説明

リベッター用のリベット位置決ユニット、及びリベッター

【課題】 順次供給されるリベットを長期的に亘って適正な位置で繰り返し位置決めすることのできるリベッター用のリベット位置決ユニットを提供する。
【解決手段】 リベットを押圧する押圧体を備えたリベッターに取り付けられた状態で、所定位置でリベットを位置決めし、リベットが押圧体に押圧されて被締結材側に押し出されるのを許容したリベッター用のリベット位置決ユニットであって、リベットが軸心方向で移動自在なリベット通過経路が貫通して設けられたユニット本体を備え、ユニット本体は、リベット通過経路内に臨出し、リベットの軸部を介在させた状態で頭部を係止し、リベットが押圧されたときに互いに離間し、頭部の通過を許容する一方、頭部が通過した後に頭部を係止可能な位置に復元するように構成された一対の係止体を備えていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リベットをかしめるためのリベッターに取り付けられるリベット位置決ユニット、及びこれを備えたリベッターに関し、詳しくは、リベッターの押圧体が押圧可能な所定位置でリベットを位置決めし、該リベットが前記押圧体に押圧されて被締結材側に押し出されるのを許容したリベッター用のリベット位置決ユニット、及びこれを備えたリベッターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、リベットをかしめるリベッターとして、種々タイプのものが提供されているが、その一つとして、軸部の一端部に鍔状の頭部が形成されたリベットの前記頭部を押圧し、軸部を先頭にしてリベットを所定位置から被締結材側に押し出す押圧体と、リベットの押し出される押出領域と対向して配設された受圧体とを備えたものがある。
【0003】
かかるリベッターは、押圧体と受圧体との間に被締結材を介在させるように構成されており、押圧体と受圧体とを相対的に接近させることで、押出領域から押し出されたリベットに対して軸心方向の圧縮力を作用させ、前記被締結材に押し込まれた軸部、或いは、被締結材を貫通した軸部の他端部をかしめるように構成されている。
【0004】
そして、上記構成のリベッターは、一般的に、押圧体がリベットを適正に押圧できるように、押圧体がリベットの頭部を押圧可能な所定位置で供給されてきたリベットを位置決めし、該リベットが前記押圧体に押圧されて被締結材側に押し出されるのを許容したリベット位置決部材が取り付けられる。
【0005】
前記リベット位置決部材は、図8(a)に示す如く、ゴム等の弾性材料で成形されており、一端から他端に向けて段付き状の貫通穴又は貫通溝(以下、総称してリベット通過経路という)601が形成されている。該リベット位置決部材600は、リベット通過経路601がリベッターの押圧体の移動中心と同心をなすように、金属製のフレーム602を介してリベッターに固定される(取り付けられる)。前記リベット通過経路601は、上述の如く段付き状に形成されることで、リベットRの頭部Rhを収容する頭部収容部601aを大径部分で構成し、リベットRの軸部Rsを収容する軸部収容部601bを小径部分で構成している。
【0006】
前記頭部収容部601aは、内径が頭部Rhの外径よりも大径に設定され、前記軸部収容部601bは、内径が軸部Rsの外径と略同径、或いは、軸部Rsの外径よりも大径で且つ頭部Rhの外径よりも小径に設定されている。
【0007】
そして、リベット通過経路601が貫通穴で構成されるリベット位置決部材600は、頭部収容部601a側の開口から軸部Rsを先頭にしてリベットRを供給するようになっており、軸部収容部603bと頭部収容部601aとの境界に形成される段差部603(肩部)に該リベットRの頭部Rhを係止させることで、該リベットRを所定位置に位置決めできるように構成されている。
【0008】
他方、リベット通過経路603が貫通溝で構成されるリベット位置決部材600は、頭部Rhが頭部収容部601aに収容されるとともに軸部Rsが軸部収容部601bに収容されるように、リベット通過経路601に連続して一側面に形成されたリベット供給口(長手に延びる開口)を介してリベットRを供給するようになっている。そして、かかるリベット位置決部材600においても、リベット通過経路601が段付き状に形成されているため、軸部収容部601bと頭部収容部601aとの境界に形成される段差部603(肩部)に該リベットRの頭部Rhを係止させることで、該リベットRを所定位置に位置決めできるように構成されている。
【0009】
そして、リベット位置決部材600は、何れも弾性材料の成型体であるため、押圧体がリベットRの頭部Rhを押圧すると、図8(b)に示す如く、リベットRの頭部Rhが段差部603を押圧乃至変形させ、さらに押圧体による押圧が続行されることで、図8(c)に示す如く、頭部Rhが軸部収容部601bの内周面を変形させつつリベットR全体が軸心方向に移動してリベット通過経路601の他端側(押出領域)から押し出されるようになっている。
【0010】
これにより、リベット位置決部材600は、何れもリベットRの頭部Rhを押圧体が押圧可能な所定位置でリベットRを位置決めし、該リベットRが前記押圧体に押圧されて被締結材側に押し出されるのを許容するようになっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記構成のリベット位置決部材600は、何れも頭部収容部601aと軸部収容部601bとの境界に形成される段差部603でリベットRの頭部Rhを係止することでリベットRを位置決めし、全体を伸縮(変形)可能な弾性材料で成型することで段差部603に係止させた頭部Rhが軸部収容部601bに入り込むのを許容した構成であるため、段差部603に係止された頭部Rhが軸部収容部601bに入り込もうとするときに、摩擦を生じさせつつ段差部603を大きく変形させ、段差部603を激しく摩耗させてしまう。
【0012】
そうすると、段差部603の形状が短期間で崩れてしまい、リベットRを当初と同じ位置(リベッターの押圧体が頭部Rhを適正に押圧できる位置)で位置決めできなくなるといった問題があった。
【0013】
