説明

リフィル収納容器及びリフィル収納品

【課題】リフィルの品質低下を抑制しつつリフィルをリフィル収納容器から簡単に取り出す。
【解決手段】リフィル3を収納するためのリフィル収納容器2は、容器本体4と、容器本体4の開口部5を開閉するキャップ6とを具備する。容器本体4の開口部5内に嵌合されて開口部を閉鎖するようにする嵌合部15をキャップ6に設け、嵌合部15に受容孔17を形成する。リフィル3の先端が受容孔17内に嵌合されることにより、リフィル収納容器2内に収納されているリフィル3がキャップ6に保持される。キャップ6が容器本体4から取り外されるとリフィル3がキャップ6と共に移動してリフィル収納容器2外に取り出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はリフィル収納容器及びリフィル収納品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、筆記具の軸筒内にリフィルを交換可能に収納する筆記具が知られている。このリフィルは筆記具本体とは別個に展示又は販売され、したがって単独で包装袋内に収納される(特許文献1,2参照)。
【0003】
この場合、水分揮発や酸化等によるインクの劣化を抑制するために、包装袋内の空気をできるだけ除去するのが好ましいことが知られている。
【0004】
【特許文献1】特開2008−247452号公報
【特許文献2】特開2007−45139号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、リフィルの展示や輸送のことを考えると、リフィルをフィルムからなる包装袋内に収納するよりも、例えば筒状のリフィル収納容器内に1本ずつ収納するのが好ましい。この場合、インクの劣化を抑制するためには、リフィル収納容器内にリフィルが収納されたときにリフィル周りに形成される環状空間の容積をできるだけ小さくするのが好ましく、したがってリフィル収納容器の内径をリフィルの外径にできるだけ近づけるのが好ましいということになる。
【0006】
しかしながら、リフィル収納容器の内径をリフィルの外径よりもわずかばかり大きく設定した場合、リフィルをリフィル収納容器内に収納するとき又は収納した後に、リフィルが折れ曲がるなど変形すると、リフィルをリフィル収納容器から取り出すのが困難になってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、筆記具リフィルを収納するためのリフィル収納容器であって、容器本体と、該容器本体の開口部を開閉するキャップとを具備し、リフィル収納容器内に収納されている筆記具リフィルを保持するための保持部をキャップに設け、キャップが容器本体から取り外されると筆記具リフィルがキャップと共に移動してリフィル収納容器外に取り出されるようにしたリフィル収納容器が提供される。
【0008】
また、本発明によれば、前記リフィル収納容器内に筆記具リフィルが収納されており、該筆記具リフィルの端部が前記保持部に保持されているリフィル収納品が提供される。
【発明の効果】
【0009】
リフィルの品質低下を抑制しつつ、リフィルをリフィル収納容器から簡単に取り出すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下では、筆記具を水性ボールペンから構成した場合を説明する。この場合、筆記具リフィルは水性ボールペン用のリフィル(以下、単にリフィルと称する。)から構成されることになる。しかしながら、筆記具を油性ボールペン、万年筆、蛍光ペン等から構成することもできる。
【0011】
図1(A),(B)を参照すると、リフィル収納品1はリフィル収納容器2と、リフィル収納容器2内に収納された1本のリフィル3とから構成される。なお、リフィル収納容器2内に複数本のリフィル3を収納するようにしてもよい。
【0012】
リフィル収納容器2は例えば水蒸気バリア性を有するポリプロピレンのような樹脂からなり、筒状の容器本体ないし軸筒4と、容器本体4の頂部側の開口部5を開閉するキャップ6とを具備する。なお、容器本体2の底部側の開口部7内には尾栓8が封密に嵌合されている。
【0013】
一方、リフィル3はインクタンク9と、インクタンク9の先端に取り付けられたペン先10とを具備する。本発明による実施例では、ペン先10が上向きに又はキャップ6に向けて位置するようにリフィル3がリフィル収納容器2内に収納されている。
【0014】
このリフィル収納品1では、開口部5がキャップ6によって封密に閉鎖されている。その結果、リフィル収納容器2が密閉されるので、リフィル3がリフィル収納容器2内に保存されている間にリフィル3の水性インクが劣化するのを確実に抑制することができ、リフィル3の品質低下を確実に抑制することができる。
【0015】
