リブダクト成形機、薄板成形システム及びダクト製造システム
【課題】空調用ダクトに狭い間隔の整ったリブを容易に成形するリブ成形機、異なったリブ形状でも空調ダクトを量産可能とする薄板成形システム及びダクト製造システムを提供する。
【解決手段】基台に一対の間隔調整可能な上下リブ成形ローラを設け、上ローラを上方向から押える上ローラ押さえと、下ローラを下方向から押える下ローラ押さえにより前記上下リブ成形ローラの反りを押える。また、異なる板厚の薄板を加工する場合であっても、間隔検出手段により前記上下リブ成形ローラの間隔を検出し登録間隔と一致するか否かを判定し、駆動部を停止させると共に適正間隔となったこと表示させる。また、複数のリブ成形機の中から所望の間隔調整容易なリブ成形機を選択可能とすることにより異なったリブ形状の薄板の加工をする。薄板成形システム及びダクト製造システムの所定の位置に前記リブ成形機を組込む。
【解決手段】基台に一対の間隔調整可能な上下リブ成形ローラを設け、上ローラを上方向から押える上ローラ押さえと、下ローラを下方向から押える下ローラ押さえにより前記上下リブ成形ローラの反りを押える。また、異なる板厚の薄板を加工する場合であっても、間隔検出手段により前記上下リブ成形ローラの間隔を検出し登録間隔と一致するか否かを判定し、駆動部を停止させると共に適正間隔となったこと表示させる。また、複数のリブ成形機の中から所望の間隔調整容易なリブ成形機を選択可能とすることにより異なったリブ形状の薄板の加工をする。薄板成形システム及びダクト製造システムの所定の位置に前記リブ成形機を組込む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調用筒型ダクトのリブ成形機、該リブ成形機を含んだ薄板成形システム、及びダクト製造システムに関する。
【背景技術】
【0002】
構築物の規模の拡大により、空調・排煙用ダクト内を流れる風量も増大し、ダクトの断面積の大型化とともにダクトを流れる気体流速の増大が必要になる。内部を流通する気体の圧力も増大し、ダクト筒体を構成するダクト構成板の平坦な部分の面積も拡大している。これによりダクト構成板に発生する振動やビビリ音等の異音を抑えるため、筒型ダクトのダクト構成板の板厚を厚くすることが行われている。しかし、ダクト構成板を厚くすることによりダクトの重量は増大し、天井に近い高所等の工事現場で行われるダクトの設置作業が困難になり、作業効率を低下させ、設置作業の安全性も低下させている。
【0003】
さらに、ダクト構成板の材料である金属製の薄板の価格が高騰すると、それに伴い空調用ダクトの製造原価も高くなる。こうしたことからダクトを構成する金属板を薄くすることが求められている。これまでも、ダクト構成板のべこつきを抑えるため、ダクト構成板に300mm間隔でリブが成形されていたが、このリブ間隔によってはダクトの構成板を薄くすることはできなかった。そこで、ダクト構成板の剛性を高めるために金属薄板に狭い間隔でリブを成形することが必要となっていた。
【0004】
まず、複数の斜行リブを適宜間隔を空けて狭い間隔で形成し交互に交差させる技術が(特許文献1)が提案されていた。斜行リブを形成する技術の提案では、リブ成形機に金属製薄板を斜めに誘導することが必要であり、作業に困難を伴っていた。また、外周に凹凸を設けた円形板を多数重ねてローラ表面を形成し、紙、合成樹脂板や0.1mm程度の金属薄板に凸凹を付与する技術(特許文献2)が提案されていた。しかし、構築物の空調用ダクトに用いる0.5mm以上の金属薄板に凹凸リブを付与するには、ローラ軸端部のみ押し付け機構により抑えるだけではローラ軸が反り、所望のリブ形状を成形することができなかった。
【0005】
更に、リブを金属薄板の一方にのみ凸となるように成形すると、ダクトを製造する段階で前記薄板が一方に反り、ダクトを組立てる段階で加工性が悪くなることに加え、形成された筒型ダクトの表板が外側又は内側の一方に反ることとなった。そこで、薄板ダクト構成板に、所定の高さのリブを狭い間隔で表裏交互に成形させ、ダクト構成板の剛性を向上させる等、多様な形状のリブを形成することが求められていた。
【0006】
ところが、所定の高さのリブを狭い間隔で成形すると、従来型のリブ成形機では、リブ成形の際にローラに大きな力が加わるために、リブ成形ローラが反り、金属製の薄板に規則正しくリブを整形することが困難であった。また、ダクトの規格が統一されていないため、リブ形状も単一ではなく、ダクトに成形するリブの形状に応じてリブ成形機を使い分け、金属製の薄板毎にローラ間隔を調整することも必要となった。
【特許文献1】特開2001−241744
【特許文献2】特開2002−321094
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
金属製の薄板に所定の高さのリブを狭い間隔で成形するためにローラに大きな力が加わっても、リブ成形ローラが反らないようにする必要がある。また、リブ成型機のローラ間隔の調整は、リブを成形する金属製薄板の厚さに応じて隙間間隔測定具を用いて手作業による間隔調整を必要とし、作業員の熟練した経験が必要とされていた。更に、前記のように複数のリブ成形機を使い分けていたため、リブ成型機を使い分ける都度、作業員が機器を調整することが必要であった。このため、従来ラインに追加のリブ成型機を組み込む事はできても作業効率は低下していた。
【0008】
また、リブ成形機を単体で使用する場合には、金属製薄板を所定のダクト構成板形状に切断した後に、リブ成形機に作業員が形状の異なる薄板を差し込んでリブを成形していたため、作業効率が悪く、リブの方向も不揃いになりがちであった。そこで、製造効率のよい一連のダクト製造システムと、複数の金属製の薄板リブ成形機を組み込んだ高い製造効率を提供するラインが求められていた。
【0009】
そこで、本発明は、狭い間隔の整った形状のリブを成形するリブ成形機を提供するとともに、金属薄板の厚さに応じて、リブ成形機の切り替え手間が迅速かつ容易で、効率的にローラの間隔を調整できる空調用筒型ダクトのリブ成形機を提供し、更に、前記リブ成形機を含んだ薄板成形システム、及びダクト製造システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明に係る空調用筒型ダクトのリブを成形するリブ成形機では、基台と、該基台の上下2箇所に設置された対向する一対の軸受と、各軸受に設置された上ローラ及び下ローラと、該上ローラを上方向から押えるために前記基台の上部に設置された上ローラ押えと、前記下ローラを下方向から押えるために前記基台の下部に設置された下ローラ押えと、前記上ローラを上下動させるための可変手段とを備えることを要旨としている。
【0011】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載のリブ成形機において、前記上ローラと前記下ローラとはダクトを構成する金属製の薄板が通過する隙間をあけて配置されるとともに、前記隙間は前記可変手段により間隔調整可能とされ、前記上ローラと前記下ローラとの隙間の間隔を検出する間隔検出手段と、
ローラ間隔が薄板にリブを成形する適正な間隔となったことを表示する適正表示手段と、前期可変手段により前記間隔が調整され、前記間隔検出手段により検出された間隔が所望の適正間隔であると判定されたときに、前記表示手段に適正表示をさせる制御手段とを備えることを要旨としている。
【0012】
請求項3に記載の発明では、請求項2に記載のリブ成形機において、リブが成形される前記薄板の厚さに応じた前記上ローラと前記下ローラとの適正間隔を予め登録した記憶部を備え、前期可変手段により前記間隔が調整され、前記間隔検出手段により検出された間隔が登録された前記適正間隔であると判定されたときに、前記制御手段は前記表示手段に適正表示をさせることを要旨としている。
【0013】
請求項4に記載の発明では、請求項2又は請求項3に記載のリブ成形機において、前記可変手段は、前記上ローラを駆動させ前記下ローラとの間隔を調整する駆動部を備え、前記駆動部により前記間隔が調整され、前記間隔検出手段により検出された間隔が前記適正間隔であると判定されたときに、前記制御手段は前記駆動部を停止させることを要旨としている。
【0014】
請求項5に記載の発明では、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のリブ成形機において、前記上ローラと前記下ローラとには、凸及び凹のリブが交互に成形され、前記上ローラに形成されている凹又は凸のリブが、前記下ローラに形成されている凸又は凹のリブと、それぞれ咬合するように配設されていることを要旨としている。
【0015】
次に、請求項6に記載の発明に係る金属製の薄板を空調用筒型ダクトの構成板に形成する薄板成形システムでは、複数のリブ成形機を含むとともに、少なくとも前記リブ成形機の1基が請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のリブ成形機であることを要旨としている。
【0016】
請求項7に記載の発明では、請求項6に記載の薄板成形システムにおいて、少なくとも、コイル状に巻かれた金属製の薄板の歪を矯正するとともにリブ成形機へ誘導するレベルロールと、前記リブ成形機を通過した薄板を所望の長さに切断する第1切断手段と、前記薄板を所望の形状に切断する第2切断手段とを含んでいることを要旨としている。
【0017】
請求項8に記載の発明では、請求項7に記載の薄板成形システムにおいて、前記薄板の表面に凸及び凹のリブが交互に成形される薄板成形システムであって、前記第2切断手段は、前記筒型ダクトの向かいあうダクト構成板に凸及び凹のリブを同一方向に揃うように所望の形状に切断することを要旨としている。
【0018】
また、請求項9に記載の発明では、空調用筒型ダクト製造システムにおいて、コイル状に巻かれた金属製の薄板の歪を矯正し、前方へ送り出すレベルロールと、該レベルロールから送られてきた薄板を所定の長さに切断するための計測を行うエンコーダーロールと、該エンコーダーロールを通過した薄板にリブを成形する請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のリブ成形機と、該リブ成形機を通過した薄板を所定の形状に切断する切断機と、該切断機を通過した薄板を所定の方向に位置決めする第1ローラコンベアーと、該第1ローラコンベアーを通過した薄板の側端に組立用ハゼを成形するハゼ折り機と、該ハゼ折り機を通過した薄板を所定の方向に位置決めする第2ローラコンベアーと、該第2ローラコンベアーを通過した薄板にフランジを成形するフランジ成形装置と、該フランジ成形装置を通過した薄板を所定の形状に折り曲げる折曲機とを備えていることを要旨としている。
【0019】
請求項10に記載の発明では、空調用筒型ダクト製造システムにおいて、コイル状に巻かれた金属製の薄板の歪を矯正し、前方へ送り出すレベルロールと、該レベルロールから送られてきた薄板を所定の長さに切断するための計測を行うエンコーダーロールと、該エンコーダーロールを通過した薄板を所定の形状に切断する切断機と、該切断機を通過した薄板を所定の方向に位置決めする第1ローラコンベアーと、該第1ローラコンベアーを通過した薄板の側端に組立用ハゼを成形するハゼ折り機と、該ハゼ折り機を通過した薄板にリブを成形する請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のリブ成形機と、該リブ成形機を通過した薄板を所定の方向に位置決めする第2ローラコンベアーと、該第2ローラコンベアーを通過した薄板にフランジを成形するフランジ成形装置と、該フランジ成形装置を通過した薄板を所定の形状に折り曲げる折曲機とを備えていることを要旨としている。
【0020】
以下、本発明の作用について説明する。
