説明

リチウム電気化学電池のための電極および電極材料

リチウム電気化学電池の電極および電極材料が開示されている。電極材料は粉末形態であり、粒子サイズ分布を有し、電極材料の測定された粒子サイズ分布が、1.5μmから3μmの範囲の中央サイズD50、D10≧0.5μm、D90≦10.0μm、および計算比(D90/D10)/D50≧3.0を有し、これは中央値D50の左での測定された粒子サイズ分布のピークの指標であり、この電極材料粉末で製造された電極のローディングおよびエネルギー密度を向上させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本願は、その全体が参照によってここに組み込まれる、2009年4月27日に出願された、米国仮出願第61/172,954号の利益を主張する。
【0002】
本発明はリチウム電気化学電池に関し、より詳細にはリチウムポリマー電池のための電極および電極材料に関する。
【背景技術】
【0003】
充電可能な電池は、高い比エネルギー、高い速度性能、長いサイクル寿命、および長い使用寿命が必要とされる幅広い用途で使用されている。電池の電極を構成する活性材料の品質は、これらの目的を達成するために最も重要である。これらの材料によって構成される電極のデザインおよび品質も同様に重要である。例えば、カソードが厚いと高い速度性能に関しては有害であるが、高いエネルギー含有量に関しては好ましい。他の例はリチウムイオン電池のための電極の多孔性であるが、これは電極間のイオン伝導を提供するために液体の電解質が使用されるとき、多孔性が、電極内部に浸透し得るおよび分散し得る電解質の量を制御するためである。液体電解質電池において、十分な電解質の浸透に対応するため、電極は30%から50%の範囲の多孔性を有する。多孔性は、機械的手段による電極の厚み低減、電極製造加工、電極の処方、およびある場合には孔形成添加剤の添加によるなど、多くの方法で実現することができる。活性材料自身が多孔性に影響を与える。電極の特性の再現性を保証するために、電池製造者は、再生可能な原材料の供給、および社内での統計的工程管理(SPC)に重きを置いている。
【0004】
固体高分子電解質リチウム電池の場合、ポリマー自身がイオン伝導性の媒体である。したがって、電極に液体を浸透させる必要はなく、イオン伝導の目的では、電極が多孔質である必要がない。固体ポリマーは、バインダおよび電解質の双方の役割を有する。
【0005】
固体高分子電解質リチウム電池の電極にとって最適な構成は、ポリマーマトリックス内部での活性材料のロード量が最大であることと言ってよく、これは電極材料の粒子の最適な空間配置によって実現することができる。バインダに対する活性材料の比が増えると、接触する電極材料粒子の間の空間に空気または気体を捉える可能性が高い。この捉えられた空気または気体は、測定される電極の多孔性の原因である。
【0006】
電極内部の電極材料粒子の空間配置は、それらの固有のおよび相互の性質、すなわち粒子形状、粒子間相互作用、および粒子サイズ分布によって大きく影響を受ける。ポリマーバインダが電極材料粒子を濡らす効果など、関連するパラメータも、電極内部の粒子の空間配置に影響し得る。
【0007】
したがって、活性材料のローディングが改良された、かつ電極内部の材料粒子の空間配置が改良された、固体高分子電解質電池の電極、およびそれを用いて製造される電極のローディングの向上に寄与する電極材料に対する必要性が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国仮出願第61/172,954号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
リチウム電気化学電池用の本発明の電極および電極材料の例示的実施形態は、従来技術に存在する不都合の少なくとも一部を改善する。
【0010】
リチウム電気化学電池用の本発明の電極および電極材料の例示的実施形態は、電極内部の電極材料粒子のローディングを増加させる。
【0011】
リチウム電気化学電池用の本発明の電極および電極材料の例示的実施形態は、薄膜電極のエネルギー密度を増加させる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
一つの局面では、固体高分子リチウム電気化学電池の電極材料は、直径Dおよび測定された粒子サイズ分布を有する電気化学的に活性な材料の粒子を有し、電極材料の測定された粒子サイズ分布は、1.5μmから3μmの範囲であるサイズの中央値D50、D10≧0.5μm、D90≦10.0μm、および計算比(D90/D10)/D50≧3.0を有する。