また、図1(B)からわかるように、容器本体4の内径はリフィル3の外径よりもわずかばかり大きく設定されている。このようにすると、リフィル収納容器2内に残存する空気量を低減することができ、したがって水性インクの劣化を確実に抑制することができる。
【0016】
次に、図2(A),(B)を参照しながらキャップ6を説明する。
【0017】
キャップ6は互いに同心状に配置された内筒11及び外筒12と、これら内筒11及び外筒12を互いに連結するリブ13とを具備し、内筒11と外筒12との間には通気孔14が形成されている。
【0018】
図2(A)に示されるように、内筒11の底端側部分は外筒12から突出しており、この底端側部分は容器本体4の開口部5内に嵌合される嵌合部15を構成する。
【0019】
この嵌合部15の外周面には例えば2つの環状シール突起16が形成されている。
【0020】
また、嵌合部15には下方に向けて開口する受容孔17が形成されており、この受容孔17はリフィル収納容器2内に収納されているリフィル3を保持するための保持部を構成する。そのために、受容孔17の内径はリフィル3のペン先10の外径よりもわずかばかり小さく設定されている。
【0021】
更に、受容孔17の内周面には切欠きから形成される逃がし通路18が形成されている。
【0022】
更に、外筒12又はリブ13の平坦な底端面19は規制面を構成している。すなわち、嵌合部15が開口部5内に嵌合されたときにこの規制面19が開口部5の頂端面20に当接すると嵌合部15の開口部5内への進入が規制される。
【0023】
なお、図3において10aはシール被覆を示している。このシール被覆10aはリフィル3のペン先10の先端を保護すると共に、ペン先10を介しリフィル3内に空気等が流入し又は水性インク内の水分等が揮発するのを抑制するためのものである。
【0024】
図3は図1(B)のA部の拡大図を示している。
【0025】
図3に示される閉鎖状態では、キャップ6の嵌合部15が容器本体4の開口部5内に嵌合されており、それにより容器本体4の開口部5が閉鎖される。この場合、嵌合部15の外周面に環状シール突起16が形成されているので、嵌合部15と開口部5との間に環状シール21が形成され、したがって嵌合部15が開口部5内に封密に嵌合されることになる。なお、シール突起を容器本体4の内周面に形成してもよい。
【0026】
また、リフィル3のペン先10の先端が受容孔17内に嵌合されており、したがってリフィル3がキャップ6によって保持されている。その結果、リフィル3がリフィル収納容器2内で移動するのが抑制され、例えば振動によりリフィル3が破損するのが抑制される。また、本発明による実施例では、図1に示されるように、リフィル3がリフィル収納容器2内に収納されているときにリフィル3の底端が尾栓8の頂端面に当接している。したがって、リフィル3の移動が更に制限される。
【0027】
リフィル3をリフィル収納容器2から取り出すべきときには、ユーザはキャップ6の外筒12を摘んでキャップ6を容器本体4から取り外す。このときリフィル3はキャップ6によって保持されたままであるので、図4に示されるようにキャップ6と共に移動してリフィル収納容器2外に取り出される。その結果、リフィル3を簡単に取り出すことができる。
【0028】
また、リフィル3がキャップ6に保持されたままであるので、リフィル収納容器2から取り出したリフィル3を落下させることもない。すなわち、リフィル3の取り扱いが容易になる。
【0029】
リフィル収納品1は例えば次のようにして製造される。すなわち、まずリフィル収納容器2の容器本体4内にインクタンク9側からリフィル3が収納される。次いで、キャップ3の規制面19が開口部5の頂端面20に当接するまでキャップ3が容器本体4の開口部5に嵌合される。
【0030】
本発明による実施例では、規制面19が開口部5の頂端面20に当接したときにペン先10が受容孔17内に嵌合されて保持されるように規制面19が位置決めされており、したがってキャップ6を開口部5に嵌合させるだけで、リフィル3をキャップ6に保持させることができる。
【0031】
また、本発明による実施例では、受容孔17に逃がし通路18が形成されているので、リフィル3内に空気が入り込むのを抑制することができる。すなわち、逃がし通路18が設けられていないと、ペン先10が受容孔17内に嵌合されたときに受容孔17内が密閉空間になってこの密閉空間内の圧力が高くなるので、空気がペン先10からリフィル3内に入り込むおそれがある。本発明による実施例では、逃がし通路18が形成されているので、ペン先10が受容孔17内に嵌合されるときに受容孔17内の空気を受容孔17外に逃がすことができる。その結果、リフィル3の品質低下を抑制することができる。
【0032】
ところで、図3に示されるように、ペン先10に当接してリフィル3を保持している受容孔17の領域を保持領域22と称すると、環状シール21の長手方向位置と保持領域22の長手方向位置とは互いに異なっている。このようにしているのは次の理由による。
