説明

ランセット装置

【課題】医療用穿刺装置において、血液サンプルを収集するのに使用する、簡単で、安価で、信頼性があり使い捨てを可能とする。
【解決手段】ランセット装置は、ハウジングと、穿刺要素を有するランセットとを備えている。ランセットはハウジング内に配置されており、穿刺要素がハウジング内に配置されている初期または予備作動位置と、穿刺要素がハウジング内で前部開口を通って延びている穿刺位置の間の軸方向移動に適応されている。ランセット装置は、穿刺位置に向かってランセットを付勢させるようにハウジング内に配置された駆動ばねと、穿刺要素がハウジング内に配置される、ハウジング内の位置までランセットを戻す引き込みまたは戻りばねとを備えている。引き込みばねはその後、穿刺要素がハウジング内の前部開口から外側に再び突出しないようにするのを助けるように、ランセットとの係合を維持している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して、患者から血液サンプルを取るのに使用されるランセットと一般的に呼ばれる医療用穿刺装置に関し、より詳細には、通常の使用において装置の接触中に得られる作動での使用を容易にするために設計されたランセット装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ランセット装置は、患者の毛細血管サンプルを得るために患者の皮膚を穿刺する医療分野において使用されている。糖尿病などの特定の疾病では、例えば、患者の血糖値を監視するために患者の血液を定期的に検査する必要がある。加えて、コレステロール検査キットなどの検査キットはしばしば、分析のために血液サンプルを必要とする。血液採集処置には、一般的に、血液サンプルを得るために、指または他の適切な身体部分を刺すことが含まれる。一般的に、このような検査に必要な血液の量は比較的少なく、小さな穿刺外傷または切開部によって通常これらの検査に十分な量の血液を得ることができる。
【0003】
様々なランセット装置が、病院、医院、診療所など、ならびに個別の消費者に市販されている。このような装置は一般的に、少量の血液流出を提供すべく、患者の皮膚に迅速な穿刺外傷または切開部を作るのに使用される、針などの先の尖った部材、またはブレードなどの刃の鋭い部材を備えている。多くの人にとってはしばしば、手持ち式針またはブレードで自分の指を刺すことが生理的および精神的に難しいことである。その結果、ランセット装置は、トリガ機構が作動すると患者の皮膚の穿刺または切断を容易にする装置に進化して来た。いくつかの装置では、針またはブレードは、患者から血液を抜き出すのを担当する医療専門家、または患者自身である可能性があるユーザによってトリガされるまで、待機位置に保持されている。トリガする際、針またはブレードは、例えば指の上の患者の皮膚を穿刺または切断する。多くの場合、患者の皮膚を穿刺または切断するのに必要な「自動的な」力を与えるように、ばねが装置内に組み込まれている。
【0004】
このような医療用穿刺装置またはランセットは使用前に滅菌状態であることが、医療分野では最も重要である。今日、一般的には例外なく、医療用穿刺装置またはランセットは、医療専門家やこのような装置の需要がある大衆の人に販売される前に、殺菌状態で製造および包装される。殺菌包装は装置の殺菌性を維持して、使用まで周囲環境がこれを汚染しないことを保証する。加えて、使用者または別の人が装置の使用後に針またはブレードに接触しないことも非常に重要である。血液感染性疾病に対する懸念から、医療専門家は患者の血液と接触する医療用装置に大きな注意を払う必要がある。したがって、ランセット設計の重要な態様は、血液サンプルが患者から抜き取られた後に装置の針またはブレードが使用者または別の人を傷つけることを防ぐ必要がある。使用した場合、針またはブレードは、針またはブレードが装置を取り扱う使用者または別の人を傷つけるのを防ぐように保護するべきである。さらに、ランセット装置は、針またはブレードが複数の人に使用されていることによる疾病感染の機会をなくすように使い捨てであるべきである。これに関して、ランセット装置は理想的には1つの焼成用に設計されているべきであり、再使用を防ぐための安全機構を有する。
【0005】
使用したランセット装置を操作および取り扱う際の安全性を高めるための進歩が近年なされている。例えば、穿刺または切断要素の装置からのまた装置内への自動取り出しおよび引き込みを特徴付ける単一のショット装置であるランセット装置を現在利用することが可能である。このような医療用穿刺装置の例が特許文献1、特許文献2、特許文献3、および特許文献4に開示されている。
【0006】
Teoへの特許の特許文献1は、ばね装填ランセット構造を含むランセットホルダを備えたランセット装置を開示している。ばね装填ランセット構造は、構造のトリガの際にランセット針の取り出しおよび引き込みを行なう単一ばねを備えている。Wyszogrodzkiへの特許の特許文献2は、ハウジングと、遮蔽部と、穿刺先端を有するピストンと、ハウジング内の内部ウィング要素の破損の際にそれぞれピストンを取り出すおよび引き出す駆動および戻りばねとを備えたランセット装置を開示している。Moritaへの特許の特許文献3は、組み合わせたホルダおよびランセット構造を含むランセット装置を開示している。ランセット構造は、穿刺先端を有するランセット部材と、1対の作動アームの作動の際にランセット部材に患者の皮膚を穿刺させる圧縮ばね部材とを備えている。
【0007】
Ramelへの特許の特許文献4は、患者の皮膚を穿刺するように穿刺ランセット部材に力を与える圧縮ばねをトリガするのに使用される、スライド可能トリガを囲むハウジングを備えたランセット装置を開示している。ハウジングは、ランセット部材の本体と係合する1対の内部フィンガを備えており、その後、スライド可能トリガに使用者によって加えられた軸力によってランセット部材本体との係合から解放される。当技術分野で知られている他の医療用穿刺装置またはランセットが特許文献5および特許文献6に開示されている。これらの参考文献で開示された装置は、針を保護する、または針を殺菌したままにするように使用されるキャップを含んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第6,432,120号明細書
【特許文献2】米国特許第6,248,120号明細書
【特許文献3】米国特許第5,755,733号明細書
【特許文献4】米国特許第5,540,709号明細書
【特許文献5】米国特許第4,869,249号明細書
【特許文献6】米国特許第4,817,603号明細書
【特許文献7】米国同時係属出願第11/123,849号明細書
【特許文献8】米国特許出願第11/270,330号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述の点から、一般に、使用前の殺菌性、および使用後の安全かつ確実な処分を保証しながら、使用者の操作または使用が容易である医療用穿刺装置に対する必要性が医療分野において存在する。加えて、医療分野において、血液サンプルを収集するのに使用する、簡単で、安価で、信頼性があり使い捨ての医療用穿刺装置が必要とされている。
【0010】
本発明は概してランセット装置に関するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第1の実施形態によるランセット装置は、ハウジングと、ハウジング内に少なくとも部分的に配置され、それと移動可能に取り付けられたシールドと、ハウジング内に配置され、シールドを通って軸方向に移動可能であるランセットとを備えている。ランセットは穿刺要素を備えており、穿刺要素がハウジング内に配置された初期位置と、穿刺要素が穿刺処置のためにシールド内の前部開口を通って延びている穿刺位置との間の軸方向移動ができるようにされている。駆動ばねは、ランセットを穿刺位置に付勢させるようにハウジングの後端部とランセットの間に配置されている。ランセット装置はさらに、シールドに取り付けられ、初期位置でランセットと締まり係合されたアクチュエータを備えている。操作中、ハウジング内へのシールドの軸方向移動により、アクチュエータが駆動ばねを少なくとも部分的に圧縮するように、ランセットをハウジングの後端部に向けて移動させ、これと接触させる。ハウジングの後端部との接触の際、ハウジング内にシールドを引っ込めるように加えられるさらなる力によって、アクチュエータとランセットの間の締まり係合の解消が生じ、それによって少なくとも部分的に圧縮された駆動ばねが解放され、駆動ばねがシールドを通って穿刺位置までランセットを付勢させることが可能になる。アクチュエータは、シールドの近位端に取り付けられた剪断可能要素を備えており、剪断可能要素はランセットとの締まり係合を提供する、少なくとも1つの破断可能シェルフまたはタブを備えることができる。
【0012】
第2の実施形態によるランセット装置は、ハウジングと、ハウジング内に少なくとも部分的に配置され、これに移動可能に取り付けられ、少なくとも1つの内部タブを備えたシールドと、ハウジング内に配置され、シールドを通って軸方向に移動可能であるランセットとを備えている。ランセットは、穿刺要素を備えており、穿刺要素がハウジング内に配置された初期位置と、穿刺要素が穿刺処置のためにシールド内で前部開口を通って延びている穿刺位置との間の軸方向移動ができるようにされている。ランセットは、初期位置でシールド内の内部タブと締まり係合している。駆動ばねは、ランセットを穿刺位置まで付勢させるように、ハウジングの後端部とランセットの間に配置されている。操作中、ハウジング内へのシールドの軸方向移動により、ランセットが駆動ばねを少なくとも部分的に圧縮するように、シールド内部タブとの締まり係合によりハウジングの後端部に向けて移動させ、これと接触させる。ハウジングの後端部との接触の際、ハウジング内にシールドを引っ込めるように加えられるさらなる力または移動により、内部タブの破壊が生じて、締まり係合が取り除かれ、シールドを通って穿刺位置までランセットを付勢させるように少なくとも部分的に圧縮された駆動ばねが解放される。ランセットは、ランセットの初期位置での内部タブとの締まり係合を行なう切断要素を備えることができ、内部タブの破壊は内部タブを通って切断する切断要素によって生じる可能性がある。
【0013】
第3の実施形態によるランセット装置は、ハウジングと、ハウジング内に少なくとも部分的に配置され、これに移動可能に取り付けられたシールドと、ハウジング内に配置され、シールドを通って軸方向に移動可能であり、穿刺要素を有するランセットとを備えている。ランセットは一般的に、穿刺要素がハウジング内に配置される初期位置と、穿刺要素が穿刺処置のためにシールド内で前部開口を通って延びている穿刺位置との間の軸方向移動ができるようにされている。駆動ばねは、ランセットを穿刺位置まで付勢させるように、ハウジングの後端部とランセットの間に配置されている。ランセット装置はさらに、初期位置でランセットと締まり係合するアクチュエータを備えており、ランセットの初期位置で少なくとも一部圧縮状態に駆動ばねを維持する。アクチュエータは、ハウジングに取り付けられたスリーブ部と、ランセットと締まり係合した少なくとも1つの弾性要素とを備えている。操作中、ハウジング内へのシールドの軸方向移動により、シールドが弾性要素をランセットから径方向外側に移動させて、それとの締まり係合が解放され、それによってシールドを通って穿刺位置までランセットを付勢させるように少なくとも一部圧縮された駆動ばねが解放される。スリーブ部および弾性要素は、例えば、活動ヒンジによって一体的に形成し、連結することができる。
【0014】
第4の実施形態によるランセット装置は、ハウジングと、ハウジング内に配置され、ハウジングを介して軸方向に移動可能であり、穿刺要素を有するランセットとを備えている。ランセットは、穿刺要素がハウジング内に配置された初期位置と、穿刺要素が穿刺処置のためにハウジング内で前部開口を通って延びている穿刺位置との間の軸方向移動ができるようにされている。駆動ばねは、ランセットを穿刺位置まで付勢させるように、ハウジングの後端部とランセットの間に配置されている。駆動ばねは、ランセットとハウジングの間の締まり係合によって、ハウジングの後端部とランセットの間で少なくとも部分的に圧縮状態に保持されている。ランセット装置はさらに、ハウジングに旋回可能に連結され、駆動ばねを解放させるように初期位置でランセットと接触係合するアクチュエータを備えている。操作中、アクチュエータの移動、一般的には降下がハウジング内へのその旋回移動を生じさせ、ランセットがハウジングとの締まり係合から解放されるまで、ランセットの少なくとも一部をハウジング内で下向きに移動させ、それによってハウジングを介して穿刺位置までランセットを付勢させるように少なくとも部分的に圧縮された駆動ばねが解放される。ランセットは、少なくとも1つの外向きに延びているガイドタブを備えることができ、ハウジングは長手方向主経路およびほぼ横向きの側部経路を備えた内部ガイド経路を画定することができ、それによって締まり係合は、主経路および側部経路のほぼ交点で画定された隅部または頂点と係合するガイドタブを備えている。
【0015】
第5の実施形態によるランセット装置は、その後端部に内部カム表面を有するハウジングと、ハウジング内に少なくとも部分的に配置され、これに移動可能に取り付けられたシールドと、ハウジング内に少なくとも部分的に配置され、シールドを通って軸方向に移動可能であり、穿刺要素を有するランセットとを備えている。ランセットは、穿刺要素がハウジング内に配置された初期位置と、穿刺要素が穿刺処置のためにシールド内で前部開口を介して延びている穿刺位置の間の軸方向移動ができるようにされている。駆動ばねは、ランセットを穿刺位置まで付勢させるように、ハウジングの後端部とランセットの間に配置されている。ランセット装置はさらに、ハウジング内に配置されたシールドの近位端に取り付けられ、その初期位置でランセットと締まり係合するアクチュエータを備えている。操作中、ハウジング内へのシールドの軸方向移動によって、アクチュエータがランセットをハウジングの後端部に向けて移動させて、駆動ばねを少なくとも部分的に圧縮し、同時に内部カム表面と相互作用する。シールドの軸方向移動中の内部カム表面との連続相互作用はさらに、アクチュエータとランセットの間の締まり係合が解放されるハウジング内の位置までアクチュエータを移動させ、それによって少なくとも部分的に圧縮された駆動ばねが解放され、駆動ばねがシールドを通って穿刺位置までランセットを付勢させることを可能にする。アクチュエータは、シールドの近位端にスライド可能に取り付けられ、締まり係合を解放するようにそこを介したランセットの通過を可能にするキー孔を画定するプレート部材とを備えることができる。
【0016】
第6の実施形態によるランセット装置は、ハウジングと、ハウジング内に配置され、ハウジングを通って軸方向に移動可能なランセットとを備えている。ランセット装置は、穿刺要素を備えており、穿刺要素がハウジング内に配置されている初期位置と、穿刺要素が穿刺処置のためにハウジング内で前部開口を通って延びている穿刺位置との間の軸方向移動ができるようにされている。駆動ばねは、ランセットを穿刺位置まで付勢させるように、ハウジングの後端部とランセットの間に配置されている。ランセット装置はさらに、ハウジングに取り付けられ、初期位置でランセットと締まり係合したアクチュエータを備えている。アクチュエータとランセットの間の締まり係合は、初期位置で、ハウジングの後端部とランセットの間で少なくとも一部圧縮状態に駆動ばねを維持する。操作中、ハウジング内へのアクチュエータの移動、一般的に降下は、アクチュエータとランセットの間の締まり係合が解放されるハウジング内の位置までアクチュエータを移動させ、それによって少なくとも部分的に圧縮された駆動ばねが解放され、駆動ばねがシールドを通って穿刺位置までランセットを付勢させることが可能になる。アクチュエータは、ハウジングに旋回可能に連結されたレバー部材と、ハウジング内に下がるプレート部材とを備えることができる。プレート部材は、締まり係合を解放するようにそこを通るランセットの通過を可能にするキー孔を画定する。第7の実施形態によるランセット装置は、ハウジングに取り付けられた降下可能ボタンと、ハウジング内に下がるプレート部材を有するアクチュエータを備えることができ、プレート部材は締まり係合を解放するようにそこを通るランセットの通過を可能にするキー孔を画定する。
【0017】
第8の実施形態によるランセット装置は、ハウジングと、ハウジング内に配置され、ハウジングを通って軸方向に移動可能であり、穿刺要素を有するランセットとを備えている。ランセットは、穿刺要素がハウジング内に配置されている初期位置と、穿刺要素が穿刺処置のためにハウジング内で前部開口を通って延びている穿刺位置との間の軸方向移動ができるようにされている。駆動ばねは、ランセットを穿刺位置まで付勢させるように、ハウジングの後端部とランセットの間に配置されている。駆動ばねは、ランセットとハウジングの間の締まり係合によって、ハウジングの後端部とランセットの間で少なくとも一部圧縮状態に保持されている。ランセット装置はさらに、ハウジングに連結された、または選択でハウジングに旋回可能に一体化され、駆動ばねの解放を引き起こすようにランセットとハウジングの間の締まり係合を切断するようになっているアクチュエータを備えている。操作中、アクチュエータの移動、一般的に降下は、アクチュエータがランセットとハウジングの間の締まり係合を切断するまでハウジング内へのその旋回移動を引き起こし、それによってハウジングを通って穿刺位置までランセットを付勢させるように少なくとも一部圧縮した駆動ばねが解放される。アクチュエータは、ハウジングに旋回可能に連結され、ランセットとハウジングの間の締まり係合を切断するように下がる切断刃を備えたレバー部材を備えることができる。
【0018】
別の実施形態によるランセット装置は、ハウジングと、ハウジング内に配置され、穿刺要素を備えたランセットを備えている。ランセットは、穿刺要素がハウジング内に保持された初期予備作動位置と、穿刺要素が前部開口を通ってハウジングまで延びる穿刺位置との間の軸方向移動ができるようにされている。駆動ばねは、ランセットを穿刺位置に向かって付勢させるように、ハウジングの後端部とランセットの間に配置されている。ランセット装置はさらに、ランセットを予備作動位置に保持する保持ハブを備えている。保持ハブは、駆動ばねの付勢に対してランセットを保持するようになっており、旋回カム要素を備えている。カム要素は、ランセットの予備作動位置でランセットと締まり係合している。操作中、保持ハブに向かったハウジングの軸方向移動はカム要素を旋回させ、それによって駆動ばねを少なくとも部分的に圧縮するようにハウジングの後端部に向けてランセットを移動させ、カム要素をランセットとの締まり係合から解放し、駆動ばねがハウジングを通って穿刺位置に向けてランセットを駆動することが可能になる。カム要素は、カム要素が凹部をランセット上の干渉と位置合わせするように旋回されたときに、カム要素をランセットとの締まり係合から解放する凹部または切り欠きを画定することができる。
【0019】
ランセット装置はさらに、ハウジング内の内部接触を有することができ、保持ハブに向かったハウジングの軸方向移動はハウジング内の内部接触がカム要素を旋回させる。カム要素は、ハウジングの内部接触との係合のために接触表面を備えることができる。ハウジングの内部接触は、カム要素の接触表面との係合と協働するように一体形成されたカム表面を備えることができる。保持ハブは、1対の旋回カム要素によって連結された1対の対向する支持部材によって全体的に画定された環状へりを備えることができる。カム要素は、支持部材を連結する旋回シャフトを備えることができる。
【0020】
最後の実施形態によるランセット装置は、概略、内部作動部材を含むハウジングと、ハウジング内に少なくとも部分的に配置され、それに移動可能に取り付けられたシールドと、ハウジング内に配置され、シールドを通って軸方向に移動可能であるランセットと、回転要素とを備えている。ランセットは、穿刺要素を備えており、穿刺要素がハウジング内に配置された初期位置と、穿刺要素が穿刺処置のためにシールド内を、前部開口を通って延びる穿刺位置との間の軸方向移動ができるようにされている。駆動ばねは概略、ランセットを穿刺位置まで付勢させるように、ハウジングの後端部とランセットの間に配置されている。ランセットは一般に、初期位置で回転要素と締まり係合している。操作中、ハウジング内へのシールドの軸方向移動により、作動部材が回転要素をランセットに対して解放位置まで回転させて、ランセットと回転要素の間の締まり係合を解放し、それによって駆動ばねがシールドを通って穿刺位置までランセットを付勢させることが可能になる。
【0021】
回転要素をシールドに取り付けることができ、それによってハウジング内へのシールドの軸方向移動により、駆動ばねがランセットと回転要素の間の締まり係合によってハウジング後端部とランセットの間で少なくとも部分的に圧縮する。回転要素は、ハウジング内に配置されたシールドの後端部に取り付けることができる。
【0022】
作動部材はカム表面を有するカム要素を備えることができ、回転要素はカム要素を受けるカムガイド凹部を画定するガイドプレートを備えることができ、それによって、ハウジング内へのシールドの軸方向移動が、カム表面をカムガイド凹部と係合させるものであり、これはガイドプレートに対する重要な回転動作である。ランセットは、ガイドプレートと締まり係合した作動タブを備えることができ、ガイドプレートは間隙スロットを画定することができ、それによって、作動タブが間隙スロットと位置合わせする解放位置までガイドプレートが回転すると締まり係合を解放することができる。
【0023】
作動部材はカム表面を有するカム要素を備えることができ、回転要素はカムフォロワを備えることができ、それによってハウジング内へのシールドの軸方向移動が、少なくともカムフォロワが解放位置に到達するまで、カム表面をカムフォロワと係合させるものであり、これは重要な回転動作となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】初期予備作動状態にあるランセット装置を示す、ランセット装置の第1の実施形態の長手断面図である。
【図2】図1の断面図に対する垂直長手軸に沿った、図1のランセット装置の長手断面図である。
【図3】作動の初期段階にあるランセット装置を示す、図1のランセット装置の長手断面図である。
【図4】作動直後のランセット装置を示す、図1のランセット装置の長手断面図である。
【図5】装置のランセットを穿刺処置のために部分的に露出させた、作動後のランセット装置を示す、図1のランセット装置の長手断面図である。
【図6】作動後の最終状態にあるランセット装置を示す、図1のランセット装置の長手断面図である。
【図7】初期予備作動状態にあるランセット装置を示す、ランセット装置の第2の実施形態の長手断面図である。
