リム分割式ホイールのシールリング保護構造
【課題】 異物が外部からシールリング部位に侵入したりまたは幅部に噛み込むことを防止できるリム分割式ホイールのシールリング保護構造の提供。
【解決手段】 ホイール本体とサイドリングに形成されたシールリングキャップ装着用溝15と、シールリングキャップ装着用溝15に突入する爪部16bを有し該爪でホイール本体とサイドリングに取り外し可能に固定されシールリング14をホイール軸方向外側から覆うシールリングキャップ16と、を備えたリム分割式ホイールのシールリング保護構造10。
【解決手段】 ホイール本体とサイドリングに形成されたシールリングキャップ装着用溝15と、シールリングキャップ装着用溝15に突入する爪部16bを有し該爪でホイール本体とサイドリングに取り外し可能に固定されシールリング14をホイール軸方向外側から覆うシールリングキャップ16と、を備えたリム分割式ホイールのシールリング保護構造10。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リムとディスクとを含むホイール本体と、ホイール本体に対して着脱可能とされたサイドリングと、ホイール本体とサイドリングとの間に装着されたシールリング(たとえば、Oリング)を有するリム分割式ホイールの、シールリングに外部から異物が侵入することを防止する、シールリング保護構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のリム分割式ホイールは、特開2004−17727号公報に開示されているように、あるいは公報開示のものではないが図15に示すように、ホイール本体11と、ホイール本体11とは別体に構成されてホイール本体11に装着されるサイドリング12と、ホイール本体11とサイドリング12の何れか一方に設けられたシールリング装着溝13と、シールリング装着溝13に装着されるシールリング14と、タイヤエア圧がかかった時のサイドリング12のホイール本体11からの軸方向抜け外れを防止するためにホイール本体11とサイドリング12に周方向に間欠的に形成されたロックリブ部21、22と、を備えている。サイドリング12装着時には、サイドリング12のロックリブ部22をホイール本体11のロックリブ部21間の溝を通してロックリブ部21を通過させ、通過後サイドリング12を回転させてサイドリング12のロックリブ部22をホイール本体11のロックリブ部21に軸方向に係合させ、サイドリング12をホイール本体11から軸方向に抜けないようにする。
図15のリム分割式ホイールでは、サイドリング回り止めのために、サイドリング12のロックリブ部22とホイール本体11のロックリブ部21との係合面部位の近傍において、ボルト23をホイール本体内周側からホイール本体11に形成したねじ穴24にねじ込みホイール本体11を貫通させて半径方向外方に延ばし、サイドリング12に形成した(タップなし)穴25に係合させている。ねじ穴24のシールはボルト頭部とホイール本体内面との間にパッキン26を設けてそれによってシールする。
【特許文献1】特開2004−17727号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来の、または、図15のリム分割式ホイールでは、ホイール本体11とサイドリング12との間にホイール全周にわたって延びる狭い(3〜15mmの)幅部(半径方向の隙間)が存在するので、水や泥等の異物が外部からシールリング部位に侵入したり小石等の異物が外部から幅部に噛み込むおそれがあり、侵入したり噛み込んだ場合は、シールリングの保護とサイドリング固着上の問題が生じる。
【0004】
本発明の目的は、異物が外部からシールリング部位に侵入したりまたは幅部に噛み込むことを防止できるリム分割式ホイールのシールリング保護構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成する本発明は、つぎの通りである。
(1) ホイール本体と、
ホイール本体とは別体に構成されてホイール本体に装着されるサイドリングと、
ホイール本体とサイドリングの何れか少なくとも一方に形成されたシールリング装着溝に装着されてホイール本体とサイドリングとの間をシールするシールリングと、
ホイール本体とサイドリングに形成されたシールリングキャップ装着用溝と、
前記シールリングキャップ装着用溝に突入する爪部を有し該爪でホイール本体とサイドリングに取り外し可能に固定されシールリングをホイール軸方向外側から覆うシールリングキャップと、
を備えたリム分割式ホイールのシールリング保護構造。
(2) 前記シールリングキャップのホイール軸方向最外側の面と前記サイドリングのホイール軸方向最外側の面と前記ホイール本体のホイール軸方向最外側の面は、ほぼ、ホイール軸方向と直交する単一の面内にある(1)記載のリム分割式ホイールのシールリング保護構造。
(3) 前記シールリングキャップは金属部材、または樹脂部材、または金属部材と樹脂部材から構成され、前記キャップ本体部分は弾性を有する(1)または(2)記載のリム分割式ホイールのシールリング保護構造。
(4) 前記シールリングキャップはキャップ本体を有し、前記爪は該キャップ本体から外周側および/または内周側に突出しており、
前記爪はシーリングキャップの周方向に非連続であり、シーリングキャップの爪と爪との間の部分が切り欠かれていて該切り欠かれた部分が水抜き部を形成している(1)または(2)または(3)記載のリム分割式ホイールのシールリング保護構造。
(5) 前記シールリングキャップはキャップ本体を有し、前記爪は該キャップ本体から外周側および/または内周側に突出しており、
前記爪はシーリングキャップの周方向に連続しており、シーリングキャップに周方向に間欠的に穴があけられていて該穴が水抜き部を形成している(1)または(2)または(3)記載のリム分割式ホイールのシールリング保護構造。
(6) 前記シールリングキャップはキャップ本体を有し、前記爪は該キャップ本体から外周側および/または内周側に、かつ、ホイール軸方向外側に傾斜して、突出している(1)または(2)または(3)または(4)または(5)記載のリム分割式ホイールのシールリング保護構造。
