説明

リフトチェーン組立品およびその構成要素を有する高さ調節可能ベッド

【課題】リフトチェーンを使用した高さ調節可能ベッドを提供する。
【解決手段】ベッドは、ベースフレーム32と、上昇可能フレーム34と、ベースフレーム32に接続されたベースセグメント36aおよび上昇可能フレーム34に接続された終端セグメント36eを有する伸縮可能な支柱36とを備える。各支柱は、マガジンと、終端リンクを有するリフトチェーン160とを含むリフトチェーン組立品100を囲んでいる。マガジンは、ベースフレーム32または上昇可能フレーム34のいずれかに接続され、また終端リンクはベースフレーム32と上昇可能フレーム34のうちの他方に接続されている。リフトチェーン組立品100は、ギアトレイン駆動軸からギアトレイン出力軸に延在するギアトレインと、ギアトレイン駆動軸に接続された出力軸を有するモーター278とをさらに含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に説明される対象は、高さ調節可能ベッドに関し、特に高さ調節システムにリフトチェーン組立品を採用したベッドに関する。
【背景技術】
【0002】
医療施設および在宅ケアで使用されている患者用ベッドは、患者または介護者がベッドの高さを調節できるリフトシステムを搭載していることがよくある。リフトシステムは、潜在的に相反する多数の制約を満たす必要がある。例えば、リフトシステムは、静かで、信頼でき、安全で、損傷に対する耐久性があるべきである。また、製造コストが低く、かつ簡単で廉価な改造をするだけでさまざまなベッド型式にも適応されるべきである。リフトシステムは、一般にベッドの上昇可能な構成要素の下に装備されるため、非常に低い高さにベッドを位置調節できるように十分小型である上に、介護者にとって満足のいく高さにベッドを位置調節するための十分な調節範囲を持つ必要がある。小型であることによって、その他のベッド下の構成要素のためのスペースが確保される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本明細書に開示するベッドは、ベースフレーム、上昇可能フレームおよび少なくとも1つの伸縮自在の支柱を有する。各支柱は、マガジンと、終端リンクを有するリフトチェーンとを含むリフトチェーン組立品を囲む。マガジンは、ベースフレームまたは上昇可能フレームのいずれか一方に接続され、終端リンクはベースフレームと上昇可能フレームのうちの他方に接続されている。マガジンは、左右のマガジンカバーを備え、それぞれが溝のある外面および内面を有する。リフトチェーンは、各溝内に突き出す左右のローラーを有する。リフト組立品には、ギアトレイン駆動軸からギアトレイン出力軸に延びているギアトレインと、ギアトレイン駆動軸に接続された出力軸を有するモーターも含まれる。リフトチェーンは、実質的に互いに同一の左、右および中間のリンクから成る左、右および中間のリンクアレイで構成される。各リンクの長軸方向の両端部は、チェーンが2つの反対の回転方向のうちの1つの方向に横軸を中心に曲がりにくくなるように構成されている。終端リンクは、リンクの作用中心がチェーン中心線から横方向にオフセットされてチェーンを曲げ耐性方向に強制的に曲げるように、チェーンの一端に接続されている。リフトチェーン用のリンクは、単純な端部および複合的な端部を有する平板である。単純な端部には、第一の凸面の円弧および180度未満の第一の角度を形成する突起が含まれる。複合的な端部には、第二の凸面の円弧、凹面の円弧およびクラウンを有する歯が含まれる。凹面の弧およびクラウンは、最大でも90度程度の第二の角度を形成する。
【0004】
本明細書に記載したリフトシステムの多様な実施例の前述およびその他の特徴は、下記の詳細な説明および添付の図面でより明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【図1】伸縮自在の各支柱を画定する2つのキャニスター組立品を有し、各組立品のそれぞれが枠組みの上昇可能な部分の高さを変化させるためのリフトチェーン組立品(非表示)を囲む、高さ調節可能ベッドの枠組みの斜視図である。
【図2】リフトチェーン組立品を示すために伸縮自在の支柱の一部を切り欠いている図1と同様の図である。
【図3】図2の伸縮自在の支柱の1つの拡大図である。
【図4】図1および図2のベッドの側面図である。