【図8】図7の断面図に対する垂直長手軸に沿った、図7のランセット装置の長手断面図である。
【図9】作動の初期段階にあるランセット装置を示す、図7のランセット装置の長手断面図である。
【図10】装置の内部を見るために装置のランセットを取り外した、図7のランセット装置の長手断面図である。
【図11】装置のランセットを穿刺処置のために部分的に露出させた、作動後のランセット装置を示す、図7のランセット装置の長手断面図である。
【図12】作動後の最終状態にあるランセット装置を示した、図7のランセット装置の長手断面図である。
【図13】初期予備作動状態にあるランセット装置を示す、ランセット装置の第3の実施形態の長手断面図である。
【図14】作動の初期段階にあるランセット装置を示す、図13のランセット装置の長手断面図である。
【図15】作動の後の段階にあるランセット装置を示す、図13のランセット装置の長手断面図である。
【図16】作動直後のランセット装置を示す、図13のランセット装置の断面図である。
【図17】装置のランセットを穿刺処置のために部分的に露出させた、作動後のランセット装置を示した、図13のランセット装置の長手断面図である。
【図18】作動後の最終状態にあるランセット装置を示す、図13のランセット装置の長手断面図である。
【図19】初期予備作動状態にあるランセット装置を示す、ランセット装置の第4の実施形態の長手断面図である。
【図20】作動の初期状態にあるランセット装置を示す、図19のランセット装置の長手断面図である。
【図21】作動直後のランセット装置を示す、図19のランセット装置の断面図である。
【図22】装置の内部を見るために装置のランセットを取り外した、図19のランセット装置の長手断面図である。
【図23】装置のランセットを穿刺処置のために部分的に露出させた、作動後のランセット装置を示す、図19のランセット装置の長手断面図である。
【図24】初期予備作動状態にあるランセット装置を示す、ランセット装置の第5の実施形態の長手断面図である。
【図25】図24の断面図に対する垂直長手軸に沿った、図24のランセット装置の長手断面図である。
【図26】ランセットが装置内で締まり係合している、作動の初期段階にあるランセット装置を示す、図24のランセット装置の横断面図である。
【図27】ランセットを装置内の締まり係合から解放した、作動点でのランセット装置を示す、図24のランセット装置の横断面図である。
【図28】作動の初期段階にあるランセット装置を示す、図24のランセット装置の長手断面図である。
【図29】作動点でのランセット装置を示す、図24のランセット装置の長手断面図である。
【図30】装置のランセットを穿刺処置のために部分的に露出させた、作動後のランセット装置を示す、図24のランセット装置の長手断面図である。
【図31】初期予備作動状態にあるランセット装置を示す、ランセット装置の第6の実施形態の長手断面図である。
【図32】初期予備状態にあるランセット装置を示す、図31のランセット装置の第2の長手断面図である。
【図33】ランセットが装置と締まり係合している、作動の初期段階にあるランセット装置を示す、図31のランセット装置の横断面図である。
【図34】ランセットを装置内の締まり係合から解放した、作動点にあるランセット装置を示す、図31のランセット装置の横断面図である。
【図35】作動の初期段階にあるランセット装置を示す、図31のランセット装置の長手断面図である。
【図36】作動点にあるランセット装置を示す、図31のランセット装置の長手断面図である。
【図37】ランセットが穿刺位置に向かって装置内で移動した、作動後のランセット装置を示す、図31のランセット装置の長手断面図である。
【図38】初期予備作動状態にあるランセット装置を示す、ランセット装置の第7の実施形態の長手断面図である。
【図39】ランセットが装置内で締まり係合している、作動の初期段階にあるランセット装置を示す、図38のランセット装置の長手断面図である。
【図40】ランセットが装置内の締まり係合から解放された、作動点にあるランセット装置を示す、図38のランセット装置の横断面図である。
【図41】ランセットが穿刺位置に向かって装置内で移動した、作動後のランセット装置を示す、図38のランセット装置の長手断面図である。
【図42】装置のランセットが穿刺処置のために穿刺位置にある、作動後のランセット装置を示す、請求項38のランセット装置の長手断面図である。
【図43】作動後の最終状態にあるランセット装置を示す、図38のランセット装置の長手断面図である。
【図44】ランセット装置の第8の実施形態の斜視図である。
【図45】内部ランセットに取り付けられた殺菌カバーが取り外された、図44のランセット装置の斜視図である。
【図46】図44のランセット装置の展開斜視図である。
【図47】アクチュエータ、駆動ばね、および装置のランセットを示す、図44のランセット装置の一部の斜視図である。
【図48】初期予備作動状態にあるランセット装置を示す、図44のランセット装置の長手断面図である。
【図49】図48の断面図に対する垂直長手軸に沿った、図44のランセット装置の長手断面図である。
【図50】作動点にあるランセット装置を示す、図44のランセット装置の長手断面図である。
【図51】装置のランセットを穿刺処置のために部分的に露出させた、作動後のランセット装置を示す、図44のランセット装置の長手断面図である。
【図52】作動後の最終状態にあるランセット装置を示す、図44のランセット装置の長手断面図である。
【図53】ランセット装置の別の実施形態の斜視図である。
【図54A】図53に示すランセット装置内で使用される保持ハブの底面図である。
【図54B】図53に示すランセット装置内で使用される保持ハブの側面図である。
【図54C】図53に示すランセット装置内で使用される保持ハブの端面図である。
【図55】図54A〜54Cに示す保持ハブの斜視図である。
【図56】ランセット装置の最終実施形態の斜視図である。
【図57】図56のランセット装置の長手断面図である。
【図58】図57の線58〜58に沿った、図56のランセット装置の横断面図である。
【図59】後部キャップ、ガイドプレート、およびランセット装置のシールドを示す、図56のランセット装置の展開部分断面図である。
【図60】図56のランセット装置内で使用されるランセットの斜視図である。
【図61】図59に示す後部キャップを追加的に含む、図61に示す組立て構造の側面図である。
【図62】図59に示すシールドおよびガイドプレートに取り付けられたランセットを示す、図60のランセットの後部の斜視図である。
【図63】図59に示すシールドおよびガイドプレートに取り付けられたランセットを示す、図60のランセットの後部の斜視図である。
【図64】図56のランセット装置のシールドの前端部の斜視図である。
【図65A】初期予備作動状態にあるランセット装置を示す、図56のランセット装置の長手断面図である。
【図65B】初期予備作動状態にあるランセット装置を示す、図56のランセット装置の横断面図である。
【図66A】作動の初期段階にあるランセット装置を示す、図56のランセット装置の長手断面図である。
【図66B】作動の初期段階にあるランセット装置を示す、図56のランセット装置の横断面図である。
【図67A】作動点にあるランセット装置を示す、図56のランセット装置の長手断面図である。
【図67B】作動点にあるランセット装置を示す、図56のランセット装置の横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の他の詳細および利点は、添付の図面と合わせて読むことにより、以下の詳細な説明から明らかになるだろう。
【0026】
以下に記載する目的で、使用される場合、空間的方向の用語は、添付の図面に向きされているような本発明の実施形態に関するものとする。しかし、本発明はそうでないと明示的に特定されている場合を除いて、多くの代替変更形態および実施形態を想定することができることは明らかである。また、添付の図面に示され、本明細書に記載された特定の装置および実施形態は本発明の単なる例示的な実施形態であり、同様の要素は同様の参照番号および添付のアルファベット記号表示で指定されていることを理解されたい。
【0027】
図1〜6を参照すると、第1の実施形態によるランセット装置10aが全体的に示されている。ランセット装置10aは一般的に、ハウジング12aと、ハウジング12aに移動可能に取り付けられたシールド14aと、ハウジング12a内に移動可能に配置されたランセット70aとを備えている。本明細書によって詳細に説明するように、シールド14aはハウジング12a内に移動可能に取り付けられており、ハウジング12a内に少なくとも部分的に配置されている。シールド14aは一般的に、ハウジング12aから部分的に外側に延びており、ランセット70aはハウジング12a内に含まれており、シールド14aを介して軸方向に移動可能である。
【0028】
ハウジング12aは一般的に、これ以下本体20aと呼ぶ細長い本体の形をしている。本体20aは、ほぼ円筒形および中空構造をしている。本体20aは、遠位端すなわち前端部22aと、本体20aの近位端すなわち後端部26aとを形成する後部キャップ24aとを有する。本体20aの内部は一般的には開いており、内部キャビティまたは孔28aを備えている。内部キャビティ28aは、後部キャップ24aの存在により後端部で閉じられており、本体20aの前端部22aによって画定された前部開口30aを備えており、これを通ってシールド14aが延びている。本体20aおよび後部キャップ24aは一体的に形成することができる。別の方法では、本体20aおよび後部キャップ24aはハウジング12aを形成するように互いに固定された別個の要素であってもよく、それによってランセット装置10aの組立てが簡単になる。例として、本体20aおよび後部キャップ24aは適当な医療グレード接着剤により互いに固定することができる、または摩擦嵌合またはスナップ式連結などの、機械的係合をその間に与える内部係合構造を使用して連結することができる。例えば、本体20aは、環状溝34aを画定する環状へり32aを備えることができ、後部キャップ24aは噛合要素として噛合環状リップ38aを有する噛合環状へり36aを備えることができる。本体20aおよび後部キャップ24aが連結されている場合、環状リップ38aは本体20aの後部開口端部内に延びており、環状リップ38aは環状へり32aの上および本体20aの環状溝34aの中にスナップ嵌合する。このような要素の配置は単に例示的なものであり逆であってもよいことを理解すべきであり、本体20aおよび後部キャップ24aを連結するのに他の相互嵌合している機械的係合配置を使用することができることも予期できる。本体20aはさらに、環状溝34aの前に内部リッジ40a、一般的に周方向に延びているリッジ40aを備えており、その目的および機能を本明細書で説明する。さらに、ハウジング12aの本体20aは、前端部22aの一部として形成された前方へり42aを備えることができ、前部開口30aを画定する。
【0029】
上記のように、シールド14aは、本体20aの前端部22a内の前部開口30aから少なくとも部分的に外側に延びている。シールド14aは、遠位端すなわち前端部52aおよび近位端すなわち後端部54aを有するシールド本体50aを備えたほぼ円筒形の中空構造であり、そこを通って延びる内部キャビティまたは孔56aを画定する。シールド本体50aの前端部52aは、前部開口60aを画定する一部前端壁面58aを画定し、ランセット装置10aが本明細書でより詳細に論じるように使用者によって作動された場合に、これを通ってランセット70aの穿刺要素が延びる。前端壁面58aは一般的に、患者の身体上の意図した穿刺領域に接触するように前部開口60aの周りに小さな接触領域を画定する。小さな接触領域は、シールド14a内に周面に形成された複数の周面窪み(図示せず)を与えることによって、より小さくすることができる(すなわち、表面積を小さくすることができる)。ハウジング12aおよびシールド14aの外部表面特性は、発明者がBradley Wilkinsonである「ランセット装置」という名称の2004年11月30日に出願された特許文献7に開示された人間工学的特性および構造により形成することができる。前述の「ランセット装置」の出願の開示を、本明細書に参照として援用する。
【0030】
シールド14aは、ハウジング12a内で軸方向にかつスライド可能に移動することができる。シールド14aおよびハウジング12aは同軸に取り付けることができ、シールド14aおよびハウジング12aは共通の中心軸Aの周りに同軸に配置されている。シールド14aおよびハウジング12aはそれぞれ、ほぼ円筒形状とすることができる。剪断可能要素62aが、さらにシールド14aに関連付けられている。詳細には、剪断可能要素62aはシールド本体50aの後端部54aに配置されて、シールド本体50aの後周縁63aと係合する。剪断可能要素62aは、シールド本体50aの外側表面に沿って遠位方向で軸方向に延びた環状スリーブ部64aを備えている。環状スリーブ64aは、シールド本体50aの後端部54aを受けて、シールド本体50aとハウジング12aの本体20aの間に位置決めされる。より詳細には、環状スリーブ64aの内側表面は、シールド本体50aの後端部54aでシールド本体50aの外側表面の近位方向に延びる部分と係合し、剪断可能要素62aの外側表面はハウジング12aの本体20aの内側表面とスライド可能に協働する。剪断可能要素62aはさらに一般的には、本明細書でさらに記載するように、ランセット70aと係合する2つの対向する内側に突出した破断可能シェルフまたはウィング66aを備えている。剪断可能要素62aは図では2つの対向する内側に延びるシェルフまたはウィング66aを備えているが、1つのシェルフまたはウィング66aのみが本明細書に記載のように、ランセット70aとの締まり係合(干渉係合)に必要であることが分かる。破断可能シェルフまたはウィング66aは、本明細書で述べるように、十分な下向き圧力が加えられた場合にシェルフ66aを破断(すなわち、破壊)させる可能性がある脆弱領域すなわち折り線67aを備えることができる。破断可能シェルフまたはウィング66aは一般的に、シールド14aのために選択されたものと比べて、同様のまたは異なる材料で作られていてもよい、ほぼ径方向内側に延びた片持ち梁である。
【0031】
剪断可能要素62aは、例えば、本明細書に記載するようにランセット装置10aを作動させるように本体20a内にシールド本体50aを軸方向に引っ込める(すなわち、挿入する)ことによって、軸方向動作がシールド本体50aに加えられた場合に、ハウジング12aの本体20a内でシールド本体50aと組み合わせてスライドするようになっている。この目的で、またシールド本体50aの後端部54a上の後周縁63aと適切に係合するために、剪断可能要素62aは、シールド本体50aの近位端すなわち後端部54a、特に後周縁63aと係合するスリーブ部64aによって画定された当接凹部68aを備えている。したがって、ハウジング12aの本体20a内にシールド本体50aを引っ込める(すなわち、挿入する)ためにシールド本体50aに加えられたあらゆる軸方向動作は、当接凹部68a内の後周縁63aの締まり係合によって剪断可能要素62aに伝達される。その結果、ランセット装置10aを作動させるように軸方向動作が加えられた場合に、剪断可能要素62aはシールド本体50aと共にハウジング12aの本体20a内でスライドする。シールド本体50aの捕捉した部分は、剪断可能要素62aのスリーブ部64a内に固定することができ、それによってこれらの要素間のしっかりとした係合がなされ、シールド本体50aに加えられる軸方向動作が確実に剪断可能要素62aに伝達される。例えば、医療グレード接着剤または機械係止係合が、シールド本体50aの後端部54aでスリーブ部64aの内側表面とシールド本体50aの捕捉した部分(すなわち、外側表面)の間に与えられ、これらの要素は互いに固定され、ハウジング12aの本体20a内で一体的に移動することができる。ハウジング12aの本体20aの前方へり42aが形成されて、剪断可能要素62aのスリーブ部64aの遠位端との締まり係合が行われることにより、剪断可能要素62a、したがってシールド本体50aが前部開口30aを通って軸方向にスライドしハウジング12aから完全に出てしまわないようにすることができる。
【0032】
ランセット装置10aはさらに、ハウジング12a内に配置され、シールド14a内に延びているランセット70aを備えている。ランセット70aは、ランセット72aの形で示した穿刺要素を備えている。ランセット72aは、その前端部に穿刺端部74aを備えている。ランセット70aは、穿刺端部74aがシールド本体50a内に配置された初期位置と、穿刺端部74aがシールド本体50aの前部開口60aを越えて延びている穿刺位置との間で、患者の身体内に穿刺外傷をもたらすのに十分な距離の、シールド本体50aの内部キャビティ56aを通る軸方向移動ができるようにされている。ランセット装置10aおよびランセット70aの操作に関するさらなる詳細を以下で行う。
【0033】
ランセット72aの穿刺端部74aは、患者の皮膚を穿刺するようになっており、尖った端部、針先端、ブレード縁部などの形とすることができる。穿刺端部74aは、特定の向きに位置合わせされた尖った端部またはブレードなどとの好ましい位置合わせ向きを含むことができる。このような向きでは、シールド本体50aおよび/またはハウジング12aの本体20aは、穿刺端部74aの位置合わせ向きに対応する目標しるしを含むことができる。シールド本体50a内の突起(図示せず)および/または本体20a内の窪み(図示せず)は、前に参照として援用した特許文献7に記載されているように、このような位置合わせ向きとして機能することができる。
【0034】
ランセット70aはさらに、その後端部でランセット72aを支持するキャリヤ本体76aを備えている。キャリヤ本体76aおよびシールド本体50aは、シールド本体50a内でランセット70aの移動を案内する対応する案内表面を含むことができる。例えば、キャリヤ本体76aはその外側表面にガイドタブ78aを備えることができ、シールド本体50aはその中にガイドタブ78aをスライド可能に収納するように、その内側表面に沿って長手方向に延びている対応するガイド経路80aを画定する。キャリヤ本体76は、図示するようにその対向する横側部に1対のガイドタブ78a、または単一のガイドタブ78aを備えることができ、スライド本体50aは、各ガイドタブ78aに対応するその対向する内側表面に沿って延びている対応する1対のガイド経路80a、または単一の対応するガイド経路80aを備えることができる。ガイドタブ78aおよび経路80aの配置を逆にすることもでき、多数のガイドタブガイド経路78a、80a(すなわち、3つ以上)を使用することもできることが考えられる。ガイドタブ78aおよびガイド経路80aは、ランセット70aがシールド本体50a内に適切に位置合わせされ、シールド本体50a内でのランセット70aの軸方向スライド移動を案内するのを保証し、さらに、シールド本体50a内のキャリヤ本体76aの回転移動を防ぐまたはこれに耐えるように使用することもできる。ガイドタブ78a上の遠位方向に面した表面82aは、シェルフまたはウィング66aがランセット70aを解放するように破断されるまで、ランセット装置10aの初期または予備作動状態で剪断可能要素62a上のシェルフまたはウィング66aと係合する。キャリヤ本体76aはさらに、本明細書に記載するようにランセット装置10aの駆動ばねおよび引き込みばねにそれぞれ係合する、近位端のすなわち後端部ばねガイド86aおよび遠位端のすなわち前端部ばねガイド88aを備えている。ばねガイド86a、88aは、キャリヤ本体76aと一体形成することができるか、あるいは異なる別個の要素として提供されて、例えば、医療グレード接着剤または直接機械取付を備えた医療分野における習慣的な手段によってキャリヤ本体76aの本体に固定することができる。
【0035】
ランセット装置10aを通るランセット70aの移動は、駆動ばね92aによって加えられる付勢力によって実現される。駆動ばね92aは、ランセット装置10aを介して穿刺位置までランセット70aを駆動するようにランセット70aに対して付勢力を加えるようになっており、ハウジング12aの後端部とランセット70aの間に配置されている。後部キャップ24aは、後部キャップ24a上の適切な向きで駆動ばね92aを位置合わせするおよび/またはこれを維持する構造を備えることができる。例えば、後部キャップ24aは駆動ばね92aを正確に位置決めする内部位置合わせ構造(図示せず)を備えることができる。ランセット70aは前に記載したように、ランセット装置10aの初期または予備状態で駆動ばね92aの対向端部と係合する近位ばねガイド86aを備えている。ランセット装置10aの初期状態では、駆動ばね92aは後部キャップ24aとキャリヤ本体76aの遠位ばねガイド86aの間に延びている。ランセット70aが初期予備作動状態にある場合、駆動ばね92aは実質的に負荷がかかっていない解放状態にあり、ランセット70aにほとんどあるいは全く付勢力が加わらない。駆動ばね92aを圧縮すなわち「負荷をかける」際、ランセット装置10aは、本明細書に詳細に説明するように穿刺処置に備えて作動準備または負荷状態に置かれる。
【0036】
引き込みまたは戻りばね94aが、さらに、ランセット70aが、穿刺要素74aがシールド本体50aの遠位端または前端部54aから外側に延びている穿刺位置まで患者に穿刺外傷を引き起こすのに十分な距離だけ遠位方向に移動した後に、シールド本体50a内にランセット70aを引っ込めるように、ランセット装置10aの前端部または遠位端に設けられる。引き込みばね94aは、本明細書に記載するように、ランセット70aの前方向への移動中に、キャリヤ本体76aの前側に延びている遠位ばねガイド88aによって係合されるようになっている。シールド本体50aの前端部または遠位端壁面58aはさらに、引き込みばね94aを受ける遠位端ポケット98を画定する、軸方向後側にまたは近位方向に延びている内部スリーブ96aを備えている。引き込みばね94aは、穿刺処置において、ランセット装置10aの動作の始めから終わりまで遠位端ポケット98a内に配置されている。引き込みばね94aは、医療グレード接着剤の使用によって、または遠位端ポケット98a内に引き込みばね94aを機械的に固定することによって、遠位端ポケット98a内に固定することができる。駆動および引き込みばね92a、94aは一般的に、圧縮状態にある場合に、潜在エネルギーを蓄積することが可能な圧縮ばねである。
【0037】
