ランプ包囲体用換気システム
ランプ包囲体用通気具がランプ包囲体の内部と外部との間の通路を具備し、非平面通気要素が通路を覆う。通気具が空気流を改善して且つ液体に対する防滴を提供する。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
車両用ヘッドランプ、ブレーキランプ、走行ランプ、方向指示ランプ、フォグランプ、駐車ランプ(総称してランプまたは車両用ランプ)は、包囲体(enclosure)内に配設された1以上の電球を有する。電球の動作による熱サイクル、環境の変化、及び車両の動作によりランプ包囲体の内部で湿気が凝縮しうる。斯かる凝縮は、ランプの外観を損ない、光出力を抑制し、或いは損傷をもたらしうる。従って、効果的なランプの動作を維持し且つ損傷を防ぐために、湿気が、電球、レンズ、及び反射面に到達するのを防ぐことが望ましい。
【0002】
ランプ包囲体内の湿気に関する問題を最小化する試みは、包囲体内の空気流及び/または包囲体の内部と周囲との間の空気交換を作り出すシステムを含んでいた。典型的には、斯かる換気システムは凝縮効果を減少させるべく空気の対流に依存している。湿気の除去を促進するために空気流を最適化すべく定置された多数の孔部が使用されうる。可撓性を有するチューブが斯かる孔部に取り付けられうる。これら換気システムは、包囲体を通した空気流または周囲との空気交換を増加させる手段を提供するが、異物及び液体水がランプ包囲体に入るのを防ぐことはできない。
【0003】
ランプ包囲体内の空気流及び空気交換は、風、車両運動からの外気流、またはファン及び他の動装置、例えば車両のエンジン室に見られる動装置からの外気流によって影響されうる。孔部を横断する空気流は、孔部で圧力差をもたらしうる。ランプ包囲体上の二つの孔部における同一ではない外的条件は、二つの孔部間の測定可能な圧力差を生むことができ、圧力差はランプ包囲体内に対流による空気流をもたらすであろう。
【0004】
液体水に対する防滴及び細塵のような異物からの保護を提供する、車両用ランプ包囲体及び他のランプ包囲体において、増加せしめられた空気流による換気システムに対する要求が存在する。
【発明の概要】
【0005】
一つの態様において、本発明は、換気システムを具備するランプ包囲体を提供し、換気システムは、ランプ包囲体上の第1位置に配設される第1通気具であって、通気性及び防滴性のある第1通気要素によって覆われる第1通路を有する第1通気具と、ランプ包囲体上の第2位置に配設される第2通気具であって、通気性及び防滴性のある第2通気要素によって覆われる第2通路を有する第2通気具とを含み、ここで、通気性及び防滴性のある第1通気要素が、通気性及び防滴性のある第1通気要素の表面積が第1通路の面積よりも大きくなるように非平面形状を有し、且つ第1位置及び第2位置の測定可能な圧力差がランプ包囲体内に空気流をもたらす。
【0006】
別の態様において、本発明は、換気システムを有するランプ包囲体を提供し、換気システムは、ランプ包囲体上の第1位置の第1開口部と、第1開口部を覆って配設され且つ通路を有す通気具であって、通路が通気性及び防滴性のある通気要素によって覆われ、通気要素が通気性及び防滴性のある通気要素の表面積が通路の面積よりも大きくなるように非平面形状を有する通気具と、第2位置に配設される第2開口部とを含み、ここで、第1位置及び第2位置の測定可能な圧力差がランプ包囲体内に空気流をもたらす。
【0007】
別の態様において、本発明は、換気システムを具備するランプ包囲体を提供し、換気システムは、ランプ包囲体上の第1位置の第1開口部と、第1開口部を覆う防滴性のある非平面通気要素であって、フラジール数が5よりも大きい通気度を有する多孔質材料を含んで成る防滴の通気要素と、第2位置に配設される第2開口部とを含み、ここで、第1位置及び第2位置の測定可能な圧力差がランプ包囲体内に空気流をもたらす。
【0008】
更に別の態様において、本発明は、換気されるランプ包囲体を提供し、ランプ包囲体は、ランプ包囲体の内部とランプ包囲体の外部との間の通路と、通路を覆い且つ高分子膜のプリーツ状の積層体を含む通気要素であって、積層体が延伸PTFEと支持材料とを含んで成り且つ約689Pa(0.1psi)よりも大きい水侵入圧とフラジール数が5よりも大きい通気度とを有する通気要素とを含む。
【0009】
更に追加の態様において、本発明は、2以上の開口部を有するランプ包囲体を換気するためのシステムを提供し、システムは、開口部を通して通路を有する通気具本体と、通路を覆い且つ高分子膜のプリーツ状且つ非平面の積層体を含む通気要素であって、積層体が延伸PTFEと支持材料とを含んで成り且つ少なくとも約689Pa(0.1psi)の水侵入圧を有し、フラジール数が5よりも大きい通気度を有する通気要素とを含む。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、一つの実施形態に係る通気具の断面図を表す。
【図2】図2a〜図2dは、非平面通気要素のいくつかの実施可能な形態を描写する。
【図3】図3は、本発明の一つの態様に係る換気システムに使用される通気具を示す、車両用ランプ包囲体の断面図である。
【図4】図4は、別の態様に従った換気システムを包含する車両用ランプ包囲体の断面図である。
【図5】図5は、実施例1に従って製造された通気具の斜視図である。
【図6】図6は、実施例2に従って製造された通気具の斜視図である。
【図7】図7は、実施例1に従って製造された通気具の部品の分解図を描写する。
【図8】図8は、実施例2に従って製造された通気具の部品の分解図を描写する。
【図9】図9は、本発明の一つの態様に係る換気システムにおいて、二つの位置に二つの通気具を具備するランプ包囲体の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に記述される換気システムは、ランプ包囲体内の湿気管理に有用である。具体的には、換気システムは、水からの防滴を犠牲にすることなく、高い空気流の特異な組合せ(unique combination)を有する通気具を提供する。換気システムは、任意の照明包囲体、例えば外灯及び装飾照明において用途を有する。換気システムは、自動車、トラック、オートバイ、及びボートのランプだけでなく、凝縮が問題となりうる、他の車両用ランプ及び照明用途に特に適切である。
【0012】
