説明

リフト装置のリモコンシステム

【課題】リフト装置と対応したリモコンを誤操作なく且つ使い勝手良く使用可能とする。
【解決手段】リモコン10Aに照合用タグ部15Aを設けて、ID情報を無線により発信可能とする一方、車両整備用リフト1Aの近傍に、リモコン10Aを収納可能なリモコン収納ボックス4Aを設け、そのリモコン収納ボックス4Aに、駆動制御部2Aと接続されてリモコン10Aから発信されるID情報を検知エリア内で受信可能で、且つ受信したID情報を予め記録された照合情報と照合して両情報が一致した場合にリモコン10Aの認証を行う照合用リーダ5Aを設けて、駆動制御部2Aは、照合用リーダ5Aで認証されたリモコン10Aによる動作指令のみを受け付けるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両整備用リフト等のリフト装置の遠隔操作のために設けられるリモコンシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば複数の車両整備用リフトを夫々リモコンによって遠隔操作する場合、リモコンの取り違え等による誤操作を防いで安全性を確保する対策が必要となる。そこで、特許文献1には、リモコンからの信号を受信する受信部に、確認スイッチ部の確認スイッチと、リモコンに設けた電源作動キーの操作に応じて開閉する電源受動スイッチとを直列、すなわちAND回路として接続して、正しいリモコンの電源作動キーと確認スイッチ部の確認スイッチとを同時に押した場合にのみリフト装置が操作可能となるようにした発明が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−233889号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記リフト装置においては、リモコンによる操作開始時には常に作業者が確認スイッチ部の位置まで移動した上で、リモコンの電源作動キーと確認スイッチ部の確認スイッチとを押し操作する手間が必要となり、操作性が悪くなっている。
【0005】
そこで、本発明は、リフト装置と対応したリモコンを誤操作なく且つ使い勝手良く使用でき、安全性は勿論、操作性にも優れるリフト装置のリモコンシステムを提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、リフト装置の駆動制御部と接続される受信部と、その受信部と無線通信を行って駆動制御部に動作指令を行うリモコンとを備えたリフト装置のリモコンシステムであって、
リモコンに、所定のID情報を記録したタグを設けて、ID情報を無線により発信可能とする一方、リフト装置の近傍に、リモコンを一時置き可能なリモコン置き場を設け、そのリモコン置き場に、駆動制御部と接続されてリモコンから発信されるID情報を所定エリア内で受信可能で、且つ受信したID情報を予め記録された照合情報と照合して両情報が一致した場合にリモコンの認証を行う照合用リーダを設けて、駆動制御部は、照合用リーダで認証されたリモコンによる動作指令のみを受け付けるようにしたことを特徴とするものである。
請求項2に記載の発明は、請求項1の構成において、所定エリア内でリモコンの電源OFF操作を行うことで当該リモコンの認証を無効とし、所定エリア内でリモコンの電源ON操作を行うことで当該リモコンの認証を有効とすることを特徴とするものである。
請求項3に記載の発明は、請求項2の構成において、所定エリア外でリモコンの電源ON/OFF操作を行っても当該リモコンの認証状態は変わらないようにしたことを特徴とするものである。
上記目的を達成するために、請求項4に記載の発明は、リフト装置の駆動制御部と接続される送受信部と、その送受信部と無線通信を行って駆動制御部に動作指令を行うリモコンとを備えたリフト装置のリモコンシステムであって、
リモコンに、所定のID情報を設定すると共に、送受信部に対してID情報の登録又は抹消の要求信号を任意に送信可能な要求手段を設ける一方、リフト装置の近傍に、リモコンを一時置き可能なリモコン置き場を設けて、そのリモコン置き場に送受信部を設け、送受信部に、所定エリア内でリモコンの要求手段によって要求されたID情報を登録又は抹消する登録/抹消手段と、その登録/抹消手段によって登録されたID情報を所定エリア内でリモコンから受信したID情報と照合して両情報が一致した場合にリモコンの認証を行う照合手段とを設けて、駆動制御部は、送受信部の登録/抹消手段によって登録され、照合手段によって認証されたリモコンによる動作指令のみを受け付けるようにしたことを特徴とするものである。