【発明の効果】
【0006】
上記(1)のリム分割式ホイールのシールリング保護構造によれば、シールリングをホイール軸方向外側から覆うシールリングキャップを設けたので、異物が外部からシールリング部位に侵入したりまたは幅部に噛み込むことを防止でき、シールリングを外部から保護することができる。
上記(2)のリム分割式ホイールのシールリング保護構造によれば、シールリングキャップのホイール軸方向最外側の面とサイドリングのホイール軸方向最外側の面とホイール本体のホイール軸方向最外側の面が、ほぼ、ホイール軸方向と直交する単一の面内にあるので、異物が幅部に噛み込もうとしてもシールリングキャップのホイール軸方向最外側の面と干渉して幅部に噛み込むことができず、異物が幅部に噛み込むことを確実に防止することができる。
上記(3)のリム分割式ホイールのシールリング保護構造によれば、キャップ本体部分は弾性を有するので、キャップ本体部分を弾性変形させて爪部を溝に突入させることができる。
上記(4)のリム分割式ホイールのシールリング保護構造によれば、水抜き部が形成されているので、シールリングキャップよりホイール軸方向内側に水が侵入しても水抜き部を通して水をシールリングキャップよりホイール軸方向外側に排出することができ、シールリングの耐久性、シールリング溝の耐食性を向上させることができる。
上記(5)のリム分割式ホイールのシールリング保護構造によれば、水抜き部が形成されているので、シールリングキャップよりホイール軸方向内側に水が侵入しても水抜き部を通して水をシールリングキャップよりホイール軸方向外側に排出することができ、シールリングの耐久性、シールリング溝の耐食性を向上させることができる。
上記(6)のリム分割式ホイールのシールリング保護構造によれば、爪が該キャップ本体から外周側および/または内周側に、かつ、ホイール軸方向外側に傾斜して、突出しているので、シールリングキャップの溝への装着性が容易となり、いったん装着した後は外れにくいという利点を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明のリム分割式ホイールのシールリング保護構造を図1〜図14を参照して説明する。
本発明のリム分割式ホイールのシールリング保護構造10は、
ホイール本体11と、
ホイール本体11とは別体に構成されてホイール本体11に装着されるサイドリング12と、
ホイール本体11とサイドリング12の何れか少なくとも一方(図示例ではホイール本体11)に形成されたシールリング装着溝13に装着されてホイール本体11とサイドリング12との間をシールするシールリング14と、
ホイール本体11とサイドリング12に形成されたシールリングキャップ装着用溝15と、
キャップ本体16aとシールリングキャップ装着用溝15に突入する爪部16bを有し該爪16bでホイール本体11とサイドリング12に取り外し可能に固定されシールリング14をホイール軸方向外側(ホイール軸方向中央部と反対側)から覆うシールリングキャップ16と、
を備えている。
【0008】
ホイール本体11とサイドリング12には、タイヤエア圧がかかった時のサイドリング12のホイール本体11からの軸方向抜け外れを防止するために、ホイール本体11とサイドリング12に周方向に間欠的に形成されたロックリブ部21、22を備えている。サイドリング12装着時には、サイドリング12のロックリブ部22をホイール本体11のロックリブ部21間の溝を通してロックリブ部21を通過させ、通過後サイドリング12を回転させてサイドリング12のロックリブ部22をホイール本体11のロックリブ部21に軸方向に係合させ、サイドリング12をホイール本体11から軸方向に抜けないようにする。
サイドリング12にはリムフランジとリムビードシートが形成されており、タイヤはサイドリング12に装着される。
【0009】
シールリング14は図示例ではOリングの場合を示してあるが、シールリング14はOリングに限るものではなく、断面X、U,Dリングであってもよいし、シール用リップをもつシールリングであってもよい。シールリング14は通常ゴム製であり、タイヤ内圧をシールする。
【0010】
図1において、シールリングキャップ装着用溝15が形成される部位での、ホイール本体11とサイドリング12の間のホイール半径方向の幅Wは、狭い(3〜15mmの)幅部(半径方向の隙間)Wを形成しており、この狭い幅部Wにシールリングキャップ16が装着される。
シールリングキャップ16はシールリング装着部位よりホイール軸方向外側(ホイール幅方向中央部から離れる側)に装着される。
【0011】
シールリングキャップ16は、金属部材(図2、図4、図5に示すような単一の金属部材であってもよいし、図3に示すような金属部材と金属部材の結合構造であってもよい)、または樹脂部材(図7、図8、図9に示すような単一の樹脂部材であってもよいし、複数の樹脂部材の結合構造であってもよい)、または金属部材と樹脂部材(図10、図11、図12に示すような金属部材と樹脂部材の接合構造、この場合外面側が金属部材であることが樹脂部材の傷つき防止上望ましい)から構成される。爪16bをシールリングキャップ装着用溝15に突入させるときにキャップ本体16aを弾性変形させ幅サイズを縮小させるために、キャップ本体部分16aは弾性を有する。
【0012】
シーリングキャップ16が採りうる種々の構造が図2〜図13に示してある。
図2はシーリングキャップ16が金属製一体構造からなる場合を示す。シーリングキャップ16のうちキャップ本体16aから爪16bに向かって延びる部分が傾斜しており、傾斜の方向はリム中央にいくにしたがって上下の間隔が広がる方向である。爪16bは断面山形に湾曲しており、その山形の頂部がシールリングキャップ装着用溝15に突入している。
図3はシーリングキャップ16が金属製分割構造からなる場合を示す。金属製部材16dと金属製部材16eは溶接、接着剤などで接合されている。シーリングキャップ16のうちキャップ本体16aから爪16bに向かって延びる部分が傾斜しており、傾斜の方向はリム中央にいくにしたがって上下の間隔が広がる方向である。爪16bは断面山形に湾曲しており、その山形の頂部がシールリングキャップ装着用溝15に突入している。