そこで、本発明は、斯かる実情に鑑み、リベットが被締結材側に押し出されるのを許容しても、長期に亘ってリベットを適正な位置で繰り返し位置決めすることのできるリベッター用のリベット位置決ユニット及びリベッターを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係るリベッター用のリベット位置決ユニットは、軸部の一端に鍔状の頭部が形成されたリベットの前記頭部を軸部の軸心方向に押圧する押圧体を備えたリベッターに取り付けられた状態で、前記押圧体が前記頭部を押圧可能な所定位置で前記リベットを位置決めし、該リベットが前記押圧体に押圧されて被締結材側に押し出されるのを許容したリベッター用のリベット位置決ユニットであって、一端側に押圧体を進退させる押圧側開口を形成するとともに他端側にリベットが押し出される押出側開口を形成するように、リベットが軸心方向で移動自在なリベット通過経路が貫通して設けられたユニット本体を備え、ユニット本体は、前記リベット通過経路内に臨出し、リベットの軸部を介在させた状態で頭部を係止する一対の係止体を備え、該一対の係止体は、前記頭部が押圧体に押圧されたときに該頭部に押圧されて互いに離間し、頭部の通過を許容する一方、頭部が通過した後に頭部を係止可能な位置に復元するように構成されていることを特徴とする。
【0015】
上記構成のリベッター用のリベット位置決ユニットによれば、リベットが軸心方向で移動自在なリベット通過経路内に臨出し、リベットの軸部を介在させた状態で頭部を係止する一対の係止体を備えているので、リベット通過路内のリベットが押出側開口に向けて移動することが阻止され、所定位置で位置決めされる。そして、ユニット本体は、一端側に押圧体を進退させる押圧側開口を形成するとともに他端側にリベットが押し出される押出側開口を形成するように、リベットが軸心方向で移動自在なリベット通過経路が貫通して設けられており、また、一対の係止体は、リベットが押圧体に押圧されたときに頭部に押圧されて互いに離間し、頭部の通過を許容する一方、頭部が通過した後に頭部を係止可能な位置に復元するように構成されているので、リベッターの押圧体がリベットを押圧したときにリベットが被締結材側に(押出側開口に向けて)移動することが許容される。これにより、リベットは軸部を先頭にして押出側開口から押し出される結果、リベッターによって軸部の端部をかしめることができる状態となる。また、リベットが一対の係止体間を通過した後に、その一対の係止体は次のリベットの頭部を係止できる状態に戻ることになる。これにより、順次供給されるリベットを長期的に亘って適正な位置で繰り返し位置決めすることができる。
【0016】
そして、本発明の一態様として、前記一対の係止体の各々は、金属製の棒材で構成され、リベット通過経路の長手方向に延びる中心線に対して直交方向に延びるように配設されるとともに、互いの一端同士が間隔をあけて間接的に接続され、頭部に押圧されたときに互いの他端側同士が離間するように構成されていることが好ましい。このようにすれば、リベットが押圧されたときに、一対の係止体自体が変形して互いに離間し、係止体を構成する棒材の弾性で元の姿勢(位置)に復元することできる。
【0017】
リベットが押出側開口から脱落するのを防止する脱落防止手段をさらに備え、該脱落防止手段は、押圧体に押圧されて移動するリベットの通過を許容するように構成されていることが好ましい。このようにすれば、一対の係止体間を通過したリベットに押圧体による押圧力が作用し続けてもそのリベットが不用意に押出側開口から脱落するのを防止することができる。
【0018】
前記脱落防止手段は、前記頭部よりも小径で且つ軸部と同径又は軸部よりも大径に設定されたリベット通過穴の穿設された弾性材料の成型体であり、前記リベット通過穴が前記リベット通過経路と同心になるように、前記ユニット本体の他端側に設けられていることが好ましい。このようにすれば、リベット(頭部)に対する一対の係止体による係止状態が解除されたとしても、リベットがリベット通過穴を通過する際に、弾性材料の成型体である脱落防止手段の復元力の作用でリベットが脱落してしまうのを確実に防止することができる。
【0019】
前記リベット通過経路は、ユニット本体の一側面に一端から他端にかけて開口を形成した溝で構成されてもよい。このようにすれば、当該リベット位置決ユニットをリベッターに取り付けた際に、リベットの一側面に形成された開口から供給することができる。これにより、押圧側開口からリベットを供給する必要がないため、押圧部をリベット位置決ユニットに接近させた配置にできる結果、リベッターを小型化することができる。
【0020】
そして、本発明に係るリベッターは、軸部の一端部に鍔状の頭部が形成されたリベットの前記頭部を軸部の軸心方向に押圧する押圧体と、該押圧体が前記頭部を押圧可能な所定位置でリベットを位置決めし、該リベットが前記押圧体に押圧されて被締結材側に押し出されるのを許容するリベット位置決ユニットとを備えたリベッターであって、前記リベット位置決ユニットは、上述した何れかのものであることを特徴とする。かかるリベッターは、上述したリベット位置決ユニットを備えているので、順次供給されるリベットを長期的に亘って適正な位置で繰り返し位置決めすることができる。
【発明の効果】
【0021】
以上のように、本発明に係るリベッター用のリベット位置決ユニット、及びリベッターによれば、リベットが被締結材側に押し出されるのを許容しても、長期に亘ってリベットを適正な位置で繰り返し位置決めすることができるという優れた効果を奏し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の一実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。本実施形態に係るリベッターは、軸部の一端部に鍔状の頭部が形成されたリベットの前記頭部を押圧することで、重ね合わされた被締結材にリベットの軸部で被締結材に穿孔した(実際には、被締結材にめり込ませた)上で、リベットの軸部の端部がかしめられる、いわゆる、自穿孔式のリベットを対象としたものである。なお、この種のリベッターには、手動のものと自動のものとがあるが、本実施形態においては、ロボットアームに取り付けられ、そのロボットアームを適宜動作させることで二つ以上の被締結材を所定位置で締結するように構成された自動式のリベッターを一例に説明することとする。
【0023】
