説明

リザーバーバッグ付マスク

【課題】マスク装着時にコネクタチューブのリザーバーバッグとの接続部位が閉塞されることを防止できるリザーバーバッグ付マスクを提供する。
【解決手段】口及び鼻を覆うマスク体2と、マスク体2の酸素導入口2cに連通し膨縮可能なリザーバーバッグ3と、マスク体2の酸素導入口2cとリザーバーバッグ3との間を連結する管で中間部分に酸素チューブ20が連結する連結孔が開口形成されたコネクタチューブ4とを備えたリザーバーバッグ付マスク1において、リザーバーバッグ3を、膨張させた状態において、頭部を後屈せず自然位の頭部の位置を保った状態の仰臥位のヒトの顎下部、頸部、及び鎖骨上窩の間の空間に収まる形状に形成した。これにより、リザーバーバッグ3の折れ曲がりが防止でき、コネクタチューブ4との接続部位が塞がれてリザーバーバッグ3とマスク体との間で酸素もしくは高濃度酸素空気の往来が遮断されることが防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非再呼吸マスク(non-rebreathing mask)や高濃度マスク(high concentration mask)などとして使用されるリザーバーバッグ付マスクに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、医療現場では、傷病者に高濃度酸素を投与する酸素マスクとしてリザーバーバッグ付マスクが広く使用されている(例えば、特許文献1−6,非特許文献1参照)。図5に、一例として、特許文献1に記載の非再呼吸酸素マスクを示す。リザーバーバッグ付マスクである非再呼吸酸素マスク100は、マスク体101、リザーバーバッグ102、コネクタチューブ103、エラスティックストラップ104、ノーズクリップ105、及び排気バルブ106を備えている。
【0003】
マスク体101は、患者120の下顎から鼻頭にかけての顔面を覆面するように装着される。このマスク体101は、伸縮自在なゴム紐からなるエラスティックストラップ104によって、患者120の頭部に固定される。患者120の鼻に対応するマスク体101の中央付近の部分は、鼻の形状に合わせて隆起部101aが形成されている。この隆起部101aの口側の傾斜面に、マスク体101内に酸素もしくは高濃度酸素空気を供給する酸素導入口101bが開口形成されている。また、隆起部101aの鼻頭ないし鼻背に相当する付近には、ノーズクリップ105が付設されており、隆起部101aの左右両側部には、マスク体101内の酸素もしくは高濃度酸素空気を排気するための逆止弁からなる排気バルブ106が配設されている。
【0004】
リザーバーバッグ102は、酸素もしくは高濃度酸素空気を一時的に貯留するバッグであり、膨縮可能な気密袋で構成されている。リザーバーバッグ102の材質としては、通常は、透明又は半透明なポリ塩化ビニル(PVC)などが使用される(例えば、非特許文献1参照)。リザーバーバッグ102は、コネクタチューブ103によってマスク体101の酸素導入口101bに接続されている。コネクタチューブ103は、中間部分に、酸素チューブ107が接続される連結孔103aが形成されており、酸素チューブ107を通してこの連結孔103aからコネクタチューブ103に酸素もしくは高濃度酸素空気が導入される。
【0005】
コネクタチューブ103に導入された酸素もしくは高濃度酸素空気は、リザーバーバッグ102に流入し、リザーバーバッグ102を膨張させる。そして、患者120の吸息運動によりコネクタチューブ103を通してリザーバーバッグ102からマスク体101内に酸素もしくは高濃度酸素空気が流入し、患者120に給気される。また、患者120の呼息運動によりマスク体101内に排出される酸素もしくは高濃度酸素空気は、排気バルブ106からマスク体101外へ排出される。
【0006】