【図5】上昇可能フレームの頭側端部がキャニスターに対して枢動できるようにする複数のヒンジピンを示している頭側端部キャニスター組立品の上部分の斜視図である。
【図6】上昇可能フレームの足側端部がキャニスターに対して枢動できるようにする複数のヒンジピンを示し、また、上昇可能フレームがキャニスター組立品に対して平行移動できるようにした軌道内に封入された複数のスライダーブロックを示している足側端部キャニスター組立品の上部分の斜視図である。
【図7】ギアトレインの構成要素を見せるよう部分的に分解したリフトチェーン組立品の斜視図である。
【図8】反対方向を見ている観察者から見たリフトチェーン組立品の分解斜視図である。
【図9】反対方向を見ている観察者から見たリフトチェーン組立品の分解斜視図である。
【図10】リフトチェーン組立品で使用されているチェーンの斜視図および側面図であり、チェーンはリフトチェーン組立品から部分的に伸張されたときに見える。
【図11】リフトチェーン組立品で使用されているチェーンの斜視図および側面図であり、チェーンはリフトチェーン組立品から部分的に伸張されたときに見える。
【図12】リフトチェーン組立品内に格納し、内部で巻き上げた場合に見えるチェーンを示している図9と同様の斜視図である。
【図13】反対方向を見ている観察者から見たチェーンの分解斜視図である。
【図14】反対方向を見ている観察者から見たチェーンの分解斜視図である。
【図15】チェーンの代表的なリンクの側面図および斜視図である。
【図16】チェーンの代表的なリンクの側面図および斜視図である。
【図17】チェーンの中間の終端リンクの側面図である。
【図18】チェーンの伸張および格納を制限するスイッチおよびスイッチ接触要素を示しているリフトチェーン組立品の一部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
図1から図4は、本明細書に記載したリフトシステムを有する病院用ベッド14の構成要素を示す。ベッドは、頭側端部16、足側端部18、左側20および右側22を有する。図は、長軸方向、横方向および垂直方向の軸24、26、28も示している。ベッドには、ベースフレーム32、上昇可能フレーム34およびそれぞれ2つ以上のキャニスターセグメントを備える一対のキャニスター組立品36が含まれる。図示した実施例は、頭側端部および足側端部の伸縮自在の各支柱36を画定するよう組み合わされた、最下部またはベースキャニスターセグメント36a、3つの中間セグメント36b、36c、36dおよび最上部または終端セグメント36eを有する。それぞれのキャニスターセグメントは、2つの蟻継ぎ接合部42に沿って接合された2つの半セグメントを備える。それぞれの支柱の最上部または終端セグメント36eには、その垂直方向上端部にある上部カバープレート44が含まれる。それぞれの支柱の最下部またはベースセグメント36aには、ベースセグメントに接合された横方向に延びた取付けバー46が含まれる。各バーは、取付けブロック48を通って延び、同ブロックにセグメントの一側面付近で固定されている。取付けブロック48は、本明細書でさらに詳細に後述するようにチェーンの取付け位置の役目をする。別の方法として、取付け位置は、カバープレート44に類似したプレートでもよい。それぞれのベースセグメント36aは、各ブラケット50により、またはベースセグメントをベースフレームに固定するその他の適切な方法でベースフレームにしっかりと接続されている。
【0007】
追加的に図5および6を参照すると、頭側端部のクロスバー52は、頭側端部支柱の終端セグメント36eに固定されている。左および右のヒンジピン54(図5ではその一方のみを表示)は、軸56を中心に枢動動作ができるように上昇可能フレーム34の頭側端部をクロスバーに接続する。足側端部のクロスバー58は、足側端部の支柱の終端セグメント36eに固定されている。左および右のヒンジピン60(図6ではその一方のみを表示)は、クロスバー58をそれぞれ左および右のスライダーブロック62に接続している。スライダーブロックは、上昇可能フレーム34の足側端部で軌道64内に封入されているが、軌道内を長軸方向にスライドすることができる。こうして形成されるヒンジは、長軸方向に平行移動可能な枢動軸66を中心としたクロスバーに対する上昇可能フレームの枢動動作をもたらす。頭側端部での回転自由は、足側端部での回転および平行移動の自由と組み合わせて、水平に対して正もしくは負のピッチ方向α(図3)に上部フレームを配置するために支柱を異なる高さに伸縮可能にさせることができる。角度方向αを達成するために、その他の機械的な装置も使用しうる。
