説明

リーマの切削ヘッド

本発明はリーマの切削ヘッドを提供する。少なくとも2つのワイピングパッドが切削ヘッド前方端から後方へ延びる。少なくとも1つの切削部は、切削ヘッド前方端から周囲面へ延びる切れ刃を備える。切れ刃は、すくい面および逃げ面の交点に形成される。すくい面は、全体に接線方向に向けられ、回転方向を向く。偏向面は、すくい面近傍に形成され、それに対して概して斜行する。偏向面は、切れ刃から遠ざかる方向にすくい面第1端から延びる。偏向面は、回転軸に対して鋭軸角をなす。偏向面の後端は、切削部近傍かつ切削ヘッド後端遠位の周囲面につながる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リーマ作業を行うための回転式切削工具に関する。
【背景技術】
【0002】
リーマ作業を行うための回転式切削工具が知られている。このような切削工具は一般に、回転軸と、切削ヘッドの前端に配置された切れ刃とを有する切削ヘッドを備える。各切れ刃には、切削作業中に形成された切り粉を排出するための切り粉スペースが付随する。切り粉スペースは切削ヘッドの前端へ開口し、そこから後方へ、一般に切削ヘッドの後端あるいはその近位まで延びる。切り粉スペースは、回転軸に平行、回転軸に対して傾斜、あるいは螺旋状に湾曲してもよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第7,004,692号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に切り粉スペースは、費用と時間がかかる研削工程によって形成される。さらに、リーマ工具が比較的高価であることはその製造費が高いことに由来し、その製造費は、主に切り粉スペースの製造費によって生じる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、前後方向を規定する回転軸Aを有するリーマの切削ヘッドにおいて、
切削ヘッド前方端と、切削ヘッド前方端遠位の切削ヘッド後端と、それらの間の周囲面であって、切削ヘッド前方端から後方に延びる少なくとも2つのワイピングパッド(wiping pad)を備え、2つの近接したワイピングパッド間の周囲面が周囲部を形成する、周囲面と、
切削ヘッド前方端近傍に配置された少なくとも1つの切削部とを具備し、少なくとも1つの切削部は、
切削ヘッド前方端から周囲面へ後方および半径方向外側方向に延び、すくい面と逃げ面の交点に形成されている切れ刃であって、すくい面は、全体に接線方向に向けられ、回転方向Bを向き、切れ刃から遠位であるすくい面第1端を有する、切れ刃と、
すくい面に近接しかつそれに対して概して斜行し、すくい面第1端から、切れ刃から離れる方向へ延びる偏向面を備え、
偏向面は、偏向面の仮想延長が切削ヘッドの前方の点で回転軸と交差するように、回転軸Aに対して鋭軸角αをなし、偏向面の後端は、切削部近傍かつ切削ヘッドの後端遠位の周囲面につながる、リーマの切削ヘッドが提供される。
【0006】
本発明の具体的な一実施形態によれば、偏向面はワイピングパッドにつながる。
【0007】
必要に応じて、偏向面は平面である。
【0008】
さらに必要に応じて、偏向面は凹面である。
【0009】
有利なことには、偏向面は、切削ヘッドの前方端面図からわかるように、偏向面の後端を通過して半径方向に延びる線Fに直角な線Eに対して0でない接線角βをなす。
【0010】
典型的には、接線角度βは鋭角かつ負である。
【0011】
本発明の具体的な一実施形態によれば、すくい面は、切削ヘッドの側面図からわかるように、回転軸に対して負の鋭軸角で傾斜している。
【0012】
本発明の別の具体的な一実施形態によれば、偏向面は、切削ヘッド前方端に連結されそこから後方へ延びる第1の偏向部、および第1の偏向部に連結されそこから後方へ延びる第2の偏向部を備える。
【0013】
典型的には、切削ヘッドは工具ホルダに着脱自在に連結される。
【0014】
