説明

リサイクルポリエステル不織布の製造方法及びリサイクルポリエステル不織布の製造装置

【課題】 本発明は、長繊維成分を事前に分別回収する工程を省略でき、また、裁断された端材を十分に解きほぐして、再利用に耐えうるリサイクルポリエステル不織布の製造方法及びリサイクルポリエステル不織布の製造装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 ポリエステル不織布の端材を再生するリサイクルポリエステル不織布の製造方法において、前記端材を粗裁断する第1の工程と、裁断された前記端材を開繊して再生原料を生成する第2の工程と、前記再生原料とポリエステル系バインダー繊維とを混合させて混合原料を生成する第3の工程と、前記混合原料を成型する第4の工程と、成型された前記混合原料を加熱して固める第5の工程とを備える

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリエステル不織布の端材を再度原料化し、それを用いてリサイクルポリエステル不織布を製造する製造方法および製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリステル不織布の端材を裁断し、平均繊維長が所定の長さ以上の長繊維成分を分別回収し、端材を再生するリサイルクポリエステル不織布の製造方法が知られている(特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】特開2004−143620号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のリサイルクポリエステル不織布の製造方法は、再原料化された不織布に十分な強度をもたせるために、平均繊維長が所定の長さ以上の長繊維成分を混合する必要があった。このため、裁断されたポリステル不織布の端材のうち、長繊維成分を事前に分別回収する工程が不可欠であった。
【0005】
また、裁断後の端材の大きさにばらつきがあるため、裁断された端材が開繊機で十分に解きほぐされないおそれがあり、再原料化しづらいという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、長繊維成分を事前に分別回収する工程を省略でき、また、裁断された端材を十分に解きほぐして、再利用に十分耐えうるリサイクルポリエステル不織布の製造方法及びリサイルクポリエステル不織布の製造方法及び製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のリサイルクポリエステル不織布の製造方法は、ポリステル不織布の端材を再生するリサイルクポリエステル不織布の製造方法において、前記端材を粗裁断する第1の工程と、裁断された前記端材を開繊して再生原料を生成する第2の工程と、前記再生原料とポリエステル系バインダー繊維とを混合させて混合原料を生成する第3の工程と、前記混合原料を成型する第4の工程と、成型された前記混合原料を加熱して固める第5の工程とを備えることにより、上述した課題を解決する(請求項1)。
【0008】
この発明によれば、端材を開繊した再生原料とポリエステル系バインダー繊維とを混合させるので、ポリエステル同士を強固に結合させることができる。従って、長繊維を混合しなくても、十分な強度を有するリサイクルポリエステル不織布を製造することができる。このため、長繊維成分を事前に分別回収する工程を省略できる。
【0009】
また、本発明のリサイルクポリエステル不織布の製造方法では、前記第2の工程において、複数の開繊機により開繊することが好ましい(請求項2)。
【0010】
この場合、複数の開繊機で順次開繊することで、単独の開繊機による開繊に比べ、端材を十分に開繊できる。従って、むらや塊の少ないリサイクルポリエステル不織布が製造できる。
【0011】
本発明のリサイクルポリエステル不織布製造装置は、ポリエステル不織布製品の端材を搬送装置に沿って搬送しつつ再生するリサイクルポリエステル不織布の製造装置において、前記端材を粗裁断する裁断手段と、裁断された前記端材を開繊して再生原料を生成する再生原料生成手段と、前記再生原料とポリエステル系バインダー繊維とを混合させて混合原料を生成する混合原料生成手段と、前記混合原料を成型するフォーミング手段と、成型された前記混合原料を加熱する加熱手段と、を備えることにより、上述した課題を解決する(請求項3)。
【0012】
