されることを特徴とする、請求項1から15の一項に記載のラボラトリ物質容器ユニット(1、21、101、201、301、401)。
【請求項17】
ラボラトリ物質粒子を拘束する役割を果たす挿入物(155)が、前記内部スペース(28、128、228、328、428)に配置されることを特徴とする、請求項1から16の一項に記載のラボラトリ物質容器ユニット(1、21、101、201、301、401)。
【請求項18】
請求項1から17の一項に記載のラボラトリ物質容器ユニット(1、21、101、201、301、401)を充填し、輸送し、保管する方法において、
前記保護ハウジング(15、35、115、215、315、415)が立設基部として連結され、開口した頂部の充填開口(10)を備える、前記用量分注ユニット(2、22、102)の前記リザーバ容器(3、23、123)は、ラボラトリ物質(150)で充填され、
該当する場合には、前記蓋チャンバ通路開口(134)の前記チャンバ閉鎖要素(135)は、取り外され、または開かれ、前記充填開口(10)は、前記蓋(11、111)によって閉じられ、
前記ラボラトリ物質容器ユニット(1、21、101、201、301、401)は、適切に識別され、場合によってはシールされ、保管所に入れられる、またはその送付先に送られる
ことを特徴とする、方法。
【請求項19】
請求項1から17の一項に記載の充填されたラボラトリ物質容器ユニット(1、21、101、201、301、401)からラボラトリ物質(150)を分注する方法において、
前記保護ハウジング(15、35、115、215、315、415)は、前記用量分注ユニット(2、22、102)から取り外され、前記頂部の前記充填開口(10)は、前記蓋(1、111)によって閉じられたままであり、
前記用量分注ユニット(2、22、102)は、作動デバイスに連結され、収容容器の上方の位置に移動され、
用量分注工程が、開始され、
前述の1つまたは複数の物質量が、1つまたは複数の収容容器内に分注された後に、前記用量分注ユニット(2、222、102)は、前記作動デバイスから取り外され、少なくとも1つのチャンバ(17、117、118、218、318、418)の前記チャンバ閉鎖要素(30、130、135)は、取り外されまたは開かれ、前記用量分注ユニット(2、22、102)は、前記保護ハウジング(15、35、115、215、315、415)に再び連結され、
前記ラボラトリ物質容器ユニット(1、21、101、201、301、401)は、保管所に戻される、または処分される
ことを特徴とする、方法。
【請求項20】
充填され、保管所に入れられた、請求項6に記載のラボラトリ物質容器ユニット(1、21、101、201、301、401)を監視する方法において、
前記センサ(55)から前記監視ユニット(56)への測定信号接続が、継続的にもしくは周期的に保たれ、またはユーザの入力により開始され、
前記センサ(55)により継続的に、または周期的に、または1つずつ送信される測定信号が、前記監視ユニット(56)によって受信され記録され、
前記監視ユニット(56)によって受信された少なくとも1つの測定信号、または前記測定信号から取得された測定値が、前記監視ユニット(56)に記憶された少なくとも1つのしきい値と比較され、
しきい値および/または限界値を超過していることが判明した場合には、警告信号が、前記監視ユニット(56)に付属する出力ユニットに、または前記指示器(132)に送信される
ことを特徴とする、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2010−523420(P2010−523420A)
【公表日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−502483(P2010−502483)
【出願日】平成20年3月28日(2008.3.28)
【国際出願番号】PCT/EP2008/053766
【国際公開番号】WO2008/122529
【国際公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【出願人】(599082218)メトラー−トレド アクチェンゲゼルシャフト (130)
【住所又は居所原語表記】Im Langacher, 8606 Greifensee, Switzerland