【0013】
さらなる局面において、固体高分子リチウム電気化学電池の電極材料は、標準偏差σを有し、σ/D50≧0.5である。
【0014】
他の局面において、固体高分子リチウム電気化学電池の電極は、厚みを有し、高分子電解質バインダおよび直径Dおよび測定される粒子サイズ分布を有する電極材料粒子を備え、電極材料の測定される粒子サイズ分布は、1.5μmから3μmの範囲である中央値D50、D10≧0.5μm、D90≦10.0μm、および計算比(D90/D10)/D50≧3.0を有する。
【0015】
実施形態において、電極材料粒子のサイズ中央値D50は、電極の厚みと比較して少なくとも10倍小さい。
【0016】
本発明の実施形態は各々上述の局面の少なくとも一つを有するが、それらの全てを必ずしも有する必要はない。
【0017】
本発明のさらなるおよび/または代替的な特徴、局面、および利点が、以下の記述、添付される図面、および添付されるクレームから明らかになるだろう。
【0018】
本発明、並びに他の局面およびそのさらなる特徴をさらに理解するために、添付される図面とともに使用される以下の記述が参照される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】粒子サイズ分布が狭いと見なされる電極材料粉末のレーザ回折法によって得られる、測定される粒子サイズ分布を表すグラフである。
【図2】一実施形態による、粒子サイズ分布が広いと見なされる電極材料粉末のレーザ回折法によって得られる、測定される粒子サイズ分布を表すグラフである。
【図3】一実施形態による、粒子サイズ分布が理想的である電極材料粉末のレーザ回折法によって得られる、測定される粒子サイズ分布を表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
電極内部の材料粒子の空間配置の改良を通じて活性材料のローディングを向上させるために、電気化学的性能に影響を与えずに最適な空間パッキングを実現するには、粒子間相互作用を変更するよりも、粒子サイズ分布を調整することが一般的に容易である。
【0021】
同じサイズの球形粒子を高密度できつくパッキングすることは、粒子間の何もない空間またはボイドをもたらす。ボイドを充填するための小さな粒子の存在は、パッキングの活性材料密度を増加するのに役立つ。狭い粒子サイズ分布を有する粉末のパッキングは、同じサイズの粒子の高密度のパッキングとして最もよく説明することができ、小さな粒子が大きな粒子間のボイド内に入ることができる、広い粒子サイズ分布を有する粉末と比較して、低い材料密度および高い多孔性をもたらす。
【0022】
実際には、粒子サイズも重要である。電極の厚みの程度に対して大きな粒子は、表面の不均一性をもたらす傾向がある。他方では、非常に小さな粒子は大きな粒子と比較して非常に大きな表面積を有し、凝集をもたらす可能性がある潜在的な粒子間相互作用、懸濁液不安定性、および他の関連する問題を増加させ、電極の製造プロセスをより複雑で扱いが難しいものにする。電極材料粒子の平均粒子サイズは、電極の厚みと比較して少なくとも10倍、好ましくは20倍小さく、大きな粒子の分布(D99)は電極の厚みの1/5以下にすべきである。最も小さな粒子サイズにおいて、100nm未満の直径を有する粒子を含まないのが好ましい。
【0023】
固体高分子電解質電池において、電極の厚みは、電池のエネルギー要件に応じて、10μmから100μmの範囲、または20μmから70μmの間である。固体高分子電解質電池の典型的な電極材料は、例えば:LiFePOおよびその誘導体などのリン酸鉄のリチエイテッド(lithiated)化合物、LiMnスピネルおよびその誘導体、LiVおよびその誘導体などの酸化バナジウムのリチエイテッド化合物、リチエイテッド酸化マンガンLiMnOおよびその誘導体、LiCoO、LiNiCoOおよびそれらの誘導体などのリチエイテッド酸化コバルトおよびリチエイテッド酸化ニッケルコバルト、およびチタン酸リチウムLiTi12およびその誘導体である。
【0024】
固体高分子電解質電池の電極において、高分子電解質は電極材料のバインダとして働き、イオン伝導体として作用し、液体電解質が電極に浸透して電極粒子に到達し、電極の内外にリチウムイオンを伝導するために、多孔質の電極を必要とする液体電解質を使用するLiイオン電池とは対照的に、理想的には電極内に多孔性がないようにする。