【0008】
上述の実施例において、各支柱の最下部のセグメント36aは、ブラケット50によりベースフレームに回転しないよう固定されている。別の実施例において、セグメント36aは、セグメント36a、またそれに伴って支柱全体および上昇可能フレームが長軸方向に伸びた枢動軸70を中心として枢動するようにベースフレームに固定されている(図1および図2)。2008年8月20日に出願された米国特許出願第12/194,937号「Laterally Rotating Patient Support Apparatus」(横方向に回転する患者サポート装置)には、ピボットシステムの詳細が記載されており、その内容を参照により本明細書に援用する。記載のピボットシステムを、本明細書に記載したリフトシステムと併せて使用することで、特に小型のパッケージが得られるが、本明細書に記載したリフトシステムは、記載のピボットシステムなしでも有利に利用できる。
【0009】
主に図2、図3および図7から図9に示すように、それぞれの伸縮自在の支柱36がリフトチェーン組立品100を囲んでいる。それぞれのリフトチェーン組立品には、マガジンカバー104、106で構成されるマガジン102が含まれる。それぞれのカバーは、取付けフランジ108、外面112および内面114を有する。各カバーは5本のボルト116でまとめて固定されているが、カバー間の隙間118を画定するようそれぞれ間隔があけられている。内面114には、それぞれ図8および図9に最も分かりやすく示されている終端脚部122を有するコイル状の溝120が含まれる。溝は、横方向に深めのトレンチ部分121を有している(図18)。それぞれの溝の一端を含んでいる各カバーは、互いに連携して窓124を画定する。それぞれのカバーには、低摩擦ブッシュ126が含まれる。カプラー128はブッシュ内にあり、それに対して回転可能である。図9に最も分かりやすく示されているとおり、カプラーは、入力側132および出力側134を有する。
【0010】
リフトチェーン組立品100に言及する場合、図3および図7から図9の局部的な座標軸システムによって示されるように、リフトチェーン組立品に固有の局部的な横方向、長軸方向および横断方向の軸136、138、140を画定することが有用である。こうして、カバー104、106は、図示した実施例においてベッドを全体として描写するために図1に示した左および右の方向(横方向)26に対して90度の向きであるにもかかわらず、横方向に左および右のカバーとして見なされる。局部的な長軸方向138は、各マガジンカバーの各内面114により画定される各平面に平行な方向である。局部的な垂直方向または横断方向140は、局部的な横方向および長軸方向に対して相互に直交する方向であり、また図1の垂直方向と同一である。方向軸の名称は、各図を参照する都合上選択したもので、リフトチェーン組立品のベッドのその他の構成要素に対する実際の方向を何ら制約するものではないことが理解されるべきである。
【0011】
さらに図10から図16に示すように、リフトチェーン組立品には、マガジンへの格納およびマガジンからの伸張が可能なチェーン160も含まれる。チェーンは、左、右および中間のチェーンリンクアレイ162、164、166から構成され、各アレイは左、右および中間のリンク168、170、172から構成される。後述する終端リンクを除き、すべてのリンクは実質的に同一であり、図15および図16に示すように、長さL、幅Wおよび厚みTを有する小型の平板の形態である。それぞれのリンクは、単純な端部174および複合的な端部176を有する。それぞれのリンクの単純な端部には、凸面の円弧180および突起182が含まれる。突起および線184は、突起の接合点で弧に接し、弧は180度未満の角度βを形成する。弧180は、リンクの縦方向の中心線186上に中心Cを有する。それぞれのリンクの複合的な端部176には、凸面の円弧200、凹面の円弧202、およびクラウン206を有する歯204が含まれる。凹面の弧202の一端は、凸面の弧200の一端と一体になる。弧とクラウン206の接合点で凹面の弧202に接する線210は、クラウンと最大でも90度程度の角度θを形成する。弧200は、リンクの縦方向の中心線186上に中心Cを有する。弧の中心C、Cを中心とする穴212、214は、それぞれのリンクを貫通している。
【0012】