請求項5に記載の発明は、請求項4の構成において、ID情報の登録又は抹消の際、送受信部とリモコンとは、ID情報を互いに受け渡しして夫々照合を行い、送受信部での照合が所定回数に達したら登録/抹消手段がID情報の登録/抹消を行うことを特徴とするものである。
請求項6に記載の発明は、請求項5の構成において、送受信部は、ID情報の登録/抹消を行った後、当該登録/抹消情報をリモコンからの送信よりも高出力でリモコンに送信することを特徴とするものである。
請求項7に記載の発明は、請求項4乃至6の何れかの構成において、リフト装置の送受信部とリモコンとのID情報照合用の無線通信に2つのチャンネルを持たせたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、ID情報の認証によってリフト装置と対応したリモコンを夫々誤操作なく使用可能となり、安全性に優れる。特に、リモコンの認証に特別な操作が不要であるため、使い勝手が向上して操作性も良好となる。
請求項2に記載の発明によれば、請求項1の効果に加えて、リモコンの認証には対応するリフト装置のリモコン置き場の近傍での電源ON/OFF操作が必要となるため、リモコンの取り違えが効果的に防止される。
請求項3に記載の発明によれば、請求項2の効果に加えて、作業中にいちいちリモコン置き場に近づいて電源ON/OFF操作をする煩わしさがなく、作業性を損なうことがない。
請求項4に記載の発明によれば、リフト装置と対応したリモコンを夫々誤操作なく使用可能となり、安全性に優れる。特に、リモコンの認証に特別な操作が不要であるため、使い勝手が向上して操作性も良好となる。さらにここでは、リフト装置の送受信部に対してリモコンのID情報の登録と抹消とが任意に行えるため、リモコンが損傷したり紛失したりしても他のリモコンで代用でき、より使い勝手に優れる。
請求項5に記載の発明によれば、請求項4の効果に加えて、ID情報の登録/抹消が確実に行え、誤登録や誤抹消が防止されて通信の信頼性が高まる。
請求項6に記載の発明によれば、請求項5の効果に加えて、通信エラーがより確実に防止可能となる。
請求項7に記載の発明によれば、請求項4乃至6の何れかの効果に加えて、2つのチャンネルを持たせたことで、通信中のデッドポイントを回避して確実性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】形態1の車両整備用リフトのリモコンシステムの説明図である。
【図2】形態1の車両整備用リフトのリモコンシステムのブロック図である。
【図3】形態1のリモコンシステムの動作を示すフローチャートである。
【図4】形態2の車両整備用リフトのリモコンシステムの説明図である。
【図5】形態2の車両整備用リフトのリモコンシステムのブロック図である。
【図6】形態2のリモコンシステムの動作を示すフローチャートである。
【図7】形態2のリモコンシステムのリモコン登録のフローチャートである。
【図8】形態2のリモコンシステムのリモコン登録抹消のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
[形態1]
図1において、1A,1Bは、リフト装置の一例である車両整備用リフトで、車両が乗り込むドライブオンプレートを油圧シリンダで昇降させる周知の構成を有し、図2に示すように、油圧回路の電磁弁やポンプ等の駆動を制御する駆動制御部2A(2B)を備えている。
なお、図1,2では、車両整備用リフト1A,1Bと夫々に対応するリモコンシステムについて示しているが、リモコンシステムはどちらも同じ構成を有するため、特に区別する必要がある場合を除き、主に車両整備用リフト1Aについて以下説明を行う。
【0010】
