説明

リム分割式ホイールのシール構造

【課題】 従来構造の逃げ溝と遊びをなくして、シール構造を単純化しかつホイール軸方向にシール構造を短くしたリム分割式ホイールのシール構造の提供。
【解決手段】(1) ホイール本体20と、
サイドリング12と、
ホイール本体20とサイドリング12との何れか一方の部材に取り付けられ、タイヤのエア圧がかかった時に相手部材に押し付けられるリップを有するリップパッキン13と、を備えたリム分割式ホイールのシール構造10。
(2) リップパッキン13がダスト進入防止リップ31を有する。
(3) リップパッキン13が、金属環32を有する。
(4) 金属環32が、L字型断面を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リムとディスクとを含むホイール本体とホイール本体に対して着脱可能とされたサイドリングとを有する、リム分割式ホイールのサイドリングとホイール本体との間のシール構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2004−17727号公報は、図5、図6に示すように、左右のリムフランジの少なくとも一方をホイール本体20(ホイール本体はディスク15とリム11とをもつ)から着脱式とし、タイヤ14のビード荷重をサイドリング12で受ける構造のリム分割式ホイールの、サイドリング12とホイール本体20間のシール構造10であって、
(イ)ホイール本体20とサイドリング12の何れか一方にOリング13Pを付けるOリグ装着溝17を設け、ホイール本体20とサイドリング12のOリング13Pを付けない方に、サイドリング12をロックするためにサイドリング12を回す位置では、Oリング13Pが接触しないように、逃げ溝16を設け、
(ロ)回す位置とシールする位置との間をサイドリング12がホイール軸方向に移動できるように、ホイール本体20とサイドリング12との間のロック機構部にサイドリング押し込み方向の遊び19を設けた、
リム分割式ホイールのシール構造10を開示している。
特開2004−17727号公報の構造によって、タイヤビードをサイドリングで受ける構造のリム分割式ホイールにおいて、サイドリング脱着時にサイドリングを回す力は軽く、かつ、エアシール性能は悪化しない、シール構造を提供することができた。
【特許文献1】特開2004−17727号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、図5、図6の構造には、つぎの課題があった。
(i) 逃げ溝16と遊び19を設けなければならないので、シール構造が複雑になるとともに、ホイール軸方向にシール構造が長くなる。
(ii)Oリング13PをOリング装着溝17に装着した後、サイドリング12をホイール本体20に軸方向に押し込んでいく時に、Oリング13PがOリングを付けない方の部材の凸角部22に当たってOリング13Pが傷つきやすく、シールの信頼性が低下しやすい。
(iii) また、シールのうち、逃げ溝の凸角部21のホイール軸方向位置は、Oリング13Pへの食い込み量、シール性への効きが鋭敏過ぎる。その結果、逃げ溝の凸角部21のホイール軸方向位置を規制するストッパ面23のホイール軸方向位置に加工誤差やホイール使用中のストッパ面の磨耗、泥水の進入などにより若干の変動が生じた場合、シール性に影響が出てしまうおそれがある。
【0004】
本発明の第1の目的は、従来構造の逃げ溝と遊びをなくして、シール構造を単純化しかつホイール軸方向にシール構造を短くしたリム分割式ホイールのシール構造を提供することにある。
本発明の第2の目的は、サイドリングをホイール本体に軸方向に押し込んでいく時に、パッキンがパッキンを付けない方の部材の角部凸角部に当たってパッキンが傷つくことがないようにしてシールの信頼性を向上させたリム分割式ホイールのシール構造を提供することにある。
本発明の第3の目的は、パッキン位置がホイール軸方向に若干変動してもシール性が低下しにくいリム分割式ホイールのシール構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成する本発明は、つぎの通りである。