【0033】
すなわち、ペン先10が受容孔17内に嵌合されると、保持領域22では嵌合部15が変形するおそれがある。特に、本発明による実施例では、受容孔17に逃がし通路18が形成されているので、受容孔17内周面はペン先10に周方向に一様に当接しておらず、したがって嵌合部15の変形は周方向に一様になるとは限らない。このため、このような保持領域22の長手方向位置を環状シールの長手方向位置に一致させると、良好なシール作用を得ることができないおそれがある。そこで、本発明による実施例では、環状シール21の長手方向位置と保持領域22の長手方向位置とは互いに異ならせ、それによって良好なシール作用が得られるようにしている。
【0034】
また、本発明による実施例では、容器本体4の外径と外筒11の外径とがほぼ等しく設定されており、キャップ6が容器本体4に取り付けられたときに容器本体4の外周面とキャップ6の外周面とが面一になっている。その結果、容器本体4及びキャップ6周りにシールラベルを貼り付ける場合に、シールラベルを貼り付け易くなり、シールラベルによるシール作用を確保することができる。
【0035】
上述した本発明による実施例では、リフィル3の頂端すなわちペン先10がキャップ6に保持されるようにしている。しかしながら、リフィル3の底端すなわちインクタンクがキャップ6に保持されるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】リフィル収納品の(A)正面図及び(B)部分断面図である。
【図2】キャップの(A)正面図及び(B)底面図である。
【図3】図1のA部の拡大図である。
【図4】キャップを取り外した状態を示す図である。
【符号の説明】
【0037】
1 リフィル収納品
2 リフィル収納容器
3 リフィル
4 容器本体
5 頂端側の開口部
6 キャップ
10 ペン先
15 嵌合部
17 受容孔
18 逃がし通路
19 規制面
20 開口部の頂端面
21 環状シール
22 保持領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筆記具リフィルを収納するためのリフィル収納容器であって、容器本体と、該容器本体の開口部を開閉するキャップとを具備し、リフィル収納容器内に収納されている筆記具リフィルを保持するための保持部をキャップに設け、キャップが容器本体から取り外されると筆記具リフィルがキャップと共に移動してリフィル収納容器外に取り出されるようにしたリフィル収納容器。
【請求項2】
前記容器本体の開口部内に嵌合されて該開口部を閉鎖するようにする嵌合部を前記キャップに設け、前記保持部が嵌合部に形成された受容孔を備え、前記筆記具リフィルの端部が該受容孔内に嵌合されることにより筆記具リフィルがキャップに保持されるようにした請求項1に記載のリフィル収納容器。
【請求項3】
前記筆記具リフィルの端部が前記受容孔内に嵌合されるときに受容孔内の空気を受容孔外に逃がすための逃がし通路を前記受容孔に設けた請求項2に記載のリフィル収納容器。
【請求項4】
前記筆記具リフィルの端部が保持領域において前記受容孔内に保持されるようになっており、前記キャップの嵌合部の外周面又は前記容器本体の開口部の内周面に環状シール突起を形成して嵌合部が開口部内に嵌合されたときにこれら嵌合部と開口部との間に環状シールが形成されるようにし、環状シールの長手方向位置と保持領域の長手方向位置とを互いに異ならせた請求項2又は3に記載のリフィル収納容器。
【請求項5】
前記キャップの嵌合部が前記容器本体の開口部内に嵌合されたときに開口部の端面に当接して嵌合部の開口部内への進入を規制する規制面をキャップに設け、該規制面が開口部の端面に当接したときに前記筆記具リフィルの端部が前記受容孔内に嵌合されるように規制面を位置決めした請求項2から4までのいずれか一項に記載のリフィル収納容器。
【請求項6】
前記筆記具リフィルが水性ボールペンリフィルから構成されている請求項1から5までのいずれか一項に記載のリフィル収納容器。
【請求項7】
請求項1から6までのいずれか一項に記載のリフィル収納容器内に筆記具リフィルが収納されており、該筆記具リフィルの端部が前記保持部に保持されているリフィル収納品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−120684(P2010−120684A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−296980(P2008−296980)
【出願日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【出願人】(000005957)三菱鉛筆株式会社 (692)
【Fターム(参考)】