かかるリベッターは、図1及び2に示す如く、複数のリベットを収容するカセット部10と、カセット部10内に収容された複数のリベットから一つのリベットを切り出すリベット切出手段20と、該リベット切出手段20によって切り出されたリベットを下流側に送るリベット供給手段30と、リベット供給手段30によって送られてきたリベットR…をかしめるリベットかしめ手段40と、これらが取り付けられるフレーム50とを備えている。
【0024】
前記カセット部10は、図3に示す如く、複数のリベットR…を整列状態で一方向に案内する一対の案内体11a,11bと、該一対の案内体11a,11bで案内される複数のリベットR…を一方向に付勢するリベット送り手段(図示しない)とを備える。該一対の案内体11a,11bは、各リベットR…を両側から挟むように設けられており、各リベットR…の軸心同士が平行又は略平行な状態になるように複数のリベットR…を整列させ、リベットR…の軸心に対して直交方向の各リベットR…を案内できるように構成されている。すなわち、一対の案内体11a,11bは、間隔をあけて配置された、いわゆるレールであり、その隙間で各リベットR…の頭部Rhが配置される頭部配置空間Haと、各リベットR…の軸部Rsが配置される軸部配置空間Saとを連続状態で一方向に延びるように形成している。なお、以下の説明において、頭部配置空間Haと軸部配置空間Saとを合わせてリベット案内経路Gaということとする。
【0025】
本実施形態に係るリベット送り手段は、一対の案内体11a,11bに案内される複数のリベットR…に圧縮エアーを吹き付けることで、その空気圧でリベットR…を一方向に送るように構成されている。
【0026】
そして、上記構成のカセット部10は、ロボットアームの作動で所定位置(リベットR…を補給する補給位置)に位置したときに、一対の案内体11a,11bの一端側からその案内体11a,11b間(リベット案内経路Ga)にリベットR…が順々に供給されるように構成されている。
【0027】
前記リベット切出手段20は、種々タイプのものを採用することができるが、本実施形態においては、前記カセット部10(一対の案内体11a,11bの他端側)に隣接して設けられ、カセット部10でのリベットR…の案内方向と直交する方向に往復動可能に構成された往復動体21を備えている。
【0028】
前記往復動体21は、エアーシリンダ(図示しない)によって往復動するように構成されている。本実施形態に係る往復動体21は、ブロック状に形成されており、リベット案内経路Ga及び後述する供給経路Tの断面形状と同様の断面形状をなす空間(以下、リベット収容空間という)22が形成されている。該リベット収容空間22は、リベット案内経路Gaと対向する面から反対側の面に向けて形成されており、一つのリベットR…を収容できるようになっている。すなわち、リベット収容空間22は、往復動体21が移動(往復動)してリベット案内経路Gaに対向する位置(以下、この位置を供給位置という)Aに位置した状態で、リベット案内経路Gaと連続した状態になるように構成されている。
【0029】
そして、本実施形態においては、後段のリベット供給手段30(後述する供給経路T)の配置との関係で、リベット収容空間22がリベット案内経路Gaと対向する面から反対側の面にかけて貫通した状態で形成されている。これに伴って、本実施形態に係るリベット切出手段20は、リベット収容空間22が供給位置Aに位置するときにリベット収容空間22内に供給されたリベットR…が押し出されてしまうのを防止するための規制ブロック23を備えている。該規制ブロック23は、往復動体21の移動領域を挟んでリベット案内経路Gaの反対側に配置されており、供給位置Aに位置するリベット収容空間22の開口端を閉塞するように設けられている。
【0030】
そして、該リベット切出手段20は、リベット収容空間22を供給位置Aからリベット収容空間22が供給経路Tと対向する位置(以下、この位置を切出位置Bという)に位置変更させるように往復動体21を一方向に移動させることで、該リベット収容空間22内にある一つのリベットR…を切り出す一方、リベット収容空間22を切出位置Bから供給位置Aに位置変更させるように往復動体21を他方向に移動させることで、カセット部10からリベット収容空間22内にリベットR…が供給されるようになっている。
【0031】
前記リベット供給手段30は、リベット切出手段20によって切り出されたリベットR…をリベットかしめ手段40にまで導くもので、本実施形態においては、前記切出位置Bとリベットかしめ手段40とを連絡する供給経路Tを形成した一対のガイド31a,31bと、供給経路T内のリベットR…を下流側に送るリベット送り手段32とを備えている。
【0032】
前記一対のガイド31a,31bは、前記一対の案内体11a,11bと同様に、間隔をあけて配置された、いわゆるレールであり、切り出されたリベットR…を両側から案内するように構成されている。一対のガイド31a,31bは、頭部Rhと対向する部位(頭部Rhが配置される空間を画定する部位)の間隔が軸部Rsと対向する部位(軸部Rsが配置される空間を画定する部位)の間隔よりも広くなるように形成されている。そして、本実施形態に係る一対のガイド31a,31bは、リベットかしめ手段40の配置の関係上、供給経路Tを湾曲形状に形成している(図2参照)。
【0033】
前記リベット送り手段32は、供給経路Tの上流側からリベットR…に向けて圧縮エアーを吹き付けるように構成されており、その空気圧でリベットR…をリベットかしめ手段40に向けて送るように構成されている。本実施形態においては、上述のように往復動体21に形成されたリベット収容空間22が貫通状態で形成されているため、往復動体21の移動領域を挟んで供給経路Tの反対側から供給経路T側に向けて圧縮エアーを吐出させるように設けられている。これにより、往復動体21のリベット収容空間22が切出位置Bに位置し、リベット収容空間22が供給経路Tとが連続した状態で、リベット送り手段32からの圧縮エアーによって、リベット収容空間22内のリベットR…が供給経路Tに押し出され、リベットかしめ手段40にまで送られるようになっている。
【0034】