請求項1の発明によると、上下のローラを更にその上下から押さえることにより、リブの本数が多くなりローラに加わる反力が大きくなっても、ローラが外側に反ることが抑制される。また、上下のローラ押さえはローラを左右斜めから押えているため、ローラが横方向に反ることもない。これにより、成形される金属製の薄板のリブの高さが均一となる。また、上ローラを上下動させるための可変手段を備えているため、上ローラを上方へ移動させ、上下ローラの間隔を広く開ければ、金属製の薄板をローラに抵抗を与えずローラ間をスルーさせることができる。そして、上ローラを下方へ移動させ、上下ローラの間隔を狭くし金属製の薄板を押圧するようにすれば、金属製の薄板にリブを形成することができる。
【0021】
請求項2の発明によると、上下ローラの間隔検出手段により、上下ローラの間隔がリブを成形する金属製の薄板の厚さに応じた適正な間隔となったことが検出されたときに、適正間隔であることが表示されるため、熟練作業員でなくても効率的にローラの間隔を適正な間隔に調整することができる。
【0022】
請求項3の発明によると、上下ローラの間隔検出手段により、ローラ間隔が薄板の厚さに応じて記憶部に予め登録されている適正間隔になったことが検出されたときに、適正間隔であることが表示手段により表示される。そのため、ダクトを構成する前記薄板を異なる厚さの薄板に取り替えても、作業員がローラの間隔を測定し間隔を調整する必要がない。これにより、更に効率的にローラの間隔を調整することができる。
【0023】
請求項4の発明によると、駆動手段により上ローラが下降し上下ローラの間隔が、前記記憶部に登録されている前記金属製の薄板に応じた間隔となったときに、適正表示がされ、ローラの下降が自動的に停止するため、容易に且つ迅速に調整できる。
【0024】
請求項5の発明によると、金属製薄板の表面に、一工程で凸及び凹のリブを交互に成形することができる。一工程で凸及び凹のリブが成形されるため、凸リブと凹リブの間隔と方向が整い、反りが発生しないダクト構成板を成形することができる。
【0025】
請求項6の発明によると、異なる形状のリブを成形する複数のリブ成形機を並列させる場合であっても、リブ成形に用いられないリブ成形機の上下ローラの間隔を広く開ければ、金属製の薄板をローラ間をスルーさせることができる。そして、リブを成形するリブ成形機のみの上下ローラ間隔を前記可変手段により適正間隔に調整し、前期薄板を押圧するようにすれば、前記薄板に所望の形状のリブを成形することができるため、複数のリブ成形機を含んだ薄板成形システムであっても、所望の形状のリブを成形するリブ成形機を選択しリブを成形することが容易である。
【0026】
複数のリブ成形機を組み込んだラインに、本発明のリブ成形機を適用することにより、複数の種類のリブを作り分けるダクト製造ラインとすることができる。また、既存ダクト製造ラインを廃棄せず、前記既存ラインに上記のリブ成形機を組み込むこともできる。これにより既存ラインを利用して、複数の種類のリブを作り分けるダクト製造ラインとすることができる。
【0027】
請求項7の発明によると、従来の作業工程とは作業順序を変え、金属製の薄板にリブが形成された後に、そのリブが成形された薄板を切断機により所望の形状に切断する製造ラインにした。これまで、所望の形状に切断するためには、プラズマ切断機が用いられている。プラズマ切断により切断部が高熱となった異なった形状のダクト構成板にリブを成形することは困難であり効率が悪かったが、作業工程を変えることにより、作業が省力化されるとともに安全になる。
【0028】
請求項8の発明によると、建物内に露出されて設けられるダクトであっても、その両面に同一方向に揃ったリブを形成することができるため、意匠性が要求される筒型ダクトの製造にも対応することができるラインとすることができる。
【0029】
請求項9の発明によると、コイル状に巻かれた金属製の薄板の歪を矯正し、前記リブ成形機により薄板にリブを形成してから、所定の寸法と形状に切断し、ダクトを筒体に組み立てる組立用ハゼをハゼ折りし、隣接するダクトと連続させる接続部のフランジを成形し、筒型ダクトとして組立てる前の所定の形状に折り曲げるまでを、一連の半自動化ラインにより成形することができる。これにより、空調用筒型ダクトを大量生産することができ、製造コストを低減することができる。
【0030】
請求項10の発明によると、コイル状に巻かれた金属製の薄板の歪を矯正し、前記所定の寸法と形状に切断し、ダクトを筒体に組み立てる組立用ハゼをハゼ折りし、前記リブ成形機により薄板にリブを形成してから、ダクトを連続させる接続部のフランジを成形し、所定の形状に折り曲げるまでを、一連の半自動化ラインとすることができる。これにより、空調用筒型ダクトを大量生産することができ、製造コストを低減することができる。
【発明の効果】
【0031】
請求項1の発明によるリブ成形機によれば整ったリブを成形することができる。請求項2の発明によれば、薄板の板厚に応じて上下ローラ間隔が適正となったことが表示されるため上下ローラの間隔調整が容易である。請求項3の発明によれば、異なる板厚であってもそれに応じた適正表示がされるため上下ローラの間隔調整が更に容易である。請求項4の発明によれば、駆動装置が所定の適正位置で自動停止されるため、上下ローラの間隔調整を速やかに行うことができる。請求項5の発明によれば、狭い間隔で同じ方向に交互に整った凹凸リブを成形することができる。請求項6の発明によれば、複数のリブ成形機を使い分けることが容易であるため、異なった形状のリブを成形し分けることが容易である。請求項7の発明によれば、リブを成形した薄板を所定の形状に形成することが容易であるため、ダクトを量産することができる。請求項8の発明によれば、意匠性の優れたダクト構成板を成形することができる。請求項9及び請求項10の発明によれば、ダクト構成板を半自動化ラインとすることができるのでダクトを大量生産でき、製造コストを低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
まず、図1、図2、図3を参照して、本発明によるリブ成型機により製造するダクトとリブ成形ローラを説明する。図1は、空調用角型ダクトの斜視図を示し、図2は本発明に適用される狭い間隔でリブを成形するローラの要部正面図を示し、図3は従来成形されていた300mm間隔のリブを成形する従来型ローラの要部正面図を示す。本発明で成形する空調用筒型ダクト1(図1参照)は、気体の流路を取り囲むように構成され、それぞれの構成板10、10には、所定の間隔で凸リブ11と凹リブ12が交互に形成されている。これらの凸リブ11及び凹リブ12は気体の流路に沿って成形されていてもよく、また、図1に示ように気体の流路方向に交差する方向に成形されていてもよい。また、ダクト構成板は、筒体の角部でハゼ14により組み立てられ、隣接するダクトとフランジ13で接続され一連のダクトに構成される。
【0033】
このリブの間隔は、約75mmから100mm間隔であることが好適である。また、こうしたリブは、上下に配置された直径約150mmの金属製円柱形状のローラ2a(図2参照)の間を誘導されることにより成形される。前記ローラ2aには、半径4mmの半円弧状断面の凸条21と、幅12mm深さ6mmの断面の凹条22が交互に形成された上下のローラ軸20、20が、前記凸条21と前記凹条22が咬合するように配置されている。また、交互に凸のリブ11と凹のリブ12を形成する金属製薄板の板厚と上下のローラの平坦部分の間隔は下記表1(単位はmm)に示す如く、例えば薄板の板厚が0.5mmの場合には、上下のローラの平坦部分の間隔(a)(図2参照)は1.5mm間隔であることが好適である。
【0034】
【表1】
【0035】
ここで、従来型のローラ(図3参照)を説明する。従来型のローラ2bは、ローラ部に比べ軸部23が細く、300mm間隔で凸ローラ21と凹ローラ22を咬合させリブを成形する場合には適するが、従来の軸径のまま狭い間隔でリブを成形すると、軸部23に反りが発生し、ダクト構成板にひずみを生じさせ、整ったリブを成形することは困難であった。
【0036】
[リブ成形機の第1実施形態]
以下、本発明を具体化した空調用筒型ダクトのリブ成形機の第1実施形態を図4、図5、図6、図7を参照して詳細に説明する。図4は、空調用筒型ダクトのリブ成形機30の一例を示す左側面図(a)及び正面図(b)である。これらの図に示すように、リブ成形機30は、一対の縦台35a、35bと、上台36と、下台37とで構成された基台と、この基台の縦台35a、35bの上下2箇所に設置された一対の上軸受70a、70b及び下軸受71a、71bと、この一対の上軸受70a、70bに設置された上ローラ40及び下軸受71a、71bに設置された下ローラ41と、上ローラ40を上方向から押えるために基台の上台32の2箇所に設置された上ローラ押え42a、42bと、下ローラ41を下方向から押えるために基台の下台33の2箇所に設置された下ローラ押え43a、43bと、上ローラ40を上下動させるための一対の可変手段44a、44bと、を備えている。
【0037】
また、上ローラ40及び下ローラ41を構成するシャフト40a、41aの端部には一対となる上歯車38a、38b及び下歯車39a、39bが設置されている。図4においては、上ローラ40と下ローラ41とが離間した状態となっているが、リブ成形時には、上述の可変手段44a、44bによって、薄板の厚みに対応する位置まで上ローラ40を下方に移動させると、左上歯車38aと左下歯車39aとが噛合い、右上歯車38bと右下歯車39bとが噛合うようになっている。
【0038】
さらに、下ローラ41を構成するシャフト41aの一方の端部には、チェーンスプロケット46が設置されており、このチェーンスプロケット46が図示しない駆動源とチェーンで連結され下ローラ41が回転するようになっている。したがって、リブ成形時には図示しない駆動源によって下ローラ41が回転すると、この回転と連動して上ローラ40が回転するようになっている。尚、図における上ローラ40及び下ローラ41は、一本の円柱体に凸条と凹条を交互に形成したものであるが、後述する図12、図13で示した分離可能なリブ成形ローラ121、122を交互にシャフトに固着させたものとすることもできる。
【0039】
図5は、図4で示した空調用筒型ダクトのリブ成形機30の可変手段44aを左側面方向から見た説明図である。上ローラ40を上下動させるための可変手段44aには、ハンドル45aが備えられている。このハンドル45aには、表面にネジ切りがされているネジ棒72の一端が固定されている。このネジ棒72は、基台の上台36に固定されたフランジ型ナット73と螺合している。また、ネジ棒72の他端は、上ローラ40を構成するシャフトの軸受70aに固定されている。そして、軸受70aの両側部は、縦台35a、35bに立設された一対のレール74a、74bの溝に摺動可能に嵌め込まれている。
【0040】
可変手段44aは上記構成となっているので、ハンドル45aを水平方向に所定量回転させることによって、ハンドル45aに一端が固定されているネジ棒が微小長さ分下方へと移動する。したがって、ネジ棒72の他端に固定されている軸受70aも一対のレール74a、74bの溝に沿って下方へと移動するので、この軸受70aに軸支されている上ローラ40も微小長さ分下方へと移動する。また、これとは逆方向にハンドル45aを回転させると、上ローラ40は微小長さ分上方へと移動する。ここで、ネジ棒72には目盛が印されており(不図示)、0.1mm単位の板厚の変更に対応できるように微小な高さ調整が可能となっている。
【0041】
また、他方の可変手段44bも上記可変手段44aと同様の構成となっているので、ネジ棒72を同じ目盛だけ上下動させることによって、上ローラ40の水平を保つことができる。尚、可変手段44a、44bに代えて、油圧シリンダーを駆動部として制御し駆動することによっても上ローラ40の上下動を行うことも可能である。
【0042】
図6は、上ローラ押え42a、42bを側面方向から見た説明図である。上ローラ押え42a、42bは、基台の上台36に固定されたフランジ型ナット75と、このフランジ型ナット75に螺合するネジ棒76と、このネジ棒の一端に固定されたハンドル77と、ネジ棒の他端に固定された軸受台78と、上台36に固定された2本の筒体79a、79bと、軸受台78に一端が固定され、筒体79a、79bに挿入されている2本の押え棒80a、80bと、軸受台78に両端を固定された2本の固定軸81a、82bと、この2本の固定軸81a、82bの周囲にベアリング(不図示)を介して回転可能に設置された2本のローラ体82a、82bとから構成されている。尚、ネジ棒76には目盛が印されている。
