リストリクタ及びエアロゾルフォーマを含む喫煙物品
エアロゾルフォーマ含有量の高い喫煙可能充填剤とフィルタ14とを含む喫煙物品10を提供する。喫煙可能充填剤は、約4重量%から約35重量%のグリセリンを含むことが好ましい。フィルタは、タバコロッド12にチップペーパー16で取り付けられた円筒管48と、上記タバコロッドに隣接するとともにこれに対して下流関係にある上記円筒管沿いの位置における第1のフィルタセグメント18と、第1のフィルタセグメントに隣接するとともにこれに対して下流関係にある位置に存在する流量制限フィルタセグメント26とを含む。フィルタはまた、流量制限フィルタセグメントに隣接するとともにこれに対して下流関係にあるキャビティ46と、チップペーパー及び円筒管を貫通して延びる穿孔を含むキャビティ沿いの位置に存在する通気ゾーン40とを含む。通気ゾーンは、流量制限フィルタセグメントに対して下流関係にあることが好ましい。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
〔関連出願との相互参照〕
この出願は、2007年3月9日に出願された米国特許出願第60/905835号からの優先権を主張するものであり、この特許の内容全体が引用により本明細書に組み入れられる。
【0002】
従来、通気レベルの高い喫煙物品は、何らかの対策を施して吸引抵抗(RTD)の不足を補わない限り、通常、RTDが受け入れ難いほど低いレベルにあった。これまでは、高密度セルロースアセテートのフィルタセグメントを使用してこの不足に対処していた。しかしながら、このようなフィルタ化したセグメントは、一酸化炭素(CO)及び酸化窒素(NO)などのタバコの主流煙の気相成分にはほとんど又は全く影響を与えずにタール送達(FTC)を減少させる傾向にあった。この解決策は、低送達(FTCタール)のシガレットにおいてCO対タール(FTC)比を悪化させる傾向にあった。
【0003】
通気性は、単独での作用時には、主流煙の粒子相及び気相の両方を低減させるという点で望ましい特質を有する。しかしながら、上述したように、高通気性シガレットはRTDに欠点がある。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【図1A】フィルタチップペーパーを部分的に広げて内部フィルタ構成を示す、好ましい実施形態により構成された喫煙物品の側面図である。
【図1B】下流で通気を行うように構成した点火していない喫煙物品のRTD及び通気性の実験的測定値を示す図である。
【図1C】下流で通気を行うように構成した点火していない喫煙物品のRTD及び通気性の実験的測定値を示す図である。
【図1D】下流で通気を行うように構成した点火していない喫煙物品のRTD及び通気性の実験的測定値を示す図である。
【図1E】上流で通気を行うように構成した点火していない喫煙物品のRTD及び通気性の実験的測定値を示す図である。
【図1F】上流で通気を行うように構成した点火していない喫煙物品のRTD及び通気性の実験的測定値を示す図である。
【図1G】上流で通気を行うように構成した点火していない喫煙物品のRTD及び通気性の実験的測定値を示す図である。
【図2】グリセリン含有量の高い再構成タバコシートを作成する方法の例示的な実施形態を示す図である。
【図3】グリセリン含有量の高い再構成タバコシートを作成する方法の例示的な実施形態を示す図である。
【図4】さらなる実施形態による、チップペーパーを部分的に広げてフィルタ構成を示した状態の喫煙物品の側面図である。
【図5】さらなる実施形態による、チップペーパーを部分的に広げてフィルタ構成を示した状態の喫煙物品の側面図である。
【図6】チップペーパーを部分的に広げて、末端間が対称の流量制限フィルタセグメントを含むフィルタ構成を示した状態の喫煙物品の側面図である。
【図7】さらなる実施形態による、チップペーパーを部分的に広げてフィルタ構成を示した状態の喫煙物品の側面図である。
【図8】さらなる実施形態による、チップペーパーを部分的に広げてフィルタ構成を示した状態の喫煙物品の側面図である。
【図9】カット充填剤におけるグリセリン及びリストリクタフィルタの、煙中のフェノールに対する効果を示すグラフである。
【図10】リストリクタ及びカット充填剤に2%レベルのグリセリンを含有する基準シガレットと比較した、リストリクタフィルタ設計に対応するカット充填剤中の高グリセリンレベルの効果を示すグラフである。
【図11】市販の超低送達喫煙物品及びカーボンオントウを含む市販の超低送達喫煙物品と比較したときの、リストリクタフィルタ設計に対応するカット充填剤中の高グリセリンレベルの、タール当たりのFTC送達に対する効果を示すグラフである。
【図12】喫煙物品のFTC煙成分の減少を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0005】
フィルタ内にリストリクタを組み込むとともにタバコロッド内にグリセリンなどのエアロゾルフォーマを組み込んだ喫煙物品における吸煙中に、このようなグリセリンが蒸発し、タバコの主流煙にグリセリン及び水を導き入れて煙中に存在する粒子相成分を希釈する。粒子相は、カテコール、ヒドロキノン、フェノール及びタバコ特異的ニトロサミン(TSNA)などのフェノール成分を含む。所定のレベルのFTCタール送達の場合、粒子相の一部であるいずれかのグリセリンが、吸煙中にタバコの燃焼により別様に生じたと思われる他の粒子相成分に事実上取って代わるようになる。
【0006】
グリセリンなどのエアロゾルフォーマのなかにはタール希釈剤として作用するものもあり、十分な量が存在する場合、フェノール制御剤として作用して、主流煙中のフェノールレベルを、希釈のみに起因するレベルを超えてさらに低下させることができる。
【0007】
煙成分を通気フィルタで減少させることもできる。
通気性は、単独での作用時には、主流煙の粒子相及び気相の両方を低減させるという点で望ましい特質を有する。
【0008】
しかしながら、通気レベルの高い喫煙物品は、何らかの対策を施さない限り、通常、RTDが受け入れ難いほど低いレベルにあった。このRTDの問題に対する1つの解決策は、高密度セルロースアセテートフィルタセグメントを含むことであった。しかしながら、このような高密度フィルタセグメントは、一酸化炭素(CO)及び酸化窒素(NO)などのタバコの主流煙の気相成分にはほとんど又は全く影響を与えずにタール送達(FTC)を減少させる傾向にあった。この解決策は、特に低送達(FTCタール)のシガレットにおいてCO対タール(FTC)比を悪化させる傾向にある。
【0009】
一方、セルロースアセテートトウ及びトリアセチン可塑剤を含むセルロースアセテートフィルタセグメントは、シガレットの主流煙からフェノール及びクレゾールを除去する効果があることが知られている。このようなフィルタセグメントの質量又は密度が実質的に減少することにより、主流煙中におけるフェノール及びクレゾールの単位タール(FTC)当たりの構成レベルの割合が高くなる傾向にあった。
【0010】
従って、当業では、RTDが許容できる状態で、CO対FTCタール比を向上させるとともにフェノール及びクレゾールの両方を減少させる高通気性フィルタを有する喫煙物品の必要性が存在する。
【0011】
図1Aを参照すると、好ましい実施形態が、グリセリン含有量の高いカット充填剤を含むタバコロッド12と、チップペーパー16によりタバコロッド12に接続されたフィルタ14とを含む喫煙物品10を提供する。好ましい実施形態では、喫煙物品のタバコロッド12内のグリセリン含有量は、グリセリンが約4重量%から約35重量%であり、グリセリンが5重量%から10重量%であることがより好ましく、グリセリンが5重量%から8重量%であることが最も好ましい。
【0012】
ここで図1B〜図1D及び下記の表1を参照すると、下流に通気部を、及び上流に制限部を有する点火していないシガレットの場合、吸煙回数全体を通じて望ましい程度の通気性(約70%)が維持される。
【0013】
次に図1E〜1Gを参照すると、対照的に、通気孔を制限部の上流に設けた場合、吸煙回数が1回進むにつれて通気性が低下する傾向にあった。
表1
【0014】
1つの実施形態では、カット充填剤が、グリセリン含有量の高い再構成タバコシートを含む。タバコロッド12内の喫煙可能材料(カット充填剤)の約10%から約80%が再構成タバコシートからなることが好ましい。タバコロッドは、再構成タバコシートを約30%から約50%含むことがより好ましく、約35%から約45%含むことがさらに好ましい。しかしながら、他の実施形態では、カット充填剤が再構成タバコシートを含むのではなく、カット充填剤に加えられた高グリセリンレベルを含む。
【0015】
再構成タバコシートは、喫煙物品用の喫煙可能充填材に裁断される。再構成タバコシートは、約50%w/wまでのグリセリンを含むことが好ましい。1つの実施形態では、追加のカットタバコ充填材もタバコロッド12に加えられる。
【0016】
図2は、喫煙物品に含めるためのグリセリン含有量の高い再構成タバコシートを作成する方法の例示的な実施形態を示す図である。ステップ100において、タバコ材料を含有する水性スラリーを調整する。次のステップ200において、水性スラリーからタバコシートを形成する。ステップ300において、水性スラリーの含水量を50重量%未満に減少させる。タバコシートの含水量を減少させた後、エアロゾルフォーマを好ましくは約40℃未満の温度でタバコシートに加える。次に、ステップ500において、タバコシートは乾燥工程をたどる。
【0017】
図3は、再構成タバコシートを作成する方法の好ましい実施形態を示す図である。第1のステップにおいて、タバコ材料520と水540とを混合して水性スラリー560を形成する。タバコ材料520は、タバコ処理中及び/又はシガレット製造中に生じたタバコ葉片及び/又はタバコ粉塵であってもよい。例えば、タバコ材料520は、タバコ葉片及び/又はタバコ粉塵を含有するバランスで、少なくとも約50重量%の茎、好ましくは約70重量%から〜80重量%の茎を含有することができる。
【0018】
水性スラリー560は、分離工程580を受けて、可溶性部分600と繊維性部分620とを生成する。例えば、水性スラリー560を圧縮又は遠心分離して、可溶性部分600を除去することができる。可溶性部分600は、再構成タバコ製造工程に再び加えられらずに廃棄されることが好ましい。
【0019】
図2に示すように、本実施形態では、繊維性部分620が精製工程640を受けて、製紙を行うために繊維性部分620がより密に近づいた個々の繊維に加工される。(フォードリニアマシンなどの)製紙工程660により、繊維性部分620をタバコシートに成形する。この製紙工程660中、(フォードリニアワイヤなどの)ワイヤメッシュを通じて過剰な水分を抜き取ることによりシートの含水量が減少する。例えば、純粋な抜き取りにより、含水量を約98〜99重量%の開始含水量から約95重量%に減少させることができる。別の例では、抜き取りを水分の真空引きと組み合わせた場合、含水量を約85%に減少させることができる。
【0020】
製紙工程660の完了後、タバコシートは水分減少工程680を受けてシートの含水量が減少する。含水量は、50重量%未満に減少するが、30重量%よりも多いことが好ましい。他の例示的な実施形態では、含水量が、45重量%未満、40重量%未満、又は35重量%未満に減少する。例えば、蒸気加熱金属ドラム(すなわちヤンキードライヤー)上にシートを置いて含水量を減少させ、その後、任意でさらに小型の蒸気加熱表面ドライヤー(すなわちカンドライヤー)上に置くことができる。
【0021】