さらに典型的には、切削ヘッドは、切削ヘッド前方端から切削ヘッド後端へ延びる孔周囲壁を有する貫通孔を備え、貫通孔は、切削ヘッド後端近傍、孔周囲壁上に配置された係合構成を備える。
【0015】
さらに典型的には、少なくとも1つの切削部は、切削ヘッド前方端に配置された全体に半径方向に向けられた溝を備え、溝は溝側壁およびその間の溝底壁を有し、溝側壁は回転軸Aに対して全体に半径方向に延びる。
【0016】
必要に応じて、ワイピングパッドは切削ヘッド前方端から切削ヘッド後端へ延びる。
【0017】
典型的には、周囲部は平面である。
【0018】
必要に応じて、周囲面は凹面である。
【0019】
さらに必要に応じて、周囲面は凸面である。
【0020】
一実施形態では、周囲部は、第1の周囲部、第2の周囲部、およびそれらの間の周囲中間部に分割される。周囲中間部は、ワイピングパッドが回転軸Aから離隔されている切削半径Rより小さい中間距離rだけ回転軸Aから離隔される。
【0021】
本発明の別の実施形態によれば、中間距離rは切削半径Rに等しい。
【0022】
典型的には、逃げ面は、切れ刃近傍の第1の逃げ面、および第1の逃げ面を越えて接線方向に延びる第2の逃げ面を備え、第1の逃げ面は第1の逃げ接線角を形成し、第2の逃げ面は第2の逃げ接線角を形成し、第2の逃げ接線角は、切削ヘッドの前方端面図で見て、第1の逃げ接線角より大きい。
【0023】
さらに典型的には、ワイピングパッドは、ワイピング前縁、周囲に沿ってワイピング前縁背後のワイピング後縁、およびそれらの間で切削ヘッド外径を超えない直径を有する円筒面上にあるワイピング面を備える。
【0024】
必要に応じて、ワイピング前縁はワイピング後縁に平行である。
【0025】
本発明の具体的な一実施形態によれば、切削ヘッドはさらに、切削ヘッド後端近位かつそこから後方に配置された後部円形板を備える。後部円形板は、切削ヘッドの回転軸Aと一致する回転軸、および切削ヘッド外径Dよりわずかに小さい円板直径dを有する。
【0026】
典型的には、切削ヘッドは単一の一体構造を有し、焼結炭化物粉末を含む。
【0027】
さらに本発明によれば、回転軸Aを有するリーマの切削ヘッドにおいて、
切削ヘッド前方端と、切削ヘッド前方端遠位の切削ヘッド後端と、それらの間の周囲面であって、切削ヘッド前方端から後方に延びる少なくとも2つのワイピングパッドを備える、周囲面と、
切削ヘッド前方端と周囲面との間に配置された少なくとも1つの切削部とを具備し、少なくとも1つの切削部は、
切削ヘッド前方端から周囲面へ延び、切削ヘッド外径Dを規定し、すくい面と逃げ面の交点に形成された切れ刃を備え、すくい面は、回転方向Bを向いて全体に接線方向に向けられ、切れ刃から遠位であるすくい面第1端を有し、
切削ヘッドは、切削ヘッド後端に対し後方に配置され、切削ヘッドの回転軸Aと一致する回転軸を有する後部円板を備え、後部円板は、切削ヘッド外径Dよりわずかに小さい円板直径dを有する、切削ヘッドが提供される。
【0028】
典型的には、切削ヘッドは、すくい面に近接しかつそれに対して概して斜行する偏向面を備え、偏向面は、切れ刃から遠ざかる方向へすくい面第1端から延び、
偏向面は、偏向面の仮想延長が切削ヘッドの前方の点で回転軸と交差するように、回転軸Aに対して負の鋭軸角αをなし、偏向面の後端が切削部近傍かつ切削ヘッドの後端遠位の周囲面とつながる。
【0029】
本発明をより良く理解し、実際に本発明をどのように実施することができるかを示すために、次に添付図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明によるリーマ切削ヘッドの第1の実施形態の斜視図である。
【図2】図1の切削ヘッドの前方端面図である。
【図3】図1の切削ヘッドの側面図である。
【図4】本発明による切削ヘッドの第2の実施形態の斜視図である。
【図5】本発明による切削ヘッドの第3の実施形態の斜視図である。
【図6】本発明による切削ヘッドの第4の実施形態の斜視図である。
【図7】本発明による切削ヘッドの第5の実施形態の斜視図である。