【0043】
上記構成の上ローラ押え42a、42bは、前述した可変手段44a、44bによって、上ローラ40を上下動時に、ハンドル77を回して同じ目盛だけネジ棒76を上下動させることができるので、リブ成形機50の稼動時には、上ローラ40に2本のローラ体82a、82bを上方から常に同じ力が負荷されるようにローラ体の長さで線接触させて、押えておくことができる。また、2本のローラ体82a、82bは上ローラ40の頂部から等距離で、ローラ体の軸心と上ローラの軸心を結んだ線上で上ローラ40に線接触していることから、上ローラ40を均等な力で押えることができ、歪を生じさせることがない。また、左上ローラ押え42aと右上ローラ押え42bとが上ローラ40の長手方向中央から均等な位置となるように、基台36の上台に固定されている(図4参照)。
【0044】
図7は、下ローラ押え43a、43bを側面方向から見た説明図である。下ローラ押え43a、43bは、軸受台83と、この軸受台83に一端が固定された2本のネジ棒84a、84bと、このネジ棒84a、84bに螺合するナット85a、85b、85c、86a、86b、86cと、軸受台83に両端を固定された2本の固定軸87a、87bと、この固定軸87a、87bの周囲にベアリング(不図示)を介して回転可能に設置された2本のローラ体88a、88bとから構成され、ナット85b、85c、86b、86cによって、基台の下台37に固定されている(図4参照)。
【0045】
上記の構成の下ローラ押え43a、43bは、リブ成形機30の稼動時には、下ローラ41に2本のローラ体88a、88bを下方から常に同じ力が負荷されるようにローラ体の長さで線接触させて、押えておくことができる。また、2本のローラ体88a、88bは下ローラ41の頂部から等距離で、ローラ体の軸心と下ローラの軸心を結んだ線上で下ローラ41に線接触していることから、下ローラ41を均等な力で押えることができ、歪を生じさせることがない。また、左下ローラ押え43aと右下ローラ押え43bとが下ローラの長手方向中央から均等な位置となるように、基台の下台37に固定されている(図4参照)。
【0046】
上述のように、上ローラ押え42a、42bが上ローラ40を上方から均等な力で押え、下ローラ押え43a、43bが下ローラ41を下方から均等な力で押えることから、上ローラ40及び下ローラ41に歪が生じて変形するのを防ぐことができ、この結果として、リブ成形機30によって、薄板に常に均一な深さの凸リブと凹リブを途切れることなく連続して成形することができる。
【0047】
[リブ成形機の第2実施形態]
次に、間隔検出手段、適正表示手段、駆動手段を備えた第2実施形態について図8、9を参照して説明する。図8は、近接センサによる間隔検出の説明図であり、ローラ間隔が離間した状態(a)及びローラ間隔が適正間隔となった状態(b)を示す要部側面図である。ここでは、左縦台35aにより説明するが、右縦台(不図示)においても、左縦台35aと対応するように構成される。
【0048】
図8(a)では、固定されている下ローラ41と上ローラ40が離間した状態となっている。上台36には、上ローラ40を上下動させるための可変手段として油圧装置55が形成されている。この上下ローラ離間状態は、油圧装置55によって上ローラ支持棒72aを下方に移動させ、軸受70aが下方に移動可能な状態となっている。上下のローラの離間距離が金属製の薄板の厚さよりも大きいため、前記薄板はローラに抵抗されることなくスルー可能な状態になっている。
【0049】
さて、間隔検出手段として、縦台35aには所定の位置に近接センサ52が固定されている。また、上ローラ40の軸部40aの端部側方には近接センサに検出される円柱形状の被検出棒51aが、ローラの中心軸とその中心軸が一致するように突出状態で形成されている。近接センサ52が、被検出棒51aが近づいたことを検出することによりローラ間隔が検出される。近接センサとしては、水や油が飛散する環境でも確実に検知でき、且つ応答速度が速いセンサである高周波発振型、磁気型等を適用することができる。また、上台36には、適正表示手段として、ローラ間隔が適正な間隔となったことを表示する回転灯54が備えられている。
【0050】
次に、図8(b)は、固定されている下ローラ41に上ローラが適正間隔距離まで近接した状態を示している。上ローラ40に固定されている前記被検出棒52bが近接センサ52に検出される位置まで、油圧装置55(形状は不図示)によって上ローラ40が下方に移動したときに、制御手段(不図示)により適正検出判定がされ、前記回転灯54が点滅状態となる。同時に、前記油圧装置55(形状は不図示)を停止させ、上ローラ40と下ローラ41の間隔が適正な間隔に維持される。
【0051】
更に、一対の上ローラ押さえ82a、82b(図4参照)が上方から下方に油圧装置(不図示)により移動される。前記上ローラ押さえ82a、82bが上ローラ40と接触状態となったことがリミットスイッチ(不図示)により検出されたときには、前記回転灯54が点灯状態となる。このリミットスイッチによる検出は、上ローラと上ローラ押さえとの接触が通電により検出され、又は圧力センサにより接触したことが検出される等の周知の検出手段によってもよい。
【0052】
以上により、上ローラ40と下ローラ41が、金属製薄板に応じた適正間隔となる。上記では、近接センサを1箇所設け、一つの薄板に応じた上ローラの位置決めについて説明したが、複数の金属板の厚さに対応するためには複数の近接センサを形成する位置をずらし、リブを成形する異なった薄板の厚さに応じて、各々の高さに形成すればよい。
【0053】
(第2検出手段の実施例)
ここで、第2の検出手段を併せて説明する。ここでは、主として前記近接センサの説明と異なる部分の説明をする。図9は、デジタルゲージセンサにより間隔検出手段を示す図であり、ローラ間隔が離間した状態(a)及びローラ間隔が適正間隔となった状態(b)の要部側面図を示している。具体的には、第1の検出手段である近接センサをデジタルゲージセンサに替え、一つのセンサで複数の薄板に応じて適正間隔の検出を可能とした例を示している。
【0054】
第2検出手段では伸縮可能な長さ検出棒を備えたデジタルゲージ57により上ローラの位置を検出する。図9(a)においては、上ローラ40と下ローラ41の平坦部分の間隔は、デジタルゲージ棒58aの伸縮可能な長さの範囲で、例えば15mm離間した状態とされている。上ローラ40の軸受70a端部には、デジタルゲージ57から伸びているデジタルゲージ棒58aの先端に当接するように、側方に被検出平板56aが突出され固定されている。
【0055】
図9(b)では、上ローラが下降し、それに伴い被検出平板56bが所定位置となり、上ローラ40と下ローラ41が適正間隔となった状態を示している。前記駆動手段55により軸受70aが設定された位置まで下方に移動し、指定された板厚に応じて、デジタルゲージ棒58aが予め記憶部に記憶されている所定の長さとなったとき、制御手段により駆動手段55が停止され、その後、上ローラ押さえが上方から上ローラに当接するまで下降する。デジタルゲージによれば、筒体の中にゲージ棒が伸縮可能に嵌装され10マイクロメートルの分解能を有する周知のゲージを使用することができるので、0.1mm単位のローラ間隔も好適に間隔検出できる。
【0056】
ここで複数の板厚に応じて上ローラを所定の位置に移動させる制御手段について図14を参照して説明する。図14は、制御手段により制御される全体構成を示す図である。図14に示すように、入力手段310と、記憶手段320と、適正表示手段330、間隔検出手段340と、可動手段350とは、それぞれ制御手段300と送受信可能に接続されている。制御手段300はCPU等を備えている周知のマイクロコンピュータからなっている。入力手段310は、リブを形成する複数の薄板の厚さが選択可能なコントロールパネルとなっている。記憶手段320はRAM、ROM等のマイクロチップからなり、複数の薄板の板厚に応じた上下ローラの適正間隔が、金属薄板の厚さに応じたデジタルゲージ棒の伸張長さとして登録されている。前記の間隔検出手段340により検出されたデジタルゲージ棒の長さは、制御手段300に送信される。制御手段300は、間隔検出手段340から送信された前記デジタルゲージ棒の長さが、記憶手段320から送信された適正なデジタルゲージ棒の登録長さと一致したときに、可変手段350を駆動停止させると共に、適正表示手段330により適正表示をさせるよう制御する。
【0057】
以上のように、リブを成形する複数の金属板の板厚に応じた適正なデジタルゲージ棒の伸張長さを予め登録し、それと伸張されたデジタルゲージ棒の長さが一致するか否かを判定する。これにより、一台のリブ成形機によっても、異なる厚さの金属製の薄板に応じて上下ローラの間隔を適正な間隔に容易に調整することができる。
【0058】
[リブ成形システムの実施形態]
図10は、上述の空調筒型ダクトにリブを成形するシステムを示す説明図である。(a)は平面図を示し、(b)は側面図を示す。このシステム100では、まずコイル状に巻かれた金属製の薄板101が製造ライン上に配置されている。次に薄板101の歪を矯正し、前方に送り出すレベルロール102が設置されている。次にレベルロールから送られてきた薄板101にリブを成形する第1リブ成形機103、第2リブ成形機104が設置されている。第1リブ成形機103は、図3で示した従来型のリブを成形するリブ成形機103であり、第2リブ成形機は、狭い間隔で凸凹リブを成形するリブ成形機104である。次に、リブが成形された金属製の薄板を所定の長さに切断するせん断式の第1の切断機が設置されている。
【0059】
次に、所定の長さに切断されリブが形成された前記薄板は、第2の切断機であるプラズマ切断機により所定の形状に切断される。前記薄板は、ローラコンベアー107によりプラズマ切断ベッド108に送り出される。プラズマ切断ベッド108に送り出された薄板は、筒型対応する2面に同一方向にリブが形成されるように、プラズマ切断ヘッド109により切断される。プラズマ切断ヘッドは縦誘導体109a及び横誘導体109bにより、板面全体で切断可能に誘導される。
【0060】
ここで、凸凹リブが形成されている薄板を用いて外部に露出させるダクトを形成する場合には、筒型ダクトの対向する二面のリブが揃うように、同一方向(111a、111b)又は左右対称方向(110a、110b)となるように切断位置を決定しプラズマ切断する。
【0061】
[ダクト製造システムの実施形態]
図11は、上述の空調用筒型ダクトを製造するシステムを示す説明図である。図15はダクト製造システムで製造される筒型ダクト400を示す説明図である。システムの説明に沿って、ダクトの加工位置を図15により該当箇所を参照して示す。このシステム200では、先ず、コイル状に巻かれた金属製の薄板201が製造ライン上に配置されている。次に、薄板201の歪を矯正し、前方へ送り出すレベルロール202が設置されている。次に、レベルロール202から送られてきた薄板201を所定の長さに切断するための計測を行い、後述する切断機205、206に信号を送信するエンコーダーロール203が設置されている。
【0062】
次に、エンコーダロール203を通過した薄板に凸リブと凹リブを成形する第1リブ成形機204が設置されている。この第1リブ成形機204には、図4で説明したリブ成形機30を適用することができる。次に、第1リブ成形機204を通過した薄板201を、エンコーダロール203からの信号に従って所定の形状に切断する第1の切断機205及び第2の切断機206が設置されている。ここで、第1の切断機205は、薄板202の角部(図15に示す後述するフランジの切れ目401)をカットする為の切断機であり、第2の切断機206は薄板201を所定の長さに切断する為の切断機である。
【0063】