通常、患者120の1回換気量は500cc程度である。従って、酸素チューブ107をマスク体101に直接接続しただけでは、患者120の吸息に対して充分な換気量を確保することが難しい。リザーバーバッグ102は、そのために設けられており、患者120の吸息に対して充分な換気量を確保する役割を有する。
【0007】
尚、特許文献2−6に記載のリザーバーバッグ付マスクも、基本的に同様のものである。
【特許文献1】米国特許第5,492,114号明細書
【特許文献2】米国特許第5,586,551号明細書
【特許文献3】米国特許公開第2008/0210242号明細書
【特許文献4】米国特許第5,143,061号明細書
【特許文献5】米国特許第5,701,886号明細書
【特許文献6】米国特許第7,360,538号明細書
【非特許文献1】京中貿易株式会社,「杭州京冷医療機器カタログ」,[online],2008年1月,杭州京冷医療機器有限公司,[平成20年9月20日検索]、インターネット〈URL:http://kyoling.net/catalogue/PDF-Catalogue2008-1.pdf〉,pp.24-25.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したように、リザーバーバッグ付マスクに使用されるリザーバーバッグは、患者の呼吸によって膨縮できる必要があり、充分な柔軟性が必要である。そのため、PVCなどの非常に柔軟性の良い素材が使用される。
【0009】
しかしながら、実際に仰臥位の患者に上記従来のリザーバーバッグ付マスクを装着して使用した場合、リザーバーバッグが患者の胸部に当たり、リザーバーバッグのコネクタチューブとの接続部位が折れて拉げてしまう場合が屡々見受けられる。このようにコネクタチューブとの接続部位が折れると、リザーバーバッグの柔軟性により、コネクタチューブの入り口がリザーバーバッグの素材により塞がれ、リザーバーバッグとマスク体との間で酸素もしくは高濃度酸素空気が往来できなくなるという問題がある。
【0010】
そこで、本発明の目的は、患者へのマスク装着時に、コネクタチューブのリザーバーバッグとの接続部位が閉塞されることを防止することのできるリザーバーバッグ付マスクを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
リザーバーバッグ付マスクに係る本発明の第1の構成は、口及び鼻を覆うように顔面に密着する縁辺を有し口及び外鼻を覆うドーム状に形成された隔壁を備え、該隔壁内に酸素もしくは高濃度酸素空気を導入する酸素導入口が開口形成されたマスク体と、前記酸素導入口に連通し膨縮可能な気密袋であるリザーバーバッグと、前記マスク体の前記酸素導入口と前記リザーバーバッグとの間を連結する管であり、中間部分に酸素チューブが連結する連結孔が開口形成されたコネクタチューブと、を備えたリザーバーバッグ付マスクであって、前記リザーバーバッグは、膨張させた状態において、頭部を後屈せず自然位の頭部の位置を保った状態の仰臥位のヒトの顎下部、頸部、及び鎖骨上窩の間の空間に収まる形状に形成されていることを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、リザーバーバッグは、膨張時にも仰臥位のヒトの顎下部、頸部、及び鎖骨上窩の間の空間に収まる形状なので、膨張した状態でも患者の胸部に押されてコネクタチューブが折れ曲がることがないため、コネクタチューブのリザーバーバッグとの接続部位が塞がれてリザーバーバッグとマスク体との間で酸素もしくは高濃度酸素空気の往来が遮断されることが防止できる。
【0013】
リザーバーバッグ付マスクに係る本発明の第2の構成は、上記第1の構成において、前記リザーバーバッグは、中央部が括れて左右両側部が膨大した形状であることを特徴とする。
【0014】
このように、リザーバーバッグの中央部を括れ状とすることで、リザーバーバッグは患者の下顎と鎖骨上窩の間の空間に収まり、コネクタチューブのリザーバーバッグとの接続部位が折れ曲がることを防止できる。また、膨張したリザーバーバッグが患者の視界を過度に遮るのを防止することもできる。さらに、リザーバーバッグの左右両側部が膨大した形状とすることで、リザーバーバッグの容量を十分に確保することができる。