図4はシーリングキャップ16が金属製一体構造からなる場合を示す。シーリングキャップ16のうちキャップ本体16aから爪16bに向かって延びる部分が傾斜しており、傾斜の方向はリム中央にいくにしたがって上下の間隔が広がる方向である。爪16bは断面が上下方向に延びて先端で終わる形状をしており、爪16bの上下方向に延びる部分の先端部がシールリングキャップ装着用溝15に突入している。
図5はシーリングキャップ16が金属製一体構造からなる場合を示す。シーリングキャップ16のうちキャップ本体16aから爪16bに向かって延びる部分がリム軸芯に平行な方向に延びている。爪16bは断面が上下方向に延びて先端で終わる形状をしており、爪16bの上下方向に延びる部分の先端部がシールリングキャップ装着用溝15に突入している。
【0013】
図7はシーリングキャップ16が樹脂製(ゴム製であってもよい)一体構造からなる場合を示す。シーリングキャップ16のうちキャップ本体16aから爪16bに向かって延びる部分がリム軸芯に平行な方向に延びている。爪16bは断面が上下方向に延びて先端で終わる形状をしており、爪16bの上下方向に延びる部分の先端部がシールリングキャップ装着用溝15に突入している。外周側の爪16bには周方向に間欠的に切欠き16c(水抜き部17となる)が設けられている。
図8はシーリングキャップ16が樹脂製(ゴム製であってもよい)一体構造からなる場合を示す。シーリングキャップ16のうちキャップ本体16aから爪16bに向かって延びる部分がリム軸芯に平行な方向に延びている。爪16bは断面が上下方向に延びて先端で終わる形状をしており、爪16bの上下方向に延びる部分の先端部がシールリングキャップ装着用溝15に突入している。外周側の爪16bと内周側の爪16bには周方向に間欠的に切欠き16c(水抜き部17となる)が設けられている。
図9はシーリングキャップ16が樹脂製(ゴム製であってもよい)一体構造からなる場合を示す。シーリングキャップ16のうちキャップ本体16aから爪16bに向かって延びる部分がリム軸芯に平行な方向に延びている。爪16bは断面が上下方向に延びて先端で終わる形状をしており、爪16bの上下方向に延びる部分の先端部がシールリングキャップ装着用溝15に突入している。外周側の爪16bと内周側の爪16bの爪の少なくとも一方とそれに続くリム軸芯に平行な方向に延びる部分には周方向に間欠的に切欠き16c(水抜き部17となる)が設けられている。
【0014】
図10はシーリングキャップ16が樹脂製(ゴム製であってもよい)部分16dとそれにホイール軸方向外側から接合(たとえば、接着剤により接合)された金属製部分16fとからなる場合を示す。シーリングキャップ16のうちキャップ本体16aから爪16bに向かって延びる部分がリム軸芯に平行な方向に延びている。爪16bは断面が上下方向に延びて先端で終わる形状をしており、爪16bの上下方向に延びる部分の先端部がシールリングキャップ装着用溝15に突入している。外周側の爪16b(の樹脂・ゴム製部分と金属製部分の両方)には、周方向に間欠的に切欠き16c(水抜き部17となる)が設けられている。
図11はシーリングキャップ16が樹脂製(ゴム製であってもよい)部分16dとそれにホイール軸方向外側から接合(たとえば、はめ込みにより結合)された金属製部分16fとからなる場合を示す。シーリングキャップ16のうちキャップ本体16aから爪16bに向かって延びる部分がリム軸芯に平行な方向に延びている。爪16bは断面が上下方向に延びて先端で終わる形状をしており、爪16bの上下方向に延びる部分の先端部がシールリングキャップ装着用溝15に突入している。外周側の爪16b(の樹脂・ゴム製部分)には周方向に間欠的に切欠き16c(水抜き部17となる)が設けられている。
図12はシーリングキャップ16が樹脂製(ゴム製であってもよい)部分16fとそれにホイール軸方向外側から接合(たとえば、差し込みにより結合)された金属製部分16dとからなる場合を示す。シーリングキャップ16のうちキャップ本体16aから爪16bに向かって延びる部分がリム軸芯に平行な方向に延びている。爪16bは断面が上下方向に延びて先端で終わる形状をしており、爪16bの上下方向に延びる部分の先端部がシールリングキャップ装着用溝15に突入している。外周側の爪16b(の樹脂・ゴム製部分)には周方向に間欠的に切欠き16c(水抜き部17となる)が設けられている。
【0015】
シールリングキャップ16のキャップ本体16aは、コ字状断面、またはコ字の両脚間の間隔が脚の先端に近づくにつれて開く断面を有している。
シールリングキャップ16の(キャップ本体16aの)ホイール軸方向最外側の面と、サイドリング12のシールリングキャップ16装着部分のホイール軸方向最外側の面と、ホイール本体11のシールリングキャップ16装着部分のホイール軸方向最外側の面は、ほぼ、ホイール軸方向と直交する単一の(同じ)面内にあり、異物がホイール本体11とサイドリング12の間の狭い幅部W(ホイール半径方向隙間)に噛み込まないようにしてある。
【0016】
図6に示すように、シールリングキャップ16はキャップ本体16aを有し、爪16bはキャップ本体16aから外周側および/または内周側に突出している。
図6に示すように、爪16bがシーリングキャップ16の周方向に非連続である場合は、シーリングキャップ16の爪16bと爪16bとの間の部分(シーリングキャップ16の周方向に爪16bと爪16bとの間にある部分)は切り欠かれていて、該切り欠かれた部分16cが水抜き部17を形成している。
図14に示すように、爪16bがシーリングキャップ16の周方向に連続している場合は、シーリングキャップ16に周方向に間欠的に穴16g(円形穴でもよいし、円形穴以外の穴、たとえば楕円形穴や矩形穴でもよい)があけられて、この穴16gが水抜き部17を形成するようにしてもよい。
【0017】
図13に示すように、シールリングキャップ16がキャップ本体16aを有し、爪16bが該キャップ本体16aからホイール外周側および/または内周側に、かつ、ホイール軸方向外側に傾斜して、突出していてもよい。傾斜爪16bはシールリングキャップ16を溝15に向かって挿入していく時には倒れて挿入を容易かつ円滑にするが、傾斜爪16bが溝15に到達すると溝15内で弾性で開拡し、溝15の側面に当接して抜け方向にシールリングキャップ16が移動するのを阻止しシールリングキャップ16の抜けを防止する。