次に、切断機206を通過した薄板201を第1ローラコンベアー208へと運ぶコンベアー207が設置されている。次に、コンベアー207を通過した薄板を所定の方向に位置決めする第1ローラコンベアー208が設置されている。次に、第1ローラコンベアー208で位置決めされた薄板201の進行方向を90度変換する第1送り装置209が設置されている。次に、第1送り装置209を通過した薄板201にシングルハゼ(図15に示す先端が折り曲げられた接合部402)又はダブルハゼ(図15に示す二重に折り曲げられた接合部403)を成形するハゼ折り機210a、210bが設置されている。ここで、ハゼ折り機210aは固定ハゼ折り機であり、ハゼ折り機210bは可動ハゼ折り機である。ここで、ハゼ折り機210bはエンコーダロール203からの信号に従って、所定の位置へ移動する。
【0064】
次に、ハゼ折り機210a、210bを通過した薄板201に凸リブと凹リブを成形する第2リブ成形機211が設置されている。ここで、第2リブ成形機211は、前述した第1リブ成形機204と同様に、図4で説明したリブ成形機30を適用することができる。また、薄板201に成形される凸リブと凹リブは、第1リブ成形機204で成形されるリブと直交する方向に形成される。
【0065】
次に、第2リブ成形機211を通過した薄板201を所定方向に位置決めする第2ローラコンベアー212が設置されている。次に、第2ローラコンベアー212を通過した薄板の進行方向を90度変換する第2送り装置213が設置されている。
【0066】
次に、第2送り装置213を通過した薄板201にフランジ13(図15に示す折り立てられた端面404)を成形するフランジ成形装置214が設置されている。最後に、フランジ成形装置を通過した薄板を所定の形状に折り曲げる(図15に示す筒体に折り曲げるための折れ目405)折曲機215が設置されている。
【0067】
上述した空調用筒型ダクト製造システム200では、第1リブ成形機204と、第2リブ成形機211の2台が設置されているが、空調用筒型ダクト製造時に、どちらか1台を稼動させて、他方の1台は稼動させずに、薄板201をそのままスルーさせるようにすれば、薄板201の板面の横方向又は縦方向のいずれかに、前述した凸リブ11と凹リブ12を成形することができる。また、第1リブ成形機204と、第2リブ成形機211の両方を稼動させることによって1つの薄板に、縦方向のリブと、横方向のリブの両方を成形することができる。
【0068】
また、上述の空調用筒型ダクト製造システム200は上方から見た場合にコ字状となるようにして、工場のスペースを有効利用するものである。尚、第1送り装置209や第2送り装置213を取り外したり、組み合わせたりすることによって、上方から見た場合に直線状やS字状となるように、工場のレイアウトに対応させて様々に変形させることが可能である。
【0069】
[リブ成形機に用いるローラの実施形態]
図2は、上ローラ又は下ローラの実施例を示す正面要部拡大図である。この図に示すローラでは、複数の凸リブ成形部と、凹リブ成形部と、平坦部とから構成されるリブ成形部と、両端のシャフトとが一体的に成形されている。このようなローラを上述した実施例のリブ成形機に使用することによって、後述する空調用筒型ダクト製造システムで、本発明に係る空調用筒型用ダクトを量産することができる。尚、リブ間隔を変更する場合には、上ローラ及び下ローラを軸受から取り外して、別の上ローラ及び下ローラに交換することも可能である。
【0070】
更に、分割型のリブ成形ローラを図12及び図13を参照して説明する。図12は分割型のローラの要部正面図である。また、図13は分割型のローラの断面図であり、(a)はA−A’ 部断面図であり、(b)はB−B’ 部断面図である。図12に破線で示すローラ部分が図3で示す従来型ローラのリブ成形部に該当する。図3に示すように従来型ローラの軸部に分割された凸リブ成形ローラ121と凹リブ成形ローラ122を固着させ、交互に凸リブと凹リブを成形できるローラとすることもできる。各々のローラは前後に分割可能とされ、軸部に空回り防止のために形成されるずれ止め124に係止され、軸の回転に連動して回転する。また、前後に分割された各々のローラは平坦部に形成されたナット穴に六角ボルト126により結合される。
【0071】
[実施形態の補足]
・また、ダクトを構成する金属製の薄板は、金属製の薄板であれば材質は限定されず、その厚さも限定されるものではない。
・上記においては、角型ダクトを実施例として説明したが、凸リブと凹リブを形成したダクト構成板は、別の多角形断面ダクト、一部が円弧断面のダクト、気体流路が曲線状に形成されたエルボ等の曲線状ダクトにも適用できる。
・リブ成形機の実施形態においては、ローラ押えを2箇所の実施例を説明したが、ローラ押えの箇所数を限定したものではない。
・第2実施形態で説明した間隔検出手段は、ローラ軸の一端のみに設けてもよく、また両端に設けてもよく、更にローラの中間部に設けてもよく、間隔検出手段の設置数や位置を限定するものではない。
【0072】
・駆動手段は、チェーンスプロケット及び油圧装置で説明したが、必ずしもこれに限定されるものではなく公知の駆動手段を適用することができる。
・切断手段は、せん断切断機及びプラズマ切断機としたが、これに限定されるものではなくレーザ切断機等公知の切断機とすることもできる。
・リブ成形機は一台で一つのリブ形状を成形するものとしたが、本発明の技術思想が適用できるものであれば、一台で複数のリブを成形するリブ成形機であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】空調用筒型ダクトの斜視図。
【図2】本発明に適用される狭い間隔でリブを成形するローラの要部正面図。
【図3】従来型ローラの要部正面図。
【図4】第1実施形態のリブ成形機の側面図及び正面図。
【図5】第1実施形態のリブ成形機の可変手段の説明図。
【図6】第1実施形態の上ローラ押さえの説明図。
【図7】第1実施形態の下ローラ押さえの説明図。
【図8】近接センサによる間隔検出の説明図。
【図9】デジタルゲージによる間隔検出の説明図。
【図10】空調筒型ダクトリブ成形システムの説明図。
【図11】空調用筒型ダクトを製造システムの説明図。
【図12】分割タイプローラの要部正面図。
【図13】分割タイプローラの断面図。
【図14】制御構成図。
【図15】筒型ダクトを示す説明図。
【符号の説明】
【0074】
1…角型ダクト、20…ローラ軸、23…従来型ローラ軸、30…リブ成形機、40…上ローラ
41…下ローラ
42a、42b…上ローラ押さえ
43a、43b…下ローラ押さえ
46…チェーンスプロケット、70a…上軸受
82a、82b、88a、88b…ローラ体
54…回転灯、55…油圧装置、52…近接センサ
51a、51b…被検出棒
56a、56b…被検出平板
58a、58b…デジタルゲージ棒
104…リブ成形機、106…せん断切断機、108プラズマ切断機
204…第1リブ成形機、211…第2リブ成形機
121…分割型の凸ローラ、122…分割型の凹ローラ
300…制御手段、400…筒型ダクト
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調用筒型ダクトのリブ成形機、該リブ成形機を含んだ薄板成形システム、及びダクト製造システムに関する。
【背景技術】
【0002】
構築物の規模の拡大により、空調・排煙用ダクト内を流れる風量も増大し、ダクトの断面積の大型化とともにダクトを流れる気体流速の増大が必要になる。内部を流通する気体の圧力も増大し、ダクト筒体を構成するダクト構成板の平坦な部分の面積も拡大している。これによりダクト構成板に発生する振動やビビリ音等の異音を抑えるため、筒型ダクトのダクト構成板の板厚を厚くすることが行われている。しかし、ダクト構成板を厚くすることによりダクトの重量は増大し、天井に近い高所等の工事現場で行われるダクトの設置作業が困難になり、作業効率を低下させ、設置作業の安全性も低下させている。
【0003】
さらに、ダクト構成板の材料である金属製の薄板の価格が高騰すると、それに伴い空調用ダクトの製造原価も高くなる。こうしたことからダクトを構成する金属板を薄くすることが求められている。これまでも、ダクト構成板のべこつきを抑えるため、ダクト構成板に300mm間隔でリブが成形されていたが、このリブ間隔によってはダクトの構成板を薄くすることはできなかった。そこで、ダクト構成板の剛性を高めるために金属薄板に狭い間隔でリブを成形することが必要となっていた。
【0004】
まず、複数の斜行リブを適宜間隔を空けて狭い間隔で形成し交互に交差させる技術が(特許文献1)が提案されていた。斜行リブを形成する技術の提案では、リブ成形機に金属製薄板を斜めに誘導することが必要であり、作業に困難を伴っていた。また、外周に凹凸を設けた円形板を多数重ねてローラ表面を形成し、紙、合成樹脂板や0.1mm程度の金属薄板に凸凹を付与する技術(特許文献2)が提案されていた。しかし、構築物の空調用ダクトに用いる0.5mm以上の金属薄板に凹凸リブを付与するには、ローラ軸端部のみ押し付け機構により抑えるだけではローラ軸が反り、所望のリブ形状を成形することができなかった。
【0005】
更に、リブを金属薄板の一方にのみ凸となるように成形すると、ダクトを製造する段階で前記薄板が一方に反り、ダクトを組立てる段階で加工性が悪くなることに加え、形成された筒型ダクトの表板が外側又は内側の一方に反ることとなった。そこで、薄板ダクト構成板に、所定の高さのリブを狭い間隔で表裏交互に成形させ、ダクト構成板の剛性を向上させる等、多様な形状のリブを形成することが求められていた。
【0006】
ところが、所定の高さのリブを狭い間隔で成形すると、従来型のリブ成形機では、リブ成形の際にローラに大きな力が加わるために、リブ成形ローラが反り、金属製の薄板に規則正しくリブを整形することが困難であった。また、ダクトの規格が統一されていないため、リブ形状も単一ではなく、ダクトに成形するリブの形状に応じてリブ成形機を使い分け、金属製の薄板毎にローラ間隔を調整することも必要となった。
【特許文献1】特開2001−241744
【特許文献2】特開2002−321094
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
金属製の薄板に所定の高さのリブを狭い間隔で成形するためにローラに大きな力が加わっても、リブ成形ローラが反らないようにする必要がある。また、リブ成型機のローラ間隔の調整は、リブを成形する金属製薄板の厚さに応じて隙間間隔測定具を用いて手作業による間隔調整を必要とし、作業員の熟練した経験が必要とされていた。更に、前記のように複数のリブ成形機を使い分けていたため、リブ成型機を使い分ける都度、作業員が機器を調整することが必要であった。このため、従来ラインに追加のリブ成型機を組み込む事はできても作業効率は低下していた。
【0008】
また、リブ成形機を単体で使用する場合には、金属製薄板を所定のダクト構成板形状に切断した後に、リブ成形機に作業員が形状の異なる薄板を差し込んでリブを成形していたため、作業効率が悪く、リブの方向も不揃いになりがちであった。そこで、製造効率のよい一連のダクト製造システムと、複数の金属製の薄板リブ成形機を組み込んだ高い製造効率を提供するラインが求められていた。
【0009】
そこで、本発明は、狭い間隔の整った形状のリブを成形するリブ成形機を提供するとともに、金属薄板の厚さに応じて、リブ成形機の切り替え手間が迅速かつ容易で、効率的にローラの間隔を調整できる空調用筒型ダクトのリブ成形機を提供し、更に、前記リブ成形機を含んだ薄板成形システム、及びダクト製造システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明に係る空調用筒型ダクトのリブを成形するリブ成形機では、基台と、該基台の上下2箇所に設置された対向する一対の軸受と、各軸受に設置された上ローラ及び下ローラと、該上ローラを上方向から押えるために前記基台の上部に設置された上ローラ押えと、前記下ローラを下方向から押えるために前記基台の下部に設置された下ローラ押えと、前記上ローラを上下動させるための可変手段とを備えることを要旨としている。