【0025】
本発明のために、粒子の定義は、それを囲む他の固形物から全体として移動され得る、小さな(ミクロンスケール)固体物、または固形物の凝集体である。例えば、電極製造プロセスの間壊れることがない粒子の凝集体は、一つの粒子であると見なされる。ここに概説される考えは、形状因子L/D≦3(ここでLは粒子の長さであり、Dは粒子の直径である)の範囲の引き伸ばされた形状を有する粒子にも適用される。
【0026】
粒子サイズ分布の広さは、統計的方法によって定量化され得る。現在使用される方法は、累積粒子サイズ分布曲線の第3の四分位点と第1の四分位点との間の差(D75−D25)を用いるものである。この方法の多くの他の変形が使用されてよく、例えば累積粒子サイズ分布曲線の第80パーセンタイル点と第20パーセンタイル点との間の差(D80−D20)である。この方法の不利な点は、累積粒子サイズ分布曲線のただ2点のみの代表値であって、粒子サイズ分布全体のものではないことである。全粒子サイズ分布をより表す他の方法は、σ/D50で表される、平均または中央粒子サイズ(D50)に対する粒子サイズの標準偏差(σ)を用いることである。
【0027】
電極材料粉末の特定のバッチの中央粒子サイズD50の周囲の粒子サイズ分布は、電極材料粉末の特定のバッチで製造された電極のローディング、すなわち電池の全エネルギー密度と関係付けられてきた。電極のローディングは、バッチの中央粒子サイズD50の周囲に集中する粒子サイズを有する電極材料粉末のバッチの使用と比較して、バッチの中央粒子サイズD50の周囲により広く分布した粒子サイズを有する電極材料粉末のバッチの使用によって、実質的に改良されることが分っている。標準偏差σが低いことは粒子サイズが中央粒子サイズD50に非常に近い傾向を示している一方で、標準偏差σが高いことは粒子サイズが幅広い範囲にわたって「広がっている」ことを示すので、大きな標準偏差σを有する電極材料粉末のバッチを用いることは、製造される電極の有効なローディングを増加する。
【0028】
図1は、狭い粒子サイズ分布を有すると見なされる電極材料粉末の粒子サイズ分布を表すグラフである。それが表す電極材料粉末のバッチは、中央粒子サイズD502.53μmの周囲に高濃度の粒子サイズを有する。電極材料のこの特定のバッチの標準偏差σは1.09μmであり、その計算比σ/D50は0.431である。この種の粒子サイズ分布は、粉末を篩い分けして小さなおよび大きな粒子を取り除いた後に一般的に得られる。電極に加工されるとき、この材料は低い材料密度および高レベルの多孔性を有し、電極のエネルギー密度を低くする。電極材料粉末は、狭い粒子サイズ分布で表されるように、大きな粒子間のボイドに入ることができる小さな粒子をほとんど持たないので、電極の有効なローディングは最適なものではない。
【0029】
図2は、広い粒子サイズ分布を有すると見なされる電極材料粉末の粒子サイズ分布を表すグラフである。それが表す電極材料粉末のバッチは、標準偏差σ1.17によって表されるように、中央粒子サイズD502.29μmの周囲に分布されたかなりの量の粒子サイズを含む。計算比σ/D50は0.511である。電極に加工されるとき、この材料は高い材料密度および低レベルの多孔性を有し、電極のエネルギー密度を高くする。図2の電極材料粉末は、広い粒子サイズ分布で表されるように、大きな粒子間のボイドに入ることができる小さな粒子を含むので、図2の電極材料粉末で調製された電極の有効ローディングは、図1の電極材料粉末で調製された電極の有効ローディングよりも優れている。計算比σ/D50が0.511であることは、電極材料粉末のバッチで製造される電極の最適な有効ローディングを提供するのに必要とされる、目標とする粒子サイズ分布の強力な指標である。
【0030】
図3は、理想的な粒子サイズ分布を有する電極材料粉末の粒子サイズ分布を表すグラフである。それが表す電極材料粉末のバッチは、標準偏差σ2.24によって表されるように、中央粒子サイズD502.61μmの周囲に広がったかなりの量の粒子サイズを含む。計算比σ/D50が0.858であることは、電極の最適有効ローディングを提供するのに必要とされる粒子サイズ分布が実現されたことの指標である。図2および3は、計算比σ/D50が0.5以上である(σ/D50≧0.5)電極材料のバッチが、製造される電極のローディングおよびエネルギー密度を改善することを示す。電極材料のバッチの計算比σ/D50と、電極材料のバッチで作られた電極の最適ローディングとの間に直接の関係があることが見出された。