水分減少工程680後、シートにエアロゾルフォーマ溶液720を加える。例えば、シートをサイズプレス700に通すことができ、ここでシートの両面にエアロゾルフォーマ溶液720を加えるように構成された2つの垂直又は水平ローラ間にシートが送り込まれる。エアロゾルフォーマ溶液720は、他の添加剤740を含むことができる。代替の実施形態では、シート上にエアロゾルフォーマ溶液720を噴霧し、或いはシートをエアロゾルフォーマ溶液720中に浸漬することができる。
【0022】
エアロゾルフォーマの例として、グリセリン、プロピレングリコール、エチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、及び/又はオレイルアルコールが挙げられる。
【0023】
1つの実施形態では、エアロゾルフォーマ溶液720が約40℃未満の温度でシートに加えられる。他の例示的な実施形態では、エアロゾルフォーマ溶液720が、約30℃又は25℃未満又は周囲温度などの約35℃未満の温度でシートに加えられる。
【0024】
グリセリンは、エアロゾルフォーマ溶液720に好ましいエアロゾルフォーマである。グリセリンは、喫煙物品の燃焼するタバコロッド内に存在する場合、不活性なグリセリンのエアロゾル及び水蒸気を生成する。例えば、グリセリンエアロゾルフォーマを、約20体積%から80体積%のグリセリンを含有するエアロゾルグリセリン溶液の形でシートに加えることができる。代替の実施形態では、グリセリン溶液が、約50から80体積%のグリセリンを含有することができる。水性グリセリン溶液は、約75体積%から約80体積%の間のグリセリンを含有することが好ましい。約100%のグリセリン溶液を使用しようと試みても、グリセリンのタバコ材料への吸収が悪くなり、製造工程において問題となる可能性のある粘着面が生じることになる。
【0025】
エアロゾルフォーマ溶液720はまた、香味料、(グリセリン以外の)保湿剤、及び/又はアセテート化合物などの他の添加剤740を含有することもできる。香味料の例として、甘草、糖、イソスイート、ココア、ラベンダ、シナモン、カルダモン、セロリ、コロハ、カスカリラ、白壇材、ベルガモット、ゼラニウム、ハニーエッセンス、ローズ油、バニラ、レモン油、オレンジ油、ハッカ油、カッシア、キャラウェー、コニャック、ジャスミン、カモミール、メントール、カッシア、イランイラン、セージ、スペアミント、ジンジャー、コリアンダー、コーヒーなどが挙げられる。グリセリン以外の保湿剤の例として、プロピレングリコールなどが挙げられる。
【0026】
グリセリン濃度の高いタバコ材料はまた、任意の添加剤を含有することもできる。アセテートは、特にグリセリンとの組み合わせにおいてタバコ煙のTPM細胞毒性の減少を促進する可能性があるとされてきた。アセテート化合物は、燃焼する喫煙物品の煙中のTPM又はフェノール成分をさらに減少させることができる。1つの実施形態では、アセテート化合物に、アンモニウムアセテート、カルシウムアセテート、及び/又はマグネシウムアセテートが含まれる。カット充填剤としてシートを加えた燃焼する喫煙物品の煙中のカテコール、ヒドロキノン、フェノール、又はTSNAの減少を促進するのに効果的な量で1又はそれ以上のアセテート化合物が添加される。
【0027】
図3に示すように、エアロゾルフォーマ溶液720を加えたサイズプレス700にシートを通した後、シートは乾燥工程760を受ける。例えば、乾燥工程760は、トンネル又はエプロンドライヤにシートを通すステップを含むことができる。
【0028】
エアロゾルフォーマ溶液720をグリセリンとする1つの実施形態では、乾燥時に非粘着シートを生成するのに効果的な量でグリセリン溶液が添加される。別の実施形態では、乾燥後のタバコシートの約50重量%までの量でグリセリン溶液が添加される。
【0029】
タバコシートに乾燥後のシートの約5から約20重量%の間の量でアンモニウムアセテートを加えることができると好ましく、この量は約10から12%の間であることがより好ましい。アンモニウムアセテートの代わりに、或いはこれに加えて、乾燥後のシートの約1重量%から約10重量%の間の量でカルシウムアセテートを加えることができると好ましく、この量は約4%であることがより好ましい。アンモニウムアセテート及び/又はカルシウムアセテートの代わりに、乾燥後のシートの約5重量%から約20重量%の間の量でマグネシウムアセテートを加えることができると好ましく、この量は約8から10%の間であることがより好ましい。
【0030】
乾燥工程760の後、(グリセリン、プロピレングリコール、マンニトール、ソルビトールなどの)エアロゾルフォーマを含有するシートをカット充填剤に細断し、喫煙物品に加えることができる。タバコ由来のTPMの全体的な減少は、カット充填剤の一部として喫煙物品に加えられるグリセリンの量に比例する。
【0031】
図1Aでわかるように、喫煙物品10のフィルタ14は、フィルタ14の上流部20における第1の上流フィルタセグメント(リストリクタ)18と、フィルタ14の下流端部24におけるマウスピースフィルタセグメント22と、第1のフィルタセグメント18とマウスピースフィルタセグメント22との間に位置する流量制限フィルタセグメント26とを含むことが好ましい。この実施形態では、フィルタセグメント18及び22は、フィラメント当たりのデニール(dpf)が8dpfなどの約5.0dpfから約15.0dpf、総デニール(td)が35,000tdなどの約10,000tdから約50,000tdの低密度に充填された大径繊維のセルロースアセテートトウで構成された低粒子効率のフィルタセグメントであることが好ましい。フィルタセグメントは、フィラメント当たり約6.0デニールから約15.0デニールのセルロースアセテートトウを含むことがより好ましい。この実施形態はまた、第1の上流フィルタセグメント18に隣接するとともに約3mmから10mmの長さの、より好ましくは約3mmから7mmの長さの比較的短い流量制限フィルタセグメント26(以下、リストリクタディスク26)も含む。この実施形態では、円筒管状フィルタセグメント48の内周、及びマウスピースフィルタセグメント22とリストリクタディスク26との間の空間により、フィルタ14内のキャビティ46が少なくともある程度定められる。キャビティ沿いの位置には通気ゾーン40が設けられ、この位置は、流量制限部30の下流にあるとともにマウスピースセグメント22から上流に離間することが好ましい。管状フィルタセグメント48は、セルロースアセテートなどの比較的重いフィルタプラグラップ、紙又はその他の材料で構成されることが好ましい。
【0032】
この実施形態では、通気ゾーン40が複数の通気孔41を含み、これらの通気孔はチップペーパー16を貫通し、及び好ましくは管状フィルタセグメント48を貫通して延びる。従って、喫煙物品10の製造中にオンラインレーザ穿孔技術(又はその他の穿孔技術)によりフィルタセグメント48にレーザ穿孔を行って通気孔を設けることができるように、フィルタセグメント48の材料はセルロース系であることが好ましい。代替の方法では、(予め穿孔したチップペーパー又はオンライン穿孔技術のいずれかを使用することにより)チップペーパー16にのみ通気孔を設け、管状セグメント48を、通気孔41とキャビティ46との間の連通を確立するのに十分な空気透過性を有するようにする。機械的(ピン)穿孔技術及び/又は静電技術などのその他の穿孔技術も使用できることが好ましい。
【0033】
図4を参照すると、別の実施形態が、グリセリン含有量の高いカット充填剤を含むタバコロッドと、チップペーパーによりタバコロッドと接続されたフィルタとを含む喫煙物品を提供する。フィルタは、フィルタの上流端部におけるセルロースアセテートトウで構成された第1の上流フィルタセグメント18と、フィルタの下流端部におけるセルロースアセテートトウで構成されたマウスピースフィルタセグメント22と、第1のフィルタセグメント18とマウスピースフィルタセグメント22との間に位置するが、好ましくは上流セグメント18に隣接するリストリクタディスク26とを含むことが好ましい。この実施形態では、好ましくは螺旋状の巻線形紙管48により、フィルタ内のキャビティ46が少なくともある程度定められ、この管48は、フィルタの全長に延びるとともに自立するのに十分な強度であり、しかもオンラインレーザ穿孔に対応するのに十分な薄さである。リストリクタディスクの外環は、紙管48の内面と滑りばめされることが好ましい。この実施形態では、円筒管状フィルタセグメント48の内面、及びマウスピースフィルタセグメント22とリストリクタディスク26との間の空間により、フィルタ14内のキャビティ46が少なくともある程度定められる。キャビティ沿いの位置に通気ゾーン40が設けられ、この位置は、流量制限部30の下流にあるとともにマウスピースセグメント22から離間することが好ましい。管を押出し成形したり、或いは縦方向に継ぎ目を設けて管を形成したりするようなその他の材料又はその他の成形技術を使用して管48を作成することもできる。
【0034】
図5を参照すると、別の実施形態が、グリセリン含有量の高いカット充填剤を含むタバコロッドと、チップペーパーによりタバコロッドと接続されたフィルタとを含む喫煙物品を提供する。フィルタは、フィルタの上流部におけるカーボンオントウで構成された第1のフィルタセグメント19と、第1のフィルタセグメント19の下流のセルロースアセテートトウで構成された第2のフィルタセグメント18と、フィルタの下流端におけるセルロースアセテートトウで構成されたマウスピースフィルタセグメント22と、第2のフィルタセグメント18とマウスピースフィルタセグメント22との間に位置するリストリクタディスク26を含むことが好ましい。この実施形態では、リストリクタディスク26の外環は、リストリクタディスク26を管48に沿って左から右へ押し込みやすくするようにわずかに裁頭円錐形であることが好ましい。この実施形態では、円筒管状フィルタセグメント48の内面、及びマウスピースフィルタセグメント22とリストリクタディスク26との間の空間により、フィルタ14内のキャビティ46が少なくともある程度定められる。キャビティ沿いの位置に通気ゾーン40が設けられ、この位置は、流量制限部30の下流にあるとともにマウスピースセグメント22から離間することが好ましい。
【0035】
図6を参照すると、別の実施形態が、グリセリン含有量の高いカット充填剤を含むタバコロッドと、チップペーパーによりタバコロッドと接続されたフィルタとを含む喫煙物品を提供する。フィルタは、フィルタの上流部におけるカーボンオントウで構成された第1のフィルタセグメント19と、第1のフィルタセグメント19の下流のセルロースアセテートトウで構成された第2のフィルタセグメント18と、フィルタの下流端におけるセルロースアセテートトウで構成されたマウスピースフィルタセグメント22と、第2のフィルタセグメント18とマウスピースフィルタセグメント22との間に位置する流量制限オリフィス30を有するリストリクタディスク26を含む流量制限フィルタとを含むことが好ましい。この実施形態では、リストリクタディスク26は左右対称であり、或いは末端間が対称であることが好ましい。この実施形態では、円筒管状フィルタセグメント48の内面、及びマウスピースフィルタセグメント22とリストリクタディスク26との間の空間により、フィルタ14内のキャビティ46が少なくともある程度定められる。キャビティ沿いの位置に通気ゾーン40が設けられ、この位置は、流量制限部30の下流にあるとともにマウスピースセグメント22から離間することが好ましい。
【0036】