【0015】
リザーバーバッグ付マスクに係る本発明の第3の構成は、上記第1又は2の構成において、前記リザーバーバッグは、前頸部を取り巻く形状であることを特徴とする。
【0016】
このように、リザーバーバッグを患者の前頸部を取り巻く形状とすることにより、リザーバーバッグの容量を十分に確保しつつ、膨張したリザーバーバッグが患者の前方に突出して患者の視界を過度に遮るのを防止することができる。
【0017】
リザーバーバッグ付マスクに係る本発明の第4の構成は、上記第1の構成において、前記コネクタチューブは左右二方向に分岐する枝管を備え、左右の前記各枝管に接続された、左右2つの前記リザーバーバッグを備えていることを特徴とする。
【0018】
リザーバーバッグ付マスクに係る本発明の第5の構成は、上記第1乃至4の何れか一の構成において、前記コネクタチューブは、前記リザーバーバッグ内の空間に突入しており、この突入した部位の管側面に複数の通気口が形成されていることを特徴とする。
【0019】
この構成により、仮にコネクタチューブの先端開口部がリザーバーバッグ内で閉塞されたとしても、コネクタチューブのリザーバーバッグ内の空間に突入した部位の管側面に開口する通気口を通して、コネクタチューブとリザーバーバッグとの間で酸素もしくは高濃度酸素空気が流通するため、リザーバーバッグとマスク体との間で酸素もしくは高濃度酸素空気の往来が遮断されることが確実に防止できる。
【0020】
リザーバーバッグ付マスクに係る本発明の第6の構成は、上記第1乃至4の何れか一の構成において、前記コネクタチューブは、前記リザーバーバッグ内の空間に突入しており、この突入した部位の先端が2方向に分岐していることを特徴とする。
【0021】
この構成により、仮に分岐したコネクタチューブの一方の先端開口部がリザーバーバッグ内で閉塞されたとしても、他方のコネクタチューブの分岐管を通して、コネクタチューブとリザーバーバッグとの間で酸素もしくは高濃度酸素空気が流通するため、リザーバーバッグとマスク体との間で酸素もしくは高濃度酸素空気の往来が遮断されることが確実に防止できる。
【発明の効果】
【0022】
以上のように、本発明によれば、リザーバーバッグを、膨張させた状態で仰臥位のヒトの顎下部、頸部、及び鎖骨上窩の間の空間に収まる形状に形成したことで、患者へのマスク装着時に、コネクタチューブのリザーバーバッグとの接続部位が閉塞されるのを効果的に防止し、患者への酸素もしくは高濃度酸素空気の供給を確実に確保することが可能となる。
【0023】
また、コネクタチューブのリザーバーバッグ内空間へ突入した部位の管側面に複数の通気口が形成し、又はこの突入した部位の先端を2方向に分岐させることで、コネクタチューブの閉塞をより確実に防止することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0025】
図1は本発明の実施例1に係るリザーバーバッグ付マスクの正面図、図2は図1のリザーバーバッグ付マスクの側面図である。図1,図2は、何れも、リザーバーバッグ付マスク1を患者Aに装着した状態を表している。
【0026】
本実施例のリザーバーバッグ付マスク1は、マスク体2、リザーバーバッグ3、コネクタチューブ4、排気バルブ6、エラスティックストラップ7、及びノーズクリップ8を備えている。
【0027】
マスク体2は、隔壁が患者Aの口及び鼻を覆うように顔面に縁辺2aが密着して装着しうるドーム状に形成されている。マスク体2は、患者Aの鼻頭ないし鼻背から下顎にかけて及び左右の頬部にかけての顔面を覆面する。患者Aの鼻に相対するマスク体2の部位は、鼻の形状に合わせて隆起部2bが形成されている。この隆起部2bの鼻背に相対する部位には、マスク体2が顔面上で位置ずれするのを防止するために鼻背を軽く挟むためのノーズクリップ8が付設されている。隆起部2bの左右両側部には、患者Aの呼息に伴ってマスク体2内の酸素もしくは高濃度酸素空気を排気するための排気バルブ6,6が配設されている。排気バルブ6は、逆流防止弁からなる。また、患者Aのオトガイ部に相対するマスク体2の部位には、酸素もしくは高濃度酸素空気を導入するための酸素導入口2cが開口形成されている。