図1は、通気具(vent)30が照明包囲体33の開口部31を覆って設置されうるときの通気具30の概略断面図を示す。通気具は、通気具本体32及び通気要素34を具備する。通気具本体32は空気通路36を有し、空気通路36は開口部31と共にランプ包囲体の内部と外部との間に流体通路を提供する。通気要素34は、空気通路36の通気性及び防滴性のあるシールを形成すべく空気通路36を覆う。「防滴性のあるシール」とは、少なくとも約689Pa(0.1psi)の水侵入圧に、漏れることなく耐えることができるシールを意味する。
【0013】
シール固定材38が通気具本体32をランプ包囲体の壁に取り付けることを促進する。通気具本体をランプ包囲体に取り付けるための手段は、締まり嵌め、スナップ嵌合(snap-fit)、Oリング、ガスケット、ネジ、または接着剤を含みうる。従って、通気具本体は、取り付けを改良すべく、突刺(barb)、ネジ、及びその均等物を包含しうる。
【0014】
好ましくは、通気具本体32は高分子材料から構成され、高分子材料は、通気具本体上に通気要素をヒートシールすること及びランプ包囲体に通気具本体を取り付けることを含む処理を容易にする。通気具本体は、長方形、正方形、または円筒を含むがこれらに限定されない様々な形状及び形態に構成されうる。通気具本体32は、挿入部品、キャップ、または成形部品の形態を取りうる。
【0015】
通気要素34は通気具本体の通路36を覆う。通気要素は、高い通気度を有し且つ更に液体水に対する防滴を提供する任意の多孔質材料でありうる。好ましくは、多孔質材料は少なくともフラジール数3の通気度及び少なくとも約689Pa(約0.1psi)の水侵入圧を有する。更に好ましくは、多孔質材料は少なくともフラジール数10の通気度及び少なくとも約1379Pa(約0.2psi)の水侵入圧を有する。最も好ましくは、多孔質材料は少なくともフラジール数20の通気度及び少なくとも約3447Pa(約0.5psi)の水侵入圧を有する。多孔質材料は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、酢酸セルロース、ポリカーボネート、超高分子ポリエチレン(UHMWPE)、及び好ましくは延伸PTFEからの高分子膜を含んで成りうるが、これらに限定されない。Gore(GORE:登録商標)社の米国特許3953566号明細書の教示に従って製造された延伸PTFE膜が特に有用である。
【0016】
通気要素34は上記材料の組合せを含んで成ることができ且つ積層体として構成されてもよい。例えば、構造的な支持を提供すべく多孔質膜が支持層と結合されるのは有利である。斯かる支持層は、通気具本体または直接ランプ包囲体に通気要素を取り付けることを促進すべく選択されうる。適切な支持層は、編物(knit)、不織布(non-woven)、スクリム、メルトブロー不織布(melt-blown)、織物、メッシュ、発泡体(foam)、延伸多孔質PTFE膜等のような通気性媒体の形態でありうる。支持層は、例えば、高温ロールによるラミネート加工(hot-roll lamination)、接着剤、または超音波接合によって多孔質膜に固着されうる。
【0017】
通気要素34は撥油性(oleophobic)にされてもよく、例えば米国特許5116650号明細書には多孔質媒体を撥油性にする方法を記載される。撥油性とは、AATCC試験法118−2002を使用して測定される少なくとも2のオイル等級(oil rating)を有する物品を意味する。通気要素は、接着剤、超音波接合、または熱接合を含むがこれらに限定されない任意の公知の手段によって通気具本体に固着される。
【0018】
通気要素34は非平面である。通気要素34は、プリーツ状であってもよく、折られていてもよく、曲がっていてもよく、うねがあって(ribbed)もよく、溝があってもよく、隆起していて(ridged)もよく、または波形(corrugated)であってもよい。通気要素の表面積が通路36の面積またはランプ包囲体上の開口部31の面積よりも大きいならば、任意の形状または配置が採用されうる。限定するものではない非平面形状の例としては、円錐形(cone)、半球体(dome)、チューブ、プリーツ(pleat)、及び渦巻き状に巻かれた(spirally wound)形態が含まれる。非平面要素のいくつかの可能な限定するものではない例が図2a〜図2dに描写される。これら及び他の非平面形状が当該分野で公知の手段によって構成されうることが理解されるべきである。
【0019】
図3は、二つの開口部(20、22)を備えた換気システムを包含する車両用ランプ包囲体の断面図を示す。一方の開口部は、開口部に設置された通気具30を有する。ランプ包囲体12は、閉鎖空間(enclosed volume)を画成する壁14を有する。ランプ包囲体は光源16及びレンズ18を含む。光源は、白熱灯、タングステン/ハロゲン、LED、HID、またはその他のランプでありうる。壁14は、ランプ包囲体の上半分内に開口部20を有し、且つ底部の近くの第2位置において第2開口部22を有する。斯かる位置決めは、ランプ16の熱によって発生された熱効果による空気流の勾配を増加させうる。各開口部は、開口部の断面積によって画成される開口部面積を有する。
【0020】
開口部を異なる外圧領域に配設することは有利である。異なる圧力領域は、エンジン室の温度勾配による浮力効果及び/またはランプの周りの空気流によって作り出されうる。例えば、ランプ包囲体の上半分内に配設された開口部は、空気がランプ包囲体の内または外に引き込まれることをもたらしうる、ランプ包囲体の頂部の近くの高い空気流によって、ランプ包囲体の底部の近くに配設された開口部よりも高い圧力を受けうる。
【0021】
図4に示される実施形態において、ランプ包囲体が開口部20を有し且つ非平面通気要素34が熱接合を使用して開口部20を覆って直接シールされる。斯かる実施形態において、通気具本体は必要とされず、むしろ開口部20は通気要素34によって直接シールされる。非平面通気要素の表面積は、開口部面積よりも大きい。
【0022】
