説明

リール脚固定装置

【課題】本発明は、グリップ部材の端部の剥離を確実に防止することができ、外観が良好で手で握り易いリール脚固定装置を得ることにある。
【解決手段】リール脚固定装置2は、リール脚3を支持する筒状のリールシート本体5と、リールシート本体5よりも軟質な材料で形成されて、リールシート本体5の外面を被覆するグリップ部材20と、を備えている。グリップ部材20の端部23とリールシート本体5との接触部分に、リールシート本体5の径方向に相対的に引っ掛かる嵌合部31,40,50が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、魚釣用リールのリール脚を支持するリールシート本体を、軟質なグリップ部材で被覆したリール脚固定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
釣竿は、元竿管の手元側に魚釣用リ−ルを固定するリール脚固定装置を備えている。リール脚固定装置は、リール脚を受け止める載置面が形成された筒状のリールシート本体と、リールシート本体にリール脚を固定する固定フードおよび移動フードとを有している。
【0003】
固定フードは、リールシート本体に一体に形成されて、載置面に対する位置が固定的に定められている。移動フードは、固定フードに近づいたり遠ざかる方向に移動可能にリールシート本体に支持されている。この移動フードを移動させることで、リール脚を固定フードとの間で挟み込んだり、リール脚の挟み込みを解除することができ、魚釣用リールをリールシート本体に対し取り外し可能に固定できる。
【0004】
ところで、実際に魚釣りをする際に、釣人は、片手でリールシート本体とリール脚との固定部分を包み込むようにしてリールシート本体を握り、釣竿を操作することになる。従来のリール脚固定装置では、リールシート本体を手で握った時のフィット感を高めたり、手の滑りを防止するため、リールシート本体のうち少なくとも手で握る領域を軟質なグリップ部材で被覆している。
【0005】
特許文献1および特許文献2は、リールシート本体の外面をグリップ部材で被覆したリール脚固定装置を開示している。グリップ部材は、ウレタンあるいはスチレン系の熱可塑性エラストマーのような弾性材料で形成されており、リールシート本体の外面に接着等の手段により固定されている。
【特許文献1】特開2003−274813号公報
【特許文献2】特開平9−275857号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のリール脚固定装置によると、グリップ部材の前端又は後端は、リールシ−ト本体の周方向に連続しておらず、リールシート本体の外面の一部を覆っているに止まっている。さらに、例えばデザイン的な要求により、グリップ部材の前端又は後端を先細り状に形成した場合、グリップ部材の前端又は後端では、グリップ部材とリールシート本体との接触面積が少なくなる。
【0007】
特に、グリップ部材の前端又は後端が先細りの形状をなしていると、ここに指先が引っ掛かる虞がある。この結果、グリップ部材の前端又は後端がリールシート本体の外面から剥離し易くなり、これが原因でリール脚固定装置の外観に悪影響が生じたり、リールシート本体を手で握る際の妨げとなるといった不具合が生じてくる。
【0008】
本発明の目的は、グリップ部材の端部の剥離を確実に防止することができ、外観が良好で握り易いリール脚固定装置を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の一つの形態に係るリール脚固定装置は、
リール脚を支持する筒状のリールシート本体と、
上記リールシート本体よりも軟質な材料で形成されて、上記リールシート本体の外面を被覆するグリップ部材と、を備えており、
上記グリップ部材の端部と上記リールシート本体との接触部分に、上記リールシート本体の径方向に相対的に引っ掛かる嵌合部を設けたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、嵌合部の存在により、グリップ部材の端部がリールシート本体の外面に引っ掛かった状態に保持される。そのため、グリップ部材の端部がリールシート本体の外面から剥離するのを防止でき、長期の使用においてもリール脚固定装置の外観品質や把持性を良好に保つことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下本発明の第1の実施の形態を、図1ないし図8に基づいて説明する。
【0012】
図1ないし図3は、釣竿の元竿管1に固定されたリール脚固定装置2を開示している。リール脚固定装置2は、元竿管1に魚釣用リールのリール脚3を取り外し可能に固定するためのものである。リール脚3は、元竿管1の軸方向に延びる連結部4を備えている。連結部4は、円弧状に湾曲する断面形状を有している。