【0011】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載のリブ成形機において、前記上ローラと前記下ローラとはダクトを構成する金属製の薄板が通過する隙間をあけて配置されるとともに、前記隙間は前記可変手段により間隔調整可能とされ、前記上ローラと前記下ローラとの隙間の間隔を検出する間隔検出手段と、
ローラ間隔が薄板にリブを成形する適正な間隔となったことを表示する適正表示手段と、前期可変手段により前記間隔が調整され、前記間隔検出手段により検出された間隔が所望の適正間隔であると判定されたときに、前記表示手段に適正表示をさせる制御手段とを備えることを要旨としている。
【0012】
請求項3に記載の発明では、請求項2に記載のリブ成形機において、リブが成形される前記薄板の厚さに応じた前記上ローラと前記下ローラとの適正間隔を予め登録した記憶部を備え、前期可変手段により前記間隔が調整され、前記間隔検出手段により検出された間隔が登録された前記適正間隔であると判定されたときに、前記制御手段は前記表示手段に適正表示をさせることを要旨としている。
【0013】
請求項4に記載の発明では、請求項2又は請求項3に記載のリブ成形機において、前記可変手段は、前記上ローラを駆動させ前記下ローラとの間隔を調整する駆動部を備え、前記駆動部により前記間隔が調整され、前記間隔検出手段により検出された間隔が前記適正間隔であると判定されたときに、前記制御手段は前記駆動部を停止させることを要旨としている。
【0014】
請求項5に記載の発明では、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のリブ成形機において、前記上ローラと前記下ローラとには、凸及び凹のリブが交互に成形され、前記上ローラに形成されている凹又は凸のリブが、前記下ローラに形成されている凸又は凹のリブと、それぞれ咬合するように配設されていることを要旨としている。
【0015】
次に、請求項6に記載の発明に係る金属製の薄板を空調用筒型ダクトの構成板に形成する薄板成形システムでは、複数のリブ成形機を含むとともに、少なくとも前記リブ成形機の1基が請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のリブ成形機であることを要旨としている。
【0016】
請求項7に記載の発明では、請求項6に記載の薄板成形システムにおいて、少なくとも、コイル状に巻かれた金属製の薄板の歪を矯正するとともにリブ成形機へ誘導するレベルロールと、前記リブ成形機を通過した薄板を所望の長さに切断する第1切断手段と、前記薄板を所望の形状に切断する第2切断手段とを含んでいることを要旨としている。
【0017】
請求項8に記載の発明では、請求項7に記載の薄板成形システムにおいて、前記薄板の表面に凸及び凹のリブが交互に成形される薄板成形システムであって、前記第2切断手段は、前記筒型ダクトの向かいあうダクト構成板に凸及び凹のリブを同一方向に揃うように所望の形状に切断することを要旨としている。
【0018】
また、請求項9に記載の発明では、空調用筒型ダクト製造システムにおいて、コイル状に巻かれた金属製の薄板の歪を矯正し、前方へ送り出すレベルロールと、該レベルロールから送られてきた薄板を所定の長さに切断するための計測を行うエンコーダーロールと、該エンコーダーロールを通過した薄板にリブを成形する請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のリブ成形機と、該リブ成形機を通過した薄板を所定の形状に切断する切断機と、該切断機を通過した薄板を所定の方向に位置決めする第1ローラコンベアーと、該第1ローラコンベアーを通過した薄板の側端に組立用ハゼを成形するハゼ折り機と、該ハゼ折り機を通過した薄板を所定の方向に位置決めする第2ローラコンベアーと、該第2ローラコンベアーを通過した薄板にフランジを成形するフランジ成形装置と、該フランジ成形装置を通過した薄板を所定の形状に折り曲げる折曲機とを備えていることを要旨としている。
【0019】
請求項10に記載の発明では、空調用筒型ダクト製造システムにおいて、コイル状に巻かれた金属製の薄板の歪を矯正し、前方へ送り出すレベルロールと、該レベルロールから送られてきた薄板を所定の長さに切断するための計測を行うエンコーダーロールと、該エンコーダーロールを通過した薄板を所定の形状に切断する切断機と、該切断機を通過した薄板を所定の方向に位置決めする第1ローラコンベアーと、該第1ローラコンベアーを通過した薄板の側端に組立用ハゼを成形するハゼ折り機と、該ハゼ折り機を通過した薄板にリブを成形する請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のリブ成形機と、該リブ成形機を通過した薄板を所定の方向に位置決めする第2ローラコンベアーと、該第2ローラコンベアーを通過した薄板にフランジを成形するフランジ成形装置と、該フランジ成形装置を通過した薄板を所定の形状に折り曲げる折曲機とを備えていることを要旨としている。
【0020】
以下、本発明の作用について説明する。
請求項1の発明によると、上下のローラを更にその上下から押さえることにより、リブの本数が多くなりローラに加わる反力が大きくなっても、ローラが外側に反ることが抑制される。また、上下のローラ押さえはローラを左右斜めから押えているため、ローラが横方向に反ることもない。これにより、成形される金属製の薄板のリブの高さが均一となる。また、上ローラを上下動させるための可変手段を備えているため、上ローラを上方へ移動させ、上下ローラの間隔を広く開ければ、金属製の薄板をローラに抵抗を与えずローラ間をスルーさせることができる。そして、上ローラを下方へ移動させ、上下ローラの間隔を狭くし金属製の薄板を押圧するようにすれば、金属製の薄板にリブを形成することができる。
【0021】
請求項2の発明によると、上下ローラの間隔検出手段により、上下ローラの間隔がリブを成形する金属製の薄板の厚さに応じた適正な間隔となったことが検出されたときに、適正間隔であることが表示されるため、熟練作業員でなくても効率的にローラの間隔を適正な間隔に調整することができる。
【0022】
請求項3の発明によると、上下ローラの間隔検出手段により、ローラ間隔が薄板の厚さに応じて記憶部に予め登録されている適正間隔になったことが検出されたときに、適正間隔であることが表示手段により表示される。そのため、ダクトを構成する前記薄板を異なる厚さの薄板に取り替えても、作業員がローラの間隔を測定し間隔を調整する必要がない。これにより、更に効率的にローラの間隔を調整することができる。
【0023】
請求項4の発明によると、駆動手段により上ローラが下降し上下ローラの間隔が、前記記憶部に登録されている前記金属製の薄板に応じた間隔となったときに、適正表示がされ、ローラの下降が自動的に停止するため、容易に且つ迅速に調整できる。
【0024】
請求項5の発明によると、金属製薄板の表面に、一工程で凸及び凹のリブを交互に成形することができる。一工程で凸及び凹のリブが成形されるため、凸リブと凹リブの間隔と方向が整い、反りが発生しないダクト構成板を成形することができる。
【0025】
請求項6の発明によると、異なる形状のリブを成形する複数のリブ成形機を並列させる場合であっても、リブ成形に用いられないリブ成形機の上下ローラの間隔を広く開ければ、金属製の薄板をローラ間をスルーさせることができる。そして、リブを成形するリブ成形機のみの上下ローラ間隔を前記可変手段により適正間隔に調整し、前期薄板を押圧するようにすれば、前記薄板に所望の形状のリブを成形することができるため、複数のリブ成形機を含んだ薄板成形システムであっても、所望の形状のリブを成形するリブ成形機を選択しリブを成形することが容易である。
【0026】
複数のリブ成形機を組み込んだラインに、本発明のリブ成形機を適用することにより、複数の種類のリブを作り分けるダクト製造ラインとすることができる。また、既存ダクト製造ラインを廃棄せず、前記既存ラインに上記のリブ成形機を組み込むこともできる。これにより既存ラインを利用して、複数の種類のリブを作り分けるダクト製造ラインとすることができる。
【0027】
請求項7の発明によると、従来の作業工程とは作業順序を変え、金属製の薄板にリブが形成された後に、そのリブが成形された薄板を切断機により所望の形状に切断する製造ラインにした。これまで、所望の形状に切断するためには、プラズマ切断機が用いられている。プラズマ切断により切断部が高熱となった異なった形状のダクト構成板にリブを成形することは困難であり効率が悪かったが、作業工程を変えることにより、作業が省力化されるとともに安全になる。
【0028】
請求項8の発明によると、建物内に露出されて設けられるダクトであっても、その両面に同一方向に揃ったリブを形成することができるため、意匠性が要求される筒型ダクトの製造にも対応することができるラインとすることができる。
【0029】
請求項9の発明によると、コイル状に巻かれた金属製の薄板の歪を矯正し、前記リブ成形機により薄板にリブを形成してから、所定の寸法と形状に切断し、ダクトを筒体に組み立てる組立用ハゼをハゼ折りし、隣接するダクトと連続させる接続部のフランジを成形し、筒型ダクトとして組立てる前の所定の形状に折り曲げるまでを、一連の半自動化ラインにより成形することができる。これにより、空調用筒型ダクトを大量生産することができ、製造コストを低減することができる。
【0030】
請求項10の発明によると、コイル状に巻かれた金属製の薄板の歪を矯正し、前記所定の寸法と形状に切断し、ダクトを筒体に組み立てる組立用ハゼをハゼ折りし、前記リブ成形機により薄板にリブを形成してから、ダクトを連続させる接続部のフランジを成形し、所定の形状に折り曲げるまでを、一連の半自動化ラインとすることができる。これにより、空調用筒型ダクトを大量生産することができ、製造コストを低減することができる。
【発明の効果】
【0031】
請求項1の発明によるリブ成形機によれば整ったリブを成形することができる。請求項2の発明によれば、薄板の板厚に応じて上下ローラ間隔が適正となったことが表示されるため上下ローラの間隔調整が容易である。請求項3の発明によれば、異なる板厚であってもそれに応じた適正表示がされるため上下ローラの間隔調整が更に容易である。請求項4の発明によれば、駆動装置が所定の適正位置で自動停止されるため、上下ローラの間隔調整を速やかに行うことができる。請求項5の発明によれば、狭い間隔で同じ方向に交互に整った凹凸リブを成形することができる。請求項6の発明によれば、複数のリブ成形機を使い分けることが容易であるため、異なった形状のリブを成形し分けることが容易である。請求項7の発明によれば、リブを成形した薄板を所定の形状に形成することが容易であるため、ダクトを量産することができる。請求項8の発明によれば、意匠性の優れたダクト構成板を成形することができる。請求項9及び請求項10の発明によれば、ダクト構成板を半自動化ラインとすることができるのでダクトを大量生産でき、製造コストを低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
まず、図1、図2、図3を参照して、本発明によるリブ成型機により製造するダクトとリブ成形ローラを説明する。図1は、空調用角型ダクトの斜視図を示し、図2は本発明に適用される狭い間隔でリブを成形するローラの要部正面図を示し、図3は従来成形されていた300mm間隔のリブを成形する従来型ローラの要部正面図を示す。本発明で成形する空調用筒型ダクト1(図1参照)は、気体の流路を取り囲むように構成され、それぞれの構成板10、10には、所定の間隔で凸リブ11と凹リブ12が交互に形成されている。これらの凸リブ11及び凹リブ12は気体の流路に沿って成形されていてもよく、また、図1に示ように気体の流路方向に交差する方向に成形されていてもよい。また、ダクト構成板は、筒体の角部でハゼ14により組み立てられ、隣接するダクトとフランジ13で接続され一連のダクトに構成される。