車両整備用リフト1Aの近傍には、リモコンを一時置きするリモコン置き場となるリモコン収納ボックス4Aが設けられている。リモコン収納ボックス4Aには、車両整備用リフト1Aの駆動制御部2Aに接続されて駆動制御部2Aへ動作指令を出力するリフト制御用受信部3Aと、後述するリモコン10Aと非接触で無線通信を行う照合用リーダ5Aと、照合確認用のLED6Aとが設けられている。照合用リーダ5Aは、図示しないアンテナやマイコンを備え、半径約50cmの検知エリアS内での無線通信により、マイコンのメモリに記録されたID情報(照合情報)と、リモコンから送信されたID情報との照合を行うものである。車両整備用リフト1Aの駆動制御部2Aは、照合用リーダ5Aとも接続されて、照合用リーダ5Aによって認証されたリモコンからの動作指令のみを受け付けるようになっている。
【0011】
そして、10Aはリモコンで、電源ON用の「入」ボタン11Aと、電源OFF用の「切」ボタン12Aと、車両整備用リフト1Aの昇降等の通常操作に使用する操作ボタン13A,13A・・とを夫々備える一方、リフト制御用受信部3Aと無線通信するリフト制御用送信部14Aと、照合用リーダ部5Aと無線通信する照合用タグ部15Aとを備えている。この照合用タグ部15Aは、予め所定のID情報(ここではリモコンの固有番号)を記録したICチップに、振動センサ16Aとアンテナとを備えた構成で、後述するようにリモコン収納ボックス4Aから取り出す等して振動センサ16Aが振動を検知すると、0.5秒間隔でID情報を発信するものである。
【0012】
以上の如く構成された車両整備用リフト1Aのリモコンシステムの動作を、図3のフローチャートに従って説明する。
まずS1では、リモコン10Aの認証がされているか否かが判別される。すなわち、リモコン収納ボックス4Aの照合用リーダ5Aと照合用タグ部15Aとの間でのID情報の照合がされているか否かの確認で、ここで認証がされていれば、次のS2で、リモコン10Aが電源投入により操作可能となっているか否かが判別される。ここで操作可能であれば、S3で通常のリフト操作が可能となる。また、リモコン10Aが操作可能でない場合は、S4で「入」ボタン11Aを押し操作することで、操作用ソフトが立ち上がり、S5で操作可能状態となる。
【0013】
一方、S1の判別でリモコンの認証が行われていない場合は、リモコン収納ボックス4Aからリモコン10Aが取り出されるか、或いは周辺から持ち込まれるかすると、S6で振動センサ16Aがこれを検知することで、照合用タグ部15AからID情報が発信される(S7)。このID情報をリモコン収納ボックス4Aの照合用リーダ5Aが受信すると(S8)、S9で、自己のID情報と受信したID情報とが一致するか否かを判別する。この照合が一致すると、S10でLED6Aが点灯し、照合が一致しなければ、S11でLED6Aが点滅する。
照合が一致すれば、S12でリモコン10Aの「入」ボタン11Aが押されたか否かが判別される。ここで「入」ボタン11Aが押し操作されれば、S13でリモコン10Aの操作用ソフトが立ち上がって認証が有効となり、操作可能な状態となってS3による通常のリフト操作が可能となる。
【0014】
そして、リフト操作が終了してS14でリモコン10Aの「切」ボタン12Aが押されると、S15で検知エリアS内での操作か否かが判別される。ここで検知エリアS内であれば、S16でリモコン10Aの認証が無効となり、操作用ソフトが終了してリモコン10Aが操作不可状態となる。
また、S14で「切」ボタン12Aが押し操作されなくても、S17で、「入」ボタン11Aの押し操作からカウントされた第1タイマ(例えば数分〜数十分)のタイムアップが確認されると、S18で操作用ソフトが終了してリモコン10Aが操作不可状態となる。但し、リモコン10Aの認証は有効のままである。なお、この処理は、検知エリアSの外で「切」ボタン12Aが押された場合(S15でNO)の場合も同様に行われる。
【0015】
一方、リモコン10Aが操作不可状態のまま、S19で、「入」ボタン11Aの押し操作からカウントされ、第1タイマよりも長く設定された第2タイマ(例えば1時間〜数時間)のタイムアップが確認されると、S16でリモコン10Aの認証も無効となる。
よって、再びリモコン10Aを使用したい場合は、検知エリアS外でリモコン10Aの「入」ボタン11Aを押すと(S4)、S5でリモコン10Aの操作用ソフトが立ち上がり、操作可能状態に設定される。
【0016】
