説明

ルイサイトの無害化処理法

【課題】 ルイサイトをアルカリ溶液と接触させることにより分解して無害化する際に、発生するアセチレンガスによる爆発を回避して安全に処理できる方法を確立すること。
【解決手段】 アルカリ溶液が存在する反応器へ希釈ガスと共にルイサイトを送って反応させ、ルイサイトを無害化する方法において、上記反応器へのルイサイトの供給速度をF(kg/h)、希釈ガスの供給速度をV(Nm3/h)としたとき、これらFとVが下記(1)式の関係を満たす様に制御する。
V>4.21×F……(1)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はルイサイトの無害化処理法に関し、より詳細には、ルイサイトをアルカリ溶液と接触させることにより分解して無害化処理する際に、発生するアセチレンガスによる爆発を回避して安全に処理できる様に改善された無害化処理法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ルイサイトとは、化学式(ClCH=CH)2AsClで示される有機砒素化合物であり、呼吸による吸入、経皮吸収(液体または蒸気)、経口摂取などによって人体に重大な損傷を与えることから、戦時中に化学兵器として開発された揮発性の有毒物質であり、最近、ある地域で過去の投棄・埋蔵物が発見されるに及び、その発見と無害化処理が急がれている。
【0003】
ルイサイトは上記の様に戦中・前の忌むべき有害な遺物であって、その処理法自体が汎用化されている訳ではないが、代表的な方法としては、燃焼法と水酸化ナトリウム水溶液を用いた脱塩素処理法が挙げられる。このうち燃焼法は、ルイサイトが分子中に多量の塩素を含むことから、ダイオキシン発生による2次公害の恐れがある。
【0004】
他方、水酸化ナトリウム水溶液を用いた脱塩素処理法は、ルイサイトの分解反応が非常に速く迅速処理が可能であるという利点の反面、多量のアセチレンガスが発生するため爆発の危険があり、且つ反応熱も大きいため突沸や飛散の恐れがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記の様な事情に着目してなされたものであって、その目的は、水酸化ナトリウムの如きアルカリ溶液を使用し、ルイサイトを安全な方法で効率よく無害化することのできる方法を確立することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決することのできた本発明に係るルイサイトの無害化処理法とは、ルイサイトをアルカリ溶液と接触させて分解し無害化するに当たり、アルカリ溶液が装入された反応器内へルイサイトを連続的もしくは間欠的に導入しつつ反応系に希釈用ガスを吹き込み、反応によって生成するアセチレンガスを希釈しながら分解反応を進めるところに特徴を有している。
【0007】
上記無害化処理法を実施する際には、1)反応器内へ吹き込む希釈ガスとして不活性ガスを使用し、該反応器から不活性ガスと共に排出される排出ガスに空気を混入することにより、該排出ガスのアセチレンガス濃度を爆発限界濃度未満に保ちながら分解反応を進め、或いは、2)反応器内へ吹き込む希釈ガスとして空気を使用し、反応系内のアセチレンガス濃度を爆発限界濃度未満に保ちながら分解反応を進めれば、反応によって生成するアセチレンによるガス爆発をより確実に阻止することができるので好ましい。
【0008】
その際、アセチレンガスによる爆発を確実に防止するための操業上の基準としては、上記反応器へのルイサイトの供給速度をF(kg/h)、希釈ガスの供給速度をV(Nm3/h)としたとき、これらFとVが下記(1)式の関係を満たす様に制御すればよい。
V>4.21×F……(1)
【0009】