【0033】
このリブの間隔は、約75mmから100mm間隔であることが好適である。また、こうしたリブは、上下に配置された直径約150mmの金属製円柱形状のローラ2a(図2参照)の間を誘導されることにより成形される。前記ローラ2aには、半径4mmの半円弧状断面の凸条21と、幅12mm深さ6mmの断面の凹条22が交互に形成された上下のローラ軸20、20が、前記凸条21と前記凹条22が咬合するように配置されている。また、交互に凸のリブ11と凹のリブ12を形成する金属製薄板の板厚と上下のローラの平坦部分の間隔は下記表1(単位はmm)に示す如く、例えば薄板の板厚が0.5mmの場合には、上下のローラの平坦部分の間隔(a)(図2参照)は1.5mm間隔であることが好適である。
【0034】
【表1】
【0035】
ここで、従来型のローラ(図3参照)を説明する。従来型のローラ2bは、ローラ部に比べ軸部23が細く、300mm間隔で凸ローラ21と凹ローラ22を咬合させリブを成形する場合には適するが、従来の軸径のまま狭い間隔でリブを成形すると、軸部23に反りが発生し、ダクト構成板にひずみを生じさせ、整ったリブを成形することは困難であった。
【0036】
[リブ成形機の第1実施形態]
以下、本発明を具体化した空調用筒型ダクトのリブ成形機の第1実施形態を図4、図5、図6、図7を参照して詳細に説明する。図4は、空調用筒型ダクトのリブ成形機30の一例を示す左側面図(a)及び正面図(b)である。これらの図に示すように、リブ成形機30は、一対の縦台35a、35bと、上台36と、下台37とで構成された基台と、この基台の縦台35a、35bの上下2箇所に設置された一対の上軸受70a、70b及び下軸受71a、71bと、この一対の上軸受70a、70bに設置された上ローラ40及び下軸受71a、71bに設置された下ローラ41と、上ローラ40を上方向から押えるために基台の上台32の2箇所に設置された上ローラ押え42a、42bと、下ローラ41を下方向から押えるために基台の下台33の2箇所に設置された下ローラ押え43a、43bと、上ローラ40を上下動させるための一対の可変手段44a、44bと、を備えている。
【0037】
また、上ローラ40及び下ローラ41を構成するシャフト40a、41aの端部には一対となる上歯車38a、38b及び下歯車39a、39bが設置されている。図4においては、上ローラ40と下ローラ41とが離間した状態となっているが、リブ成形時には、上述の可変手段44a、44bによって、薄板の厚みに対応する位置まで上ローラ40を下方に移動させると、左上歯車38aと左下歯車39aとが噛合い、右上歯車38bと右下歯車39bとが噛合うようになっている。
【0038】
さらに、下ローラ41を構成するシャフト41aの一方の端部には、チェーンスプロケット46が設置されており、このチェーンスプロケット46が図示しない駆動源とチェーンで連結され下ローラ41が回転するようになっている。したがって、リブ成形時には図示しない駆動源によって下ローラ41が回転すると、この回転と連動して上ローラ40が回転するようになっている。尚、図における上ローラ40及び下ローラ41は、一本の円柱体に凸条と凹条を交互に形成したものであるが、後述する図12、図13で示した分離可能なリブ成形ローラ121、122を交互にシャフトに固着させたものとすることもできる。
【0039】
図5は、図4で示した空調用筒型ダクトのリブ成形機30の可変手段44aを左側面方向から見た説明図である。上ローラ40を上下動させるための可変手段44aには、ハンドル45aが備えられている。このハンドル45aには、表面にネジ切りがされているネジ棒72の一端が固定されている。このネジ棒72は、基台の上台36に固定されたフランジ型ナット73と螺合している。また、ネジ棒72の他端は、上ローラ40を構成するシャフトの軸受70aに固定されている。そして、軸受70aの両側部は、縦台35a、35bに立設された一対のレール74a、74bの溝に摺動可能に嵌め込まれている。
【0040】
可変手段44aは上記構成となっているので、ハンドル45aを水平方向に所定量回転させることによって、ハンドル45aに一端が固定されているネジ棒が微小長さ分下方へと移動する。したがって、ネジ棒72の他端に固定されている軸受70aも一対のレール74a、74bの溝に沿って下方へと移動するので、この軸受70aに軸支されている上ローラ40も微小長さ分下方へと移動する。また、これとは逆方向にハンドル45aを回転させると、上ローラ40は微小長さ分上方へと移動する。ここで、ネジ棒72には目盛が印されており(不図示)、0.1mm単位の板厚の変更に対応できるように微小な高さ調整が可能となっている。
【0041】
また、他方の可変手段44bも上記可変手段44aと同様の構成となっているので、ネジ棒72を同じ目盛だけ上下動させることによって、上ローラ40の水平を保つことができる。尚、可変手段44a、44bに代えて、油圧シリンダーを駆動部として制御し駆動することによっても上ローラ40の上下動を行うことも可能である。
【0042】
図6は、上ローラ押え42a、42bを側面方向から見た説明図である。上ローラ押え42a、42bは、基台の上台36に固定されたフランジ型ナット75と、このフランジ型ナット75に螺合するネジ棒76と、このネジ棒の一端に固定されたハンドル77と、ネジ棒の他端に固定された軸受台78と、上台36に固定された2本の筒体79a、79bと、軸受台78に一端が固定され、筒体79a、79bに挿入されている2本の押え棒80a、80bと、軸受台78に両端を固定された2本の固定軸81a、82bと、この2本の固定軸81a、82bの周囲にベアリング(不図示)を介して回転可能に設置された2本のローラ体82a、82bとから構成されている。尚、ネジ棒76には目盛が印されている。
【0043】
上記構成の上ローラ押え42a、42bは、前述した可変手段44a、44bによって、上ローラ40を上下動時に、ハンドル77を回して同じ目盛だけネジ棒76を上下動させることができるので、リブ成形機50の稼動時には、上ローラ40に2本のローラ体82a、82bを上方から常に同じ力が負荷されるようにローラ体の長さで線接触させて、押えておくことができる。また、2本のローラ体82a、82bは上ローラ40の頂部から等距離で、ローラ体の軸心と上ローラの軸心を結んだ線上で上ローラ40に線接触していることから、上ローラ40を均等な力で押えることができ、歪を生じさせることがない。また、左上ローラ押え42aと右上ローラ押え42bとが上ローラ40の長手方向中央から均等な位置となるように、基台36の上台に固定されている(図4参照)。
【0044】
図7は、下ローラ押え43a、43bを側面方向から見た説明図である。下ローラ押え43a、43bは、軸受台83と、この軸受台83に一端が固定された2本のネジ棒84a、84bと、このネジ棒84a、84bに螺合するナット85a、85b、85c、86a、86b、86cと、軸受台83に両端を固定された2本の固定軸87a、87bと、この固定軸87a、87bの周囲にベアリング(不図示)を介して回転可能に設置された2本のローラ体88a、88bとから構成され、ナット85b、85c、86b、86cによって、基台の下台37に固定されている(図4参照)。
【0045】
上記の構成の下ローラ押え43a、43bは、リブ成形機30の稼動時には、下ローラ41に2本のローラ体88a、88bを下方から常に同じ力が負荷されるようにローラ体の長さで線接触させて、押えておくことができる。また、2本のローラ体88a、88bは下ローラ41の頂部から等距離で、ローラ体の軸心と下ローラの軸心を結んだ線上で下ローラ41に線接触していることから、下ローラ41を均等な力で押えることができ、歪を生じさせることがない。また、左下ローラ押え43aと右下ローラ押え43bとが下ローラの長手方向中央から均等な位置となるように、基台の下台37に固定されている(図4参照)。
【0046】
上述のように、上ローラ押え42a、42bが上ローラ40を上方から均等な力で押え、下ローラ押え43a、43bが下ローラ41を下方から均等な力で押えることから、上ローラ40及び下ローラ41に歪が生じて変形するのを防ぐことができ、この結果として、リブ成形機30によって、薄板に常に均一な深さの凸リブと凹リブを途切れることなく連続して成形することができる。
【0047】
[リブ成形機の第2実施形態]
次に、間隔検出手段、適正表示手段、駆動手段を備えた第2実施形態について図8、9を参照して説明する。図8は、近接センサによる間隔検出の説明図であり、ローラ間隔が離間した状態(a)及びローラ間隔が適正間隔となった状態(b)を示す要部側面図である。ここでは、左縦台35aにより説明するが、右縦台(不図示)においても、左縦台35aと対応するように構成される。
【0048】
図8(a)では、固定されている下ローラ41と上ローラ40が離間した状態となっている。上台36には、上ローラ40を上下動させるための可変手段として油圧装置55が形成されている。この上下ローラ離間状態は、油圧装置55によって上ローラ支持棒72aを下方に移動させ、軸受70aが下方に移動可能な状態となっている。上下のローラの離間距離が金属製の薄板の厚さよりも大きいため、前記薄板はローラに抵抗されることなくスルー可能な状態になっている。
【0049】
さて、間隔検出手段として、縦台35aには所定の位置に近接センサ52が固定されている。また、上ローラ40の軸部40aの端部側方には近接センサに検出される円柱形状の被検出棒51aが、ローラの中心軸とその中心軸が一致するように突出状態で形成されている。近接センサ52が、被検出棒51aが近づいたことを検出することによりローラ間隔が検出される。近接センサとしては、水や油が飛散する環境でも確実に検知でき、且つ応答速度が速いセンサである高周波発振型、磁気型等を適用することができる。また、上台36には、適正表示手段として、ローラ間隔が適正な間隔となったことを表示する回転灯54が備えられている。
【0050】
次に、図8(b)は、固定されている下ローラ41に上ローラが適正間隔距離まで近接した状態を示している。上ローラ40に固定されている前記被検出棒52bが近接センサ52に検出される位置まで、油圧装置55(形状は不図示)によって上ローラ40が下方に移動したときに、制御手段(不図示)により適正検出判定がされ、前記回転灯54が点滅状態となる。同時に、前記油圧装置55(形状は不図示)を停止させ、上ローラ40と下ローラ41の間隔が適正な間隔に維持される。
【0051】
更に、一対の上ローラ押さえ82a、82b(図4参照)が上方から下方に油圧装置(不図示)により移動される。前記上ローラ押さえ82a、82bが上ローラ40と接触状態となったことがリミットスイッチ(不図示)により検出されたときには、前記回転灯54が点灯状態となる。このリミットスイッチによる検出は、上ローラと上ローラ押さえとの接触が通電により検出され、又は圧力センサにより接触したことが検出される等の周知の検出手段によってもよい。
【0052】
以上により、上ローラ40と下ローラ41が、金属製薄板に応じた適正間隔となる。上記では、近接センサを1箇所設け、一つの薄板に応じた上ローラの位置決めについて説明したが、複数の金属板の厚さに対応するためには複数の近接センサを形成する位置をずらし、リブを成形する異なった薄板の厚さに応じて、各々の高さに形成すればよい。
【0053】
(第2検出手段の実施例)
ここで、第2の検出手段を併せて説明する。ここでは、主として前記近接センサの説明と異なる部分の説明をする。図9は、デジタルゲージセンサにより間隔検出手段を示す図であり、ローラ間隔が離間した状態(a)及びローラ間隔が適正間隔となった状態(b)の要部側面図を示している。具体的には、第1の検出手段である近接センサをデジタルゲージセンサに替え、一つのセンサで複数の薄板に応じて適正間隔の検出を可能とした例を示している。
【0054】