(1) 第1のストッパを有するホイール本体と、
左右のリムフランジの少なくとも一方に対応する部分がホイール本体から分割されて構成され、第2のストッパを有し、前記ホイール本体に軸方向に挿入され挿入位置で軸芯まわりに回転されて第1のストッパと第2のストッパストッパを軸方向に合わせることで前記ホイール本体に対して軸方向に固定されてタイヤのビード荷重を受けるサイドリングと、
前記ホイール本体と前記サイドリングとの何れか一方の部材に取り付けられ、タイヤのエア圧がかかった時に相手部材に押し付けられるリップを有するリップパッキンと、
を備えたリム分割式ホイールのシール構造。
(2) 前記リップパッキンがダスト進入防止リップを有する(1)記載のリム分割式ホイールのシール構造。
(3) 前記リップパッキンが、前記リップを含むゴム部と、金属環とを有し、該金属環の部位で前記ホイール本体と前記サイドリングとの何れか一方の部材に嵌合されている(1)または(2)記載のリム分割式ホイールのシール構造。
(4) 前記金属環が、ホイールの軸芯と平行な方向に延びる第1の部分と、該第1の部分の大気側端部から半径方向に延びる第2の部分とを有し、前記金属環は前記第1の部分と前記第2の部分とかなるL字型断面を有する(3)記載のリム分割式ホイールのシール構造。
(5) 前記金属環の前記第1の部分は少なくとも一部がゴム部から露出していて、該露出した部分で前記ホイール本体と前記サイドリングとの何れか一方の部材に圧入されている(3)記載のリム分割式ホイールのシール構造。
(6) 前記リップパッキンが前記サイドリングに組み付けられ、前記サイドリングには軸方向外側端部に前記リップパッキンに軸方向外側から係合する「つば」が形成されている(1)記載のリム分割式ホイールのシール構造。
(7) 前記つばには複数個のねじ穴が形成されており、リップパッキン取り外し時に該ねじ穴にねじをねじ込んで該ねじでリップパッキンを軸方向に押しリップパッキンを取り外すのにねじ穴を利用する(6)記載のリム分割式ホイールのシール構造。
(8) 前記リップパッキンが前記ホイール本体に組み付けられ、前記リップがエア圧と遠心力により前記サイドリングに押し付けられる(1)記載のリム分割式ホイールのシール構造。
(9) 前記リップパッキンはスナップリングによって軸方向に固定されている(8)記載のリム分割式ホイールのシール構造。
【発明の効果】
【0006】
上記(1)のリム分割式ホイールのシール構造によれば、従来のOリングに代えてリップパッキンでシールしたので、サイドリングを軸芯まわりに軽い力で回転することができると共に、従来構造で必要であった逃げ溝と遊びをなくして、シール構造を単純化しかつホイール軸方向にシール構造を逃げ溝と遊び分短くすることができる。
また、リップパッキンのホイール本体への着脱時にリップパッキンが第1、第2のストッパを乗り越えることがないので、パッキンがストッパの角で傷つくことはなく、シールの信頼性を上げることができる。
また、リップパッキンが相手部材(の軸方向ストレート面)に押し付けられるので、パッキン位置がホイール軸方向に若干変動してもシール性が低下しにくい。
上記(2)のリム分割式ホイールのシール構造によれば、リップパッキンがダスト進入防止リップを有するので、外部からの泥水、埃、飛び石などのダストがリップパッキン部位およびリップパッキンのリップとシール面との間に進入しにくく、ダストの進入によるリップパッキンのシール性の低下を抑制することができる。
上記(3)のリム分割式ホイールのシール構造によれば、リップパッキンが金属環を有し、金属環部位でホイール本体とサイドリングとの何れか一方の部材に嵌合されているので、タイヤ空気圧によるパッキン抜けを高い信頼性をもって防止できる。
上記(4)のリム分割式ホイールのシール構造によれば、金属環がL字型断面を有しているので、第2の部分が飛び石などの外乱に対するプロテクターの役割を果たし、パッキンの耐久性と強度上の信頼性を上げることができる。