図5に記載されるような他の実施形態において、通気具40が、プリーツ状の非平面通気要素46によって覆われた通路44を備えた長方形の通気具本体42を具備する。好ましくは、非平面通気要素46は、延伸多孔質PTFE膜を具備し、且つ不織布の裏材上にこの延伸PTFE膜を支持することによって積層体の形態に構成される。積層体のプリーツ形成が当該分野で公知の手段によって実現されうる。プリーツ自体は、結果として生じる非平面通気要素の表面積が通路の面積よりも大きければ、任意の形状または形態、或いは密集状態のプリーツであってよい。図7は分解図における通気具を示し、同様の部分が同様の番号を有する。
【0023】
図6に記載される更に別の実施形態において、通気具50はほぼ円筒形状の通気具本体を具備する。通気具は、プリーツ状の非平面通気要素56によって覆われた通路54を有するベース53を有する。通気要素は、籠状部材(cage)52によって保護されうる。プリーツを有して示されているが、非平面通気要素の面積が通路の面積よりも大きければ、任意の非平面配置を選択することができる。好ましくは、非平面通気要素56は延伸多孔質PTFEを具備し且つ不織ポリマーの裏材上にこの延伸PTFE膜を支持することによって積層体の形態で構成される。プリーツは任意の形状または形態を取りうる。図8は分解図における通気具を示し、同様の部分が同様の番号を有する。
【0024】
代替的な実施形態において、車両用ランプ包囲体の換気システムは、図9に記載されるように提供される。ほぼ長方形形状の通気具40及び円筒の通気具50が二つの異なる開口部20及び22をそれぞれ覆って定置される。通気具は、接着剤または他の手段を使用することによってランプ包囲体の壁に取り付けられうる。一方の開口部20がランプ包囲体の上半分内に配設され、他方の開口部22がランプの底部に配設される。車両が運転されるとき、これら二つの場所の間の測定可能な圧力差が存在し、この圧力差はランプ包囲体を通した空気流と、閉鎖空間と外気との間の空気交換とをもたらす。通気具は位置に関しては交換可能であるということが理解されるべきである。例えば、長方形の通気具40がランプ包囲体の下部の開口部に取り付けられ、且つ円筒の通気具50が、ランプ包囲体の上半分内に配設された開口部を覆って取り付けられてもよい。
【0025】
フラジール試験
通気度は、77.8cm2の断面積を有する円形の孔部が設けられた円形のガスケット付フランジ固定具に多孔質材料のフラットシート状のサンプルを挟持することによって測定された。サンプルの固定具の上流側は、乾燥した圧縮空気の供給源と直列の流量計に接続された。サンプルの固定具の下流側は、外気に開放されていた。フラジール数は多孔質材料の通気度を表す。フラジール数は、試験サンプルの表裏での圧力差が12.7mm水柱であるときの、立方フィート/サンプル面積の平方フィート/分で報告される。
【0026】
水侵入圧試験
水侵入圧は、多孔質材料を通した水の侵入を測定するための試験方法である。フラットシート状のサンプル材料が一対の試験固定具の間に挟持された。下側の固定具は水でサンプルの一区分を加圧する能力を有するものであった。一片のpH紙が、水の侵入の形跡の表示器として機能すべくサンプルの頂部に配置された。その後、サンプルは、pH紙の色の変化が示されるまで僅かな圧力増分で加圧された。相当する貫通圧または侵入圧が、水侵入圧として記録された。
【0027】
通気具の空気流試験
通気具を通した空気流量は、ガスケット付き試験固定具に通気具をシールすることによって測定された。試験固定具の上流側は、乾燥した圧縮空気の供給源と直列の流量計に接続された。試験固定具の下流側は、外気に開放されていた。通気具を通した空気流量(m3/h)は、12.7mm水柱の圧力差の下で報告される。
【0028】
防滴試験(splash test)
通気具は、固定された試験プレートの孔にシールされた。通気具は、75mm水柱相当の圧力を印加することによって水で加圧された。この圧力は10秒間維持された。通気具は、液体水路について視覚的に観察された。通気要素自体、または通気要素と通気具本体との接触面を水が通過するのが見られなければ、このとき通気具は防滴試験に合格したと考えられる。この試験結果が合否評価の観点から報告される。合格評価を有する通気具が防滴と考えられる。
【0029】
圧力差の試験
ランプ包囲体の二つの開口部間の圧力差の測定が圧力変換器(Ahlborn Mess− und Regelungstechnik GmbH社の型番FDA602S2K)を使用してなされた。圧力変換器は、ランプハウジングの二つの開口部の近くに配置された二つのポートを備えていた。車両が70mph(約113km/h)の速度で運転されたとき、二つの開口部間の圧力差はデータ取得システムを使用して記録された。
【実施例1】
【0030】
延伸PTFE膜が、高温ロールによるラミネート加工技術を使用して不織ポリエステルの裏材に固着された。膜の特性と、結果として生じる積層体とが表1に提示される。
【表1】
【0031】
2400mm2の積層体が、リーフプリーツ機能(leaf pleating capability)を備えたプリーツ加工機を使用してプリーツ状にされた。プリーツ状通気要素は合計10プリーツを有し、各プリーツは、高さ6mm、幅20mmのプリーツを有した。プリーツ状非平面通気要素の最終寸法は34mm×14mmであった。
【0032】
通気具本体が光造形ラピッドプロトタイピングシステムを使用して構成された。通気具本体の構成材料は、Accura(登録商標)25プラスチックであった。図5及び図7に示されるように、通気具本体40は、二つの部品、すなわちベース部42a及び嵌合(mate)部42bを有した。通気具は、二つの部分の間にプリーツ状非平面通気要素46を配設し且つエポキシ樹脂(Armstrong(登録商標)2パートエポキシ樹脂;品番 1100052100011及び2100051300010)を使用して二つの部分を共に接合することによって組み立てられた。通気具本体の通路44はプリーツ状通気要素46によって覆われた。接着面積を考慮した後、1344mm2のプリーツ状の通気面積が通路を覆うべく設けられた。
【0033】
通気具は、空気流量及び液体水に対する防滴について試験された。この実施例で生産された通気具を通した空気流量は、0.47m3/hであり且つ通気具は液体水の防滴試験に合格した。
【実施例2】
【0034】
実施例1で生産された積層体のサンプルが、リーフプリーツ機能を備えたプリーツ加工機を使用してプリーツ状にされた。プリーツ束自体は合計20プリーツを有し、各プリーツは、高さ6mm、幅25mmのプリーツを有した。寸法80mm×25mmの通気要素がサンプルから切断された。