なお、本実施形態に係るリベッター1は、供給経路Tの途中位置から下流側に向けて圧縮エアーを吐出させるように構成されており、リベットR…の送りは勿論のこと、リベットかしめ手段40に供給されたリベットR…をその圧縮エアーの空気圧で押さえ付けるように構成されている。
【0035】
図2に戻り、前記リベットかしめ手段40は、リベットR…の頭部Rhを押圧し、軸部Rsを先頭にしてリベットR…を被締結材M側に押し出す押圧体41と、リベットR…の押し出される押出領域と対向して配設された受圧体42と、押圧体41が前記頭部Rhを押圧可能な所定位置でリベットR…を位置決めし、該リベットR…が前記押圧体41に押圧されて被締結材M(受圧体42)側に押し出されるのを許容するリベット位置決ユニット(以下、単に位置決ユニットという)43とを備えている。
【0036】
前記押圧体41は、一端側が小径に形成された段付き棒状に形成されており、軸心方向に往復動自在に設けられている。そして、該押圧体41は、一端面がリベットR…の頭部Rhを押圧する押圧面とされ、他端側に当該押圧体41を往復動させるための作動機構44が作動的に連結されている。
【0037】
本実施形態に係る作動機構44には、油圧シリンダーが採用されており、そのピストンロッド(採番しない)が押圧体41の他端部に連結されている。該油圧シリンダーは、作動油の供給と排出との切り換えでピストンロッドを進退させるように構成されており、前記押圧体41は、該ピストンロッドの進退によって軸心方向に往復動するように構成されている。
【0038】
本実施形態に係る受圧体42は、押圧体41による押圧でリベットR…が押し出される押出領域(位置決ユニット43)と間隔をあけて対向するように設けられており。押出領域(位置決ユニット43)との間に被締結材Mを配置するための領域を確保している。
【0039】
前記位置決ユニット43は、図4に示す如く、一端側に押圧体41を進退させる押圧側開口Raを形成するとともに他端側にリベットR…が押し出される押出側開口Rbを形成するように、リベットR…が軸心方向で移動自在なリベット通過経路Rmが貫通して設けられたユニット本体45と、該ユニット本体45をリベッター1(前記サブフレーム50b)に固定するためのユニットフレーム46とを備えている。
【0040】
前記ユニット本体45は、金属加工品であり、図5(a)、図5(b)、図6(a)及び図6(b)に示す如く、前記リベット通過経路Rm内に臨出し、リベットR…の軸部Rsを介在させた状態で頭部Rhを係止する一対の係止体440a,440bを備えている。
【0041】
前記リベット通過経路Rmは、ユニット本体45の一側面に一端から他端にかけて開口(以下、リベット供給口という)Riを形成した溝で構成されており、その溝の延びる方向にリベットR…の軸心を合わせてリベットR…をリベット供給口Riから供給することができるように構成されている。
【0042】
より具体的に説明すると、リベット通過経路Rmは、ユニット本体45を貫通させるようにリベットR…の頭部Rhの直径よりも大きな内径の丸穴を穿設し、該丸穴内と外部とを連通させるようにユニット本体45の側面に丸穴の穴心に沿って延びる開口を設けることで形成されたもので、これによって、ユニット本体45の両端面に開口(押圧側開口Ra及び押出側開口Rb)を形成するとともに一側面に一端から他端までの全長に亘って開口(リベット供給口Ri)を形成している。
【0043】
本実施形態に係るユニット本体45は、リベット通過経路Rmを構成するための断面円形をなす段付き状の貫通穴を円柱体に対して同心で穿設し、その円柱体の一部を軸心に沿って切除した形態をなし、その切除した部分で平面状の面(一側面)を形成し、その一側面上にリベット通過経路Rmと連続する前記リベット供給口Riが形成されている。かかるリベット通過経路Rmは、大径部分の内径D1が頭部Rhの外径d1よりも大きく設定され、小径部分の内径D2が大径部分の内径D1よりも小径で且つリベットR…の頭部Rhの外径d1よりも大きく設定されており、リベットR…が軸心方向に移動自在になる大きさで形成されている(図6(a)参照)。
【0044】
そして、本実施形態においては、上述の如く、リベット通過経路Rmが段付き状をなしているため、前記リベット供給口Riは、リベット通過経路Rmの大径部分に対応する部位が、リベットR…の頭部Rhの外径d1よりも広く開口し、リベット通過経路Rmの小径部分に対応する部位が、リベットR…の頭部Rhの外径d1よりも狭く且つ軸部Rsの外径d2よりも広く開口している。これにより、前記リベット供給口Riは、リベットRが供給されたときに、該リベットR…の頭部Rhがリベット通過経路Rmの大径部分に収容され(入り込み)、該リベットR…の軸部Rsがリベット通過経路Rmの小径部分に収容される(入り込む)ように構成されている。
【0045】
そして、本実施形態に係るユニット本体45は、各係止体440a,440bをリベット通過経路Rm内に臨出させて配置させるための係止体収容部441a,441bが形成されている。該係止体収容部441a,441bは、リベット通過経路Rmと略直交方向に延びるよう、リベット通過経路Rm及びリベット供給口Riを挟んで形成されたスリット状の空間で構成されており、リベット通過経路Rmと連通している。本実施形態においては、リベット通過経路Rmの段付き部分近傍に形成されている。そして、本実施形態においては、ユニット本体45の一側面とは真反対側に一対の係止体収容部441a,441bを繋ぐスリット状の空間(以下、接続部収容部という)441cが形成されており、該接続部収容部441c内に一対の係止体440a,440bを接続した接続部440cが収容されるようになっている(図6(b)参照)。
【0046】
これにより、ユニット本体45は、係止体収容部441a,441bを境にした一端側と他端側とが接続部収容部441cとリベット通過経路Rmとの間を主体に接続された状態をなしている。
【0047】
一対の係止体440a,440bは、リベットR…が押圧体41に押圧されたときに頭部Rhに押圧されて互いに離間し、頭部Rhの通過を許容するとともに、頭部Rhが通過した後に次ぎのリベットR…の頭部Rhを係止できる位置に戻るように構成されている。一対の係止体440a,440bは、間隔WがリベットR…の軸部Rsの外径d2以上で且つ頭部Rhの外径d1以下の設定されており(図6(a)参照)、この間隔Wを維持した状態で、前記係止体収容部441a,441b内に配置されている。本実施形態にかかる一対の係止体440a,440bの各々は、金属製の棒材で構成され、リベット通過経路Rmの長手方向の延びる中心線(溝の延びる方向)に対して直交方向に延びるように配設されるとともに、互いの一端同士が間隔をあけて間接的に接続されている。