第2検出手段では伸縮可能な長さ検出棒を備えたデジタルゲージ57により上ローラの位置を検出する。図9(a)においては、上ローラ40と下ローラ41の平坦部分の間隔は、デジタルゲージ棒58aの伸縮可能な長さの範囲で、例えば15mm離間した状態とされている。上ローラ40の軸受70a端部には、デジタルゲージ57から伸びているデジタルゲージ棒58aの先端に当接するように、側方に被検出平板56aが突出され固定されている。
【0055】
図9(b)では、上ローラが下降し、それに伴い被検出平板56bが所定位置となり、上ローラ40と下ローラ41が適正間隔となった状態を示している。前記駆動手段55により軸受70aが設定された位置まで下方に移動し、指定された板厚に応じて、デジタルゲージ棒58aが予め記憶部に記憶されている所定の長さとなったとき、制御手段により駆動手段55が停止され、その後、上ローラ押さえが上方から上ローラに当接するまで下降する。デジタルゲージによれば、筒体の中にゲージ棒が伸縮可能に嵌装され10マイクロメートルの分解能を有する周知のゲージを使用することができるので、0.1mm単位のローラ間隔も好適に間隔検出できる。
【0056】
ここで複数の板厚に応じて上ローラを所定の位置に移動させる制御手段について図14を参照して説明する。図14は、制御手段により制御される全体構成を示す図である。図14に示すように、入力手段310と、記憶手段320と、適正表示手段330、間隔検出手段340と、可動手段350とは、それぞれ制御手段300と送受信可能に接続されている。制御手段300はCPU等を備えている周知のマイクロコンピュータからなっている。入力手段310は、リブを形成する複数の薄板の厚さが選択可能なコントロールパネルとなっている。記憶手段320はRAM、ROM等のマイクロチップからなり、複数の薄板の板厚に応じた上下ローラの適正間隔が、金属薄板の厚さに応じたデジタルゲージ棒の伸張長さとして登録されている。前記の間隔検出手段340により検出されたデジタルゲージ棒の長さは、制御手段300に送信される。制御手段300は、間隔検出手段340から送信された前記デジタルゲージ棒の長さが、記憶手段320から送信された適正なデジタルゲージ棒の登録長さと一致したときに、可変手段350を駆動停止させると共に、適正表示手段330により適正表示をさせるよう制御する。
【0057】
以上のように、リブを成形する複数の金属板の板厚に応じた適正なデジタルゲージ棒の伸張長さを予め登録し、それと伸張されたデジタルゲージ棒の長さが一致するか否かを判定する。これにより、一台のリブ成形機によっても、異なる厚さの金属製の薄板に応じて上下ローラの間隔を適正な間隔に容易に調整することができる。
【0058】
[リブ成形システムの実施形態]
図10は、上述の空調筒型ダクトにリブを成形するシステムを示す説明図である。(a)は平面図を示し、(b)は側面図を示す。このシステム100では、まずコイル状に巻かれた金属製の薄板101が製造ライン上に配置されている。次に薄板101の歪を矯正し、前方に送り出すレベルロール102が設置されている。次にレベルロールから送られてきた薄板101にリブを成形する第1リブ成形機103、第2リブ成形機104が設置されている。第1リブ成形機103は、図3で示した従来型のリブを成形するリブ成形機103であり、第2リブ成形機は、狭い間隔で凸凹リブを成形するリブ成形機104である。次に、リブが成形された金属製の薄板を所定の長さに切断するせん断式の第1の切断機が設置されている。
【0059】
次に、所定の長さに切断されリブが形成された前記薄板は、第2の切断機であるプラズマ切断機により所定の形状に切断される。前記薄板は、ローラコンベアー107によりプラズマ切断ベッド108に送り出される。プラズマ切断ベッド108に送り出された薄板は、筒型対応する2面に同一方向にリブが形成されるように、プラズマ切断ヘッド109により切断される。プラズマ切断ヘッドは縦誘導体109a及び横誘導体109bにより、板面全体で切断可能に誘導される。
【0060】
ここで、凸凹リブが形成されている薄板を用いて外部に露出させるダクトを形成する場合には、筒型ダクトの対向する二面のリブが揃うように、同一方向(111a、111b)又は左右対称方向(110a、110b)となるように切断位置を決定しプラズマ切断する。
【0061】
[ダクト製造システムの実施形態]
図11は、上述の空調用筒型ダクトを製造するシステムを示す説明図である。図15はダクト製造システムで製造される筒型ダクト400を示す説明図である。システムの説明に沿って、ダクトの加工位置を図15により該当箇所を参照して示す。このシステム200では、先ず、コイル状に巻かれた金属製の薄板201が製造ライン上に配置されている。次に、薄板201の歪を矯正し、前方へ送り出すレベルロール202が設置されている。次に、レベルロール202から送られてきた薄板201を所定の長さに切断するための計測を行い、後述する切断機205、206に信号を送信するエンコーダーロール203が設置されている。
【0062】
次に、エンコーダロール203を通過した薄板に凸リブと凹リブを成形する第1リブ成形機204が設置されている。この第1リブ成形機204には、図4で説明したリブ成形機30を適用することができる。次に、第1リブ成形機204を通過した薄板201を、エンコーダロール203からの信号に従って所定の形状に切断する第1の切断機205及び第2の切断機206が設置されている。ここで、第1の切断機205は、薄板202の角部(図15に示す後述するフランジの切れ目401)をカットする為の切断機であり、第2の切断機206は薄板201を所定の長さに切断する為の切断機である。
【0063】
次に、切断機206を通過した薄板201を第1ローラコンベアー208へと運ぶコンベアー207が設置されている。次に、コンベアー207を通過した薄板を所定の方向に位置決めする第1ローラコンベアー208が設置されている。次に、第1ローラコンベアー208で位置決めされた薄板201の進行方向を90度変換する第1送り装置209が設置されている。次に、第1送り装置209を通過した薄板201にシングルハゼ(図15に示す先端が折り曲げられた接合部402)又はダブルハゼ(図15に示す二重に折り曲げられた接合部403)を成形するハゼ折り機210a、210bが設置されている。ここで、ハゼ折り機210aは固定ハゼ折り機であり、ハゼ折り機210bは可動ハゼ折り機である。ここで、ハゼ折り機210bはエンコーダロール203からの信号に従って、所定の位置へ移動する。
【0064】
次に、ハゼ折り機210a、210bを通過した薄板201に凸リブと凹リブを成形する第2リブ成形機211が設置されている。ここで、第2リブ成形機211は、前述した第1リブ成形機204と同様に、図4で説明したリブ成形機30を適用することができる。また、薄板201に成形される凸リブと凹リブは、第1リブ成形機204で成形されるリブと直交する方向に形成される。
【0065】
次に、第2リブ成形機211を通過した薄板201を所定方向に位置決めする第2ローラコンベアー212が設置されている。次に、第2ローラコンベアー212を通過した薄板の進行方向を90度変換する第2送り装置213が設置されている。
【0066】
次に、第2送り装置213を通過した薄板201にフランジ13(図15に示す折り立てられた端面404)を成形するフランジ成形装置214が設置されている。最後に、フランジ成形装置を通過した薄板を所定の形状に折り曲げる(図15に示す筒体に折り曲げるための折れ目405)折曲機215が設置されている。
【0067】
上述した空調用筒型ダクト製造システム200では、第1リブ成形機204と、第2リブ成形機211の2台が設置されているが、空調用筒型ダクト製造時に、どちらか1台を稼動させて、他方の1台は稼動させずに、薄板201をそのままスルーさせるようにすれば、薄板201の板面の横方向又は縦方向のいずれかに、前述した凸リブ11と凹リブ12を成形することができる。また、第1リブ成形機204と、第2リブ成形機211の両方を稼動させることによって1つの薄板に、縦方向のリブと、横方向のリブの両方を成形することができる。
【0068】
また、上述の空調用筒型ダクト製造システム200は上方から見た場合にコ字状となるようにして、工場のスペースを有効利用するものである。尚、第1送り装置209や第2送り装置213を取り外したり、組み合わせたりすることによって、上方から見た場合に直線状やS字状となるように、工場のレイアウトに対応させて様々に変形させることが可能である。
【0069】
[リブ成形機に用いるローラの実施形態]
図2は、上ローラ又は下ローラの実施例を示す正面要部拡大図である。この図に示すローラでは、複数の凸リブ成形部と、凹リブ成形部と、平坦部とから構成されるリブ成形部と、両端のシャフトとが一体的に成形されている。このようなローラを上述した実施例のリブ成形機に使用することによって、後述する空調用筒型ダクト製造システムで、本発明に係る空調用筒型用ダクトを量産することができる。尚、リブ間隔を変更する場合には、上ローラ及び下ローラを軸受から取り外して、別の上ローラ及び下ローラに交換することも可能である。
【0070】
更に、分割型のリブ成形ローラを図12及び図13を参照して説明する。図12は分割型のローラの要部正面図である。また、図13は分割型のローラの断面図であり、(a)はA−A’ 部断面図であり、(b)はB−B’ 部断面図である。図12に破線で示すローラ部分が図3で示す従来型ローラのリブ成形部に該当する。図3に示すように従来型ローラの軸部に分割された凸リブ成形ローラ121と凹リブ成形ローラ122を固着させ、交互に凸リブと凹リブを成形できるローラとすることもできる。各々のローラは前後に分割可能とされ、軸部に空回り防止のために形成されるずれ止め124に係止され、軸の回転に連動して回転する。また、前後に分割された各々のローラは平坦部に形成されたナット穴に六角ボルト126により結合される。
【0071】
[実施形態の補足]
・また、ダクトを構成する金属製の薄板は、金属製の薄板であれば材質は限定されず、その厚さも限定されるものではない。
・上記においては、角型ダクトを実施例として説明したが、凸リブと凹リブを形成したダクト構成板は、別の多角形断面ダクト、一部が円弧断面のダクト、気体流路が曲線状に形成されたエルボ等の曲線状ダクトにも適用できる。
・リブ成形機の実施形態においては、ローラ押えを2箇所の実施例を説明したが、ローラ押えの箇所数を限定したものではない。
・第2実施形態で説明した間隔検出手段は、ローラ軸の一端のみに設けてもよく、また両端に設けてもよく、更にローラの中間部に設けてもよく、間隔検出手段の設置数や位置を限定するものではない。
【0072】
・駆動手段は、チェーンスプロケット及び油圧装置で説明したが、必ずしもこれに限定されるものではなく公知の駆動手段を適用することができる。
・切断手段は、せん断切断機及びプラズマ切断機としたが、これに限定されるものではなくレーザ切断機等公知の切断機とすることもできる。
・リブ成形機は一台で一つのリブ形状を成形するものとしたが、本発明の技術思想が適用できるものであれば、一台で複数のリブを成形するリブ成形機であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】空調用筒型ダクトの斜視図。
【図2】本発明に適用される狭い間隔でリブを成形するローラの要部正面図。
【図3】従来型ローラの要部正面図。
【図4】第1実施形態のリブ成形機の側面図及び正面図。
【図5】第1実施形態のリブ成形機の可変手段の説明図。
【図6】第1実施形態の上ローラ押さえの説明図。
【図7】第1実施形態の下ローラ押さえの説明図。
【図8】近接センサによる間隔検出の説明図。
【図9】デジタルゲージによる間隔検出の説明図。
【図10】空調筒型ダクトリブ成形システムの説明図。
【図11】空調用筒型ダクトを製造システムの説明図。
【図12】分割タイプローラの要部正面図。
【図13】分割タイプローラの断面図。
【図14】制御構成図。
【図15】筒型ダクトを示す説明図。
【符号の説明】
【0074】
1…角型ダクト、20…ローラ軸、23…従来型ローラ軸、30…リブ成形機、40…上ローラ
41…下ローラ
42a、42b…上ローラ押さえ