【0035】
通気具本体は光造形ラピッドプロトタイピングシステムを使用して構成された。通気具本体の構成材料は、Accura(登録商標)25プラスチックであった。図6及び図8に示されるように、通気具本体はベース部53及び籠状部52を有した。通気具は、二つの部分の間にプリーツ状非平面通気要素56を配設し且つエポキシ樹脂(Armstrong(登録商標)2パートエポキシ樹脂;品番 1100052100011及び2100051300010)を使用して二つの部分を共に接合することによって組み立てられた。通気具本体の通路54はプリーツ状通気要素によって覆われた。接着を考慮した後、4560mm2のプリーツ状の通気面積が通路を覆った。
【0036】
通気具は、空気流量及び液体水に対する防滴について試験された。この実施例で生産された通気具を通した空気流量は、0.103m3/hであり且つ通気具は液体水の防滴試験に合格した。
【実施例3】
【0037】
自動車両用ランプ包囲体の換気システムが上記の実施例1及び実施例2の二つの通気具を使用して構成された。HIDランプを備えた2005年のランドローバー(Land Rover:登録商標)LR3のヘッドランプ包囲体が使用された。二つの孔部が、ランプ包囲体上、すなわち一方はランプ包囲体の上半分内に他方はランプ包囲体後部の比較的保護された場所にドリルで開けられた。ランプ包囲体の上半分内の孔部の寸法は26mm×46mmであり且つランプ包囲体の後部の円形の孔部は直径18mmであった。実施例1の通気具が接着剤(Armstrong(登録商標)2パートエポキシ樹脂;品番 1100052100011及び2100051300010)を使用してランプ包囲体の上半分内の孔部に取り付けられた。実施例2の通気具が接着剤(Armstrong(登録商標)2パートエポキシ樹脂;品番 1100052100011及び2100051300010)を使用してランプ包囲体後部の孔部に取り付けられた。
【0038】
本発明の特定の実施形態が本明細書で例示及び記載されてきたが、本発明は斯かる例示及び記載に制限されるべきではない。変更及び修正が、添付の特許請求の範囲の範囲内で本発明の一部として包含され且つ具現化されうることが明らかであろう。
【背景技術】
【0001】
車両用ヘッドランプ、ブレーキランプ、走行ランプ、方向指示ランプ、フォグランプ、駐車ランプ(総称してランプまたは車両用ランプ)は、包囲体(enclosure)内に配設された1以上の電球を有する。電球の動作による熱サイクル、環境の変化、及び車両の動作によりランプ包囲体の内部で湿気が凝縮しうる。斯かる凝縮は、ランプの外観を損ない、光出力を抑制し、或いは損傷をもたらしうる。従って、効果的なランプの動作を維持し且つ損傷を防ぐために、湿気が、電球、レンズ、及び反射面に到達するのを防ぐことが望ましい。
【0002】
ランプ包囲体内の湿気に関する問題を最小化する試みは、包囲体内の空気流及び/または包囲体の内部と周囲との間の空気交換を作り出すシステムを含んでいた。典型的には、斯かる換気システムは凝縮効果を減少させるべく空気の対流に依存している。湿気の除去を促進するために空気流を最適化すべく定置された多数の孔部が使用されうる。可撓性を有するチューブが斯かる孔部に取り付けられうる。これら換気システムは、包囲体を通した空気流または周囲との空気交換を増加させる手段を提供するが、異物及び液体水がランプ包囲体に入るのを防ぐことはできない。
【0003】
ランプ包囲体内の空気流及び空気交換は、風、車両運動からの外気流、またはファン及び他の動装置、例えば車両のエンジン室に見られる動装置からの外気流によって影響されうる。孔部を横断する空気流は、孔部で圧力差をもたらしうる。ランプ包囲体上の二つの孔部における同一ではない外的条件は、二つの孔部間の測定可能な圧力差を生むことができ、圧力差はランプ包囲体内に対流による空気流をもたらすであろう。
【0004】
液体水に対する防滴及び細塵のような異物からの保護を提供する、車両用ランプ包囲体及び他のランプ包囲体において、増加せしめられた空気流による換気システムに対する要求が存在する。
【発明の概要】
【0005】
一つの態様において、本発明は、換気システムを具備するランプ包囲体を提供し、換気システムは、ランプ包囲体上の第1位置に配設される第1通気具であって、通気性及び防滴性のある第1通気要素によって覆われる第1通路を有する第1通気具と、ランプ包囲体上の第2位置に配設される第2通気具であって、通気性及び防滴性のある第2通気要素によって覆われる第2通路を有する第2通気具とを含み、ここで、通気性及び防滴性のある第1通気要素が、通気性及び防滴性のある第1通気要素の表面積が第1通路の面積よりも大きくなるように非平面形状を有し、且つ第1位置及び第2位置の測定可能な圧力差がランプ包囲体内に空気流をもたらす。
【0006】
別の態様において、本発明は、換気システムを有するランプ包囲体を提供し、換気システムは、ランプ包囲体上の第1位置の第1開口部と、第1開口部を覆って配設され且つ通路を有す通気具であって、通路が通気性及び防滴性のある通気要素によって覆われ、通気要素が通気性及び防滴性のある通気要素の表面積が通路の面積よりも大きくなるように非平面形状を有する通気具と、第2位置に配設される第2開口部とを含み、ここで、第1位置及び第2位置の測定可能な圧力差がランプ包囲体内に空気流をもたらす。
【0007】
別の態様において、本発明は、換気システムを具備するランプ包囲体を提供し、換気システムは、ランプ包囲体上の第1位置の第1開口部と、第1開口部を覆う防滴性のある非平面通気要素であって、フラジール数が5よりも大きい通気度を有する多孔質材料を含んで成る防滴の通気要素と、第2位置に配設される第2開口部とを含み、ここで、第1位置及び第2位置の測定可能な圧力差がランプ包囲体内に空気流をもたらす。
【0008】
更に別の態様において、本発明は、換気されるランプ包囲体を提供し、ランプ包囲体は、ランプ包囲体の内部とランプ包囲体の外部との間の通路と、通路を覆い且つ高分子膜のプリーツ状の積層体を含む通気要素であって、積層体が延伸PTFEと支持材料とを含んで成り且つ約689Pa(0.1psi)よりも大きい水侵入圧とフラジール数が5よりも大きい通気度とを有する通気要素とを含む。
【0009】