ランセット装置10aはさらに、ランセット70aの前端部、より詳細には、ランセット72aの穿刺端部74aを保護するために覆う保護タブまたはカバー100aを備えることができる。タブまたはカバー100aは、使用前にその殺菌性を維持するように穿刺端部74aを保護するために覆う。タブまたはカバー100aは一般的に、ランセット装置10aの使用者が把持するように、シールド本体50a内の前部開口60aを通ってキャリヤ本体76aの本体から延びる比較的薄く、縦長の構造である。タブまたはカバー100aは、例えば、塑性成形過程中に、キャリヤ本体76aと一体形成することによって、キャリヤ本体76aの本体と一体形成することができる。タブまたはカバー100aとキャリヤ本体76aの間の連結は、それに沿ってタブまたはカバー100はキャリヤ本体76aからカバー100aを取り除くように破断することを意図した周面溝または折り線の形の脆弱領域を含むことができる。タブまたはカバー100aは図示するように、キャリヤ本体76aの遠位ばねガイド88aから前側に延びている。タブまたはカバー100aの寸法は、引き込みばね94aを通って軸方向に延びるものである。タブまたはカバー100aの様々な構成は、前に参照として援用した特許文献7に記載されている。
【0038】
ランセット装置10aのそれぞれの要素は全て一般的に、医療グレードプラスチック材料などの、成形プラスチック材料で形成されている。ランセット72aは、皮膚を穿刺するようになっているあらゆる適切な材料で構成することができ、一般的にはステンレス鋼などの医療グレード金属である。
【0039】
ランセット装置10aの使用および作動を次に、図1〜6を続けて参照して説明する。ランセット装置10aは一般的には、最初、キャリヤ本体76aから、シールド本体50aの前端壁面58a内の前部開口60aを通って遠位に延びているカバー100aを備えている。ランセット装置10aの初期の非作動準備状態では、駆動ばね92aは実質的に圧縮されておらず(すなわち、負荷がかけられてなく)、解放された状態である。駆動ばね92aは、後部キャップ24aの内側からキャリヤ本体76aまで延びており、より詳細には、キャリヤ本体76aの近位ばねガイド86aの周りに配置されている。ランセット装置10aを穿刺処置で使用するために、駆動ばね92aは、圧縮されて、圧縮の作動準備状態に置かれて、ランセット70aをハウジング12aおよびシールド14aを通って移動させるのに必要な付勢力を提供する必要がある。さらに、初期状態では、駆動ばね92aは、ばねガイド86aに作用して、ハウジング12aの本体20a内にランセット70aを実質的に位置決めするだけである。より詳細には、駆動ばね92aは、キャリヤ本体76aを、ハウジング12aの本体20a内で相対固定静止位置に位置決めし、そこで、ランセット70aは、ハウジング12aの本体20aおよびシールド14aのシールド本体50aに対するほぼ固定された位置を占めている。さらに、キャリヤ本体76aから横方向に延びているガイドタブ78aが、剪断可能要素62a上の片持ち梁式シェルフまたはウィング66aと接触するように、キャリヤ本体76aのばねガイド86aに作用する駆動ばね92aはキャリヤ本体76aを位置決めし、それによって、剪断可能要素62aおよびシールド本体50aを本体20aに対してほぼ固定位置に位置決めする。より詳細には、駆動ばね92aはキャリヤ本体76aに作用して、ガイドタブ86a上の遠位表面82aがシェルフ66aと締まり係合するようにキャリヤ本体76aを位置決めし、本体20aに対してほぼ固定位置で剪断可能要素62aおよびシールド本体50aを位置決めする。したがって、使用者がランセット装置10aを使用する準備ができるまで、剪断可能要素62aおよびシールド本体50aは、本体20aに対してほぼ一定の相対位置に保持される。
【0040】
ランセット装置10aを使用するために、使用者はハウジング12aの対向する側部を指と親指の間などで把持し、破断可能カバー100を取り除く。カバー100aは一般的に、キャリヤ本体76aとの脆い連結を破断するように、シールド本体50aの前端壁面58aに画定された前部開口60a内で組み合わせた捩れおよび引張動作でカバー100aを移動させることによって取り除かれる。脆い連結が破断すると、カバー100aは前部開口60aを通って取り除くことができる。シールド本体50aの前端壁面58aはその後、穿刺負傷が出血を開始させることが望ましい患者の身体上の位置と接触して配置することができる。設けられている場合、目標しるしは穿刺の所望の位置と位置合わせすることができる。
【0041】
身体に対して配置されると、使用者はハウジング12aの本体20aに下向きの力を加えて、シールド14aのシールド本体50aをハウジング12a内に引っ込める(すなわち、押し下げる)。より詳細には、使用者は矢印Xの方向に下向きの力を加え、それによって使用者の身体(すなわち、皮膚表面)に対して力が加えられる。このような力は、シールド本体50aの前端壁面58aに対向する力を確立して、シールド本体50aをハウジング12aの本体20a内で軸方向で、かつ近位方向に引っ込めさせる。シールド本体50aが本体20a内に引っ込むと、シールド本体50aの後端部54aは後部キャップ24aに向かって近位方向に(すなわち、後ろに)移動する。剪断可能要素62aの当接凹部68aと、シールド本体50aの後端部54aにおける後周縁63aとの間の締まり係合によって、剪断可能要素62aはシールド本体50aと結合して後部キャップ24aに向かって移動する。ほぼ同時に、ガイドタブ78aとシェルフまたはウィング66aとの間の締まり係合によって、駆動ばね92aに圧縮圧力すなわち力が作用し始める。より詳細には、使用者がハウジング12aに下向きの力を加えると、シールド本体50aおよび剪断可能要素62aは後ろ向きに移動し、対抗する力を伝達してガイドタブ78a上の遠位端表面82aとシェルフ66aとの間の締まり係合を介してばね92aを駆動し、それによって後部キャップ24aとキャリヤ本体76aの間で駆動ばね92aを圧縮し始める。
【0042】
ランセット70a全体が後ろ向きに移動し続けると、ガイドタブ78aとシェルフ66aとの間の締まり係合によって、後部キャップ24aとキャリヤ本体76aの間で、より詳細には、近位ばねガイド86aと後部キャップ24aとの間で駆動ばね92aを圧縮する。シェルフまたはウィング66aは意図的に破断するように(すなわち、脆いように)形成されており、シェルフ66aは、破断することなく予め選択した距離だけ、近位ばねガイド86aと後部キャップ24aとの間で駆動ばね92aを軸方向に圧縮するのに必要な力に耐えるのに十分な強度で形成される。ハウジング12aの本体20aのさらに下向きの移動によって、最終的に、近位ばねガイド86aが、後部キャップ24aの内側と接触するまたはこの内側に「到達する」。この点で、駆動ばね92aは近位ばねガイド86aと後部キャップ24aとの間でその最大圧縮に実質的に到達し、ランセット装置10aは、次に、穿刺処置を行なうように十分に「作動準備」されまたは「負荷がかけられ」る。選択的として、ばねガイド86aは後部キャップ24aの内側と接触またはそれに対して「到達する」必要はなく、駆動ばね92aはランセット装置10aの作動を行なうのに十分蓄積された潜在エネルギーを有することができる。
【0043】
近位ばねガイド86aが後部キャップ24aの内側に接触すると、ハウジング12aの本体20aに加えられた連続的な下向きの力は、ガイドタブ78aとの締まり係合により破断可能シェルフまたはウィング66aに全体的に加えられる。より詳細には、近位ばねガイド86aが後部キャップ24aに接触すると、使用者による全体の下向きに加えられた力は、本体20a(すなわち、後部キャップ24a)からキャリヤ本体76a、したがってガイドタブ78aに伝達される。ガイドタブ78aとシェルフ66aとの間の締まり係合は、下向きに加えられた力をシェルフ66aに集中させ、それにより、シェルフ66aは、脆弱領域67aで遠位または前方向に、また、シールド本体50aの内部キャビティ56a内に、壊れ、剪断され、あるいは破断される(すなわち、機能しなくなる)。シェルフまたはウィング66aが破断したときに、ガイドタブ78aとシェルフ66aとの間の締まり係合によってばね92aを駆動するように加えられていた抑制または圧縮力が解放されて、駆動ばね92aがシールド本体50a内でランセット70aを前向きに移動させることを可能にするように、駆動ばね92aに潜在エネルギーを解放する。加えて、ガイドタブ78aとシェルフ66aとの間の破壊された締まり係合がなくなった状態で、剪断可能要素62aおよびシールド本体50aは、後ろ向きに自由に後退して、後部キャップ24a上の環状へり36aと係合し、そこでさらなる後向きの移動が停止する。剪断可能要素62aおよびシールド本体50aが環状へり36aに向かって移動すると、剪断可能要素62aがハウジング12aの本体20aの内側表面上の環状突起40aの上部に乗る。環状突起40aと剪断可能要素62aとの係合により、剪断可能要素62aとハウジング12aの本体20aの間の摩擦係合が大きくなり、それによって本体20aに対する剪断可能要素62aおよびシールド本体50aの位置を実質的に固定し、シールド本体50aが本体20a内に再び前向きに移動するのを阻止する。剪断可能要素62aの外側表面と環状突起40aの間の摩擦係合は、剪断可能要素62aおよびシールド本体50aが本体20a内に完全に後退し、後部キャップ24aと係合した後に、本体20a内のシールド本体50aの前向き移動を実質的に防ぐように、摩擦ロックまたはブレーキとして実質的に動作する。
【0044】
圧縮された駆動ばね92a内の蓄積潜在エネルギーが解放され、駆動ばね92aはランセット70aを後部キャップ24aからシールド本体50a内の内部キャビティ56aを通って離れるように付勢する。より詳細には、ガイドタブ78aとシェルフ66aの間の締まり係合が取り除かれ、駆動ばね92aの付勢力は、ハウジング12aの本体20aおよびシールド14aのシールド本体50aを通って軸方向に後部キャップ24aから離れるようにランセット70aを下向きおよび遠位方向に推進させる。この移動の間、対応するガイドタブ78aおよびガイド経路80aは、ランセット70aを、シールド本体50aを通って軸方向に案内する。ランセット70aに作用する付勢力は、ランセット72aの穿刺端部74aが十分な距離突出させるのに十分であることが好ましく、シールド本体50a内の前部開口60aからの動的エネルギーは患者の身体上の所望の位置に穿刺外傷を生じさせるのに十分なものである。さらに、ランセット70aの推進移動中、ランセット70aのキャリヤ本体76a上の近位ばねガイド86aは、後部キャップ24aに連結されたままである駆動ばね92aから解放される。
【0045】
さらに、ランセット70aが推進移動において前方に移動すると、遠位ばねガイド88aは引き込みばね94aの後端部と係合する。駆動ばね92aによって与えられた付勢力は、引き込みばね94aを遠位端ポケット98aに向かって圧縮させる、引き込みばね94aの後端部との遠位ばねガイド88aの係合によって、引き込みばね94aに少なくとも部分的に加えられる。引き込みばね94aは、ランセット70aを推進させる駆動ばね92aの付勢力によって全体的にまたは部分的に圧縮することができるように設計されるが、さらに患者の皮膚を穿刺し、出血を開始させるのに十分な距離および十分な力で、シールド本体50a内の前部開口60aを通ってランセット72aの穿刺端部74aを延ばすことを可能にするものである。遠位ばねガイド88aは、ランセット70aが軸方向移動して前側すなわち前部開口60aを通りシールド本体50aから全体的に出てしまうのを防ぐように、引き込みばね94aを支持する内部スリーブ96aに対して当接する当接表面を与える寸法となっている。
【0046】
前に示したように、引き込みばね94aは一般的に、圧縮ばねであり、ランセット70aが穿刺位置まで延びた後に、シールド本体50a内で解放された負荷のない状態に戻るのに十分な弾力性を有している。したがって、引き込みばね94aが圧縮されると、キャリヤ本体76a上の遠位ばねガイド88aとの係合によってランセット70a上に戻り付勢力を与える。引き込みばね94aはそれによって、シールド本体50aの前端壁面58aとキャリヤ本体76a上の遠位ばねガイド88aの間で作用して、シールド本体50a内にランセット70aの十分なまたは完全な引っ込みを生じさせる。より詳細には、引き込みばね94aは、シールド本体50a内全体にランセット72aの穿刺端部74aを後退させる戻り付勢力を加える。さらに、引き込みばね94aがシールド本体50a内で解放されたまたは負荷のない状態に戻ると、ランセット70aはシールド本体50a内の静的位置に戻り、ランセット70aはシールド本体50a内の相対固定および静的位置に配置される。引き込みばね94aが解放されたまたは圧縮されていない状態に戻ると、引き込みばね94aはシールド本体50a内に配置されたランセット70aを、穿刺端部74aがシールド本体50a内に遮蔽された状態に維持し、穿刺位置へのランセット70aのさらなる移動を防ぐ。ランセット装置10aはそれによって、再使用から安全に保護され、適当な医療用廃棄物容器内などに適切に処分することができる。
【0047】
図7〜12を参照すると、ランセット装置10bの第2の実施形態が全体的に示されており、前に記載したランセット装置10aと同じ基本構成部品を備えている。一般的に、ランセット装置10bは、ハウジング12bと、ハウジング12b内に移動可能に取り付けられたシールド14bと、ハウジング12b内に移動可能に配置され、シールド14bを通って移動可能であるランセット70bとを備えている。前述のランセット装置10bの基本構成部品は、ランセット10aの対応する構成部品と実質的に同様であるので、これらの構成部品のはっきりした相違のみを、ランセット装置10bの使用および操作の順序と共に、本明細書で述べる。
【0048】
ランセット装置10aに対して、ランセット装置10bは前に述べた剪断可能要素62aに対応する構造を備えていない。ランセット装置10bは、シールド近位端54bの後部突起または周縁102にシールド本体50bを有するシールド14aを備えている。後部突起または周縁102は、ハウジング12aの本体20aの前端部22bで前方へり42bと締まり係合するようになっている。前縁部42bとの後部突起102の締まり係合によって、ランセット装置10bを作動させる前に、前方へり42b内に画定された前部開口30bを通ってシールド本体50bが軸方向にスライドし、ハウジング12bから完全に出てしまうのを防ぐようにされている。後部周縁102は、ランセット装置10bが使用者によって作動されたときに起こるのと同様に、シールド本体50bが本体20b内に後退する(すなわち、押し下げられる)場合に、本体20bの内側表面と接触し、スライド係合することができるような寸法をしている。
【0049】
前に述べたランセット10aに対する別の相違は、ランセット装置10bを作動準備または負荷状態に配置し、その後ランセット装置10bの作動を生じさせるように使用されたランセット70bとシールド14bの間の干渉構造にある。ランセット装置10bでは、シールド本体50bは、ランセット装置10a内の剪断可能要素62a上の破断可能シェルフまたはウィング66aの代わりである、内側に延びているシェルフ、ウィング、または内部タブ104を備えている。内部タブ104は、シールド本体50bと一体形成されていることが望ましいが、シールド本体62aに取り付けられ、例えば後周縁102に取り付けられ、シールド本体50bの中心キャビティまたは孔56b内に延びている追加の別個の構造の一部であってもよい。シールド本体50bは図では2つの対向した内側に延びている内部タブ104を備えているが、1つの内部タブ104だけが、剪断可能要素62a上の破断可能シェルフまたはウィング66aに関連して前に説明したのと同様の方法で、ランセット70bとの係合に必要であることが分かる。
【0050】
ランセット装置10aでは、ガイドタブ78aは、ランセット装置10aの初期または予備作動状態にある駆動ばね92aの位置効果によりシェルフ66aに最初だけ接触する、破断可能シェルフまたはウィング66aとの締まり係合のためにランセット70a上の構造を形成する。ランセット装置10bでは、ガイドタブ78bはさらに、切断ブレード、縁部などであってもよい切断要素106を備えまたはこれで形成されている。切断要素106は、ガイドタブ78bと一体的に形成することができ、または別の方法では、直接的な機械または接着取付などの医療用装置分野において慣例である手段によってガイドタブ78bに固定された別個の切断構造とすることもできる。切断要素106は、シールド本体50bを通るランセット70bの移動を可能にし、それによって穿刺処置を行なうように、ランセット装置10bの作動中にシールド本体50bの内部キャビティ56b内で内部タブ104を切断、剪断、または弾性変形するようになっている。前述の構造的相違の以外では、ランセット装置10bは前に説明したランセット装置10aの構造と全ての他の点において実質的に同様である。
【0051】
図7〜12を続けて参照して、ランセット装置10bの使用および操作を次に説明する。使用前に、キャリヤ本体76bから遠位方向に延びているカバー100bは、前に説明した方法でキャリヤ本体76bとの脆い連結を破断し、シールド本体50bの前端壁面58b内の前部開口60bからカバー100bを引き出すことによって取り除かれる。シールド本体50bの前端壁面58bは、その後、患者の身体上の目標位置と接触させるように配置することができる。ランセット装置10bの初期状態では、駆動ばね92bは実質的に圧縮されておらず(すなわち、負荷が加えられておらず)、解放された状態である。駆動ばね92bは、キャリヤ本体76aの近位ばねガイド86aから後部キャップ24bまで延びている。前に述べたように、ランセット装置10bの初期状態では、駆動ばね92aは解放された状態にあり、ランセット70bをハウジング12aの本体20b内の固定位置で実質的に位置決めするようにばねガイド86bに作用し、ランセット70bは本体20bに対してほぼ固定位置を占めている。加えて、駆動ばね92bは本体20b内でキャリヤ本体70bを位置決めするように、キャリヤ本体76b上のばねガイド86bに作用し、それによってガイドタブ78b、より詳細には切断要素106は、シールド本体50bの内部キャビティ56b内でタブまたはシェルフ104と締まり係合している。切断要素106と内部タブ104との間の締まり係合はさらに、本体20bに対してほぼ固定または静的位置にシールド本体50bを配置するように作用する。したがって、使用者がランセット装置10bを使用する準備ができるまで、シールド本体50bは、シールド本体50b内でガイドタブ78bと内部タブ104の間の締まり係合によって本体20aに対しほぼ固定および静的位置で実質的に保持される。
【0052】
ランセット装置10bを使用するために、使用者はハウジング12bの対向する側部を把持し、本体20に下向きの力を加える。この力により、シールド本体50bの前端壁面58bに対向する力を生じさせて、シールド本体50bを本体20a内で軸方向に後退させる。シールド本体50bが本体20b内に後退すると、シールド本体50bの後端部54bは後部キャップ24bに向かって近位方向に(すなわち、後ろ向きに)移動する。ガイドタブ78bと内部タブまたはシェルフ104の間の、より詳細には、ガイドタブ78b上の切断要素106と内部タブまたはシェルフ104との間の締まり係合により、ランセット70bはまた後部キャップ24bに向かって後ろ向きに移動する。シールド本体50bが後ろ向きに移動すると、ガイドタブ78b上の切断要素106と内部タブまたはシェルフ104との間の締まり係合によって、対抗する力が駆動ばね92bに加えられ、それによって後部キャップ24bとキャリヤ本体76bの間で駆動ばね92bを圧縮する。内部タブ104は切断要素106によって切断または弾性変形されることを意図したものであり、内部タブ104は近位ばねガイド86bと後部キャップ24bの間で、駆動ばね92bを軸方向に圧縮するのに必要な対向する力によって、切断要素106によって切断または剪断されるのに耐えるのに十分な強度で形成されている。すなわち、内部タブまたはシェルフ104は、所望のトリガ点の前で所定の距離だけ駆動ばね92bを圧縮するのに必要な力に耐えるように形成されている。ハウジング12bのさらに下向きの移動は、最終的に、近位ばねガイド86bを後部キャップ24aの内側に接触させる。この点で、駆動ばね92baは、最大レベルの蓄積潜在エネルギーで最大圧縮に実質的に到達する。ランセット装置10bは次に、穿刺処置を行なうのに十分な作動準備または負荷状態になる。
【0053】
近位ばねガイド86bは後部キャップ24bと接触すると、ハウジング12bの本体20bに加えられた下向きの力は、切断要素106と内部タブ104の間の締まり係合に全体的に加えられる。より詳細には、近位ばねガイド86bが後部キャップ24bに接触すると、使用者の全体的に下向きに加えられた力が、本体20b(すなわち、後部キャップ24b)からキャリヤ本体76bに、したがってガイドタブ78bおよび切断要素106に伝達される。内部タブ104上の下向きの切断力はここでは、内部タブ104を切断または弾性変形させるのに十分なものである。内部タブ104が切断または弾性変形されたとき、駆動ばね92bを圧縮するように加えられた対向する力が解放され、それによって駆動ばね92bがランセット70bをシールド14b内で前向きに移動させることが可能になる。加えて、ガイドタブ78bと内部タブ104の間の締まり係合が取り除かれると、シールド本体50bは、ハウジング12bに使用者によって依然として通常は加えられる下向きの力によりさらに後ろ向きに後退させられる。シールド本体50bは最終的に、後部キャップ24b上の環状へり36bと係合する位置まで後ろに移動し、ここでさらなる後向きの移動が停止される。シールド本体50bが後部キャップ24b上の環状へり36bに向かって移動すると、シールド本体50bの後端部54b上の後部周縁102は環状突起40bの上部に乗る。環状突起40bはその後、シールド50bのその後の前向きの移動を抑制または防止するように係止構造を形成する。
【0054】
その圧縮によって駆動ばね92b内に蓄積された潜在エネルギーを解放すると、駆動ばね92bはランセット70bを後部キャップ24bからシールド本体50bを通って離れるように付勢する。このような推進移動の間、対応するガイドタブ78bおよびガイド経路80bは、シールド本体50bを通って軸方向にランセット70bを案内する。ランセット70aに加えられた付勢力は、患者の身体上の目標位置に穿刺外傷を生じさせるように、ランセット72bの穿刺端部74bをシールド本体50b内の前部開口60bから十分な距離および十分な力で突出させるのに十分であることが好ましい。さらに、ランセット70bの推進移動中、キャリヤ本体76b上の近位ばねガイド86bは、後部キャップ24bに連結されたままである駆動ばね92bから解放される。前端壁面58bの内部スリーブ96bは、遠位ばねガイド88bと係合する遠位止め具を画定し、ランセット70bが前部開口60bを通って軸方向移動しシールド本体50bから全体的に出るのを防ぐ。
【0055】
