説明

リーマペンチ

【課題】 従来の手動式リーマでは、高精度な穴形状を求めるというよりも、素早く穴径を広げる、あるいは複数の穴をつなげて大きな穴を形成する為に用いられることが多いが、このような作業において大きなバリが多数発生し、これを取り除く為にラジオペンチ等を使用することになる。しかし、素早い作業が求められるこのような作業において、工具を頻繁に持ち替えることは大変な作業時間のロスになる。
【解決手段】 挟み具の機能を有する手動式リーマを用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手動式リーマに関する。
【背景技術】
【0002】
穴形状を整える為のリーマとしては、特許文献1のように棒状部の軸方向に沿うように、外周に刃溝が設けられるものがある。
【0003】
【特許文献1】特開2001−113413号公報
【0004】
また、特許文献1のようなリーマにおいて、棒状部が一端に向かって細くなる円錐状であり、棒状部の他端に軸方向に垂直に指掛棒が設けられて、手動で穴径を広げ整えるものが知られている。
【0005】
また、挟み具の中でもペンチやニッパーにおいては、特許文献2のように一対のアーム体の一端に設けられた指掛部を握ることで、一対のアーム体の他端に設けられた挟み部が閉じられるように、一対のアーム体の略中央部に回転中心軸ピンが設けられ、テコの原理を利用して握力よりも強い力を挟み部に発生させるような構造のものが多い。
【0006】
【特許文献2】特開2002−307317号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の手動式リーマでは、高精度な穴形状を求めるというよりも、素早く穴径を広げる、あるいは複数の穴をつなげて大きな穴を形成する為に用いられることが多いが、このような作業において大きなバリが多数発生し、これを取り除く為にラジオペンチ等を使用することになる。しかし、素早い作業が求められるこのような作業において、工具を頻繁に持ち替えることは大変な作業時間のロスになる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実施形態図等を用いて以下に説明するが、これは本発明の内容をより把握しやすいようにする為で、添付の特許請求の範囲を縮小するものではない。
また、各図に記載の符号は数字のみ、あるいは数字とアルファベットの小文字で構成されているが、数字が同一であるということは、互いに対応している部分であることを表す。よって、数字のみの符号は、数字が同一であり数字とアルファベットの小文字で構成される符号を含む。
【0009】
発明1に係る手動式リーマは、例えば図1及び図3のように、
一端1に向かって細くなる円錐状の棒状部と、
前記棒状部の軸方向に沿うように、前記棒状部の外周2に設けられる刃溝3と、
前記棒状部は縦割りに二分割されており、前記二分割された前記棒状部の他端4の一方5及び他方6にそれぞれ設けられる中心軸線7及び中心軸線8と、
前記棒状部の一方5から、中心軸線7に略垂直な方向に設けられる指掛部9と、
前記棒状部の他方6から、中心軸線8に略垂直な方向に設けられる指掛部10と、
を備え、
前記棒状部の一方5及び他方6はそれぞれ中心軸線7及び中心軸線8を中心に揺動可能で、
指掛部9及び指掛部10が近づく方向に揺動させることで、前記棒状部の一方5の分割面11及び前記棒状部の他方6の分割面12が近づく方向に揺動し、分割面11及び分割面12が合わさる、
手動式リーマである。
【0010】
発明2に係る手動式リーマは、例えば図2及び図4のように、
一端1に向かって細くなる円錐状の棒状部と、
前記棒状部の軸方向に沿うように、前記棒状部の外周2に設けられる刃溝3と、
前記棒状部は縦割りに二分割されており、前記二分割された前記棒状部の他端4の一方5及び他方6にそれぞれ設けられる中心軸線7及び中心軸線8と、
前記棒状部の一方5から、中心軸線7に略垂直な方向に設けられる指掛部9と、
前記棒状部の他方6から、中心軸線8に略垂直な方向に設けられる指掛部10と、
を備え、
前記棒状部の一方5及び他方6はそれぞれ中心軸線7及び中心軸線8を中心に揺動可能で、
指掛部9及び指掛部10が遠ざかる方向に揺動させることで、前記棒状部の一方5の分割面11及び前記棒状部の他方6の分割面12が近づく方向に揺動し、分割面11及び分割面12が合わさる、
手動式リーマである。
【0011】
発明3に係る手動式リーマは、発明1から発明2のいずれかの手動式リーマにおいて、例えば図1及び図2のように、
中心軸線7及び中心軸線8は同心である、
手動式リーマである。
【0012】
発明4に係る手動式リーマは、発明1から発明3のいずれかの手動式リーマにおいて、例えば図1から図6のように、