【0018】
つぎに、本発明のリム分割式ホイールのシールリング保護構造の作用・効果を説明する。
本発明のリム分割式ホイールのシールリング保護構造10では、シールリング14をホイール軸方向外側から覆うシールリングキャップ16を設けたので、小石、砂利、ダスト等の異物が外部からシールリング14部位に侵入したりまたは幅部Wに噛み込むことを防止することができ、シールリング14を外部から保護することができる。
【0019】
本発明のリム分割式ホイールのシールリング保護構造10では、シールリングキャップ16のホイール軸方向最外側の面とサイドリング12のホイール軸方向最外側の面とホイール本体11のホイール軸方向最外側の面が、ほぼ、ホイール軸方向と直交する単一の面内にあるので、異物が幅部Wに噛み込もうとしてもシールリングキャップ16のホイール軸方向最外側の面と干渉して幅部Wに噛み込むことができず、異物が幅部Wに噛み込むことを確実に防止することができる。
【0020】
キャップ本体16aは弾性を有するので、キャップ本体16aを弾性変形させて爪部16bを溝15に突入させることができる。
また、シールリングキャップ16には水抜き部17が形成されているので、シールリングキャップ16よりもホイール軸方向内側に水が侵入しても水抜き部17を通して水をシールリングキャップよりもホイール軸方向外側に排出することができ、シールリング14の耐久性、シールリング溝13の耐食性を向上させることができる。
また、爪16bがキャップ本体16aから外周側および/または内周側に、かつ、ホイール軸方向外側に傾斜して、突出している場合は、シールリングキャップ16のシールリングキャップ装着用溝15への装着性が容易となり、いったんシールリングキャップ16をシールリングキャップ装着用溝15に装着した後は外れにくいという利点を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明のリム分割式ホイールのシールリング保護構造の断面図である。
【図2】図1の構造のうちシールリングキャップの、第1の構造例の、断面図である。
【図3】図1の構造のうちシールリングキャップの、第2の構造例の、断面図である。
【図4】図1の構造のうちシールリングキャップの、第3の構造例の、断面図である。
【図5】図1の構造のうちシールリングキャップの、第4の構造例の、断面図である。
【図6】図1の構造のうちシールリングキャップの、第5の構造例の、一部の正面図である。
【図7】図1の構造のうちシールリングキャップの、第6の構造例の、断面図である。
【図8】図1の構造のうちシールリングキャップの、第7の構造例の、断面図である。
【図9】図1の構造のうちシールリングキャップの、第8の構造例の、断面図である。
【図10】図1の構造のうちシールリングキャップの、第9の構造例の、断面図である。
【図11】図1の構造のうちシールリングキャップの、第10の構造例の、断面図である。
【図12】図1の構造のうちシールリングキャップの、第11の構造例の、断面図である。
【図13】図1の構造のうちシールリングキャップの、第12の構造例の、断面図である。
【図14】図1の構造のうちシールリングキャップの、第13の構造例の、一部の正面図である。
【図15】従来のリム分割式ホイールのシール構造の断面図である。
【符号の説明】
【0022】
10 リム分割式ホイールのサイドリング回り止め構造
11 ホイール本体
12 サイドリング
13 シールリング装着溝
14 シールリング
15 シールリングキャップ装着用溝
16 シールリングキャップ
16a キャップ本体
16b 爪
16c 切欠き
16d 樹脂製部材
16e、16f 金属製部分
16g 穴
17 水抜き部
21、22 ロックリブ部
【技術分野】
【0001】
本発明は、リムとディスクとを含むホイール本体と、ホイール本体に対して着脱可能とされたサイドリングと、ホイール本体とサイドリングとの間に装着されたシールリング(たとえば、Oリング)を有するリム分割式ホイールの、シールリングに外部から異物が侵入することを防止する、シールリング保護構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のリム分割式ホイールは、特開2004−17727号公報に開示されているように、あるいは公報開示のものではないが図15に示すように、ホイール本体11と、ホイール本体11とは別体に構成されてホイール本体11に装着されるサイドリング12と、ホイール本体11とサイドリング12の何れか一方に設けられたシールリング装着溝13と、シールリング装着溝13に装着されるシールリング14と、タイヤエア圧がかかった時のサイドリング12のホイール本体11からの軸方向抜け外れを防止するためにホイール本体11とサイドリング12に周方向に間欠的に形成されたロックリブ部21、22と、を備えている。サイドリング12装着時には、サイドリング12のロックリブ部22をホイール本体11のロックリブ部21間の溝を通してロックリブ部21を通過させ、通過後サイドリング12を回転させてサイドリング12のロックリブ部22をホイール本体11のロックリブ部21に軸方向に係合させ、サイドリング12をホイール本体11から軸方向に抜けないようにする。
図15のリム分割式ホイールでは、サイドリング回り止めのために、サイドリング12のロックリブ部22とホイール本体11のロックリブ部21との係合面部位の近傍において、ボルト23をホイール本体内周側からホイール本体11に形成したねじ穴24にねじ込みホイール本体11を貫通させて半径方向外方に延ばし、サイドリング12に形成した(タップなし)穴25に係合させている。ねじ穴24のシールはボルト頭部とホイール本体内面との間にパッキン26を設けてそれによってシールする。