【図8】本発明による切削ヘッドの第6の実施形態の斜視図である。
【図9】図8の切削ヘッドの前方端面図の一部の拡大図である。
【図10】本発明による切削ヘッドの第7の実施形態の斜視図である。
【図11】図10の切削ヘッドの前方端面図である。
【図12】本発明による切削ヘッドの第8の実施形態の斜視図である。
【図13】本発明による切削ヘッドの第9の実施形態の斜視図である。
【図14】本発明による切削ヘッドの第10の実施形態の斜視図である。
【図15】図14の切削ヘッドの前方端面図である。
【図16】本発明による切削ヘッドを備えるリーマの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
最初に、本発明によるリーマ12(図16に示す)の切削ヘッド10を示す図1から3に注目する。リーマ切削ヘッド10は、工具ホルダに固定式にろう付けされた、工具ホルダの一体化部分として形成することができ、あるいはそれに着脱自在に連結することができる。切削ヘッド10が工具ホルダに固定式にろう付けされるあるいはそれに着脱自在に連結されるとき、切削ヘッド10は、典型的には単一の一体型構造を有し、焼結炭化物粉末を含む。切削ヘッド10が工具ホルダに着脱自在に連結される一実施形態では、切削ヘッド10は、Hechtの特許文献1に開示された方法で取り付けることができる。切削ヘッド10を工具ホルダに着脱自在に連結する他の方法も可能であり、当業者には既知である。
【0032】
切削ヘッド10は、切削ヘッド外径Dを有し、前後方向を規定する回転軸A周りの回転対称性を有する。切削ヘッド10は、切削ヘッド前方端14、切削ヘッド前方端14の遠位の切削ヘッド後端16、およびそれらの間に延びる周囲面18を備える。切削ヘッド10の回転方向Bは回転軸A周りの方向で規定され、説明された実施形態では、切削ヘッド10をその前方端14から見るとき反時計回りである。周囲に均等に分配された陥凹した切削部20は、切削ヘッド前方端14近傍に配置され、切削ヘッド前方端14および周囲面18へ開放されている。
【0033】
ワイピングパッド22は、切削部20のそれぞれから切削ヘッド後端16へ後方に延びる。図1から3に示した実施形態では、ワイピングパッド22は回転軸Aに平行に後方に延びる。しかし、ワイピングパッド22は、例えば図4に示したように、回転軸Aに平行ではない方向で後方に延びてもよい。ワイピングパッド22の目的は、予めドリル加工された孔をリーマ加工する間、孔の円筒度を保ち、切削ヘッドを安定させながら、リーマ加工された孔の表面を滑らかにし、すなわち表面品質を上げ、不連続孔の中で切削ヘッドを正しく案内することである。ワイピングパッド22は、ワイピングパッド22を回転方向Bに誘導するワイピング前縁24と、ワイピング前縁24に対して周囲に沿って後側のワイピング後縁26と、それらの間のワイピング面28とを有する。
【0034】
一実施形態では、ワイピング面28は、切削ヘッド外径Dを超えない直径を有する円筒面上にある。いくつかの実施形態では、ワイピング面28は、回転軸Aに対して0°から0.1°の角度で後方へ次第に細くなってもよい。
【0035】
いくつかの実施形態では、ワイピング前縁24はワイピング後縁26に平行であり、すなわち細長い帯様のワイピング面28を画成する。細長い帯様のワイピング面28は、図1に示すように狭くてよい。しかし、ワイピングパッド122のワイピング前縁および後縁124、126は互いに平行である必要はなく、それらの間に、例えば図5に示すように、可変幅を有する任意のワイピング面128を形成してもよい。図5の実施形態でわかるように、偏向面138はワイピングパッド122につながる。
【0036】
切削部20のそれぞれは、切削ヘッド前方端14から周囲面18へ、後方および半径方向外側方向に延びる切れ刃30を有する。切れ刃30はすくい面32および逃げ面34の交点に形成される。すくい面32は、回転方向Bを向いて全体に接線方向に向けられる。すくい面32は、切れ刃30から切れ刃30の遠位であるすくい面第1端40へ向かって延びる。偏向面38は、すくい面第1端40ですくい面32につながる。切削ヘッド10の前方端面図では、直径方向に対向する切れ刃30の半径方向最外部が、図2に示すように、切削ヘッドの直径を規定する。
