説明

ランプ

【課題】開口部から入射する光の検出出力でオンオフするランプにおいて、反射光の影響を低減する。
【解決手段】ランプ14は、自転車に取り付け可能である。ランプ14は、開口部40を有する筐体34と、光センサ26と、を備える。光センサ26は、所定の受光領域LAで光を検知するように構成され、開口部40からの光を受けるように筐体34内に配置される。開口部40は、受光領域LAの一部が筐体34によって遮られるように設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ランプ、特に、自転車に取り付け可能なランプに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に自転車には、ランプがフレームに装着される。自転車のランプにおいて、周囲の明るさにより点灯・消灯するものが従来知られている(たとえば、特許文献1参照)。従来のランプは、筐体の後部下面に照度検出用の開口部が設けられる。開口部に面して筐体の内部には、光センサが配置される。光センサは、周囲の照度を検出する。筐体内には光センサの出力によりランプの光源をオンオフするオンオフ制御回路が設けられる。オンオフ制御回路は、たとえば、検出された照度が所定照度以下になると光源をオンし、所定照度を超えた照度になると光源をオフするように設定される。このような筐体の後部下面に開口部が形成されると、車のヘッドライトなど前方からの光や、街路灯などの上方からの光等の照度が短時間に変化する光の影響を受けにくくなる。これにより、ランプの誤動作が生じにくくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−16810号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記従来の構成では、上方や前方からの光の影響は受けにくくなる。しかし、自転車には、泥よけ、車輪のリム、およびフレーム等の光を反射する部品が装着される。これらの部品からの反射光が下方から開口部に入射すると光センサの検出結果に影響を与えるおそれがある。ひいては、ランプの光源のオンオフに影響を与えるおそれがある。
【0005】
本発明の課題は、開口部から入射する光の照度に基づいてオンオフするランプにおいて、反射光の影響を低減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明1に係るランプは、自転車に取り付け可能である。ランプは、開口部を有する筐体と、光センサと、を備える。光センサは、所定の受光領域で光を検知するように構成され、開口部からの光を受けるように筐体内に配置される。開口部は、受光領域の一部が筐体によって遮られるように設けられる。
【0007】
この自転車に取り付け可能なランプでは、光センサの受光領域の一部が筐体に遮られるように開口部が設けられる。このため、自転車に取り付けたときに開口部をいずれの向きに配置した場合に、開口部の配置方向に反射率が高い自転車部品が配置されたとき、自転車部品からの反射光を遮ることができる。したがって、反射光の影響を低減でき、適切にランプの光源をオンオフできる。
【0008】
発明2に係るランプは、発明1に記載のランプにおいて、自転車に取り付けられたとき、開口部は下向きになるように設けられる。この場合には、ランプの下方にハンドルバー、泥よけ、車輪のリム等の反射率が高い自転車用部品が配置されても、反射光の影響を低減できる。
【0009】
発明3に係るランプは、発明1または2に記載のランプにおいて、光センサは、筐体内で開口部に対して傾くように配置される。この場合には、光センサを開口部に対して傾けるだけで、受光領域の一部を筐体により遮蔽できるので、受光領域を遮蔽する構造が簡素である。
【0010】
発明4に係るランプは、発明3に記載のランプにおいて、自転車に取り付けられた状態で、光センサは、開口部に対して自転車の左側および右側のいずれか一方に傾くように配置される。この場合には、光センサの傾き方向が前側または後側でなく、自転車の左側または右側であるので、泥よけやリムのように前後に長い自転車部品であっても、反射光の影響を低減できる。
【0011】
発明5に係るランプは、自転車に取り付け可能なランプである。ランプは、受光面を有する光センサと、筐体と、を備える。筐体は、光センサを収容し、光センサの受光面が外部からの光を受けるように設けられる開口部を有する。開口部は、自転車に取り付けられたときに下向きになるように設けられ、光センサは、自転車に取り付けられたときに前記開口部に対して前記自転車の左側および右側のいずれか一方に傾くように配置される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、反射光の影響を低減でき、適切にランプの光源をオンオフできる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る一実施形態によるランプが装着された自転車の前部を示す側面図。