【特許文献1】特開2004−17727号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来の、または、図15のリム分割式ホイールでは、ホイール本体11とサイドリング12との間にホイール全周にわたって延びる狭い(3〜15mmの)幅部(半径方向の隙間)が存在するので、水や泥等の異物が外部からシールリング部位に侵入したり小石等の異物が外部から幅部に噛み込むおそれがあり、侵入したり噛み込んだ場合は、シールリングの保護とサイドリング固着上の問題が生じる。
【0004】
本発明の目的は、異物が外部からシールリング部位に侵入したりまたは幅部に噛み込むことを防止できるリム分割式ホイールのシールリング保護構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成する本発明は、つぎの通りである。
(1) ホイール本体と、
ホイール本体とは別体に構成されてホイール本体に装着されるサイドリングと、
ホイール本体とサイドリングの何れか少なくとも一方に形成されたシールリング装着溝に装着されてホイール本体とサイドリングとの間をシールするシールリングと、
ホイール本体とサイドリングに形成されたシールリングキャップ装着用溝と、
前記シールリングキャップ装着用溝に突入する爪部を有し該爪でホイール本体とサイドリングに取り外し可能に固定されシールリングをホイール軸方向外側から覆うシールリングキャップと、
を備えたリム分割式ホイールのシールリング保護構造。
(2) 前記シールリングキャップのホイール軸方向最外側の面と前記サイドリングのホイール軸方向最外側の面と前記ホイール本体のホイール軸方向最外側の面は、ほぼ、ホイール軸方向と直交する単一の面内にある(1)記載のリム分割式ホイールのシールリング保護構造。
(3) 前記シールリングキャップは金属部材、または樹脂部材、または金属部材と樹脂部材から構成され、前記キャップ本体部分は弾性を有する(1)または(2)記載のリム分割式ホイールのシールリング保護構造。
(4) 前記シールリングキャップはキャップ本体を有し、前記爪は該キャップ本体から外周側および/または内周側に突出しており、
前記爪はシーリングキャップの周方向に非連続であり、シーリングキャップの爪と爪との間の部分が切り欠かれていて該切り欠かれた部分が水抜き部を形成している(1)または(2)または(3)記載のリム分割式ホイールのシールリング保護構造。
(5) 前記シールリングキャップはキャップ本体を有し、前記爪は該キャップ本体から外周側および/または内周側に突出しており、
前記爪はシーリングキャップの周方向に連続しており、シーリングキャップに周方向に間欠的に穴があけられていて該穴が水抜き部を形成している(1)または(2)または(3)記載のリム分割式ホイールのシールリング保護構造。
(6) 前記シールリングキャップはキャップ本体を有し、前記爪は該キャップ本体から外周側および/または内周側に、かつ、ホイール軸方向外側に傾斜して、突出している(1)または(2)または(3)または(4)または(5)記載のリム分割式ホイールのシールリング保護構造。
【発明の効果】
【0006】
上記(1)のリム分割式ホイールのシールリング保護構造によれば、シールリングをホイール軸方向外側から覆うシールリングキャップを設けたので、異物が外部からシールリング部位に侵入したりまたは幅部に噛み込むことを防止でき、シールリングを外部から保護することができる。
上記(2)のリム分割式ホイールのシールリング保護構造によれば、シールリングキャップのホイール軸方向最外側の面とサイドリングのホイール軸方向最外側の面とホイール本体のホイール軸方向最外側の面が、ほぼ、ホイール軸方向と直交する単一の面内にあるので、異物が幅部に噛み込もうとしてもシールリングキャップのホイール軸方向最外側の面と干渉して幅部に噛み込むことができず、異物が幅部に噛み込むことを確実に防止することができる。
上記(3)のリム分割式ホイールのシールリング保護構造によれば、キャップ本体部分は弾性を有するので、キャップ本体部分を弾性変形させて爪部を溝に突入させることができる。
上記(4)のリム分割式ホイールのシールリング保護構造によれば、水抜き部が形成されているので、シールリングキャップよりホイール軸方向内側に水が侵入しても水抜き部を通して水をシールリングキャップよりホイール軸方向外側に排出することができ、シールリングの耐久性、シールリング溝の耐食性を向上させることができる。
上記(5)のリム分割式ホイールのシールリング保護構造によれば、水抜き部が形成されているので、シールリングキャップよりホイール軸方向内側に水が侵入しても水抜き部を通して水をシールリングキャップよりホイール軸方向外側に排出することができ、シールリングの耐久性、シールリング溝の耐食性を向上させることができる。
上記(6)のリム分割式ホイールのシールリング保護構造によれば、爪が該キャップ本体から外周側および/または内周側に、かつ、ホイール軸方向外側に傾斜して、突出しているので、シールリングキャップの溝への装着性が容易となり、いったん装着した後は外れにくいという利点を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明のリム分割式ホイールのシールリング保護構造を図1〜図14を参照して説明する。
本発明のリム分割式ホイールのシールリング保護構造10は、
ホイール本体11と、
ホイール本体11とは別体に構成されてホイール本体11に装着されるサイドリング12と、
ホイール本体11とサイドリング12の何れか少なくとも一方(図示例ではホイール本体11)に形成されたシールリング装着溝13に装着されてホイール本体11とサイドリング12との間をシールするシールリング14と、
ホイール本体11とサイドリング12に形成されたシールリングキャップ装着用溝15と、
キャップ本体16aとシールリングキャップ装着用溝15に突入する爪部16bを有し該爪16bでホイール本体11とサイドリング12に取り外し可能に固定されシールリング14をホイール軸方向外側(ホイール軸方向中央部と反対側)から覆うシールリングキャップ16と、
を備えている。
【0008】