【0037】
一実施形態では、偏向面38は平面で、すくい面32に斜行して配向され、すくい面第1端40から全体に切れ刃30から離れる方向かつ、周囲面18の方へ延びることができる。偏向面38は、切削ヘッド10の側面図に示したように、回転軸Aに対して負の軸角αをなし、回転軸Aおよび偏向面38とすくい面第1端40との後端41をも含む仮想平面P内で測定される。すなわち、偏向面38の仮想延長(図3に線C1によって表した仮想延長)は、切削ヘッドの前方の点で回転軸Aと交差する。
【0038】
いくつかの実施形態では、偏向面38は凹面でよい。偏向面38が凹面のとき、角度αは、切削ヘッド10の側面図からわかるように、回転軸Aと偏向面38の平均傾斜を表す線C2との間で測定され、仮想平面P内で測定される。しかし、偏向面38が凹面であるときも、その仮想延長は切削ヘッドの前方の点で回転軸Aに交差する。偏向面38の後端41は、切削部20近傍かつ切削ヘッド10の後端16遠位の周囲面18につながる。すなわち、偏向面38は、切削ヘッド後端16より切削ヘッド前方端14により接近して配置される。
【0039】
偏向面38は、偏向面38の前方端43を通過し半径方向に延びる線Fに直角な線Eに対して0ではない接線角βをなすことができ、これは図2に点Hとして示されている。接線角βは、偏向面38が平面である場合のために規定されていた。しかし角度βは、切削ヘッド10の前方端面図中で、偏向面38の全体的な傾斜を示すことを目的としており、したがって偏向面38が凹面である場合は、角度βは、切削ヘッド10の前方端面図内で上記の様に、線Eと、切削ヘッド10の前方端面図からわかる偏向面38の平均勾配を表す線との間で測定される。
【0040】
すくい面32は、すくい面周縁39で周囲面18につながる。すくい面周縁39は、図4に示すように、ワイピングパッド22のワイピング前縁24と一体化することができる。好ましくは、図1および3に示すように、すくい面32は回転軸Aに対して負の鋭軸角θ傾いている。
【0041】
上記の様な偏向面38およびすくい面32の構成は、切削作業中に形成された切り粉が、切削ヘッド前方端14に向かって前方へ向きを変えることを可能にする。これにより、後方に延びる切り粉溝を研削加工する必要をなくすことができる。有利なことに、本発明による切削工具は、切削ヘッド前方端14から後向きに切り粉を排出する必要がないため、貫通孔をリーマ加工するときに有用である。
【0042】
本発明による偏向面38は単一面で形成する必要はない。例えば、図6に示すように、偏向面38は、切削ヘッド前方端14に連結されそこから後方へ延びる第1の偏向部42と、第1の偏向部42に連結されそこから後方へ延びる第2の偏向部44とを備えることができる。
【0043】
図6でわかるように、偏向面38は、第2の偏向部44でワイピングパッド22につながる。
【0044】
切削ヘッド10が工具ホルダに着脱自在に連結されるとき、図1および7に示すように、切削ヘッド10は、典型的には、切削ヘッド前方端14から切削ヘッド後端16へ延びる孔周囲壁48を有する貫通孔46を備える。貫通孔46は、切削ヘッド後端16近傍、孔周囲壁48上に配置された係合構成50を備える。
【0045】
典型的には、切削ヘッド10の切削部20のそれぞれは、溝側壁54、56およびそれらの間の溝底壁57を有し、全体に半径方向に向けられた溝52を付帯する。溝側壁54、56は、回転軸Aに対して全体に半径方向に延びる。溝52は、切削ヘッドを工具ホルダに締結するための締結キー(図示せず)用の駆動溝として使用することができ、冷却剤を貫通孔46から切削域へ送るために使用することができる。
【0046】