【0048】
本実施形態では、一本の金属製の棒材(以下、金属棒という)を略コの字状に曲げ加工し、その互いに対向する部位で一対の係止体440a,440bを構成するとともに、その対向する部位同士を接続した部位で、係止体440a,440bの一端同士を接続する接続部440cを構成している。これにより、本実施形態に係る一対の係止体440a,440bは、押圧体41がリベットRの頭部Rhを押圧したときに他端側が互いに離間して係止していた頭部Rhの通過を許容する一方で、頭部Rhが通過した後に金属棒の弾性で頭部Rhを係止できる位置に戻るように構成されている。
【0049】
そして、係止体440a,440bの一端同士を接続した接続部440cが接続部収容部441c内に配置され、一対の係止体440a,440bの各々は、上述の如く、係止体収容部441a,441bに配置されることで、一部がリベット通過経路Rm内に臨出し、該リベット通過経路Rm内で互いに対向した状態をなしている。これにより、リベット通過経路Rmには、係止体440a,440bを境にして、一端側にリベットR…の頭部Rhが収容される頭部収容部を形成するとともに、他端側にリベットR…の軸部Rsが収容される軸部収容部を形成している。
【0050】
本実施形態に係るユニット本体45は、一側面(リベット供給口Ri)の反対側の部分に磁石(図示しない)が埋設されており、供給されたリベットR…を磁着するようにも構成されている。さらに、該ユニット本体45は、リベット通過経路Rmの大径部分に貫通した穴(エアー抜穴)442が設けられており、リベット供給手段30(リベット送り手段32及び供給経路Tの途中位置)からの圧縮エアーをエアー抜穴442から逃がすように構成されている。
【0051】
図4に戻り、前記ユニットフレーム46は、前記ユニット本体45が取り付けられる外観ブロック状のフレーム本体460と、該フレーム本体460をサブフレーム50bに取り付けるための取付部461とを備えている。前記フレーム本体460は、金属加工品で、前記ユニット本体45を嵌着するための嵌着部462が形成されている。該嵌着部462は、ユニット本体45の外形に対応した穴又は溝で構成される。本実施形態に係る嵌着部462は、前記ユニット本体45の一側面にリベット供給口Riが形成されることから、フレーム本体460の一面にユニット本体45の一側面を露呈させる開口を形成し、該一面と直交する両端面を貫通させた溝で構成されている。
【0052】
本実施形態に係る位置決ユニット43は、リベットR…が押出側開口Rbから脱落するのを防止する脱落防止手段47を備えている。本実施形態に係る脱落防止手段47は、前記ユニット本体45の他端側に設けられており、前記リベット通過経路Rmと連通するリベット通過穴Rtが穿設されている。該脱落防止手段47は、弾性材料(本実施形態においてはシリコンゴム)の成型体で構成されており、前記リベット通過穴Rtの内径D3が、前記頭部Rhの外径d1よりも小径で且つ軸部Rsの外径d2と同径又は軸部Rsよりも大径に設定されている(図6(a)参照)。
【0053】
そして、該脱落防止手段47は、一端部にユニット本体45の外径と同径に設定されたフランジ部470が形成されており、該フランジ部470をユニット本体45の他端面に密接させて嵌着部462に嵌着することで、前記リベット通過穴Rtがユニット本体45のリベット通過経路Rmと略同心になるように構成されている。なお、該脱落防止手段47の脱落を防止するために、前記嵌着部462は、フレーム本体460の他端部で脱落防止手段47の他端側の外径(フランジ部470よりも小径な部分)に対応する内径に設定されており、嵌着したフランジ部470がユニット本体45とフレーム本体460とに挟まれた状態になるように構成されている。
【0054】
前記取付部461は、フレーム本体460に連設された長方形状のプレートで構成されており、サブフレーム50bに着脱可能に取り付けられるように構成されている。該取付部461は、サブフレーム50bに取り付けた(固定した)状態で、嵌着部462に嵌着されたユニット本体45のリベット通過経路Rmの長手方向の延びる中心線と押圧体41の移動中心とが同心又は略同心になるように構成されている。また、該取付部461は、サブフレーム50bに取り付けた(固定した)状態で、リベット供給口Riがリベット供給手段30の供給経路Tの下流部と対向した配置になるようにも構成されている。すなわち、取付部461は、サブフレーム50bに取り付けた状態で、ユニット本体45の頭部収容部が供給経路TにおけるリベットRの頭部Rhが通過する領域と対向し、且つユニット本体45の軸部収容部が供給経路TにおけるリベットRの軸部Rsの通過する領域と対向した状態でユニット本体45を位置決めするように構成されている。これにより、供給経路Tを介して供給されるリベットRが位置決ユニット43(ユニット本体45のリベット通過経路Rm内)に適正に受け渡されるようになっている。
【0055】
図1及び図2に戻り、前記フレーム50は、ロボットアームに連結されるメインフレーム50aと、カセット部10、リベット切出手段20、リベット供給手段30、及び、リベットかしめ手段40が取り付けられたサブフレーム50bとを備えている。メインフレーム50aは、断面L字状に形成されて一方側の片にロボットアームに連結するためのアーム連結部50cが設けられている。そして、サブフレーム50bは、スライダー(採番しない)を介してメインフレーム50aの他方の片に取り付けられており、押圧体41の進退方向と同方向に往復動可能に設けられている。さらに、サブフレーム50bは、押圧体41がリベットR…を押圧する方向に付勢されており、常態においてメインフレーム50aの一端側で維持するように設けられている。
【0056】
本実施形態に係るリベッター1(位置決ユニット43)は、以上の構成からなり、次に、このリベッター1及び位置決ユニット43の作動について説明する。
【0057】