ランセット70bが推進移動中に前向きに移動すると、遠位ばねガイド88bが引き込みばね94bに係合する。駆動ばね92bによってランセット70bに加えられた付勢力は、引き込みばね94bとの遠位ばねガイド88bの係合によって引き込みばね94bに少なくとも部分的に加えられて、引き込みばね94bを遠位端ポケット98bに向かって圧縮する。引き込みばね94aにより、ランセット72bの穿刺端部74bを、患者の皮膚を穿刺し、出血を開始させ、その後ランセット70bをシールド14b内で実質的な固定および静的位置まで戻すのに十分な距離および十分な動的エネルギーで、シールド本体50b内の前部開口60bを通って延ばすことが可能になる。より詳細には、引き込みばね94bがシールド本体50b内で解放されまたは負荷が加えられていない状態に戻ると、ランセット70bはシールド14b内に後退し、シールド本体14b内の実質的な固定および静的位置まで戻される。その後、遠位ばねガイド88bとの引き込みばね94bの係合は、シールド本体50b内のほぼ固定および静的位置にランセット70bを維持する。これは、穿刺端部74bをシールド本体50b内に遮蔽されたままにし、穿刺位置へのランセット70bのさらなる移動を防ぐものである。
【0056】
図13〜18を参照すると、ランセット装置10cの第3の実施形態が全体的に図示され、前に説明したランセット装置10a、10bと同じ基本構成部品を備えている。一般的に、ランセット装置10cは、ハウジング12cと、ハウジング12c内に移動可能に取り付けられたシールド14cと、ハウジング12c内に移動可能に配置されたランセット70cとを備えている。前述のランセット装置10cの基本構成部品は、ランセット10a、10bの対応する構成部品と実質的に同様であるので、これらの構成部品のはっきりした相違のみを、ランセット装置10cの普通の使用および操作の順序と共に、本明細書で論じる。
【0057】
ランセット装置10a、10bでは、ランセット70a、70bは、これらの装置の初期予備作動状態で駆動ばね92a、92bによってハウジング12a、12b内で実質的に固定および静的位置に最初に位置決めされている。ランセット装置10a、10bでは、駆動ばね92a、92bは最初、解放された負荷のない状態にあり、ハウジング12a、12bに対してランセット70a、70bを位置決めするようにランセット70a、70bに作用する。ランセット装置10a、10bは、シールド14a、14bが使用者によって加えられる力によりハウジング12a、12b内に後退する(または、窪んでいる)場合に作動準備または負荷状態に配置されるだけであり、その後、ランセット70a、70bを駆動ばね92a、92bに作用させ、潜在エネルギーでそれぞれの駆動ばね92a、92bを圧縮させるおよび負荷を加えさせる。
【0058】
ランセット装置10cは最初、作動準備または負荷状態で設けられ、ランセット70cは圧縮された駆動ばね92cによって穿刺位置まで付勢される準備ができている。この初期作動準備状態では、駆動ばね92cは圧縮(すなわち、負荷)状態にあり、解放の際に穿刺処置によりランセット70cを付勢させる準備ができている。より詳細には、ランセット装置10cは、キャリヤ本体76cの近位ばねガイド86cと後部キャップ24cの間で圧縮された駆動ばね92cを備えている。ランセット70cは、ハウジング12cとランセット70cの間に延びている係止または作動構造110によって、シールド14c内への前向きの移動に対して固定されている。アクチュエータ110は、ランセット70cの解放を防ぎ、それに応じて、ランセット装置10cの使用者が穿刺処置を行なう準備ができるまで、駆動ばね92cの圧縮を維持する。
【0059】
アクチュエータ110は一般的に、スリーブ部112と、スリーブ部112から延びている1つまたは複数の旋回つぎ板またはタブ114、例えば弾性つぎ板とを備えている。スリーブ部112は、ハウジング12cの本体20cの内側表面に画定された環状壁面凹部116内に配置されている。本体20cは、ランセット装置10a、10bと比べて、ランセット装置10c内の全体的により厚い環状壁面で形成されている。スリーブ部112は、医療グレード接着剤、および/または好ましくは壁面凹部116と後部キャップ24c上の環状へり36cの間で軸方向に捕捉され、それによって壁面凹部116内に摩擦保持されることによって、壁面凹部116内に固定することができる。アクチュエータ110は図では、ランセット70cに係合する2つのほぼ内側に延びるつぎ板またはタブ114を備えている。この構成が望ましいが、ランセット70cを係合する弾性つぎ板114ひとつだけが一般的には必要であり、2つを超える追加のつぎ板114を提供することもできる。
【0060】
つぎ板114はほぼ後ろ向きに、または本体20c内で近位方向に延びており、ランセット70cのキャリヤ本体76c上のガイドタブ78cと係合する。つぎ板114は、この例では、ランセット装置10cの初期状態でガイドタブ76cと係合するように中心軸Aに対して約45°で内側に角度付けられている。より詳細には、つぎ板114の端部118は、ランセット70cがランセット装置10cの初期作動準備状態から解放させるのを防ぎ、それによってランセット装置10cが使用者によって作動されるまで駆動ばね92cを圧縮状態に維持するように、キャリヤ本体76c上のガイドタブ78cと係合する。つぎ板114はそれぞれ、ヒンジ連結120によってスリーブ部112に連結されている。ヒンジ連結120は、この構造の例示的な実施形態で例示したように、活動ヒンジとすることができる。つぎ板114の端部118はガイドタブ78cの隅部と係合し、それによってシールド14cのない状態でハウジング12cに対してキャリヤ本体76cの遠位方向の移動は、つぎ板114をヒンジ連結120とタブ78c間の接触点の間でほぼ圧縮させる。ランセット装置10a、10bと同様に、使用者がハウジング12cを窪ませて、その中にシールド14cを後退させる(すなわち、押し下げる)と、ランセット装置10cは作動する。しかし、シールド14cは次に、ハウジング12cとランセット70cの間にアクチュエータ110を解放するようになっており、それによってランセット70cを穿刺処置により付勢させるように圧縮された駆動ばね92cが解放される。
【0061】
ランセット装置10cの作動を簡単にするために、シールド14cはアクチュエータ110と係合するおよびアクチュエータ110を解放するようになっている。この目的で、シールド本体50cはシールド近位端54cでテーパ状の後周縁122で形成することができる。テーパ状の後周縁122は、つぎ板114の遠位または前向き側部と係合するように、つぎ板114と同じ方向にほぼテーパ状になっている。テーパ状の後周縁122の係合点は、ヒンジ連結120とガイドタブ78c間の接触点の間の位置でつぎ板114の上にある。テーパ状の後周縁122は、つぎ板114の内側テーパに対応するように約45°のテーパを画定することができる。ランセット装置10cの初期作動準備状態では、テーパ状の後周縁122はつぎ板114と接触しており、それによってハウジング12c内のシールド14cのあらゆる後向きの移動は、特にアクチュエータ110およびつぎ板114に直ちに作用する。後周縁122は図では画定されたテーパを備えているが、このようなテーパは省略することができ、シールド本体50cは平らなまたは鈍い後周縁122を備えた円筒形構造として形成することができることが分かる。
【0062】
続けて図13〜18を参照して、ランセット装置10cの使用および操作を次に述べる。前の実施形態と同様に、キャリヤ本体76cから遠位方向に延びているカバー100cは、キャリヤ本体76cとの脆い連結を破断し、シールド本体50cの前端壁面58c内の前部開口60cからカバー100cを引き出すことによって取り除かれる。シールド本体50cの前端壁面58cはその後、患者の身体上の目標位置と接触させるように配置することができる。示したように、ランセット装置10cは最初に作動準備状態で、圧縮された駆動ばね92cが解放されたときに穿刺処置を開始する準備ができているランセット70cを備えている。
【0063】
穿刺処置を行なうために、使用者はハウジング12cの対向する側部を把持し、本体20cに矢印Xの方向に下向きの力を加えて、シールド本体50cを本体20c内に後退する。この力により、シールド本体50cの前端壁面58c上に対向する力を生じさせて、シールド本体50cを本体20c内で軸方向に後退させる。シールド本体50cが本体20c内に後退すると、シールド本体50cの後端部54c上にあり、つぎ板114と係合するテーパ状の後周縁122は、つぎ板114をスリーブ部112に向かって径方向外側に移動させ始める。シールド本体50cの連続した後向きの移動により、つぎ板114がガイドタブ78cから離れ、それとの締まり係合を解放するまで、つぎ板114がランセット70cから離れる径方向外側の移動を続けさせる。アクチュエータ110の構成は、シールド本体50cの軸方向移動をつぎ板114の径方向外側の旋回移動に変換して、ランセット装置10cの作動を実現する。
【0064】
駆動ばね92c内の潜在エネルギーを解放すると、駆動ばね92cはランセット70cを後部キャップ24cからシールド本体5cbを通って離れるように付勢する。このような推進移動の間、キャリヤ本体76c上の対応するガイドタブ78c、およびシールド本体50c内のガイド経路80cは、シールド本体50cを通って軸方向にランセット70cを案内する。ランセット70cに加えられる付勢力は、ランセット72cの穿刺端部74cを、患者の身体上の所望の位置に穿刺外傷を生じさせるように、シールド本体50cの前部開口60cから十分な距離および十分な力で突出させるのに十分であることが好ましい。さらに、ランセット70cの推進移動中、キャリヤ本体76c上の近位ばねガイド86cは、後部キャップ24cに連結されたままである駆動ばね92cから解放される。遠位ばねガイド88cは、ランセット70cが前部開口60cを通って軸方向移動しシールド本体50cから全体的に出るのを防ぐように、引き込みばね94cを支持する内部スリーブ96cと係合する当接表面を与える。
【0065】
ランセット70cが推進移動中に前方に移動すると、遠位ばねガイド88cが引き込みばね94cに係合する。駆動ばね92cによって加えられた付勢/推進力は、引き込みばね94cとの遠位ばねガイド88cの係合によって引き込みばね94cに少なくとも部分的に加えられて、引き込みばね94cを遠位端ポケット98cに向かって圧縮させる。引き込みばね94cにより、ランセット72cの穿刺端部74cを、患者の皮膚を穿刺し、出血を開始させ、その後ランセット70cをシールド14c内で実質的な固定および静的位置まで戻すのに十分な距離および十分な力で、シールド本体50c内の前部開口60cを通って延ばすことが可能になる。より詳細には、引き込みばね94cがシールド本体50c内で解放されたまたは負荷が加えられていない状態に戻ると、ランセット70cはシールド14c内に後退し、シールド本体50c内の実質的な固定および静的位置まで戻される。その後、遠位ばねガイド88cとの引き込みばね94cの係合は、シールド本体50c内のほぼ固定および静的位置にランセット70cを維持し、穿刺端部74cをシールド本体50c内に遮蔽されたままにし、穿刺位置へのランセット70cのさらなる移動を防ぐ。
【0066】
図19〜23を参照すると、ランセット装置10dの第4の実施形態が全体的に図示され、一般的にハウジング12d、とハウジング12d内に配置されたランセット70dとを備えている。ランセット装置10dは、ハウジング12d内へのシールド要素の引っ込み(すなわち、押し下げ)により作動されないので、ランセット装置10dは前に述べたランセット装置10a〜cと異なる。しかし、ランセット装置10dはすぐ上で述べたランセット装置10cと同様である。というのは、ランセット装置10dは最初、作動準備または負荷状態で設けられ、干渉構造の解放の際、ランセット70dは駆動ばね92dによって穿刺位置まで付勢される準備ができているからである。この初期作動準備状態では、駆動ばね92dは圧縮(すなわち、負荷)状態にあり、ハウジング12dとランセット70dの間の干渉構造または係合に対するランセット70cの再位置決めの際に穿刺処置によりランセット70dを付勢させる準備ができている。しかし、ハウジング12d、ランセット70d、および駆動ばね92dの構成は前の実施形態と異なり、これらの違いを次に説明する。
【0067】
ランセット装置10dのハウジング12dは、円筒形および中空構成を全体的に画定する細長い本体20dを備えている。本体20dは、遠位端すなわち前端部22dと、本体20dの近位端すなわち後端部26dを形成する後部キャップ24dとを備えている。ハウジング12dの内部はほぼ開いており、内部キャビティ28dを備えている。内部キャビティ28dは、後部キャップ24dにより後端部で閉じており、本体20dの前端部22d内に画定された前部開口30dを備えており、これを通ってランセット70dはランセット装置10dが作動されたときに少なくとも部分的に延びている。本体20dおよび後部キャップ24dを一体形成することができる。一般的には、本体20dおよび後部キャップ24dは、図示するようにハウジング12dを形成するように互いに固定された別個の要素であり、これによりランセット装置10dの組立てを容易にすることができる。例として、本体20dおよび後部キャップ24dは、適当な医療グレード接着剤により互いに固定することができる、かつ/または摩擦嵌合またはスナップ式連結などの、機械的係合をその間に提供する内部係合構造を使用して連結することができる。本体20dは、環状溝34dを画定する環状へり32dを備えることができ、後部キャップ24dは、前に記載したのと同じ方法で、噛合要素として噛合環状リップ38dを有した噛合環状へり36dを備えることができる。
【0068】
前の実施形態に対して、本体20dの遠位端すなわち前端部22dは、引き込みばね94dを受け、また、支持する遠位端ポケット98dを画定する軸方向後側に延びる内部スリーブ98dを備えている。前の実施形態では、(1つまたは複数の)引き込みばねが、作動シールド構造の前端壁面の一部として形成された遠位端ポケットに配置されていた。この構造は次に、ハウジング12dの本体20dの前端部22dに設けられている。加えて、ハウジング12dの本体20dはさらに、ランセット70dの作動、および駆動ばね92dの対応する解放を生じさせる作動構造またはアクチュエータ130を備えている。アクチュエータ130は一般的に、本体20dに一般的には旋回可能に取り付けられた作動ボタンまたはレバー132を備えている。本体20dとの旋回取付は、活動ヒンジまたは同等の構造の形をしていてもよく、レバー132はしたがって本体20dと一体形成することができる。タブ部材134は、ランセット70dと係合し、これを作動させるように作動レバー132の内側から下がる。より詳細には、レバー132は、レバー132を本体20d内の内部キャビティ28d内に内側に押し下げることができるように本体20dに旋回可能に連結されており、それによってタブ部材134はランセット70dと相互作用して、ランセット70dの作動または解放を引き起こす。
【0069】
ハウジング12dの本体20dは、本体20d内のランセット70dの移動を案内する内部ガイド経路138をそれぞれ画定する対向する内側側壁136を備えている。ガイド経路138は、内側側壁136内の溝または凹部として形成することができる、またはそれぞれの側壁136から内側に延びる構造内に形成することができる。ガイド経路138はほぼL字形であり、長手方向に延びている主経路140およびほぼ横方向に延びる側部経路142を備えている。主経路140は、タブ部材134に近位する領域から引き込みばね94dに近位した位置まで遠位方向前方に延びている。主経路140は、ガイド経路138内に当接表面または止め具144を画定し、ランセット70dのキャリヤ本体76dが、ランセット70dが軸方向移動して前部開口30dを通って本体20dから全体的に出るのを防ぐための止め具を提供する。
【0070】
側部経路142は主経路140と隣接しており、主経路140に対して横向きにほぼ斜めに延びている。側部経路142はレバー132に向かった方向に上向きに延びている。側部経路142は主経路140にほぼ斜めに形成されており、側部経路142および主経路140は、交差部でテーパ状隅部または頂点146を画定する。隅部146は約90°未満の角度を画定する。本体20d内の対向する側部経路142が、キャリヤ本体76dを動的安定および平衡位置に維持するために、キャリヤ本体76d上のガイドタブ78dを最初に受けるように使用され、それによって駆動ばね92dによってガイドタブ78dに作用する力を対抗させ、圧縮された駆動ばね92dを抑制する。隅部146は、主経路140と側部経路142の間の移行を画定するのに使用される。側部経路142に向かうガイドタブ78dの移動により、キャリヤ本体76dを動的安定位置から動的不安定位置まで移行することが可能になる。したがって、側部経路142は最初、ガイドタブ78dの位置決めを維持し、ガイドタブ78dはランセット装置10dが作動されるまで、ガイドタブ78dの位置決めを維持するように隅部または頂点146と締まり係合している。
【0071】
ランセット70dは前の実施形態とほぼ同様の方法で形成されており、その前端部に穿刺端部74dを有するランセット72dと、その後端部にランセット72dを支持するキャリヤ本体76dとを備えている。キャリヤ本体76dは、ガイド経路138と係合するその外側表面上に1対のガイドタブ78dを備えている。ランセット70dは、ガイドタブ78dが側部経路142内に配置され、穿刺端部74aが本体20d内に全体的に配置された初期位置と、穿刺端部74dが患者の身体に穿刺外傷を生じさせるのに十分な距離だけ本体20d内の前部開口30dを超えて延びた、ガイドタブ78dが主経路140内に配置されたままである穿刺位置との間の本体20dの内部キャビティ28dを通る軸方向移動ができるようになっている。ランセット装置10dの操作およびランセット70dの移動に関するさらなる詳細を以下に提供する。
【0072】
キャリヤ本体76dはさらに、その後端部に近位または後周縁148を備えている。周縁148は、近位ばねガイド86dの前端部を画定し、一般的にはキャリヤ本体76dの遠位ばねガイド88dの直径より大きい直径を有する。周縁148は、ランセット装置10dの作動を引き起こすために、タブ部材134によって係合するようにランセット70d上に接触構造または表面として設けられている。周縁148の直径はまた一般的には、駆動ばね92dの直径と少なくとも等しいような寸法をしており、ランセット70dの初期状態に圧縮した駆動ばね92dを抑える接触構造または表面を与える。ランセット装置10dの作動中、駆動ばね92dは本明細書に記載するように、穿刺位置にランセット70dを付勢させるように後周縁148に対して作用する。さらに、キャリヤ本体76dは加えて、ガイド経路138と協働する2つの対向するポスト150と、特に主経路140を備えている。ガイド経路138に係合されたポスト150は、ポスト150を通過する軸の周りでキャリヤ本体76dによる少なくとも限られた量の旋回移動を可能にし、ランセット装置10dの続く作動中にガイドタブ78dが主経路140と位置合わせするまで、ガイド経路138に取り付けられたランセット70dを維持する。
【0073】
ランセット装置10dの初期状態では、駆動ばね92dは、キャリヤ本体76d上の後周縁148と後部キャップ23dの間で少なくとも部分的に圧縮され、一般的には皮膚穿刺処置を行なうのに十分な蓄積潜在エネルギーを有する。駆動ばね92dの後端部または近位端は一般的には、この開示で前に述べた方法で後部キャップ24dに固定される。駆動ばね92dの前端部または遠位端はキャリヤ本体76dに取り付けられており、適切な接着剤または直接機械取付けなどの、前に述べたのと同様の手段によって後周縁148に固定することができる。駆動ばね92dは一般的に、軸ずれまたは中心ずれのばね取付けを画定し、駆動ばね92dはレバー132に向かって上向き角度で延びている。駆動ばね92dは、ガイド経路138の側部経路142内のガイドタブ78dの係合によって中心ずれおよび圧縮(すなわち、負荷)配置で安定化される。隅部146は、駆動ばね92dを圧縮(すなわち、負荷)状態および中心ずれ構成で維持するように、ガイドタブ78dの締まり係合および移行点を画定する。隅部146によって画定される鋭角は、使用者によって意図する作動までガイドタブ78dが側部経路142からすぐに解放されるのを防ぐように、ガイドタブ78dに対して受け切り欠き152を画定する。したがって、ガイド経路138内のガイドタブ78dの係合は本体20d内の前方向への移動に対してランセット70dを固定するように干渉構造を形成し、それに応じて、ランセット装置10dの使用者が穿刺動作を行なう準備ができるまで、駆動ばね92の圧縮を維持する。
【0074】
続けて図19〜23を参照して、ランセット装置10dの使用および操作を次に述べる。前の実施形態と同様に、キャリヤ本体76dから遠位方向に延びているカバー(図示せず)はキャリヤ本体76dを備えることができる。前の実施形態と同様に、このようなカバーは、キャリヤ本体76dとの脆い連結を破断し、本体20dの前部開口30dからカバーを引き出すことによって取り除かれる。本体20dの前端周縁42dはその後、患者の身体上の目標位置と接触させるように配置することができる。前に示したように、ランセット装置10dは最初に作動準備状態で、圧縮された駆動ばね92dが解放されたときに穿刺処置を開始する準備ができているランセット70dを備えている。
【0075】
穿刺処置を行なうために、使用者はハウジング12dの対向する側部を把持し、本体20dに旋回可能に連結されたレバー132に下向きの力を加えて、レバー132を本体20dの内部キャビティ28d内に押し下げる。レバー132が本体20d内に押し下げられると、タブ部材134はキャリヤ本体76d上の後周縁148と相互作用する。より詳細には、レバー132に加えられた下向きの力により、タブ部材134は後周縁148を内部キャビティ28d内で下向きに移動させる。キャリヤ本体76dの後周縁148が本体20dの内部キャビティ28d内で下向きに移動すると、キャリヤ本体76dはガイド経路138の主経路140内でポスト150の周りで実質的に同時に旋回する。また実質的に同時に、側部経路142内に受けられたガイドタブ78dは、キャリヤ本体76dを動的に平衡である第1の状態から動的に非平衡である第2の状態まで移動させる効果を有する隅部146を通過するまで側部経路142内で下向きにスライドし、それによってランセット72dの穿刺端部74dが本体20d内の前部開口30dを通って突出するまで、駆動ばね92がキャリヤ本体76dを、本体20dを通って推進させることが可能になる。側部経路142内のガイドタブ78dの下向き移動は、駆動ばね92dをさらに圧縮する任意の効果を有する。
【0076】