更に追加の態様において、本発明は、2以上の開口部を有するランプ包囲体を換気するためのシステムを提供し、システムは、開口部を通して通路を有する通気具本体と、通路を覆い且つ高分子膜のプリーツ状且つ非平面の積層体を含む通気要素であって、積層体が延伸PTFEと支持材料とを含んで成り且つ少なくとも約689Pa(0.1psi)の水侵入圧を有し、フラジール数が5よりも大きい通気度を有する通気要素とを含む。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、一つの実施形態に係る通気具の断面図を表す。
【図2】図2a〜図2dは、非平面通気要素のいくつかの実施可能な形態を描写する。
【図3】図3は、本発明の一つの態様に係る換気システムに使用される通気具を示す、車両用ランプ包囲体の断面図である。
【図4】図4は、別の態様に従った換気システムを包含する車両用ランプ包囲体の断面図である。
【図5】図5は、実施例1に従って製造された通気具の斜視図である。
【図6】図6は、実施例2に従って製造された通気具の斜視図である。
【図7】図7は、実施例1に従って製造された通気具の部品の分解図を描写する。
【図8】図8は、実施例2に従って製造された通気具の部品の分解図を描写する。
【図9】図9は、本発明の一つの態様に係る換気システムにおいて、二つの位置に二つの通気具を具備するランプ包囲体の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に記述される換気システムは、ランプ包囲体内の湿気管理に有用である。具体的には、換気システムは、水からの防滴を犠牲にすることなく、高い空気流の特異な組合せ(unique combination)を有する通気具を提供する。換気システムは、任意の照明包囲体、例えば外灯及び装飾照明において用途を有する。換気システムは、自動車、トラック、オートバイ、及びボートのランプだけでなく、凝縮が問題となりうる、他の車両用ランプ及び照明用途に特に適切である。
【0012】
図1は、通気具(vent)30が照明包囲体33の開口部31を覆って設置されうるときの通気具30の概略断面図を示す。通気具は、通気具本体32及び通気要素34を具備する。通気具本体32は空気通路36を有し、空気通路36は開口部31と共にランプ包囲体の内部と外部との間に流体通路を提供する。通気要素34は、空気通路36の通気性及び防滴性のあるシールを形成すべく空気通路36を覆う。「防滴性のあるシール」とは、少なくとも約689Pa(0.1psi)の水侵入圧に、漏れることなく耐えることができるシールを意味する。
【0013】
シール固定材38が通気具本体32をランプ包囲体の壁に取り付けることを促進する。通気具本体をランプ包囲体に取り付けるための手段は、締まり嵌め、スナップ嵌合(snap-fit)、Oリング、ガスケット、ネジ、または接着剤を含みうる。従って、通気具本体は、取り付けを改良すべく、突刺(barb)、ネジ、及びその均等物を包含しうる。
【0014】
好ましくは、通気具本体32は高分子材料から構成され、高分子材料は、通気具本体上に通気要素をヒートシールすること及びランプ包囲体に通気具本体を取り付けることを含む処理を容易にする。通気具本体は、長方形、正方形、または円筒を含むがこれらに限定されない様々な形状及び形態に構成されうる。通気具本体32は、挿入部品、キャップ、または成形部品の形態を取りうる。
【0015】
通気要素34は通気具本体の通路36を覆う。通気要素は、高い通気度を有し且つ更に液体水に対する防滴を提供する任意の多孔質材料でありうる。好ましくは、多孔質材料は少なくともフラジール数3の通気度及び少なくとも約689Pa(約0.1psi)の水侵入圧を有する。更に好ましくは、多孔質材料は少なくともフラジール数10の通気度及び少なくとも約1379Pa(約0.2psi)の水侵入圧を有する。最も好ましくは、多孔質材料は少なくともフラジール数20の通気度及び少なくとも約3447Pa(約0.5psi)の水侵入圧を有する。多孔質材料は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、酢酸セルロース、ポリカーボネート、超高分子ポリエチレン(UHMWPE)、及び好ましくは延伸PTFEからの高分子膜を含んで成りうるが、これらに限定されない。Gore(GORE:登録商標)社の米国特許3953566号明細書の教示に従って製造された延伸PTFE膜が特に有用である。
【0016】
通気要素34は上記材料の組合せを含んで成ることができ且つ積層体として構成されてもよい。例えば、構造的な支持を提供すべく多孔質膜が支持層と結合されるのは有利である。斯かる支持層は、通気具本体または直接ランプ包囲体に通気要素を取り付けることを促進すべく選択されうる。適切な支持層は、編物(knit)、不織布(non-woven)、スクリム、メルトブロー不織布(melt-blown)、織物、メッシュ、発泡体(foam)、延伸多孔質PTFE膜等のような通気性媒体の形態でありうる。支持層は、例えば、高温ロールによるラミネート加工(hot-roll lamination)、接着剤、または超音波接合によって多孔質膜に固着されうる。
【0017】
通気要素34は撥油性(oleophobic)にされてもよく、例えば米国特許5116650号明細書には多孔質媒体を撥油性にする方法を記載される。撥油性とは、AATCC試験法118−2002を使用して測定される少なくとも2のオイル等級(oil rating)を有する物品を意味する。通気要素は、接着剤、超音波接合、または熱接合を含むがこれらに限定されない任意の公知の手段によって通気具本体に固着される。
【0018】
通気要素34は非平面である。通気要素34は、プリーツ状であってもよく、折られていてもよく、曲がっていてもよく、うねがあって(ribbed)もよく、溝があってもよく、隆起していて(ridged)もよく、または波形(corrugated)であってもよい。通気要素の表面積が通路36の面積またはランプ包囲体上の開口部31の面積よりも大きいならば、任意の形状または配置が採用されうる。限定するものではない非平面形状の例としては、円錐形(cone)、半球体(dome)、チューブ、プリーツ(pleat)、及び渦巻き状に巻かれた(spirally wound)形態が含まれる。非平面要素のいくつかの可能な限定するものではない例が図2a〜図2dに描写される。これら及び他の非平面形状が当該分野で公知の手段によって構成されうることが理解されるべきである。