また、ルイサイトを反応器内へ導入する際に、上述した如く反応により発生するアセチレンガスによって反応器内の圧力が上昇し、ルイサイトが導入側へ逆流する恐れがあるが、ルイサイトおよび希釈用ガスを加圧状態で反応器内へ吹き込む手法を採用すれば、その様な現象も未然に防止できるので好ましい。また、ルイサイトとアルカリとの反応は発熱反応であり、その反応で反応器内のアルカリ溶液が突沸等を起こす恐れがあるので、こうした問題を回避するため上記反応系を冷却することは、好ましい実施形態として推奨される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、アルカリ溶液が装入された反応器内へルイサイトを連続的もしくは間欠的に導入しつつ反応系に希釈ガスを吹き込み、反応により発生するアセチレンガスを逐次希釈しながら分解反応を進めることにより、急激なアセチレンガスの発生による爆発や急激な昇温による危険を回避しつつ、無害化処理を安全に進めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
ルイサイトは、前述した様な化学構造を有する分子量が207の有機砒素化合物であり、無色または微黄色の液体で不純品は紫色乃至褐色を呈し、エタノール、ベンゼン、ガソリンなどの有機溶剤に可溶である。また、水には僅かに溶解するが加水分解し、特にアルカリ溶液に接すると、下記反応式で示す如く速やかに且つ完全に分解する。
ClC2H2AsCl2+6NaOH→Na3AsO3+3NaCl+C2H2↑+3H2O……(1)
【0012】
ルイサイトがアルカリによって速やかに加水分解することは知られているが、本発明者らはルイサイトが人体に重大な障害を及ぼす有害物質であることから、その無害化処理をより高い安全基準の下で効率よく遂行することのできる方法を確立すべく、反応状態やガスの発生状況、発熱などについて検討を行なった。その結果、
1)ルイサイトをアルカリ溶液と接触させることによって起こる加水分解反応は非常に速く、殆ど瞬時に完結すること、そして
2)該反応によって発生するガスの主成分は、上記反応式によっても分かる様に主成分がアセチレンであり、反応雰囲気中のアセチレンガス濃度が高まると爆発を起こす恐れがあること、
3)この反応は発熱反応であり、急激な昇温も十分に注意すべきであること、
を確認した。
【0013】
そこで、上記反応状況を考慮して分解反応を安全に進める方策を検討したところ、ルイサイトの分解反応に用いる大過剰のアルカリ溶液を反応容器内へ装入しておき、これにルイサイトを少量ずつ連続的もしくは間欠的に添加しつつ、該反応系に希釈用ガスを吹き込み、反応によって生成するアセチレンガスを希釈しながら分解反応を進めれば、ルイサイトは反応容器内に溜められたアルカリ溶液との接触直後に反応して無害化し、反応によって生成するアセチレンガスは、反応系内に吹き込まれる希釈用ガスによって逐次希釈されるため、ガス爆発を起こすこともなくなることを知った。
【0014】
なお、希釈用ガスとして、窒素ガスの如きアセチレンガスに対し非反応性のガスを使用すれば、反応系内への吹込み速度を厳密に管理しなくとも反応系内でアセチレンガス爆発を起こす恐れはない。しかしこれを大気に放散すると、該排ガスと大気の混合によって該混合ガス中のアセチレンガス濃度が爆発限界濃度になったときに爆発する恐れがある。そこで、反応系内に吹き込む希釈用ガスとして窒素ガスの如き非反応性ガスを使用する場合は、該混合ガスを大気に放散するに先立って該混合ガスに予め空気(場合によっては窒素ガスなどの非反応性ガスを使用することも勿論可能である)を混入し、排出ガス中のアセチレンガス濃度を爆発限界濃度未満にまで希釈してから放散する方法を採用すれば、アセチレンガス爆発の危険をなくすことができる。
【0015】
また反応系内に吹き込む希釈用ガスとして空気を直接使用することも可能であり、この場合は、反応系内に発生するアセチレンガスの量に応じて、該反応系内のアセチレンガス濃度が常に爆発限界濃度未満となる様、アセチレンガス発生量に応じて空気の吹込み量を調整すればよい。この際、希釈用ガスとして空気に更に窒素ガスなどを混入して爆発限界濃度を高めることにより安全性を高めることも有効である。
【0016】
図1は、本発明に係る無害化処理法を例示する概念説明図であり、図中、1は反応槽、2はルイサイト貯槽、3はルイサイト送給ライン、4は送給ポンプ、5は希釈用ガス送給ライン、6は排気ライン、7は空気ライン、8は排液ライン、9は水冷ジャケットを夫々示している。
【0017】