この発明によれば、端材を開繊した再生原料とポリエステル系バインダー繊維とを混合させる混合原料生成手段を備えるので、ポリエステル同士を強固に結合させることができる。従って、長繊維を混合しなくても、十分な強度を有するリサイクルポリエステル不織布を製造することができる。このため、長繊維成分を事前に分別回収する手段を省略でき、不織布製造ラインの簡素化が図れる。
【0013】
本発明のリサイクルポリエステル不織布製造装置は、前記再生原料生成手段は、前記端材を開繊する開繊ワイヤが設けられた主シリンダと、前記主シリンダに対向して配置された補助シリンダとが設けられた開繊機を複数備え、前記主シリンダと前記補助シリンダとの間隙が搬送装置に沿って漸次減少するように設定されていることが好ましい(請求項4)。
【0014】
この場合、複数の開繊機を使用しているので、主シリンダと補助シリンダとの間隙(以下、「ゲージ」と称する。)を端材が複数回通過する。当該ゲージが搬送装置に沿って漸次減少するように設定されているので、端材は当該ゲージの大きさに応じて、漸次細かくされるので、むらの少ない再生原料を製造できる。
【0015】
本発明のリサイクルポリエステル不織布製造装置では、前記混合原料生成手段は、前記再生原料と前記ポリエステル系バインダー繊維とを定量する定量手段と、前記定量手段によって定量された前記再生原料と前記ポリエステル系バインダー繊維とを混合するタンクが設けられた混合手段と、を備えてもよい(請求項5)。
【0016】
この場合、定量手段によって定量された再生原料と前記ポリエステル系バインダー繊維がタンク内に放出されることによって、タンク底面まで落下する間に再生原料とポリエステル系バインダー繊維とを十分に混合させることができる。混合状態のばらつきが抑えられるので、固さなどに部分むらが少ないリサイクルポリエステル不織布が製造できる。
【発明の効果】
【0017】
以上に説明したように、本発明によれば、長繊維成分を事前に分別回収する工程を省略できる。また、開繊機が複数設けられ、かつそれぞれのゲージが漸次小さくなるように設定されているため、裁断された端材を十分に解きほぐすことができる。このため、裁断後の端材を均一に開繊でき、ポリエステル不織布を十分に再原料化できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を参照して説明する。
【0019】
図1は、本発明のリサイクルポリエステル不織布製造装置(以下、不織布再生機という。)の要部を示している。不織布再生機1は、ポリエステル不織布の端材(以下、端材という。)Aを粗裁断する裁断手段としての裁断機2と、裁断された端材Aを開繊して再生する再生原料生成手段としての原料再生機3と、再生された端材Aとバインダー繊維(不図示)とを混合させて混合原料を生成する混合原料生成手段としての混合機4と、混合された端材Aとバインダー繊維と(以下、混合物Cという。)を成型するフォーミング手段としての成型機5と、成型後の混合物Cを加熱する加熱手段としての加熱機6と、これらに沿って設けられ、端材A及びバインダー繊維を搬送するベルトコンベアによって構成された搬送装置7とを備えている。
【0020】
裁断機2は、不図示の粗裁断機と図2に示す開繊機30とを備えている。開繊機30は、開繊ユニット31、32、33を備えている。
【0021】
開繊ユニット31、32、33は、主シリンダ31a、32a、33aと補助シリンダ31b、32b、33bとを備えている。主シリンダ31a〜33aと補助シリンダ31b〜33bとの間のゲージG1、G2、G3の大きさは、G1>G2>G3となるように設定されている。
【0022】
図3に示すように、混合機4は、混綿タンク51、52を備えている。図4に示すように、成型機5は、第一開繊シリンダ61と第一フリース62と第二開繊シリンダ63と第二フリース64を備えている。図5に示すように、加熱機6は、バーナー71、72と熱風ルーム73、74と冷却機75を備えている。
【0023】
次に、上述した不織布再生機1の動作を説明する。
【0024】
図1に示すように、端材Aは、まず搬送装置7によって裁断機2に搬送される。その後、端材Aは、図2の開繊ユニット31によって裁断され、ゲージG1の大きさに裁断される。端材Aは、搬送装置7によって矢印X方向に搬送され、開繊ユニット32、33を順次通過する。その際、端材Aは、ゲージG2、G3の大きさに順次小さく裁断される。
【0025】
次に端材Aは、搬送装置7によって原料再生機3に搬送される(図1)。原料再生機3は、混合物Cを計量・混合する。所定の比率に計量・混合された混合物Cは、混合機4に搬送され、図3の混綿タンク51に投入された後、混綿タンク52に投入される。混綿タンク51、52内を混合物Cが落下することによって、混合物Cの混率を向上させることができる。
【0026】