【0013】
リール脚固定装置2は、元竿管1が貫通する円筒状のリールシート本体5を備えている。リールシート本体5は、例えばポリアミド、ABS樹脂、ポリエチレンのような硬質な合成樹脂材料により形成されている。リールシート本体5は、元竿管1に接着等の手段により固定されている。
【0014】
リールシート本体5は、リール脚3の連結部4を受け止める載置面7と、載置面7の前方に位置する筒状部8と、載置面7の後方に位置する雄ねじ部9とを一体に備えている。載置面7、筒状部8および雄ねじ部9は、元竿管1の軸方向に一列に並んでいる。
【0015】
図3および図4に示すように、載置面7は、リールシート本体5の下面に露出するとともに、このリールシート本体5の軸方向に延びている。さらに、載置面7は、リール脚3の連結部4の曲率に沿うように円弧状に湾曲している。
【0016】
載置面7の前端と筒状部8との境界部分に固定フード10が一体に形成されている。固定フード10は、載置面7よりもリールシート本体5の下方に向けて張り出している。固定フード10は、リール脚3の連結部4の一端4aが挿入されるスリット状の開口11を有している。開口11は、載置面7の後方に向けて開口している。
【0017】
雄ねじ部9は、載置面7の後端部から筒状部8と同軸状に突出している。雄ねじ部9の外周に移動フード13が配置されている。移動フード13は、円筒状のフード本体14とナット部材15とを備えている。
【0018】
フード本体14は、その前端部に膨出部16を有している。膨出部16は、載置面7よりもリールシート本体5の下方に向けて張り出している。膨出部16は、リール脚3の連結部4の他端4bが挿入されるスリット状の開口17を有している。開口17は、載置面7の前方に向けて開口している。
【0019】
そのため、固定フード10と移動フード13とは、載置面7を間に挟んで互いに向かい合っている。
【0020】
ナット部材15は、フード本体14の後端部に同軸状に連結されて、このフード本体14と一体化されている。ナット部材15は、リールシート本体5の雄ねじ部9にねじ込まれている。このねじ込みにより、移動フード13は固定フード10に近づいたり遠ざかる方向に移動可能にリールシート本体5に支持されている。
【0021】
リール脚3の連結部4の一端4aは、固定フード10の開口11に挿入されて、この固定フード10と載置面7との間で保持されている。リール脚3の連結部4の他端4bは、移動フード13を固定フード10に向けて移動させることで、フード本体14の膨出部16と載置面7との間で保持される。
【0022】
したがって、リール脚3は、固定フード10と移動フード13との間でリールシート本体5の軸方向に挟み込まれるとともに、両方のフード10,13を介して載置面7に押し付けられるような力を受ける。これにより、魚釣用リールがリールシート本体5の定位置に固定されるようになっている。
【0023】
載置面7に対する固定フード10および移動フード13の位置関係は、第1の実施の形態に特定されるものではない。例えば載置面7の前端に移動フード13を配置するとともに、載置面7の後端に固定フード10を配置してもよい。
【0024】
図1に示すように、実際に魚釣を行う場合、釣人は、リール脚3を固定したリールシート本体5を片手で把持する。具体的には、片方の手の親指f1をリールシート本体5の筒状部8に押し当てた状態で、人差し指f2、中指f3および薬指f4でリールシート本体5を握るとともに、小指f5を移動フード13のフード本体14に掛ける。この際、人差し指f2
は、筒状部8に下方から巻きつけられて、固定フード10に接している。中指f3および薬指f4は、リールシート本体5に巻きつけられて、リール脚3の連結部4を下方から押さえるとともに、リール脚3を挟み込んでいる。
【0025】
そのため、釣人は、リールシート本体5とリール脚3との固定部分を片手で包み込むようにして釣竿を操作することになる。
【0026】
図1ないし図4に示すように、リールシート本体5の外面うち少なくとも釣人が手で握る領域は、リールシート5よりも軟質なグリップ部材20で被覆されている。グリップ部材20は、手で握った時のフィット感に優れ、かつ手が滑り難い材料、例えばウレタン系、スチレン系、オレフィン系の熱可塑性エラストマーあるいは合成ゴムのようなゴム状弾性体で形成するのが好ましく、さらにポリウレタン、塩化ビニルのような熱可塑性樹脂を用いることもできる。
【0027】
本実施の形態では、グリップ部材20は、例えば二色成形機を用いてリールシート本体5と一体的に射出成形されている。そのため、リールシート本体5とグリップ部材20とは、互いに密着している。
【0028】