典型的には、2つの近接したワイピングパッド22間の周囲面18は平面であり、周囲部58を構成する。しかし、必要に応じて、図8から9に示すように、周囲部58は、近傍の切れ刃30の後側方向62の第1の周囲部60と、第1の周囲部60の後側68の第2の周囲部66と、第1の周囲部60と第2の周囲部66との間の周囲中間部70とに分割することができる。周囲中間部70は、ワイピングパッド22が回転軸Aから離隔されている距離である切削半径Rより小さい中間距離rだけ回転軸Aから離隔される。あるいは、周囲中間部70を、切削半径Rに等しい中間距離rだけ回転軸Aから離隔することもでき、すなわち、周囲中間部もワイピングパッドとしても使用できる。
【0047】
この構成は潜在的に種々の利点をもたらす。まず、この構成は周囲面18の研削が必要な量を減らすことができ、すなわち切削ヘッド10の製造コストを低減する。2番目に、第1および第2の周囲部60、66は、半径方向で切削半径Rにとどかないため、表面仕上げの程度を落として製造することができ、すなわちその製造コストを低減する。3番目に、2つの連続した切れ刃の間に1つの周囲部だけでなく、2つの周囲部が存在することが、切削ヘッド10とリーマ加工された孔との間の空間72を減らし、したがって切り粉がその間隙に詰まる可能性を減らす。4番目に、この減少された間隙は、切削ヘッドとリーマ加工された孔との間を逃げる冷却剤の量を制限し、したがって冷却効率を上げ、切削ヘッド10の製造コストを低減する。第1の周囲部60の長さL1は、第2の周囲部66の長さL2と同様な寸法にする必要がないため、弦長さ比CR=L1/L2は1以外の値を取ることができる。
【0048】
必要に応じて、図10および11に示すように、具体的な切れ刃30と関係する逃げ面34は、切れ刃30近傍の第1の逃げ面74と、第1の逃げ面74を越えて接線方向に延びる第2の逃げ面76とを備える。第1の逃げ面74は第1の逃げ接線角γを形成し、第2の逃げ面76は第2の逃げ接線角δを形成し、切削ヘッド10の前方端面図で見て、第2の逃げ接線角δは第1の逃げ接線角γより大きい。
【0049】
周囲部58は、図1から11でわかるように、平面である必要はなく、凹面あるいは凸面でよい。例えば、図12は凹面周囲部78を有する切削ヘッドを示し、図13は凸面周囲部80を有する切削ヘッドを示す。
【0050】
図14および15は、切削ヘッド後端16近位でそこから後方へ配置された後部円板82を備えて形成された切削ヘッド10を示す。後部円板82は切削ヘッド10の回転軸Aと一致する回転軸を有する。後部円板82は切削ヘッド外径Dよりわずかに小さい円板直径dを有する。このような構造の目的は、冷却剤が後方へ、切削ヘッド後端16へ通過するのを最小に抑え、すなわち無駄を減らし切削ヘッド10の製造コストを低減することである。
【0051】
図16はリーマ12の切削ヘッド10を示す。切削ヘッド10は、切削ヘッド10の回転軸Aと一致する回転軸を有する工具ホルダ86の前端84に、着脱自在に連結される。
【0052】
本発明をある程度具体的に説明してきたが、添付の特許請求の範囲のとおりの本発明の主旨あるいは範囲から逸脱することなく、種々の変更および改変を行うことができることを理解されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後方向を規定する回転軸(A)を有するリーマの切削ヘッド(10)において、
切削ヘッド前方端(14)と、前記切削ヘッド前方端(14)遠位の切削ヘッド後端(16)と、それらの間の周囲面(18)であって、前記切削ヘッド前方端(14)から後方に延びる少なくとも2つのワイピングパッド(22)を備え、2つの近接したワイピングパッド間の周囲面(18)が周囲部(58)を形成する、周囲面(18)と、
前記切削ヘッド前方端(14)近傍に配置された少なくとも1つの切削部(20)とを具備し、前記少なくとも1つの切削部(20)は、
前記切削ヘッド前方端(14)から後方および半径方向外側方向に前記周囲面(18)へ延び、すくい面(32)と逃げ面(34)の交点に形成されている切れ刃(30)であって、前記すくい面(32)は、全体に接線方向に向けられ、回転方向(B)を向き、前記切れ刃(30)から遠位であるすくい面第1端(40)を有する、切れ刃(30)と、