前記棒状部の軸方向に沿うように、分割面11に凹形状15及び分割面12に凸形状18が設けられ、
凹形状15と凸形状18は嵌合可能である、
手動式リーマである。
【発明の効果】
【0013】
以上のように本発明では、棒状部が曲がりにくい断面二次モーメントを維持しながら、分割面11及び分割面12において被挟み物を挟むことが可能となる。
また、分割面11及び分割面12が遠ざかる方向に揺動させることで、棒状部を挿入した穴をより大きく広げることが可能となる。
【0014】
さらに発明3によると、棒状部を細身にすることが容易となる。
【0015】
さらに発明4によると、分割面11及び分割面12を合わせて棒状部を穴に挿入し、回転させて穴を広げている際に、分割面11及び分割面12がずれるのを効果的に防ぐことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に記載の第1実施形態及び第2実施形態において、棒状部の断面形状の実施形態1から棒状部の断面形状の実施形態4のいずれも適用可能である。
【0017】
〔棒状部の断面形状の第1実施形態〕
図3において、棒状部の外周2aには、軸方向に沿う方向に台形状の刃溝3aが2本、切削加工によって設けられており、刃溝3aの縁には角度約90度の刃形状19aが形成されている。
また、棒状部の分割面11a及び分割面12aにはそれぞれV字状溝である凹形状15a及び凹形状16aが設けられており、また、分割面11及び分割面12にはそれぞれ凹形状15a及び凹形状16aに嵌合可能な凸形状18a及び凸形状17aが設けられている。
【0018】
〔棒状部の断面形状の第2実施形態〕
図4において、棒状部の外周2bには、軸方向に沿う方向に半円状の刃溝3bが2本、切削加工によって設けられており、刃溝3bの縁には角度約90度の刃形状19bが形成されている。
また、棒状部の分割面11b及び分割面12bにはそれぞれV字状溝である凹形状15b及び凹形状16bが設けられており、また、分割面11b及び分割面12bにはそれぞれ凹形状15b及び凹形状16bに嵌合可能な凸形状18b及び凸形状17bが設けられている。
【0019】
〔棒状部の断面形状の第3実施形態〕
図5において、棒状部の外周2cには、軸方向に沿う方向にV字状の刃溝3cが12本、切削加工によって設けられており、刃溝3cの縁には角度約90度の刃形状19cが形成されている。
また、棒状部の分割面11c及び分割面12cにはそれぞれV字状溝である凹形状15c及び凹形状16cが設けられており、また、分割面11c及び分割面12cにはそれぞれ凹形状15c及び凹形状16cに嵌合可能な凸形状18c及び凸形状17cが設けられている。
また、12本の刃溝3cのうち2本は分割面11c及び分割面12cを含んでおり、分割面11c及び分割面12cに刃形状19cが形成されている。
【0020】
〔棒状部の断面形状の第4実施形態〕
図6において、棒状部の外周2dには、軸方向に沿う方向にV字状の刃溝3dが2本、切削加工によって設けられており、刃溝3dの縁には角度約90度の刃形状19dが形成されている。
また、棒状部の分割面11d及び分割面12dにはそれぞれV字状溝である凹形状15d及び凹形状16dが設けられており、また、分割面11d及び分割面12dにはそれぞれ凹形状15d及び凹形状16dに嵌合可能な凸形状18d及び凸形状17dが設けられている。
また、2本の刃溝3dは分割面11d及び分割面12dを含んでおり、分割面11d及び分割面12dに刃形状19dが形成されている。
【0021】
〔第1実施形態〕
図1及び図3において、棒状部の他端4aの一方5aから伸びる棒状の指掛部9aは、棒状部と一体に鍛造成型された鉄製である。ここで、一体成型でなくても別に成型後、溶接や嵌合等によって接合されても良いし、リンク機構やカム機構等の倍力機構を介して接続されても良い。
また、棒状部の他端4aの一方5aには中心軸線7aが設けられており、この中心軸線7aに沿うように貫通穴が開けられている。
また、棒状の指掛部9aの根元付近には、中心軸線7aに平行な方向に穴が設けられている。
【0022】
また、棒状部の他方6a、指掛部10a及び中心軸線8a等から構成される部材は、棒状部の一方5a、指掛部9a及び中心軸線7a等から構成される部材と同一形状であり、棒状部の軸中心に180度回転させ、中心軸線7a及び中心軸線8aが同心となるように交差させて組み合わせ、軸ピン21aを棒状部の他端4aの一方5a及び他方6aに設けられた穴を同時に貫通するように挿入し、軸ピン21aを中心に両部材が相対揺動可能となっている。
【0023】
また、分割面11a及び分割面12aが開く方向に付勢する付勢部材20aであるネジリコイルバネの両端には輪状部が設けられており、それぞれ指掛部9aの穴及び指掛部10aの穴に圧入嵌合される軸ピン13a及び軸ピン14aに回転可能に係止されている。