43a、43b…下ローラ押さえ
46…チェーンスプロケット、70a…上軸受
82a、82b、88a、88b…ローラ体
54…回転灯、55…油圧装置、52…近接センサ
51a、51b…被検出棒
56a、56b…被検出平板
58a、58b…デジタルゲージ棒
104…リブ成形機、106…せん断切断機、108プラズマ切断機
204…第1リブ成形機、211…第2リブ成形機
121…分割型の凸ローラ、122…分割型の凹ローラ
300…制御手段、400…筒型ダクト
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空調用筒型ダクトのリブを成形するリブ成形機であって、基台と、
該基台の上下2箇所に設置された対向する一対の軸受と、
各軸受に設置された上ローラ及び下ローラと、
該上ローラを上方向から押えるために前記基台の上部に設置された上ローラ押えと、
前記下ローラを下方向から押えるために前記基台の下部に設置された下ローラ押えと、
前記上ローラを上下動させるための可変手段とを備える、
ことを特徴とする空調用筒型ダクトのリブ成形機。
【請求項2】
前記上ローラと前記下ローラとはダクトを構成する金属製の薄板が通過する隙間をあけて配置されるとともに、前記隙間は前記可変手段により間隔調整可能とされ、
前記上ローラと前記下ローラとの隙間の間隔を検出する間隔検出手段と、
ローラ間隔が薄板にリブを成形する適正な間隔となったことを表示する適正表示手段と、
前期可変手段により前記間隔が調整され、前記間隔検出手段により検出された間隔が所望の適正間隔であると判定されたときに、前記表示手段に適正表示をさせる制御手段とを備える、
ことを特徴とする請求項1に記載のリブ成形機。
【請求項3】
前記リブ成形機は、リブが成形される前記薄板の厚さに応じた前記上ローラと前記下ローラとの適正間隔を予め登録した記憶部を備え、
前期可変手段により前記間隔が調整され、前記間隔検出手段により検出された間隔が登録された前記適正間隔であると判定されたときに、前記制御手段は前記表示手段に適正表示をさせる、
ことを特徴とする請求項2に記載のリブ成形機。
【請求項4】
前記可変手段は、前記上ローラを駆動させ前記下ローラとの間隔を調整する駆動部を備え、
前記駆動部により前記間隔が調整され、前記間隔検出手段により検出された間隔が前記適正間隔であると判定されたときに、前記制御手段は前記駆動部を停止させる、
ことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載のリブ成形機。
【請求項5】
前記上ローラと前記下ローラとには、凸及び凹のリブが交互に成形され、前記上ローラに形成されている凹又は凸のリブが、前記下ローラに形成されている凸又は凹のリブと、それぞれ咬合するように配設されている、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のリブ成形機。
【請求項6】
金属製の薄板を空調用筒型ダクトの構成板に形成する薄板成形システムであって、複数のリブ成形機を含むとともに、少なくとも前記リブ成形機の1基が請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のリブ成形機である、
ことを特徴とする薄板成形システム。
【請求項7】
前記薄板成形システムは、少なくとも、
コイル状に巻かれた金属製の薄板の歪を矯正するとともにリブ成形機へ誘導するレベルロールと、
前記リブ成形機を通過した薄板を所望の長さに切断する第1切断手段と、
前記薄板を所望の形状に切断する第2切断手段とを含んでいる、
ことを特徴とする請求項6に記載の薄板成形システム。
【請求項8】
前記薄板の表面に凸及び凹のリブが交互に成形される薄板成形システムであって、
前記第2切断手段は、前記筒型ダクトの向かいあう二面のダクト構成板を凸及び凹のリブを同一方向に揃うように所望の形状に切断することを特徴とする、
請求項7に記載の薄板成形システム。
【請求項9】
コイル状に巻かれた金属製の薄板の歪を矯正し、前方へ送り出すレベルロールと、
該レベルロールから送られてきた薄板を所定の長さに切断するための計測を行うエンコーダーロールと、
該エンコーダーロールを通過した薄板にリブを成形する請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のリブ成形機と、
該リブ成形機を通過した薄板を所定の形状に切断する切断機と、
該切断機を通過した薄板を所定の方向に位置決めする第1ローラコンベアーと、
該第1ローラコンベアーを通過した薄板の側端に組立用ハゼを成形するハゼ折り機と、
該ハゼ折り機を通過した薄板を所定の方向に位置決めする第2ローラコンベアーと、
該第2ローラコンベアーを通過した薄板にフランジを成形するフランジ成形装置と、
該フランジ成形装置を通過した薄板を所定の形状に折り曲げる折曲機とを備えている、
ことを特徴とする空調用筒型ダクト製造システム。
【請求項10】
コイル状に巻かれた金属製の薄板の歪を矯正し、前方へ送り出すレベルロールと、
該レベルロールから送られてきた薄板を所定の長さに切断するための計測を行うエンコーダーロールと、
該エンコーダーロールを通過した薄板を所定の形状に切断する切断機と、
該切断機を通過した薄板を所定の方向に位置決めする第1ローラコンベアーと、
該第1ローラコンベアーを通過した薄板の側端に組立用ハゼを成形するハゼ折り機と、
該ハゼ折り機を通過した薄板にリブを成形する請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のリブ成形機と、
該リブ成形機を通過した薄板を所定の方向に位置決めする第2ローラコンベアーと、
該第2ローラコンベアーを通過した薄板にフランジを成形するフランジ成形装置と、
該フランジ成形装置を通過した薄板を所定の形状に折り曲げる折曲機とを備えている、
ことを特徴とする空調用筒型ダクト製造システム。
【請求項1】
空調用筒型ダクトのリブを成形するリブ成形機であって、基台と、
該基台の上下2箇所に設置された対向する一対の軸受と、
各軸受に設置された上ローラ及び下ローラと、
該上ローラを上方向から押えるために前記基台の上部に設置された上ローラ押えと、
前記下ローラを下方向から押えるために前記基台の下部に設置された下ローラ押えと、
前記上ローラを上下動させるための可変手段とを備える、
ことを特徴とする空調用筒型ダクトのリブ成形機。
【請求項2】
前記上ローラと前記下ローラとはダクトを構成する金属製の薄板が通過する隙間をあけて配置されるとともに、前記隙間は前記可変手段により間隔調整可能とされ、
前記上ローラと前記下ローラとの隙間の間隔を検出する間隔検出手段と、
ローラ間隔が薄板にリブを成形する適正な間隔となったことを表示する適正表示手段と、
前期可変手段により前記間隔が調整され、前記間隔検出手段により検出された間隔が所望の適正間隔であると判定されたときに、前記表示手段に適正表示をさせる制御手段とを備える、
ことを特徴とする請求項1に記載のリブ成形機。
【請求項3】
前記リブ成形機は、リブが成形される前記薄板の厚さに応じた前記上ローラと前記下ローラとの適正間隔を予め登録した記憶部を備え、
前期可変手段により前記間隔が調整され、前記間隔検出手段により検出された間隔が登録された前記適正間隔であると判定されたときに、前記制御手段は前記表示手段に適正表示をさせる、
ことを特徴とする請求項2に記載のリブ成形機。
【請求項4】
前記可変手段は、前記上ローラを駆動させ前記下ローラとの間隔を調整する駆動部を備え、
前記駆動部により前記間隔が調整され、前記間隔検出手段により検出された間隔が前記適正間隔であると判定されたときに、前記制御手段は前記駆動部を停止させる、
ことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載のリブ成形機。
【請求項5】
前記上ローラと前記下ローラとには、凸及び凹のリブが交互に成形され、前記上ローラに形成されている凹又は凸のリブが、前記下ローラに形成されている凸又は凹のリブと、それぞれ咬合するように配設されている、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のリブ成形機。
【請求項6】
金属製の薄板を空調用筒型ダクトの構成板に形成する薄板成形システムであって、複数のリブ成形機を含むとともに、少なくとも前記リブ成形機の1基が請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のリブ成形機である、
ことを特徴とする薄板成形システム。
【請求項7】
前記薄板成形システムは、少なくとも、
コイル状に巻かれた金属製の薄板の歪を矯正するとともにリブ成形機へ誘導するレベルロールと、
前記リブ成形機を通過した薄板を所望の長さに切断する第1切断手段と、
前記薄板を所望の形状に切断する第2切断手段とを含んでいる、
ことを特徴とする請求項6に記載の薄板成形システム。
【請求項8】
前記薄板の表面に凸及び凹のリブが交互に成形される薄板成形システムであって、
前記第2切断手段は、前記筒型ダクトの向かいあう二面のダクト構成板を凸及び凹のリブを同一方向に揃うように所望の形状に切断することを特徴とする、
請求項7に記載の薄板成形システム。
【請求項9】
コイル状に巻かれた金属製の薄板の歪を矯正し、前方へ送り出すレベルロールと、
該レベルロールから送られてきた薄板を所定の長さに切断するための計測を行うエンコーダーロールと、
該エンコーダーロールを通過した薄板にリブを成形する請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のリブ成形機と、
該リブ成形機を通過した薄板を所定の形状に切断する切断機と、
該切断機を通過した薄板を所定の方向に位置決めする第1ローラコンベアーと、
該第1ローラコンベアーを通過した薄板の側端に組立用ハゼを成形するハゼ折り機と、
該ハゼ折り機を通過した薄板を所定の方向に位置決めする第2ローラコンベアーと、
該第2ローラコンベアーを通過した薄板にフランジを成形するフランジ成形装置と、
該フランジ成形装置を通過した薄板を所定の形状に折り曲げる折曲機とを備えている、
ことを特徴とする空調用筒型ダクト製造システム。
【請求項10】
コイル状に巻かれた金属製の薄板の歪を矯正し、前方へ送り出すレベルロールと、
該レベルロールから送られてきた薄板を所定の長さに切断するための計測を行うエンコーダーロールと、
該エンコーダーロールを通過した薄板を所定の形状に切断する切断機と、
該切断機を通過した薄板を所定の方向に位置決めする第1ローラコンベアーと、
該第1ローラコンベアーを通過した薄板の側端に組立用ハゼを成形するハゼ折り機と、
該ハゼ折り機を通過した薄板にリブを成形する請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のリブ成形機と、
該リブ成形機を通過した薄板を所定の方向に位置決めする第2ローラコンベアーと、
該第2ローラコンベアーを通過した薄板にフランジを成形するフランジ成形装置と、
該フランジ成形装置を通過した薄板を所定の形状に折り曲げる折曲機とを備えている、
ことを特徴とする空調用筒型ダクト製造システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2009−270813(P2009−270813A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−323207(P2008−323207)
【出願日】平成20年12月19日(2008.12.19)
【出願人】(507361572)矢留工業株式会社 (3)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月19日(2008.12.19)
【出願人】(507361572)矢留工業株式会社 (3)
【Fターム(参考)】
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