レバー132が本体20d内に押し下げられ続けると、ガイドタブ78dは最終的に隅部146を取り除き、側部経路142から離れる。この点で、ガイドタブ78dはガイド経路138の主経路140と位置合わせし、駆動ばね92dの付勢力によりその中で前方向に自由に移動する。それによって、ガイドタブ78dと隅部146の間の係合が解放されると、駆動ばね92dはランセット70dを穿刺位置まで自由に付勢させる。駆動ばね92d内の蓄積潜在エネルギーが解放されると、駆動ばね92はその後、ランセット70dを後部キャップ24dから本体20dを通って離れるように付勢させる。このような推進移動中、ガイド経路138内のガイドタブ78dの係合は本体20dを通って軸方向にランセット70dを案内する。ランセット70dに加えられた遠位付勢エネルギーは、患者の身体上の所望の位置に穿刺外傷を生じさせるように、本体20d内の前部開口30dから十分な距離および十分な力でランセット72dの穿刺端部74dを突出させるのに十分であることが好ましい。さらに、ランセット70dの推進移動中に、キャリヤ本体76d上の近位ばねガイド86dは、後部キャップ24dに連結されたままである駆動ばね92dから解放される。ガイド経路138内の止め具144とのポスト150の係合は、ランセット70dが前部開口30dを通る軸方向移動によって本体20dから全体的に出るのを防ぐ。
【0077】
ランセット70dが推進移動で前向きに移動すると、遠位ばねガイド88dが引き込みばね94dに係合する。駆動ばね92dの付勢力は、引き込みばね94dとの遠位ばねガイド88dの係合によって引き込みばね94dに少なくとも部分的に加えられて、引き込みばね94dを遠位端ポケット98dに向かって圧縮させる。引き込みばね94dにより、ランセット70dの穿刺端部74dを、患者の皮膚を穿刺し、出血を開始させ、その後ランセット70dをハウジング12d内でほぼ固定および静的位置まで戻すのに十分な距離および十分な力で、本体20d内の前部開口30dを通って延ばすことが可能になる。より詳細には、引き込みばね94dが本体20c内で解放されたまたは負荷が加えられていない状態に戻ると、ランセット70dは本体20d内に後退し、本体20d内の実質的な固定および静的位置まで戻される。その後、遠位ばねガイド88dとの引き込みばね94dの係合は、本体20d内のランセット70dの位置決めを維持し、ランセット70dの穿刺端部74はハウジング12d内に遮蔽され、穿刺位置へのランセット70dのさらなる移動を防ぐ。
【0078】
図24〜30を参照すると、ランセット装置10eの第5の実施形態が全体的に図示され、前に説明したランセット装置10a〜cと同じ基本構成部品または要素を備えている。ランセット装置10eは一般的に、ハウジング12eと、ハウジング12e内に移動可能に取り付けられたシールド14eと、ハウジング12e内に移動可能に配置されたランセット70eとを備えている。ランセット装置10eの基本構成部品は、上に述べたランセット装置10a〜cの対応する構成部品と実質的に同様であるので、これらの構成部品の明確な相違のみを、ランセット装置10eの使用および操作の順序と共に、本明細書で論じる。
【0079】
ランセット装置10eの操作の順序は一般的に、ランセット装置10a〜cの操作の順序にしたがい、ランセット装置10eはハウジング12e内のシールド14eの引っ込み(すなわち、押し下げ)により作動準備および作動される。一般的に、ランセット装置10eでは、ランセット装置10eの作動準備および作動がシールド14eのシールド本体50eの近位端すなわち後端部54eが駆動ばね92eの圧縮(すなわち、負荷)を生じさせるハウジング12e内の構造と係合した結果起こり、このような圧縮の解放の際、駆動ばね92eはランセット72eの穿刺端部74eにつながる推進移動によりランセット70eを付勢させて、本明細書で述べるように、穿刺処置のためにシールド14eから患者の皮膚に突出する。
【0080】
ランセット10eでは、シールド14eは、シールド近位端54eで後部突起または周縁162を有するシールド本体50eを備えている。後部突起または周縁162は一般的に、本明細書に詳細に説明するように、ランセット装置10eの作動を引き起こすように、ハウジング12e内に配置されたスライドプレート164と接触または係合するようになっている。スライドプレート164は、前に示した駆動ばね92eを圧縮する構造を形成する。後部突起または周縁162はまた、シールド本体50eがシールド本体50eの前端壁面58e内に画定された前部開口30eを通ってハウジング12eから完全に軸方向にスライドしないようにするために、ハウジング12eの本体20eの前方へり42eと係合するようになっている。後周縁162は、ランセット装置10bが使用者によって作動される場合に起こるように、シールド本体50eが本体20e内に後退した(すなわち、押し下げられた)場合に本体20bの内側表面に沿ってスライドすることができるような寸法をしている。
【0081】
スライドプレート164は、駆動ばね92eの圧縮を引き起こすのに使用されるハウジング12eの本体20e内に内部構造を形成し、それによって解放の際に、穿刺位置までランセット70eを付勢させるように使用された駆動ばね92e内に潜在エネルギーを蓄積する。スライドプレート164は、シールド本体50eの後縁部162と接触するようにハウジング12eの本体20e内に配置されている。スライドプレート164はシールド本体50eの後周縁162に取り付けられており、それによってスライドプレート164は、シールド本体50eがランセット装置10eを作動準備および作動させるようにハウジング12eの本体20e内に後退する(すなわち、押し下げられた)ときに、シールド本体50eと共に後ろ向きに移動することができる。スライドプレート164は、ランセット70eのキャリヤ本体76eの横断面形状とほぼ一致するような寸法および形状をしているほぼ中心に配置されたキー孔またはキー開口166を画定して、キャリヤ本体76eの断面がランセット装置10eの作動中に通過するのを可能にする。より詳細には、キー孔166は、本明細書にさらに論じるように、ほぼ円形の中心部168と、ランセット装置10eの作動中にキャリヤ本体76eの横断面がそこを通って通過することを可能にする形状を画定する2つの隣接した横方向に延びた切り欠き170とを備えている。
【0082】
前に述べたランセット装置10a〜cと比べた場合、ランセット装置10eのさらなる違いは、後部キャップ24eの形成、およびランセット装置10eの作動準備および作動を生じさせるためのスライドプレート164およびシールド本体50eによるそれとの相互作用にある。前の実施形態と同様に、後部キャップ24eは、ハウジング12eの本体20eの環状後周縁32eと係合する環状へり36eを備えている。より詳細には、環状へり36e上の環状リップ38eは、後部キャップ24eを本体20eと結合させるように、環状へり32e内に画定された環状溝34eと係合する。しかし、ランセット装置10eでは、環状へり36eは細長く、ハウジング12eの本体20e内により大きな距離だけ遠位方向に延びており、ランセット装置10eの初期状態でシールド本体50eの後周縁162に近位して位置決めされている。環状へり36eは、以下に説明するように、それとの接触によりプレート164をスライドさせるように特定のカム動作を加え、最終的にランセット装置10eの作動準備および作動を生じさせるような寸法のテーパ状の内部カム表面172を画定する。
【0083】
ランセット装置10eの初期状態では、駆動ばね92eはランセット70eに取り付けられており、駆動ばね92eは後部キャップ24eの内側からキャリヤ本体76eまで延びている。ランセット装置10eでは、キャリヤ本体76eはさらに、その後端部で近位すなわち後周縁174で形成されている。周縁174は一般的に、近位ばねガイド86eの前端部を画定し、一般的には遠位ばねガイド88eの直径より大きく、一般的には駆動ばね92eの前端部の直径と少なくとも等しい直径を有する。周縁174は、ランセット装置10eを負荷または作動準備状態に配置するように、駆動ばね92eを圧縮するのに使用されるキャリヤ本体76e上に接触構造または表面を画定する。駆動ばね92eが解放され、それによって駆動ばね92eの圧縮中にその中に蓄積された潜在エネルギーが解放されると、駆動ばね92eはランセット70eを穿刺位置まで付勢させるように後周縁174に対して働く。ガイドタブ78eは一般的に、後周縁174と一体形成されており、そこから横方向に延びている。
【0084】
今記載されたランセット装置10eの様々な特徴的な構成部品で、ランセット装置10eの使用および操作を次に、図24〜30を続けて参照して説明する。使用前に、キャリヤ本体76eから遠位方向に延びているカバー100eは、前に説明した方法でキャリヤ本体76eとの脆い連結を破断し、シールド本体50eの前端壁面58e内の前部開口60eからカバー100eを引き出すことによって取り除かれる。シールド本体50eの前端壁面58eはその後、患者の身体上の目標位置と接触させるように配置することができる。ランセット装置10eの初期状態では、駆動ばね92eは実質的に圧縮されていない(すなわち、負荷が加えられていない)状態であり、キャリヤ本体76e上の後周縁174から後部キャップ24eまで延びている。ランセット装置10eの最初の作動準備されていない状態では、駆動ばね92eは解放された状態にあり、ランセット70eをハウジング12eの本体20e内の固定および静的位置で実質的に位置決めするようにキャリヤ本体76e上の後周縁174に作用し、ランセット70eは本体20eおよびシールド本体50eに対してほぼ固定位置を占めている。加えて、後周縁174に作用する駆動ばね92eは、キャリヤ本体76eをスライドプレート164eの後側と係合(すなわち、接触)させる。より詳細には、その解放または非負荷初期状態にある駆動ばね92eは、後周縁174の前側または表面およびガイドタブ78eの前表面82eをスライドプレート164の後側または表面と実質的に接触させる。さらに、ランセット装置10eの初期状態では、スライドプレート164はシールド本体50eの後縁部162と接触して位置決めされ、それによって後周縁174およびキャリヤ本体76eのガイドタブ78eは、スライドプレート164内に画定されたキー孔166から垂直にずれている。したがって、ランセット装置10eの初期状態では、後周縁174およびガイドタブ78eは、スライドプレート164の後側と締まり係合している。
【0085】
ランセット装置10eを使用するために、使用者はハウジング12eの対向する側部を把持し、矢印Xの方向に本体20に下向きの力を加える。この力により、シールド本体50eの前端壁面58eに対抗する力を生じさせて、シールド本体50eを本体20e内で軸方向に後退させる(押し下げる)。シールド本体50eが本体20e内に後退すると、シールド本体50eの後端部54eは後部キャップ24eに向かって近位方向に(すなわち、後ろ向きに)移動する。より詳細には、シールド本体50eの後端部54eの後周縁162は後ろ向きに移動し、同時にカム表面172と相互作用する。さらに、シールド本体50eの後周縁162が本体20e内で後側に移動すると、スライドプレート164はまた、スライドプレート164と後周縁162との間の係合により、後部キャップ24eに向かった後周縁162と組み合わせて後向きに移動し始める。ランセット70eは、後周縁174とガイドタブ78eとスライドプレート164との間のずれた締まり係合により、シールド本体50eおよびスライドプレート164と合わせて後向きに移動する。ランセット70eの後向きの移動はさらに、キャリヤ本体76e上の後周縁174の後側との駆動ばね92eの係合により、駆動ばね92eを圧縮し始める。
【0086】
ハウジング12eに加えられた下向き移動はまた、スライドプレート164を後部キャップ24eの環状へり36eによって画定されたテーパ状カム表面172と相互作用させる。ランセット装置10eの中心軸Aに向かった環状へり36eの前端部または遠位端からのカム表面172のテーパ形状により、スライドプレート164は、スライドプレート164が本体20e内に後退したときに、本体20eの内部キャビティ28e内で下向きに移動する。したがって、シールド本体50eがハウジング12eの本体20e内に後退する(すなわち、押し下げられる)と、スライドプレート164は本体20e内で後向きおよび下向きに移動し、この組合せの移動が実質的に同時に起こる。加えて、シールド本体50eの連続した後向きの移動は、駆動ばね92eを圧縮し、ランセット70eを穿刺位置まで付勢させるのに必要な潜在エネルギーを蓄積する効果を有する。
【0087】
スライドプレート164が、後周縁174およびキャリヤ本体76e上のガイドタブ78eの位置で画定されたキャリヤ本体76eの横断面形状がキー孔166の対応する輪郭と一致する位置まで下向きに移動すると、駆動ばね92eを抑える締まり係合が取り除かれ、駆動ばね92e内に蓄積された潜在エネルギーが解放される。駆動ばね92e内に蓄積された潜在エネルギーが解放され、ランセット70eに作用する付勢力が提供されると、駆動ばね92eはランセット70eを後部キャップ24eからシールド本体50eを通って離れるように付勢させる。このような推進移動中、対応するガイドタブ78eおよびガイド経路80eは、シールド本体50eを通って軸方向にランセット70eを案内する。ランセット70eに作用する付勢力は、ランセット70eの穿刺端部74eを、患者の身体上の所望の位置に穿刺外傷を生じさせるように、シールド本体50eの前部開口60eから十分な距離および十分な力で突出させるのに十分であることが好ましい。さらに、ランセット70eの推進移動中、キャリヤ本体76e上の近位ばねガイド86eは、後部キャップ24eに連結されたままである駆動ばね92eから解放される。
【0088】
ランセット70eが推進移動中に前方に移動すると、遠位ばねガイド88eが引き込みばね94eに係合する。駆動ばね92eによって加えられた付勢/推進力は、引き込みばね94eとの遠位ばねガイド88eの係合によって引き込みばね94eに少なくとも部分的に加えられて、引き込みばね94eを遠位端ポケット98eに向かって圧縮させる。引き込みばね94eにより、ランセット72eの穿刺端部74eを、患者の皮膚を穿刺し、出血を開始させ、その後ランセット70eをシールド14e内で実質的な固定および静的位置まで戻すのに十分な距離および十分な力で、シールド本体50e内の前部開口60eを通って延ばすことが可能になる。遠位ばねガイド88eは、ランセット70eが前部開口60eを通ってシールド本体50eから全体的な軸方向移動するのを防ぐように、引き込みばね94eを支持するシールド本体50e内の内部スリーブ96eと係合する当接表面を提供する。引き込みばね94eがシールド本体50e内の解放されたまたは負荷のない状態に戻ると、ランセット70eはシールド14e内に後退し、シールド本体14e内の実質的な固定および静的位置まで戻される。その後、遠位ばねガイド88eとの引き込みばね94eの係合によって、ランセット70eがシールド本体50e内のほぼ固定位置に維持される。この係合はさらに、シールド本体50e内に遮蔽して穿刺端部74eを維持し、穿刺位置へのランセット70eのさらなる移動を防ぐ。
【0089】
図31〜37を参照すると、ランセット装置10fの第6の実施形態が全体的に図示され、一般的に、ハウジング12fとハウジング12f内に配置されたランセット70fとを備えている。ランセット装置10fは、前に述べたランセット装置10dと構造が同様であるが、すぐ上に述べたランセット装置10eと同様の方法で装置を作動させるプレートを備えている。ランセット装置10dと同様に、ランセット装置10fは、ハウジング12f内へのシールド要素の引っ込み(すなわち、押し下げ)により作動されず、最初、作動準備または負荷状態で設けられ、干渉構造の解放の際、ランセット70fは駆動ばね92fによって穿刺位置まで付勢される準備ができている。ランセット装置10f内の干渉構造は、前に説明したのと同様のプレートであり、本実施形態に特有のその追加の詳細が本明細書によって提供される。
【0090】
ランセット装置10fの初期作動準備状態では、駆動ばね92fは圧縮(すなわち、負荷)状態にあり、解放の際の穿刺処置によりランセット70fを付勢させる準備ができている。ハウジング12f、ランセット70f、および駆動ばね92fの構成は前に述べたランセット装置10dとほぼ同様であるので、以下の説明はランセット装置10dの前に述べた構造に基づくものである。
【0091】
ランセット装置10fのハウジング12fは、円筒形および中空構成を全体的に画定する細長い本体20fを備えている。本体20fは、遠位端すなわち前端部22fと、本体20fの近位端すなわち後端部26fを形成する後部キャップ24fとを有する。ハウジング12fの内部はほぼ開いており、内部キャビティ28fを備えている。内部キャビティ28fは後部キャップ24fにより後端部で閉じており、本体20fの前端部22f内に画定された前部開口30fを備えており、ランセット装置10fが作動された場合にその開口を通ってランセット70fが延びる。本体20fおよび後部キャップ24fは一体形成することができる。一般的には、本体20fおよび後部キャップ24fは、前に記載した方法でハウジング12fを形成するように互いに固定された別個の要素であるが、記載した方法で一体的であってもよい。
【0092】
ランセット装置10fでは、本体20fの遠位端すなわち前端部22fは、引き込みばね94fを受けまた支持する遠位端ポケット98fを画定する軸方向後側に延びる内部スリーブ96fを備えている。本体20fの前端部22fの前方へり42fは、ランセット装置10fの使用中に患者の身体と接触して配置されるようになっている。加えて、本体20fは、ランセット70fの作動、および圧縮された駆動ばね92fの対応する解放を引き起こすように作動構造すなわちアクチュエータ180を備えている。アクチュエータ180は一般的に、本体20fに旋回可能に取り付けられた作動ボタンまたはレバー182を備えている。本体20fとの旋回取付けは活動ヒンジ183または同等の構造の形をしていてもよく、レバー182はしたがって本体20fと一体形成することができる。アクチュエータ180はさらに、作動レバー182の内側から下がり、ハウジング12fの本体20fの内部キャビティ28f内に下向きに延びているプレート部材184を備えている。プレート部材184は、作動レバー182の初期状態で本体20fの中心軸Aに対してほぼ横に向いている。プレート部材184は、レバー182と一体形成することができ、またはレバー182とは別個の構成部品として設け、そこに結合することができる。例えば、レバー182はプレート部材184をレバー182に連結させるようにプレート部材184から延びているタブ188を受ける凹部186を画定することができる。タブ188は摩擦嵌合によりおよび/または接着剤により凹部186内に固定することができる。プレート部材184がランセット70fと、さらに圧縮された駆動ばね92fを解放するように駆動ばね92fと相互作用し、ランセット装置10fの作動を引き起こすように、レバー182と本体20fの旋回連結が設けられる。
【0093】
ハウジング12fの本体20fは、本体20f内のランセット70fの移動を案内するように内部ガイド経路192をそれぞれ画定する対向する内側側壁190を備えている。ガイド経路192は、内部側壁190内で長手方向に延びる溝または凹部として形成することができ、または側壁190から内側に延びる持ち上げた構造の一部として形成することもできる。ガイド経路192は、本体20f内のランセット70fの移動を案内するように、キャリヤ本体76f上のガイドタブ78fを受けるようになっている。ガイド経路190はそれぞれ端部表面または止め具194を画定し、これはランセット装置10fを作動した後に、ランセット70fが前部開口30fを通る本体20fから全体的に軸方向に移動するのを防ぐガイドタブ78f用の止め具を提供するように使用することができる。しかし、遠位ばねガイド88fは、ランセット70fが前部開口60fを通って軸方向移動しシールド本体50fから全体的に出るのを防ぐように、引き込みばね94fを支持するシールド本体50f内の内部スリーブ96fと係合する当接表面を提供する。
【0094】
ランセット70fは、上に述べたランセット装置10dのランセット70dとほぼ同様の方法で形成されており、キャリヤ本体76fは、2つの外側に延びるガイドタブ76fを備え、その前端部の穿刺端部74fでランセット72fを支持する。前の実施形態と同様に、キャリヤ本体76fから横方向外側に延びているガイドタブ78fは本体20f内のガイド経路190と係合する。キャリヤ本体76fはさらに、その後端部に近位すなわち後周縁196を備えている。周縁196は一般的に、近位ばねガイド86fの前端部を画定し、一般的に、キャリヤ本体76f上の遠位ばねガイド88fの直径より大きな、一般的に少なくとも駆動ばね92fの前端部の直径に等しい直径をしている。周縁196は、ランセット装置10fの作動を防ぎ、ランセット装置10fの初期予備作動状態に駆動ばね92fの圧縮を維持するよう、プレート部材184との締まり係合のためにランセット70f上の接触構造または表面として設けられている。示すように、周縁196の直径はまた、一般的に駆動ばね92fの直径に少なくとも等しい寸法をしており、駆動ばね92fをランセット装置10fの初期予備作動状態の圧縮状態に維持する接触構造または表面を提供する。ランセット装置10fの作動中、駆動ばね92fは、本明細書にさらに説明するように穿刺位置までランセット70fを付勢させるように周縁196に対して作用する。一般的に、ランセット70fは、プレート部材184がランセット70fと締まり係合し、それによって駆動ばね92fが圧縮または負荷状態に保持または維持される初期状態と、ランセット72fの穿刺端部74fが患者の身体に穿刺外傷を生じさせるのに十分な距離だけ本体20f内の開口30fを超えて延びる穿刺位置との間の本体20fの内部キャビティ28fを通る軸方向移動ができるようにされている。
【0095】
プレート部材184は、ランセット70fのキャリヤ本体76fの横断面形状または輪郭とほぼ一致するような寸法および形状をしている、ほぼ中心に配置されたキー孔またはキー開口197を画定して、キャリヤ本体76fがランセット装置10fの作動中に通過することを可能にする。より詳細には、キー孔197は、キャリヤ本体76fをランセット装置10fの作動中にそこを通過させることを可能にする形状を画定する、中心の、一般的に円形部198、および2つの隣接した横方向に延びる切り欠き200を備えている。
【0096】