図7を参照すると、別の実施形態が、タバコロッドと、チップペーパーによりタバコロッドと接続されたフィルタとを含む喫煙物品を提供する。フィルタ14は、フィルタ14の上流部におけるフィルタトウ材料のセグメント18と、フィルタセグメント18の下流に位置する流量制限オリフィス30を有するリストリクタディスク26を含む流量制限フィルタセグメントとを含むことが好ましい。この実施形態では、円筒管状フィルタセグメント48の内面、及びマウスピースフィルタセグメント22とリストリクタディスク26との間の空間により、フィルタ14内のキャビティ46が少なくともある程度定められる。キャビティ沿いの位置に通気ゾーン40が設けられ、この位置は、流量制限部30の下流にあるとともにフィルタの口側端から離間することが好ましい。
【0037】
図8を参照すると、別の実施形態が、タバコロッドと、チップペーパーによりタバコロッドと接続されたフィルタとを含む喫煙物品を提供する。フィルタは、フィルタの上流部におけるカーボンオントウで構成された第1のフィルタセグメント19と、第1のフィルタセグメント19の下流のセルロースアセテートトウで構成された第2のフィルタセグメント18と、第2のフィルタセグメント18の下流に位置する流量制限オリフィス30を有するリストリクタディスク26を含む流量制限フィルタとを含むことが好ましい。この実施形態では、円筒管状フィルタセグメント48の内面、及びマウスピースフィルタセグメント22とリストリクタディスク26との間の空間により、フィルタ14内のキャビティ46が少なくともある程度定められる。キャビティ沿いの位置に通気ゾーン40が設けられ、この位置は、流量制限部30の下流にあるとともにフィルタの口側端から離間することが好ましい。
【0038】
例示的な83mmの喫煙物品にとって好ましい寸法として、例えば、約27mmのフィルタの長さ、約7mmの口側端フィルタセグメントの長さ、喫煙物品の口側端から約12mmに位置する通気孔、約5mmのリストリクタディスクの長さ、約2.5mmのセルロースアセテートトウセグメントの長さ、及び約7mmのカーボンオントウフィルタセグメントの長さが挙げられる。
【0039】
通気ゾーン40は、チップペーパー16及び好ましくはフィルタチューブ48’を貫く第1の列(及び任意に第2の列及び場合によっては第3の列)の通気孔で定められる。従って、空気は、通気ゾーン40の通気孔を通じて、流量制限部30とマウスピースセグメント22との間に形成されたキャビティ46内へ吸引されることが好ましい。
【0040】
通気ゾーン40を流量制限部30の近くに、或いはこれに隣接して配置することにより、通気ゾーン40を通って吸引された空気をマウスピースフィルタ22に到達する前に主流煙と混合できるようにすることが好ましい。通気ゾーン40とマウスピースフィルタ22との間の距離は、少なくとも5mm又は5mmから12mmの範囲であることが好ましい。同様に、流量制限部30は、マウスピースフィルタ22から約4mmから15mm離間されることが好ましく、約6mmから10mm離間されることがより好ましい。これらの特徴は、マウスピースフィルタ22における粒子相煙成分の固着を最小化するのに役立ち、このことがさらに、所望のCO対タール(FTC)比を維持するのに役立つ。
【0041】
通気ゾーン40は、少なくとも25%、さらに好ましくは少なくとも50%から90%の喫煙物品の通気レベルを達成することが好ましい。
【0042】
さらに、本実施形態は、望ましい量の吸引抵抗を実現する一方で、吸煙回数全体を通じて望ましい程度の高通気性を維持する。後者の特質は、流量制限部26の下流に通気ゾーン40を配置することにより達成される。さらに、キャビティに沿って通気部を配置することにより、通気ゾーンを通じてフィルタ内に吸引された空気とタバコロッドから吸引された主流煙との混合が確実になる。
【0043】
リストリクタディスク26は、流量制限部30を定める区画(内部に1又はそれ以上のオリフィスを有する横壁)を含むことができ、この区画は小径のオリフィスを含む。この区画は、区画を通り抜ける主流煙の流れの方向に入るか、或いは流れの方向から離れるかのいずれかの向きの裁頭円錐形及び先細形であってもよい。さらに、リストリクタディスク26の内部に一対の区画を配置して、リストリクタディスク26の末端間を対称にすることができる。末端間が対称なフィルタ構成により、ロッド製造機械が最初に構成要素の一端を順方向に向けるか又は逆方向に向けるかに関係なく構成要素が同じように機能するという点で高速のフィルタロッド製造が容易になる。
【0044】
末端間が対称なリストリクタディスク26は、横壁(区画)の対向する両側面に同じ長さの管状ボディ部分を有する。このような配置により、リストリクタディスク26の末端間が対称であることによってフィルタの製造が容易になる。
【0045】
任意に、上述したような通気ゾーン40に加えて、流量制限部30の上流に通気部の第2のゾーンを配置することができる。
【0046】
予め穿孔したチップペーパーを使用することにより、喫煙物品10の製造が容易になる。
【0047】
十分な圧力降下をもたらすように流量制限部30をサイズ決めすることにより、喫煙物品10が少なくとも70mm水柱又はそれ以上、好ましくは90mm水柱から120mm水柱の範囲の吸引抵抗を示すようにすることが好ましい。1つの実施形態では、十分な圧力降下をもたらすように流量制限部30をサイズ決めすることにより、喫煙物品10が少なくとも50mm水柱又はそれより以上、好ましくは60mm水柱から90mm水柱の範囲の吸引抵抗を示すようになる。区画(横壁)は、好ましくは約7.0mmから8.0mm、さらに好ましくは約7.4mmから7.8mmの直径を有し、この場合、区画は、直径が約0.5mmから約0.9mm、さらに好ましくは約0.5mmから0.7mmの1又は任意で少なくとも1つのオリフィスを有することが好ましい。リストリクタ構成要素の圧力降下は開口面積によって決まるので、複数のオリフィスを使用することもできる。例えば、1つの実施形態では、直径がそれぞれ約0.5mmの2つのオリフィスが区画内に存在する。
【0048】
リストリクタディスク26は、紙、プラスチック、ポリマー又は金属で構成することができ、紙製品、又は生分解性プラスチック/ポリマー、又は分解特性を有するその他の適当な材料で作成できることがさらに好ましい。しかしながら、プラスチックを使用する場合、リストリクタディスク26が小さくなり、フィルタの非生分解性内容物は最小限に抑えられる。
【0049】
上述のフィルタ設計の利点は、シガレットを高速で製造するために当業界で通常使用される単純な結合技術でフィルタを構成できる点にある。また、個々の実施形態は、フィルタ14の長さ全体にわたって望ましい硬さを提供するために、キャビティ46の周りに管状支持体を含む。
【0050】
さらに、本実施形態は、必要な量の吸引抵抗を実現する一方で、喫煙全体を通じて望ましい程度の高い通気性を維持する。後者の特質は、流量制限部30の下流に通気ゾーン40を配置することにより達成される。
【0051】
さらに、マウスピースセグメント22と間隔を置いた関係で通気ゾーン40内に通気部を配置することにより、通気ゾーン40を通してフィルタ14内に吸引された空気とタバコロッド12から吸引された主流煙との混合が確実になる。1つの試験済みの実施形態では、良好な混合を示す均一な染みのパターンがマウスピースフィルタ22の頬側端部に現れた。
【0052】
本開示により構成したシガレットの喫煙中、喫煙全体を通じて(50%から90%、好ましくは約60%又は約70%などの)望ましい程度の通気性が維持されることが好ましい。
【0053】
主流煙中のフェノール成分への対処
可塑剤としてトリアセチンを含むセルロースアセテート(CA)フィルタは、同じタールベースでフィルタなしシガレットと比較した場合、シガレットの主流煙からフェノール及びクレゾールを除去することが知られている。本リストリクタフィルタ設計は、フィルタ内のこのようなCAの量を約50%減少させる(例えば、従来の27mmフィルタのシガレット対このようなCAセグメントを10mmから14mm含む同等のリストリクタフィルタ)。CAが減少することにより、従来のCAフィルタと比較して単位タール(FTC)当たりフェノール及び単位タール(FTC)当たりクレゾールのレベルは明らかに増加するが、リストリクタフィルタ設計におけるフェノール/タール及びクレゾール/タール比は、同じタールベースにおけるフィルタなしシガレットのフェノール/タール及びクレゾール/タール比よりも依然として低い。この効果を抑えるために、グリセリンなどのエアロゾルフォーマをタバコカット充填剤に添加して、クレゾール/タール及びフェノール/タール比を補償及び減少させ、すなわちグリセリンの添加が、より少ない量の可塑化CAを含有する喫煙物品中のフェノール/タール及びクレゾール/タール比の相対的増加を抑える役目を果たすようにする。
【0054】
希釈のみに起因する予想される減少を越えて、グリセリンは(カテコール及びヒドロキノンを含む)フェノール及びポリフェノールに対して追加の効果を奏し、これは、タバコロッド中のグリセリンが、何らかの化学的及び/又は物理的メカニズムによりこれらの化合物のレベルを低下させる傾向にあると考えられる。グリセリンは、タール希釈作用と、タバコロッド内に存在することによりハイドロキノン及びカテコールなどの粒子相煙成分を機構的にさらに減少させる作用との両方を兼ね備えた作用物質である。あらゆる送達レベル又は「タールカテゴリー」(FTCタール)に、及びあらゆる望ましいレベルのタール希釈にリストリクタ/グリセリンの組み合わせを適用することができる。
【0055】
グリセリンは、フェノールが低粒子効率のCAフィルタセグメントを従来のCAフィルタを通過するよりも高い比率で通過するという傾向を抑えるのに十分なレベルでタバコロッドに添加されることが好ましい。
【0056】
表2は、FTC条件及びさらに厳しいマサチューセッツ試験の両方による、7%のグリセリンをカット充填剤に含むとともに、下流フィルタセグメントの上流のセルロースアセテートと、これらの間の流量リストリクタと、通気ゾーンと連通状態にある流量リストリクタの下流のキャビティとを含むフィルタを含む好ましい実施形態の喫煙物品のタール含有量を開示するものである。FTC喫煙条件は、60秒毎に2秒間持続する35mlの吸煙を含む。「マサチューセッツ」喫煙条件は、通気の50%が遮断された状態で、30秒毎に2秒間持続する45cm3の吸煙を含む。
表2
リストリクタシガレットの試験結果
【0057】
上記の表から、CO/タール値が低いままであることは注目に値する。
【0058】
ある実施形態のシガレットは、FTC喫煙条件下で喫煙した場合、平均して吸煙当たり約0.9mg未満の、多くの場合約0.5mg未満の、及び通常約0.05mgから約0.3mgの間のFTC「タール」を生じることができる。このようなシガレットは、シガレット当たり約7mg未満のFTC「タール」を生じる「超低タール」シガレットである。通常、このようなシガレットは、FTC喫煙条件下で喫煙した場合、約9回未満の吸煙、及び多くの場合約6回から約8回の吸煙を生じる。
【0059】
ここで図9を参照すると、カット充填剤に加えたグリセリンの、主流煙中のフェノール化合物に対する効果を示している。約2%のグリセリンを含みリストリクタを含まない超低タールシガレットのフェノール/mgタールFTCは約0.9μgである。リストリクタ及び約2%のグリセリンを含む超低タールリストリクタフィルタシガレットのフェノール/mgタールFTCは約1.35μgである。対照的に、リストリクタ、約7%の高グリセリン含有量と、上流セルロースアセテートフィルタプラグとの両方を含む超低タールシガレットのフェノール/mgタールFTCは約0.55μgである。
【0060】