図示する方法を実施する際には、反応槽1にアルカリ溶液を溜めておき、これにルイサイト貯槽2に溜められたルイサイトを送給ライン3から送給ポンプ4によって少量ずつ連続的もしくは間欠的に供給する。また、ルイサイトの供給に合わせて、希釈用ガス供給ライン5から窒素ガス等を反応槽1内へ吹込み、反応槽1内で発生するアセチレンガスを希釈する。希釈用ガスとして窒素ガス等の非反応性ガスを使用する場合は、反応槽1内でアセチレンガス爆発を起こす恐れはないが、希釈用ガスとして空気を使用する場合は、該反応槽1内のアセチレンガス濃度が爆発限界濃度未満に保たれる様に希釈用ガスの吹込みを行なう。
【0018】
図示例では、希釈用ガスとして窒素ガスを用いており、この場合は反応槽1から排気ライン6を経て排出される混合ガスをそのまま大気中へ放散すると、排出口の近傍でアセチレンガス濃度が爆発限界濃度に達してガス爆発を起こす懸念がある。そこで本例では、こうしたガス爆発の懸念を払拭するため、排気ライン6を空気ライン7に接続し、反応槽1から排気ライン6を通して排出される排ガスに空気を混入することによって、該混合排ガス中のアセチレンガス濃度を爆発限界濃度未満にまで希釈してから系外へ放散する。こうすることで、処理設備内でのアセチレンガス爆発の発生を確実に防止することができる。
【0019】
ルイサイトとアルカリ溶液との反応は、前述した如く両者の接触と殆ど同時に瞬間的に起こるので、ルイサイトを少量ずつ連続的もしくは間欠的に送給すれば、反応槽1内で未反応のルイサイトが残存して排ガスと共に系外へ放出される恐れは殆どない。しかし好ましくは、図示する如くルイサイト送給ライン3の先端を反応槽1の液面下に浸漬配置し、送給されたルイサイトが確実にアルカリ溶液と接触する様に吹き込むことが望ましい。
【0020】
また、前述した如くルイサイトとアルカリ水溶液との反応は発熱反応であり、該分解反応を継続すると反応槽1内で反応熱が蓄積して昇温し、アルカリ溶液が突沸を起こすことも懸念されるが、図示する如く反応槽1に水冷ジャケット9などの冷却機構を設けておけば、こうした問題も回避できるので好ましい。
【0021】
なお、上記反応を継続すると、反応槽1内のアルカリ溶液内には徐々にNa3AsO3が蓄積して該濃度が高まってくるので、適当な濃度に達した時点で、排液ライン8から抜き出して公知の任意の排液処理法で処理し、砒素成分を捕捉除去することにより無害化してから放出する。或いは処理量が多い場合は、アルカリ溶液を少量ずつ抜出しながらその排液処理を連続的に行い、減量分を図示しない任意のラインから新しいアルカリ溶液を補給しながら、連続的に処理することも可能である。
【0022】
図2は本発明の他の実施例を示す概念説明図であり、本例では、ルイサイト送給ライン3に希釈用ガス送給ライン5aを接続し、ルイサイトを希釈用ガス(窒素など)で加圧しながら反応槽1へ送給する構成を採用している。この様な方法を採用すれば、反応槽1内で発生するアセチレンガスによる圧力上昇でルイサイトが逆流する恐れがなく、操業をより安全に遂行できるので好ましい。また本例では第2の希釈用ガスとして空気を使用し、これを希釈用ガス送給ライン5bから反応槽1内へ供給することで、該反応槽1内のアセチレンガス濃度を爆発限界濃度未満に維持する方法を採用している。この場合は、反応槽1内のアセチレンガス濃度が十分に希釈されているので、排気ライン6からそのまま大気中へ放出しても爆発などを起こす恐れはない。
【0023】
なお図示例は本発明を実施する際の代表的な方法を例示しただけであって、もとより本発明を制限する性質のものではなく、反応槽の形状や構造、ルイサイトや希釈用ガスの送給機構などの具体的な構成は、本発明の趣旨に適合し得る範囲で任意に変更することができ、それらは全て本発明の技術的範囲に含まれる。
【0024】
ところで、本発明の方法を実施する際に、加水分解反応によって生成するアセチレンガスによる爆発の危険を確実に回避するには、該アセチレンガス濃度の爆発限界を考慮しつつその発生量と希釈用ガスの送給量を適正に制御するのがよく、その具体的な手法は下記の手順で行なうことができる。
【0025】
1)アセチレンガス発生量の計算;