チェーンには、頭部233およびシャンク234を有する複数のリンクコネクターピン230も含まれる(図14)。頭部から離れたシャンクの端部は変形可能である。それぞれのピン230は、穴212、214を通って、また一対のローラー238を通って横方向に伸び、中間のリンクアレイ166が左および右のリンクアレイ162、164に横方向に隣接するよう、また中間アレイのリンクが左および右のアレイのリンクから長さ方向に半ピッチだけオフセットされるように、リンクにまとめて枢動可能に接続されるが、ここでピッチとは、チェーン上のある形体から隣接する次の同一の形体まで(例えば、連続した穴212の位置間)の長さ方向の距離P(図11および図13)である。そのように接続された場合、個別リンクの長さ方向の中心線186は、チェーンの中心線232を画定する(図11)。各リンクの端部の構造により、チェーンは、横方向に延在する軸を中心として相対する2つの方向のうち1方向にのみ曲がり、またその2つの方向のうち他の方向に曲がりにくくなっている。図11に図示したとおり、円弧180、202の相互作用に伴う1つのリンクの突起182と、隣接するリンクの歯クラウン206との間の接触により、回転という意味でのチェーンの曲げS(例えば、軸Lを中心として)が妨げられる。ところが、円弧180は円弧200に対して回転することができ、それによって、回転という意味でのチェーンの曲げS(例えば、軸Rを中心として)が可能となる。
【0013】
上述のとおり、それぞれのピンには一対のローラー238がある。ピンの頭部は、対のうち一方のローラー(例えば右のローラー)を、右のリンクに対して封入する。ピンの他方の端は、他方のローラーが反対側(例えば左)のリンクに対して封入されるよう変形する。各ローラー238は、チェーンを保持するためにマガジンカバー104、106の複数の溝120内に横方向に突き出し、チェーンが格納されたとき、マガジン内でコイル状となる。
【0014】
チェーンには、取付けフランジの役割をする脚部242および足部244をそれぞれ有する、左および右の外側の終端リンク240も含まれる。図11に最も分かりやすく表示されるように、外側のそれぞれの終端リンクは、弧252が小さめの角度を定める以外はリンク168、170、172の円弧180および突起182とは違わず、円弧252および突起254を備える単純な輪郭を有する。穴256、258(図13および図14)は脚部を貫通し、コネクターピン230を収容する。穴256は、円弧252の中心を中心とする。
【0015】
チェーンには、図17で最も分かりやすく示される中間または内側の終端リンク262も含まれる。中間の終端リンクの一方の端部264は、四角になっている。他方の端部266は、リンク168、170、172の単純な端部174と類似した輪郭を持ち、それによって、端部266が隣接する中間リンクの複合的な端部176と噛み合うようになる。穴268、270、272は、中間の終端リンクを貫通している。
【0016】
既に説明した種類のコネクターピン230が、終端リンクを相互に接続し、またチェーンの一方の端部で外側の非終端リンク168、170と接続するために使用される。図12および図14に示すように、複数のピン230の1つ(230aと指定)は、外側の一対の非終端リンク168、170にある各穴214を貫通し、中間の終端リンク262の穴268を貫通して延在している。230bと指定されたピンは、外側の終端リンクにある各穴256を貫通し、中間の終端リンクにある穴270を貫通する。230cと指定されたピンは、外側の終端リンクにある各穴258を貫通し、中間の終端リンクにある穴272を貫通する。
【0017】
ピン231は、終端リンクから最も離れた外側のリンクの各穴212を貫通して延在している。図18に最も分かりやすく示されるように、ピンの各端部が各ローラー238を通り、それぞれの溝120のトレンチ部分121内に伸びるよう、ピン231はピン230よりも横方向に長くなっている。格納停止スイッチ129(図18)および伸張停止スイッチ130(図7および図9)の接触要素127もトレンチ内に突き出ている。各スイッチは、後述するようにチェーンの伸張および格納を制限するようモーターに電気的に接続されている。
【0018】