【0028】
このマスク体1は、伸縮自在なゴム紐からなるエラスティックストラップ7,7によって、患者Aの両耳に掛止され顔面に固定される。
【0029】
リザーバーバッグ3は、PVCなどの柔軟で膨縮可能な気密袋である。リザーバーバッグ3は、コネクタチューブ4によって、マスク体2の酸素導入口2cに連通している。また、リザーバーバッグ3は、膨張させた状態では、患者Aが頭部を後屈せずに自然位の頭部位置を保った状態の仰臥位で、患者Aの顎下部、頸部、及び鎖骨上窩の間の空間に収まる形状に形成されている。すなわち、リザーバーバッグ3は、左右対称の横長に形成され、中央部3aが括れて左右両側部3b,3bが膨大した形状に形成されている。また、横から見ると(図2参照)、リザーバーバッグ3の左右両側部3b,3bは、患者Aの前頸部を取り巻くように、中央部3aに対して左右両側部3b,3bが若干湾曲した形状に形成されている。
【0030】
コネクタチューブ4は、リザーバーバッグ3をマスク体2に接続する管である。コネクタチューブ4の上端は、マスク体2の酸素導入口2cに接続され、下端はリザーバーバッグ3の中央部3aに接続されている。また、コネクタチューブ4の中間部分には、酸素チューブ20が連結する連結孔4aが開口形成されている。ここで、酸素チューブ20は、酸素もしくは高濃度酸素空気を供給する可撓性チューブであり、通常はPVCなどの可撓性部材で構成される(例えば、非特許文献1,p.19参照)。
【0031】
また、コネクタチューブ4の下端側は、リザーバーバッグ3内の空間に突入しており、この突入した部位の管側面に複数の通気口4bが形成されている。従って、コネクタチューブ4は、下端に開口する以外に、下端側管側面も通気口4bにより開口している。
【0032】
以上のように構成された実施例1に係るリザーバーバッグ付マスク1について、以下その使用方法とその作用を説明する。
【0033】
まず、患者Aに装着する場合、マスク体2を患者Aの口と鼻を覆うように当て、エラスティックストラップ7,7を患者の耳に掛けて顔面にマスク体2を固定する。この状態では、図1,図2のように、マスク体2の下部が患者Aのオトガイ部乃至下顎部を覆い、リザーバーバッグ3は患者Aの下顎部、頸部、及び鎖骨上窩との間の空間に位置する。そして、コネクタチューブ4の連結孔4aに酸素チューブ20の一端を連結し、酸素チューブ20の他端を酸素ボンベに連結することによって、装着は完了する。
【0034】
リザーバーバッグ付マスク1を装着した状態で、酸素ボンベから酸素チューブ20に酸素もしくは高濃度酸素空気を供給すると、供給された酸素もしくは高濃度酸素空気はコネクタチューブ4を通ってリザーバーバッグ3に入り、リザーバーバッグ3が膨張する。このとき、リザーバーバッグ3は、仰臥位の患者Aの顎下部、頸部、及び鎖骨上窩の間の空間に収まる形状に形成されているため、リザーバーバッグ3が患者Aの胸部に当たって折れ曲がり、コネクタチューブ4の下端の開口が閉塞されることが防止される。更に、仮に何らかの原因でリザーバーバッグ3が折れ曲がってコネクタチューブ4の下端開口がリザーバーバッグ3の袋シートで閉塞された場合でも、コネクタチューブ4の下端部付近の管側面に開口する通気口4bを通して、コネクタチューブ4とリザーバーバッグ3内とで酸素もしくは高濃度酸素空気が流通する。従って、リザーバーバッグ3とマスク体との間で酸素もしくは高濃度酸素空気の往来が遮断されることがなくなる。また、リザーバーバッグ3は、横長に形成され左右両側部3b,3bが膨大しているので、患者Aの呼吸に対して充分な量の酸素もしくは高濃度酸素空気を貯めておくことが可能である。
【0035】