このように、上記形態1の車両整備用リフト1Aのリモコンシステムでは、リモコン10Aに照合用タグ部15Aを設けて、ID情報を無線により発信可能とする一方、車両整備用リフト1Aの近傍に、リモコン10Aを収納可能なリモコン収納ボックス4Aを設け、そのリモコン収納ボックス4Aに、駆動制御部2Aと接続されてリモコン10Aから発信されるID情報を検知エリアS内で受信可能で、且つ受信したID情報を予め記録された照合情報と照合して両情報が一致した場合にリモコン10Aの認証を行う照合用リーダ5Aを設けて、駆動制御部2Aは、照合用リーダ5Aで認証されたリモコン10Aによる動作指令のみを受け付けるようにしている。よって、車両整備用リフト1A,1Bと対応したリモコン10A,10Bを夫々誤操作なく使用可能となり、安全性に優れる。特に、リモコン1A,1Bの認証に特別な操作が不要であるため、使い勝手が向上して操作性も良好となる。
【0017】
また、ここでは、検知エリアS内でリモコン10Aの電源OFF操作(「切」ボタン12Aの押し操作)を行うことで照合用リーダ5Aによる認証を無効とし(S15,S16の処理)、検知エリアS内でリモコン10Aの電源ON操作(「入」ボタン11Aの押し操作)を行うことで照合用リーダ5Aによる認証を有効としている(S12,S13の処理)ため、リモコン10Aの認証には対応する車両整備用リフト1A(1B)のリモコン収納ボックス4A(4B)の近傍での電源ON/OFF操作が必要となり、リモコン10A(10B)の取り違えが効果的に防止される。
さらに、検知エリアS外ではリモコン10Aの電源ON/OFF操作を行っても当該リモコン10Aの認証状態は変わらないようにしているので(S15,S18及びS4,S5の処理)、作業中にいちいちリモコン収納ボックス4Aに近づいて電源ON/OFF操作をする煩わしさがなく、作業性を損なうことがない。
【0018】
なお、上記形態1では、リフト制御用受信部をリモコン収納ボックスに設けているが、車両整備用リフト自体に設けたり、他の場所に設けたりしてもよい。
また、振動センサをなくして、電源ON操作によってID情報を発信させて照合を取るようにしたり、検知エリアの内外での認証状態をブザーや合成音声等によってさらに明確に報知させるようにしたり等、適宜変更可能である。勿論第1、第2タイマの設定も適宜変更して差し支えない。
【0019】
[形態2]
次に、本発明の他の形態を説明する。但し、形態1と同じ構成部には同じ符号を付して重複する説明は省略する。
図4に示す車両整備用リフト1A(1B)においては、リモコン10A(10B)に登録ボタン19A(19B)と登録の抹消ボタン20A(20B)とが夫々設けられている。また、図5に示すように、ここでは照合用リーダやタグは使用されず、リモコン収納ボックス4A(4B)には、駆動制御部2A(2B)に接続され、マイコンやアンテナ等を備える送受信部17A(17B)が設けられる一方、リモコン10A(10B)にも夫々マイコンやアンテナ等を備えた送受信部18A(18B)が設けられて、送受信部17A(17B),18A(18B)間での無線通信が可能となっている。
【0020】
送受信部17A(17B)には、リフト操作用に1〜9の9つのチャンネルと、リモコン10A(10B)との照合用に10及び11の2つのチャンネルとが割り当てられており、リモコン10A(10B)には、夫々固有番号からなるIDの他、夫々リフト操作用に1〜9のチャンネルの内の一つと、照合用の10及び11の2つのチャンネルとが割り当てられている。このように2つのチャンネルを持たせることで、通信中のデッドポイントを回避して確実性を高めるようにしている。また、リモコン10A(10B)には、表示部21A(21B)が設けられる一方、車両整備用リフト1A(1B)には登録確認用LED22A(22B)が設けられている。
【0021】
以上の如く構成されたリモコンシステムの動作を図6のフローチャートに基づいて説明する。なお、本形態2においても車両整備用リフト1A,1B夫々においてリモコンシステムは同様の制御となるため、特に区別する必要がある場合を除き、主に車両整備用リフト1Aについて以下説明を行う。
このリモコンシステムを使用する場合、まずS31でリモコン10Aが車両整備用リフト1Aの送受信部17Aに登録されているか否かが判別される。ここで登録済みであれば、S32で、リモコン10Aが電源ON操作によって操作可能状態となっているか否かが判別され、操作可能状態であれば、S33で通常のリフト操作が可能となる。
【0022】