前記反応式(1)からも明らかな如く、1モルのルイサイトからは1モルのアセチレンガスが発生するが、その反応は瞬時に起こり、ルイサイトの供給と同時にアセチレンガスが発生するので、アセチレンガスの発生速度(Va)(Nm3/h)は、ルイサイトの供給速度(F)(kg/h)から、下記式(2)の様に計算できる。
Va=F×22.4/207=0.108×F……(2)
【0026】
2)アセチレンガス濃度の爆発限界濃度未満への希釈;
アセチレンガスの爆発限界濃度は2.5%であるから、爆発を防止するには、当該反応系に存在する雰囲気ガス中のアセチレンガス濃度を、窒素などの不活性ガスによって2.5%未満に希釈してやればよい。いま、希釈後の反応雰囲気ガス中のアセチレンガス濃度をCとすると、該濃度Cは下記式(3)によって求められ、
C=100×[Va/(V+Va)]……(3)
【0027】
(式中、Vは希釈ガスの流量を表わす)
上記式(2),(3)からVaを消去すると、下記式(4)が求められる。
C×(V/F+0.108)=10.8……(4)
【0028】
従って、ルイサイトの供給速度(F)のときに、反応雰囲気ガス中のアセチレンガス濃度を爆発限界濃度未満に希釈するために必要な希釈ガス流量(V)は、上記爆発限界濃度である「C<2.5%」と前記式(2),(3),(4)の関係から、下記式(5)、即ち前掲の式(1)が導かれる。
V>4.21×F……(5)すなわち(1)
【0029】
逆に、希釈ガス流量(V)が予め決められている場合は、送給可能なルイサイトの供給速度(F)は下記式(6)の通りとなる。
F<(1/4.21)×V=0.238×V……(6)
【0030】
即ち、アルカリ溶液が存在する反応槽へ希釈ガスと共にルイサイトを送って反応させ、ルイサイトを無害化する際には、上記反応槽へのルイサイトの供給速度(F;kg/h)と、希釈ガスの供給速度(V;Nm3/h)との関係が前記式(5)[すなわち式(1)]の関係を保つ様に制御すれば、アセチレンガス爆発の危険を回避しつつ安全に無害化処理を行なうことができるのである。よって、本発明の処理法をより安全に効率よく遂行するには、前記式(5)の関係を満たす様に、ルイサイトの供給速度(F)および/または希釈ガスの供給速度(V)を制御することが極めて有効となる。
【0031】
ところで、本発明の方法を実施する際に用いるアルカリ溶液としては、苛性ソーダや苛性カリなどのアルカリ水酸化物の水溶液が最も好ましいが、場合によっては消石灰などのアルカリ土類金属水酸化物などを使用することも可能であり、その他、アルカリ金属やアルカリ土類金属の炭酸塩、水酸化テトラメチルアンモニウムの様な四級アンモニウムの水酸化物などの水溶液、水分散液、あるいはアルコール等の有機溶剤溶液などを使用することも可能である。更には、アルカリ金属をアルコールに溶解したアルコラート溶液を使用することも可能である。しかし、コストや取扱い性などを考慮して最も実用性の高いのは苛性ソーダ水溶液である。
【0032】
本発明は以上の様に構成されており、非常に危険な有害物であるルイサイトを、その処理量に関わりなく安全に効率よく無害化処理することができる。
【実施例】
【0033】
以下、実施例を挙げて本発明の構成及び作用効果をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらは何れも本発明の技術的範囲に包含される。
【0034】
予備実験(ルイサイトの反応性試験)
1)500mlのフラスコに200mlの20%−NaOH水溶液を仕込み、スターラー付きのホットプレート上で撹拌する。最初は、ホットプレートのヒータを切って室温(15℃)に保った。
2)上記フラスコ内にパージ用の窒素ガスを流しながら、シリンジを用いて試薬のルイサイトを2g装入した。装入には5秒かかった。
3)ルイサイトの装入と同時に気泡が発生するが、分析の結果、該気泡はアセチレンガスであることを確認した。
4)ルイサイトの装入を終了してから3秒経過した後には、新たな気泡の発生は起こらず、また15秒経過後にはアルカリ水溶液中の気泡が全て消失した。
5)この間、アルカリ水溶液の液温は15℃から19℃まで昇温した。