前記すくい面(32)に近接しかつそれに対して概して斜行し、前記すくい面第1端(40)から、前記切れ刃(30)から離れる方向へ延びる偏向面(38)とを備え、
前記偏向面(38)は、前記偏向面(38)の仮想延長が切削ヘッドの前方の点で前記回転軸(A)と交差するように、前記回転軸(A)に対して鋭軸角(α)をなし、
前記偏向面(38)の後端(41)は、前記切削部(20)近傍かつ切削ヘッド(10)の後端(16)遠位の前記周囲面(18)につながることを特徴とするリーマの切削ヘッド。
【請求項2】
前記偏向面(38、138)はワイピングパッド(22、122)につながることを特徴とする請求項1に記載の切削ヘッド。
【請求項3】
前記偏向面(38)は平面であることを特徴とする請求項1に記載の切削ヘッド。
【請求項4】
前記偏向面(38)は凹面であることを特徴とする請求項1に記載の切削ヘッド。
【請求項5】
前記偏向面(38)は、切削ヘッド(10)の前方端面図で見て、前記偏向面(38)の前方端(43)を通過して半径方向に延びる線(F)に直角な線(E)に対して0でない接線角(β)をなすことを特徴とする請求項1に記載の切削ヘッド。
【請求項6】
前記接線角(β)は鋭角かつ負であることを特徴とする請求項5に記載の切削ヘッド。
【請求項7】
前記すくい面(32)は、切削ヘッド(10)の側面図で見て、前記回転軸(A)に対して負の鋭軸角(θ)傾斜していることを特徴とする請求項1に記載の切削ヘッド。
【請求項8】
前記偏向面(38)は、前記切削ヘッド前方端(14)に連結されかつそこから後方へ延びる第1の偏向部(42)と、前記第1の偏向部(42)に連結されかつそこから後方へ延びる第2の偏向部(44)とを備えることを特徴とする請求項1に記載の切削ヘッド。
【請求項9】
工具ホルダ(86)に着脱自在に連結されることを特徴とする請求項1に記載の切削ヘッド。
【請求項10】
前記切削ヘッド前方端(14)から前記切削ヘッド後端(16)へ延びる孔周囲壁(48)を有する貫通孔(46)を備え、前記貫通孔(46)は、前記切削ヘッド後端(16)近傍、前記孔周囲壁(48)上に配置された係合構成(50)を備えることを特徴とする請求項9に記載の切削ヘッド。
【請求項11】
前記少なくとも1つの切削部(20)は、前記切削ヘッド前方端(14)に配置された全体に半径方向に向けられた溝(52)を備え、前記溝(52)は、溝側壁(54、56)およびそれらの間の溝底壁(57)を有し、前記溝側壁(54、56)は前記回転軸(A)に対して全体に半径方向に延びていることを特徴とする請求項1に記載の切削ヘッド。
【請求項12】
前記ワイピングパッド(22)は、前記切削ヘッド前方端(14)から前記切削ヘッド後端(16)へ延びることを特徴とする請求項1に記載の切削ヘッド。
【請求項13】
前記周囲部(58)は平面であることを特徴とする請求項1に記載の切削ヘッド。
【請求項14】
前記周囲部(58)は凹面であることを特徴とする請求項1に記載の切削ヘッド。
【請求項15】
前記周囲部(58)は凸面であることを特徴とする請求項1に記載の切削ヘッド。
【請求項16】
前記周囲部(58)は、第1の周囲部(60)と、第2の周囲部(66)と、それらの間の周囲中間部(70)とに分割され、前記周囲中間部は、前記ワイピングパッドが前記回転軸(A)から離隔されている切削半径(R)より短い中間距離(r)だけ前記回転軸(A)から離隔されることを特徴とする請求項1に記載の切削ヘッド。
【請求項17】
前記周囲部(58)は、第1の周囲部(60)と、第2の周囲部(66)と、それらの間の周囲中間部(70)とに分割され、前記周囲中間部は、前記ワイピングパッドが前記回転軸(A)から離隔されている切削半径(R)に等しい中間距離(r)だけ前記回転軸(A)から離隔されることを特徴とする請求項1に記載の切削ヘッド。
【請求項18】
