説明

リービングウインチ

【課題】リービングロープの引き出し及び巻き込みの操作及び作業を低い安定した位置で行うこと、および、上部旋回体の前後方向に沿ってリービングロープをまっすぐに引き出す及び巻き込むことを可能とする。
【解決手段】クレーンの組立補助装置であるリービングウインチ1であって、クレーンの下部本体45に取り付けられた固定部50と、鉛直軸Aまわりに旋回可能に固定部50に取り付けられているとともにウインチドラム63を備えた旋回部60と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クレーンの組立補助装置であるリービングウインチに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、リービングウインチを備えたクレーンが記載されている。リービングウインチは、クレーンのアタッチメントへのワイヤロープの巻きかけを補助する装置である。具体的には例えば、ブーム先端から吊り下げられるフックに巻きかけられるワイヤロープや、ブーム(主ジブ)の先端に取り付けられたジブ(補ジブ)を起伏するストラット間へ巻きかけられるワイヤロープなどは重く硬いので、ワイヤロープの巻きかけを手作業で行うことは困難である。そこで、この巻きかけを補助するためにリービングウインチが用いられる。
【0003】
リービングウインチは具体的には次のように用いられる。まず、ワイヤロープよりも細く取り回しが容易なリービングロープをリービングウインチから引き出す。次に、このリービングロープをワイヤロープの巻きかけの順序とは逆の順序でアタッチメントへ巻きかけ、リービングロープの先端をワイヤロープの先端につなぐ。そして、リービングウインチでリービングロープを巻き込む。これにより、ワイヤロープがアタッチメントへ巻きかけられる。
【0004】
リービングウインチは、(A)上部本体や(B)ブームなど上部旋回体、または、(C)下部本体に取り付けられる場合がある。
(A)リービングウインチが上部本体の前面に取り付けられた場合(図1のリービングウインチ101A参照)、リービングウインチからのリービングロープの引き出し及び巻き込みは、まっすぐできる。すなわち、上部本体とブームとの向きは常に一致するので、リービングウインチとブームとの向きも常に一致する。よって、リービングウインチのウインチドラムの回転軸に直交する方向に沿って(上部旋回体の前後方向に沿って)リービングロープが引き出され及び巻き込まれる。なお、以下では、上部旋回体の前後方向に沿ってリービングロープを引き出す及び巻き込むことを、「まっすぐ」引き出す及び巻き込む、などという。
【0005】
(B)リービングウインチがブームに取り付けられた場合(図1のリービングウインチ101B参照)も、リービングウインチとブームとの向きが常に一致するので、リービングロープの引き出し及び巻き込みをまっすぐできる。
【0006】
(C)リービングウインチが下部本体に取り付けられた場合(図1のリービングウインチ1の位置を参照)、リービングロープの引き出し及び巻き込みの操作及び作業を低い安定した位置(地上)で行える。具体的には、リービングウインチの機側操作(リービングウインチの近傍での例えばレバー操作)を低い安定した位置で行える。
また、通常、リービングウインチでは溝無ドラムが使用されるので、リービングロープをリービングウインチでそのまま(手入れをせずに)巻き込むと、ウインチドラムの回転軸方向の一部(中央や片方)に偏ってリービングロープが巻かれてしまう。そこで、リービングロープが巻かれる位置が偏らないように手作業で調整する必要があるが、リービングウインチが下部本体に取り付けられた場合はこの作業を低い安定した位置で行える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3786785号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
リービングウインチを上部旋回体の上部本体やブームなどに取り付けた場合(上記(A)及び(B)の場合)は、下部本体に取り付けた場合(上記(C)の場合)に比べ、リービングウインチの取り付け位置が高い。よって、上記の操作及び作業を高い不安定な位置で行う必要があり危険である。
【0009】
また、リービングウインチを下部本体に取り付けた場合(上記(C)の場合)、現場の状況等によっては、上部旋回体の向きと下部本体の向きとが異なる場合が一般であり、この場合、リービングロープの引き出し及び巻き込みをまっすぐ行うことができない。その結果、リービングロープの引き出し及び巻き込みが困難または不可能になる。