図10は、リストリクタ及び上流セルロースアセテートフィルタプラグを含むフィルタと、約7%のグリセリンを含むカット充填剤とを含有するシガレットの効果を、リストリクタと低レベルのグリセリン(約2%)とを含むフィルタを含有するシガレットと比較している。これらの効果を、従来の市販の超低送達シガレットのフェノールレベルと比較して表した。リストリクタ及び高グリセリンを含むシガレットは、主流煙中のフェノール量において40%近くの減少、カテコールにおいて約39%の減少、及びヒドロキノン量において約37%の減少を示した。対照的に、リストリクタ及び約2%のグリセリンを含有するシガレットは、主流煙中のカテコールにおいて若干の低下、ヒドロキノンにおいて若干の上昇、及びフェノールにおいて55%近くの上昇を示した。
【0061】
ここで図11を参照すると、グラフは、約70%の通気レベルと、リストリクタと、上流セルロースアセテートフィルタプラグとを含むフィルタと組み合わせたカット充填剤中の高グリセリン(約7%)の、FTCタール当たり送達に対する効果を示している。図示のように、約2%のグリセリンを含有する市販の超低タール送達喫煙物品、及びカーボンオントウ及び約2%のグリセリンを含む市販の超低タール(FTC)送達喫煙物品と比較した場合、CO、1,3−ブタジエン、NNK、NNN、カテコール、ヒドロキノン、フェノール、及びホルムアルデヒドのFTC送達/mgタールが減少している。
【0062】
7%のグリセリンを含む通気性の高いリストリクタシガレットが、45mgの活性炭と同じ又はそれよりも良好な煙成分の減少を達成したことは注目に値する。フィルタは、カーボンフィルタに伴って味を落とすことなく、カーボンフィルタシガレットに望まれる煙成分の減少を達成する。
【0063】
図12は、リストリクタ及び7%グリセリンを含む好ましい実施形態の超低タールシガレットを、2%のグリセリンを含む超低タールシガレット、及び45mgのカーボンオントウと2%のグリセリンとを含む超低タールシガレットと比較した時のFTC煙成分を示すグラフである。図示のように、好ましい実施形態により構成されたシガレットは、CO、ニコチン、及び1,3−ブタジエンの著しい減少を示した。
【0064】
また、表3は、上流セルロースアセテートプラグ及び高グリセリンレベル(約7%)を含むリストリクタフィルタ設計の、フィルタ中に活性炭を含むシガレットの主流煙の気相成分、及び活性炭を含まないシガレットの主流煙の気相成分に対する効果を示している。
表3
(STDは、標準偏差である)
【0065】
カーボンを含むことにより、紙又はCAトウのいずれにおいても、通気孔の上流のVOC、カルボニル、及びガス蒸気相の存在が、リストリクタ及び7%のグリセリンレベルに加えて活性炭を含有しないシガレットを越えて低下した。
【0066】
表4は、カット充填剤に7%のグリセリンを含むとともに、下流フィルタセグメントの上流にセルロースアセテートと、これらの間の流量リストリクタと、通気ゾーンと連通状態にある流量リストリクタの下流のキャビティとを含むフィルタを含む好ましい実施形態の喫煙物品を、約2%の標準量のグリセリンを含むとともに、下流フィルタセグメントの上流のセルロースアセテートと、これらの間の流量リストリクタと、通気ゾーンと連通状態にある流量リストリクタの下流のキャビティとを含むフィルタを含む喫煙物品と比較した時の粒子相成分の濃度を開示するものである。
表4
【0067】
表4に示すように、カット充填剤に7%のグリセリンを含む好ましい実施形態の喫煙物品の粒子相成分の濃度の方が、標準量(2%)を含む市販の低FTCタールの喫煙物品と比較して減少している。
【0068】
上述の説明は好ましい実施形態に関するものであり、従って物品及びこの物品を製造する方法の代表例にすぎないことが理解されるであろう。当業者にとっては、上記の教示に照らして異なる実施形態による変更及び修正が容易に明らかになることが理解できよう。従って、添付の特許請求の範囲に記載の物品及び方法についての思想及び範囲から逸脱することなく、例示的な実施形態並びに代替の実施形態を作成することができる。
【符号の説明】
【0069】
10 喫煙物品
12 タバコロッド
14 フィルタ
16 チップペーパー
18 上流フィルタセグメント
20 上流部
22 マウスピースフィルタセグメント
24 下流端部
26 リストリクタディスク
30 流量制限部
40 通気ゾーン
46 キャビティ
48 円筒管状フィルタセグメント
【背景技術】
【0001】
〔関連出願との相互参照〕
この出願は、2007年3月9日に出願された米国特許出願第60/905835号からの優先権を主張するものであり、この特許の内容全体が引用により本明細書に組み入れられる。
【0002】
従来、通気レベルの高い喫煙物品は、何らかの対策を施して吸引抵抗(RTD)の不足を補わない限り、通常、RTDが受け入れ難いほど低いレベルにあった。これまでは、高密度セルロースアセテートのフィルタセグメントを使用してこの不足に対処していた。しかしながら、このようなフィルタ化したセグメントは、一酸化炭素(CO)及び酸化窒素(NO)などのタバコの主流煙の気相成分にはほとんど又は全く影響を与えずにタール送達(FTC)を減少させる傾向にあった。この解決策は、低送達(FTCタール)のシガレットにおいてCO対タール(FTC)比を悪化させる傾向にあった。
【0003】
通気性は、単独での作用時には、主流煙の粒子相及び気相の両方を低減させるという点で望ましい特質を有する。しかしながら、上述したように、高通気性シガレットはRTDに欠点がある。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【図1A】フィルタチップペーパーを部分的に広げて内部フィルタ構成を示す、好ましい実施形態により構成された喫煙物品の側面図である。
【図1B】下流で通気を行うように構成した点火していない喫煙物品のRTD及び通気性の実験的測定値を示す図である。
【図1C】下流で通気を行うように構成した点火していない喫煙物品のRTD及び通気性の実験的測定値を示す図である。
【図1D】下流で通気を行うように構成した点火していない喫煙物品のRTD及び通気性の実験的測定値を示す図である。
【図1E】上流で通気を行うように構成した点火していない喫煙物品のRTD及び通気性の実験的測定値を示す図である。
【図1F】上流で通気を行うように構成した点火していない喫煙物品のRTD及び通気性の実験的測定値を示す図である。
【図1G】上流で通気を行うように構成した点火していない喫煙物品のRTD及び通気性の実験的測定値を示す図である。
【図2】グリセリン含有量の高い再構成タバコシートを作成する方法の例示的な実施形態を示す図である。
【図3】グリセリン含有量の高い再構成タバコシートを作成する方法の例示的な実施形態を示す図である。
【図4】さらなる実施形態による、チップペーパーを部分的に広げてフィルタ構成を示した状態の喫煙物品の側面図である。
【図5】さらなる実施形態による、チップペーパーを部分的に広げてフィルタ構成を示した状態の喫煙物品の側面図である。
【図6】チップペーパーを部分的に広げて、末端間が対称の流量制限フィルタセグメントを含むフィルタ構成を示した状態の喫煙物品の側面図である。
【図7】さらなる実施形態による、チップペーパーを部分的に広げてフィルタ構成を示した状態の喫煙物品の側面図である。
【図8】さらなる実施形態による、チップペーパーを部分的に広げてフィルタ構成を示した状態の喫煙物品の側面図である。
【図9】カット充填剤におけるグリセリン及びリストリクタフィルタの、煙中のフェノールに対する効果を示すグラフである。
【図10】リストリクタ及びカット充填剤に2%レベルのグリセリンを含有する基準シガレットと比較した、リストリクタフィルタ設計に対応するカット充填剤中の高グリセリンレベルの効果を示すグラフである。
【図11】市販の超低送達喫煙物品及びカーボンオントウを含む市販の超低送達喫煙物品と比較したときの、リストリクタフィルタ設計に対応するカット充填剤中の高グリセリンレベルの、タール当たりのFTC送達に対する効果を示すグラフである。
【図12】喫煙物品のFTC煙成分の減少を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0005】
フィルタ内にリストリクタを組み込むとともにタバコロッド内にグリセリンなどのエアロゾルフォーマを組み込んだ喫煙物品における吸煙中に、このようなグリセリンが蒸発し、タバコの主流煙にグリセリン及び水を導き入れて煙中に存在する粒子相成分を希釈する。粒子相は、カテコール、ヒドロキノン、フェノール及びタバコ特異的ニトロサミン(TSNA)などのフェノール成分を含む。所定のレベルのFTCタール送達の場合、粒子相の一部であるいずれかのグリセリンが、吸煙中にタバコの燃焼により別様に生じたと思われる他の粒子相成分に事実上取って代わるようになる。
【0006】
グリセリンなどのエアロゾルフォーマのなかにはタール希釈剤として作用するものもあり、十分な量が存在する場合、フェノール制御剤として作用して、主流煙中のフェノールレベルを、希釈のみに起因するレベルを超えてさらに低下させることができる。
【0007】
煙成分を通気フィルタで減少させることもできる。
通気性は、単独での作用時には、主流煙の粒子相及び気相の両方を低減させるという点で望ましい特質を有する。
【0008】
しかしながら、通気レベルの高い喫煙物品は、何らかの対策を施さない限り、通常、RTDが受け入れ難いほど低いレベルにあった。このRTDの問題に対する1つの解決策は、高密度セルロースアセテートフィルタセグメントを含むことであった。しかしながら、このような高密度フィルタセグメントは、一酸化炭素(CO)及び酸化窒素(NO)などのタバコの主流煙の気相成分にはほとんど又は全く影響を与えずにタール送達(FTC)を減少させる傾向にあった。この解決策は、特に低送達(FTCタール)のシガレットにおいてCO対タール(FTC)比を悪化させる傾向にある。
【0009】
一方、セルロースアセテートトウ及びトリアセチン可塑剤を含むセルロースアセテートフィルタセグメントは、シガレットの主流煙からフェノール及びクレゾールを除去する効果があることが知られている。このようなフィルタセグメントの質量又は密度が実質的に減少することにより、主流煙中におけるフェノール及びクレゾールの単位タール(FTC)当たりの構成レベルの割合が高くなる傾向にあった。
【0010】
従って、当業では、RTDが許容できる状態で、CO対FTCタール比を向上させるとともにフェノール及びクレゾールの両方を減少させる高通気性フィルタを有する喫煙物品の必要性が存在する。
【0011】
図1Aを参照すると、好ましい実施形態が、グリセリン含有量の高いカット充填剤を含むタバコロッド12と、チップペーパー16によりタバコロッド12に接続されたフィルタ14とを含む喫煙物品10を提供する。好ましい実施形態では、喫煙物品のタバコロッド12内のグリセリン含有量は、グリセリンが約4重量%から約35重量%であり、グリセリンが5重量%から10重量%であることがより好ましく、グリセリンが5重量%から8重量%であることが最も好ましい。
【0012】
ここで図1B〜図1D及び下記の表1を参照すると、下流に通気部を、及び上流に制限部を有する点火していないシガレットの場合、吸煙回数全体を通じて望ましい程度の通気性(約70%)が維持される。
【0013】
次に図1E〜1Gを参照すると、対照的に、通気孔を制限部の上流に設けた場合、吸煙回数が1回進むにつれて通気性が低下する傾向にあった。
表1
【0014】
1つの実施形態では、カット充填剤が、グリセリン含有量の高い再構成タバコシートを含む。タバコロッド12内の喫煙可能材料(カット充填剤)の約10%から約80%が再構成タバコシートからなることが好ましい。タバコロッドは、再構成タバコシートを約30%から約50%含むことがより好ましく、約35%から約45%含むことがさらに好ましい。しかしながら、他の実施形態では、カット充填剤が再構成タバコシートを含むのではなく、カット充填剤に加えられた高グリセリンレベルを含む。