6)その後、ホットプレートのヒータを入れ、1℃/minの速度で50℃まで昇温したが、新たな気泡の発生はみられなかったことから、反応は室温でほぼ完結していることを確認した。
【0035】
実施例1
1)前記図1に示した様な装置を使用し、反応槽1内に20%の水酸化ナトリウム水溶液200リットルを仕込んだ。
2)希釈用ガス送給ライン5から窒素ガスを1Nm3/hの速度で供給しつつ、希釈用ガス送給ライン(空気ライン)7からは空気を9Nm3/hの速度で送給した。これらから、希釈用ガスの全送給量は10Nm3/hとなるので、該送給速度から前記式(1)によりルイサイトの最大供給速度を計算したところ、2.38kg/h(39.7g/min)の値が得られた。
3)そこで、ルイサイト送給ポンプ4の送給流量を30g/minに設定して、ルイサイト貯槽2からルイサイトを反応槽1へ送給した。この間、水冷ジャケット9には15℃の冷水を流して反応槽1内を冷却した。
4)反応槽1では、直ちに反応が起こってアセチレンガスの発生が起こるので、これを前記希釈用ガスと共に連続的に抜き出したところ、反応槽1から排出される排ガス中のアセチレンガス濃度は、爆発限界濃度の2.5%未満に維持されることが確認された。
【0036】
比較例1
前記実施例1の設定条件で、ルイサイトの供給速度を敢えて300g/minに設定し操業を行なったところ、操業開始から10分後に排ガス中のアセチレンガス濃度が爆発限界濃度を越えて警報が鳴ると共に、安全のために付設しておいたインターロックにより送給ポンプが自動停止した。
【0037】
実施例2
ルイサイトと希釈用ガスの供給系を前記図2の様に変更し、その他の条件は実施例1と同様にして操業を行なったところ、排ガス中のアセチレンガス濃度は常に爆発限界濃度未満に保たれ、安全に操業を継続することができた。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の1実施例を示す概念図である。
【図2】本発明の他の実施例を示す概念図である。
【符号の説明】
【0039】
1 反応槽
2 ルイサイト貯槽
3 ルイサイト送給ライン
4 送給ポンプ
5 希釈用ガス送給ライン
6 排気ライン
7 空気ライン
8 排液ライン
9 水冷ジャケット




【特許請求の範囲】
【請求項1】
ルイサイトをアルカリ溶液と接触させて分解し無害化するに当たり、アルカリ溶液が装入された反応器内へルイサイトを連続的もしくは間欠的に導入しつつ反応系に希釈用ガスを吹き込み、反応によって生成するアセチレンガスを希釈しながら分解反応を進めることを特徴とするルイサイトの無害化処理法。
【請求項2】
反応器内へ吹き込む希釈ガスとして不活性ガスを使用し、該反応器から不活性ガスと共に排出される排出ガスに空気を混入することにより、該排出ガス中のアセチレンガス濃度を爆発限界濃度未満に保つ請求項1に記載の無害化処理法。
【請求項3】
反応器内へ吹き込む希釈ガスとして空気を使用し、反応系内のアセチレンガス濃度を爆発限界濃度未満に保ちながら分解反応を行う請求項1に記載の無害化処理法。
【請求項4】
上記反応器へのルイサイトの供給速度をF(kg/h)、希釈ガスの供給速度をV(Nm3/h)としたとき、これらFとVが下記(1)式の関係を満たす様に制御する請求項1〜3のいずれかに記載の無害化処理法。
V>4.21×F……(1)
【請求項5】
ルイサイトおよび希釈用ガスを加圧状態で反応器内へ吹き込む請求項1〜4のいずれかに記載の無害化処理法。
【請求項6】
ルイサイトとアルカリ溶液との反応を冷却下に行なう請求項1〜5のいずれかに記載の無害化処理法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−68395(P2006−68395A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−257607(P2004−257607)
【出願日】平成16年9月3日(2004.9.3)
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)
【Fターム(参考)】