【0010】
本発明の目的は、リービングロープの引き出し及び巻き込みの操作及び作業を低い安定した位置で行えるとともに、上部旋回体の前後方向に沿ってリービングロープをまっすぐに引き出し及び巻き込みできるリービングウインチを提供することである。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0011】
第1の発明のリービングウインチは、クレーンの組立補助装置であって、前記クレーンの下部本体に取り付けられた固定部と、鉛直軸まわりに旋回可能に前記固定部に取り付けられているとともにウインチドラムを備えた旋回部と、を備える。
【0012】
このリービングウインチは、クレーンの下部本体に取り付けられた固定部と、固定部に取り付けられた旋回部とを備える。すなわち、クレーンの下部本体にリービングウインチが取り付けられる。よって、上部旋回体(上部本体やブーム等)にリービングウインチが取り付けられた場合に比べ、リービングウインチでのリービングロープの引き出し及び巻き込みの操作及び作業を低い安定した位置で行える。その結果、これらの操作及び作業を安全に行える。
また、このリービングウインチは、鉛直軸まわりに旋回可能に固定部に取り付けられているとともにウインチドラムを備えた旋回部を備える。よって、上部旋回体の旋回角度に応じて鉛直軸まわりに旋回部を旋回させれば、ウインチドラムの回転軸に直交する方向と上部旋回体の前後方向とを一致させることができる。したがって、上部旋回体の前後方向に沿ってリービングロープをまっすぐに引き出し及び巻き込みできる。
【0013】
第2の発明のリービングウインチは、前記固定部と前記旋回部とを連結することで当該固定部に対する当該旋回部の旋回角度を一定の角度に固定するロック機構を備える。
【0014】
このリービングウインチでは、ロック機構により旋回部の旋回角度を一定の角度に固定すれば、旋回部が誤って旋回してしまうことがない。また、リービングロープを巻き込む力によって旋回部が旋回してしまうことがないので、リービングロープの巻き込み時の作業を容易に行える。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】クレーン全体の側面図である。
【図2】図1に示した下部本体45周辺の平面図である。
【図3】図2に示したリービングウインチ1の周辺の平面図である。
【図4】図3に示したリービングウインチ1の周辺の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明のリービングウインチの実施形態について図1〜図4を参照して説明する。なお、図3は、図2に示すF3部分の拡大図であり、図4に示すF3矢視図である。図4は、図3に示すF4矢視図である。
【0017】
クレーン10は、図1に示すように、組立および分解可能な移動式クレーンである。クレーン10は、下部走行体40と、下部走行体40に取り付けられた上部旋回体20とを備える。
【0018】
上部旋回体20は、旋回ベアリング30を介して下部走行体40の上方側に取り付けられるとともに、下部走行体40に対して旋回する部分である。この「旋回」とは、鉛直軸まわりの旋回である。上部旋回体20は、上部本体21と、上部本体21に取り付けられたブーム22とを備える。
【0019】
上部本体21は、上部旋回体20の本体部分であり、旋回ベアリング30を介して下部走行体40に取り付けられる部分である。上部本体21には、起伏部材等のアタッチメントが取り付けられる。「起伏部材等」とは、具体的には、ブーム22、ブーム22を起伏させるためのマストやガントリ(図示なし)、ブーム22の先端に取り付けられる補ジブ(図示なし)、および、補ジブを起伏させるためのストラット(図示なし)等である。これらの起伏部材等にはワイヤロープが巻きかけられる。以下では一例としてブーム22およびブーム22に巻きかけられる主巻ワイヤロープ23について説明する(すなわち、ブーム22以外の起伏部材等に巻きかけられるワイヤロープの引き出し及び巻き込みにも本発明のリービングウインチ1を用いることができる)。
【0020】
ブーム22は、上部本体21に取り付けられるとともに上部本体21に対して起伏する部材であり、例えばラチスブームである(箱型の伸縮式ブームでも良い)。ブーム22の底面22bや先端部22tには、リービングロープ64(後述)がかけられる複数のガイドシーブ29が取り付けられる。また、ブーム22には主巻ワイヤロープ23が巻きかけられる。