【0015】
再構成タバコシートは、喫煙物品用の喫煙可能充填材に裁断される。再構成タバコシートは、約50%w/wまでのグリセリンを含むことが好ましい。1つの実施形態では、追加のカットタバコ充填材もタバコロッド12に加えられる。
【0016】
図2は、喫煙物品に含めるためのグリセリン含有量の高い再構成タバコシートを作成する方法の例示的な実施形態を示す図である。ステップ100において、タバコ材料を含有する水性スラリーを調整する。次のステップ200において、水性スラリーからタバコシートを形成する。ステップ300において、水性スラリーの含水量を50重量%未満に減少させる。タバコシートの含水量を減少させた後、エアロゾルフォーマを好ましくは約40℃未満の温度でタバコシートに加える。次に、ステップ500において、タバコシートは乾燥工程をたどる。
【0017】
図3は、再構成タバコシートを作成する方法の好ましい実施形態を示す図である。第1のステップにおいて、タバコ材料520と水540とを混合して水性スラリー560を形成する。タバコ材料520は、タバコ処理中及び/又はシガレット製造中に生じたタバコ葉片及び/又はタバコ粉塵であってもよい。例えば、タバコ材料520は、タバコ葉片及び/又はタバコ粉塵を含有するバランスで、少なくとも約50重量%の茎、好ましくは約70重量%から〜80重量%の茎を含有することができる。
【0018】
水性スラリー560は、分離工程580を受けて、可溶性部分600と繊維性部分620とを生成する。例えば、水性スラリー560を圧縮又は遠心分離して、可溶性部分600を除去することができる。可溶性部分600は、再構成タバコ製造工程に再び加えられらずに廃棄されることが好ましい。
【0019】
図2に示すように、本実施形態では、繊維性部分620が精製工程640を受けて、製紙を行うために繊維性部分620がより密に近づいた個々の繊維に加工される。(フォードリニアマシンなどの)製紙工程660により、繊維性部分620をタバコシートに成形する。この製紙工程660中、(フォードリニアワイヤなどの)ワイヤメッシュを通じて過剰な水分を抜き取ることによりシートの含水量が減少する。例えば、純粋な抜き取りにより、含水量を約98〜99重量%の開始含水量から約95重量%に減少させることができる。別の例では、抜き取りを水分の真空引きと組み合わせた場合、含水量を約85%に減少させることができる。
【0020】
製紙工程660の完了後、タバコシートは水分減少工程680を受けてシートの含水量が減少する。含水量は、50重量%未満に減少するが、30重量%よりも多いことが好ましい。他の例示的な実施形態では、含水量が、45重量%未満、40重量%未満、又は35重量%未満に減少する。例えば、蒸気加熱金属ドラム(すなわちヤンキードライヤー)上にシートを置いて含水量を減少させ、その後、任意でさらに小型の蒸気加熱表面ドライヤー(すなわちカンドライヤー)上に置くことができる。
【0021】
水分減少工程680後、シートにエアロゾルフォーマ溶液720を加える。例えば、シートをサイズプレス700に通すことができ、ここでシートの両面にエアロゾルフォーマ溶液720を加えるように構成された2つの垂直又は水平ローラ間にシートが送り込まれる。エアロゾルフォーマ溶液720は、他の添加剤740を含むことができる。代替の実施形態では、シート上にエアロゾルフォーマ溶液720を噴霧し、或いはシートをエアロゾルフォーマ溶液720中に浸漬することができる。
【0022】
エアロゾルフォーマの例として、グリセリン、プロピレングリコール、エチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、及び/又はオレイルアルコールが挙げられる。
【0023】
1つの実施形態では、エアロゾルフォーマ溶液720が約40℃未満の温度でシートに加えられる。他の例示的な実施形態では、エアロゾルフォーマ溶液720が、約30℃又は25℃未満又は周囲温度などの約35℃未満の温度でシートに加えられる。
【0024】
グリセリンは、エアロゾルフォーマ溶液720に好ましいエアロゾルフォーマである。グリセリンは、喫煙物品の燃焼するタバコロッド内に存在する場合、不活性なグリセリンのエアロゾル及び水蒸気を生成する。例えば、グリセリンエアロゾルフォーマを、約20体積%から80体積%のグリセリンを含有するエアロゾルグリセリン溶液の形でシートに加えることができる。代替の実施形態では、グリセリン溶液が、約50から80体積%のグリセリンを含有することができる。水性グリセリン溶液は、約75体積%から約80体積%の間のグリセリンを含有することが好ましい。約100%のグリセリン溶液を使用しようと試みても、グリセリンのタバコ材料への吸収が悪くなり、製造工程において問題となる可能性のある粘着面が生じることになる。
【0025】
エアロゾルフォーマ溶液720はまた、香味料、(グリセリン以外の)保湿剤、及び/又はアセテート化合物などの他の添加剤740を含有することもできる。香味料の例として、甘草、糖、イソスイート、ココア、ラベンダ、シナモン、カルダモン、セロリ、コロハ、カスカリラ、白壇材、ベルガモット、ゼラニウム、ハニーエッセンス、ローズ油、バニラ、レモン油、オレンジ油、ハッカ油、カッシア、キャラウェー、コニャック、ジャスミン、カモミール、メントール、カッシア、イランイラン、セージ、スペアミント、ジンジャー、コリアンダー、コーヒーなどが挙げられる。グリセリン以外の保湿剤の例として、プロピレングリコールなどが挙げられる。
【0026】
グリセリン濃度の高いタバコ材料はまた、任意の添加剤を含有することもできる。アセテートは、特にグリセリンとの組み合わせにおいてタバコ煙のTPM細胞毒性の減少を促進する可能性があるとされてきた。アセテート化合物は、燃焼する喫煙物品の煙中のTPM又はフェノール成分をさらに減少させることができる。1つの実施形態では、アセテート化合物に、アンモニウムアセテート、カルシウムアセテート、及び/又はマグネシウムアセテートが含まれる。カット充填剤としてシートを加えた燃焼する喫煙物品の煙中のカテコール、ヒドロキノン、フェノール、又はTSNAの減少を促進するのに効果的な量で1又はそれ以上のアセテート化合物が添加される。
【0027】
図3に示すように、エアロゾルフォーマ溶液720を加えたサイズプレス700にシートを通した後、シートは乾燥工程760を受ける。例えば、乾燥工程760は、トンネル又はエプロンドライヤにシートを通すステップを含むことができる。
【0028】
エアロゾルフォーマ溶液720をグリセリンとする1つの実施形態では、乾燥時に非粘着シートを生成するのに効果的な量でグリセリン溶液が添加される。別の実施形態では、乾燥後のタバコシートの約50重量%までの量でグリセリン溶液が添加される。
【0029】
タバコシートに乾燥後のシートの約5から約20重量%の間の量でアンモニウムアセテートを加えることができると好ましく、この量は約10から12%の間であることがより好ましい。アンモニウムアセテートの代わりに、或いはこれに加えて、乾燥後のシートの約1重量%から約10重量%の間の量でカルシウムアセテートを加えることができると好ましく、この量は約4%であることがより好ましい。アンモニウムアセテート及び/又はカルシウムアセテートの代わりに、乾燥後のシートの約5重量%から約20重量%の間の量でマグネシウムアセテートを加えることができると好ましく、この量は約8から10%の間であることがより好ましい。
【0030】
乾燥工程760の後、(グリセリン、プロピレングリコール、マンニトール、ソルビトールなどの)エアロゾルフォーマを含有するシートをカット充填剤に細断し、喫煙物品に加えることができる。タバコ由来のTPMの全体的な減少は、カット充填剤の一部として喫煙物品に加えられるグリセリンの量に比例する。
【0031】
図1Aでわかるように、喫煙物品10のフィルタ14は、フィルタ14の上流部20における第1の上流フィルタセグメント(リストリクタ)18と、フィルタ14の下流端部24におけるマウスピースフィルタセグメント22と、第1のフィルタセグメント18とマウスピースフィルタセグメント22との間に位置する流量制限フィルタセグメント26とを含むことが好ましい。この実施形態では、フィルタセグメント18及び22は、フィラメント当たりのデニール(dpf)が8dpfなどの約5.0dpfから約15.0dpf、総デニール(td)が35,000tdなどの約10,000tdから約50,000tdの低密度に充填された大径繊維のセルロースアセテートトウで構成された低粒子効率のフィルタセグメントであることが好ましい。フィルタセグメントは、フィラメント当たり約6.0デニールから約15.0デニールのセルロースアセテートトウを含むことがより好ましい。この実施形態はまた、第1の上流フィルタセグメント18に隣接するとともに約3mmから10mmの長さの、より好ましくは約3mmから7mmの長さの比較的短い流量制限フィルタセグメント26(以下、リストリクタディスク26)も含む。この実施形態では、円筒管状フィルタセグメント48の内周、及びマウスピースフィルタセグメント22とリストリクタディスク26との間の空間により、フィルタ14内のキャビティ46が少なくともある程度定められる。キャビティ沿いの位置には通気ゾーン40が設けられ、この位置は、流量制限部30の下流にあるとともにマウスピースセグメント22から上流に離間することが好ましい。管状フィルタセグメント48は、セルロースアセテートなどの比較的重いフィルタプラグラップ、紙又はその他の材料で構成されることが好ましい。
【0032】
この実施形態では、通気ゾーン40が複数の通気孔41を含み、これらの通気孔はチップペーパー16を貫通し、及び好ましくは管状フィルタセグメント48を貫通して延びる。従って、喫煙物品10の製造中にオンラインレーザ穿孔技術(又はその他の穿孔技術)によりフィルタセグメント48にレーザ穿孔を行って通気孔を設けることができるように、フィルタセグメント48の材料はセルロース系であることが好ましい。代替の方法では、(予め穿孔したチップペーパー又はオンライン穿孔技術のいずれかを使用することにより)チップペーパー16にのみ通気孔を設け、管状セグメント48を、通気孔41とキャビティ46との間の連通を確立するのに十分な空気透過性を有するようにする。機械的(ピン)穿孔技術及び/又は静電技術などのその他の穿孔技術も使用できることが好ましい。
【0033】
図4を参照すると、別の実施形態が、グリセリン含有量の高いカット充填剤を含むタバコロッドと、チップペーパーによりタバコロッドと接続されたフィルタとを含む喫煙物品を提供する。フィルタは、フィルタの上流端部におけるセルロースアセテートトウで構成された第1の上流フィルタセグメント18と、フィルタの下流端部におけるセルロースアセテートトウで構成されたマウスピースフィルタセグメント22と、第1のフィルタセグメント18とマウスピースフィルタセグメント22との間に位置するが、好ましくは上流セグメント18に隣接するリストリクタディスク26とを含むことが好ましい。この実施形態では、好ましくは螺旋状の巻線形紙管48により、フィルタ内のキャビティ46が少なくともある程度定められ、この管48は、フィルタの全長に延びるとともに自立するのに十分な強度であり、しかもオンラインレーザ穿孔に対応するのに十分な薄さである。リストリクタディスクの外環は、紙管48の内面と滑りばめされることが好ましい。この実施形態では、円筒管状フィルタセグメント48の内面、及びマウスピースフィルタセグメント22とリストリクタディスク26との間の空間により、フィルタ14内のキャビティ46が少なくともある程度定められる。キャビティ沿いの位置に通気ゾーン40が設けられ、この位置は、流量制限部30の下流にあるとともにマウスピースセグメント22から離間することが好ましい。管を押出し成形したり、或いは縦方向に継ぎ目を設けて管を形成したりするようなその他の材料又はその他の成形技術を使用して管48を作成することもできる。