上記(5)のリム分割式ホイールのシール構造によれば、金属環の第1の部分は少なくとも一部がゴム部から露出しており、該露出した部分でホイール本体とサイドリングの何れか一方の部材に圧入されているので、リップパッキンをホイール本体とサイドリングの何れか一方の部材へ強固に固定することができ、タイヤ空気圧によるパッキン抜けをより一層防止できる。
上記(6)のリム分割式ホイールのシール構造によれば、リップパッキンがサイドリングに組み付けられ、サイドリングには軸方向外側端部にリップパッキンへ軸方向外側から係合する「つば」が形成されているので、つばがタイヤ空気圧によるパッキン抜けを防止する。
上記(7)のリム分割式ホイールのシール構造によれば、つばには複数個のねじ穴が形成されているので、リップパッキン取り外し時に該ねじ穴にねじをねじ込んで該ねじでリップパッキンを軸方向に押すことにより、リップパッキンを取り外すのにねじ穴を利用することができ、リップパッキンの取り外しが容易である。
上記(8)のリム分割式ホイールのシール構造によれば、リップパッキンがホイール本体に組み付けられるので、リップをエア圧と遠心力によりサイドリングに押し付けることができ、タイヤのエア圧のみでサイドリングに押し付ける場合よりも押し付け力を増大できる。
上記(9)のリム分割式ホイールのシール構造によれば、リップパッキンがスナップリングによって軸方向に固定されているので、リップパッキンの取り外しが容易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明のリム分割式ホイールのシール構造を図1〜図4を参照して説明する。
図1、図2は本発明の実施例1を示し、図3は本発明の実施例2を示し、図4は本発明の実施例3を示す。
本発明の実施例1〜実施例3に共通または類似な構造部分には、本発明の実施例1〜実施例3にわたって同じ符号を付してある。
【0008】
まず、本発明の実施例1〜実施例3に共通または類似な構造部分の構成、作用・効果を、図1、図2を参照して説明する。
本発明のリム分割式ホイールのシール構造10は、左右のリムフランジの少なくとも一方をホイール本体20から着脱式とし、タイヤ14のビード荷重をサイドリング12で受ける構造(リム分割式ホイール)の、サイドリング12とホイール本体20間のシール構造である。
本発明のリム分割式ホイールのシール構造10は、第1のストッパ28を有するホイール本体20と、左右のリムフランジの少なくとも一方に対応する部分がホイール本体20から分割されて構成されたサイドリング12と、ホイール本体20とサイドリング12との何れか一方の部材に取り付けられるリップパッキン13と、を有する。
ホイール本体20は、リム11とディスク15(図6のディスク15に準じる)を有する。ホイール本体の左右のリムフランジの少なくとも一方に対応する部分が分割式となっていて、その分割式部分が着脱可能なサイドリング12を構成している。
【0009】
サイドリング12は、第2のストッパ27を有している。サイドリング12は、ホイール本体20に軸方向に挿入され挿入位置でホイール軸芯まわりに回転されてホイール本体20の第1のストッパ28とサイドリング12の第2のストッパ27を軸方向に合わせることで、ホイール本体20に対して軸方向に抜け外れ不能に係合され、タイヤ14のビード荷重を受ける。
さらに詳しくは、第1のストッパ28と第2のストッパ27は、それぞれ、ホイールの周方向に延び、複数の切れ目を有し、第1のストッパ28の切れ目以外の部分を第2のストッパ27の切れ目の部分を通すことにより第1のストッパ28が第2のストッパ27を通過するようにさせて、サイドリング12をホイール本体20に軸方向に挿入し、第1のストッパ28を第2のストッパ27を通過完了した位置で、サイドリング12をホイール本体20に対してホイール軸芯まわりに回転させ、第1のストッパ28の切れ目以外の部分を第2のストッパ27の切れ目以外の部分にホイール軸方向に合わせ、タイヤのビード荷重がサイドリング12に対しホイール軸方向にかかった時に、第1のストッパ28と第2のストッパ27とが対向面からなるストッパ面23で係合して、サイドリング12がホイール本体20から軸方向に抜けないようにする。
【0010】