【0021】
主巻ワイヤロープ23は、次のように巻きかけられる。主巻ワイヤロープ23は、ブーム22の基端部付近(または上部本体21の上面など)に配置された主巻ウインチ24から引き出され、ブーム22の上面22uに取り付けられた複数のガイドシーブ25にかけられ、ブーム22の先端部22tのポイントシーブ26に導かれる。そして、フック27に設けられたシーブ28とポイントシーブ26との間で主巻ワイヤロープ23がかけ回され、主巻ワイヤロープ23の先端がフック27等に固定される。
【0022】
下部走行体40は、クレーン10の走行に供する部分である。下部走行体40は、下部本体45、下部本体45に取り付けられたクローラ41(ホイールでも良い)、および、下部本体45の前端部45f(図2参照)に配置されたリービングウインチ1を備える。
【0023】
下部本体45は、下部走行体40の本体部分であり、横方向両側にクローラ41が取り付けられるとともに、上方側に上部旋回体20の上部本体21が取り付けられる部分である。図2に示すように、下部本体45は前後方向中央部のカーボディ46と、カーボディ46の前後に取り付けられたカーボディウェイト47とを備える。
【0024】
カーボディ46は、図1に示すように、横方向両側にクローラ41が取り付けられ、上方側に上部本体21が取り付けられる部分である。
【0025】
カーボディウェイト47は、カーボディ46の前端部および後端部に取り付けられたおもりであり、サドンリリース時に(フック27から吊荷を突然放した時や、主巻ワイヤロープ23が切れた時などに)、クレーン10が後方側に転倒することを防ぐ部材である。図4に示すように、カーボディウェイト47は、例えば、最も下方側に配置されたカーボディベースウェイト47bと、カーボディベースウェイト47bの上に載せられたウェイト部材47cとで構成される。
【0026】
リービングウインチ1は、図1に示すクレーン10の組立補助装置であり、上部本体21に取り付けられた起伏部材等へのワイヤロープの巻きかけを補助する装置である。具体的には例えば、ブーム22およびフック27への主巻ワイヤロープ23の巻きかけを補助する装置である。さらに詳しくは、上述した主巻ワイヤロープ23の巻きかけの順とは逆の順にフック27、ポイントシーブ26、及びガイドシーブ25にリービングロープ64を巻きかける。次に、このリービングロープ64の先端に、主巻ウインチ24から引き出した主巻ワイヤロープ23の先端をつなぐ。そして、リービングウインチ1でリービングロープ64を巻き込むことで、主巻ワイヤロープ23をフック27へ巻きかける。図3及び4に示すように、リービングウインチ1は、下部本体45に取り付けられた固定部50と、旋回ベアリング70を介して固定部50に取り付けられた旋回部60とを備える。
【0027】
固定部50は、図4に示すように、下部本体45に取り付けられた部材であり、主にウインチドラム63を支持する台である。図2〜4に示すように、固定部50は、下部本体45の前端部45f(カーボディウェイト47のカーボディベースウェイト47b)から前方側に突出するように配置される。図2に示すように、固定部50は、下部本体45の例えば横方向中央部に取り付けられる。なお、下部本体45がカーボディウェイト47を備えない場合は、固定部50はカーボディ46(の例えば前端部など)に取り付けられる。
【0028】
旋回部60は、図2〜図4に示すように、鉛直軸A(図3及び図4参照)まわりに旋回可能に固定部50に取り付けられた部分である(旋回については後述)。図3及び図4に示すように、旋回部60は、固定部50の上方側に取り付けられたフレーム61と、フレーム61の上方側に配置されたウインチドラム63と、ウインチドラム63の回転軸方向の一端に設けられた油圧モータ66と、同他端に設けられたベアリング67(図3参照)と、フレーム61に固定された油圧モータ操作部68とを備える。
【0029】
フレーム61は、主にウインチドラム63を支持する台(回転台)である。フレーム61は、旋回ベアリング70を介して固定部50の上方側に取り付けられた略板状のフレーム底部61aと、フレーム底部61aから上方側に突出するようにフレーム底部61aに取り付けられたブラケット61b及び61c(図3参照)とを備える。
【0030】
ウインチドラム63は、リービングロープ64(図1及び図4参照。リービングロープ)が巻かれるドラムである。ウインチドラム63は通常溝なしのドラムであり、リービングロープ64の巻き込み時には、リービングロープ64が一方向に偏らないように(回転軸方向(横方向)の一方側に偏らないように)、リービングロープ64が巻かれる位置を手作業で調整する必要がある。