まず、カセット部10に収容された複数のリベットR…は、リベット送り手段からの空気圧により、往復動体21側に付勢された状態となっており、往復動体21のリベット収容空間22が供給位置Aに位置したとき、その空気圧による付勢で全体が往復動体21側に移動し、一つのリベットR…のみがリベット収容空間22内に入り込む。すなわち、空気圧で付勢されたリベットR…が規制ブロック23で移動が規制され、往復動体21のリベット収容空間22内に一つのリベットR…のみが存在した状態になる。
【0058】
そして、往復動体21を一方向に移動させ、リベット収容空間22を供給位置Bから切出位置Bにシフトさせると、リベット送り手段32の空気圧でリベット収容空間22内のリベットR…が供給経路Tに押し出され、リベットかしめ手段40にまで搬送されることになる。このとき、搬送中のリベットR…は一対のガイド31a,31bによって案内され、供給経路Tに対する姿勢を略一定にした状態(リベットR…の軸心を搬送方向と直交方向にした姿勢を維持した状態)でリベットかしめ手段40(位置決ユニット43)にまで搬送されることになる。
【0059】
そうすると、下流側に搬送されるリベットR…は、位置決ユニット43(ユニット本体45)のリベット供給口Riを介してリベット通過経路Rm内に供給され、頭部Rhが係止体440a,440bよりも一端側(頭部収容部)に位置し、軸部Rsが係止体440a,440bよりも他端側(軸部収容部)に位置した状態になる。そして、リベット通過経路Rm内のリベットR…は、供給経路Tの途中位置から吐出される圧縮エアーの空気圧でユニット本体45に押し付けられるとともに、ユニット本体45に設けた磁石によってユニット本体45に磁着されることになる。
【0060】
このように圧縮エアーや磁力でリベットR…を保持しても、リベット通過経路Rm内のリベットR…は、頭部Rhが一対の係止体440a,440bに係止された状態となるため、無造作に姿勢が変わってしまうことがなく、頭部Rhを押圧側開口Ra(押圧体41)側に向けるとともに軸部Rsを押出側開口Rbに向けた状態で維持することになる。なお、本実施形態においては、ユニット本体45にエアー抜穴442を設けているので、上述のように圧縮エアーをリベットR…に吹き付けても、不要な圧縮エアーがエアー抜穴442を介して放出される結果、リベット通過経路Rm内で圧縮エアーが不安定な流れを発生させにくくなり、リベットR…が踊ってしまうことも防止される。
【0061】
そして、ロボットアームの作動で、当該リベッター1を所定位置に位置させ、押出領域と受圧体42との間に締結対象となる被締結材Mを位置させる。しかる後、油圧シリンダーが作動して押圧体41が軸心方向の一方向に移動し、該押圧体41の一端側がユニット本体45の押圧側開口Raからリベット通過経路Rm内に進入する。そうすると、押圧体41が所定位置のリベットR…の頭部Rhを押圧し、図7(a)及び図7(b)に示す如く、頭部Rhを係止していた一対の係止体440a,440bが軸心方向の押圧力の作用で互いに離間し、最終的に頭部Rhの通過を許容した状態となる。
【0062】
そして、リベットR…の頭部Rhが一対の係止体440a,440b間を通過すると、一対の係止体440a,440bは、図7(c)に示す如く、金属棒の弾性により、次のリベットR…の頭部Rhを係止できる位置(元の位置)に復帰する。そして、一対の係止体440a,440b間を通過したリベットR…は、押圧体41による押圧の続行により、さらにユニット本体45の他端側(押出側開口Rb側)に移動し、軸部Rsが脱落防止手段47のリベット通過穴Rtに入り込み、引き続き頭部Rhがリベット通過穴Rtに入り込むことになる。このとき、脱落防止手段47の弾性(収縮)により、リベットR…が脱落防止手段47に締め付けられた状態をなし、押出側開口Rbから不用意に脱落してしまうことが防止される。
【0063】
そして、押出側開口Rb(脱落防止手段47)から押し出されたリベットR…の軸部Rsが被締結材Mに当接し、押圧体41の押圧力が被締結材Mに作用すると、サブフレーム50bがコイルバネの付勢に抗して移動し、受圧体42が押圧体41側とは反対側で被締結材Mに当接した状態となる。そして、引き続き押圧体41がリベットR…の頭部Rhを押圧し続けると、リベットR…の軸部Rsが被締結材Mにめり込んで被締結材Mに対する穿孔を行い、最も受圧体42側に位置する被締結材Mに対する穿孔を行った後に軸部Rsの先端部が変形してかしめられた状態となり、重ね合わされた被締結材MがリベットR…を介して締結されることになる(図1及び図2参照)。
【0064】
そして、ロボットアームが作動してリベッター1が被締結材Mに対する別の締結位置に移動し、上述の如くカセット部10から順々にリベットかしめ手段40(位置決ユニット43)に対してリベットR…が供給されることで、被締結材Mに対する締結作業が連続的に行われることになる。
【0065】
以上のように、本実施形態に係るリベッター1は、位置決ユニット43が一端側に押圧体41を進退させる押圧側開口Raを形成するとともに他端側にリベットR…が押し出される押出側開口Rbを形成するように、リベットR…が軸心方向で移動自在なリベット通過経路Rmが貫通して設けられたユニット本体45を備え、ユニット本体45は、前記リベット通過経路Rm内に臨出し、リベットRの軸部Rsを介在させた状態で頭部Rhを係止する一対の係止体440a,440bを備え、該一対の係止体440a,440bは、前記頭部Rhが押圧体41に押圧されたときに該頭部Rhに押圧されて互いに離間し、頭部Rhの通過を許容する一方、頭部Rhが通過した後に後続のリベットRの頭部Rhを係止可能な位置に復元するように構成されているので、リベットR…の通過に伴って激しく摩耗するゴム等の弾性材料を採用しなくても、リベットR…の位置決めやその移動を許容することができる。これにより、本実施形態に係るリベッター1(位置決ユニット43)は、リベットRが被締結材M側に押し出されるのを許容しても、長期に亘ってリベットRを適正な位置で繰り返し位置決めすることができる。
【0066】