S31の判別でリモコン10Aが登録されていなければ、S34で登録ボタン19Aを押し操作すると、S35でリモコン10Aの登録がされる。この登録処理は追って詳述する。
また、S32の判別でリモコン10Aが操作不可状態であれば、S36で「入」ボタン11Aを押し操作すると、S37で送受信部18AがID情報を含む「入」信号を高出力で発信し、送受信部17Aに登録済みのID情報と照合する(S38、照合手段の実行)。ここでID情報が一致すれば、S39で操作用ソフトが立ち上がってリモコン10Aが操作可能となる。
【0023】
そして、リフト操作が終了してS40でリモコン10Aの「切」ボタン12Aが押されると、S41でリモコン10Aの送受信部18が高出力の「切」信号を発信し、送受信部17Aに登録済みのID情報と照合する(S42)。ここでID情報が一致すると、S43で操作用ソフトが終了してリモコン10Aが操作不可状態となる。また、S40で「切」ボタン12Aが押されなくても、S44の判別で、「入」ボタン11Aの押し操作からカウントされたタイマ(例えば1時間〜数時間)のタイムアップが確認されると、S43で操作不可状態となる。
よって、再びリモコン10Aを使用したい場合は、S36でリモコン10Aの「入」ボタン11Aを押すと、S37以下の処理が行われてS39でリモコン10Aは操作可能となる。
【0024】
一方、リモコンの登録は図7のフローチャートに従って行われる。
まず、登録ボタン19Aが押されると、S51でリモコン10Aの送受信部18A(以下「リモコン側」という。)から自身のID情報を含む登録要求信号が発信される(要求手段の実行)。よって、S52では、このID情報を車両整備用リフト1Aの送受信部17A(以下「リフト側」という。)が検知エリアS内で受信したか否かを判別する。ここで検知エリアS外での受信であれば、登録処理を行わずに終了するが、検知エリアS内での受信であれば、リフト側では、受信したID情報が登録済みか否かを判別する(S53)。ここで登録済みであれば、S54でエラー報知を行い、S55で登録処理をリセットして終了するが、未登録であれば、S56で照合回数カウンタをリセットして、S57で当該ID情報をデータレジスタに仮登録した後、S58で、自身のリフトナンバーを含む仮登録情報をリモコン側へ高出力で返信する。
【0025】
リモコン側では、受信した仮登録情報を自身のID情報と照合し(S59)、両者が一致していれば、S60でID情報をデータレジスタに仮登録し、S61で仮登録情報をリフト側へ再発信する。なお、S59での照合が不一致であれば、S62で表示部21Aにエラー表示を行ってS55で登録処理をリセットして終了する。
一方、リフト側では、受信した仮登録情報を照合し(S63)、自身の仮登録情報と一致していれば、S64で照合回数をカウントする。不一致であればS54でエラー報知を行ってS55で登録処理をリセットして終了する。そして、S65で、照合回数が予め設定された定数に達したか否かを判別し、定数に達していなければS57へ戻り、再び当該ID情報を仮登録してリモコン側へ返信する。リモコン側でも再度照合して仮登録と再発信とを行い、リフト側で照合して回数のカウントを続ける(S57〜S64)。
【0026】
S65の判別で照合回数が定数に達すると、S66で、リフト側でID情報を本登録し(登録/抹消手段の実行)、S67で登録確認用LED22Aを点灯させる一方、リモコン側へ本登録情報を高出力で返信する(S68)。リモコン側では、受信したID情報をデータレジスタにおいて本登録し(S69)、S70で表示部21Aにリフトナンバーを表示する。これにより、操作者は当該リフト1Aにリモコン10Aが登録されたことが分かる。
【0027】
一方、リモコン10Aの登録抹消は図8のフローチャートに従って行われる。
まず、S71で抹消ボタン20Aが押されると、S72でリモコン側から自身のID情報を含む登録抹消の要求信号が発信される(要求手段の実行)。よって、S73では、この要求信号をリフト側が検知エリアS内で受信したか否かを判別する。ここで検知エリアS外での受信であれば、登録処理を行わずに終了するが、検知エリアS内での受信であれば、リフト側では、受信したID情報が一致しているか否かを判別する(S74)。ここで不一致であれば、S75でエラー報知を行い、S76で登録抹消処理をリセットして終了するが、一致であれば、S77で照合回数カウンタをリセットして、S78でデータレジスタにおける当該ID情報を仮抹消した後、S79で、自身のリフトナンバーを含む仮抹消情報をリモコン側へ高出力で返信する。