主に図8および図9に示すように、リフトチェーン組立品には、電動機(モーター)278およびギアボックス280組立品およびモーター取付けボルト穴284のある取付け板282も含まれる。モーターおよび取付け板は、各穴284を貫通して取付け板の露出していない側から各モーター取付けソケット288内に延在する複数のモーター取付けボルト286によって互いに固定される。取付け板282は、板の穴304を貫通し、マガジンカバー104内の各ボルト穴306(その一部を図9に表示)内に延在する複数の板取付けボルト302(その全体は表示されていない)によりマガジンカバー104に固定される。モーターは、軸312を中心として回転可能な元軸(非表示)を有する。モーターの一端に取り付けられたギアボックス280には、元軸上のウォームと噛み合い、元軸のトルクおよび回転運動を元軸に対して90度の向きのモーター出力軸314に伝達する複数の歯車が含まれる。モーター出力軸は、その先端にスプラインドライブ316を有するが、その他の形状(四角および六角のドライブなど)も使用しうる。スプラインドライブは、カプラー128の入力側132と結合する。
【0019】
リフトチェーン組立品には、ピニオン322、組合せ歯車324、アイドラー328および駆動歯車330を有するギアトレイン320がさらに含まれている。歯車は、マガジンカバー106と、マガジンカバーに固定されたギアトレインカバー332との間に位置する。ギアトレイン駆動軸の役目を果たすピニオン駆動軸334は、ピニオンからカプラー128の出力側134に延在し、ピニオンをカプラーに接続する。ピニオンおよび重ね歯車324は、約3.5:1の減速効果をもたらす。重ね歯車およびアイドラー328は、さらに約3.5:1の減速効果をもたらす。アイドラーから駆動歯車330へは減速も増幅もない。従って、ピニオン駆動軸334から駆動歯車330への全体的な減速は、約12.3:1である。
【0020】
駆動歯車330は、ギアトレイン出力軸またはスプロケット軸338に取り付けられる。スプロケット軸はピニオン駆動軸334とは非同軸であり、各マガジンカバー間のスペース内にあるスプロケット軸に同様に接続された左および右のスプロケット340(図9)によってリフトチェーンに動作可能なように接続される。スプロケットの歯は、左および右のチェーンアレイの外側の側面付近のチェーンローラー238に噛み合う。
【0021】
図示したベッド14には、それぞれが伸縮可能の各支柱36のうち1つに囲まれた、上述の2つのリフトチェーン組立品が含まれる。いずれの場合にも、マガジンの取付けフランジ108は、上部のセグメントカバープレート44の内面に固定され、外側の各終端リンク240の足部244は、取付けブロック48に固定されている(図2および図3)。あるいは、足部は、上部カバープレート44と類似したカバーが提供されれば、そのカバーを取り付ける下部セグメントに固定しうる。さらに、各マガジンフランジ108が足部より垂直方向に高いよりは、足部244より垂直方向に低くなるように、リフトチェーン組立品全体の方向を反転することもできる(取付け配置の適切な変更を伴う)。図2に示すように、頭側端部リフトチェーン組立品は、リフトチェーン160がその伸縮自在の支柱の右側に近いマガジンから出るような方向を取っている。足側端部リフトチェーン組立品のリフトチェーンは、その伸縮自在の支柱の左側に近いマガジンから出ている。その結果、取付け足部244は、ベッドの長軸方向の中心面(軸24、28により画定される面)から、距離dの分、等距離で反対方向にオフセットしている。必要に応じて、非等距離のオフセットも使用しうる。
【0022】
マガジンの取付けフランジ108は、上部セグメントカバープレート44の内面に直接接続されてはいるが、クロスバー52または58により上昇可能フレーム34に間接的に接続されていることに注目すべきである。外側の終端リンク240の足部244は、取付けブロック48に直接固定されてはいるが、取付けバー46、ベースセグメント36aおよびブラケット50によりベースフレーム32に間接的に接続されている。原則として、取付けフランジ108および足部244は、それぞれ中間の構成要素によって間接的にではなく、フレームのどれか1つに直接接続しうる。
【0023】