【0031】
油圧モータ66は、ウインチドラム63の回転軸方向の一端(図3では右端)に取り付けられるとともに、ウインチドラム63を回動させる機械である。油圧モータ66は、フレーム61のブラケット61bに取り付けられる。
ベアリング67は、図3に示すように、ウインチドラム63の回転軸方向の他端(図3では左端)を支持する部材である。ベアリング67は、フレーム61のブラケット61cに取り付けられる。
そして、ブラケット61bに取り付けられた油圧モータ66と、ブラケット61cに取り付けられたベアリング67とで、ウインチドラム63の回転軸が支持される(鉛直軸Aに直交する方向に沿って、横方向に沿って、支持される)。
【0032】
油圧モータ操作部68は、図3及び図4に示すように、油圧モータ66の巻き込み、巻き出し、および停止操作(機側操作)をレバー操作により行うための装置である。油圧モータ操作部68と油圧モータ66とは作動油を供給するホース69でつながれる。油圧モータ操作部68は、フレーム61のフレーム底部61aに固定される。すなわち、油圧モータ操作部68は旋回部60の旋回(後述)とともに旋回するので、油圧モータ操作部68を固定部50に取り付けた場合に比べ、ホース69の取り回しが容易である。
【0033】
(旋回部の旋回およびロック機構)
リービングウインチ1は、図3及び図4に示すように、回転可能な台(フレーム61)にウインチドラム63を搭載した、言わば首振り機構を持ったウインチである。すなわち、リービングウインチ1の旋回部60は、鉛直軸Aまわりに旋回可能となるように、旋回ベアリング70を介して固定部50に取り付けられている。なお、「鉛直軸Aまわりに旋回可能」とは、クレーン10(図1参照)を上から見たときに左まわり及び右まわりに旋回可能であれば良く、厳密に鉛直方向に直交する平面上の円に沿うように旋回可能である必要はない。また、リービングウインチ1は、旋回部60の旋回角度を固定するロック機構80を備える。
【0034】
旋回ベアリング70は、固定部50に対して旋回部60を鉛直軸Aまわりに旋回可能とする部材である。図3に示すように、旋回ベアリング70は、具体的には例えば、固定部50の上面に取り付けられた固定部取付ベアリング部材75と、旋回部60のフレーム61のフレーム底部61aの下面に取り付けられた旋回部取付ベアリング部材76とを備える。そして、旋回ベアリング70の中心軸(鉛直軸A)を軸として、固定部取付ベアリング部材75に対して旋回部取付ベアリング部材76が回動可能である。
【0035】
ロック機構80は、図3及び図4に示すように、固定部50と旋回部60とを連結することで固定部50に対する旋回部60の旋回角度を一定の角度に固定する機構である。ロック機構80は、リービングウインチ1の引っ張り方向の力(リービングロープ64の巻き込みにより生じる、後方側から前方側へ向かう向きのリービングロープ64の張力)などにより旋回部60が旋回してしまわないようにする機構である。ロック機構80は、固定部50に形成された固定部側ロック孔85と、旋回部60に形成された旋回部側ロック孔86と、固定部側ロック孔85と旋回部側ロック孔86とを連結するピン87とを備える。
【0036】
固定部側ロック孔85は、固定部50に形成されるとともにピン87が差し込まれる孔である。図3に示すように、固定部側ロック孔85は、所定範囲内で、また、所定間隔で旋回部60の旋回角度を固定できるように形成される。さらに詳しくは、旋回部60が正面を向いているとき(上から見てウインチドラム63の軸方向に直交する方向と固定部50の前後方向とが一致する状態のとき。すなわち図3に示す状態のとき)を0°とすると、右まわり及び左まわりに例えば0°〜45°の範囲内で(図3では右回りの範囲のみ図示)、また、例えば5°間隔で、旋回部60の旋回角度を固定できるように固定部側ロック孔85が形成される。具体的には、上から見て旋回部60の旋回の軸である鉛直軸Aを中心とする円弧に沿って、かつ、鉛直軸Aの前方の位置を基点として右まわり及び左回りに0°〜45°の範囲内に5°間隔で、固定部側ロック孔85が複数形成される(図3では煩雑を避けるため、複数の固定部側ロック孔85のうち1つにのみ符号を付している)。
【0037】