リップパッキン13は、断面が横向きのU字状、横向きのY字状、X字状等の何れの断面形状であってもよい。
リップパッキン13は、リップパッキン13にタイヤのエア圧がかかった時に相手部材(サイドリング12とホイール本体20のうちリップパッキン13が取付けられる側の部材と反対側の部材)に押し付けられるリップ30を有する。リップパッキン13は、タイヤのエア圧がリップ30にかかるように、リップ30をホイール軸方向中央側に向けてサイドリング12とホイール本体20間に組み付けられる。リップパッキン13はスプリング35で相手部材に押し付けられてもよい。ただし、スプリング35は設けられなくてもよい。
【0011】
リップパッキン13は、ゴム部29と金属環32を有し、リップ30はゴム部29に含まれ弾性を有する。金属環32は剛体である。リップパッキン13の弾性のリップ30は、Oリング13P(図5、図6)などのスクイーズパッキンに比べて、相手部材に押し付けられる力が小さいため、サイドリング12をホイール本体20に軸方向に挿入して(エア圧はかかっていない状態で)ホイール軸芯まわりに回転させる時の回転力が小さくて済む。
本発明のシール構造では、従来のシール構造で必要であった、逃げ溝16と遊び19(図5)が設けられておらず、従来のシール構造に比べて、シール構造10のホイール軸方向の長さが短縮されている。
【0012】
リップパッキン13は、リップ30の他に、ダスト進入防止リップ31(以下、ダストリップ31という)を有する。ダストリップ31は、ホイール軸方向外側に向けられている。
リップパッキン13は、金属環32の部位で、ホイール本体20とサイドリング12との何れか一方の部材に嵌合され、固定される。
【0013】
金属環32は、ホイールの軸芯と平行な方向に延びる第1の部分33と、第1の部分33の大気側端部から半径方向に延びる(ゴム部29を大気から遮断する方向に延びる)第2の部分34とを有する。金属環32は第1の部分33と第2の部分34とかなるL字型断面を有する。リップパッキン13は、金属環32の第1の部分33で、ホイール本体20とサイドリング12との何れか一方の部材に嵌合され、固定される。金属環32の第1の部分33は、ホイール本体20とサイドリング12の一方の部材に直接接触してもよいし、あるいは、ホイール本体20とサイドリング12の一方の部材にゴム部29のゴムを介して固定されてもよい。
【0014】
つぎに、本発明の実施例1〜実施例3に共通または類似な構造部分の作用・効果を説明する。
本発明のリム分割式ホイールのシール構造10では、従来のOリング13Pに代えてリップパッキン13でシールしたので、サイドリング12をホイール軸芯まわりに軽い力で回転することができると共に、従来構造で必要であった逃げ溝16と遊び19(図5)をなくして、シール構造を単純化しかつホイール軸方向にシール構造をほぼ逃げ溝16と遊び19(図5)分短くすることができる。
また、リップパッキン13のホイール本体20への着脱時にリップパッキン13が第1、第2のストッパ28、27を乗り越えることがないので、パッキン13がストッパ28、27の角で傷つくことはなく、シールの信頼性を上げることができる。
また、リップパッキン13が相手部材(の軸方向ストレート面)に押し付けられるので、パッキン位置がホイール軸方向に若干変動しても、パッキン13のストレートシール面への接触は維持されており、シール性が低下しにくい。
【0015】
また、リップパッキン13がダスト進入防止リップ31を有するので、外部からの泥水、埃、飛び石などのダストがリップパッキン13部位に、およびリップパッキン13のリップ30と相手部材のシール面との間に、進入しにくく、ダストの進入によってリップパッキン13のシール性が低下することを抑制することができる。
【0016】
また、リップパッキン13が金属環32を有し、金属環部位でホイール本体20とサイドリング12との何れか一方の部材に強固に嵌合されているので、タイヤ空気圧によるパッキン抜けを高い信頼性をもって防止できる。
また、金属環32がL字型断面を有しているので、第2の部分34が飛び石などの外乱に対するプロテクターの役割を果たし、パッキン13の耐久性と強度上の信頼性(飛び石等が当たっても破損しない)を上げることができる。