ホイール本体11とサイドリング12には、タイヤエア圧がかかった時のサイドリング12のホイール本体11からの軸方向抜け外れを防止するために、ホイール本体11とサイドリング12に周方向に間欠的に形成されたロックリブ部21、22を備えている。サイドリング12装着時には、サイドリング12のロックリブ部22をホイール本体11のロックリブ部21間の溝を通してロックリブ部21を通過させ、通過後サイドリング12を回転させてサイドリング12のロックリブ部22をホイール本体11のロックリブ部21に軸方向に係合させ、サイドリング12をホイール本体11から軸方向に抜けないようにする。
サイドリング12にはリムフランジとリムビードシートが形成されており、タイヤはサイドリング12に装着される。
【0009】
シールリング14は図示例ではOリングの場合を示してあるが、シールリング14はOリングに限るものではなく、断面X、U,Dリングであってもよいし、シール用リップをもつシールリングであってもよい。シールリング14は通常ゴム製であり、タイヤ内圧をシールする。
【0010】
図1において、シールリングキャップ装着用溝15が形成される部位での、ホイール本体11とサイドリング12の間のホイール半径方向の幅Wは、狭い(3〜15mmの)幅部(半径方向の隙間)Wを形成しており、この狭い幅部Wにシールリングキャップ16が装着される。
シールリングキャップ16はシールリング装着部位よりホイール軸方向外側(ホイール幅方向中央部から離れる側)に装着される。
【0011】
シールリングキャップ16は、金属部材(図2、図4、図5に示すような単一の金属部材であってもよいし、図3に示すような金属部材と金属部材の結合構造であってもよい)、または樹脂部材(図7、図8、図9に示すような単一の樹脂部材であってもよいし、複数の樹脂部材の結合構造であってもよい)、または金属部材と樹脂部材(図10、図11、図12に示すような金属部材と樹脂部材の接合構造、この場合外面側が金属部材であることが樹脂部材の傷つき防止上望ましい)から構成される。爪16bをシールリングキャップ装着用溝15に突入させるときにキャップ本体16aを弾性変形させ幅サイズを縮小させるために、キャップ本体部分16aは弾性を有する。
【0012】
シーリングキャップ16が採りうる種々の構造が図2〜図13に示してある。
図2はシーリングキャップ16が金属製一体構造からなる場合を示す。シーリングキャップ16のうちキャップ本体16aから爪16bに向かって延びる部分が傾斜しており、傾斜の方向はリム中央にいくにしたがって上下の間隔が広がる方向である。爪16bは断面山形に湾曲しており、その山形の頂部がシールリングキャップ装着用溝15に突入している。
図3はシーリングキャップ16が金属製分割構造からなる場合を示す。金属製部材16dと金属製部材16eは溶接、接着剤などで接合されている。シーリングキャップ16のうちキャップ本体16aから爪16bに向かって延びる部分が傾斜しており、傾斜の方向はリム中央にいくにしたがって上下の間隔が広がる方向である。爪16bは断面山形に湾曲しており、その山形の頂部がシールリングキャップ装着用溝15に突入している。
図4はシーリングキャップ16が金属製一体構造からなる場合を示す。シーリングキャップ16のうちキャップ本体16aから爪16bに向かって延びる部分が傾斜しており、傾斜の方向はリム中央にいくにしたがって上下の間隔が広がる方向である。爪16bは断面が上下方向に延びて先端で終わる形状をしており、爪16bの上下方向に延びる部分の先端部がシールリングキャップ装着用溝15に突入している。
図5はシーリングキャップ16が金属製一体構造からなる場合を示す。シーリングキャップ16のうちキャップ本体16aから爪16bに向かって延びる部分がリム軸芯に平行な方向に延びている。爪16bは断面が上下方向に延びて先端で終わる形状をしており、爪16bの上下方向に延びる部分の先端部がシールリングキャップ装着用溝15に突入している。
【0013】
図7はシーリングキャップ16が樹脂製(ゴム製であってもよい)一体構造からなる場合を示す。シーリングキャップ16のうちキャップ本体16aから爪16bに向かって延びる部分がリム軸芯に平行な方向に延びている。爪16bは断面が上下方向に延びて先端で終わる形状をしており、爪16bの上下方向に延びる部分の先端部がシールリングキャップ装着用溝15に突入している。外周側の爪16bには周方向に間欠的に切欠き16c(水抜き部17となる)が設けられている。
図8はシーリングキャップ16が樹脂製(ゴム製であってもよい)一体構造からなる場合を示す。シーリングキャップ16のうちキャップ本体16aから爪16bに向かって延びる部分がリム軸芯に平行な方向に延びている。爪16bは断面が上下方向に延びて先端で終わる形状をしており、爪16bの上下方向に延びる部分の先端部がシールリングキャップ装着用溝15に突入している。外周側の爪16bと内周側の爪16bには周方向に間欠的に切欠き16c(水抜き部17となる)が設けられている。
図9はシーリングキャップ16が樹脂製(ゴム製であってもよい)一体構造からなる場合を示す。シーリングキャップ16のうちキャップ本体16aから爪16bに向かって延びる部分がリム軸芯に平行な方向に延びている。爪16bは断面が上下方向に延びて先端で終わる形状をしており、爪16bの上下方向に延びる部分の先端部がシールリングキャップ装着用溝15に突入している。外周側の爪16bと内周側の爪16bの爪の少なくとも一方とそれに続くリム軸芯に平行な方向に延びる部分には周方向に間欠的に切欠き16c(水抜き部17となる)が設けられている。
【0014】
図10はシーリングキャップ16が樹脂製(ゴム製であってもよい)部分16dとそれにホイール軸方向外側から接合(たとえば、接着剤により接合)された金属製部分16fとからなる場合を示す。シーリングキャップ16のうちキャップ本体16aから爪16bに向かって延びる部分がリム軸芯に平行な方向に延びている。爪16bは断面が上下方向に延びて先端で終わる形状をしており、爪16bの上下方向に延びる部分の先端部がシールリングキャップ装着用溝15に突入している。外周側の爪16b(の樹脂・ゴム製部分と金属製部分の両方)には、周方向に間欠的に切欠き16c(水抜き部17となる)が設けられている。