グリップ部材20は、二色成形機を用いた射出成形によって成形することに限らず、例えばインサート成形によって成形するようにしてもよい。さらに、リールシート本体5とグリップ部材20とを個別に成形した後、これら両者を組み合わせて互いに接着してもよい。
【0029】
図4に示すように、グリップ部材20は、本体部21と延出部22とを備えている。本体部21は、固定フード10の前方から載置面7の反対側にかけての領域をリールシート本体5の周方向に連続して覆うような筒状をなしている。
【0030】
本体部21は、リールシート本体5を手で握った時に、人差し指f2の腹が接する第1の領域21aと、手のひら、中指f3の指先および薬指f4の指先が接する第2の領域21bとを有している。
【0031】
第1の領域21aは、固定フード10よりも前方に位置している。第1の領域21aは、固定フード10の前方に進むに従いリールシート本体5の周方向に沿う寸法が逐次減少するような先細りの形状を有している。このため、図4(B)に示すように、本体部21の前端部23の幅Wは、リールシート本体5の筒状部8の直径Dよりも小さい。
【0032】
さらに、本体部21の第1の領域21aに複数の第1の窪み部24が形成されている。第1の窪み部24は、例えばリールシート本体5の周方向に沿う溝状をなすとともに、リールシート本体5の軸方向に間隔を存して並んでいる。
【0033】
本体部21の第2の領域21bは、載置面7の反対側に位置している。第2の領域21bに複数の第2の窪み部25が形成されている。第2の窪み部25は、例えば円形の小さな凹みであって、第2の領域21bの広範囲に亘ってマトリクス状に分散して配置されている。
【0034】
グリップ部材20の本体部21は、第2の領域21bの左右の側縁部から載置面7に向けて延びる一対の側部26a,26bを有している。グリップ部材20の延出部22は、側部26a,26bの間に跨るように載置面7の上を横切るとともに、リールシート本体5およびリール脚3の連結部4の曲率に沿うように湾曲している。このため、延出部22に対応する位置では、グリップ部材20は、延出部22と協働してリールシート本体5を周方向に連続して取り囲んでいる。
【0035】
さらに、延出部22は、載置面7を全面的に覆うことなく載置面7の一部のみを覆っている。このことから、延出部22は、載置面7にリール脚3の連結部4を固定した時に、連結部4の一端4aと他端4bとの間に位置している。
【0036】
図5に最もよく示されるように、リールシート本体5の外面のうち、グリップ部材20で被覆される領域に嵌合凹部27が形成されている。嵌合凹部27は、グリップ部材20の本体部21がきっちりと嵌まり込むように、本体部21と同形状に凹んでいるとともに、リールシート本体5の外面に位置する開口縁部28を有している。
【0037】
本実施の形態によると、本体部21の厚みと嵌合凹部27の深さとは同等となっている。この結果、本体部21は、リールシート本体5の外面と面一となるように嵌合凹部27に埋め込まれており、リールシート本体5を手で握った時に違和感が生じることはない。
【0038】
加えて、本実施の形態では、凹所27の開口縁部28とグリップ部材20の本体部21との境界部分および本体部21と側部26a,26bとの境界部分にライン上の窪み29が形成されている。窪み29は、リール脚固定装置2の外観上の一つのアクセントとなるとともに、滑り止めを兼ねている。
【0039】
図5に示すように、リールシート本体5の嵌合凹部27は、載置面7に位置する凹所27aを含んでいる。凹所27aは、グリップ部材20の延出部22に対応するように、載置面7をリールシート本体5の径方向に横切っている。グリップ部材20の延出部22は、凹部27aにきっちりと嵌まり合うとともに、載置面7から僅かに突出している。
【0040】
図6ないし図8に示すように、グリップ部材20の本体部21の前端部23とリールシート本体5の嵌合凹部27との接触部分に嵌合部31が形成されている。嵌合部31は、貫通孔32とアンカー部33とを備えている。
【0041】
貫通孔32は、リールシート本体5の嵌合凹部27の底面に形成されて、グリップ部材20の前端部23よりも固定フード10の方向にずれている。貫通孔32は、リールシート本体5の筒状部8を貫通して筒状部8の内面に開口している。
【0042】
さらに、筒状部8の内面に嵌合溝34が形成されている。嵌合溝34は、リールシート本体5の軸方向に延びるとともに、貫通孔32の上を横切っている。このため、貫通孔32は、嵌合凹部27の底面および嵌合溝34に開口する円形の開口縁部32aを有している。
【0043】
アンカー部33は、グリップ部材20の前端部23に一体に形成されている。アンカー部33は、第1の部分35と第2の部分36とを備えている。
【0044】