そして前記一対の係止体440a,440bの各々は、金属製の棒材で構成され、リベット通過経路Rmの長手方向に延びる中心線に対して直交方向に延びるように配設されるとともに、互いの一端同士が間隔をあけて間接的に接続され、頭部Rhに押圧されたときに互いの他端側同士が離間するように構成したので、簡易な構成でありながら、リベットR…の頭部Rhを係止して該リベットR…を位置決めすることができる上に、押圧体41でリベットR…を押圧したときに、リベットR…の通過を許容することができるとともに、リベットR…が通過した後に一対の係止体440a,440bを元の位置に復元させることができ、順々に供給されるリベットR…に対する位置決めと移動の許容とを繰り返すことができる。
【0067】
また、リベットR…が押出側開口Rbから脱落するのを防止する脱落防止手段47をさらに備え、該脱落防止手段47がリベットR…の通過を許容するように構成されているので、一対の係止体440a,440b間を通過したリベットR…に押圧体41による押圧力が作用し続けてもそのリベットR…が不用意に押出側開口Rbから脱落するのを防止することができる。
【0068】
特に、前記脱落防止手段47は、前記ユニット本体45の他端側に設けられ、前記頭部Rhよりも小径で且つ軸部Rsと同径又は軸部Rsよりも大径に設定されたリベット通過穴Rtの穿設された弾性材料の成型体であり、前記リベット通過穴Rtが前記リベット通過経路Rmと同心になるように設けられているので、リベットR…の通過を許容しつつも、そのリベットR…の不用意な脱落を確実に防止することができる。
【0069】
そして、リベット通過経路Rmがユニット本体45の一端から他端にかけて開口(リベット供給口Ri)を形成した溝で構成したので、押圧側開口RaからリベットR…を供給する必要がなく、押圧部41を位置決ユニット43に接近させた配置にできる。これにより、リベッター1を小型化することができる。
【0070】
尚、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0071】
上記実施形態において、位置決ユニット43をリベッター1の一構成として説明したが、これに限定されるものではなく、位置決ユニット43を単独の部品として取り扱っても勿論よい。
【0072】
そして、上記実施形態において、ロボットアームに取り付けられるリベッター1について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、定置式のリベッター1であっても勿論よい。さらに言えば、リベッター1は、駆動を受けて作動するもの(自動のもの)に限定されるものではなく、例えば、押圧体41を往復動させる作動機構44(例えば、油圧シリンダー)を手動で駆動する、いわゆる、ハンドリベッターであっても勿論よい。すなわち、所定位置に供給されたリベットR…を押圧する押圧体41を備えるとともに、その押圧体41に押圧されるリベットR…を所定位置で位置決めし、その位置決めされたリベットR…を押圧体41が押圧したときにリベットR…の移動を許容した位置決ユニット43を備えたものであればよい。
【0073】
上記実施形態において、ユニット本体45のリベット通過経路Rmを溝で形成するようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、ユニット本体45を貫通した穴でリベット通過経路Rmを構成してもよい。この場合においても、一対の係止体440a,440bをリベット通過経路Rm内に臨出させるように設けることは勿論のことである。
【0074】
上記実施形態において、金属棒を略コの字状に曲げ加工することで、一端同士が接続部440cを介して接続された一対の係止体440a,440bを形成するようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、金属棒を略U字状に曲げ加工することで、一端同士が接続されて互いに対向する一対の係止体440a,440bを形成するようにしてもよい。また、金属棒をコの字状或いはU字状に曲げ加工したもの二つ用意し、それぞれの対向する部位の一方を係止体440a,440bとしてリベット通過経路Rm内に臨出させるように、リベット通過経路Rmを挟んでこれら二つを並列に設けるようにしてもよい。但し、リベット通過経路Rmに臨出する一対の係止体440a,440bは、リベット通過経路Rmの延びる方向と直交方向で互いに離間できる(離間方向に移動できる)ように設けることは勿論のことである。
【0075】
上記実施形態においては、一対の係止体440a,440bを金属棒で構成したが、これに限定されるものではなく、例えば、一対の係止体440a,440bのそれぞれを板材で構成しても勿論よい。すなわち、リベットR…の頭部Rhを係止できれば係止体440a,440bの形態は種々変更可能である。但し、一対の係止体440a,440bは、リベットR…の通過後に元の姿勢に復元する必要があるので、例えば、その係止体440a,440bの配置を復元させる手段として、係止体440a,440bを弾性変形可能な金属棒で連結したり、一対の係止体440a,440b同士をバネ材で連結したりして、離間した一対の係止体440a,440bがもとの配置に戻れるように構成すればよい。但し、上記実施形態のように、ユニット本体45の一側面にリベット供給口Riを形成する場合、リベットR…の供給を邪魔しない構成とすることは勿論のことである。
【0076】
そして、上記実施形態において、位置決ユニット43に脱落防止手段47を設けたが、これに限定されるものではなく、例えば、脱落防止手段47を設けることなく、一対の係止体440a,440b間を頭部Rhが通過するときに軸部Rsが押出側開口Rb(押出領域)から押し出されて被締結材Mにめり込むように構成してもよい。但し、このように脱落防止手段47を設けないと、リベットR…の押出タイミングを精度よく制御しなければ、リベットR…の脱落に繋がる可能性が高まるので、上記実施形態と同様に、脱落防止手段47を設けることが好ましい。また、脱落防止手段47を設ける場合、弾性材料の成型体で構成されたものに限定されるものではなく、例えば、供給されてきたリベットR…を位置決めする一対の係止体440a,440bと同様の構成を、ユニット本体45の他端側(押出側開口Rb側)にも設け、これを脱落防止手段47としても勿論よい。従って、脱落防止手段47は、フレーム本体460側に設けられるものに限定されるものではなく、ユニット本体45に対して他端側に設けるようにしても勿論よい。
【0077】