図11はシーリングキャップ16が樹脂製(ゴム製であってもよい)部分16dとそれにホイール軸方向外側から接合(たとえば、はめ込みにより結合)された金属製部分16fとからなる場合を示す。シーリングキャップ16のうちキャップ本体16aから爪16bに向かって延びる部分がリム軸芯に平行な方向に延びている。爪16bは断面が上下方向に延びて先端で終わる形状をしており、爪16bの上下方向に延びる部分の先端部がシールリングキャップ装着用溝15に突入している。外周側の爪16b(の樹脂・ゴム製部分)には周方向に間欠的に切欠き16c(水抜き部17となる)が設けられている。
図12はシーリングキャップ16が樹脂製(ゴム製であってもよい)部分16fとそれにホイール軸方向外側から接合(たとえば、差し込みにより結合)された金属製部分16dとからなる場合を示す。シーリングキャップ16のうちキャップ本体16aから爪16bに向かって延びる部分がリム軸芯に平行な方向に延びている。爪16bは断面が上下方向に延びて先端で終わる形状をしており、爪16bの上下方向に延びる部分の先端部がシールリングキャップ装着用溝15に突入している。外周側の爪16b(の樹脂・ゴム製部分)には周方向に間欠的に切欠き16c(水抜き部17となる)が設けられている。
【0015】
シールリングキャップ16のキャップ本体16aは、コ字状断面、またはコ字の両脚間の間隔が脚の先端に近づくにつれて開く断面を有している。
シールリングキャップ16の(キャップ本体16aの)ホイール軸方向最外側の面と、サイドリング12のシールリングキャップ16装着部分のホイール軸方向最外側の面と、ホイール本体11のシールリングキャップ16装着部分のホイール軸方向最外側の面は、ほぼ、ホイール軸方向と直交する単一の(同じ)面内にあり、異物がホイール本体11とサイドリング12の間の狭い幅部W(ホイール半径方向隙間)に噛み込まないようにしてある。
【0016】
図6に示すように、シールリングキャップ16はキャップ本体16aを有し、爪16bはキャップ本体16aから外周側および/または内周側に突出している。
図6に示すように、爪16bがシーリングキャップ16の周方向に非連続である場合は、シーリングキャップ16の爪16bと爪16bとの間の部分(シーリングキャップ16の周方向に爪16bと爪16bとの間にある部分)は切り欠かれていて、該切り欠かれた部分16cが水抜き部17を形成している。
図14に示すように、爪16bがシーリングキャップ16の周方向に連続している場合は、シーリングキャップ16に周方向に間欠的に穴16g(円形穴でもよいし、円形穴以外の穴、たとえば楕円形穴や矩形穴でもよい)があけられて、この穴16gが水抜き部17を形成するようにしてもよい。
【0017】
図13に示すように、シールリングキャップ16がキャップ本体16aを有し、爪16bが該キャップ本体16aからホイール外周側および/または内周側に、かつ、ホイール軸方向外側に傾斜して、突出していてもよい。傾斜爪16bはシールリングキャップ16を溝15に向かって挿入していく時には倒れて挿入を容易かつ円滑にするが、傾斜爪16bが溝15に到達すると溝15内で弾性で開拡し、溝15の側面に当接して抜け方向にシールリングキャップ16が移動するのを阻止しシールリングキャップ16の抜けを防止する。
【0018】
つぎに、本発明のリム分割式ホイールのシールリング保護構造の作用・効果を説明する。
本発明のリム分割式ホイールのシールリング保護構造10では、シールリング14をホイール軸方向外側から覆うシールリングキャップ16を設けたので、小石、砂利、ダスト等の異物が外部からシールリング14部位に侵入したりまたは幅部Wに噛み込むことを防止することができ、シールリング14を外部から保護することができる。
【0019】
本発明のリム分割式ホイールのシールリング保護構造10では、シールリングキャップ16のホイール軸方向最外側の面とサイドリング12のホイール軸方向最外側の面とホイール本体11のホイール軸方向最外側の面が、ほぼ、ホイール軸方向と直交する単一の面内にあるので、異物が幅部Wに噛み込もうとしてもシールリングキャップ16のホイール軸方向最外側の面と干渉して幅部Wに噛み込むことができず、異物が幅部Wに噛み込むことを確実に防止することができる。
【0020】
キャップ本体16aは弾性を有するので、キャップ本体16aを弾性変形させて爪部16bを溝15に突入させることができる。
また、シールリングキャップ16には水抜き部17が形成されているので、シールリングキャップ16よりもホイール軸方向内側に水が侵入しても水抜き部17を通して水をシールリングキャップよりもホイール軸方向外側に排出することができ、シールリング14の耐久性、シールリング溝13の耐食性を向上させることができる。
また、爪16bがキャップ本体16aから外周側および/または内周側に、かつ、ホイール軸方向外側に傾斜して、突出している場合は、シールリングキャップ16のシールリングキャップ装着用溝15への装着性が容易となり、いったんシールリングキャップ16をシールリングキャップ装着用溝15に装着した後は外れにくいという利点を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明のリム分割式ホイールのシールリング保護構造の断面図である。
【図2】図1の構造のうちシールリングキャップの、第1の構造例の、断面図である。
【図3】図1の構造のうちシールリングキャップの、第2の構造例の、断面図である。
【図4】図1の構造のうちシールリングキャップの、第3の構造例の、断面図である。
【図5】図1の構造のうちシールリングキャップの、第4の構造例の、断面図である。
【図6】図1の構造のうちシールリングキャップの、第5の構造例の、一部の正面図である。
【図7】図1の構造のうちシールリングキャップの、第6の構造例の、断面図である。
【図8】図1の構造のうちシールリングキャップの、第7の構造例の、断面図である。
【図9】図1の構造のうちシールリングキャップの、第8の構造例の、断面図である。
【図10】図1の構造のうちシールリングキャップの、第9の構造例の、断面図である。
【図11】図1の構造のうちシールリングキャップの、第10の構造例の、断面図である。
【図12】図1の構造のうちシールリングキャップの、第11の構造例の、断面図である。