今記載されたランセット装置10fの様々な一般的な構成部品で、ランセット装置10fの使用および操作を次に、図31〜37を続けて参照して説明する。使用前に、キャリヤ本体76fから遠位方向に延びているカバー100fは、前に説明した方法でキャリヤ本体76fとの脆い連結を破断し、本体20fの前部開口30fからカバー100fを引き出すことによって取り除かれる。ランセット装置10fの初期予備作動状態では、プレート部材184はキャリヤ本体76fに対して位置決めされており、後周縁196およびキャリヤ本体76f上のガイドタブ78fはキー孔197からずれており、したがってプレート部材184の後側と締まり係合している。より詳細には、後周縁196の位置のキャリヤ本体76fおよびガイドタブ78fによって画定される横断面形状がキー孔197からずれており、一般的に垂直にずれている。その結果、駆動ばね92fは、キャリヤ本体76f上の後周縁196と後部キャップ24fの間で圧縮負荷状態に保持される。駆動ばね92fの後端部すなわち近位端は、本開示で前に述べた方法で後部キャップ24fに固定することができる。駆動ばね92fの前端部すなわち遠位端は、前に記載した方法で近位ばねガイド86fおよびキャリヤ本体76fの後周縁196に取り付けることができ、接着剤および/または直接機械取付などの適切な手段により後周縁196に固定することができる。
【0097】
穿刺処置を行なうために、使用者はハウジング12fの対向する側部を把持し、本体20fの前方へり42fを患者の身体の目標位置と接触させるように配置する。使用者はその後、レバー182上に矢印Xの方向に下向きの圧力を加えて、レバー182を本体20fの内部キャビティ28f内で旋回させる(すなわち、押し下げる)。レバー182が内部キャビティ28f内で下向きに旋回すると、プレート部材184はまた内部キャビティ28f内で下向きに移動し、最初ランセット70fとの締まり係合を維持し、それによって駆動ばね92fを圧縮状態に維持し続ける。より詳細には、プレート部材184は最初、ランセット70fとの締まり係合を維持し、後周縁196の前側または表面、およびキャリヤ本体76f上のガイドタブ78fの前側または表面がプレート部材184の後側または表面と締まり係合し、それによって駆動ばね92fを後周縁196と後部キャップ24aの間で圧縮して維持する。レバー182が本体20a内で押し下げられ続けると、プレート部材184内のキー孔197は最終的に、後周縁196の位置のキャリヤ本体76fおよびガイドタブ78fによって画定された一致する横断面形状と位置合わせし、それによってキャリヤ本体76fがキー孔197を通過することが可能になる。後周縁196とガイドタブ78fとプレート部材184の間の締まり係合が解放されると、駆動ばね92e内の蓄積潜在エネルギーはまた解放され、ランセット70fを穿刺位置まで移動させるのに使用される。
【0098】
図35〜37に示すように、レバー182の旋回移動はプレート部材184による対応する旋回移動につながる。その結果、プレート部材184が本体20f内で下向きに旋回されると、プレート部材184は、特にランセット装置10fおよびハウジング12fの中心軸Aと垂直な軸PAと角度αを画定し始める。レバー182が本体20f内にさらに押し下げられると、プレート部材によって形成される角度は角度α’まで大きくなる。プレート部材184の角度方向により、キー孔197を中心軸Aに対して僅かな角度方向にする。その結果、プレート部材184が本体20f内で下向きおよび僅かに前向きに移動すると、キー孔197は軸PAに沿って正確には位置合わせされないが、この軸に対してある角度となる。キー孔197と本体20fの中心軸Aとの間の角度「ずれ」により、後周縁196の位置のキャリヤ本体76fおよびガイドタブ78fによって画定された一致する横断面形状は、キー孔197の寸法がプレート部材184の角度方向を補償するように大きくならない限り、キー孔197を簡単には通過しない。したがって、ランセット装置10fでは、プレート部材184の前向き角度移動を補償するようにキー孔197の寸法を大きくすることが望ましい。別の方法では、プレート部材184はタック内に位置決めすることができ、それによってレバー182の旋回移動はプレート部材184の直線タック移動に変わる。プレート部材184はさらに、後周縁196およびガイドタブ78fがキー孔197を通過するための間隙を提供することができる。
【0099】
駆動ばね92f内に蓄積された潜在エネルギーが解放され、ランセット70fに作用する付勢力が提供されると、駆動ばね92fはランセット70fを後部キャップ24fから本体20fを通って離れるように付勢する。このような推進移動中、ガイド経路192内のガイドタブ78fの係合は、本体20fを通って軸方向にランセット70fを案内する。ランセット70fに加えられる付勢力は、ランセット72fの穿刺端部74fを、患者の身体上の所望の位置に穿刺外傷を生じさせるように、本体20fの前部開口30fから十分な距離および十分な力で突出させるのに十分であることが好ましい。さらに、ランセット70fの推進移動中、キャリヤ本体76f上の近位ばねガイド86fは、後部キャップ24fに連結されたままである駆動ばね92fから解放される。ランセット70fが推進移動中に前向きに移動すると、遠位ばねガイド88fが引き込みばね94fに係合する。駆動ばね92fの付勢/推進力は、引き込みばね94fとの遠位ばねガイド88fの係合によって引き込みばね94fに少なくとも部分的に加えられて、引き込みばね94fを遠位端ポケット98fに向かって圧縮させる。引き込みばね94fにより、ランセット72fの穿刺端部74fを、患者の皮膚を穿刺し、出血を開始させ、その後ランセット70fをハウジング12f内で実質的な固定および静的位置まで戻すのに十分な距離および十分な力で、本体20f内の前部開口30fを通って延ばすことが可能になる。示すように、遠位ばねガイド88fは、ランセット70fが前部開口30fを通って軸方向移動しハウジング12fの本体20fから全体的に出るのを防ぐように、引き込みばね94fを支持する内部スリーブ96fと係合する当接表面を提供することが望ましい。引き込みばね94fが本体20f内の解放されたまたは負荷のない状態に戻ると、ランセット70fは本体20f内に後退し、本体20f内の実質的な固定および静的位置まで戻される。その後、遠位ばねガイド88fとの引き込みばね94fの係合によって、ランセット70fが本体20f内に維持され、ランセット72fの穿刺端部74fをハウジング12f内で遮蔽し、穿刺位置へのランセット70fのさらなる移動を防ぐ。
【0100】
図38〜43を参照すると、ランセット装置10gの第7の実施形態が全体的に図示されており、これはすぐ前に記載したランセット装置10fの変更形態である。ランセット装置10gは、次に詳細に説明する、作動構造すなわちアクチュエータ180gの異なる構成を備えていることを除いて、すぐ上に記載したランセット装置10fと全ての面において同様である。ランセット装置10gのアクチュエータ180gは、ランセット装置10fのアクチュエータ180の旋回レバー182を押し下げ可能ボタン182gに代え、プレート部材184gを軸PAに直接沿って本体20g内に押し下げることが可能であり、それによってプレート部材184gは本体20g内で旋回せず、それによってランセット装置10f内のアクチュエータ180のレバー182および下がるプレート部材184の場合と同様に、軸PAとの角度を形成する。ランセット装置10gのアクチュエータ180gとランセット装置10fのアクチュエータ180の間の前述の相違以外、ランセット装置10gの全ての他の態様は前に記載したランセット装置10fと同一である。
【0101】
ランセット装置10f、10gに関連する図31〜43にさらに示すように、これらの装置の作動構造すなわちアクチュエータ180、180gは、作動構造すなわちアクチュエータ180、180gが押し下げられると、アクチュエータ180、180gはその初期位置まで戻るのが防止されるように、ハウジング12f、12gの本体20f、20gと係合する構造を備えている。アクチュエータ180、180gでは、1つまたは複数の戻り止め202、202gが、それぞれレバー182の近位端すなわち後端部、およびボタン182gの近位端すなわち後端部に設けられている。戻り止め202、202gは、本体20f、20g内に画定された噛合凹部204とスナップ嵌めまたは摩擦嵌めの方法で係合するようになっている。本体20f、20g内の凹部204、204gは、それぞれレバー182の近位端すなわち後端部、およびボタン182gの近位側すなわち後端側に対向するように設けられている。操作中、レバー182およびボタン182gがそれぞれ本体20f、20g内に押し下げられると、戻り止め202、202gは続けて本体20f、20g内の噛合凹部204、204gと係合する。噛合凹部204、204g内の戻り止め202、202gの噛合係合は、レバー182およびボタン182gがその初期位置まで戻るのを防ぐ。多数の戻り止め202、202gの使用により、レバー182およびボタン182gを別個の下向きステップまたは段階で作動位置まで移動させることが可能であり、そこでプレート部材184、184g内に画定されたキー孔196、196gはキャリヤ本体76f、76gの一致するまたは対応する横断面形状を位置合わせし、ランセット70f、70gが穿刺位置まで移動することが可能になる。
【0102】
図44〜52を参照すると、ランセット装置10hの第8の実施形態が全体的に図示され、一般的に、ハウジング12hとハウジング12h内に配置されたランセット70hとを備えている。ランセット装置10hは前に述べたランセット装置10a〜c、eと異なる。というのは、ランセット装置10hはハウジング12h内へのシールド要素の引っ込み(すなわち、押し下げ)により作動されないからである。しかし、ランセット装置10hは前に述べたランセット装置10d、10fおよび10gと同様である。というのは、最初、作動準備または負荷状態で設けられ、締まり係合または干渉構造の解放または取り除く際、ランセット70hは駆動ばね92hによって穿刺位置まで付勢される準備ができており、同様に締まり係合を解放または取り除くための押し下げ可能な作動構造すなわちアクチュエータを備えている。加えて、ランセット装置10hは、締まり係合を取り除くように、ランセット装置10a、10b内で利用されるような切断および剪断という概念を組み込んでいる。前の実施形態と同様に、ランセット装置10hの初期作動準備状態では、駆動ばね92hは圧縮(すなわち、負荷)状態にあり、締まり係合の解放の際の皮膚穿動作においてランセット70hを穿刺位置まで付勢させる準備ができている。
【0103】
ランセット装置10hのハウジング12hは、円筒形および中空構成を全体的に画定する細長い本体20hを備えている。本体20hは、遠位端すなわち前端部22hと、本体20hの近位端すなわち後端部26hを形成する後部キャップ24hとを有する。本体20hの内部はほぼ開いており、内部キャビティ28hを備えている。内部キャビティ28hは後部キャップ24hの存在により後端部で閉じており、本体20hの前端部22h内に画定された前部開口30hを備えており、ランセット装置10hが作動された場合その開口を通ってランセット70hが延びる。本体20hおよび後部キャップ24hは一体形成することができる。一般的に、本体20hおよび後部キャップ24hは、示されるようにハウジング12hを形成するように互いに固定された別個の要素であり、ランセット装置10hの組立てを容易にする。例として、本体20hおよび後部キャップ24hは、適当な医療グレード接着剤により互いに固定することができる、および/または相互係合構造を使用して連結して、摩擦嵌合またはスナップ嵌め構成などの機械的係合をその間に提供することができる。例えば、本体20hは後部キャップ24h上の環状へり36hと協働し、環状へり32hを受けるように窪んでいる環状へり32hを備えることができる。医療グレード接着剤などの接着剤を、環状へり36hと環状へり32hを固定するのに使用することができる。ランセット装置10d、10fおよび10gと同様に、本体20hの遠位端すなわち前端部22hは、引き込みばね94hを受けまた支持する遠位端ポケット98hを画定する軸方向後側に延びているスリーブ96hを備えている。
【0104】
加えて、ハウジング12hの本体20hはさらに、ランセット70hの作動、および駆動ばね92hの対応する解放を引き起こすように、前に記載したランセット装置10dとほぼ同様の方法で旋回作動構造すなわちアクチュエータ206を備えている。作動構造すなわちアクチュエータ206は一般的に、本体20hに対して旋回移動可能である作動レバー208を備えており、後部キャップ24hに近位して本体20hの後端部26hに配置されていることが望ましい。作動レバー208は、後部キャップ24hから遠位方向すなわち前向きに延びることができ、活動ヒンジまたは同等の構造によって後部キャップ24hに連結することができる。したがって、レバー208は後部キャップ24hと一体形成することができる。レバー208は別の方法では本体20hに取り付けることができる。例えば、レバー208は本体20hの後端部26hの一部として形成することができ、あるいはさらに本体20hの前端部22hの一部として形成され、後部キャップ24hに向かって後向きにまたは近位方向に延びることができる。前の実施形態に対して、レバー208は2つの対向する下がった側壁210を備えている。側壁210は切断刃すなわちブレード212で終端する。切断刃212は、側壁210上の一体的な鋭い縁部であってもよく、または側壁210の端部に固定された別個の切断ブレードとして設けることもできる。レバー208は一般的に、本体20hの内部キャビティ28h内に押し下げられるようになっており、それによって切断刃212は本体20h内の締まり係合を切断して駆動ばね92hを抑えることができ、それによって本明細書に詳細に説明するようにランセット装置10hの作動を引き起こすことができる。
【0105】
ハウジング12hの本体20hは、図46に示すようにほぼ矩形断面で形成することができ、それぞれ内部シェルフまたはリッジ214を画定する対向した内側側壁213を備えている。ランセット70hは一般的に、圧縮された駆動ばね92hを抑えるようにシェルフ214と係合するようになっており、本体20h内へレバー208が押し下げられる際に、ランセット70h上の構造は、シェルフ214とのランセット70hの締まり係合を解放し、したがって駆動ばね92hの付勢力を解放するように切断される。本体20hは、ランセット70hを収納し、本体20h内にランセット70hの移動を案内する主ガイド経路216を画定する。
【0106】
ランセット70hは、前の実施形態とほぼ同様の方法で形成されており、その前端部に穿刺端部74hと、その後端部にランセット72hを支持するキャリヤ本体76hとを備えている。キャリヤ本体76hは次に、一般的に本開示で前に述べたガイドタブに代わる1対の外側に延びているタブ部材218を備えている。タブ部材218は、特にランセット70hをハウジング12hおよび本体20h内に位置決めするように、シェルフ214と締まり係合するようになっている。タブ部材218とシェルフ216の間の締まり係合はさらに、圧縮した駆動ばね92hを抑えるように働く。タブ部材218は、本体20h内へのレバー208が押し下げられる際に、側壁210上の切断刃212によって切断されるようになっている。この目的で、タブ部材218は、側壁210上の切断刃212によって切断することができる狭いネックまたは脆弱領域220を形成するテーパ状断面を画定することができる。ネック領域220は折り線などの他の形をとることもできるが、一般的にレバー208がハウジング12hの本体20h内に押し下げられた場合に、切断刃212によって容易に切断または剪断される(すなわち、その破壊を引き起こす)ようになっている。キャリヤ本体76hはさらに、ランセット装置10hの駆動ばね92hおよび引き込みばね96hとそれぞれ係合する、近位すなわち後端ばねガイド86hと、遠位すなわち前端ばねガイド88hとを備えている。ばねガイド86h、88hは、キャリヤ本体76hの本体と一体形成することができる、または前に説明した方法で目立つ別個の要素として設け、キャリヤ本体76hの本体に固定することができる。
【0107】
操作中、ランセット70hは、タブ部材218が本体20hによって画定されたシェルフ214と締まり係合し、ランセット72hの穿刺端部74hが本体20h内に全体的に配置された初期位置と、穿刺端部74hが患者の身体に穿刺外傷を生じさせるのに十分な距離だけ本体20h内の前部開口30hを超えて延びた、キャリヤ本体76hが主ガイド経路216内に配置された穿刺位置との間の本体20hの主ガイド経路216を通る軸方向移動ができるようになっている。ランセット装置10hの初期予備作動状態では、駆動ばね92hは後部キャップ24hとキャリヤ本体76hの間で少なくとも部分的に圧縮され、一般的には皮膚穿刺処置を行なうのに十分な蓄積潜在エネルギーを有している。駆動ばね92hの後端部すなわち近位端は一般的に、本開示で前に述べた方法で後部キャップ24hに固定されている。駆動ばね92hの前端部すなわち遠位端は、キャリヤ本体76hに取り付けられており、近位ばねガイド86hの周りに配置され、適切な接着剤または直接機械取付などによって、前に述べた同様の手段によってキャリヤ本体76hに固定することができる。例えば図47に示すように、駆動ばね92hはキャリヤ本体76hに直接係合し、キャリヤ本体76hはさらに2つの外側に延びているタブまたはフランジ222を備えることができ、これに対して駆動ばね92hの前端部は、ランセット70hを穿刺位置まで移動させるために駆動ばね92hの付勢力をランセット70hに伝達するように追加の表面を提供するように係合されている。
【0108】
続けて図44〜52を参照して、ランセット装置10hの使用および操作を次に述べる。前の実施形態と同様に、キャリヤ本体76hから遠位方向に延びているカバー(図示せず)はキャリヤ本体76hを備えることができる。前の実施形態と同様に、このようなカバーは、キャリヤ本体76hとの脆い連結を破断し、本体20hの前部開口30hからカバーを引き出すことによって取り除かれる。本体20hの前端周縁42hはその後、患者の身体上の目標位置と接触させるように配置することができる。前に示したように、ランセット装置10hは最初に作動準備状態で、圧縮された駆動ばね92hが解放されたときに穿刺処置を開始する準備ができているランセット70hを備えている。
【0109】
穿刺処置を行なうために、使用者はハウジング12hの対向する側部を把持し、レバー208に矢印Xの方向に下向きの力を加えて、レバー208を本体20hの内部キャビティ28h内で旋回させる(すなわち、押し下げる)。レバー208が本体20h内に押し下げられると、下がる側壁210、およびより詳細には、各下がる側壁210の端部の切断刃212は、タブ部材218上の小さな断面脆弱領域220でタブ部材218と接触する。レバー208が本体20h内に押し下げられ続けると、側壁210上の切断刃212は各タブ部材218上でネック領域220を切断し始める。タブ部材218が完全に切断されると、タブ部材218と本体20hの側壁213によって画定されたシェルフ214の間の締まり係合が取り除かれて、ランセット70hを穿刺位置に付勢するように駆動ばね92bを解放する。駆動ばね92hの付勢力が解放されると、駆動ばね92hはその後、ランセット70hを後部キャップ24hから主ガイド経路216を通って離れるように付勢させる。ランセット70hに加えられた付勢力は、患者の身体上の所望の位置に穿刺外傷を生じさせるように、本体20h内の前部開口30hから十分な距離および十分な力でランセット72hの穿刺端部74hを突出させるのに十分であることが好ましい。さらに、ランセット70hの推進移動中に、キャリヤ本体76h上の近位ばねガイド86hは、後部キャップ24hに連結されたままである駆動ばね92hから解放される。
【0110】
ランセット70hが推進移動で前向きに移動すると、遠位ばねガイド88hが引き込みばね94hに係合する。駆動ばね92hによって与えられる付勢/推進力は、引き込みばね94hとの遠位ばねガイド88hの係合によって引き込みばね94hに少なくとも部分的に加えられて、引き込みばね94hを遠位端ポケット98hに向かって圧縮させる。引き込みばね94hにより、ランセット72hの穿刺端部74hを、患者の皮膚を穿刺し、出血を開始させ、その後ランセット70hをハウジング12h内でほぼ固定および静的位置まで戻すのに十分な距離および十分な力で、本体20h内の前部開口30hを通って延ばすことが可能になる。キャリヤ本体76hは、遠位ばねガイド88hの基部に形成されたショルダ224で形成されていることが望ましく、これはランセット70hが前部開口30hを通って本体20hから全体的な軸方向移動するのを防ぐように、主ガイド経路216内の本体20hの側壁213によって画定された当接表面または止め具226と係合するように構成されている。止め具226は、引き込みばね94hを支持する後側に延びる内部スリーブ96hの後側に画定されている。引き込みばね94hが本体20h内で解放されたまたは負荷のない状態に戻ると、ランセット70hは本体20h内に後退し、本体20h内の実質的な固定および静的位置まで戻される。その後、遠位ばねガイド88hとの引き込みばね94hの係合は、前に詳細に述べた方法で、ランセット70hをハウジング12f内で遮蔽して維持し、穿刺位置へのランセット70hのさらなる移動を防ぐ。本開示では、様々な要素が、ランセット装置10の解放および作動を引き起こすように、「切断」、「剪断」、「降伏」、「破砕」されるようになっているとして特定されている。これらの用語は全て、「破壊」という事項または要素の共通の見出しによりグループ化することができ、力をどんな形でも、例えば鈍い力または切断力が加えられる場合に破壊することを意図したものである。
【0111】
図53〜55を参照すると、本明細書に参照として開示を援用する「Contact Activated Lancet Device」という名称の2004年11月30日に出願された特許文献8に開示されたランセット装置の変更形態が示されている。前述の援用した文献に開示したランセット装置10は、変更した形の保持ハブ90iを備えることができる。図53は、援用した文献に開示されたランセット装置10の一部として保持ハブ90iを示しており、その開示は保持ハブ90iの位置および操作を説明するために使用される。保持ハブ90iは一般的に、環状形状を画定し、ハウジング12内に後退した初期作動準備位置にランセット70を維持するようになっている。保持ハブ90iは一般的に、保持ハブ90iの環状形状を形成するように、2つの旋回カム要素92iによって連結された2つの対向する細長い支持部材91iを備えている。カム要素92iはそれぞれ、対向する支持部材91iと旋回可能に係合された2つの外側に延びているシャフト93iを備えている。カム要素92iはそれぞれさらに、その上側表面に上側接触表面96iを画定する少なくとも1つの一般的に楔形の接触要素94iを備えている。カム要素92iはそれぞれさらに、その底部側に画定されたほぼ中心に配置された凹部または切取部100iを画定する。凹部100iの目的を、ランセット装置10内の保持ハブ90iの操作と合わせて、本明細書に記載する。図54および55に示すように、カム要素92iはそれぞれ、カム要素92iの対向する端部に全体的に配置された2つの接触要素94iを備えており、凹部100iは接触要素94iの間でカム要素92iの底部側に画定されている。