第1の部分35は、リールシート本体5の貫通孔32に嵌まり込んでいる。第2の部分36は、第1の部分35よりも大きな形状を有している。第2の部分36は、嵌合溝34の一端に入り込むとともに、グリップ部材20の前端部23との間で貫通孔32の開口縁部32aをリールシート本体5の径方向に挟み込んでいる。
【0045】
このため、貫通孔32とアンカー部33とは、リールシート本体5の径方向に相対的に引っ掛かっており、グリップ部材20の前端部23を嵌合凹部27の底面に沿うように保持している。
【0046】
図7に示すように、アンカー部33の第2の部分36は、リールシート本体5の軸方向に延びる帯状の延長部37を一体に有している。延長部37は、第2の部分36と一緒に嵌合溝34に嵌まり込んでいる。
【0047】
このため、延長部37を含む第2の部分36は、リールシート本体5の内側に露出されて、リールシート本体5と元竿管1との間に介在されている。本実施の形態では、第2の部分36および延長部37は、元竿管1にリールシート本体5を接着する際に、このリールシート本体5と一緒に元竿管1に接着されている。
【0048】
魚釣用リールのリール脚3をリールシート本体5に固定するには、まず、リール脚3の連結部4をリールシート本体5の載置面7に導き、連結部4の一端4aを固定フード10の開口11に挿入する。
【0049】
次に、移動フード13のナット部材15を締め付け方向に回転させる。この回転により、フード本体14がナット部材15と一緒に固定フード10に近づく方向に移動し、フード本体14の膨出部16が連結部4の他端4bに被さる。ナット部材15をさらに締め付けていくと、リール脚3の連結部4が固定フード10と移動フード13との間で挟み込まれるとともに、これら両フード10,13を介して載置面7に向けて押圧される。
【0050】
載置面7の一部は、グリップ部材20の延出部22によって覆われている。延出部22は、載置面7から僅かに突出しているので、リール脚3の連結部4が固定フード10および移動フード13を介して載置面7に押し付けられると、延出部22がリールシート本体5と連結部4との間で圧縮されて、連結部4に弾性的に密着する。
【0051】
この結果、リール脚3の連結部4と延出部22との接触部分に外部からの負荷に対抗し得るような摩擦力が付与される。よって、リール脚3は、固定フード10、移動フード13およびグリップ部材20の延出部22によってリールシート本体5の載置面7に強固に保持される。
【0052】
このような本発明の第1の実施の形態によれば、グリップ部材20の前端部23に位置するアンカー部33がリールシート本体5の貫通孔32に嵌まり込み、このアンカー部33がグリップ部材20の前端部23と協働して貫通孔32の開口縁部32aをリールシート本体5の径方向に挟み込んでいる。
【0053】
言い換えると、貫通孔32とアンカー部33とがリールシート本体5の径方向に相対的に引っ掛かり、グリップ部材20の前端部23を嵌合凹部27の底面に沿うように保持している
このため、グリップ部材20の前端部23が固定フード10の前方に進むに従い先細りの形状を有するにも拘らず、このグリップ部材20の前端部23が嵌合凹部27の底面から剥離し難くなる。よって、長期に亘る使用においても、リール脚固定装置2の外観品質や把持性を良好に維持することができる。
【0054】
しかも、第1の実施の形態によると、アンカー部33の第2の部分36は、リールシート本体5の軸方向に延びる帯状の延長部37を有し、この延長部37がリールシート本体5の内面の嵌合溝34に嵌まり込んでいる。そのため、アンカー部33とリールシート本体5との接触面積が増大し、リールシート本体5に対するアンカー部33の密着力が増大する。
【0055】
それとともに、延長部37を含む第2の部分36は、リールシート本体5の内側に露出されて、このリールシート本体5と一緒に元竿管1に接着されている。この結果、アンカー部33をリールシート本体5に強固に固定することができ、グリップ部材20の前端部23の剥離をより確実に防止できる。
【0056】
さらに、アンカー部33は、グリップ部材20の前端部23とリールシート本体5の嵌合凹部27の底面との間に位置するので、アンカー部33と貫通孔32との嵌合部分をグリップ部材20の前端部23で覆い隠すことができる。同様に、アンカー部33の延長部37にしても、リールシート本体5の内側に位置するので、この延長部37をリールシート本体5によって覆い隠すことができる。
【0057】
したがって、グリップ部材20の前端部23の剥離を防止する構成要素がリール脚固定装置2の外から見えなくなり、リール脚固定装置2の外観的な面でも好都合となる。
【0058】
なお、本発明は上記第1の実施の形態に特定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々変形して実施可能である。
【0059】