上記実施形態において、押圧体41で押圧することで、軸部Rsを被締結材Mにめり込ませてその端部かしめる自穿孔式のリベットRを一例に挙げたが、位置決ユニット43及びこれを備えたリベッター1は、この種のリベットRを対象にしたものに限定されるものではなく、例えば、被締結材Mに予めリベットRの軸部Rsを挿通させるための穴を穿設しておき、押圧体41による押圧で押し出されたリベットRの軸部Rsを被締結材Mの穴に挿入し、押圧体41と受圧体42との相対的な接近で、被締結材Mを貫通した軸部Rsの端部がかしめられるリベットRを対象としたものであっても勿論よい。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の一実施形態に係るリベッターの全体斜視図を示す。
【図2】同実施形態に係るリベッターの縦断面図を示す。
【図3】同実施形態に係るリベッターのカセット部、リベット切出手段、及びリベット送り手段を説明するための部分拡大図を示し。
【図4】同実施形態に係るリベット位置決ユニットの全体斜視図を示す。
【図5】同実施形態に係るリベット位置決ユニットの説明図であって、(a)は、フレーム本体に対してユニット本体を嵌着した状態の正面図を示し、(b)は、フレーム本体の断面を含むユニット本体の正面図を示す。
【図6】同実施形態に係るリベット位置決ユニットの説明図であって、(a)は、フレーム本体にユニット本体及び脱落防止手段を嵌着した状態の縦断面図を示し、(b)は、(a)のI−I断面図を示す。
【図7】同実施形態に係るリベット位置決ユニットの作動説明図であって、(a)は、リベットを押圧して一対の係止体が離間したときの横断面図を示し、(b)は、リベットを押圧して一対の係止体が離間したときの縦断面図を示し。(c)は、一対の係止体を通過したリベットが脱落防止手段を通過するときの縦断面図を示す。
【図8】従来のリベッター用のリベット位置決部材の説明図であって、(a)は、リベットが位置決めされた状態の縦断面図を示し、(b)は、位置決めされたリベットが押圧された状態の縦断面図を示し、(c)は、押圧されたリベットがリベット位置決部材(リベット通過経路)を通過する際の縦断面図を示す。
【符号の説明】
【0079】
1…リベッター、10…カセット部、11a,11b…案内体、20…リベット切出手段、21…往復動体、22…リベット収容空間、23…規制ブロック、30…リベット供給手段、31a,31b…ガイド、32…リベット送り手段、40…リベットかしめ手段、41…押圧体、42…受圧体、43…リベット位置決ユニット、44…作動機構、45…ユニット本体、46…ユニットフレーム、47…脱落防止手段、50…フレーム、50a…メインフレーム、50b…サブフレーム、50c…連結フレーム、440a,440b…係止体、440c…接続部、441a,441b…係止体収容部、441c…接続部収容部、442…エアー抜穴、460…フレーム本体、461…取付部、462…嵌着部、470…フランジ部、A…供給位置、B…供給位置、B…切出位置、Ga…リベット案内経路、Ha…頭部配置空間、M…被締結材、R…リベット、R…各リベット、Ra…押圧側開口、Rb…押出側開口、Rh…頭部、Ri…リベット供給口、Rm…リベット通過経路、Rs…軸部、Rt…リベット通過穴、Sa…軸部配置空間、T…供給経路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸部の一端に鍔状の頭部が形成されたリベットの前記頭部を軸部の軸心方向に押圧する押圧体を備えたリベッターに取り付けられた状態で、前記押圧体が前記頭部を押圧可能な所定位置で前記リベットを位置決めし、該リベットが前記押圧体に押圧されて被締結材側に押し出されるのを許容したリベッター用のリベット位置決ユニットであって、一端側に押圧体を進退させる押圧側開口を形成するとともに他端側にリベットが押し出される押出側開口を形成するように、リベットが軸心方向で移動自在なリベット通過経路が貫通して設けられたユニット本体を備え、ユニット本体は、前記リベット通過経路内に臨出し、リベットの軸部を介在させた状態で頭部を係止する一対の係止体を備え、該一対の係止体は、前記頭部が押圧体に押圧されたときに該頭部に押圧されて互いに離間し、頭部の通過を許容する一方、頭部が通過した後に頭部を係止可能な位置に復元するように構成されていることを特徴とするリベッター用のリベット位置決ユニット。
【請求項2】
前記一対の係止体の各々は、金属製の棒材で構成され、リベット通過経路の長手方向に延びる中心線に対して直交方向に延びるように配設されるとともに、互いの一端同士が間隔をあけて間接的に接続され、頭部が押圧されたときに互いの他端側同士が離間するように構成されている請求項1に記載のリベッター用のリベット位置決ユニット。
【請求項3】
リベットが押出側開口から脱落するのを防止する脱落防止手段をさらに備え、該脱落防止手段は、押圧体に押圧されて移動するリベットの通過を許容するように構成されている請求項1又は2に記載のリベッター用のリベット位置決ユニット。
【請求項4】
前記脱落防止手段は、前記頭部よりも小径で且つ軸部と同径又は軸部よりも大径に設定されたリベット通過穴の穿設された弾性材料の成型体であり、前記リベット通過穴が前記リベット通過経路と同心又は略同心になるように、前記ユニット本体の他端側に設けられている請求項3に記載のリベッター用のリベット位置決ユニット。
【請求項5】
前記リベット通過経路は、ユニット本体の一側面に一端から他端にかけて開口を形成した溝で構成されている請求項1乃至4の何れか1項に記載のリベッター用のリベット位置決ユニット。
【請求項6】
軸部の一端部に鍔状の頭部が形成されたリベットの前記頭部を軸部の軸心方向に押圧する押圧体と、該押圧体が前記頭部を押圧可能な所定位置でリベットを位置決めし、該リベットが前記押圧体に押圧されて被締結材側に押し出されるのを許容するリベット位置決ユニットとを備えたリベッターであって、前記リベット位置決ユニットは、請求項1乃至5の何れか1項に記載されたものであることを特徴とするリベッター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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