【0017】
つぎに本発明の各実施例に特有な構造とその作用・効果を説明する。
〔実施例1〕−−−図1、図2
本発明の実施例1では、図1、図2に示すように、リップパッキン13のL字型断面の金属環32の第1の部分33の少なくとも一部がゴム部29から露出しており、この露出した部分でホイール本体20とサイドリング12との何れか一方の部材に圧入されている。
図示例では、リップパッキン13がサイドリング12の軸方向外側端部の内周に取付けられており、タイヤのエア圧がかかっても抜け外れしないように、サイドリング12の内周面に圧入により取付けられている。
リップパッキン13のリップ30はホイール軸方向内側に延びており、タイヤのエア圧がかかった時に、リップパッキン13のリップ30はホイール本体20の外周面に押し付けられる。ダストリップ31はリップ30よりホイール軸方向外側で、ダストリップ31の弾性力でホイール本体20の外周面に押し付けられる。
リップパッキン13の金属環32の第2の部分34は、ゴム部29をホイール軸方向外側から覆っており、飛び石などからゴム部29を保護している。
【0018】
本発明の実施例1の作用・効果については、金属環32の第1の部分33は少なくとも一部がゴム部29から露出しており、該露出した部分でホイール本体とサイドリングの何れか一方の部材に圧入されているので、リップパッキン13をホイール本体20とサイドリング12の何れか一方の部材へ強固に固定することができ、タイヤ空気圧によるパッキン抜けを確実に防止できる。
【0019】
〔実施例2〕−−−図3
本発明の実施例2では、図3に示すように、リップパッキン13がサイドリング12に組み付けられ、サイドリング12には軸方向外側端部に、リップパッキン13に軸方向外側から係合する「つば」36が形成されている。
つば36には複数個(たとえば、周方向に等分に4ヵ所)のねじ穴37が形成されている。リップパッキン取り外し時には、ねじ穴37にねじをねじ込んで該ねじでリップパッキン13をホイール軸方向に大きな力で押すようにし、リップパッキン13を取り外すのにねじ穴37を利用する。
【0020】
本発明の実施例2の作用・効果については、サイドリング12には軸方向外側端部にリップパッキン13に軸方向外側から係合する「つば」36が形成されているので、つば36がタイヤ空気圧によるパッキン抜けを防止することができる。つば36によるバッキン抜け防止により、金属環を直接サイドリング12に強固に圧入・固定しなくてもよくなるので、金属環32をゴム部29に埋め込むことができ、それによって、金属環32の防錆をはかることができる。
つば36には複数個のねじ穴37が形成されているので、リップパッキン13取り外し時に該ねじ穴にねじをねじ込んで該ねじでリップパッキンを軸方向に押すことにより、リップパッキン13を容易に取り外すことができる。
【0021】
〔実施例3〕−−−図4
本発明の実施例3では、図4に示すように、リップパッキン13がホイール本体20に組み付けられ、リップ30がエア圧とホイール回転時の遠心力によりサイドリング12に押し付けられる。また、リップ30にはスプリング35が埋め込まれており、スプリング35はリップ30を半径方向外側に付勢する。
また、リップパッキン13はスナップリング38によって軸方向に固定されている。スナップリング38はホイール本体20の外周に形成された周方向に延びる溝に嵌入されており、溝から出ている部分をリップパッキン13の金属環32に軸方向外側から係合させて、リップパッキン13をタイヤのエア圧で外側に抜け出ないように押さえる。
【0022】
本発明の実施例3の作用・効果については、リップパッキン13がホイール本体20に組み付けられるので、リップ30をエア圧と遠心力によりサイドリング12の内周面に押し付けることができ、リップ30をタイヤのエア圧のみでサイドリング12に押し付ける場合よりも、押し付け力を増大でき、シール性を向上できる。
また、リップパッキン13がスナップリング38によって軸方向に固定されているので、リップパッキン13の取り外し、交換が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施例1のリム分割式ホイールのシール構造の断面図である。