例えば、図9ないし図11は本発明の第2の実施の形態を開示している。
【0060】
この第2の実施の形態は、グリップ部材20の前端部23とリールシート本体5の嵌合凹部27との接触部分に形成される嵌合部40の構成が上記第1の実施の形態と相違しており、これ以外のリール脚固定装置2の構成は、基本的に第1の実施の形態と同様である。
【0061】
図9および図10に示すように、嵌合部40は、リールシート本体5に形成されたアンダーカット部41と、グリップ部材20の前端部23に形成された抜け止め部42とを備えている。
【0062】
アンダーカット部41は、グリップ部材20の前端部23に対応するように、嵌合凹部27の前端に位置している。アンダーカット部41は、嵌合凹部27の前端においてリールシート本体5の肉が削られて溝のように窪んでいる。さらに、アンダーカット部41は、嵌合凹部27の開口縁部28からリールシート本体5の内面に向けて傾斜する傾斜面43を有している。そのため、アンダーカット部41は、嵌合凹部27の周囲に向けて先細り状に尖っている。
【0063】
抜け止め部42は、グリップ部材20の前端部23から張り出している。抜け止め部42は、アンダーカット部41の傾斜面43に対応する係止面44を有している。このことから、抜け止め部42は、アンダーカット部41にきっちりと嵌まり込むように先細り状に尖っており、その係止面44が傾斜面43に接している。
【0064】
このような第2の実施の形態によれば、グリップ部20の前端部から張り出す抜け止め部42が嵌合凹部27の前端のアンダーカット部41に嵌まり込み、アンダーカット部41の傾斜面43と抜け止め部42の係止面44とがリールシート本体5の径方向に互いに重なり合っている。
【0065】
したがって、グリップ部材20の前端部23がリールシート本体5のアンダーカット部41によって嵌合凹部27の底面に沿うように保持され、グリップ部材20の前端部23が嵌合凹部27の底面から剥離し難くなる。
【0066】
図12ないし図14は、本発明の第3の実施の形態を開示している。
【0067】
この第3の実施の形態は、グリップ部材20の前端部23とリールシート本体5の嵌合凹部27との接触部分に形成される嵌合部50の構成が上記第1の実施の形態と相違しており、これ以外のリール脚固定装置2の構成は、基本的に第1の実施の形態と同様である。
【0068】
図12および図13に示すように、嵌合部50は、嵌合凹部27の底面の前端部から突出する凸部51と、グリップ部材20の前端部23に形成された嵌合孔52とを備えている。
【0069】
図14に示すように、凸部51は、リールシート本体5の周方向に沿う細長い形状であるとともに、その付け根から突出端の方向に進むに従い次第に拡開されている。このため、凸部51の外周部は、嵌合凹部27の底面から遠ざかるに従い拡開するように傾斜する傾斜面53をなしている。
【0070】
嵌合孔52は、凹部の一例であって、グリップ部材20の前端部23を貫通している。嵌合孔52の内面は、凸部51の傾斜面53に対応する係止面54をなしており、この係止面54が傾斜面53に接している。このため、傾斜面53と係止面54との接触部分は、リールシート本体5の軸線O1に対し傾斜している。
【0071】
このような第3の実施の形態によれば、嵌合凹部27の底面から突出する凸部51がグリップ部20の前端部に位置する嵌合孔52に嵌まり込み、凸部51の傾斜面53と嵌合孔52の係止面54とがリールシート本体5の径方向に互いに重なり合っている。
【0072】
この結果、グリップ部材20の前端部23が凸部51によって嵌合凹部27の底面に沿うように保持され、グリップ部材20の前端部23が嵌合凹部27の底面から剥離し難くなる。
【0073】
なお、第3の実施の形態において、上記嵌合孔52の代わりに底を有する凹部をグリップ部材20の前端部23に形成し、この凹部に凸部51を嵌合させるようにしてもよい。
【0074】
この構成によれば、凹部の底で凸部51の突出端を覆い隠すことができる。このため、グリップ部材20の前端部23の剥離を防止する構成要素がリール脚固定装置2の外から見えなくなり、リール脚固定装置2の外観が良好となる。
【0075】
上記各実施の形態では、グリップ部材の前端部とリールシート本体との接触部分に剥離防止用の嵌合部を設けたが、本発明はこれに制約されない。例えば、グリップ部材の後端部が先細り状の形状を有する場合、このグリップ部材の後端部とリールシート本体との接触部分に剥離防止用の嵌合部を設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の第1の実施の形態において、リール脚が固定されたリール脚固定装置を手で握った状態を示す側面図。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係るリール脚固定装置の側面図。