前記逃げ面(34)は、前記切れ刃(30)近傍の第1の逃げ面(74)と、前記第1の逃げ面(74)を越えて接線方向に延びる第2の逃げ面(76)とを備え、前記第1の逃げ面(74)は第1の逃げ接線角(γ)を形成し、前記第2の逃げ面(76)は第2の逃げ接線角(δ)を形成し、切削ヘッド(10)の前方端面図で見て、前記第2の逃げ接線角(δ)は前記第1の逃げ接線角(γ)より大きいことを特徴とする請求項1に記載の切削ヘッド。
【請求項19】
前記ワイピングパッド(22)は、ワイピング前縁(24)と、前記ワイピング前縁(24)から周囲に沿って後側のワイピング後縁(26)と、それらの間で切削ヘッド外径(D)を超えない直径を有する円筒面上にあるワイピング面(28)とを備えることを特徴とする請求項1に記載の切削ヘッド。
【請求項20】
前記ワイピング前縁(24)は前記ワイピング後縁(26)に平行であることを特徴とする請求項19に記載の切削ヘッド。
【請求項21】
前記切削ヘッド後端(16)の近位かつ、そこから後方の後部円形板(82)をさらに備え、前記後部円板(82)は、切削ヘッド(10)の回転軸(A)と一致する回転軸を有し、前記後部円板(82)は、切削ヘッド外径(D)よりわずかに小さい円板直径(d)を有することを特徴とする請求項1に記載の切削ヘッド。
【請求項22】
単一の一体構造を有し、焼結炭化物粉末を含むことを特徴とする請求項1に記載の切削ヘッド。
【請求項23】
前後方向を規定する回転軸(A)を有するリーマの切削ヘッド(10)において、
切削ヘッド前方端(14)と、前記切削ヘッド前方端(14)遠位の切削ヘッド後端(16)と、それらの間の周囲面(18)であって、前記切削ヘッド前方端(14)から後方へ延びる少なくとも2つのワイピングパッド(22)を備える周囲面(18)と、
前記切削ヘッド前方端(14)と前記周囲面(18)との間に配置された少なくとも1つの切削部(20)とを具備し、前記少なくとも1つの切削部は、
前記切削ヘッド前方端(14)から前記周囲面(18)へ延び、切削ヘッド外径(D)を規定し、すくい面(32)と逃げ面(34)との交点に形成された切れ刃(30)を備え、前記すくい面(32)は、回転方向(B)を向いて全体に接線方向に向けられ、前記切れ刃(30)から遠位であるすくい面第1端(40)を有し、
切削ヘッド(10)は、前記切削ヘッド後端(16)に対し後方に配置された、切削ヘッド(10)の回転軸(A)と一致する回転軸を有する後部円板(82)を備え、前記後部円板(82)は、前記切削ヘッド外径(D)よりわずかに小さい円板直径(d)を有することを特徴とするリーマの切削ヘッド。
【請求項24】
前記すくい面(32)に近接しかつそれに対して概して斜行する偏向面(38)を備え、前記偏向面(38)は、前記すくい面第1端(40)から、前記切れ刃(30)から離れる方向へ延び、
前記偏向面(38)は、前記偏向面(38)の仮想延長が、前記切削ヘッドの前方の点で前記回転軸(A)と交差するように、前記回転軸(A)に対して負の鋭軸角(α)をなし、前記偏向面(38)の後端(41)は、前記切削部(20)近傍かつ切削ヘッド(10)の後端(16)遠位の前記周囲面(18)につながることを特徴とする請求項23に記載の切削ヘッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公表番号】特表2010−536590(P2010−536590A)
【公表日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−521532(P2010−521532)
【出願日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際出願番号】PCT/IL2008/001080
【国際公開番号】WO2009/024963
【国際公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【出願人】(306037920)イスカーリミテッド (93)
【Fターム(参考)】