【0031】
さらに、図3に示される電極材料粉末のバッチの粒子サイズ分布は、中央値D50と比較して大きなサイズを有する粒子の量と比較して、中央値D50と比較して小さなサイズを有する粒子の量が多いことを示す。図3に示されるように、粒子サイズ分布のグラフのピークは中央値D50の左に向かって、0.8から2.0μmの範囲内で、小さな粒子サイズに向かってシフトされる。この特定の粒子サイズの分布は、理想的な量の、大きな粒子間のボイド内に入ることが可能である、小サイズの粒子を提供し、結果的に最大の材料密度および製造される電極における電極材料の最大のローディングを与える。図3の粒子サイズ分布は、製造される電極内に非常に低レベルの多孔性を、結果的に非常に高いエネルギー密度を提供する。計算比σ/D50が0.858であることは、十分に広い粒子サイズ分布を示すが、粒子サイズ分布のピークが中央値D50の左に向かってシフトすることを示さない。計算比(D90/D10)/D50≧3.0は、中央値D50の左に向かってシフトした粒子サイズ分布を表す。図3の電極材料粉末のバッチの粒子サイズ分布は、D907.43μm、およびD100.83μmを示す。D50=2.61μmで、(D90/D10)/D50=(7.43/0.83)/2.61=3.43であり、これは(D90/D10)/D50≧3.0の基準を満たす。
【0032】
例えば、正規分布でD10=1.0μm、D90=6.0μmである電極材料のバッチは、D50=3.5μmを有するだろう。したがって(D90/D10)/D50の比は(6.0/1.0)/3.5=1.714であり、(D90/D10)/D50≧3.0の基準の範囲外である。しかしながら、D50≦2.0μmは、中央値D50の左にシフトするグラフのピークを示し、したがって大きな粒子と比較して小さな粒子の量が多いことを示し、(D90/D10)/D50≧3.0の基準を満たすだろう。
【0033】
再度図1を参照すると、粒子サイズ分布はD10が1.87μm、D90が4.14μm、およびD50が2.53である。したがって、計算比(D90/D10)/D50は(4.14/1.87)/2.53=0.875であり、これは(D90/D10)/D50≧3.0の基準の範囲外である。
【0034】
再度図2を参照すると、粒子サイズ分布はD10が1.00μm、D90が4.18μm、およびD50が2.29である。したがって、計算比(D90/D10)/D50は(4.18/1.00)/2.29=1.825であり、これは(D90/D10)/D50≧3.0の基準の範囲外である。しかしながら、図2の粒子サイズ分布は、望ましい粒子サイズ分布の指標である、中央値D50の右の粒子サイズの量に対する中央値D50の左の粒子サイズの量が多いことから分るように、閾値3.0に近い。もしもD50≦1.39μmの場合、グラフのピークは中央値D50の左にシフトされ、したがって大きい粒子サイズに対して小さな粒子サイズの量が多く、図2の粒子サイズ分布は(D90/D10)/D50≧3.0の基準を満たすだろう。
【0035】
1.5μmから3μmの範囲の中央サイズD50を有する電極材料粉末のバッチは、薄膜電池用の薄い電極を製造するのに望ましい。理想的な粒子サイズ分布は、0.5μm超であるD10、10.0μm未満であるD90を有し、計算比が(D90/D10)/D50≧3.0であり、これは0.8から2.0μmの範囲内で小さな粒子サイズに向かう、中央値D50の左での粒子サイズ分布のピークの指標である。
【0036】
このように、計算比σ/D50が0.5以上である(σ/D50≧0.5)電極材料のバッチは、高い材料密度および低レベルの多孔性を有し、電極のエネルギー密度が高い電極を得る、十分に幅広く広がった粒子サイズ分布の指標である。
【0037】
しかしながら、中央値D50の左での粒子サイズ分布のピークの指標である計算比(D90/D10)/D50≧3.0を有し、中央サイズD50が1.5μmから3μmの範囲かつD10≧0.5μm、かつD90≦10.0μm、である電極材料のバッチは、高いエネルギー密度の電極をもたらす電極の最適有効ローディングを提供する、材料密度が高く非常に低レベルの多孔性を有する電極を製造するための理想的な粒子サイズ分布を与える。他の方法として、計算比(D90/D10)/D50は、4.0以上である(≧4.0)。他の方法として、計算比(D90/D10)/D50は、5.0以上である(≧5.0)。
【0038】