リフトシステムの操作には、操作者によって操作者用スイッチ(非表示)が使用される。スイッチは、「伸張(extend)」、「オフ(off)」および「格納(retract)」の位置を備えている。操作中、モーターのトルクおよび回転運動が、モーター出力軸314、ギアトレイン320、およびスプロケット軸338によりスプロケットに伝達される。モーターが「伸張」方向に回転すると、スプロケットがチェーンを押し、各ローラーとそれによってチェーン全体がマガジンカバー内の溝120に沿って移動する。溝の終端脚部122は、チェーンを図10および図11の左側に示すように直線形状に導く。チェーンは、前進して窓124(図7)を通ってマガジンを出て、それによってマガジンが垂直に上方向に押し上げられて、伸縮自在の支柱を伸張させ、上昇可能なベッドフレームを上昇させる。こうした動作が、操作者が操作者用スイッチを「伸張」位置から外すか、ピン231が伸張停止スイッチ130に作用するまで持続する。リンク端部が連動形状のため、チェーンの展開された部分は、本質的に一方向に屈曲しにくい。複数のマガジン取付けフランジ108および終端リンク足部244は、上部セグメントカバー44および取付けブロック48にそれぞれ接続されているため、チェーンを反対方向に曲げようとする力は、チェーン自体には伝達されずに、そうした接続部に作用する。
【0024】
モーターが「格納」方向に作動すると、スプロケットがチェーンを反対方向に押し、再度各ローラーとそれによってチェーン全体がマガジンカバー内の溝120に沿って移動する。チェーンは、前進して窓124を通ってマガジンに入り、それによってマガジンが垂直に下方向に押し下げられて、伸縮自在の支柱を折り畳み、上昇可能なベッドフレームを下降させる。チェーンの直線部分は、引き続きチェーンにかかる荷重を支持する。マガジン内部にあるチェーンの部分は、チェーンが溝120の形状に従うよう、またマガジン内部でコイル状になるような方向に、必要に応じて自由に曲がり、それによってチェーンを収容するために必要なスペースの量が最小化される。こうした動作が、操作者が操作者用スイッチを「格納」位置から外すか、ピン231が格納停止スイッチ129に作用するまで持続する。
【0025】
システムは、当然ながら、図4に示すように上昇可能フレームを正(頭部が上)または負(頭部が下)の角度方向αにするようベッドの頭側および足側端部を不均等に上昇させるのに使用することもできる。
【0026】
上記を考慮すると、リフトシステムのある特定の追加的な特徴および属性を理解することができる。
【0027】
支柱セグメント36aから36eは、支柱の内部を通過して延在する縦軸344を中心に互いに回転に抵抗する。回転抵抗は、垂直方向に見たときに非円形の形状であるセグメントを採用することで、簡単かつ安価に与えることができる。図に示した具体的な変形は、角が丸いほぼ長方形である。回転抵抗の結果、キャニスターセグメントにかかるトルクQ(図5)は、チェーンによってではなく、隣接するセグメントまたは複数のセグメントによってベースおよび上昇可能フレーム32、34に伝達される。その結果、チェーンは、かかったトルクに対応する必要がある場合よりも、構造的に堅牢性を低めに形成でき、それゆえ価格を安くできる。
【0028】
図11に示すように、各終端リンクの足部は、チェーンの直立部分の中心線232から距離Dだけオフセットした荷重中心346を備えている。オフセットにより整列したリンクにモーメントがかかる。オフセットの方向は、結果的に生じるモーメントの感覚がチェーンの曲げ抵抗の方向に、すなわち方向Sとなるように選択する。荷重がチェーンの中心線232を中心とする場合、整列した各リンクは、集合的な屈曲に対して影響を受けやすくなる。
【0029】
ギアトレイン320の使用により、設計者は、そのトルク速度特性がスプロケットで要求されるものとは異なる安価な既成のモーターを使用することができるようになる。ギアトレインがなければ、設計者は特注のモーターを設計してそれを製造する費用を負担することが必要となる場合がある。
【0030】
さらに、ほとんどすべてのリンクは同一であり、例外となるのは外側の各終端リンク240および中間または内側の各終端リンク262だけである。その上、非終端リンク168、170、172は、設計が単純であるので製造は容易である。リンクの同一性および製造の容易さは、低コストの製造に寄与する。
【0031】
また、圧縮チェーン装置は、上昇可能なデッキフレームの下部の密閉スペース、つまり上昇可能フレームが下降するに従って狭まるスペース内に快適に収まるのに十分に小型である。この小型性の結果、上昇可能フレームは特に低い高さに下降させることができ、これによりベッドの臨床的な魅力が高まる。
【0032】