【0112】
ランセット装置10では、保持ハブ90iおよびランセット70は互いに締まり係合しており、それによって保持ハブ90iはハウジング12内に後退した初期作動準備状態にランセット70を保持する。例えば、キャリヤ要素76上のフィンガ82は、カム要素92iの上側にあり、それによってランセット70と保持ハブ90iの間の締まり係合を行なうことができる。さらに、接触要素94i上の上側接触表面96iは、ハウジング12内の構造と接触係合するようになっていてもよい。例えば、ハウジング12の後部キャップ24は、少なくとも1つの、望ましくは2つの対向する内側側壁に一体形成され、延びている内部接触46などのその中に延びている構造を備えることができる。保持ハブ90iは一般的に、各カム要素92i上に2つの接触要素94iを備えているので、2つの内部接触46をハウジング12の2つの対向する内側側面それぞれに設けることができる。各内部接触46は、接触要素94i上の対応する接触表面96iと接触係合する遠位係合カム表面47を備えている。
【0113】
ランセット装置10の通常の操作中、後部キャップ24に向かうシールド本体50の軸方向移動は、保持ハブ90iを後部キャップ24に向かって後側に変位させ、キャリヤ要素76のフィンガ82はカム要素92iの上にある。保持ハブ90iのこのような後向きの移動は、後部キャップ24内の内部接触46の係合カム表面47の接触表面を、カム要素92iの接触要素94i上の対応する接触表面96iと係合および協働作用させる。このような係合および内部接触46の連続した下向きの移動は、カム要素92iを支持部材91iに対してシャフト93i上で旋回またはその周りで回転させる。接触要素94iのほぼ楔形の輪郭により、カム要素92iの旋回移動は、少なくともキャリヤ要素76上の後部ハブ86が後部キャップ24の内側と接触する点まで、フィンガ82をさらに「持ち上げる」ことによって駆動ばね102をさらに圧縮する効果を有する。この点で、後部キャップ24に向かったシールド本体50の連続した軸方向変位は、カム要素92iの底部側に画定された凹部100iがフィンガ82とほぼ位置合わせされた位置まで回転された位置までカム要素92iを旋回させ、その点でフィンガ82とカム要素92iの間の締まり係合はこのような位置合わせによって解消される。駆動ばね102の付勢力はその後、ランセット70を後部キャップ24からハウジング12およびシールド本体50を通って軸方向に離れるように下向きに推進させ、ガイドタブ78は保持ハブ90iによって画定される環状開口を通って軸方向に通過する。
【0114】
図56〜67を参照すると、ランセット装置10kの最後の実施形態が全体的に示されている。ランセット装置10kは一般的に、ハウジング12kと、ハウジング12kに移動可能に取り付けられたシールド14kと、ハウジング12k内に移動可能に配置されたランセット70kとを備えている。シールド14kはハウジング12k内に移動可能に取り付けられており、ハウジング12k内に少なくとも部分的に配置されている。シールド14kは一般的に、ハウジング12kから外側に延びており、ランセット70kはハウジング12k内に含まれており、一般的にシールド14kを通って軸方向に移動可能である。
【0115】
ハウジング12kは、ほぼ円筒形および中空構成を有する細長い本体20kを備えている。本体20kは、遠位端または前端部22kと、本体20kの近位端または後端部26kを形成する後部キャップ24kとを有する。本体20kの内部は一般的には開いており、内部キャビティまたは孔28kを備えている。内部キャビティ28kは、後部キャップ24kの存在により後端部で閉じられており、本体20kの前端部22kによって画定された前部開口30kを備えており、これを通ってシールド14kが延びている。本体20kおよび後部キャップ24kは一体的に形成することができる。別の方法では、本開示で前に記載した一般的な方法で、本体20kおよび後部キャップ24kはハウジング12kを形成するように互いに固定された別個の要素であってもよい。本体20kはさらに、前端部22kの一部として形成された前方へり42kを備えることができ、前部開口30kを画定する。
【0116】
シールド14kは一般的に、遠位端すなわち前端部52kおよび近位端すなわち後端部54kを有するシールド本体50kを備えたほぼ円筒形の中空構造であり、そこを通って延びる内部キャビティまたは孔56kを画定する。シールド本体50kの前端部52kは、前部開口60kを画定する一部前端壁面58kを画定し、ランセット装置10kが使用者によって作動された場合に、これを通ってランセット70kの穿刺要素が延びる。前端壁面58kは一般的に、患者の身体上の意図した穿刺領域と接触するように前部開口60kの周りに小さな接触領域を画定する。小さな接触領域は、シールド14k内に周面に形成された複数の周面窪み(図示せず)を提供することによって、より小さくすることができる(すなわち、表面積を小さくすることができる)。ハウジング12kおよびシールド14kの外部表面特性は、本開示で前に参照として援用した特許文献7に開示された人間工学的特性および構造により形成することができる。シールド本体50kの後端部54kは、後周縁63kを画定する。
【0117】
シールド14kは、一般的にはハウジング12k内で軸方向およびスライド可能に移動することができる。シールド14kおよびハウジング12kは同軸に取り付けることができ、シールド14kおよびハウジング12kは共通の中心軸Aの周りに同軸に配置されている。シールド14kおよびハウジング12kはそれぞれ、ほぼ円筒形状をしていてもよい。回転要素またはカムフォロワ、一般的にガイドプレート262はさらにシールド14aに取り付けられている。より詳細には、ガイドプレート262はシールド本体50kの後端部54kに配置されており、シールド本体50kの後周縁63kと係合する。プレート262は、ほぼ環状形状構造であり、2つの対向する間隙スロット264および2つの対向するガイドスロット266を備えた中心開口263を画定する。間隙スロット264およびガイドスロット266は、互いにほぼ垂直である軸に沿って向きされている。プレート262の外周または周面は、本明細書でさらに説明するように、ランセット装置10kの作動を生じさせるようにプレート262を回転させるようになっているカム構造を受けまた係合する2つの対向するカムガイド凹部268で形成されている。プレート262は一般的に、後周縁63に対する回転を可能にするように、シールド本体50kの後周縁63と回転スライド係合しまたは接触している。より詳細には、プレート262は、後周縁63kと接触した底側部270と、後周縁63kから離れて向いている上側部272とを備えている。プレート262の底側部270と後周縁63の間の接触により、プレート262は、本明細書に記載するように、例えばランセット装置10kを作動するように本体20k内にシールド本体50kを軸方向に後退させる(すなわち、押し下げる)ことによって、シールド本体50kに軸方向動作が加えられると、本体20k内のシールド本体50kと共にスライドするようになっている。したがって、シールド本体50kをハウジング12kの本体20k内に後退させる(すなわち、押し下げる)ようにシールド本体50kに加えられたあらゆる軸方向動作が、後周縁63kおよびプレート262の接触係合によりプレート262に伝達される。
【0118】
ランセット装置10kはさらに、ハウジング12k内に配置され、シールド14k内に延びているランセット70kを備えている。ランセット70kは、ランセット72kの形で示した穿刺要素を備えている。ランセット72kは、その前端部に穿刺端部74kを備えている。ランセット72kは、穿刺端部74kがシールド本体50k内に配置された初期位置と、穿刺端部74kがシールド本体50kの前部開口60kを越えて延びている穿刺位置までの間で、患者の身体内に穿刺外傷をもたらすのに十分な距離の、シールド本体50kの内部キャビティ56kを通る軸方向移動ができるようにされている。ランセット72kの穿刺端部74kは患者の皮膚を穿刺するようになっており、尖った端部、針先端、ブレード縁部などの形をしていてもよい。穿刺端部74kは、特定の向きに位置合わせされた尖った端部またはブレードなどとの好ましい位置合わせの向きを含むことができる。このような向きでは、シールド本体50kおよび/またはハウジング12kの本体20kは、穿刺端部74kの位置合わせ向きに対応する目標しるしを含むことができる。シールド本体50k内の突起(図示せず)および/または本体20k内の窪み(図示せず)は、本開示に前に記載されているように、このような位置合わせ向きとして働くことができる。
【0119】
ランセット70kはさらに、その後端部でランセット72kを支持するキャリヤ本体76kを備えている。キャリヤ本体76kおよびシールド本体50kは、シールド本体50k内でランセット70kの移動を案内する対応する案内表面を含むことができる。例えば、キャリヤ本体76kはその外側表面にガイドタブ78kを備えることができ、シールド本体50kはその中にガイドタブ78kをランセット装置10kの作動時にスライド可能に収納するように、その内側表面に沿って長手方向に延びている対応するガイド経路80kを画定する。キャリヤ本体76kは、図示するようにその対向する横側部に1対の細長いガイドタブ78k、または単一のガイドタブ78kを備えることができ、スライド本体50kは、各ガイドタブ78kに対応するその対向する内側表面に沿って延びている対応する1対のガイド経路80k、または単一の対応するガイド経路80kを備えることができる。ランセット装置10kの初期予備状態にあるガイド経路80k内のガイドタブ78kの係合は、ランセット70kがランセット装置10kの作動順序中にシールド本体50k内で実質的に回転することが防止されるのを保証し、プレート262は本明細書で記載するように後周縁63kに対してスライド回転移動するように設定されている。作動の際、ガイド経路80k内のガイドタブ78kの係合が、穿刺位置へのランセット70kの移動を案内する。
【0120】
図60に示すように、2つの対向するガイドタブ78kに加えて、キャリヤ本体76kはさらに、ガイドタブ78kを通過する軸とほぼ垂直な軸に沿って向き付けられた2つの作動タブ81kを備えている。作動タブ81kは、ランセット装置10kの作動構造すなわちアクチュエータの一部を形成する。作動タブ81kはガイドタブ78kより長さが短く、一般的にほぼキャリヤ本体76kの長さに延びている。作動タブ81kは、ランセット70kの初期予備作動状態で、ガイドプレート262の上部側270と係合するまたはその上にあるようなっている遠位方向を向いた表面82kを備えている。作動タブ81kは一般的に、プレート262が作動タブ81kとの適当な位置合わせ位置まで回転されて、本明細書に記載されるようにランセット装置10kの作動を可能にする場合、プレート262内の間隙スロット264と噛み合いまたは位置合わせするようになっている。同様に、ガイドタブ78kはプレート262内のガイドスロット266と噛み合うような寸法をしている。しかし、ガイドタブ78kは一般的に、ランセット装置10kの初期予備作動状態でガイドスロット266を通って少なくとも部分的に延びており、ガイドスロット266は一般的に、ガイドスロット266の存在によるこのような回転に干渉するガイドタブ78kなしで、キャリヤ本体76kに対してプレート262を回転させることを可能にするように十分大きい寸法を有している。
【0121】
シールド本体50kは、作動タブ81kとプレート262の間の締まり係合がプレート262の回転によって取り除かれた場合に、作動タブ81kを受ける追加の内部ガイド経路84kを画定することができる。このような追加のガイド経路84kは任意である。というのは、ガイドタブ78kおよびガイド経路84kの取り付けは一般的に、ランセット70kの穿刺移動中にキャリヤ本体76kの移動を案内するのに十分であるからである。設ける場合、追加のガイド経路84kはシールド本体50kの内側長さに、またはシールド本体50kの長さの一部のみに沿って延びることができる。キャリヤ本体76kはさらに、本明細書に記載するようにランセット装置10kの駆動ばねおよび引き込みばねにそれぞれ係合する、近位端すなわち後端部ばねガイド86kおよび遠位端すなわち後端部ばねガイド88kを備えている。ばねガイド86k、88kは、キャリヤ本体76kと一体形成することができる、または本開示で前に記載した方法で異なる別個の要素として提供することができる。
【0122】
ランセット装置10kを通るランセット70kの移動は、駆動ばね92kによって加えられる付勢力により達成される。駆動ばね92kは、ランセット装置10kを通って穿刺位置までランセット70kを駆動するようにランセット70kに対して付勢力を加えるようになっており、本体20kの後端部とランセット70kの間に配置されている。後部キャップ24kは、後部キャップ24k上の適切な向きで駆動ばね92kを位置合わせしおよび/またはこれを維持する構造を備えることができる。例えば、後部キャップ24kは駆動ばね92kを正確に位置決めする内部位置合わせ構造(図示せず)を備えることができる。ランセット70kは前に記載したように、ランセット装置10kの初期または予備状態で駆動ばね92kの対向端部と係合する近位ばねガイド86kを備えている。ガイドタブ78kおよび作動タブ81kは、駆動ばね92kの遠位端と係合する追加のまたは代わりの構造として使用することができる。
【0123】
ランセット装置10kの初期状態では、駆動ばね92kは一般的に、後部キャップ24kとキャリヤ本体76kの遠位ばねガイド86kの間でほぼ圧縮されていない負荷がかかっていない状態にある。しかし、駆動ばね92kは作動タブ81kとプレート262の間の締まり係合を維持するのを助けるように、近位ばねガイド86kを介してキャリヤ本体76k上に限られた付勢または位置決め力を加えることができる。別の方法では、駆動ばね92kは後部キャップ24kとキャリヤ本体76kの間で部分的に圧縮することができ、その間のさらなる圧縮のために適応されている。ランセット装置10kの作動中、本体20k内へのシールド本体50kの引っ込みによって、ランセット70kとプレート262の間の締まり係合による、駆動ばね92kの圧縮またはさらなる圧縮が生じ、それによって穿刺位置へランセット70kを付勢させるのに必要な潜在エネルギーを駆動ばね92k内に蓄積する。シールド本体50kがさらに本体20k内に後退されると、ランセット70kに対するプレート262の回転により作動タブ81kとプレート262の間の締まり係合が最終的に取り除かれ、それによって動的エネルギーがランセット70kを穿刺位置まで付勢させるようにランセット70kに加えられたときに、圧縮された駆動ばね92k内に直積された潜在エネルギーが解放される。
【0124】
引き込みまたは戻りばね94kをさらに、穿刺要素74kがシールド本体50kの遠位端または前端部54kから外側に延びている穿刺位置まで軸方向移動した後に、シールド本体50k内にランセット70kを引っ込めるように、ランセット装置10kの前端部に設けることができる。引き込みばね94kは、本明細書に記載するように、ランセット70kの前方向への穿刺移動中に、キャリヤ本体76aから前側に延びている遠位ばねガイド88kによって係合されるようになっている。シールド本体50kの前端部壁面58kは、引き込みばね94kを受け、支持する遠位端ポケット98kを形成する。引き込みばね94kは、穿刺処置において、ランセット装置10aの動作順序全体を通って遠位端ポケット98k内に配置されている。引き込みばね94kは、本開示で前に記載した方法で、医療グレード接着剤の使用により、またはそこに引き込みばね94kを機械的に固定することによって、シールド本体50kの前端壁面58kの内側に固定することができる。駆動および引き込みばね92k、94kは一般的には、圧縮状態にある場合に潜在エネルギーを蓄積することが可能な圧縮ばねである。ランセット装置10kはさらに、前の実施形態に記載するように、ランセット70kの前端部を保護的に覆う保護タブまたはカバー100kを備えることができる。ランセット装置10kのそれぞれの要素は全て一般的には、医療グレードプラスチック材料などの、成形プラスチック材料で形成されている。ランセット72kは、皮膚を穿刺するようになっているあらゆる適切な材料で構成することができ、一般的にはステンレス鋼などの医療グレード金属である。
【0125】
ハウジング12kの後部キャップ24kは、ランセット装置10kの作動を引き起こすように、プレート262と相互作用するようになっている内部構造を備えている。より詳細には、後部キャップ24kは、それぞれ遠位端に形成されたテーパ状カム表面282を有する、少なくとも1つの、一般的には2つの遠位方向に延びている作動部材、一般的にはカム要素280で形成されている。カム要素280は、プレート262内のそれぞれのカムガイド凹部268内に遠位方向に延びるように形成されている。カム要素280とプレート262の間のカム相互作用は、ランセット70kとプレート262の間の締まり係合が取り除かれてランセット70kを穿刺位置まで移動させることを可能にする手段を提供する。より詳細には、本体20k内へのシールド本体50kの引っ込み移動中にカム要素280上のテーパ状カム表面282とプレート262内のカムガイド凹部268の間の相互作用は、キャリヤ本体76kに対するプレート262の十分な回転移動を生じさせて、作動タブ81kがプレート262内の間隙スロット264と位置合わせして、ランセット70kとプレート262の間の締まり係合を取り除くことが可能になる。前に示したように、プレート262のこのような回転移動は、シールド本体50kの後周縁63k上のスライド回転移動である。また、前に示したように、プレート262内のガイドスロット266は、プレート262がこのような回転を干渉するガイドタブ78kなしで位置合わせ位置まで回転することができるのに十分な寸法をしていることが好ましい。
【0126】
カム要素280の細長い長さにより、シールド本体50kが本体20k内に後退してランセット装置10kの作動を引き起こすときに、シールド本体50kはランセット装置10kの初期予備作動状態でカムガイド凹部268を通って、カム要素280の遠位先端の最終的な前位置まで延びるカム要素280の遠位先端を収納するための対向する切取部または切欠き284を画定する。カムガイド268は最初、切欠き284からずれているが、プレート262が位置合わせ位置まで回転すると、カムガイド凹部280は図62に示すように切欠き284と最終的に位置合わせされる。カムガイド凹部268内のプレート262とのカム要素280の係合により、シールド本体50kの後周縁63k上のプレート262の向きを維持または係止する追加の利点が提供される。したがって、プレート262は、使用前にランセット装置10kが上下逆にされた場合(すなわち、シールド14kが上を向いている場合)、後周縁63kから離れまたは外れるのが防止または抑制される。シールド本体50kの後周縁63k上のプレート262の位置決めを維持するために、後部キャップ24kから、またはハウジング12kの本体20kの内壁から内部に延びている追加の構造を設けることができる。
【0127】
加えて、カム要素280によってプレート262に加えられた回転動作の可能性がシールド本体50kに伝達されるのを防ぐため、シールド本体50kは、係合タブまたは戻り止め(図示せず)などの、本体20kの内壁上の干渉構造を協働するようになっている長手方向に延びた外側リブ288を備えることができる。リブ288とのこのようなタブまたは戻り止めの係合は実質的に、本体20kに対するシールド本体50kの向きを固定し、本体20kに対するシールド本体50kの回転を防ぐ。さらに、係合リブ288は、ランセット装置10kの作動中に、シールド本体50kの引っ込み移動を本体20k内に案内するガイド構造として使用することもできる。シールド本体50kはさらに、前端部52kで当接ショルダ290を画定する。当接ショルダ290は、シールド本体50kを、したがってランセット70kを、前部開口30kを通る本体20kから軸方向前移動しないように、本体20kの前方へり42kと締まり係合するようになっている。加えて、ランセット装置10kの初期作動様態でのランセット70k上の駆動ばね92kの限られた位置決めまたは付勢力は、プレート262とシールド本体50kの間の締まり係合によってショルダ290に伝達され、その後前方へり42kと係合する。
【0128】
次に、続けて図56〜67を参照して、ランセット装置10kの使用および作動を説明する。ランセット装置10kは一般的に最初、キャリヤ本体76kから、シールド本体50kの前端壁面58k内の前部開口60kを通って延びているカバー100kを備えている。ランセット装置10kの初期の非作動準備状態では、駆動ばね92kは、通常後部キャップ24aの内側からキャリヤ本体76aの近位ばねガイド86aの間で圧縮されておらず、ランセット70kは最初、例えば駆動ばね92kによって与えられた限られた位置または付勢力により、プレート262と締まり係合している。より詳細には、キャリヤ本体76kから延びている作動タブ81kは、プレート262の上側部270の上にあり、プレート262内の間隙スロット264との噛み合いからずれている。さらに、ランセット装置10kの初期予備作動状態では、ガイドタブ78kはシールド本体50k内のガイド経路80内に配置されており、プレート262内のガイドスロット266を通って近位方向に延びている。前に示したように、ガイド経路80k内のガイドタブ78kの係合は、本明細書に説明するように、作動タブ81kとプレート262の間の締まり係合を解放するのに使用されるプレート262の回転移動中に、シールド本体50kのランセット70k、より詳細には、シールド本体50k内のキャリヤ本体76kの回転を防ぐ。後部キャップ24kから遠位方向に延びているカム要素280は、プレート262の周面に画定されたそれぞれのカムガイド凹部268を通って少なくとも部分的に延びている。一般的には、カム要素280のテーパ状カム表面282はカムガイド凹部268内のプレート262と接触して、カム要素280が、シールド本体50kが本体20k内に後退する(すなわち、押し下げられる)場合にプレート262の回転移動を行ない、第2に、シールド本体50kの後周縁63kに取り付けられたプレート262を維持することを可能にする。前に記載したように、プレート262内のガイドスロット266は、ガイドタブ78kを収納し、作動タブ81kをプレート262内の間隙スロット264と位置合わせすることを可能にするのに必要なこのような回転移動に干渉するガイドタブ78なしで、キャリヤ本体76kに対してプレート262を回転させることを可能にする寸法をしている。ランセット装置10kのこの初期予備作動状態で、カムガイド凹部268はシールド本体50k内の切欠き284からずれており、カム要素280の遠位先端のみが図65Bに示すようにカムガイド凹部268を通って延びている。