【0034】
図5を参照すると、別の実施形態が、グリセリン含有量の高いカット充填剤を含むタバコロッドと、チップペーパーによりタバコロッドと接続されたフィルタとを含む喫煙物品を提供する。フィルタは、フィルタの上流部におけるカーボンオントウで構成された第1のフィルタセグメント19と、第1のフィルタセグメント19の下流のセルロースアセテートトウで構成された第2のフィルタセグメント18と、フィルタの下流端におけるセルロースアセテートトウで構成されたマウスピースフィルタセグメント22と、第2のフィルタセグメント18とマウスピースフィルタセグメント22との間に位置するリストリクタディスク26を含むことが好ましい。この実施形態では、リストリクタディスク26の外環は、リストリクタディスク26を管48に沿って左から右へ押し込みやすくするようにわずかに裁頭円錐形であることが好ましい。この実施形態では、円筒管状フィルタセグメント48の内面、及びマウスピースフィルタセグメント22とリストリクタディスク26との間の空間により、フィルタ14内のキャビティ46が少なくともある程度定められる。キャビティ沿いの位置に通気ゾーン40が設けられ、この位置は、流量制限部30の下流にあるとともにマウスピースセグメント22から離間することが好ましい。
【0035】
図6を参照すると、別の実施形態が、グリセリン含有量の高いカット充填剤を含むタバコロッドと、チップペーパーによりタバコロッドと接続されたフィルタとを含む喫煙物品を提供する。フィルタは、フィルタの上流部におけるカーボンオントウで構成された第1のフィルタセグメント19と、第1のフィルタセグメント19の下流のセルロースアセテートトウで構成された第2のフィルタセグメント18と、フィルタの下流端におけるセルロースアセテートトウで構成されたマウスピースフィルタセグメント22と、第2のフィルタセグメント18とマウスピースフィルタセグメント22との間に位置する流量制限オリフィス30を有するリストリクタディスク26を含む流量制限フィルタとを含むことが好ましい。この実施形態では、リストリクタディスク26は左右対称であり、或いは末端間が対称であることが好ましい。この実施形態では、円筒管状フィルタセグメント48の内面、及びマウスピースフィルタセグメント22とリストリクタディスク26との間の空間により、フィルタ14内のキャビティ46が少なくともある程度定められる。キャビティ沿いの位置に通気ゾーン40が設けられ、この位置は、流量制限部30の下流にあるとともにマウスピースセグメント22から離間することが好ましい。
【0036】
図7を参照すると、別の実施形態が、タバコロッドと、チップペーパーによりタバコロッドと接続されたフィルタとを含む喫煙物品を提供する。フィルタ14は、フィルタ14の上流部におけるフィルタトウ材料のセグメント18と、フィルタセグメント18の下流に位置する流量制限オリフィス30を有するリストリクタディスク26を含む流量制限フィルタセグメントとを含むことが好ましい。この実施形態では、円筒管状フィルタセグメント48の内面、及びマウスピースフィルタセグメント22とリストリクタディスク26との間の空間により、フィルタ14内のキャビティ46が少なくともある程度定められる。キャビティ沿いの位置に通気ゾーン40が設けられ、この位置は、流量制限部30の下流にあるとともにフィルタの口側端から離間することが好ましい。
【0037】
図8を参照すると、別の実施形態が、タバコロッドと、チップペーパーによりタバコロッドと接続されたフィルタとを含む喫煙物品を提供する。フィルタは、フィルタの上流部におけるカーボンオントウで構成された第1のフィルタセグメント19と、第1のフィルタセグメント19の下流のセルロースアセテートトウで構成された第2のフィルタセグメント18と、第2のフィルタセグメント18の下流に位置する流量制限オリフィス30を有するリストリクタディスク26を含む流量制限フィルタとを含むことが好ましい。この実施形態では、円筒管状フィルタセグメント48の内面、及びマウスピースフィルタセグメント22とリストリクタディスク26との間の空間により、フィルタ14内のキャビティ46が少なくともある程度定められる。キャビティ沿いの位置に通気ゾーン40が設けられ、この位置は、流量制限部30の下流にあるとともにフィルタの口側端から離間することが好ましい。
【0038】
例示的な83mmの喫煙物品にとって好ましい寸法として、例えば、約27mmのフィルタの長さ、約7mmの口側端フィルタセグメントの長さ、喫煙物品の口側端から約12mmに位置する通気孔、約5mmのリストリクタディスクの長さ、約2.5mmのセルロースアセテートトウセグメントの長さ、及び約7mmのカーボンオントウフィルタセグメントの長さが挙げられる。
【0039】
通気ゾーン40は、チップペーパー16及び好ましくはフィルタチューブ48’を貫く第1の列(及び任意に第2の列及び場合によっては第3の列)の通気孔で定められる。従って、空気は、通気ゾーン40の通気孔を通じて、流量制限部30とマウスピースセグメント22との間に形成されたキャビティ46内へ吸引されることが好ましい。
【0040】
通気ゾーン40を流量制限部30の近くに、或いはこれに隣接して配置することにより、通気ゾーン40を通って吸引された空気をマウスピースフィルタ22に到達する前に主流煙と混合できるようにすることが好ましい。通気ゾーン40とマウスピースフィルタ22との間の距離は、少なくとも5mm又は5mmから12mmの範囲であることが好ましい。同様に、流量制限部30は、マウスピースフィルタ22から約4mmから15mm離間されることが好ましく、約6mmから10mm離間されることがより好ましい。これらの特徴は、マウスピースフィルタ22における粒子相煙成分の固着を最小化するのに役立ち、このことがさらに、所望のCO対タール(FTC)比を維持するのに役立つ。
【0041】
通気ゾーン40は、少なくとも25%、さらに好ましくは少なくとも50%から90%の喫煙物品の通気レベルを達成することが好ましい。
【0042】
さらに、本実施形態は、望ましい量の吸引抵抗を実現する一方で、吸煙回数全体を通じて望ましい程度の高通気性を維持する。後者の特質は、流量制限部26の下流に通気ゾーン40を配置することにより達成される。さらに、キャビティに沿って通気部を配置することにより、通気ゾーンを通じてフィルタ内に吸引された空気とタバコロッドから吸引された主流煙との混合が確実になる。
【0043】
リストリクタディスク26は、流量制限部30を定める区画(内部に1又はそれ以上のオリフィスを有する横壁)を含むことができ、この区画は小径のオリフィスを含む。この区画は、区画を通り抜ける主流煙の流れの方向に入るか、或いは流れの方向から離れるかのいずれかの向きの裁頭円錐形及び先細形であってもよい。さらに、リストリクタディスク26の内部に一対の区画を配置して、リストリクタディスク26の末端間を対称にすることができる。末端間が対称なフィルタ構成により、ロッド製造機械が最初に構成要素の一端を順方向に向けるか又は逆方向に向けるかに関係なく構成要素が同じように機能するという点で高速のフィルタロッド製造が容易になる。
【0044】
末端間が対称なリストリクタディスク26は、横壁(区画)の対向する両側面に同じ長さの管状ボディ部分を有する。このような配置により、リストリクタディスク26の末端間が対称であることによってフィルタの製造が容易になる。
【0045】
任意に、上述したような通気ゾーン40に加えて、流量制限部30の上流に通気部の第2のゾーンを配置することができる。
【0046】
予め穿孔したチップペーパーを使用することにより、喫煙物品10の製造が容易になる。
【0047】
十分な圧力降下をもたらすように流量制限部30をサイズ決めすることにより、喫煙物品10が少なくとも70mm水柱又はそれ以上、好ましくは90mm水柱から120mm水柱の範囲の吸引抵抗を示すようにすることが好ましい。1つの実施形態では、十分な圧力降下をもたらすように流量制限部30をサイズ決めすることにより、喫煙物品10が少なくとも50mm水柱又はそれより以上、好ましくは60mm水柱から90mm水柱の範囲の吸引抵抗を示すようになる。区画(横壁)は、好ましくは約7.0mmから8.0mm、さらに好ましくは約7.4mmから7.8mmの直径を有し、この場合、区画は、直径が約0.5mmから約0.9mm、さらに好ましくは約0.5mmから0.7mmの1又は任意で少なくとも1つのオリフィスを有することが好ましい。リストリクタ構成要素の圧力降下は開口面積によって決まるので、複数のオリフィスを使用することもできる。例えば、1つの実施形態では、直径がそれぞれ約0.5mmの2つのオリフィスが区画内に存在する。
【0048】
リストリクタディスク26は、紙、プラスチック、ポリマー又は金属で構成することができ、紙製品、又は生分解性プラスチック/ポリマー、又は分解特性を有するその他の適当な材料で作成できることがさらに好ましい。しかしながら、プラスチックを使用する場合、リストリクタディスク26が小さくなり、フィルタの非生分解性内容物は最小限に抑えられる。
【0049】
上述のフィルタ設計の利点は、シガレットを高速で製造するために当業界で通常使用される単純な結合技術でフィルタを構成できる点にある。また、個々の実施形態は、フィルタ14の長さ全体にわたって望ましい硬さを提供するために、キャビティ46の周りに管状支持体を含む。
【0050】
さらに、本実施形態は、必要な量の吸引抵抗を実現する一方で、喫煙全体を通じて望ましい程度の高い通気性を維持する。後者の特質は、流量制限部30の下流に通気ゾーン40を配置することにより達成される。
【0051】
さらに、マウスピースセグメント22と間隔を置いた関係で通気ゾーン40内に通気部を配置することにより、通気ゾーン40を通してフィルタ14内に吸引された空気とタバコロッド12から吸引された主流煙との混合が確実になる。1つの試験済みの実施形態では、良好な混合を示す均一な染みのパターンがマウスピースフィルタ22の頬側端部に現れた。
【0052】
本開示により構成したシガレットの喫煙中、喫煙全体を通じて(50%から90%、好ましくは約60%又は約70%などの)望ましい程度の通気性が維持されることが好ましい。
【0053】
主流煙中のフェノール成分への対処
可塑剤としてトリアセチンを含むセルロースアセテート(CA)フィルタは、同じタールベースでフィルタなしシガレットと比較した場合、シガレットの主流煙からフェノール及びクレゾールを除去することが知られている。本リストリクタフィルタ設計は、フィルタ内のこのようなCAの量を約50%減少させる(例えば、従来の27mmフィルタのシガレット対このようなCAセグメントを10mmから14mm含む同等のリストリクタフィルタ)。CAが減少することにより、従来のCAフィルタと比較して単位タール(FTC)当たりフェノール及び単位タール(FTC)当たりクレゾールのレベルは明らかに増加するが、リストリクタフィルタ設計におけるフェノール/タール及びクレゾール/タール比は、同じタールベースにおけるフィルタなしシガレットのフェノール/タール及びクレゾール/タール比よりも依然として低い。この効果を抑えるために、グリセリンなどのエアロゾルフォーマをタバコカット充填剤に添加して、クレゾール/タール及びフェノール/タール比を補償及び減少させ、すなわちグリセリンの添加が、より少ない量の可塑化CAを含有する喫煙物品中のフェノール/タール及びクレゾール/タール比の相対的増加を抑える役目を果たすようにする。