混率を向上させた混合物Cは、成型機5において、第一開繊シリンダ61を通過した後、第一フリース62の内部を落下する。その後、第二開繊シリンダ63を通過し、第二フリース64を経て、搬送装置7の上に落下する。混合物Cは、開繊シリンダ61、63によりフリース62、64の幅方向(紙面に垂直な方向)に均等に落下するので、搬送装置7上に混合物Cをむらなく堆積させることができる。
【0027】
加熱機6に搬送された混合物Cは、図5の熱風ルーム73、74において、バーナー71,72によって加熱された空気が通過することによって、バインダー繊維が溶融する。その後、冷却機75によってバインダー繊維が冷却されることによって固化し、繊維同士の接着強度が高められる。
【0028】
以上の工程を経ることにより、不織布再生機1は、ポリエステル不織布の端材を再製品化できる。搬送装置7の搬送速度と第二フリース64の下端開口部64aの寸法Yを調整することによって、混合物Cの厚み及び重量を調整することができる。これによって、任意の厚みを有した再原料化されたポリエステル不織布を製造することができる。
【0029】
本発明は上述した形態に限定されることなく、種々の形態にて実施してよい。例えば、裁断機2は、単体の開繊ユニットでもよい。また、混合機4に設けられた混綿タンクは2つに限定されるものではない。混綿タンクが3つ以上設けられてもよいし、1つのみ設けられた態様であってもよい。搬送装置7は、ベルトコンベアによって構成された態様に限られない。端材Aやバインダー繊維等を搬送できる装置であればよく、種々の構成とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の一実施形態に係るリサイクルポリエステル不織布製造装置を示す図
【図2】図1の裁断機の内部を示す図
【図3】図1の混合機の構造を示す図
【図4】図1の成型機の構造を示す図
【図5】図1の加熱機の構造を示す図
【符号の説明】
【0031】
1 不織布再生機
2 裁断機
3 原料再生機
4 混合機
5 成型機
6 加熱機
7 搬送装置
30 開繊ユニット
31、32、33 開繊機
31a、32a、33a 主シリンダ
31b、32b、33b 補助シリンダ
G1、G2、G3 主シリンダと補助シリンダとの間隙
51、52 混綿タンク
61、63 開繊シリンダ
62、64 フリース
71、72 バーナー
73、74 熱風ルーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリステル不織布の端材を再生するリサイルクポリエステル不織布の製造方法において、前記端材を粗裁断する第1の工程と、裁断された前記端材を開繊して再生原料を生成する第2の工程と、前記再生原料とポリエステル系バインダー繊維とを混合させて混合原料を生成する第3の工程と、前記混合原料を成型する第4の工程と、成型された前記混合原料を加熱して固める第5の工程とを備えたことを特徴とするリサイクルポリエステル不織布の製造方法。
【請求項2】
前記第2の工程において、複数の開繊機により開繊することを特徴とする請求項1に記載のリサイクルポリエステル不織布の製造方法。
【請求項3】
ポリエステル不織布製品の端材を搬送装置に沿って搬送しつつ再生するリサイクルポリエステル不織布の製造装置において、
前記端材を粗裁断する裁断手段と、
裁断された前記端材を開繊して再生原料を生成する再生原料生成手段と、
前記再生原料とポリエステル系バインダー繊維とを混合させて混合原料を生成する混合原料生成手段と、
前記混合原料を成型するフォーミング手段と、
成型された前記混合原料を加熱する加熱手段と、
を備えたことを特徴とするリサイクルポリエステル不織布製造装置。
【請求項4】
前記再生原料生成手段は、
前記端材を開繊する開繊ワイヤが設けられた主シリンダと、前記主シリンダに対向して配置された補助シリンダとが設けられた開繊機を複数備え、
前記主シリンダと前記補助シリンダとの間隙が搬送装置に沿って漸次減少するように設定されていることを特徴とする請求項3に記載のリサイクルポリエステル不織布製造装置。
【請求項5】
前記混合原料生成手段は、前記再生原料と前記ポリエステル系バインダー繊維とを定量する定量手段と、前記定量手段によって定量された前記再生原料と前記ポリエステル系バインダー繊維とを混合するタンクが設けられた混合手段と、
を備えたことを特徴とする請求項3又は4に記載のリサイクルポリエステル不織布の製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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