更に、リザーバーバッグ3の左右両側部3b,3bは、患者Aの前頸部を取り巻くように、中央部3aに対して若干湾曲しているため、患者Aの視界を妨げる範囲が狭く、患者Aにとって不快な障害となることがない。
【0036】
患者Aが呼吸を行うと、吸息によってリザーバーバッグ3内に貯められた酸素もしくは高濃度酸素空気が、コネクタチューブ4を通ってマスク体2内に供給される。一方、患者Aが呼息を行うと、マスク体2内の酸素もしくは高濃度酸素空気は排気バルブ6,6を通って外に排出される。これにより、患者Aに対して高酸素濃度の呼気を投与することができる。
【実施例2】
【0037】
図3は、本発明の実施例2に係るリザーバーバッグ付マスクの斜視図である。本実施例のリザーバーバッグ付マスク1’は、基本的な構造は実施例1のリザーバーバッグ付マスク1と共通しており、共通する部分には同符号を付して説明は省略する。
【0038】
本実施例のリザーバーバッグ付マスク1’は、リザーバーバッグ3内の空間に突入したコネクタチューブ4の下端がT字状に2方向に分岐している点が、実施例1のものとは異なっている。尚、分岐した分岐管4c,4cにも、通気口4bが形成されている。
【0039】
このように、分岐させることにより、仮に分岐管4c,4cの一方の先端開口部がリザーバーバッグ3内で閉塞されたとしても、他方の分岐管4cを通して、コネクタチューブ4とリザーバーバッグ3との間で酸素もしくは高濃度酸素空気が流通するため、リザーバーバッグ3とマスク体との間で酸素もしくは高濃度酸素空気の往来が遮断されることが確実に防止できる。
【実施例3】
【0040】
図4は、本発明の実施例3に係るリザーバーバッグ付マスクの外観斜視図である。図4において、リザーバーバッグ付マスク1”は、マスク体2、マスク体2の左右に設けられた2つのリザーバーバッグ3,3、コネクタチューブ4、通気口4b、枝管4d,4d、排気バルブ6,6、エラスティックストラップ7、及びノーズクリップ8を備えている。
【0041】
マスク体2は、透明な軟質樹脂製で、隔壁が看者の口及び鼻を覆うように顔面に縁辺2aが密着して装着しうるドーム状に形成されている。また、中央部に鼻頭ないし鼻背を覆うための隆起部2bが形成されており、隆起部2bの直下側の看者の鼻孔が位置する部分に、酸素もしくは高濃度酸素空気を導入する酸素導入口2cが開口形成されている。この隆起部2bの鼻背に相対する部位には、マスク体2が顔面上で位置ずれするのを防止するために鼻背を軽く挟むためのノーズクリップ8が付設されている。隆起部2bの左右両側部には、患者Aの呼息に伴ってマスク体2内の酸素もしくは高濃度酸素空気を排気するための排気バルブ6,6が配設されている。各排気バルブ6は、実施例1と同様に、逆流防止弁を備えており、マスク体1内の空気を排気方向のみ通過させる。また、マスク体1は、伸縮自在なゴム紐からなるエラスティックストラップ7,7によって、患者Aの両耳に掛止され顔面に固定される。
【0042】
酸素導入口2cには、コネクタチューブ4が接続されている。コネクタチューブ4は、直線上の短管であり、上端が酸素導入口2cに接続され、下端が盲端となっている。コネクタチューブ4の下端近傍の側面には、短管状の酸素チューブ接続管4eが正面に向かって突設されている。この酸素チューブ接続管4eに酸素チューブ20(図1参照)が接続される。また、コネクタチューブ4の中央部付近の側面には、2本の枝管4d,4dが左右斜め背面方向に向かって突設されている。各枝管4dの中央から先端にかけての側面には、複数の通気口4bが開口形成されている。尚、当該コネクタチューブ4はマスク体2から着脱自在である。従って、サイズの異なるマスク体2のみを取り替えることができるので、小児から成人まで、患者に応じてマスク体2のサイズを変更することが可能である。
【0043】
左右のリザーバーバッグ3,3は、この枝管4d,4dに接続されている。各リザーバーバッグ3は、PVCなどの柔軟で膨縮可能な気密袋である。
【0044】