【0054】
希釈のみに起因する予想される減少を越えて、グリセリンは(カテコール及びヒドロキノンを含む)フェノール及びポリフェノールに対して追加の効果を奏し、これは、タバコロッド中のグリセリンが、何らかの化学的及び/又は物理的メカニズムによりこれらの化合物のレベルを低下させる傾向にあると考えられる。グリセリンは、タール希釈作用と、タバコロッド内に存在することによりハイドロキノン及びカテコールなどの粒子相煙成分を機構的にさらに減少させる作用との両方を兼ね備えた作用物質である。あらゆる送達レベル又は「タールカテゴリー」(FTCタール)に、及びあらゆる望ましいレベルのタール希釈にリストリクタ/グリセリンの組み合わせを適用することができる。
【0055】
グリセリンは、フェノールが低粒子効率のCAフィルタセグメントを従来のCAフィルタを通過するよりも高い比率で通過するという傾向を抑えるのに十分なレベルでタバコロッドに添加されることが好ましい。
【0056】
表2は、FTC条件及びさらに厳しいマサチューセッツ試験の両方による、7%のグリセリンをカット充填剤に含むとともに、下流フィルタセグメントの上流のセルロースアセテートと、これらの間の流量リストリクタと、通気ゾーンと連通状態にある流量リストリクタの下流のキャビティとを含むフィルタを含む好ましい実施形態の喫煙物品のタール含有量を開示するものである。FTC喫煙条件は、60秒毎に2秒間持続する35mlの吸煙を含む。「マサチューセッツ」喫煙条件は、通気の50%が遮断された状態で、30秒毎に2秒間持続する45cm3の吸煙を含む。
表2
リストリクタシガレットの試験結果
【0057】
上記の表から、CO/タール値が低いままであることは注目に値する。
【0058】
ある実施形態のシガレットは、FTC喫煙条件下で喫煙した場合、平均して吸煙当たり約0.9mg未満の、多くの場合約0.5mg未満の、及び通常約0.05mgから約0.3mgの間のFTC「タール」を生じることができる。このようなシガレットは、シガレット当たり約7mg未満のFTC「タール」を生じる「超低タール」シガレットである。通常、このようなシガレットは、FTC喫煙条件下で喫煙した場合、約9回未満の吸煙、及び多くの場合約6回から約8回の吸煙を生じる。
【0059】
ここで図9を参照すると、カット充填剤に加えたグリセリンの、主流煙中のフェノール化合物に対する効果を示している。約2%のグリセリンを含みリストリクタを含まない超低タールシガレットのフェノール/mgタールFTCは約0.9μgである。リストリクタ及び約2%のグリセリンを含む超低タールリストリクタフィルタシガレットのフェノール/mgタールFTCは約1.35μgである。対照的に、リストリクタ、約7%の高グリセリン含有量と、上流セルロースアセテートフィルタプラグとの両方を含む超低タールシガレットのフェノール/mgタールFTCは約0.55μgである。
【0060】
図10は、リストリクタ及び上流セルロースアセテートフィルタプラグを含むフィルタと、約7%のグリセリンを含むカット充填剤とを含有するシガレットの効果を、リストリクタと低レベルのグリセリン(約2%)とを含むフィルタを含有するシガレットと比較している。これらの効果を、従来の市販の超低送達シガレットのフェノールレベルと比較して表した。リストリクタ及び高グリセリンを含むシガレットは、主流煙中のフェノール量において40%近くの減少、カテコールにおいて約39%の減少、及びヒドロキノン量において約37%の減少を示した。対照的に、リストリクタ及び約2%のグリセリンを含有するシガレットは、主流煙中のカテコールにおいて若干の低下、ヒドロキノンにおいて若干の上昇、及びフェノールにおいて55%近くの上昇を示した。
【0061】
ここで図11を参照すると、グラフは、約70%の通気レベルと、リストリクタと、上流セルロースアセテートフィルタプラグとを含むフィルタと組み合わせたカット充填剤中の高グリセリン(約7%)の、FTCタール当たり送達に対する効果を示している。図示のように、約2%のグリセリンを含有する市販の超低タール送達喫煙物品、及びカーボンオントウ及び約2%のグリセリンを含む市販の超低タール(FTC)送達喫煙物品と比較した場合、CO、1,3−ブタジエン、NNK、NNN、カテコール、ヒドロキノン、フェノール、及びホルムアルデヒドのFTC送達/mgタールが減少している。
【0062】
7%のグリセリンを含む通気性の高いリストリクタシガレットが、45mgの活性炭と同じ又はそれよりも良好な煙成分の減少を達成したことは注目に値する。フィルタは、カーボンフィルタに伴って味を落とすことなく、カーボンフィルタシガレットに望まれる煙成分の減少を達成する。
【0063】
図12は、リストリクタ及び7%グリセリンを含む好ましい実施形態の超低タールシガレットを、2%のグリセリンを含む超低タールシガレット、及び45mgのカーボンオントウと2%のグリセリンとを含む超低タールシガレットと比較した時のFTC煙成分を示すグラフである。図示のように、好ましい実施形態により構成されたシガレットは、CO、ニコチン、及び1,3−ブタジエンの著しい減少を示した。
【0064】
また、表3は、上流セルロースアセテートプラグ及び高グリセリンレベル(約7%)を含むリストリクタフィルタ設計の、フィルタ中に活性炭を含むシガレットの主流煙の気相成分、及び活性炭を含まないシガレットの主流煙の気相成分に対する効果を示している。
表3
(STDは、標準偏差である)
【0065】
カーボンを含むことにより、紙又はCAトウのいずれにおいても、通気孔の上流のVOC、カルボニル、及びガス蒸気相の存在が、リストリクタ及び7%のグリセリンレベルに加えて活性炭を含有しないシガレットを越えて低下した。
【0066】
表4は、カット充填剤に7%のグリセリンを含むとともに、下流フィルタセグメントの上流にセルロースアセテートと、これらの間の流量リストリクタと、通気ゾーンと連通状態にある流量リストリクタの下流のキャビティとを含むフィルタを含む好ましい実施形態の喫煙物品を、約2%の標準量のグリセリンを含むとともに、下流フィルタセグメントの上流のセルロースアセテートと、これらの間の流量リストリクタと、通気ゾーンと連通状態にある流量リストリクタの下流のキャビティとを含むフィルタを含む喫煙物品と比較した時の粒子相成分の濃度を開示するものである。
表4
【0067】
表4に示すように、カット充填剤に7%のグリセリンを含む好ましい実施形態の喫煙物品の粒子相成分の濃度の方が、標準量(2%)を含む市販の低FTCタールの喫煙物品と比較して減少している。
【0068】
上述の説明は好ましい実施形態に関するものであり、従って物品及びこの物品を製造する方法の代表例にすぎないことが理解されるであろう。当業者にとっては、上記の教示に照らして異なる実施形態による変更及び修正が容易に明らかになることが理解できよう。従って、添付の特許請求の範囲に記載の物品及び方法についての思想及び範囲から逸脱することなく、例示的な実施形態並びに代替の実施形態を作成することができる。
【符号の説明】
【0069】
10 喫煙物品
12 タバコロッド
14 フィルタ
16 チップペーパー
18 上流フィルタセグメント
20 上流部
22 マウスピースフィルタセグメント
24 下流端部
26 リストリクタディスク
30 流量制限部
40 通気ゾーン
46 キャビティ
48 円筒管状フィルタセグメント
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾルフォーマを含む喫煙可能材料を含むタバコロッドとフィルタとを備えた喫煙物品であって、該フィルタが、
前記第1のフィルタセグメントに隣接するとともにこれに対して下流関係にある位置に存在する流量制限フィルタセグメントと、
前記流量制限フィルタセグメントと連通するとともにこれに対して下流関係にあるキャビティと、
前記キャビティに沿うとともにこれと連通する位置に存在し、前記流量制限フィルタセグメントに対して下流関係にある通気ゾーンと、
を備えることを特徴とする喫煙物品。
【請求項2】
前記フィルタが、前記タバコロッドにチップペーパーで取り付けられた円筒管と、前記円筒管に沿うとともに前記タバコロッドに対して下流関係にある位置に存在する第1のフィルタセグメントとをさらに含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の喫煙物品。
【請求項3】
前記エアロゾルフォーマは約4%から約35%の量のグリセリンであり、或いは前記エアロゾルフォーマは約5%から約15%の量のグリセリンである、
ことを特徴とする請求項1に記載の喫煙物品。
【請求項4】
前記喫煙可能充填剤が、アンモニアアセテート、カルシウムアセテート、マグネシウムアセテート、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されたアセテート化合物をさらに含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の喫煙物品。
【請求項5】
前記喫煙可能充填材が細断した再構成タバコシートを含み、前記エアロゾルフォーマが前記再構成タバコシートの構成要素である、
ことを特徴とする請求項1に記載の喫煙物品。
【請求項6】
前記再構成タバコシートが、前記喫煙可能材料の約10重量%から約80重量%の量で該喫煙可能材料に含まれ、或いは前記再構成タバコシートが、前記喫煙可能材料の約30重量%から約50重量%の量で該喫煙可能材料に含まれる、
ことを特徴とする請求項5に記載の喫煙物品。
【請求項7】
前記流量制限フィルタセグメントが、内部に1又はそれ以上のオリフィスを含む横壁を有する管状セグメントを含み、前記横壁が、前記管状セグメントの上流端と下流端との間の中心に位置する、
ことを特徴とする請求項1に記載の喫煙物品。
【請求項8】
前記通気ゾーンが、該通気ゾーンを通じて吸引された空気と前記タバコロッドを通じて吸引された主流煙との混合を促すのに十分な距離だけ前記マウスピースフィルタから離間される、
ことを特徴とする請求項1に記載の喫煙物品。
【請求項9】
前記流量制限フィルタセグメントが、該流量制限フィルタセグメントの部分に対する煙成分の固着を減少させるのに十分な距離だけ前記第1のフィルタセグメントから離間した流量制限部を含み、該流量制限部は複数のオリフィスを含み、該複数のオリフィスの各々は約0.2mmから約0.6mmの直径を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の喫煙物品。
【請求項10】
前記フィルタが、約70mm水柱又はそれ以上の所定の吸引抵抗を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の喫煙物品。
【請求項11】
前記流量制限部の上流に、フィルタセグメントを含有する吸着剤をさらに含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の喫煙物品。
【請求項12】
前記フィルタが、約60mm水柱から約90mm水柱の所定の吸引抵抗を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の喫煙物品。
【請求項13】
前記流量制限フィルタセグメントが、前記第1のフィルタセグメントに隣接するとともにこれに対して下流関係にある位置に存在する前記円筒管に押し込まれ、或いは前記流量制限フィルタセグメントが前記円筒管に滑りばめされ、該円筒管は前記フィルタの長さと同延である、
ことを特徴とする請求項1に記載の喫煙物品。
【請求項14】