旋回部側ロック孔86は、旋回部60に形成されるとともにピン87が差し込まれる孔である。旋回部側ロック孔86は例えば、図3及び図4に示すように、フレーム61のフレーム底部61aの前端から前方側に突出する突出部61xに形成された孔と、図4に示すように、突出部61xから固定部50へ向かう向き(下方側へ向かう向き)に延びるように突出部61xに取り付けられた筒61y(の内面)とで構成される。筒61yにより、旋回部側ロック孔86にピン87を差し込みやすく、また、差し込まれたピン87を支持できる。
そして、図3及び図4に示すように、固定部側ロック孔85と旋回部側ロック孔86とにピン87を差し込むことで、固定部50と旋回部60とが連結され、固定部50の旋回部60に対する旋回角度が固定される。
【0038】
(本実施形態のリービングウインチの特徴)
(特徴1)
図2〜4に示すように、リービングウインチ1は、クレーン10(図1参照)の下部本体45に取り付けられた固定部50と、固定部50に取り付けられた旋回部60とを備える。すなわち、図1に示すように、クレーン10の下部本体45にリービングウインチ1が取り付けられる。よって、上部旋回体20(上部本体21やブーム22等)にリービングウインチ1が取り付けられた場合(リービングウインチ101A及び101Bを参照)に比べ、リービングウインチ1でのリービングロープ64の引き出し及び巻き込みの操作及び作業を低い安定した位置(地上)で行える。その結果、これらの操作及び作業を安全に行える。
【0039】
図3及び図4に示すように、リービングウインチ1は、鉛直軸Aまわりに旋回可能に固定部50に取り付けられているとともにウインチドラム63を備えた旋回部60を備える。よって、上部旋回体20(図1参照)の旋回角度に応じて鉛直軸Aまわりに旋回部60を旋回させれば、ウインチドラム63の回転軸に直交する方向と上部旋回体20の前後方向とを一致させることができる。したがって、図1に示す上部旋回体20の前後方向に沿ってリービングロープ64をまっすぐに引き出し及び巻き込みできる。
【0040】
(特徴2)
図3及び図4に示すように、このリービングウインチ1は、固定部50と旋回部60とを(ピン87で)連結することで、固定部50に対する旋回部60の旋回角度を一定の角度に固定するロック機構80を備える。ロック機構80により旋回部60の旋回角度を一定の角度に固定すれば、旋回部60が誤って旋回してしまうことがない。また、リービングロープ64の巻き込みにより生じる力(後方側から前方側へ向かう向きのリービングロープ64の張力)によって旋回部60が旋回してしまうことがないので、リービングロープ64の巻き込み時の作業を容易に行える。
【0041】
(変形例)
図3及び図4に示すロック機構80の構成は様々に変形できる。
例えば、図3に示すように、上記実施形態では、固定部側ロック孔85を複数形成するとともに旋回部側ロック孔86を1つ形成したが、固定部側ロック孔85を1つ形成するとともに旋回部側ロック孔86を複数形成しても良い。
また例えば、上記実施形態では、孔(固定部側ロック孔85や旋回部側ロック孔86)によりロック機構80を構成したが、波状部材等を用いてロック機構80を構成しても良い。具体的には例えば、旋回部60のフレーム底部61aの前端を円弧状に形成するとともに波状に形成し(歯車の外周部のような形状とし)、この波状の部分にかみあうように(引っ掛けるように)ピン87を固定部側ロック孔85に差し込むことで、旋回部60の旋回角度を固定しても良い。
【符号の説明】
【0042】
1 リービングウインチ
10 クレーン
45 下部本体
50 固定部
60 旋回部
63 ウインチドラム
80 ロック機構
A 鉛直軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クレーンの組立補助装置であるリービングウインチであって、
前記クレーンの下部本体に取り付けられた固定部と、
鉛直軸まわりに旋回可能に前記固定部に取り付けられているとともにウインチドラムを備えた旋回部と、を備えたリービングウインチ。
【請求項2】
前記固定部と前記旋回部とを連結することで当該固定部に対する当該旋回部の旋回角度を一定の角度に固定するロック機構を備えた、請求項1に記載のリービングウインチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−35937(P2012−35937A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−175557(P2010−175557)
【出願日】平成22年8月4日(2010.8.4)
【出願人】(304020362)コベルコクレーン株式会社 (296)