【図13】図1の構造のうちシールリングキャップの、第12の構造例の、断面図である。
【図14】図1の構造のうちシールリングキャップの、第13の構造例の、一部の正面図である。
【図15】従来のリム分割式ホイールのシール構造の断面図である。
【符号の説明】
【0022】
10 リム分割式ホイールのサイドリング回り止め構造
11 ホイール本体
12 サイドリング
13 シールリング装着溝
14 シールリング
15 シールリングキャップ装着用溝
16 シールリングキャップ
16a キャップ本体
16b 爪
16c 切欠き
16d 樹脂製部材
16e、16f 金属製部分
16g 穴
17 水抜き部
21、22 ロックリブ部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホイール本体と、
ホイール本体とは別体に構成されてホイール本体に装着されるサイドリングと、
ホイール本体とサイドリングの何れか少なくとも一方に形成されたシールリング装着溝に装着されてホイール本体とサイドリングとの間をシールするシールリングと、
ホイール本体とサイドリングに形成されたシールリングキャップ装着用溝と、
前記シールリングキャップ装着用溝に突入する爪部を有し該爪でホイール本体とサイドリングに取り外し可能に固定されシールリングをホイール軸方向外側から覆うシールリングキャップと、
を備えたリム分割式ホイールのシールリング保護構造。
【請求項2】
前記シールリングキャップのホイール軸方向最外側の面と前記サイドリングのホイール軸方向最外側の面と前記ホイール本体のホイール軸方向最外側の面は、ほぼ、ホイール軸方向と直交する単一の面内にある請求項1記載のリム分割式ホイールのシールリング保護構造。
【請求項3】
前記シールリングキャップは金属部材、または樹脂部材、または金属部材と樹脂部材から構成され、前記キャップ本体部分は弾性を有する請求項1または請求項2記載のリム分割式ホイールのシールリング保護構造。
【請求項4】
前記シールリングキャップはキャップ本体を有し、前記爪は該キャップ本体から外周側および/または内周側に突出しており、
前記爪はシーリングキャップの周方向に非連続であり、シーリングキャップの爪と爪との間の部分が切り欠かれていて該切り欠かれた部分が水抜き部を形成している請求項1または請求項2または請求項3記載のリム分割式ホイールのシールリング保護構造。
【請求項5】
前記シールリングキャップはキャップ本体を有し、前記爪は該キャップ本体から外周側および/または内周側に突出しており、
前記爪はシーリングキャップの周方向に連続しており、シーリングキャップに周方向に間欠的に穴があけられていて該穴が水抜き部を形成している請求項1または請求項2または請求項3記載のリム分割式ホイールのシールリング保護構造。
【請求項6】
前記シールリングキャップはキャップ本体を有し、前記爪は該キャップ本体から外周側および/または内周側に、かつ、ホイール軸方向外側に傾斜して、突出している請求項1または請求項2または請求項3または請求項4記載のリム分割式ホイールのシールリング保護構造。
【請求項1】
ホイール本体と、
ホイール本体とは別体に構成されてホイール本体に装着されるサイドリングと、
ホイール本体とサイドリングの何れか少なくとも一方に形成されたシールリング装着溝に装着されてホイール本体とサイドリングとの間をシールするシールリングと、
ホイール本体とサイドリングに形成されたシールリングキャップ装着用溝と、
前記シールリングキャップ装着用溝に突入する爪部を有し該爪でホイール本体とサイドリングに取り外し可能に固定されシールリングをホイール軸方向外側から覆うシールリングキャップと、
を備えたリム分割式ホイールのシールリング保護構造。
【請求項2】
前記シールリングキャップのホイール軸方向最外側の面と前記サイドリングのホイール軸方向最外側の面と前記ホイール本体のホイール軸方向最外側の面は、ほぼ、ホイール軸方向と直交する単一の面内にある請求項1記載のリム分割式ホイールのシールリング保護構造。
【請求項3】
前記シールリングキャップは金属部材、または樹脂部材、または金属部材と樹脂部材から構成され、前記キャップ本体部分は弾性を有する請求項1または請求項2記載のリム分割式ホイールのシールリング保護構造。
【請求項4】
前記シールリングキャップはキャップ本体を有し、前記爪は該キャップ本体から外周側および/または内周側に突出しており、
前記爪はシーリングキャップの周方向に非連続であり、シーリングキャップの爪と爪との間の部分が切り欠かれていて該切り欠かれた部分が水抜き部を形成している請求項1または請求項2または請求項3記載のリム分割式ホイールのシールリング保護構造。
【請求項5】
前記シールリングキャップはキャップ本体を有し、前記爪は該キャップ本体から外周側および/または内周側に突出しており、
前記爪はシーリングキャップの周方向に連続しており、シーリングキャップに周方向に間欠的に穴があけられていて該穴が水抜き部を形成している請求項1または請求項2または請求項3記載のリム分割式ホイールのシールリング保護構造。
【請求項6】
前記シールリングキャップはキャップ本体を有し、前記爪は該キャップ本体から外周側および/または内周側に、かつ、ホイール軸方向外側に傾斜して、突出している請求項1または請求項2または請求項3または請求項4記載のリム分割式ホイールのシールリング保護構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2007−22245(P2007−22245A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−205397(P2005−205397)
【出願日】平成17年7月14日(2005.7.14)
【出願人】(000110251)トピー工業株式会社 (255)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年7月14日(2005.7.14)
【出願人】(000110251)トピー工業株式会社 (255)
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