前記流量制限フィルタセグメントが、その上流及び下流端に傾斜端部を備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の喫煙物品。
【請求項15】
前記流量制限フィルタセグメントが、下流又は上流へ先細形となった裁頭円錐形の横壁を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の喫煙物品。
【請求項16】
前記流量制限フィルタセグメントが、約5mm又はそれ以下の長さのリストリクタディスクである、
ことを特徴とする請求項15に記載の喫煙物品。
【請求項17】
主流煙を処理する方法であって、
タバコロッドからリストリクタを通じて主流煙を吸引するステップと同時に、通気ゾーンを前記リストリクタ下流の前記主流煙と連通させるステップと、
前記吸引ステップ中に、前記主流煙をグリセリンエアロゾル成分で希釈するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項18】
組み合わせにより、0.7未満のCO/タール(FTC)比の主流煙及び少なくとも70mm水柱のRTDを生む出すために、
所定の吸引抵抗を確立するように配置されたリストリクタと、
吸煙当たりのタバコの消費量を減少させるための通気ゾーンと、
タール希釈剤と、
を備え、
前記タール希釈剤が、タール希釈剤として作用するとともにフェノールを約2.0μgフェノール/mgタールFTC未満のレベルに減少させるのに十分な量添加される、
ことを特徴とする喫煙物品。
【請求項19】
フィラメント当たり6デニール又はそれ以上の低粒子濾過効率セルロースアセテートフィルタセグメントをさらに含む、
ことを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項20】
タール希釈剤として及び主流煙中のフェノールレベルを低下させるためのメカニズムとして機能するフェノール制御剤を含む喫煙可能材料を含むタバコロッドと、
前記チップペーパーにより前記タバコロッドに取り付けられたフィルタと、
を備え、前記フィルタは、前記タバコロッドに隣接する上流端と、前記フィルタの下流端に存在する低濾過効率セルロースアセテートのフィルタプラグと、該フィルタプラグの上流において前記フィルタを貫通する少なくとも1つの流路を定めるリストリクタと、前記フィルタプラグの上流端と前記リストリクタの下流端との間に延びる空のキャビティと、前記チップペーパーを貫通して延びるとともに前記キャビティと連通する通気ゾーンとを有し、前記リストリクタは少なくとも70mm水柱の吸引抵抗を実現し、前記通気ゾーンは前記主流煙に少なくとも60%の希釈を行い、前記フェノール制御剤は、前記タバコロッド内の前記喫煙材料の少なくとも4重量%の量で前記タバコロッド内に存在するグリセリンを含む、
ことを特徴とする喫煙物品。
【請求項1】
エアロゾルフォーマを含む喫煙可能材料を含むタバコロッドとフィルタとを備えた喫煙物品であって、該フィルタが、
前記第1のフィルタセグメントに隣接するとともにこれに対して下流関係にある位置に存在する流量制限フィルタセグメントと、
前記流量制限フィルタセグメントと連通するとともにこれに対して下流関係にあるキャビティと、
前記キャビティに沿うとともにこれと連通する位置に存在し、前記流量制限フィルタセグメントに対して下流関係にある通気ゾーンと、
を備えることを特徴とする喫煙物品。
【請求項2】
前記フィルタが、前記タバコロッドにチップペーパーで取り付けられた円筒管と、前記円筒管に沿うとともに前記タバコロッドに対して下流関係にある位置に存在する第1のフィルタセグメントとをさらに含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の喫煙物品。
【請求項3】
前記エアロゾルフォーマは約4%から約35%の量のグリセリンであり、或いは前記エアロゾルフォーマは約5%から約15%の量のグリセリンである、
ことを特徴とする請求項1に記載の喫煙物品。
【請求項4】
前記喫煙可能充填剤が、アンモニアアセテート、カルシウムアセテート、マグネシウムアセテート、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されたアセテート化合物をさらに含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の喫煙物品。
【請求項5】
前記喫煙可能充填材が細断した再構成タバコシートを含み、前記エアロゾルフォーマが前記再構成タバコシートの構成要素である、
ことを特徴とする請求項1に記載の喫煙物品。
【請求項6】
前記再構成タバコシートが、前記喫煙可能材料の約10重量%から約80重量%の量で該喫煙可能材料に含まれ、或いは前記再構成タバコシートが、前記喫煙可能材料の約30重量%から約50重量%の量で該喫煙可能材料に含まれる、
ことを特徴とする請求項5に記載の喫煙物品。
【請求項7】
前記流量制限フィルタセグメントが、内部に1又はそれ以上のオリフィスを含む横壁を有する管状セグメントを含み、前記横壁が、前記管状セグメントの上流端と下流端との間の中心に位置する、
ことを特徴とする請求項1に記載の喫煙物品。
【請求項8】
前記通気ゾーンが、該通気ゾーンを通じて吸引された空気と前記タバコロッドを通じて吸引された主流煙との混合を促すのに十分な距離だけ前記マウスピースフィルタから離間される、
ことを特徴とする請求項1に記載の喫煙物品。
【請求項9】
前記流量制限フィルタセグメントが、該流量制限フィルタセグメントの部分に対する煙成分の固着を減少させるのに十分な距離だけ前記第1のフィルタセグメントから離間した流量制限部を含み、該流量制限部は複数のオリフィスを含み、該複数のオリフィスの各々は約0.2mmから約0.6mmの直径を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の喫煙物品。
【請求項10】
前記フィルタが、約70mm水柱又はそれ以上の所定の吸引抵抗を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の喫煙物品。
【請求項11】
前記流量制限部の上流に、フィルタセグメントを含有する吸着剤をさらに含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の喫煙物品。
【請求項12】
前記フィルタが、約60mm水柱から約90mm水柱の所定の吸引抵抗を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の喫煙物品。
【請求項13】
前記流量制限フィルタセグメントが、前記第1のフィルタセグメントに隣接するとともにこれに対して下流関係にある位置に存在する前記円筒管に押し込まれ、或いは前記流量制限フィルタセグメントが前記円筒管に滑りばめされ、該円筒管は前記フィルタの長さと同延である、
ことを特徴とする請求項1に記載の喫煙物品。
【請求項14】
前記流量制限フィルタセグメントが、その上流及び下流端に傾斜端部を備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の喫煙物品。
【請求項15】
前記流量制限フィルタセグメントが、下流又は上流へ先細形となった裁頭円錐形の横壁を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の喫煙物品。
【請求項16】
前記流量制限フィルタセグメントが、約5mm又はそれ以下の長さのリストリクタディスクである、
ことを特徴とする請求項15に記載の喫煙物品。
【請求項17】
主流煙を処理する方法であって、
タバコロッドからリストリクタを通じて主流煙を吸引するステップと同時に、通気ゾーンを前記リストリクタ下流の前記主流煙と連通させるステップと、
前記吸引ステップ中に、前記主流煙をグリセリンエアロゾル成分で希釈するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項18】
組み合わせにより、0.7未満のCO/タール(FTC)比の主流煙及び少なくとも70mm水柱のRTDを生む出すために、
所定の吸引抵抗を確立するように配置されたリストリクタと、
吸煙当たりのタバコの消費量を減少させるための通気ゾーンと、
タール希釈剤と、
を備え、
前記タール希釈剤が、タール希釈剤として作用するとともにフェノールを約2.0μgフェノール/mgタールFTC未満のレベルに減少させるのに十分な量添加される、
ことを特徴とする喫煙物品。
【請求項19】
フィラメント当たり6デニール又はそれ以上の低粒子濾過効率セルロースアセテートフィルタセグメントをさらに含む、
ことを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項20】
タール希釈剤として及び主流煙中のフェノールレベルを低下させるためのメカニズムとして機能するフェノール制御剤を含む喫煙可能材料を含むタバコロッドと、
前記チップペーパーにより前記タバコロッドに取り付けられたフィルタと、
を備え、前記フィルタは、前記タバコロッドに隣接する上流端と、前記フィルタの下流端に存在する低濾過効率セルロースアセテートのフィルタプラグと、該フィルタプラグの上流において前記フィルタを貫通する少なくとも1つの流路を定めるリストリクタと、前記フィルタプラグの上流端と前記リストリクタの下流端との間に延びる空のキャビティと、前記チップペーパーを貫通して延びるとともに前記キャビティと連通する通気ゾーンとを有し、前記リストリクタは少なくとも70mm水柱の吸引抵抗を実現し、前記通気ゾーンは前記主流煙に少なくとも60%の希釈を行い、前記フェノール制御剤は、前記タバコロッド内の前記喫煙材料の少なくとも4重量%の量で前記タバコロッド内に存在するグリセリンを含む、
ことを特徴とする喫煙物品。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図1E】
【図1F】
【図1G】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図1E】
【図1F】
【図1G】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2010−520763(P2010−520763A)
【公表日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−553237(P2009−553237)
【出願日】平成20年3月10日(2008.3.10)
【国際出願番号】PCT/IB2008/001372
【国際公開番号】WO2008/110931
【国際公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【出願人】(596060424)フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム (222)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月10日(2008.3.10)
【国際出願番号】PCT/IB2008/001372
【国際公開番号】WO2008/110931
【国際公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【出願人】(596060424)フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム (222)
【Fターム(参考)】
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