【0028】
リモコン側では、受信した仮抹消情報を自身のID情報と照合し(S80)、両者が一致していれば、S81でデータレジスタのID情報を仮抹消し、S82で仮抹消情報をリフト側へ再発信する。なお、S80での照合が不一致であれば、S83で表示部21Aにエラー表示を行ってS76で登録抹消処理をリセットして終了する。
一方、リフト側では、受信した仮抹消情報を照合し(S84)、自身の仮抹消情報と一致していれば、S85で照合回数をカウントする。不一致であればS75でエラー報知を行ってS76で登録抹消処理をリセットして終了する。そして、S86で、照合回数が予め設定された定数に達したか否かを判別し、定数に達していなければS78へ戻り、再び当該ID情報を仮抹消してリモコン側へ返信する。リモコン側でも再度照合して仮抹消と再発信とを行い、リフト側で照合して回数のカウントを続ける(S78〜S85)。
【0029】
S86の判別で照合回数が定数に達すると、S87で、リフト側でID情報を本抹消し(登録/抹消手段の実行)、S88で登録確認用LED22Aを消灯させる一方、リモコン側へ本抹消情報を高出力で返信する(S89)。リモコン側では、受信したID情報をデータレジスタから本抹消し(S90)、S91で表示部21Aのリフトナンバーを消去する。これにより、操作者は当該リフト1Aにリモコン10Aの登録が抹消されたことが分かる。
【0030】
このように、上記形態2のリモコンシステムにおいても、リモコン10Aに、所定のID情報を設定すると共に、送受信部17Aに対してID情報の登録又は抹消の要求信号を任意に送信可能な要求手段を設ける一方、車両整備用リフト1Aの近傍に、リモコン10Aを収納可能なリモコン収納ボックス4Aを設けて、そのリモコン収納ボックス4Aに送受信部17Aを設け、送受信部14Aに、検知エリアS内でリモコン10Aの要求手段によって要求されたID情報を登録又は抹消する登録/抹消手段と、その登録/抹消手段によって登録されたID情報を検知エリアS内でリモコン10Aから受信したID情報と照合して両情報が一致した場合にリモコン10Aの認証を行う照合手段とを設けて、駆動制御部2Aは、送受信部17Aの登録/抹消手段によって登録され、照合手段によって認証されたリモコン10Aによる動作指令のみを受け付けるようにしている。
よって、車両整備用リフト1A,1Bと対応したリモコン10A,10Bを夫々誤操作なく使用可能となり、安全性に優れる。特に、リモコン1A,1Bの認証に特別な操作が不要であるため、使い勝手が向上して操作性も良好となる。さらにここでは、送受信部17Aに対してリモコンのID情報の登録と抹消とが任意に行えるため、リモコンが損傷したり紛失したりしても他のリモコンで代用でき、より使い勝手に優れる。
【0031】
また、ID情報の登録又は抹消の際、送受信部17A,18Aとは、ID情報を互いに受け渡しして夫々照合を行い、送受信部17Aでの照合が所定回数に達したらID情報の登録/抹消を行うようにしているので、ID情報の登録/抹消が確実に行え、誤登録や誤抹消が防止されて通信の信頼性が高まる。
さらに、送受信部17Aは、ID情報の登録/抹消を行った後、当該登録/抹消情報をリモコン側の送信よりも高出力でリモコン10Aに送信するようにしているので、通信エラーがより確実に防止可能となる。
【0032】
なお、上記形態2において、登録/抹消の際のID情報の受け渡しと照合との回数は適宜設定できるし、複数回の受け渡しを行わずに、リモコン側からの要求信号を受信したら直ちに登録/抹消を行うようにすることもできる。また、通信の出力も高低に切り換えることなく、リモコン側とリフト側とで常に同じとしてもよい。
【0033】
そして、上記形態1,2に共通して、車両整備用リフトとリモコンとの数は2組に限らず、3組以上設置した場合であっても、同様にID情報による車両整備用リフトとリモコンとの対応関係の設定は可能である。
また、車両整備用リフトに限らず、荷役用のテーブルリフトといった他のリフト装置にも本発明を適用して差し支えない。
【符号の説明】
【0034】