【0019】
図3は、二つの開口部(20、22)を備えた換気システムを包含する車両用ランプ包囲体の断面図を示す。一方の開口部は、開口部に設置された通気具30を有する。ランプ包囲体12は、閉鎖空間(enclosed volume)を画成する壁14を有する。ランプ包囲体は光源16及びレンズ18を含む。光源は、白熱灯、タングステン/ハロゲン、LED、HID、またはその他のランプでありうる。壁14は、ランプ包囲体の上半分内に開口部20を有し、且つ底部の近くの第2位置において第2開口部22を有する。斯かる位置決めは、ランプ16の熱によって発生された熱効果による空気流の勾配を増加させうる。各開口部は、開口部の断面積によって画成される開口部面積を有する。
【0020】
開口部を異なる外圧領域に配設することは有利である。異なる圧力領域は、エンジン室の温度勾配による浮力効果及び/またはランプの周りの空気流によって作り出されうる。例えば、ランプ包囲体の上半分内に配設された開口部は、空気がランプ包囲体の内または外に引き込まれることをもたらしうる、ランプ包囲体の頂部の近くの高い空気流によって、ランプ包囲体の底部の近くに配設された開口部よりも高い圧力を受けうる。
【0021】
図4に示される実施形態において、ランプ包囲体が開口部20を有し且つ非平面通気要素34が熱接合を使用して開口部20を覆って直接シールされる。斯かる実施形態において、通気具本体は必要とされず、むしろ開口部20は通気要素34によって直接シールされる。非平面通気要素の表面積は、開口部面積よりも大きい。
【0022】
図5に記載されるような他の実施形態において、通気具40が、プリーツ状の非平面通気要素46によって覆われた通路44を備えた長方形の通気具本体42を具備する。好ましくは、非平面通気要素46は、延伸多孔質PTFE膜を具備し、且つ不織布の裏材上にこの延伸PTFE膜を支持することによって積層体の形態に構成される。積層体のプリーツ形成が当該分野で公知の手段によって実現されうる。プリーツ自体は、結果として生じる非平面通気要素の表面積が通路の面積よりも大きければ、任意の形状または形態、或いは密集状態のプリーツであってよい。図7は分解図における通気具を示し、同様の部分が同様の番号を有する。
【0023】
図6に記載される更に別の実施形態において、通気具50はほぼ円筒形状の通気具本体を具備する。通気具は、プリーツ状の非平面通気要素56によって覆われた通路54を有するベース53を有する。通気要素は、籠状部材(cage)52によって保護されうる。プリーツを有して示されているが、非平面通気要素の面積が通路の面積よりも大きければ、任意の非平面配置を選択することができる。好ましくは、非平面通気要素56は延伸多孔質PTFEを具備し且つ不織ポリマーの裏材上にこの延伸PTFE膜を支持することによって積層体の形態で構成される。プリーツは任意の形状または形態を取りうる。図8は分解図における通気具を示し、同様の部分が同様の番号を有する。
【0024】
代替的な実施形態において、車両用ランプ包囲体の換気システムは、図9に記載されるように提供される。ほぼ長方形形状の通気具40及び円筒の通気具50が二つの異なる開口部20及び22をそれぞれ覆って定置される。通気具は、接着剤または他の手段を使用することによってランプ包囲体の壁に取り付けられうる。一方の開口部20がランプ包囲体の上半分内に配設され、他方の開口部22がランプの底部に配設される。車両が運転されるとき、これら二つの場所の間の測定可能な圧力差が存在し、この圧力差はランプ包囲体を通した空気流と、閉鎖空間と外気との間の空気交換とをもたらす。通気具は位置に関しては交換可能であるということが理解されるべきである。例えば、長方形の通気具40がランプ包囲体の下部の開口部に取り付けられ、且つ円筒の通気具50が、ランプ包囲体の上半分内に配設された開口部を覆って取り付けられてもよい。
【0025】
フラジール試験
通気度は、77.8cm2の断面積を有する円形の孔部が設けられた円形のガスケット付フランジ固定具に多孔質材料のフラットシート状のサンプルを挟持することによって測定された。サンプルの固定具の上流側は、乾燥した圧縮空気の供給源と直列の流量計に接続された。サンプルの固定具の下流側は、外気に開放されていた。フラジール数は多孔質材料の通気度を表す。フラジール数は、試験サンプルの表裏での圧力差が12.7mm水柱であるときの、立方フィート/サンプル面積の平方フィート/分で報告される。
【0026】
水侵入圧試験
水侵入圧は、多孔質材料を通した水の侵入を測定するための試験方法である。フラットシート状のサンプル材料が一対の試験固定具の間に挟持された。下側の固定具は水でサンプルの一区分を加圧する能力を有するものであった。一片のpH紙が、水の侵入の形跡の表示器として機能すべくサンプルの頂部に配置された。その後、サンプルは、pH紙の色の変化が示されるまで僅かな圧力増分で加圧された。相当する貫通圧または侵入圧が、水侵入圧として記録された。
【0027】
通気具の空気流試験
通気具を通した空気流量は、ガスケット付き試験固定具に通気具をシールすることによって測定された。試験固定具の上流側は、乾燥した圧縮空気の供給源と直列の流量計に接続された。試験固定具の下流側は、外気に開放されていた。通気具を通した空気流量(m3/h)は、12.7mm水柱の圧力差の下で報告される。
【0028】
防滴試験(splash test)
通気具は、固定された試験プレートの孔にシールされた。通気具は、75mm水柱相当の圧力を印加することによって水で加圧された。この圧力は10秒間維持された。通気具は、液体水路について視覚的に観察された。通気要素自体、または通気要素と通気具本体との接触面を水が通過するのが見られなければ、このとき通気具は防滴試験に合格したと考えられる。この試験結果が合否評価の観点から報告される。合格評価を有する通気具が防滴と考えられる。
【0029】
圧力差の試験
ランプ包囲体の二つの開口部間の圧力差の測定が圧力変換器(Ahlborn Mess− und Regelungstechnik GmbH社の型番FDA602S2K)を使用してなされた。圧力変換器は、ランプハウジングの二つの開口部の近くに配置された二つのポートを備えていた。車両が70mph(約113km/h)の速度で運転されたとき、二つの開口部間の圧力差はデータ取得システムを使用して記録された。
【実施例1】