【図2】図1の円で囲んだ部分の拡大断面図である。
【図3】本発明の実施例2のリム分割式ホイールのシール構造の断面図である。
【図4】本発明の実施例3のリム分割式ホイールのシール構造の断面図である。
【図5】従来のリム分割式ホイールのシール構造の断面図である。
【図6】従来のリム分割式ホイールのシール構造を適用したホイールの半断面図である。
【符号の説明】
【0024】
10 リム分割式ホイールのシール構造
12 サイドリング
13 リップパッキン
13P Oリング
14 タイヤ
16 逃げ溝
19 (押し込み方向の)遊び
20 ホイール本体
21 凸角部
22 凸角部
23 ストッパ面
26 テーパ面
27 第1のストッパ
28 第2のストッパ
29 ゴム部
30 リップ
31 ダストリップ
32 金属環
33 第1の部分
34 第2の部分
35 スプリング
36 つば
37 ねじ穴
38 スナップリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のストッパを有するホイール本体と、
左右のリムフランジの少なくとも一方に対応する部分がホイール本体から分割されて構成され、第2のストッパを有し、前記ホイール本体に軸方向に挿入され挿入位置で軸芯まわりに回転されて第1のストッパと第2のストッパを軸方向に合わせることで前記ホイール本体に対して軸方向に固定されてタイヤのビード荷重を受けるサイドリングと、
前記ホイール本体と前記サイドリングとの何れか一方の部材に取り付けられ、タイヤのエア圧がかかった時に相手部材に押し付けられるリップを有するリップパッキンと、
を備えたリム分割式ホイールのシール構造。
【請求項2】
前記リップパッキンがダスト進入防止リップを有する請求項1記載のリム分割式ホイールのシール構造。
【請求項3】
前記リップパッキンが、前記リップを含むゴム部と、金属環とを有し、該金属環の部位で前記ホイール本体と前記サイドリングとの何れか一方の部材に嵌合されている請求項1または請求項2記載のリム分割式ホイールのシール構造。
【請求項4】
前記金属環が、ホイールの軸芯と平行な方向に延びる第1の部分と、該第1の部分の大気側端部から半径方向に延びる第2の部分とを有し、前記金属環は前記第1の部分と前記第2の部分とかなるL字型断面を有する請求項3記載のリム分割式ホイールのシール構造。
【請求項5】
前記金属環の前記第1の部分は少なくとも一部がゴム部から露出していて、該露出した部分で前記ホイール本体と前記サイドリングとの何れか一方の部材に圧入されている請求項3記載のリム分割式ホイールのシール構造。
【請求項6】
前記リップパッキンが前記サイドリングに組み付けられ、前記サイドリングには軸方向外側端部に前記リップパッキンに軸方向外側から係合するつばが形成されている請求項1記載のリム分割式ホイールのシール構造。
【請求項7】
前記つばには複数個のねじ穴が形成されており、リップパッキン取り外し時に該ねじ穴にねじをねじ込んで該ねじでリップパッキンを軸方向に押しリップパッキンを取り外すのにねじ穴を利用する請求項6記載のリム分割式ホイールのシール構造。
【請求項8】
前記リップパッキンが前記ホイール本体に組み付けられ、前記リップがエア圧と遠心力により前記サイドリングに押し付けられる請求項1記載のリム分割式ホイールのシール構造。
【請求項9】
前記リップパッキンはスナップリングによって軸方向に固定されている請求項8記載のリム分割式ホイールのシール構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−306132(P2006−306132A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−127634(P2005−127634)
【出願日】平成17年4月26日(2005.4.26)
【出願人】(000110251)トピー工業株式会社 (255)
【出願人】(000004385)NOK株式会社 (1,527)