既に記載したとおり、モーターおよび取付け板は、各モーター取付け穴284を通って延在する複数のモーター取付けボルト286により相互に固定される。取付け板と、上記のように取付け板に接続されたモーター/ギアボックス組立品は、各板の穴304を通って延在し、マガジンカバーの各ボルト穴306に入る各板取付けボルト302により、複数のマガジンカバーの1つに固定される。取付け板は、マガジンカバーに対して互換性を持たせるために規格化され、すなわち各板の穴304は、製造元により製造されたどの取付け板でも同じ位置にある。ただし、取付け板は、モーターに対してカスタマイズされる。つまり、複数のボルト286用の各穴284は、使用するモーターの型式により特定の位置となる。同様に、カプラー128は、ピニオン軸334に対して互換性があるよう規格化され、すなわち、軸334はカプラーの出力側134にのみ結合するよう設計される。しかしながら、カプラーの入力側132は、使用されるモーターの型式に応じて、モーター出力軸314と互換性をもたせてカスタマイズされる。ベッド製造元が異なる型式のベッド用に異なるモーターの提供を希望する場合は、圧縮チェーン組立品の2つの他の構成要素、つまり取付け板およびカプラーだけを変更することで容易に実施できる。代用の取付け板は、異なるモーターに適合するように配置される各モーター取付けボルト穴284を備えることによって、基準の板とは異なるものとなる。代用のカプラーは、モーター出力軸の駆動先端部を受容する穴の寸法と形状を備えることによって、基準のカプラーとは異なるものとなる。その結果、製造元は高度の部品共通性を利用しつつ、異なる顧客のニーズを満たすことができる。
【0033】
本明細書に記載および図示したように、革新的なリフトシステムはベッドの両端で利用される。しかしながら、ベッドの一方の端だけで本リフトシステムを使用し、他方の端では従来型リフトシステムを使用することもさらに可能である。
【0034】
本開示は具体的な実施形態を記載しているが、当業者ならば、付随の請求項で規定される対象から逸脱することなく、形態や詳細に対してさまざまな変更を行うことができることを理解するであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
頭側端部および足側端部を有するベースフレームと、
頭側端部および足側端部を有する上昇可能フレームと、
前記ベースフレームに接続されたベースセグメントと前記上昇可能フレームに接続された終端セグメントとを有する少なくとも一つの伸縮可能な支柱と
を備えるベッドであって、
前記少なくとも一つの支柱のそれぞれは、マガジンと、前記マガジンから伸張可能かつ前記マガジンに格納可能なリフトチェーンとを含むリフトチェーン組立品を囲み、前記リフトチェーンは終端リンクを有し、前記マガジンは前記ベースフレームおよび前記上昇可能フレームのうち一方に接続され、前記終端リンクは前記ベースフレームおよび前記上昇可能フレームのうち他方に接続されている、ベッド。
【請求項2】
前記マガジンおよび前記終端リンクの関連する各フレームに対する接続が間接的な接続であり、前記マガジンは前記ベースセグメントおよび前記終端セグメントのうち一方に直接接続され、前記終端リンクは前記ベースセグメントおよび前記終端セグメントのうちの他方に直接接続されている、請求項1に記載のベッド。
【請求項3】
前記ベースセグメントおよび前記終端セグメントの間に少なくとも一つの中間の伸縮可能な支柱セグメントを備える、請求項1に記載のベッド。
【請求項4】
各前記支柱は、長軸方向に延在している支柱枢動軸を中心に枢動可能である、請求項1に記載のベッド。
【請求項5】
前記枢動軸を中心とした各前記支柱の枢動性をもたらすシステムを含む、請求項4に記載のベッド。
【請求項6】
前記複数の伸縮可能な支柱のうち二本だけを含み、各前記支柱は長軸方向に相対する前記ベッドの各端部付近に位置する、請求項1に記載のベッド。
【請求項7】
それぞれのリフトチェーンの伸張が各前記フレームの相対的な高さを変化させる力を加え、各前記フレームの頭側端部で加えられる前記力は、各前記フレームの足側端部で加えられる力から横方向にオフセットされる、請求項6に記載のベッド。
【請求項8】
長軸方向の中心線を含み、加えられる力のそれぞれが前記長軸方向の中心線の反対側にオフセットされる、請求項6に記載のベッド。
【請求項9】
外面および内面をそれぞれ有し、各前記内面はその中に溝をそれぞれ有してスペースを画定するよう横方向に間隔がおかれている左および右のマガジンカバーと
各前記溝内に突出している左および右のローラーを有するリフトチェーンと、