【0030】
延伸PTFE膜が、高温ロールによるラミネート加工技術を使用して不織ポリエステルの裏材に固着された。膜の特性と、結果として生じる積層体とが表1に提示される。
【表1】
【0031】
2400mm2の積層体が、リーフプリーツ機能(leaf pleating capability)を備えたプリーツ加工機を使用してプリーツ状にされた。プリーツ状通気要素は合計10プリーツを有し、各プリーツは、高さ6mm、幅20mmのプリーツを有した。プリーツ状非平面通気要素の最終寸法は34mm×14mmであった。
【0032】
通気具本体が光造形ラピッドプロトタイピングシステムを使用して構成された。通気具本体の構成材料は、Accura(登録商標)25プラスチックであった。図5及び図7に示されるように、通気具本体40は、二つの部品、すなわちベース部42a及び嵌合(mate)部42bを有した。通気具は、二つの部分の間にプリーツ状非平面通気要素46を配設し且つエポキシ樹脂(Armstrong(登録商標)2パートエポキシ樹脂;品番 1100052100011及び2100051300010)を使用して二つの部分を共に接合することによって組み立てられた。通気具本体の通路44はプリーツ状通気要素46によって覆われた。接着面積を考慮した後、1344mm2のプリーツ状の通気面積が通路を覆うべく設けられた。
【0033】
通気具は、空気流量及び液体水に対する防滴について試験された。この実施例で生産された通気具を通した空気流量は、0.47m3/hであり且つ通気具は液体水の防滴試験に合格した。
【実施例2】
【0034】
実施例1で生産された積層体のサンプルが、リーフプリーツ機能を備えたプリーツ加工機を使用してプリーツ状にされた。プリーツ束自体は合計20プリーツを有し、各プリーツは、高さ6mm、幅25mmのプリーツを有した。寸法80mm×25mmの通気要素がサンプルから切断された。
【0035】
通気具本体は光造形ラピッドプロトタイピングシステムを使用して構成された。通気具本体の構成材料は、Accura(登録商標)25プラスチックであった。図6及び図8に示されるように、通気具本体はベース部53及び籠状部52を有した。通気具は、二つの部分の間にプリーツ状非平面通気要素56を配設し且つエポキシ樹脂(Armstrong(登録商標)2パートエポキシ樹脂;品番 1100052100011及び2100051300010)を使用して二つの部分を共に接合することによって組み立てられた。通気具本体の通路54はプリーツ状通気要素によって覆われた。接着を考慮した後、4560mm2のプリーツ状の通気面積が通路を覆った。
【0036】
通気具は、空気流量及び液体水に対する防滴について試験された。この実施例で生産された通気具を通した空気流量は、0.103m3/hであり且つ通気具は液体水の防滴試験に合格した。
【実施例3】
【0037】
自動車両用ランプ包囲体の換気システムが上記の実施例1及び実施例2の二つの通気具を使用して構成された。HIDランプを備えた2005年のランドローバー(Land Rover:登録商標)LR3のヘッドランプ包囲体が使用された。二つの孔部が、ランプ包囲体上、すなわち一方はランプ包囲体の上半分内に他方はランプ包囲体後部の比較的保護された場所にドリルで開けられた。ランプ包囲体の上半分内の孔部の寸法は26mm×46mmであり且つランプ包囲体の後部の円形の孔部は直径18mmであった。実施例1の通気具が接着剤(Armstrong(登録商標)2パートエポキシ樹脂;品番 1100052100011及び2100051300010)を使用してランプ包囲体の上半分内の孔部に取り付けられた。実施例2の通気具が接着剤(Armstrong(登録商標)2パートエポキシ樹脂;品番 1100052100011及び2100051300010)を使用してランプ包囲体後部の孔部に取り付けられた。
【0038】
本発明の特定の実施形態が本明細書で例示及び記載されてきたが、本発明は斯かる例示及び記載に制限されるべきではない。変更及び修正が、添付の特許請求の範囲の範囲内で本発明の一部として包含され且つ具現化されうることが明らかであろう。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
換気システムを具備するランプ包囲体であって、
前記換気システムが、
a)前記ランプ包囲体上の第1位置に配設され且つ第1通路を有する第1通気具であって、前記第1通路が通気性及び防滴性のある第1通気要素によって覆われ、該通気性及び防滴性のある第1通気要素が、該通気性及び防滴性のある第1通気要素の表面積が前記第1通路の面積よりも大きくなるように非平面形状を有する第1通気具と、
b)前記ランプ包囲体上の第2位置に配設され且つ第2通路を有する第2通気具であって、前記第2通路が通気性及び防滴性のある第2通気要素によって覆われる第2通気具と
を具備し、前記第1位置及び前記第2位置の測定可能な圧力差が前記ランプ包囲体内に空気流をもたらす、ランプ包囲体。
【請求項2】
前記通気性及び防滴性のある第1通気要素が高分子膜を含む、請求項1に記載のランプ包囲体。
【請求項3】
前記高分子膜が延伸PTFEを含んで成る、請求項2に記載のランプ包囲体。
【請求項4】
前記通気性及び防滴性のある通気要素が少なくとも一つのプリーツを含む、請求項1に記載のランプ包囲体。
【請求項5】
換気システムを具備するランプ包囲体であって、
前記換気システムが、
a)前記ランプ包囲体上の第1位置にある第1開口部と、
b)該第1開口部を覆って配設され且つ通路を有する通気具であって、前記通路が通気性及び防滴性のある通気要素によって覆われ、該通気性及び防滴性のある通気要素が、該通気性及び防滴性のある通気要素の表面積が前記通路の面積よりも大きくなるように非平面形状を有する通気具と、
c)第2位置に配設される第2開口部と
を具備し、前記第1位置及び前記第2位置の測定可能な圧力差が前記ランプ包囲体内に空気流をもたらす、ランプ包囲体。
【請求項6】
前記防滴性のある非平面通気要素が、フラジール数が5よりも大きい通気度を有する多孔質材料を具備する、請求項5に記載の換気されるランプ包囲体。
【請求項7】
換気されるランプ包囲体であって、
a)ランプを包囲するハウジングと、
b)前記ランプ包囲体の内部と該ランプ包囲体の外部との間の前記ハウジング内の通路と、