【図2】本発明に係る一実施形態によるランプの側面断面図。
【図3】ランプの平面図。
【図4】図2のIV−IV断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1において、本発明の一実施形態のランプ14は、自転車101に取り付け可能であり、自転車の前方を照射可能である。自転車101のフレーム102は、前輪106を装着可能なフロントフォーク102aを有する。前輪106は光の反射率が高いアルミニウムなどの金属製のリム106aを有する。フロントフォーク102aには、泥よけ103と、ハンドル104と、が固定されている。ハンドル104は、光の反射率が高いアルミニウムなどからなる金属製の部材であり、フロントフォーク102aの上部に固定される。泥よけ103は、光の反射率が高いアルミニウムなどの金属からなり、前輪106のハブダイナモ10のハブ軸10aとフロントフォーク102aとに固定される。この実施形態では、ランプ14は、フロントフォーク102aの上部に固定されるハンドル104に取り付け可能である。なお、以降の説明において、ランプ14の前後とは、ランプ14を自転車101に取り付けた状態で自転車101の進行方向を前といい、その逆を後という。また、ランプ14の左右とは、ランプ14を自転車101に取り付けた状態で自転車101を後方から見たときの左右をいう。さらにランプ14の上下とは、自転車にランプ14を取り付けた状態での上下である。
【0015】
ランプ14は、ハンドル104にバンドの形態で固定される。ランプ14は、図2、図3および図4に示すように、本体20と、レンズ部材22と、光源24と、光センサ26と、反射部材28と、光源24をオンオフ制御するオンオフ回路30と、を有する。
【0016】
本体20は、ハンドル104に取り付け可能なバンド32と、バンド32に固定され、内部に収納空間34aを有する筐体34とを有している。バンド32は、合成樹脂製であり、ハンドル104に固定可能な固定孔32aを有する。固定孔32aにはスリット32bが形成され、スリット32bを、ボルト部材33により締め込むことによりランプ14をハンドル104に固定できる。
【0017】
筐体34は、たとえば、ABS(アクリロニトリル・ブタジエンスチレン)樹脂等のポリスチレン系の合成樹脂製の部材である。筐体34は、左右方向の中央より右側の下面に形成された円形の開口部40を有する。筐体34の収納空間34aの前部には、レンズ部材22が固定される。収納空間34aにおいて、レンズ部材22の後方に、光源24が配置される。光源24は、筐体34の内部に配置された光源支持部材35により支持される。光源24の周囲には反射部材28が配置される。光源24の後方にオンオフ回路30が配置される。開口部40は、筐体34の光センサ26の下方の壁面に配置される。開口部40は、透明な円形のカバー部材44によりカバーされる。
【0018】
レンズ部材22は、本体20に装着される凸レンズからなる。レンズ部材22は、たとえば透明なアクリル樹脂やポリカーボネートなどの透光性を有する合成樹脂製である。レンズ部材22は、筐体34の前面にねじにより固定される。
【0019】
光源24は、本体20の内部に配置される。光源24は、少なくとも一つの発光ダイオード(以下、LED(Light Emitting Diode)と記す)50を有する。LED50は、たとえば3W700mAの高輝度型の発光ダイオードである。
【0020】
光センサ26は、筐体34の内部に開口部40からの光を受けるように配置される。光センサ26は、ランプ14の周囲の明るさにより光源24をオンオフするための照度検出用のセンサである。光センサ26は、受光面26aを有する。光センサ26は、たとえば、光学フィルターを用いたフォトICダイオード型のフォトセンサを用いている。光センサ26は、検出された光の照度(光量)により変化する電気信号をオンオフ回路30に出力する。光センサ26は、図2および図4に二点鎖線で示す所定の受光領域LAで光を受けるように構成される。受光領域LAは、光センサ26の受光面26aから円錐形状に広がる。
【0021】
反射部材28は、レンズ部材22に向けて光源24の光を反射する。反射部材28の外側面は、メッキ処理されている。反射部材28は、ABS(アクリロニトリル・ブタジエンスチレン)樹脂等のポリスチレン系の合成樹脂製の部材である。反射部材28は、光源支持部材35の先端とレンズ部材22とにより支持される。
【0022】
オンオフ回路30は、光センサ26の検出結果により光源24をオンオフ制御する。オンオフ回路30は、回路基板36と、回路基板36に搭載されたオンオフ制御回路42と、を有する。オンオフ制御回路42は、回路基板36の上面に搭載される。回路基板36の下面後部右側には、光センサ26が搭載される。
【0023】