1A,1B・・車両整備用リフト、2A,2B・・駆動制御部、3A,3B・・リフト制御用受信部、4A,4B・・リモコン収納ボックス、5A,5B・・照合用リーダ、6A,6B・・認証確認用LED、10A,10B・・リモコン、11A,11B・・「入」ボタン、12A,12B・・「切」ボタン、13A,13B・・操作ボタン、14A,14B・・リフト制御用送信部、15A,15B・・照合用タグ部、17A,18B・・送受信部、19A,19B・・登録ボタン、20A,20B・・抹消ボタン、21A,21B・・表示部、22A,22B・・登録確認用LED。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リフト装置の駆動制御部と接続される受信部と、その受信部と無線通信を行って前記駆動制御部に動作指令を行うリモコンとを備えたリフト装置のリモコンシステムであって、
前記リモコンに、所定のID情報を記録したタグを設けて、前記ID情報を無線により発信可能とする一方、
前記リフト装置の近傍に、前記リモコンを一時置き可能なリモコン置き場を設け、そのリモコン置き場に、前記駆動制御部と接続されて前記リモコンから発信される前記ID情報を所定エリア内で受信可能で、且つ受信した前記ID情報を予め記録された照合情報と照合して両情報が一致した場合に前記リモコンの認証を行う照合用リーダを設けて、
前記駆動制御部は、前記照合用リーダで認証された前記リモコンによる動作指令のみを受け付けるようにしたことを特徴とするリフト装置のリモコンシステム。
【請求項2】
前記所定エリア内で前記リモコンの電源OFF操作を行うことで当該リモコンの認証を無効とし、前記所定エリア内で前記リモコンの電源ON操作を行うことで当該リモコンの認証を有効とすることを特徴とする請求項1に記載のリフト装置のリモコンシステム。
【請求項3】
前記所定エリア外で前記リモコンの電源ON/OFF操作を行っても当該リモコンの認証状態は変わらないようにしたことを特徴とする請求項2に記載のリフト装置のリモコンシステム。
【請求項4】
リフト装置の駆動制御部と接続される送受信部と、その送受信部と無線通信を行って前記駆動制御部に動作指令を行うリモコンとを備えたリフト装置のリモコンシステムであって、
前記リモコンに、所定のID情報を設定すると共に、前記送受信部に対して前記ID情報の登録又は抹消の要求信号を任意に送信可能な要求手段を設ける一方、
前記リフト装置の近傍に、前記リモコンを一時置き可能なリモコン置き場を設けて、そのリモコン置き場に前記送受信部を設け、
前記送受信部に、所定エリア内で前記リモコンの前記要求手段によって要求された前記ID情報を登録又は抹消する登録/抹消手段と、その登録/抹消手段によって登録された前記ID情報を前記所定エリア内で前記リモコンから受信した前記ID情報と照合して両情報が一致した場合に前記リモコンの認証を行う照合手段とを設けて、
前記駆動制御部は、前記送受信部の前記登録/抹消手段によって登録され、前記照合手段によって認証された前記リモコンによる動作指令のみを受け付けるようにしたことを特徴とするリフト装置のリモコンシステム。
【請求項5】
前記ID情報の登録又は抹消の際、前記送受信部とリモコンとは、前記ID情報を互いに受け渡しして夫々照合を行い、前記送受信部での照合が所定回数に達したら前記登録/抹消手段が前記ID情報の登録/抹消を行うことを特徴とする請求項4に記載のリフト装置のリモコンシステム。
【請求項6】
前記送受信部は、前記ID情報の登録/抹消を行った後、当該登録/抹消情報を前記リモコンからの送信よりも高出力で前記リモコンに送信することを特徴とする請求項5に記載のリフト装置のリモコンシステム。
【請求項7】
前記リフト装置の送受信部とリモコンとの前記ID情報照合用の無線通信に2つのチャンネルを持たせたことを特徴とする請求項4乃至6の何れかに記載のリフト装置のリモコンシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−189118(P2010−189118A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−34257(P2009−34257)
【出願日】平成21年2月17日(2009.2.17)
【出願人】(390018326)株式会社スギヤス (35)