ギアトレイン駆動軸からギアトレイン出力軸に延在し、前記ギアトレイン出力軸が前記駆動軸とは非同軸で、前記リフトチェーンに動作可能なように接続されているギアトレインと、
前記ギアトレイン駆動軸に接続された出力軸を持つモーターと
を備えるリフト組立品。
【請求項10】
各前記カバーはモーター側カバーおよび歯車側カバーを備え、前記モーターは前記モーター側カバーに取り付けられ、前記ギアトレインは前記歯車側カバーに取り付けられ、前記リフトチェーンはカバー間の隙間に格納可能かつ前記隙間から伸張可能である、請求項1のリフト組立品。
【請求項11】
前記モーターと前記モーター側カバーとの間のモーター側カバーに固定されたモーター固有の取付け板と、
前記モーター出力軸と前記ギアトレイン入力軸との間の接続をもたらすモーター固有のカプラーと
を備える、請求項10に記載のリフト組立品。
【請求項12】
前記取付け板は、前記モーター側のマガジンカバーに対して互換性があるように規格化され、前記モーターに対してカスタマイズされる、請求項11に記載のリフト組立品。
【請求項13】
前記カプラーは、前記ギアトレイン駆動軸に対して互換性があるように規格化され、前記モーター出力軸に対してカスタマイズされる、請求項11に記載のリフト組立品。
【請求項14】
各溝はトレンチを含み、前記チェーンは前記トレンチ内に延在するピンを含み、前記トレンチ内に突出する接触要素をそれぞれ有する格納停止スイッチおよび伸張停止スイッチが含まれ、前記ピンは複数の前記接触要素に作用して前記チェーンの伸張および格納を制限する、請求項9に記載のリフト組立品。
【請求項15】
実質的に互いに同一の左、右および中間のリンクから成る左、右および中間のリンクアレイと、
前記中間のアレイに接続され、前記中間のアレイのリンクから約半ピッチだけ長さ方向にオフセットされた前記左および右のアレイのリンクにより前記中間のアレイに横方向に隣接し、前記リンクが集合的に中心線を画定し、長軸方向に相対する前記リンクの各端部を、前記チェーンが二つの反対の回転方向のうち一つの方向に横軸を中心とする曲げに抵抗するよう構成する左および右のアレイと、
隣接する各前記リンクアレイの一つの先端に接続され、前記チェーンを曲げ耐性方向に強制的に曲げる方向に作用の中心をチェーン中心線から横方向にオフセットさせる終端リンクと
を備える、リフトチェーン。
【請求項16】
左、中央および右のリンク内の整列した各穴を通って延在するピンと、前記左のリンクの外側にある前記ピンにより保持される左のローラーと、前記右のリンクの外側にある前記ピンにより保持される右のローラーとを備える、請求項15に記載のリフトチェーン。
【請求項17】
代表的リンクの第一の端部が単純な輪郭であり、前記代表的なリンクの反対側の第二の長軸方向の端部が複合的な輪郭であり、前記単純な輪郭は円弧および前記弧と180度未満の角度を形成する突起を備え、前記複合的な端部は凸面の円弧と、凹面の円弧と、クラウンを有する歯とを備える、請求項15のリフトチェーン。
【請求項18】
代表的リンクの各穴は各前記円弧の中心にある、請求項17のリフトチェーン。
【請求項19】
リンクが単純な端部および複合的な端部を有する平板の形状であり、前記単純な端部は第一の凸面の円弧および突起を含み、前記突起と第一の線は前記突起の接合点で前記第一の弧と接して180度未満の第一の角度を形成し、前記複合的な端部は第二の凸面の円弧と、凹面の円弧と、クラウンを有する歯とを含み、前記凹面の弧の一方の端が前記第二の凸面の弧の端と一体になり、前記凹面の弧と前記クラウンの接合点で第二の線が前記凹面の弧と接し、前記クラウンと最大でも90度程度の第二の角度を形成する、リフトチェーン用のリンク。
【請求項20】
前記第一の凸面の弧および前記第二の凸面の弧は、前記リンクの長さ方向の中心線上にある中心をそれぞれ有し、第一の穴および第二の穴が前記リンクを貫通し、前記第一の穴は、前記第一の円弧の中心を中心とし、前記第二の穴は前記第二の円弧の中心を中心とし、前記第一の凸面の円弧は、隣接する同様の構成のリンクの凹面の弧内に入れ子になり、前記リンクの前記突起は同様の構成のリンクのクラウン表面に噛み合う、請求項19に記載のリンク。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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