【0129】
ランセット装置10kを使用するために、使用者はハウジング12kの対向する側部を指と親指の間などで把持し、破断可能カバー100kを取り除く。カバー100kは一般的には、キャリヤ本体76kとの脆い連結を破断するように、シールド本体50kの前端壁面58k内の前部開口60k内で組み合わせた捩れおよび引張動作でカバー100kを移動させることによって取り除かれる。脆い連結が破断すると、カバー100kは前部開口60kを通って取り除くことができる。シールド本体50kの前端壁面58kはその後、穿刺負傷が出血を開始させることが望ましい患者の身体上の位置と接触して配置することができる。設けられている場合、目標しるしは穿刺の所望の位置と位置合わせすることができる。
【0130】
身体に対して配置されると、使用者はハウジング12kの本体20k上に下向きの力を加えて、シールド14kのシールド本体50kをハウジング12k内に後退させる(すなわち、押し下げる)。より詳細には、使用者は矢印Xの方向に下向きの力を加え、それによって使用者の身体(すなわち、皮膚表面)に対して力が加えられる。このような力は、シールド本体50kの前端壁面58k上に対抗する力を確立して、シールド本体50kをハウジング12kの本体20k内において軸方向に後退させる。シールド本体50kが本体20k内に後退すると、シールド本体50kの後端部54kは後部キャップ24kに向かって近位方向に(すなわち、後ろに)移動する。シールド本体50kの後端部54kの後周縁63kとプレート262の間の締まり係合が、プレート262を後部キャップ24kに向かってシールド本体50kと合わせて移動させる。ランセット70k全体が作動タブ81kとプレート262の間の締まり係合により後ろ向きに移動するので、駆動ばね92kは、後部キャップ24kとキャリヤ本体76kの間で、より詳細には近位ばねガイド86kと後部キャップ24の間で圧縮し始め、または圧縮する。ほぼ同時に、カム要素280はプレート262内のカムガイド凹部268内でプレート262と相互作用し、プレート262をシールド本体50kの後周縁63上でスライド可能に回転させるようにプレート262に作用する。より詳細には、シールド本体50kが近位方向に移動すると、カム要素280上のテーパ状カム表面282はカムガイド凹部268内でプレート262と係合して、プレート262を回転させる。テーパ状カム表面282のテーパ形状は、シールド本体50kに加えられた直線引き込み動作をプレート262の回転移動に変換する。ガイド経路80k内のガイドタブ78kの係合は、ランセット70kおよびキャリヤ本体76kが特にシールド本体50k内で回転するのを防ぐ。図66Bに示すように、作動タブ81kがプレート262内の間隙スロット264と位置合わせされる解放位置に向かってカム要素280がプレート262を回転させると、カム要素280の遠位端はカムガイド凹部268からさらに突出する。
【0131】
ランセット70k全体は作動タブ81kとプレート262の間の締まり係合により後側に移動し続けるので、駆動ばね92kは後部キャップ24kと近位ばねガイド86kの間で圧縮し続け、要素280はシールド本体50kの後周縁63k上でプレート262を回転させ続ける。最終的に、プレート262は、図67Bに示すように、作動タブ81kがプレート262内の間隙スロット264と位置合わせされる解放位置まで回転する。このことが起こると、作動タブ81kとプレート262の間の締まり係合が解放される。作動タブ81kが間隙スロット264と位置合わせされるときに、作動タブ81kとプレート262の間の締まり係合による駆動ばね92kに加えられた抑制力が解放されて、ランセット70kをシールド本体50k内で前向きに移動させるのに使用される動的エネルギーとして、駆動ばね92k内の蓄積潜在エネルギーを解放する。圧縮された駆動ばね92k内の蓄積された潜在エネルギーが動的エネルギーとして解放されると、駆動ばね92kはランセット70kを後部キャップ24kからシールド本体50k内の内部キャビティ56kを通って離すように付勢させる。このような移動中、対応するガイドタブ78kおよびガイド経路80kは、ランセット70kを、シールド本体50kを通って軸方向に案内する。ランセット70kに作用する付勢力は、患者の身体上の目標位置に穿刺外傷を生じさせるように、ランセット72kの穿刺端部74kをシールド本体50k内の前部開口60kから十分な距離および十分な力で突出させるのに十分であることが好ましい。さらに、ランセット70kの推進移動中、ランセット70kのキャリヤ本体76k上の近位ばねガイド86kは、後部キャップ24kに連結されたままである駆動ばね92kから解放される。ランセット装置10kでは、ランセット70kは、シールド14kおよびハウジング12kに対してのみの軸方向移動に限られている。
【0132】
さらに、ランセット70kは推進移動で前に移動すると、遠位端ばねガイド88kは引き込みばね94kの後端部に係合する。駆動ばね92kによって与えられる付勢力は、引き込みばね94kの後端部との遠位ばねガイド88kの係合によって引き込みばね94kに少なくとも部分的に加えられて、引き込みばね94kを遠位端ポケット98kに向かって圧縮し、潜在エネルギーを蓄積させる。引き込みばね94kは、ランセット70kを推進させる駆動ばね92kの付勢力によって全体的にまたは部分的に圧縮することができるように設計されているが、さらにランセット72kの穿刺端部74kを、患者の皮膚を穿刺し、出血を開始させるのに十分な距離および十分な力で、シールド本体50k内の前部開口60kを通って延ばすことが可能になる。作動タブ81kが取り付けられたガイド経路84kは、ランセット70kが前側または前部開口60kを通ってシールド本体50kから全体的な軸方向移動するのを防ぐように、ランセット70kの前方向移動中に、作動タブ81と係合する当接表面で形成することができる。別の方法では、キャリヤ本体76kおよび/または遠位ばねガイド88kは、ランセット70kが前側または前部開口60kを通ってシールド本体50kから全体的な軸方向移動するのを防ぐように、シールド本体50kの前壁端面58と締まり係合するようになっていてもよい。
【0133】
前に説明したように、引き込みばね94kは一般的には、圧縮ばねであり、ランセット70kが穿刺位置まで延びた後に、シールド本体50k内で解放された負荷のない状態に戻るのに十分な弾力性を有する。したがって、引き込みばね94kが圧縮されると、キャリヤ本体76k上の遠位ばねガイド88kとの係合によってランセット70k上に戻り付勢力を与える。引き込みばね94kはそれによって、シールド本体50kの前端壁面58kとキャリヤ本体76k上の遠位ばねガイド88kの間で作用して、シールド本体50k内にランセット70kの完全な引っ込みを生じさせる。より詳細には、引き込みばね94kは、シールド本体50k内全体にランセット72kの穿刺端部74kを後退する戻り付勢力を加える。さらに、引き込みばね94kがシールド本体50k内で解放されたまたは負荷のない状態に戻ると、ランセット70kはシールド本体50k内の静的位置に戻り、ランセット70kはシールド本体50k内の相対固定および静的位置に配置される。引き込みばね94kが解放されたまたは圧縮されていない状態に戻ると、引き込みばね94kはシールド本体50k内に配置されたランセット70kをシールド本体50k内に遮蔽された穿刺端部74kに維持し、穿刺位置へのランセット70kのさらなる移動を防ぐ。
【0134】
本発明をランセット装置のいくつかの異なる実施形態を参照して説明したが、当業者は本発明の範囲および精神から逸脱することなく、発明に変更および変形を加えることができる。したがって、上記の詳細な説明は限定的なものではなく、例示的なものであることを意図している。本発明は頭記の特許請求の範囲によって規定され、特許請求の範囲の意味および相当物に含まれる発明に対する全ての変更は範囲内に含まれるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
前記ハウジング内に少なくとも部分的に配置され、当該ハウジングに対して移動可能に関連付けられたシールドであって、少なくとも1つの内部タブを備えたシールドと、
前記ハウジング内に配置されるとともに前記シールドを通って軸方向に移動可能であり、穿刺要素を備えたランセットであって、前記穿刺要素が前記ハウジング内に配置された初期位置と、前記穿刺要素が穿刺処置のために前記シールド内の前部開口を通って延びている穿刺位置との間の軸方向移動ができるようにされ、前記初期位置で前記シールド内の前記内部タブと締まり係合したランセットと、
前記ハウジングの後端部と前記ランセットの間に配置されて、前記ランセットを前記穿刺位置に付勢させるための駆動ばねと、
を具えたランセット装置であって、
前記ハウジング内への前記シールドの軸方向移動によって、前記ランセットが前記シールド内部タブとの締まり係合によって前記ハウジングの前記後端部に向けて移動し当該後端部と接触して、前記駆動ばねを少なくとも部分的に圧縮し、また、前記ハウジングの前記後端部との接触に際して、前記ハウジング内に前記シールドを引っ込めるように加えられる力によって、前記内部タブの破壊が生じて締まり係合が取り除かれ、前記少なくとも部分的に圧縮された駆動ばねが解放されて前記ランセットを前記シールドを通って前記穿刺位置まで付勢することを特徴とするランセット装置。
【請求項2】
前記ランセットは、前記内部タブとの締まり係合を行なう切断要素を備えることができ、前記内部タブの破壊は前記内部タブを通って切断する前記切断要素によって生じることを特徴とする請求項1に記載のランセット装置。
【請求項3】
ハウジングと、
前記ハウジング内に配置され、前記ハウジングを通って軸方向に移動可能であり、前記穿刺要素を備えたランセットであって、前記穿刺要素が前記ハウジング内に配置された初期位置と、前記穿刺要素が穿刺処置のために前記ハウジング内で前部開口を通って延びている穿刺位置と、の間の軸方向移動ができるようにされたランセットと、
前記ハウジングの後端部と前記ランセットの間に配置され前記ランセットを前記穿刺位置まで付勢するための駆動ばねであって、前記ランセットと前記ハウジングとの間の締まり係合によって前記ハウジングの前記後端部と前記ランセットとの間で少なくとも部分的に圧縮状態に保持された駆動ばねと、
前記ハウジングに旋回可能に連結され、前記駆動ばねを解放させるように前記初期位置で前記ランセットと接触係合するアクチュエータと、
を具えたランセット装置であって、
前記アクチュエータの移動によって前記ハウジング内への当該アクチュエータの旋回移動を生じ、それによって前記ランセットが前記ハウジングとの締まり係合から解放されるまで、前記ランセットの少なくとも一部が前記ハウジング内で下向きに移動し、それによって前記ハウジングを通って前記穿刺位置まで前記ランセットを付勢させるように少なくとも部分的に圧縮された前記駆動ばねを解放することを特徴とするランセット装置。
【請求項4】
前記ランセットは、少なくとも1つの外向きに延びているガイドタブを備えており、前記ハウジングは長手方向主経路およびほぼ横向きの側部経路を備えた内部ガイド経路を画定し、前記締まり係合は、前記主経路および前記側部経路の交点と係合するガイドタブを備えていることを特徴とする請求項3に記載のランセット装置。
【請求項5】
その後端部に内部カム表面を有するハウジングと、
前記ハウジング内に少なくとも部分的に配置され、当該ハウジングに移動可能に関連付けられたシールドと、
前記ハウジング内に少なくとも部分的に配置され、前記シールドを通って軸方向に移動可能であり、穿刺要素を備えたランセットであって、前記穿刺要素が前記ハウジング内に配置された初期位置と、前記穿刺要素が穿刺処置のために前記シールド内で前部開口を通って延びている穿刺位置と、の間の軸方向移動ができるようにされたランセットと、
前記ハウジングの前記後端部と前記ランセットの間に配置され、前記ランセットを前記穿刺位置まで付勢させるための駆動ばねと、
前記ハウジング内に配置された前記シールドの近位端に関連付けられ、前記ランセットの初期位置で当該ランセットと締まり係合するアクチュエータと、
を具えたランセット装置であって、
前記ハウジング内への前記シールドの軸方向移動によって、前記アクチュエータが前記ランセットを前記ハウジングの後端部に向けて移動させ、前記駆動ばねを少なくとも部分的に圧縮し、同時に内部カム表面と相互作用し、前記シールドの軸方向移動中の前記内部カム表面との連続相互作用はさらに、前記アクチュエータと前記ランセットの間の締まり係合が解放される前記ハウジング内の位置まで前記アクチュエータを移動させ、それによって少なくとも部分的に圧縮された前記駆動ばねが解放され、前記駆動ばねが前記シールドを通って前記穿刺位置まで前記ランセットを付勢することを可能にすることを特徴とするランセット装置。
【請求項6】
前記アクチュエータは、前記シールドの近位端にスライド可能に取り付けられ、前記締まり係合を解放するようにそこを通る前記ランセットの通過を可能にするキー孔を画定するプレート部材と備えていることを特徴とする請求項5に記載のランセット装置。
【請求項7】
ハウジングと、
前記ハウジング内に配置され、前記ハウジングを通って軸方向に移動可能であり、穿刺要素を備えたランセットであって、前記穿刺要素が前記ハウジング内に配置されている初期位置と、前記穿刺要素が穿刺処置のために前記ハウジング内で前部開口を通って延びている穿刺位置と、の間の軸方向移動ができるようにされたランセットと、
前記ハウジングの後端部と前記ランセットの間に配置され、前記ランセットを前記穿刺位置まで付勢させるための駆動ばねと、
前記ハウジングに関連付けられ、前記初期位置で前記ランセットと締まり係合して、前記初期位置で、前記ハウジングの前記後端部と前記ランセットの間で前記駆動ばねを少なくとも一部圧縮状態に維持するアクチュエータと、
を具えたランセット装置であって、
前記ハウジング内への前記アクチュエータの移動によって、当該アクチュエータと前記ランセットの間の締まり係合が解放される前記ハウジング内の位置まで当該アクチュエータが移動し、それによって前記少なくとも部分的に圧縮された駆動ばねを解放し、該駆動ばねが前記ランセットを前記シールドを通って前記穿刺位置まで付勢することが可能にすることを特徴とするランセット装置。
【請求項8】
前記アクチュエータは、ハウジングに旋回可能に連結されたレバー部材と、前記ハウジング内に下がり、締まり係合を解放するようにそこを通るランセットの通過を可能にするキー孔を画定するプレート部材とを備えていることを特徴とする請求項7に記載のランセット装置。
【請求項9】
前記アクチュエータは、前記ハウジングに取り付けられた降下可能ボタンと、ハウジング内に下がり、締まり係合を解放するようにそこを通るランセットの通過を可能にするキー孔を画定するプレート部材とを備えていることを特徴とする請求項7に記載のランセット装置。
【請求項10】
ハウジングと、
前記ハウジング内に配置され、前記ハウジングを通って軸方向に移動可能であり、穿刺要素を備えたランセットであって、前記穿刺要素が前記ハウジング内に配置されている初期位置と、前記穿刺要素が穿刺処置のために前記ハウジング内で前部開口を通って延びている穿刺位置との間の軸方向移動ができるようにされたランセットと、
前記ハウジングの前記後端部と前記ランセットの間に配置され、前記ランセットを前記穿刺位置まで付勢する駆動ばねであって、前記ランセットと前記ハウジングの間の締まり係合によって、前記ハウジングの前記後端部と前記ランセットの間で少なくとも一部圧縮状態に保持されている駆動ばねと、
前記ハウジングに旋回可能に連結され、前記駆動ばねの解放を引き起こすように前記ランセットと前記ハウジングの間の締まり係合を切断するようになっているアクチュエータと、
を具えたランセット装置であって、
前記アクチュエータの移動によって、当該アクチュエータが前記ランセットと前記ハウジングの間の前記締まり係合を切断するまで前記ハウジング内へのその旋回移動を引き起こし、それによって前記ランセットを前記ハウジングを通って前記穿刺位置まで付勢するように前記少なくとも一部圧縮した駆動ばねを解放することを特徴とするランセット装置。
【請求項11】
前記アクチュエータは、前記ハウジングに旋回可能に連結され、前記ランセットと前記ハウジングの間の前記締まり係合を切断するように下がる切断刃を備えたレバー部材を備ええていることを特徴とする請求項10に記載のランセット装置。
【請求項12】
内部作動部材を含むハウジングと、
ハウジング内に少なくとも部分的に配置され、当該ハウジングに移動可能に関連付けられたシールドと、
前記ハウジング内に配置され、前記シールドを通って軸方向に移動可能であり、穿刺要素を備えたランセットであって、前記穿刺要素が前記ハウジング内に配置された初期位置と、前記穿刺要素が穿刺処置のために前記シールド内を前部開口を通って延びる穿刺位置と、の間の軸方向移動ができるようにされたランセットと、
前記ハウジングの後端部と前記ランセットの間に配置され、前記ランセットを穿刺位置まで付勢させるための駆動ばねと、
回転要素であって前記初期位置で前記ランセットと締まり係合している回転要素と、
を具えたランセット装置であって、
前記ハウジング内への前記シールドの軸方向移動によって、前記作動部材が前記回転要素を前記ランセットに対して解放位置まで回転させて、前記ランセットと回転要素の間の前記締まり係合を解放し、それによって前記駆動ばねが前記ランセットを前記シールドを通って前記穿刺位置まで付勢させることを可能にすることを特徴とするランセット装置。
【請求項13】
前記ハウジング内への前記シールドの軸方向移動により、前記駆動ばねが前記ランセットと回転要素の間の前記締まり係合により前記ハウジング後端部とランセットの間で少なくとも部分的に圧縮させることを特徴とする請求項12に記載のランセット装置。
【請求項14】
前記回転要素は、前記ハウジング内に配置された前記シールドの後端部に取り付けられていることを特徴とする請求項13に記載のランセット装置。
【請求項15】
前記作動部材はカム表面を有するカム要素を備えており、前記回転要素は前記カム要素を受けるカムガイド凹部を画定するガイドプレートを備え、前記ハウジング内への前記シールドの前記軸方向移動が、前記カム表面を前記カムガイド凹部に係合させ、前記ガイドプレートに回転動作を加えることを特徴とする請求項12に記載のランセット装置。
【請求項16】
前記ランセットは、前記ガイドプレートと締まり係合した作動タブを備えていることを特徴とする請求項15に記載のランセット装置。
【請求項17】
前記ガイドプレートは間隙スロットを画定し、前記ガイドプレートが前記作動タブが前記間隙スロットと位置合わせされる前記解放位置まで回転すると、前記締まり係合は解放されることを特徴とする請求項16に記載のランセット装置。
【請求項18】
前記作動部材はカム表面を有するカム要素を備え、前記回転要素はカムフォロワを備え、前記ハウジング内への前記シールドの前記軸方向移動は、前記カム表面をカムフォロワと係合させ、少なくとも前記カムフォロワが前記解放位置に到達するまでそれに回転動作を加えることを特徴とする請求項12に記載のランセット装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【図54A】
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【図54B】
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【図54C】
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【図55】
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【図56】
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【図57】
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【図58】
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【図59】
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【図60】
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【図61】
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【図62】
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【図63】
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【図64】
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【図65A】
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【図65B】
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【図66A】
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【図66B】
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【図67A】
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【図67B】
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【公開番号】特開2012−176257(P2012−176257A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−110938(P2012−110938)
【出願日】平成24年5月14日(2012.5.14)
【分割の表示】特願2008−505644(P2008−505644)の分割
【原出願日】平成18年4月7日(2006.4.7)
【出願人】(595117091)ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー (539)
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
【住所又は居所原語表記】1 BECTON DRIVE, FRANKLIN LAKES, NEW JERSEY 07417−1880, UNITED STATES OF AMERICA
【Fターム(参考)】