回路基板36は、図4に示すように、筐体34内で左側に傾いた基板取付部34bに取り付けられる。したがって、回路基板36と、回路基板36に搭載される光センサ26およびオンオフ制御回路42と、は左側(後方から見て反時計回り)に傾いている。このように光センサ26が左側に傾いているため、図4およびその一部を拡大したA部に2本の二点鎖線で示した光センサ26の受光領域LAの一部、具体的には、左下がりのハッチングで示した破線と左側の二点鎖線との間の受光領域LA1は、開口部40により遮蔽される。オンオフ制御回路42は、図1に示すハブダイナモ10の一端に電気的に接続される。
【0024】
このように構成されたランプ14では、夜間や地下道やトンネル内などの周囲の照度が第1照度L1以下になると、オンオフ制御回路42オンし、光源24が点灯する。このとき、光センサ26の受光領域LAのうち一部の受光領域LA1が開口部40により遮蔽され、開口部40の下方からの光が遮蔽されるため、リム106aおよび泥よけ103等の自転車部品からの反射光が制限されてその照度が減少する。このため、自転車部品から反射光が入射しても、その反射光による影響を低減でき、適切に光源24をオンオフできる。すなわち、外的要因の影響を極力下げることができ、適切に光源24のオンオフ制御を行うことができる。
【0025】
<他の実施形態>
本発明の具体的な構成は、前述の実施形態に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更および修正が可能である。なお、以降の他の実施形態の説明では、説明されない部材は、前記実施形態と同様な部材である。
【0026】
(a)前記実施形態では、光センサ26が搭載された回路基板36を左側に傾けたが、回路基板と開口部とを平行にし、開口部に対して傾くように光センサを回路基板に搭載しても良い。また、光センサを開口部に対して右側(後方から見て時計回り)に傾けてもよい。さらに開口部を光センサに対して傾けて配置しても良い。
【0027】
(b)前記実施形態では、自転車のハンドル104に取り付け可能なランプ14を例示したが、ランプの取り付け位置は、ハンドル104に限定されない。たとえば、フロントフォークのランプスティ、自転車の前かご、および自転車の泥よけの上方に配置されるランプにも本発明を適用できる。
【0028】
(c)前記実施形態では、オンオフ回路を有する自転車用のランプを例に本発明を説明したが、本発明はこれに限定されず、オンオフ回路がランプと別体であってもよい。また、電源がダイナモから供給されているが、電池等の電源を内部に有するランプであっても良い。
【0029】
(d)前記実施形態では、光源として発光ダイオードを例示したが、光源は発光ダイオードに限定されず発光するものであればどのようなものでもよい。たとえば、光源は、電球や蛍光灯であってもよい。
【0030】
(e)前記実施形態では、自転車の前方を照射するランプを例に本発明を説明したが、本発明はこれに限定されない。たとえば、自転車の後方を照射する尾灯等のその他の自転車に取り付け可能なランプにも本発明を適用できる。
【符号の説明】
【0031】
14 ランプ
26 光センサ
26a 受光面
34 筐体
40 開口部
101 自転車
LA 受光領域
LA1 遮蔽される受光領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自転車に取り付け可能なランプであって、
開口部を有する筐体と、
所定の受光領域で光を検知するように構成され、前記開口部からの光を受けるように前記筐体内に配置される光センサと、を備え、
前記開口部は、前記受光領域の一部が前記筐体によって遮られるように設けられる、ランプ。
【請求項2】
前記自転車に取り付けられたとき、前記開口部は下向きになるように設けられる、請求項1に記載のランプ。
【請求項3】
前記光センサは、前記筐体内で前記開口部に対して傾くように配置される、請求項1または2に記載のランプ。
【請求項4】
前記自転車に取り付けられた状態で、前記光センサは、前記開口部に対して前記自転車の左側および右側のいずれか一方に傾くように配置される、請求項3に記載のランプ。
【請求項5】
自転車に取り付け可能なランプであって、
受光面を有する光センサと、
前記光センサを収容し、前記光センサの前記受光面が外部からの光を受けるように設けられる開口部を有する筐体と、を備え
前記開口部は、前記自転車に取り付けられたときに下向きになるように設けられ、前記光センサは、前記自転車に取り付けられたときに前記開口部に対して前記自転車の左側および右側のいずれか一方に傾くように配置される、ランプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−254666(P2012−254666A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−127532(P2011−127532)
【出願日】平成23年6月7日(2011.6.7)
【出願人】(000002439)株式会社シマノ (1,038)