本実施例のリザーバーバッグ3,3は、膨張させた状態において、頭部を後屈せず自然位の頭部の位置を保った状態の仰臥位のヒトの顎下部から頸部の左右側面、及び鎖骨上窩の間の空間に収まる形状に形成されている。このように構成することによっても、患者へのマスク装着時に、コネクタチューブ4のリザーバーバッグ3,3との接続部位が閉塞されるのを効果的に防止でき、患者への酸素もしくは高濃度酸素空気の供給を確実に確保することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の実施例1に係るリザーバーバッグ付マスクの正面図である。
【図2】図1のリザーバーバッグ付マスクの側面図である。
【図3】本発明の実施例2に係るリザーバーバッグ付マスクの斜視図である。
【図4】本発明の実施例3に係るリザーバーバッグ付マスクの外観斜視図である。
【図5】特許文献1に記載の非再呼吸酸素マスクである。
【符号の説明】
【0046】
1,1’,1” リザーバーバッグ付マスク
2 マスク体
2a 縁辺
2b 隆起部
2c 酸素導入口
3 リザーバーバッグ
3a 中央部
3b 側部
4 コネクタチューブ
4a 連結孔
4b 通気口
4c 分岐管
4d 枝管
4e 酸素チューブ接続管
6 排気バルブ
7 エラスティックストラップ
8 ノーズクリップ
20 酸素チューブ
A 患者
100 非再呼吸酸素マスク
101 マスク体
101a 隆起部
101b 酸素導入口
102 リザーバーバッグ
103 コネクタチューブ
103a 連結孔
104 エラスティックストラップ
105 ノーズクリップ
106 排気バルブ
107 酸素チューブ
120 患者

【特許請求の範囲】
【請求項1】
口及び鼻を覆うように顔面に密着する縁辺を有し口及び外鼻を覆うドーム状に形成された隔壁を備え、該隔壁内に酸素もしくは高濃度酸素空気を導入する酸素導入口が開口形成されたマスク体と、
前記酸素導入口に連通し膨縮可能な気密袋であるリザーバーバッグと、
前記マスク体の前記酸素導入口と前記リザーバーバッグとの間を連結する管であり、中間部分に酸素チューブが連結する連結孔が開口形成されたコネクタチューブ
を備えたリザーバーバッグ付マスクであって、
前記リザーバーバッグは、膨張させた状態において、頭部を後屈せず自然位の頭部の位置を保った状態の仰臥位のヒトの顎下部、頸部、及び鎖骨上窩の間の空間に収まる形状に形成されていることを特徴とするリザーバーバッグ付マスク。
【請求項2】
前記リザーバーバッグは、中央部が括れて左右両側部が膨大した形状であることを特徴とする請求項1記載のリザーバーバッグ付マスク。
【請求項3】
前記リザーバーバッグは、前頸部を取り巻く形状であることを特徴とする請求項1又は2に記載のリザーバーバッグ付マスク。
【請求項4】
前記コネクタチューブは左右二方向に分岐する枝管を備え、
左右の前記各枝管に接続された、左右2つの前記リザーバーバッグを備えていることを特徴とする請求項1記載のリザーバーバッグ付マスク。
【請求項5】
前記コネクタチューブは、前記リザーバーバッグ内の空間に突入しており、この突入した部位の管側面に複数の通気口が形成されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一記載のリザーバーバッグ付マスク。
【請求項6】
前記コネクタチューブは、前記リザーバーバッグ内の空間に突入しており、この突入した部位で2方向に分岐していることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一記載のリザーバーバッグ付マスク。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−148859(P2010−148859A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−246072(P2009−246072)
【出願日】平成21年10月27日(2009.10.27)
【出願人】(506087705)学校法人産業医科大学 (24)