図3に示される粒子サイズ分布を有する電極材料は、水熱沈殿反応、固相焼結、溶融プロセス、噴霧熱分解、およびジェットミルなど、様々な合成方法で調製されてよい。各々の場合において、合成の後に、時間(継続期間)および使用されるビーズのサイズおよび硬度のパラメータが望ましい比(D90/D10)/D50≧3.0を達成するよう調節された粉砕またはミリング、並びに均一な粒子混合が行われる。粉砕またはミリングの継続時間は重要であり、粉砕またはミリングの継続時間が長すぎると過剰量のナノスケール粒子の生成につながり、これは篩い分けすることが難しく、粉砕またはミリングの継続時間が短すぎると粒子サイズの正規分布をもたらす。電極粒子は、正規分布を超えて、大きな粒子(〜2.5μm≦D≦10.0μm)を上回って小さな粒子(0.5μm≦D≦〜2.5μm)が蓄積され始める点まで粉砕される。
【0039】
図3の粒子サイズ分布によって表される電極材料粉末で製造される固体高分子電池用の電極は、同じ粒子サイズ範囲であるが正規分布の粒子サイズを有する電極材料と比較して、高いローディング、結果的に高いエネルギー密度を可能にする。計算比(D90/D10)/D50≧3.0である電極材料のバッチが、製造される電極のローディングおよびエネルギー密度を改善する。電極材料のバッチの計算比(D90/D10)/D50≧3.0と、固体高分子電池の電極の最適ローディングとの間に直接の関係があることが見出された。計算比(D90/D10)/D50≧3.0で選択された電極材料粉末のバッチで製造された電極は、低い多孔性および高いエネルギー密度を示し、そのような電極を含むリチウム電気化学電池は高いエネルギー密度を有する。
【0040】
上述の実施形態に対する変更および改善は、当業者には明らかであろう。ここまでの記述は限定ではなくむしろ説明を目的としている。したがって、本発明の範囲は添付されるクレームの範囲によってのみ限定されることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直径Dおよび測定された粒子サイズ分布を有する電気化学的に活性な材料の粒子を含み、電極材料の測定された粒子サイズ分布が、1.5μmから3μmの範囲の中央サイズD50、D10≧0.5μm、D90≦10.0μm、および計算比(D90/D10)/D50≧3.0を有する、固体高分子リチウム電気化学電池のための電極材料。
【請求項2】
標準偏差σを有し、σ/D50≧0.5である比を有する、請求項1に記載の電極材料。
【請求項3】
計算比(D90/D10)/D50≧4.0である、請求項1に記載の電極材料。
【請求項4】
計算比(D90/D10)/D50≧5.0である、請求項3に記載の電極材料。
【請求項5】
電極材料が、リン酸鉄のリチエイテッド化合物、LiMnスピネルおよびその誘導体、酸化バナジウムのリチエイテッド化合物、リチエイテッド酸化マンガンおよびその誘導体、リチエイテッド酸化コバルトおよびリチエイテッド酸化ニッケルコバルトおよびそれらの誘導体、およびチタン酸リチウムおよびその誘導体の群から選択される、請求項1に記載の電極材料。
【請求項6】
厚みを有し、高分子電解質バインダ、および直径Dおよび測定される粒子サイズ分布を有する電極材料粒子を備え、電極材料の測定された粒子サイズ分布は、1.5μmから3μmの範囲である中央値D50、D10≧0.5μm、D90≦10.0μm、および計算比(D90/D10)/D50≧3.0を有する、固体高分子リチウム電気化学電池の電極。
【請求項7】
電極材料粉末の中央値D50は、電極の厚みと比較して少なくとも10倍小さい、請求項6に記載の電極。
【請求項8】
電極材料粉末の中央値D50は、電極の厚みと比較して少なくとも20倍小さい、請求項7に記載の電極。
【請求項9】
測定された粒子サイズ分布の大きな粒子(D99)は電極の厚みの1/5以下である、請求項6に記載の電極。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−524982(P2012−524982A)
【公表日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−507551(P2012−507551)
【出願日】平成22年4月26日(2010.4.26)
【国際出願番号】PCT/CA2010/000655
【国際公開番号】WO2010/124384
【国際公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【出願人】(309005766)バシウム・カナダ・インコーポレーテッド (8)
【Fターム(参考)】