【図3】(A)は、本発明の第1の実施の形態に係るリール脚固定装置の一部を断面で示す側面図。(B)は、図3(A)のF3-F3線に沿う断面図。
【図4】(A)は、グリップ部材で被覆された本発明の第1の実施の形態に係るリールシート本体の側面図。(B)は、グリップ部材で被覆された本発明の第1の実施の形態に係るリールシート本体の底面図。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係るリールシート本体の斜視図。
【図6】本発明の第1の実施の形態において、グリップ部材のアンカー部、リールシート本体の貫通孔および元竿管との位置関係を示す断面図。
【図7】図6のF7部を拡大して示す断面図。
【図8】図6のF8-F8線に沿う断面図。
【図9】本発明の第2の実施の形態において、リールシート本体とグリップ部材の前端部との接触部分の構造を示す断面図。
【図10】図9のF10の部分を拡大して示す断面図。
【図11】本発明の第2の実施の形態において、リールシート本体とグリップ部材の前端部との位置関係を示す平面図。
【図12】本発明の第3の実施の形態において、リールシート本体とグリップ部材の前端部との接触部分の構造を示す断面図。
【図13】図12のF13の部分を拡大して示す断面図。
【図14】本発明の第3の実施の形態において、リールシート本体とグリップ部材の前端部との位置関係を示す平面図。
【符号の説明】
【0077】
2…リール脚固定装置、3…リール脚、5…リールシート本体、20…グリップ部材、31,40,50…嵌合部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リール脚を支持する筒状のリールシート本体と、
上記リールシート本体よりも軟質な材料で形成されて、上記リールシート本体の外面を被覆するグリップ部材と、を具備し、
上記グリップ部材の端部と上記リールシート本体との接触部分に、上記リールシート本体の径方向に相対的に引っ掛かる嵌合部を設けたことを特徴とするリール脚固定装置。
【請求項2】
請求項1の記載において、上記嵌合部は、上記リールシート本体に形成された貫通孔と、上記グリップ部材の端部に形成され、上記貫通孔に嵌合するとともに上記グリップ部材の端部との間で上記貫通孔の開口縁部を挟み込むアンカー部と、を備えていることを特徴とするリール脚固定装置。
【請求項3】
請求項2の記載において、上記グリップ部材のアンカー部は、上記リールシート本体の内側に露出されて、上記リールシート本体を貫通する竿管に接着されていることを特徴とするリール脚固定装置。
【請求項4】
請求項3の記載において、上記グリップ部材のアンカー部は、上記リールシート本体の軸方向に延びる延長部を有し、この延長部は、上記リールシート本体と上記竿管との間に介在されていることを特徴とするリール脚固定装置。
【請求項5】
請求項1の記載において、上記嵌合部は、上記グリップ部材の端部に対応するように上記リールシート本体に形成されたアンダーカット部と、上記グリップ部材の端部に形成され、上記アンダーカット部に入り込む抜け止め部と、を備えていることを特徴とするリール脚固定装置。
【請求項6】
請求項5の記載において、上記リールシート本体は、上記グリップ部材が埋め込まれる凹部を含み、この凹部は、上記リールシート本体の外面に開口する開口縁部を有するとともに、上記アンダーカット部は、上記凹部の開口縁部に形成されていることを特徴とするリール脚固定装置。
【請求項7】
請求項1の記載において、上記嵌合部は、上記リールシート本体から突出する凸部と、上記凸部に対応するように上記グリップ部材の端部に形成された凹部とを含み、上記凸部と上記凹部とは、上記リールシート本体の径方向に相対的に引っ掛かることを特徴とするリール脚固定装置。
【請求項8】
請求項7の記載において、上記凸部と上記凹部との接触部分は、上記リールシート本体の径方向外側に進むに従い上記リールシート本体の軸線に対し傾斜していることを特徴とするリール脚固定装置。
【請求項9】
請求項1ないし請求項8のいずれかの記載において、上記グリップ部材の端部は、先細りの形状を有することを特徴とするリール脚固定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2008−29298(P2008−29298A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−208957(P2006−208957)
【出願日】平成18年7月31日(2006.7.31)
【出願人】(000002495)ダイワ精工株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】