c)該通路を覆う防滴性のある非平面通気要素であって、前記通路の面積よりも大きい表面積を有する通気要素と
を具備する、換気されるランプ包囲体。
【請求項8】
前記防滴性のある非平面通気要素が高分子膜の積層体を含み、該積層体が延伸PTFEと支持材料とを含んで成り且つ少なくとも約689Pa(0.1psi)の水侵入圧とフラジール数が5よりも大きい通気度とを有する、請求項7に記載の換気されるランプ包囲体。
【請求項9】
自動車用ランプ包囲体の通気具であって、
a)該通気具を通して通路を有する通気具本体と、
b)前記通路を覆い且つ高分子膜のプリーツ状且つ非平面の積層体を含む通気要素であって、前記積層体が延伸PTFEと支持材料とを含んで成り且つ少なくとも約689Pa(0.1psi)の水侵入圧とフラジール数が5よりも大きい通気度とを有する通気要素と、
を具備する、自動車用ランプ包囲体の通気具。
【請求項10】
2以上の開口部を有するランプ包囲体を通気するためのシステムであって、
a)前記開口部を通して通路を有する通気具本体と、
b)前記通路を覆い且つ高分子膜のプリーツ状且つ非平面の積層体を含む通気要素であって、前記積層体が延伸PTFEと支持材料とを含んで成り且つ少なくとも約689Pa(0.1psi)の水侵入圧とフラジール数が5よりも大きい通気度とを有する通気要素と
を具備する、システム。
【請求項1】
換気システムを具備するランプ包囲体であって、
前記換気システムが、
a)前記ランプ包囲体上の第1位置に配設され且つ第1通路を有する第1通気具であって、前記第1通路が通気性及び防滴性のある第1通気要素によって覆われ、該通気性及び防滴性のある第1通気要素が、該通気性及び防滴性のある第1通気要素の表面積が前記第1通路の面積よりも大きくなるように非平面形状を有する第1通気具と、
b)前記ランプ包囲体上の第2位置に配設され且つ第2通路を有する第2通気具であって、前記第2通路が通気性及び防滴性のある第2通気要素によって覆われる第2通気具と
を具備し、前記第1位置及び前記第2位置の測定可能な圧力差が前記ランプ包囲体内に空気流をもたらす、ランプ包囲体。
【請求項2】
前記通気性及び防滴性のある第1通気要素が高分子膜を含む、請求項1に記載のランプ包囲体。
【請求項3】
前記高分子膜が延伸PTFEを含んで成る、請求項2に記載のランプ包囲体。
【請求項4】
前記通気性及び防滴性のある通気要素が少なくとも一つのプリーツを含む、請求項1に記載のランプ包囲体。
【請求項5】
換気システムを具備するランプ包囲体であって、
前記換気システムが、
a)前記ランプ包囲体上の第1位置にある第1開口部と、
b)該第1開口部を覆って配設され且つ通路を有する通気具であって、前記通路が通気性及び防滴性のある通気要素によって覆われ、該通気性及び防滴性のある通気要素が、該通気性及び防滴性のある通気要素の表面積が前記通路の面積よりも大きくなるように非平面形状を有する通気具と、
c)第2位置に配設される第2開口部と
を具備し、前記第1位置及び前記第2位置の測定可能な圧力差が前記ランプ包囲体内に空気流をもたらす、ランプ包囲体。
【請求項6】
前記防滴性のある非平面通気要素が、フラジール数が5よりも大きい通気度を有する多孔質材料を具備する、請求項5に記載の換気されるランプ包囲体。
【請求項7】
換気されるランプ包囲体であって、
a)ランプを包囲するハウジングと、
b)前記ランプ包囲体の内部と該ランプ包囲体の外部との間の前記ハウジング内の通路と、
c)該通路を覆う防滴性のある非平面通気要素であって、前記通路の面積よりも大きい表面積を有する通気要素と
を具備する、換気されるランプ包囲体。
【請求項8】
前記防滴性のある非平面通気要素が高分子膜の積層体を含み、該積層体が延伸PTFEと支持材料とを含んで成り且つ少なくとも約689Pa(0.1psi)の水侵入圧とフラジール数が5よりも大きい通気度とを有する、請求項7に記載の換気されるランプ包囲体。
【請求項9】
自動車用ランプ包囲体の通気具であって、
a)該通気具を通して通路を有する通気具本体と、
b)前記通路を覆い且つ高分子膜のプリーツ状且つ非平面の積層体を含む通気要素であって、前記積層体が延伸PTFEと支持材料とを含んで成り且つ少なくとも約689Pa(0.1psi)の水侵入圧とフラジール数が5よりも大きい通気度とを有する通気要素と、
を具備する、自動車用ランプ包囲体の通気具。
【請求項10】
2以上の開口部を有するランプ包囲体を通気するためのシステムであって、
a)前記開口部を通して通路を有する通気具本体と、
b)前記通路を覆い且つ高分子膜のプリーツ状且つ非平面の積層体を含む通気要素であって、前記積層体が延伸PTFEと支持材料とを含んで成り且つ少なくとも約689Pa(0.1psi)の水侵入圧とフラジール数が5よりも大きい通気度とを有する通気要素と
を具備する、システム。
【図1】
【図2C】
【図2D】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2C】
【図2D】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公表番号】特表2011−519136(P2011−519136A)
【公表日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−506257(P2011−506257)
【出願日】平成21年4月7日(2009.4.7)
【国際出願番号】PCT/US2009/002158
【国際公開番号】WO2009/131624
【国際公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【出願人】(598123677)ゴア エンタープライズ ホールディングス,インコーポレイティド (279)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年4月7日(2009.4.7)
【国際出願番号】PCT/US2009/002158
【国際公開番号】WO2009/131624
【国際公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【出願人】(598123677)ゴア エンタープライズ ホールディングス,インコーポレイティド (279)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]