【0024】
〔第2実施形態〕
図2及び図4において、棒状部の他端4bの一方5bから伸びる棒状の指掛部9bは、棒状部と一体に鍛造成型された鉄製である。ここで、一体成型でなくても別に成型後、溶接や嵌合等によって接合されても良いし、リンク機構やカム機構等の倍力機構を介して接続されても良い。
また、棒状部の他端4bの一方5bには中心軸線7bが設けられており、この中心軸線7bに沿うように貫通穴が開けられている。
また、棒状の指掛部9bの根元付近には、中心軸線7bに平行な方向に穴が設けられている。
【0025】
また、棒状部の他方6b、指掛部10b及び中心軸線8b等から構成される部材は、棒状部の一方5b、指掛部9b及び中心軸線7b等から構成される部材と同一形状であり、棒状部の軸中心に180度回転させ、中心軸線7b及び中心軸線8bが同心となるように並べて組み合わせ、軸ピン21bを棒状部の他端4bの一方5b及び他方6bに設けられた穴を同時に貫通するように挿入し、軸ピン21bを中心に両部材が相対揺動可能となっている。
【0026】
また、分割面11b及び分割面12bが閉じる方向に付勢する付勢部材20bであるネジリコイルバネの両端には輪状部が設けられており、それぞれ指掛部9bの穴及び指掛部10bの穴に圧入嵌合される軸ピン13b及び軸ピン14bに回転可能に係止されている。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】第1実施形態の手動式リーマの動作を2段階で表す図
【図2】第2実施形態の手動式リーマの動作を2段階で表す図
【図3】第1実施形態を図1の線分A−Aで切断して見た断面図
【図4】第2実施形態を図2の線分B−Bで切断して見た断面図
【図5】図3及び図4の断面図に記載の断面形状以外の断面形状例図、その1
【図6】図3及び図4の断面図に記載の断面形状以外の断面形状例図、その2
【符号の説明】
【0028】
1 一端
2 外周
3 刃溝
4 他端
5 一方
6 他方
7,8 中心軸線
9,10 指掛部
11,12 分割面
13,14,21 軸ピン
15,16 凹形状
17,18 凸形状
19 刃形状
20 付勢部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端に向かって細くなる円錐状の棒状部と、
前記棒状部の軸方向に沿うように、前記棒状部の外周に設けられる刃溝と、
前記棒状部は縦割りに二分割されており、前記二分割された前記棒状部の他端の一方及び他方にそれぞれ設けられる第1中心軸線及び第2中心軸線と、
前記棒状部の一方から、前記第1中心軸線に略垂直な方向に設けられる第1指掛部と、
前記棒状部の他方から、前記第2中心軸線に略垂直な方向に設けられる第2指掛部と、
を備え、
前記棒状部の一方及び他方はそれぞれ前記第1中心軸線及び前記第2中心軸線を中心に揺動可能で、
前記第1指掛部及び前記第2指掛部が近づく方向に揺動させることで、前記棒状部の一方の第1分割面及び前記棒状部の他方の第2分割面が近づく方向に揺動し、前記第1分割面及び前記第2分割面が合わさる、
手動式リーマ。
【請求項2】
一端に向かって細くなる円錐状の棒状部と、
前記棒状部の軸方向に沿うように、前記棒状部の外周に設けられる刃溝と、
前記棒状部は縦割りに二分割されており、前記二分割された前記棒状部の他端の一方及び他方にそれぞれ設けられる第1中心軸線及び第2中心軸線と、
前記棒状部の一方から、前記第1中心軸線に略垂直な方向に設けられる第1指掛部と、
前記棒状部の他方から、前記第2中心軸線に略垂直な方向に設けられる第2指掛部と、
を備え、
前記棒状部の一方及び他方はそれぞれ前記第1中心軸線及び前記第2中心軸線を中心に揺動可能で、
前記第1指掛部及び前記第2指掛部が遠ざかる方向に揺動させることで、前記棒状部の一方の第1分割面及び前記棒状部の他方の第2分割面が近づく方向に揺動し、前記第1分割面及び前記第2分割面が合わさる、
手動式リーマ。
【請求項3】
前記第1中心軸線及び前記第2中心軸線は同心である、
請求項1から請求項2のいずれかに記載の手動式リーマ。
【請求項4】
前記棒状部の軸方向に沿うように、前記第1分割面に凹形状及び前記第2分割面に凸形状が設けられ、
前記凹形状と前記凸形状は嵌合可能である、
請求項1から請求項3のいずれかに記載の手動式リーマ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−341371(P2006−341371A)
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【公開請求】
【出願番号】特願2006−221743(P2006−221743)
【出願日】平成18年8月16日(2006.8.16)
【出願人】(504474323)
【Fターム(参考)】